株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

日銀

FRBと日銀がドル円を決める

日米2年金利差とドル円相場
日米2年金利差202506
















為替相場は膠着感を強めている。
5月以降、ドル円は140~148円の範囲でもみ合いを続けている。
このレンジをブレークするのは、いつ、何がキッカケになるのだろう?

需給や金利差などの要因のうち、筆者が最も重視しているのが金利差だ。
上のグラフは2年の日米金利差とドル円の動きだが、ここ2か月、こっちも膠着状態だ。
この金利差の膠着、中央銀行の見送り姿勢が、ドル円を膠着化させているように思われる。

しかし、米国の景気指標が徐々に鈍化し、トランプ関税の物価への影響が限定的となれば、FRBは今夏にも利下げに入るだろう。
日銀にしてもいつまでも「不確実」とばかりは言ってられない。
となれば、今年後半には「FRBの追加緩和」「日銀の金利正常化」に動く可能性が高い。

そのあたりがドル円相場でも膠着を破るタイミングになるのではないかと考えている。
FOMCは6月18日、7月30日に予定され、日銀決定会合も6月18日、7月30日に予定される。
6月18日前後は無風の中銀ウィークと予想する人が多く、政策変更は期待できないかもしれない。
となると、次の大きな変化日は7月30前後後になってくるかもしれない。


需給はどうだろうか?

下のグラフはIMM先物の円投機ポジションだが・・・

IMM先物円投機ポジション
IMM円投機ポジション202506
















投機筋は相変わらず先物のネットロングを続けているが、この膠着感を増す相場で少しづつロングが減少している。
一時18万枚のネットロングだったが、16万枚程度に減少した。
膠着に疲れてポジションを閉じるファンド筋も増えているのだろう。

この膠着相場が続くと、ロングを解消するファンドが増えてきそうでこれがドルの底堅さにつながる。
しかし、基調的な円高予想、円のネットロング基調は変わらない。



PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

債券も為替も市場は走りすぎ?

10年債利回りの長期チャート
日10年金利長期202503
















日本10年国債利回りの上昇に加速がかかり、1.5%を超え1.57%にまで上がった。
上のチャートは10年債利回りの長期チャートだが、1.5%越えて2007年のピーク2%に近づいてきている。
この時のピークはリーマン危機の前だった。

国債利回りの急上昇は日銀のタカ派スタンスが要因だが、トランプ後の市場混乱を見れば3月日銀決定会合での利上げは難しそうなのに長期金利の上昇が止まらない。
これは国債を大量に保有している地銀などの金融機関が債券価格の下落で損失拡大し、慌てて国債を売り急いでいる状況を反映しているかもしれない。
だとしたら3月末の決算で国債投資の損失を計上する金融機関が出てくると想定され、今年度末の地銀決算には注意が必要だと思う。

しかし、それにしてもやや走りすぎではないだろうか?


次に日米金利差と為替相場の動きをチェックしてみよう。

日米10年金利差
日米10年金利差とドル円202503
















上のグラフは日米の10年債利回り差だが、今年に入り急速に低下していている。
米国債利回りが4.2%にまで低下し、日本10年債利回りが1.5%にまで上昇したことで、日米金利差は2.7%と3%以下にまで縮小してきた。

この日米金利差縮小がドル円を徐々に円高に動かした。
この金利差の縮小は、トランプの不透明感で景気縮小懸念が出てきた米国、日銀のタカ派スタンスの続く日本の両面の影響があるが、そちらにしても不安定な市場心理によるところが大きいと思う。


もし、日本10年債利回りが走りすぎだとしたら、円高も走りすぎじゃないのだろうか?

今後は二つのポイントがある。
短期的には3月日銀の決定会合で利上げが見送り(FOMCでの利下げも見送り)ならば、利回りは1.5%以下に下がると見込まれる。
当然そうなればドル円も150円台に戻ると想定される。

もう一つはトランプ政権がしきりに「ドルの過大評価」を指摘していることだ。
過去2年間のGAFAMへの集中投資が起こり、グローバル資金が米国に一極集中したことで、ドルは相当過大評価されていると主張されている。
トランプ政権はこの「ドル安」「高関税」で是正を図ろうとしているわけだ。

金利差と為替のグラフでも、金利差水準とドル円は「ワニの口」のように開いている。
中期的にトランプのドル高是正が進むと、この「ワニの口」が閉じることも考えられる。
そうなればドル円は一段と下落し140円/ドル水準へ向かう可能性もある。

「トランプ・プットはない」=トランプは株式市場を支える気がない。

市場心理が急激に悪化し、NASDAQが4%、S&P500が2.7%も下落した。
これはファンダメンタルではなく市場心理の要因であり、バリュエーション調整が起こったといえる。
筆者は10%程度のバリュエーション調整を想定していたが、S&P500で5500ポイント台で10%調整、PERも20倍以下になる。

その意味ではバリュエーション調整は一つのメドに来ていると見ている。
しかし、この水準は割高感はなくなるが、割安ではない、中立水準であり「買い」とはいえない。




相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

日銀、利上げでは物価をコントロールできない

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













東京の物価は力強い上昇を見せている。
12月の東京都区部CPIでは前年比∔3%と、日銀の2%物価目標を上回っている。
食品の値上がりが前年比∔6%と高い、生鮮食品は∔17%、しかも野菜の上昇など当面続く可能性が高い。
25年も3000品目以上で値上げが予定されていて油断できない。

光熱費も∔12%と強烈な値上がりだ。
下の一覧表は我が家の光熱費の分析表だが、11月分まで支払いが済んだが12月分はまだ。
ガスの単価はそうでもないが、電気料金の単価は23%も前年比上昇した。
年金生活者には厳しい物価高だが、当面はジッとガマンするしかない。


ガス


電力


使用量 料金 単価 前年比 使用量 料金 単価 前年比
Dec-24
Nov-24 141 18317 129.9 -3.9% 125 6248 50.0 23.8%
Oct-24 68 10126 148.9 5.7% 189 7789 41.2 42.5%
Sep-24 49 7191 146.8 13.4% 525 19384 36.9 25.0%
Aug-24 58 9292 160.2 17.1% 256 10651 41.6 19.3%
Jul-24 65 10377 159.6 12.5% 137 6737 49.2 2.0%
Jun-24 69 10660 154.5 2.4% 124 6161 49.7 4.8%
ガスは立方メートルあたりの単価、電気はkwhあたりの単価を計算した。


今回の物価上昇は、今までの長期デフレで溜まりに溜まった抑制行動が一気に変わったことも大きいと考えている。
「価格は上げられない」とガマンしてきた販売者が、「ガマンしなくていい」と値上げに対する心理が変わったことが広範な物価高につながった。
その心理変化に加え、円安による原材料コストの上昇、物流コストの上昇、人件費の上昇、天候不順による不作・・・などの複合要因が重なったのだろう。

となると、物価高の根は深く、ちょっと利上げしたぐらいでは何も変わらない。

新型コロナ後の物価高に対して米欧の中銀は強烈な利上げで物価を抑えこんだ。
利上げで総需要を抑え物価を制御したが、そのためにFRBは政策金利を5%水準にまで引き上げた。
日銀は同じような利上げができるのだろうか?

ゼロ金利に慣れた日本人は利上げに対応できない。
住宅ローンも圧倒的に変動金利が多く、米国のように短期金利を5%に上げローン金利を7%に引き上げたらどうなるか?
多くの住宅購入者は金利上昇に耐えられないし、住宅価格が投げ売りで暴落する可能性さえある。
過剰な利上げは日本を深刻な不況に落とし込みかねない。


物価高で痛めつけられている国民が、さらに金利上昇で痛めつけられることになる。
インフレ退治で金利を需要抑制水準に引き上げれば、日本経済は不況に陥る。

日銀は利上げを相当慎重にすべきだ。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

日銀・植田氏の戯言(たわごと)???

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













日銀決定会合が終わり植田氏が会見を行った。
東大の経済学教授だったとは思えないほど、論理が一貫していないと感じた。

①政府とは情報交換しているが、政府高官の発言に影響されたことは否定した。

このところ政府筋が盛んに円高誘導発言をしてきた、当然ながら、政府は日銀に利上げ圧力をかけていたはずだ。
そして利上げを決定、植田氏は展望レポートに沿う条件ならば継続して利上げすると説明した。
この発言は問題だと思う。
為替市場はその先の利上げを織り込んでいく円高期待を高めてしまう。

明らかに円高誘導を意図したもので、これは政治家や財務省への迎合のように思う。
にもかかわらず、植田氏は実質金利が低い状況下の、わずかな15bpの利上げでは経済への影響は限定的だとコメントしたが本音かどうかは怪しい。
植田氏のこの政府寄りの発言で、政府や財務省は喜んだだろう。

②足元の景気停滞を無視して、賃金と消費需要の好循環を前提とした景気展望しか語らなかった。

足元の国内需要には停滞感があり、実質GDPも伸びていないし、IMFも日本の成長率を下方修正した。
それも日銀は∔1%程度の実質成長を今後3年間続くと見込んでいるが、ここの説明はない。
賃金は春闘で無理やり上げたが、円高トレンドになると賃上げの余裕はなくなる。
それでも賃金上昇が続くのだろうか?大きな疑問があるが・・・説明はない。

③将来の金利水準については、中立金利まで引き上げていくとした。

日銀の展望レポートにそった状態ならば今後も利上げを続ける、ではどこまで引き上げるのか?
植田氏は中立金利まで引き上げるとしたが、日本の中立金利って何かよく分からない。
中立金利は景気に影響しない金利水準だが、長らく、ゼロ金利でも景気停滞を続けた日本の中立金利水準はよく理解できない。
植田氏も経済学者なのに中立金利そのものの解釈を明らかにしてない。

会見の読み方はいろいろあるのだろうが「植田日銀は財務省に迎合した」という第一印象だ。
円安修正を目指した利上げであったことは間違いないだろう。
連続利上げとなれば金利差が縮小し円高が進むのは当然だが、景気には大きなマイナス要因になっていくのも間違いない。

株式市場はタカ派になった日銀にビビって暴落したが、将来、日銀が継続的に利上げをできる環境にあるとは考えられない。
世界を見渡しても米国の景気鈍化、欧州の低迷、中国の危機的状況、世界景気を引っ張るエンジンに欠けている。
なので植田氏のリップサービスは「戯言」としか思えない。
利下げはon the table」と言ったFRBパウエル氏にバトンは渡される。
9月FRBの利下げタイミング次第で円高トレンドはしばらく続くが、連続利上げによる株価暴落は織り込みすぎのように感じる。
連続利上げを実行できるとは思えないからだ。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村       

「円独歩安」を考える(8)金利差の転換点

FOMCドットチャート(2024/6)
ドットチャート240206

















パウエル氏はなんか「思考停止」状態なのかなと思う。
「(将来の)データ次第」「確証が得られるまで金利は下げない」とばかり言っている。
だいたい、米国FRBは経済の先を見て金融政策を行ってきたはずなのに、「データが出て、確証をもって利下げする」なんて事になったら、「後追い」もいいところだ。
グリーンスパン、バーナンキと名議長が率いたFRBも無残な状態になってしまった。

まずはFOMCのドットチャートを確認してみよう。
      24年末    25年末    26年末
上限  5.375%  5.375%  4.875%
中央値 5.125%  4.125%  3.125%
下限  4.875%  2.875%  2.375%

年内は25bpの利下げを1回、来年は4回で合計1%引き下げる、再来年も同じで4回合計1%の引き下げを予想している。
日銀も年内25bpの利上げを1回はするだろう(2回はないかもしれない)と見られている。
とすると、24年末0.25% 25年末0.25%、程度と見ていいのだろう。

①日米政策金利差

FRBの前提では、現在5.28%ある日米政策金利差は年末に4.87%に、1年後に3.87%に縮小し、2年後に2.87%と一段と縮小することになる。
今後2年間で政策金利差は5.28%から2.87%へと半減することになる。

②日米2年金利差

債券市場は先読みするので、2年金利差も大きく縮小する。
日米2年金利差は4.37%だが、年末には日銀の利上げとFRBの利下げにより3.8%程度に縮小、毎年1%のFRB利下げにより25年末2.8%程度、26年末に1.8%程度になるだろう。

下のグラフは日米2年金利差とドル円レートのチャートだが、2年金利差が年末に4%を切るということは2023年央の水準に縮小するということだ。
ちなみにその時点のドル円レートは140円/ドル水準になる。
さらに来年金利差3%割れを想定すると対応するドル円レートは、2022年央の120円台だ。

日米2年金利差とドル円レート
日米2年金利差202406

















FRBの想定が正しければ、日米2年金利差は急激に縮小し3%以下になる。
そうなればキャリー収益も急減し、FX投資家のスワップポイントも大きく縮小してしまうだろう。
ドル円相場を動かしてきた基礎的なキャリー収益やスワップポイントが消えていく。

2%台の金利差では為替変動率の方が大きく、キャリーやスワップポイントで安定的に稼ぐのは難しくなるだろう。
目先、ドル買い/円売りでスワップポイントを稼ぐのはいいが、2~3年の金利想定をすると長期的に簡単に稼げるとは考えにくい。
新NISAでドル建てオルカンやS&P500のETFに投資した投資家は、長期的な為替の方向に注意すべきと考えている。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村 
 

「円独歩安」を考える(7)日米金利差は縮小

日米10年債の利回り差
日米10年金利差202405
















今月に入り米景気関連の指標が若干ながら減速を示すようになってきている。
これに伴って、米長期金利も若干低下に入り、一時の4.7%から4.4%に低下してきた。
この長期金利の低下はFRBの利下げタイミングを早めると同時に株価の反発を促した。
米株式市場、特にNASDAQでEPSの増加が顕著になり、しかも長期金利が低下したことで史上最高値を付けるなど急反発を見せている。

ここまではある意味予想された状況だろうけど、問題は介入がありながら、為替市場が全く反応していないことだ。

上のグラフは日米10年債利回り差とドル円市場の動きを比べたものだが、長期金利差は全く広がっていないのに、為替市場では一方的に円安が進んでいる。
青線(金利差)と赤線(ドル円)が「ワニの口」のように乖離が出てきた。
円安は行き過ぎているのではないだろうか?
金利差以上にドル円に影響している「モノ」があるのだろうか?


下のグラフは日米実質金利差と為替相場を比べたものだ。
明らかに実質金利差が拡大して円安が進んできたといえる。
それでもここ数か月の両者の動きは乖離が始まっているように見える。
実質金利が広がっていないのに円安が進行しているからだ。

日米実質金利差
日米実質金利差202405

















米景気指標が落ち着き、インフレが徐々に収まってくるとしたら、米長期金利は低下基調に入る。
米実質金利が低下傾向を見せる、これは円高要因となる。

一方の日本は、円安による輸入物価の上昇が、国内物価全般に影響し始めている。
直接の輸入品だけでなく、国内で生産されている一般消費財も人件費の上昇やエネルギーコスト高で値上げが続いていく。
日本の長期金利が高止まりするものの、実質金利(名目ーインフレ期待)は上がらない。
それにしても米実質金利の低下があれば、金利差は広がらない。
それがあっても、米長期金利が低下していく場面では名目金利差は縮小していくのは間違いない。

金利差以外の要因が為替を動かしている可能性がある。
それが何かはまだよく分からない。

IMM投機先物ポジション(円)
IMM円投機ポジション202405















IMM円投機ポジションは、ピークの18万枚ショート(ネット)から現在12万枚ショートと、先物売りポジションが減少している。
ヘッジファンドなどは財務省の介入に一定の警戒感を持っているのだろう、そのために若干ポジション調整をした。

では誰が円ショートをけん引しているのだろう?

仮説にすぎないが、日本人の米国株の大量買いが需給要因なのではないかと思う。
新NISAで思いっきり米国ETFやオルカンを買いまくっているのが円安の原因かもしれない。
だとしたら、ある意味恐ろしい。
新NISAの買いが終わり為替が反転したら、個人投資家の損失が膨らむ可能性もないとはいえない。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村    

FRBと財務省、協調行動?(2)

円投機ポジション202404















昨年4-6月期からFRBはこの1年で1兆3000億ドルの縮小(=資金吸収)を行った。
一方のリバースレポ残高は2兆2700億ドルから4090億ドルへと、1兆8620億ドルの縮小(=資金供給)をしてきた。

QT(量的引き締め)政策で、毎月600億円(国債)∔350億ドル(MBS)をオートマティックに削減してきたが、その間、商業不動産や中小企業への貸付問題があり、FRBは市場操作で市場の流動性を確保してきたわけだ(下の表を参照)。

FRBバランスシートは残高の3か月変化、R/REPOはリバーズレポ残高とその3か月増減
FRBQ/QR/REPOQ/Q
Apr-247.405▲ 0.0790.409▲ 0.185
Mar-247.484▲ 0.2280.594▲ 0.424
Dec-247.712▲ 0.2901.018▲ 0.539
Sep-238.002▲ 0.3441.557▲ 0.477
Jun-238.346▲ 0.3592.034▲ 0.237
Mar-238.7050.1542.271▲ 0.282
Dec-228.551▲ 0.2442.5532.553
単位:兆ドル
リバースレポ残高は3月末の5900億ドル、4月には4000億ドルまで減少した。
この市場操作の限界が見えてきた時点で、インフレ懸念が残る米経済の中にあって、FRBはQTの縮小を決定した。
市中から債券を買い取り資金供給するオペは、QT(保有債券の縮小)と相反するのでやりにくい。
それでもインフレ懸念の強い現在、FRBは利下げに踏み込めなくても「QTの終了」までいける。
金融市場の流動性を確保して市場の安定性を維持するためだ。

この決定が金融為替市場のドル需給にどう影響する?

QTの終了」は今年後半にかなりの確率で実施されるとすれば、金融市場には毎月950億ドルの流動性が供給されることになる。
今後1年で1兆ドルの追加供給となり、米金融市場のドル不足はかなり解消されてくる。
為替市場も金融市場の流動性につながっているので、流動性の増加はドル安要因になる。

財務省の為替介入が効果が出るとしたら、ファンダメンタルの変化が必要?

強引な介入だけでは効果は一時的になるだろう。
でもFRBの「QTの終了」、市場の投機の行き過ぎ(円ショートの巨大化、上のグラフ参照)、さらに数十兆円レベルの巨額の円買い介入。
この三点セットで多少とも市場のドル高期待に変化を起こすことができるかもしれない。

さらに米景気の減速(株安)が表面化すれば「FRBの利下げ」、日本のCPIが一段と上昇すれば「日銀の利上げ」の可能性が出てくる。
そこまで行けば、円安トレンドは反転する可能性があり、財務省の介入効果をこの数か月維持できるかが勝負だろう。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村    

FRBと財務省、協調行動?(1)

リバースレポ残高とFRBバランスシート
RREPOとFRBバランスシート202404
















FOMCの結果が「現状維持」で発表された。
日銀決定会合のように「ゼロ回答」かと思ったら、「量的引き締めの縮小」が含まれていた。

さすがだね~~と思っていたら、NY時間が終わった後日銀が為替介入第二弾。
まるで「FRBと財務省の協調行動」みたいに思えた。

少し細かい話になるが・・・・

上のグラフは「リバースレポ残高とFRBバランスシート
FRBは毎月600億ドルの国債保有の減額を行ってきた。
国債保有のうち毎月償還がくる600億ドルは再投資をしない、毎月の国債借り換え時に自動的に600億ドルを減額する。

毎月600億ドル多く国債が市中で消化され、金融市場のドル資金を吸収する。
その分、市場のドル資金は減少し、銀行・金融機関の資金取引を圧迫してしまう、というわけでFRBはリバースレポ解消(市中の国債を買い戻しドルを供給する)をしてきた。

リバースレポは保有債券を買い戻し条件付きで売却し金融機関の余剰資金を吸収するので、この取引を解消すると、債券を買い戻し資金を供給することになる。
この市場操作で市場の資金不足/余剰を調整しているわけだが、量的引き締めでは市場がドル不足になりやすく、FRBはリバースレポ解消でドルを供給してきた。

3月ぐらいからリバースレポ残高が急減(上のグラフ)したため、このドル資金供給がだんだん難しくなりった、これが問題だった。
しかし3月FOMCではスルー。
量的引き締めの縮小がなかったため市場のドル不足感が広がったのかもしれない。

リバースレポ残がなくなるとどうなる?

一部の金融機関が市場からの資金調達が難しくなり資金ぐりが悪化することもあるし、会社も事業債の発行なども条件が悪くなったり、借金の返済が難しくなったり、いろいろな影響がある。
最悪の場合、株価が急落することも考えられた。

でも月600億ドルの量的引き締めが250億ドルに縮小され、月350億ドルが追加供給される。
5月FOMCでもインフレの再燃懸念があるのでFRBの決断が注目されたが、緩和効果のある「量的引き締め縮小」を決めたのは、やはり「市場のドル不足」がより深刻になっているの裏返しかもしれない。

そして財務省の為替介入・・・???

FRBの「量的引き締めの縮小=金融緩和」のタイミングで財務省が為替介入した可能性がある。
しかも為替取引がスカスカになる時間帯で158円/ドルから153円/ドルまで円を押し上げた。

FRBのよるドル供給の増加、さらに財務省のドル売り/円買い、この二つはドル需給を明確に緩和させるはずだ。
良いタイミングでの協調行動」だといえる。
為替市場のドル高期待を変化させる可能性もありそうな気がする。

次回、もう少し詳しく考えてみたい。



 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

日銀・植田発言の真意は?

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













日銀決定会合の結果は大方の予想通りの「現状維持」だったが、その後の植田会見は凄まじかった。
金融政策は為替レートを直接コントロールの対象とするものではない」外国為替市場で円安が進んでいることによる基調的な物価への影響は無視できる範囲かと問われたのに対し「はい」と即答。

現在の円安は無視できる範囲だとしたことに為替市場は敏感に反応した。
確かに言葉の表面を受け取れば「緩和を続けるなら、当然円安が進む、でも基調的な物価への影響は無視できる」・・・当然、トレーダーは円安方向にポジションを積み増す。

経済学者の植田さんがこんな単純な因果関係を理解していないわけはないので、理解した上での発言だと受け取るべきだ。
隠された真意は二つあるのではないかと思う。

為替動向に日銀は責任はないと改めて主張したこと。
日銀の政策目標は「物価の2%」だけだ。
その点を強調すればするほど「為替レートに関心なし、無責任」を見られてしまう。
だからこそ、この極まった為替市場に対しても「為替の影響は無視できる」と発言したのだろうと推測する。

②植田さんの基調的な物価上昇についての発言。
一つは「輸入物価や原油価格など外生的要因(第一の力)は一時的なもので物価の基調には影響しない
もう一つは「賃金上昇や景気上昇で自然に物価が上がる内生的要因(第二の力)が基調的な物価判断になる
為替は外生的な要因であり、賃金と景気の内生的要因を植田・日銀は重視しているということだ。

日本政府・財務省も行き過ぎた円安をけん制し、大企業トップも行き過ぎた円安による個人消費への影響を懸念しているが、植田さんはこれらも無視する
こうなると米金利が上昇傾向の現在、円はフリー・フォール(自由落下)になってしまう。

猛烈な円安が進み、輸入商品の価格が上昇し個人消費が抑え込まれる、という状況になると消費中心に景気が悪化しデフレ要因になる。
輸出企業には円安はプラス、海外子会社を連結決算に持つ企業もプラスだが、多くの国内企業にはコストアップ要因となる。
国内企業でも百貨店などは円安で海外客が爆買いでプラス、その他多くの一般消費関連はマイナス。
プラス・マイナスが多く偏在するものの、経済全体としてはマイナスになる。
でもこんな状況になったら日銀は利上げができるはずはない。

つまり、植田さんの真意は「円安のコスト高で物価が上がっても景気を冷やしてはならない」そのためには金融緩和を続けるという事だろう。
植田さんは円安による物価よりも景気悪化によるデフレ(元の木阿弥になること)を警戒していると考えるとピッタリくる。

また、円安は投機的なポジションの仕掛けであり、投機が行き過ぎれば自律的に反転すると読んでいるのかもしれない。
実際、日銀会見後の急速な円安で投機的な「円売りポジション」はネット18万枚と過去最大の投機ポジションに急増した(下のグラフ参照)。

円投機ポジション202404
















今まで単なる為替介入は効かないと思っていたが、ここまでくると話は違ってくる。
ドル円市場が投機需給の限界点に達してしまえば、わすかな「円高ニュース」わずかな「実弾の円買い」で大きくトレンドが転換する可能性も否定できない。
相場が自律的に大変動を引き起こすのは市場の宿命だからだ。
ドル円市場にもそうした極限点が近付いているのかもしれない。




相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

「円独歩安」を考える(6)実質金利が決める

日米実質金利差とドル円相場
実質金利差
















上のグラフは日米実質金利差とドル円相場のチャートだが、2022年までは両者の動きに乖離があったものの、2022年以降は両者のグラフがほぼきれいにパラレルに動いている。
2022年はFRBが引き締めが開始した時期で、日米金利差が急速に拡大していった。
この2022年を境にして「実質金利差が為替を決める」という相場が始まったように思う。

為替の決定要因は「金利差」だけでないのは確かだが、「物価差」や「成長格差」などはこの3年有効に機能していない。
そのため、ビッグマックが日本では450円(3ドル)/個、アメリカでは5.58ドル/個というような考えられない大きな物価差が生じてしまったといえる。

ではこの「円独歩安」のトレンドがどう変わっていくのだろう?
財務省の円買い介入だけでいいのだろうか?

おそらく一番重要なことは「日米実質金利差」を縮小させることだ。
実質金利は「長期金利ー期待インフレ率」であり、長期金利が上昇すると大きくなり、期待インフレ率が上がると小さくなる。
アメリカでは長期金利が再上昇する一方、期待インフレも高止まりで実質金利が高止まりしている。

一方、日本では日銀が長期金利を低めに維持している反面、徐々に期待インフレが上昇しそうで実質金利はさらに低下しそうな雰囲気だ。
これでは実質金利差が広がってしまい、ドル高/円安傾向になってしまう。
昨日NYで1ドル=155円になったのも、こうした事情が効いている。

アメリカの実質金利は2%程度で高止まりしそうなので、日銀がカギを握る。
植田さんのいう通り2%の基調的な物価上昇を達成するとしたら・・・日本の金利は低すぎる。
2%の期待インフレなら、長期金利も2%であっておかしくない。
このあたりまえの事を植田さんが表明すれば、日本の長期金利は1%を越えて上昇していくだろう。
「日本の長期金利が低すぎる」「長期債の買い入れの停止」「1%を越える長期金利の容認」と言えばいいだけだ。
そうすれば日本の実質金利がマイナス状態から上昇しゼロに近づく。

実質金利差が2%からそれ以下に縮小し、ドル円相場は反転する。
その時期に財務省が介入し、5~6兆円の円買いをすれば、一気に円高にトレンドが変化するだろう。
すべては植田・日銀にかかっているといえる。



  相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村  

「円独歩安」を考える(5)介入タイミング

日米10年金利差とドル円相場
日米10年金利差202404
















米国CPIが前年比+3.5%とほんのちょっと高めに出ただけだが、ドル円は152円/ドルの抵抗水準を抜けつつある。

今まで「円独歩安」を分析してきたことは・・・

①ドルインデックスは昨年から横ばいで「ドル高局面」はすでに終わっている、でも円は主要通貨に対して「独歩安」となっている。

②主要通貨の投機ポジションを見ると、ドルもユーロもポンドも投機ポジションが縮小しているのに円だけ先物売りポジションが過去最大級に積み上がっている。

③この「円独歩安」の結果、実効為替レートは70年代依以来の超円安ゾーンに入り、超円安が日本人の窮乏化をもたらしている。

この「円独歩安」をどう考えたらいいのだろう?

この円安は需給により加速化されている面がありそうな気がする。
米CPIの発表から米長期金利が急上昇しこれが茲許の円安の原動力になったが、日米金利差は4.1%(5年)3.7%(10年)と、昨年10月の4.4%(5年)4%(10年)に比べたら金利差はわずかに縮小しているからだ。
FRBの利下げが遠のいたことが影響したとみられるが、米金利自体は2年物で4.9%、5年物で4.6%、政策金利5.25-5.5%に対して上値の余地は限定されている。
FRBが利上げをするなら長期金利も5%以上に向っていくのだろうが、利下げの時期と回数が議論されているだけなら長期金利が5%に上昇する可能性は小さい。

というわけでこの「円独歩安」は金利差ではなかなか説明できない。
おそらく為替需給に大きく影響されているのだろうと思う。

①シカゴIMMの投機筋は、円の先安感から16万枚の売り越しと過去最大の円売りに達している。
②他の通貨への投機ポジションは少なく、投機筋は「円」をターゲットにショートポジションを集中させている。
③日本の個人投資家が毎月1兆円程度の海外株ETFを買っている、これも多少は影響している。

IMM円の投機筋ポジション(差し引き)
円投機ポジション202404
















となると、為替需給のよる「円独歩安」に対して財務省がどう判断するかだが・・・
米FRBは利下げを先送りしている限りは、日銀側の金利要因で為替は決まっていく。

4~5月にエネルギー補助金がなくなり、ガソリンや電気・ガス料金が国内物価を直撃して加速化するのが見えている。
その状況に加え円安要因で4月~5月初の物価に影響が出てくるようならば、日銀は若干の金利修正(利上げとは言わないだろう)を余儀なくされる。
その時、財務省の5~10兆円の円買い介入、日銀の金利修正アナウンスが同時に出る。
このあたりがポイントになりそうな気がする。



 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

「円独歩安」を考える(4)野口先生VS.武者さん

円の実質実効為替レート
実質為替レート202403

















3/30にテレビで野口悠紀雄先生と株の評論家武者さんの討論が放映されていた。
ある意味、非常に興味深い討論だった。

野口先生の主張は・・・
①円安では日本経済は復活しない、ゆるやかな円高の中で競争力を上げることで復活できる。
②円の実質実効レート(物価変動を加味した均衡レート、上のグラフ)は一貫した下落を続け、日本の購買力(実力)は大きく棄損している。
③名目の輸出が増えて輸出企業には会計上の利益が溜まっているが、輸出数量は増えてないのであくまで円安で会計上の利益が増えているだけだ。
④輸入企業は原材料高を価格転嫁し急場をしのいでいるが、これは消費者にしわ寄せを与えているのにすぎない。
⑤円安で起こっていることは、輸出企業の会計上(みせかけの)利益の増加、輸入企業のコスト高、そのコスト転嫁で消費者が大きくマイナスを被っていることだ。

一方、武者さんの主張は・・・
①円高とそれを原因とするデフレで日本は長期停滞に入ったが、円安はこれと反対にインフレの好循環を日本にもたらす。
②円安によってインバウンド需要が拡大、輸出企業の利益が拡大、企業は設備を国内に戻し国内投資が拡大する。
③需要不足の日本経済にこうしたインバウンド消費、設備投資、企業利益の増加は大きなプラスになり、円安が続くことで一段と国内需要が増え経済は活性化される。

というわけで両者の意見は全く異なっている。
野口先生は経済学者らしく正確な経済分析を基に「円安は弊害が多い」と主張する。
これに対して武者さんは株式市場中心の見方だ。
株式市場に上場している大型株は輸出比率が高く、上場企業全体の利益が円安で拡大するのは事実だし、半導体中心に国内投資が増加しているのも事実だろう。

でも図らずも、武者さんは「所詮、株人間」だということを証明してしまった。
中小企業、そこで働く人たち、一般の消費者、年金生活者など広い視点を持っていない。
株式市場、そこに上場する大企業、そこに投資する人たちの方しか見ていないと思う。

でも中小企業や一般消費者の犠牲の上に株式市場の活況があるとしたら、日本全体にとって悲しいことかもしれない。
こんな誰かの犠牲の上に成り立つ景気回復だとしたら長続きはするはずがないからだ。
犠牲になる人たちにも限界があり、中小企業の破たんも増えるだろうし、一般消費者や年金生活者の中には破たんする人たちも増えていくだろう。

為替の議論はもっと「国民全体のコンセンサス」を作るべきだ。
野口先生と武者さんの意見が最後まで嚙み合わない、立場で意見が異なる。
部分的な損益以上に日本の進むべき道を議論すべきだと思った。



  相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村 

「円独歩安」を考える(3)トレンドは投機筋が決める?

日米金利差5年202403
















為替レートは最終的に需給が決める、貿易収支や経常収支のファンダメンタルよりも資本収支の動きが格段に大きいからだ。
その基礎となるのが「日米金利差」であり、金利差に注目した「キャリートレード」だと考えている。

上のグラフの青線は「5年の日米金利差」で、一時4.5%程度に拡大したが、現在は3.86%(3/28)で4%以下で推移している。
5年金利は中期でポジションを取る投資家や資金調達する企業が使う一般的な金利だ。
5年で円で借金しドルで運用すれば年4%弱のリターン(コスト含まず)が得られる。
投機筋は円高への変動が年4%以内ならば、トータルでプラス収益となり成功だ。
一方、年4%以上の円高が起れば、金利差のプラスを円高で食いつぶしてしまう。

簡単にいえば「金利差」と「円高の変動」が収益性を決める。
この収益が大きくプラスになると期待できれば、無制限に円で借金してドルで運用する。
この状況が強まったのが2021年から2022年の円安トレンドだった。

では現在はどうなのだろう?

「金利差」の収益は縮まったとはいえ年3.8%のプラス、これに対して「円高の変動」は不透明な状況にあり、判断が難しい。
円先物売りの投機ポジションが12万9000枚とピーク圏にまで増加したこと、財務省の円買い介入が起こるかもしれないこと、中小企業の賃金引上げが明らかになれば日銀の再利上げが起こること・・・などが円キャリーを巻き戻すキッカケになる。

一方、152円/ドルの抵抗帯をブチ抜けは円安の加速化が起こるかもしれないこと、米インフレが再加速して米金利が上昇するかもしれないこと・・・など円安の期待材料だろう。

当面のポイントは・・・
直接的に為替介入で4%の円高を作れるか?
賃金上昇が全国的に広がり、日銀の再利上げに入るか?
米のインフレが落ち着き、利下げ条件が整うか?
オプションを売っている投機筋の踏み上げで152円の抵抗帯をブチ抜けるか?

投機筋のポジションが積み上がっている割にドル円市場の動きはほとんどなくなり、ここ1週間151円/ドルレベルで横ばいを続けている。
不気味なのはこの横ばい状態で、この間に通貨オプションのショート・ストラドルが溜まっている可能性もありそうだからだ。
ショートストラドルはコールとプットの両方を売るポジションで、動かなければ利益が上がる一方、動き出すと踏み上げが起こり大きな変動を引き起こす。
152円/ドル抵抗帯を突破すると、オプションの買戻しが現物のドル買いを誘発しやすいので注意が必要だ。

いずれにしても難しい局面に入っている。
個人的には・・・一瞬152円/ドルを突破し踏み上げが起こったところで財務省が5兆円のドル売り/円買いを実行し、ドル円のトレンドが転換するという劇的な展開を期待しているが・・・
ここの判断は投機筋にとっても簡単でないかもしれない。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村  

「円独歩安」を考える(2)投機ポジションから見ると・・・

ドルインデックスの投機ポジション
ドルインデックス投機ポジション202403
















ICE先物取引所のドルインデックス先物の投機ポジションの推移だ。
ロングからショートを差し引いたネットポジションを示している。
もちろんヘッジファンドやCTAによってはポジションの開示を嫌がる場合も多く、この先物取引を使わない場合もある。
それでも投機筋のドル強弱感をおおまかに示しているだろう。

明らかに言える事は、ドルインデックスに対する投機ポジションは、2022年半ばに5万枚を越えてピークを打ち、その後急減、今年に入ってからはほとんどカラカラの状態にある。
ドルに対する投機意欲は大きく減退しているといえる。
昨年でFRBの利上げが終了し、その後はドル高にかける投機筋も大きく減ったということだろう。


シカゴ先物取引所のIMM投機ポジション(ユーロ)
IMMユーロ投機ポジション202403
















ユーロ/ドルレートについては投機ポジションは増えたり減ったりのサイクルを描いている。
昨年を通じてユーロをロングにする投機筋が多かった。
ユーロ/ドルレートがドル安方向とほど一致している。
しかし、そのユーロ・ロングのポジションも大きく解消されてきている。
ユーロ/ドルは中立的なポジションに向っていると思われる。

IMMドル/円の投機ポジション
IMM円投機ポジション202403















ドル/円相場では相変わらず、円安をベットする投機ポジションが多い。
日米金利差が大きく短期でも中期でも3~5%の金利差があり、恒常的に円ショートが積み上がり、10万枚以上のネットショートが現在でもある。

投機的なポジションをドルインデックス、ユーロドル先物、ドル円先物で見てきたが、全体としては投機ポジションは中立化してきているように見える。
しかし、ドル円先物だけは別物で、投機的な動きが起こるとしたらドル円市場になるのかもしれない。

為替の投機筋はドル円をターゲットにしている。
152円/ドル水準の抵抗帯を突破するのかをじっと見ているだろう。

円安が進むと投機の「円売り」ポジションは利食いの買いに入り、円安を限定させる方向に動く。
逆に円高に動くと「円売り」ポジションは円買い戻しに入り、円高を加速化される方向で動く。
どちらに動くかは今後次第だが、円安よりも円高に動いた時の方がインパクトは強くなるのかもしれない。




 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、
相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村 

「円独歩安」を考える(1)ドル高の終わり

円インデックスとドルインデックス202403
















国内投資家はドル円でしか為替の影響を見ていない。
この1年以上の間ドル円は140~150円のレンジになり、為替は安定してきている。
もちろん150~152円水準のブチ抜けると日銀や財務省には危機感が出るだろう。

ドルインデックスは22年8月以降FRB利上げの終了とともに横ばい状態にある。
FRBの利上げによるドルインデックスの上昇はすでに失速、ドル高局面が終わっている。
その一方、円インデックス(貿易量で加重した円の名目実効レート)で円の実力は一貫して低下している・・・上のグラフを参照。


これが意味しているのはドル高というより「円独歩安」で、これが問題の中心だろう。

円インデックスをウェートと過去1年パフォーマンスで分解して見ると・・・

                貿易ウェート 1年パフォーマンス
中国CNY/JPY    31.9%  ▼10.2%
米国USD/JPY    16.5%  ▼13.6%
ユーロ圏EUR/JPY  12.7%  ▼15.2%
韓国KRW/JPY     6.0%  ▼17.8%
台湾TWD/JPY     4.6%  ▼ 9.3%
タイTHB/JPY      3.6%  ▼ 7.6%
シンガポールSGD/JPY 2.4%  ▼13.4%
インドネシアINR/JPY   2.1%  ▼13.1%
貿易ウェートは円インデックスのウェート、1年パフォーマンスは現地通貨の対円レートの変化。

ドル(13.6%)よりも円安が進んだ通貨は、ユーロ15.2%、韓国ウォン17.8%だけだ。
円インデックスを引き下げているのは米ドルとドルペグのアジア通貨、それに加えユーロと韓国ウォンといえる。
この円安局面ではドルインデックスの上昇が一巡した中で、円インデックスの低下はユーロや韓国ウォンやアジア通貨に対して円安が進んだ影響だった。

そのユーロ圏も景気は米国よりも厳しく利上げ一巡から利下げタイミングを見ている。
一方的な対ユーロでの円安が一層進むとは考えづらい。

この「円独歩安」トレンドが続くかは基軸通貨としてのドルインデックスの動き、さらに円インデックスに影響する中国人民元や韓国ウォンやその他のアジア通貨が重要になるだろう。

「円独歩安」が変わるにはどんな条件が必要なのか?
次回は通貨先物ポジションで投機筋の動きを考えてみたい。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y

PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村    

「ハト派」の仮面をかぶった「タカ派」

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













日銀決定会合は、事前の報道通りの「マイナス金利解除」「YCCの撤廃」「リスク資産の買い入れ停止」の三点セットで終わった。
しかし、その後の日銀植田さんの会見では「ハト派」イメージが先行し、日経平均の上昇と円安を加速させたように思う。

一つは「短期金利で金融政策を行う」といいながら、テイラールールや中立金利への言及はなく、短期金利をどう決めるかを説明しなかったこと。

2%物価目標の確率が高まり大規模緩和をやめたと言いながら、短期金利をほぼゼロに維持する緩和姿勢を強調した。
でも変なのは2%インフレを前提にすれば景気に中立な金利水準も2%程度、実質金利をゼロに近づけることになるはずだが、そうした金利引き上げの条件や経路は全く説明しなかった。
おそらくこのハト派コメントで市場には金融緩和メッセージと受け取られた。


もう一つは長期金利は市場に任せる言いながら長期金利が上昇する場合には「国債の買い入れ」を続けるのもよく分からない点だ。

ETFやREITの買い入れ停止はいいが、長期国債を日銀オペに対象にしながら「量的緩和」をどう修正するのか明確な答えがなかった。
さらに大量に買った株式ETFをどうするのかもコメントなしだった。

今後1~2年程度の金融政策を考えた場合、物価目標を達成したとすれば短期金利を1%~1.5%程度に引き上げるべきだろうし、長期国債の買い入れも停止し市場での価格形成にまかせるべきだろう。
という意味では「ハト派」の仮面をかぶった「タカ派」ではないかと思う。

でも市場は「異次元緩和後の緩和」を期待してしまい、だからこそ日経平均が急上昇し、為替が大きく円安に振れた。
植田氏のコメントが必要以上に市場の緩和期待を助長したのではないだろうか?
日本の金利は将来的に上昇していくという事を明確に言うべきだったのではないだろうか?
金利の決め方も説明せず短期金利の見通しもなしに、市場のリスクを高めたのかもしれない?

今後の物価次第で年1~2回の利上げは十分にありえると思うと「???」が付く植田会見だった。




 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

日銀保有株を考える(3)QEの出口戦略

日銀のバランスシートとTOPIX
日銀バランスシート202403
















この「日銀バランスシートとTOPIX」のチャートを見ると、日銀が量的引き締めに入った場合とんでもない悪影響を株式市場にもたらす・・・というように見えてしまう。
日銀の量的緩和は直接株式ETFを購入したので大きなインパクトがあったと思う。
でも、これは国内の資金需給の問題であり、株価を決めるすべてではない。

国内の需給でいえば、最大の買い手は「自社株買い」で過去10年で60兆円を買った。
日銀の株式ETF買いは簿価で37兆円と自社株買いに続く買い越しだった。
このうち自社株買いは今後も続いていく。
需給要因はあまり考えなくていいと思う、

日銀は第一段階として「YCCの撤廃」、その次に「マイナス金利政策の変更」、さらにその次に「量的緩和政策の変更」という順番になるとすると、相当時間をかけて政策変更を慎重に行っていくことになるだろう。
量的引き締めで先行している米FRBも非常にゆっくりとしたペースでしかできなかった。
簿価37兆円の株式ETFは、2010年から2014年まで14年もかけて積み上げられた。
特に黒田総裁の下で2015年から異次元緩和策として、年間3兆円~7兆円の購入と加速度的に増加した。
この日銀の資産、国民の資産をどう処分して金融政策を正常化させていくか大きな課題だ。

この日銀の株式ETFで34兆円とも言われる評価益が出ているし、さらにこの日銀の緩和・円安政策で外貨準備にも50兆円レベルの評価益が出ている。
両方合わせれば80~100兆円という評価益でこれは国民に帰属する利益だ。

日銀決定会合では「ゼロ金利とYCCの撤廃」が予定されているが、もう少し踏み込んで「量的引き締め」について何か言うかもしれない。
日銀のバランスシートの縮小は株式市場にはマイナスとなるが、その一方、巨額の評価益の持つ資産をどう国民経済に生かしていくのかという議論は株式市場にプラス要因になっていく。
単純にマイナス要因とはいえない。

日銀は「ステルス戦略」でETFを縮小すべきだろう、おおっぴらに言う必要はない。
まずは日経平均ETFの処理だろうが、日経平均が上昇時に先物(オプションの合成先物)を売り建てる、これを6か月(オプション3か月)ごとのSQで現物ETFを売却して埋める、これならば株価への影響は限定的だからだ。

いすれにしても今回の日銀決定会合は今後の日本経済の方向を決めることになりそうだ。




相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村    

日銀保有株を考える(2)政策保有株と比べる

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













最初に時々感じることがあるが、持ち合い株と政策保有株では歴史的な経緯もその理由も異なる。

持ち合い株は資本自由化が進んだ1970年代に外資による企業買収を懸念した企業経営者が、当時の強固な企業ケイレツの中でお互いに株式を持ち合って外資からの自己保身を図ったものだ。
1980年代を通じて持ち合い関係が深まり、1990年代には発行株数の3割程度が持ち合い株だと言われた。
その中心にいたのが財閥系の銀行だった。

しかし株式持ち合いは経営者の保身、企業買収の緊張感をかけ安穏とした経営を招くとして株主から批判が多く出た。
特に海外投資家からは経営者の緊張感を損なうことになると批判が集中した。
そんな海外投資家に促されて、持ち合いの中心にいた財閥系銀行は20年以上も前から株式持ち合いを削減してきた。

一方、「政策保有株」はビジネス上の関係を作るために進められた。
もちろん、株熱狂高のバブル期だったので他社株式を保有することで儲けることもできたが、本来的には大株主になることで保険契約を取ったりとビジネス目的もあった。
記憶ではバブル期に最大の日本生命は数十社以上で上位の大株主に名を連ねていた。

政策保有株も費用対効果を考えて多くの保険会社で縮小されてきたはずだ。
しかし最近、金融担当大臣が「政策保有株を削減するように保険会社に求めた」と伝わると保険会社の株式が上昇した。

でもよく考えてみよう。

保険会社の政策保有株はあくまで民間のビジネス上の保有だ。
それに対して日銀のETF保有は、あくまで量的緩和の一環として日銀が購入したものだ。
民間会社は当然ながら利益の極大化のために動いているわけだが、政府がそれを「削減しろ」と言う。
その一方で日銀の株式大量保有に何も言わない。
でも日銀保有ETFは日銀の「政策保有株」に他ならない。

日銀が「脱デフレ宣言」をすれば、ETFを保有する理屈はどこにもない。
特に問題なのが保有の偏った日経平均ETFで、日銀は東京エレクやアドバンテストの半導体株の20~30%大株主に相当し、ファストリなどの値嵩株でも10%以上の大株主になる。
自由主義世界で、中央銀行が主要企業の大株主になるのは極めて異例だ。
日本は中国並みの「共産主義」と言われてもしかたがない。

どうしていくかは今後の日銀の議論だが、10年かけて作られたETFポジションであり、同じぐらいの期間をかけて、市場へのインパクトを軽減しながら解消していくことだろう。




相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

日銀保有株を考える(1)中国「国家隊」と比べる

co_asa_cn[1]








中国は全人代の最中だが、今年のGDP成長率を5%に設定、さらに低迷する株式市場に「国家隊」なる介入を行っている。

以下のニュースが流れていた。

「中央匯金(CIC傘下)は「A株市場の価値を十分に認識している」と表明。CICは1兆4000億ドル(約208兆円)規模のSWF。主要な指標に連動する一部ETFへの資金流入総額は1月に記録的水準に増加。いわゆる「国家隊」が株価急落を食い止めるために市場に介入した2015年7月の総額の5倍を超える規模となった。匯金など3機関だけで約3兆2460億元(約68兆円)相当の中国株・上場投資信託(ETF)を保有。」

中国のCIC(チャイナ・インベストメント・コーポレーション)や外国為替管理局(SAFE)は以前顧客だったこともあり、何回か訪問したりミーティングしたりした経験がある。
外貨準備を運用するSAFEが3兆ドルの外貨準備を管理しているが、その一部は自分で運用するが、一部をCICに移管して海外証券投資をしている。

外貨準備の運用としてCICは基本的に海外株の集中投資をしてきたが、今回の中国本土株の下落で宗旨替えをして、本土株の買い支えをしている。
ゴールドマンザックスは「国家隊」で68兆円のETFを保有していると推計しているが、日本銀行のETF保有額(簿価)の2倍だ。

日銀のETF買いと「国家隊」の買い、日銀も中国と同じか・・・と海外投資家の批判の対象になってくるかもしれない。
それでは
中国国家隊と日銀の株式市場介入はどう違うのだろうか?

買い支えのためには、外貨準備を売却し人民元を買い戻し本土株を買うという事になる。
だから、すでに減少トレンドにある中国外貨準備がさらに減少していくかもしれない。
一方、日銀は円紙幣を印刷して30兆円以上の日本株ETFを買った。
その購入分は市場にカネをバラまくので量的緩和の効果がある。

中国国家隊は60兆円以上の本土株を買い支えたが、外貨準備を減らしただけで金融緩和にはなっていない、新規のカネを供給しているわけではなく単なる市場の買い支えにすぎない。
これでは市場の自由を損ない、安く買いたい投資家を排除してしまう。

日銀にとっても金融緩和のお題目があった時は「日銀の株買い」もなんとか正当化できたかもしれないが、もし「脱デフレ宣言」をするなら、このETFを保有する理由はない。
政策の後始末をきちんとできないなら、日銀も中国と変わらない。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村   

矛盾だらけの日銀政策、岸田政策

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













先週は日銀決定会合が行われ「金融政策の据え置き」が発表された。
その後の植田総裁の記者会見でも「賃金の動向に不確実性がある」「マイナス金利解除、YCCの解除がいつになるかも不確実だ」・・・と「不確実性」と繰り返し、結局、物価が3%伸びている経済状態で「マイナス金利」を継続した。

一方、岸田首相は物価高に対応するため追加経済政策を出す予定だという。
予算規模はかなり大きくなるかもしれないし、電力やガソリンといったエネルギー価格への補助、収入の低い家計へ補助金など、物価高で困っている家計を支援することが議論されるという。

なんじゃ、これは???

日銀は過剰な金融緩和を継続し、結果的に過剰な円安を誘導している。
その円安によって輸入物価が上昇し、国内インフレの一つの原因になっているのは間違いない。
一方、財務省は「行き過ぎた円安」は経済にマイナスになるとして、為替市場をけん制している。
さらに岸田政権は物価高を理由に「バラマキ」財政政策を行おうとしている。
財政赤字がGDPの2倍もある日本では「バラマキ」は円安要因になる。

政策として、物価を上げる(日銀)VS 物価に「バラマキ」で対応する(政府)、
さらに円安を一段と進める(日銀)VS 円安をけん制する(財務省)が対立している。
円安の大きな要因の一つ(最大要因は米FRBだが・・・)が「日銀の過剰な緩和」なのは間違いない。
日銀の過剰緩和による円安と物価上昇を抑えるために、国民の税金を使って物価対策をするってどこか矛盾を感じないのだろうか?

この矛盾した政策で誰が利益を得るのか、物価支援で国民の投票を買う岸田首相なのか? 円安で一部の企業に為替利益の「バラマキ」をする日銀なのか?
いずれにしろ矛盾した政策の結果、日本は迷走状態に入る、何をしたいのか「政策の方向性」が見えないからだ。

個人的には・・・FRBのあと1回の利上げ+利上げ打ち止めのタイミングで、日銀はマイナス金利を解除し、財務省が強烈な為替介入をする。
これで過剰な円安は修正局面に入り、購買力平価120円/ドル前後に向えば良い。
少なくとも国富の流出・縮小を止め、国民の貧乏化が避けられる。
為替が安定すれば異常な物価高を止めることができ、ここを政策の起点として成長政策を実行していけばいい。
岸田氏のチョロチョロとした対症療法的「場当たり政策」よりはずっとマシだろう。



 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村    

植田日銀の隠された意図

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













さすがに元日銀審議委員で「市場とは何か?」をよく理解されているという印象の記者会見だった。
YCC修正の一番のカギは「将来の不確実性に合わせて予め日銀の対応幅を広げておく」ことだ。
重要なのは「事が起こってからではなく、事が起こる前にその対応をしていく」というリスク管理だろう。

従来のYCCバンド、10年金利の範囲±0.5%を維持した上で10年金利1%までを容認する。
インフレ率が上昇して10年金利が0.5%を越えても容認し、10年金利が1%に達して初めて国債買いオペをする。
そんな状況では1%10年金利のさらなる引き上げが議論されるだろうし、従来のYCC枠は当然のことのように「廃止された」と同義語になる。
実勢金利が1%で推移しているなら、±0.5%のYCC枠は全く意味をなさないからだ。
その時点でYCCは自動的に撤廃される。

植田さんはこの「YCCの自動撤廃」を見ているだろう。
もし、現時点で「YCC撤廃」を宣言すれば、市場はビックリして暴落し、市場のボラティリティが急拡大してしまう。
だから、今は「YCCは継続」と言う。
さらに「柔軟な運用で1%までの金利上昇を容認する」と言う。
市場は「しかたがない」と反応する、でも事実は「YCC撤廃」と同じ意味を持つ。

つまり、植田さんは市場にサプライズを起こさずに「YCCの自動撤廃条項」を組み込んだ。
見事な手腕だ。
実勢金利1%の状況では「賃金と物価の好循環」が達成されているだろうし、その時点で「金利の正常化」を宣言しても誰からも文句は来ない、市場も冷静に織り込んでいくはずだ。

これで日銀の懸案は十分に処理された。
あとは保有する国債の償還に合わせてバランスシートを縮小させる、さらに保有するETFは株式市場の上昇に合わせて徐々に売却することだ。
外貨準備で保有する米国債もついでに部分売却し、円安修正を進める。
これで植田日銀の出口政策は「完璧」だ。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村    

欧州市場の変調をどう読む?

N112_41rondonbiggben_TP_V








世界的にインフレが根強く、欧州では立て続けに利上げが決定された。
ECBは今年のGDP成長率を1%から0.9%に下方修正し、インフレ(HICP)予想を5.3%から5.4%に上方修正。
労働者の権利が強い欧州ではインフレ率とともに労働コストも同時に上昇する。
ユニットレーバーコストは+5.1%から+5.3%に引き上げられている。

さらに厳しいのは英イングランド銀行だ。
インフレ率が8.7%(5月)と欧州や米国に比べても高く、一気に50bpの利上げを行った。
政策金利5%だが、さらに引き上げられターミナル金利で6%台を市場は織り込んだという。

株価を見ると・・・
年初来と過去1か月のパフォーマンスを比較した。

      年初来      過去1か月
TOPIX   +19.72%  +5.22%
独DAX  +13.69   -0.08
SP500 +13.25   +5.66
仏CAC  +10.65   -1.24
印sensex       + 3.52   +1.95
上海総合  + 3.52   -0.21
英FT100  + 0.14   -2.17
香港ハンセン- 4.51   -1.18

年初来パフォーマンスでは英国がズッコケているが、ドイツ+13%、フランス+10%とソコソコ健闘している。
ただ問題なのは、直近1か月のパフォーマンスが大きな変調を見せている事だろう。
TOPIXやSP500という広範囲な指数で見ても、日米が5%上昇しているのに対し、DAX-0.08%、CAC-1.24%、FT100-2.17%と下落を記録している。
インフレと景気後退というスタグフレーション型の株価変調が気になるところだ。

さらに欧州はウクライナ支援が経済の重荷になってきてる可能性もある。
今年1月までに欧州各国はすでに550億ドルの支援を実施した。
国別では英国89億ドル、ドイツ66億ドル、ポーランド38億ドル、フランス18億ドル、オランダ15億ドル、ノルウェー13億ドル、イタリア11億ドルなど・・・

最初は手持ちの武器や戦車などを供与(在庫の減少)しているだけだが、自国の戦力・兵器の積み増しを行わざるをえなくなる。
目標のGDP2%の軍事費を長期に渡って続けるとしたら、毎年GDPの2%の軍事在庫を増やしているようものだ。
軍需産業を潤すものの、2%の軍事費が使われない在庫となるだけで欧州経済には大きな負担をなってくるかもしれない。

欧州はユーロコミュニズムと呼ばれた労働者の権利が強い国、さらにウクライナ戦争での軍事支援、対ロシアの軍事費増強・・・長期的に難しい局面に入りつつあると考えた方がいい。




  相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村  

植田日銀、YCCをどうする?

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













大方の予想通り6月の日銀決定会合は現状維持で通過した。
春闘は3%程度の賃金上昇で、大手企業で物価を加味して実質賃金が横ばいになったかもしれないが、中小企業を含めて日本全体では実質賃金の下落トレンドから抜けていない。
植田日銀の言うように金融正常化はちょっと早すぎるのかもしれない。
しかし、YCCさえ撤廃できないほどの脆弱でデフレ的な日本経済だったら、どこかで海外投資家は売りに回る。

振り返って見れば、昨年12月黒田日銀がYCC枠を25bp拡大させただけで日本株は一時急落した。
その記憶が残っている現在、YCC枠撤廃はマイナス材料と認識され、市場関係者には動かない植田日銀は歓迎されているかもしれない。

でも日本がデフレ脱却する過程ではYCC撤廃は避けて通れない。
タイミングの問題があっても植田日銀はYCCの撤廃、金融正常化を実行するだろう。
経済学者の植田氏は単に金融市場だけを見ているわけではなく、政府政策、実態経済、インフレ状況などを総合して見ているはずだ。
現在の実質金利(名目金利-物価上昇率)が大幅なマイナスで、これが株価や不動産価格を押し上げていく局面を永遠には放置できない。
プラス経済成長が見通せ、賃金とインフレの好循環に入れば、植田日銀は金利正常化に踏み込む。

日本がデフレ脱却し、日本版ゴルディーロックスに向かうならば「株は買い」だ。
インフレと株価について4回にわたってブログを書いたが、デフレ脱却は日本株が長期トレンドを形成する前提条件になる。
若干のインフレ、若干の金利、低成長ながら安定した経済という条件が見えてくれは、日本株は安定したゴルディーロックス相場に入るだろうと思われる。

いつかは分からないが、植田日銀が「デフレ脱却宣言」を行い、自信を持って金利正常化、YCCの撤廃、プラス金利の実施をすれば、株式市場はゴルディーロックスに入っていくだろう。
評論家の言うように、もし、YCC撤廃で日本株が売られるとしたら、そこは「買い」だろう。



   相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村 

藤巻氏の「国債・円暴落論」の勘違い

69C96BCC-6022-4D57-B134-4234BB58705B

















あれ? いつ宗旨替えをしたの?
「日銀の異次元緩和でハイパーインフレになる」としてきた藤巻氏、今度は「日銀の出口は国債と円の暴落になる」と言い出した。

彼の論理は、①YCCを撤廃すると国債が暴落する、②国債が暴落すると日銀が債務超過になる、③日銀が債務超過になると日銀の信認がなくなり円が暴落する、というものだ。

でもいくつかの論理の「勘違い」や「我田引水」がある。

①YCCを撤廃すると国債価格は下落する可能性はあるが、長期金利は日本経済の状況で決まる。
国債暴落か単なる下落かは、経済ファンダメンタル条件によって決まる。
これを見極める責任は日銀にあり、それこそ植田新総裁の判断の問題だ。

②国債暴落で日銀は債務超過になる、これは「勘違い」だろう。
中央銀行は一般銀行と違う。
一般銀行なら保有資産を時価評価して損失で資本を食いつぶせば「債務超過」になる。
でも中央銀行は国債を満期まで保有し元本で償還されるので時価評価の意味がない。
国債価格が下がり評価損が出ても中央銀行の信認が否定されるわけではない。

③国債暴落、円暴落論は「財政」と「金融」をゴチャゴチャにした「我田引水」だ。
財政は政府や財務省の管轄で、金利や金融政策は日銀の専管事項だ。
藤巻氏はギリシャ危機を例に挙げて国債暴落すると国家の信認が喪失し通貨も暴落するという。
でも、ギリシャ危機の本質は財政の破たんであり「財政」の問題だ。
日本では政府債務残高が1400兆円、個人金融資産が2000兆円、海外に依存しなくても自前で財政を支えることができる。
国債価格が下がっても財政の破たんにはつながるとは限らない。

米インフレが収束に向かい米長期金利が2%に低下し為替のドル高が終了した段階で、金融正常化を行えば大きな混乱は起こらないかもしれない。
このファンダメンタルを読む冷静な判断が植田次期総裁に求められている。

それより問題なのは岸田政権だろう。
アベノミクス以降、政府は財政赤字を300兆円増やしバラマキし、日銀が500兆円の国債を購入して財政を支え、このバラマキの結果、300兆円の金融資産が国民の手元に滞留した。
日銀がYCC撤廃し国債を買わなくなると、岸田政権の今後のバラマキ政策(子供、防衛など)を誰が支えるのかいう問題だ。
結局、国債発行が行き詰まると「増税」しかなくなる。
「岸田の大増税時代」・・・国民にはこれが厄介な問題だろう。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村     

植田次期総裁が語った重要な事

IMG_0287


















植田次期総裁が国会の参考人聴取を受けた。
おそらく大方の想定通りの発言が並んだ。
・現在の物価は輸入物価で押し上げられているので、来年には2%を下回る水準に低下していく。
・2%の物価目標を安定的に達するまで金融緩和を続ける
・金融緩和によって景気を支え、企業が賃金上げをできる環境を作る。

そして長い間、金融政策に関わってきた自身、「積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたい」

この植田氏の国会参考人発言は基本的に黒田総裁の政策を踏襲するものだが・・・
植田氏が需要な事を語ったと感じた。

それは「金融緩和が賃金の上昇につながる」という発言だ。
金融緩和期に賃金が上がったか? と問われればどんな経済学者「ノー」と答えざるを得ない。

2000年前後のデフレ状況に陥った日本が世界に先駆けて「ゼロ金利」と「量的緩和」という政策を実行し、2013年には黒田総裁の下で「異次元緩和」を実行し、国債だけでなく株式もリートも買いまくった。
これだけの緩和を実行してきたが、一時的物価高はあったものの継続性がなく物価はゼロ近辺を長期間続けた。
賃金上昇は金利の問題ではなく、労働市場の問題だからだ。

日本は労働市場が硬直化しているので、物価が上がったからといってすぐに賃金上昇にはつながらない。
労働者の移動(転職)が何の障害もなく起こる国ならば、物価上昇に対して賃金が上がらなければ多くの人が転職により高い賃金の仕事(会社)に移る。
転職サイトのインディードが大流行してリクルート株が上昇したのはアメリカの労働市場が柔軟だからだ。

でも、日本のサラリーマンは会社に従属している傾向があるので、物価が上がっても賃金の高い会社に簡単には移動できない。
この慣習を変えなければ、金融緩和しても賃金上昇にはつなからない。
岸田政権と植田日銀はこの労働慣習を変える方向に動くのだろうが、インフレ、賃金、景気の関係を整理して今後の金融政策や雇用政策を説明してほしいと思う。

一部の評論家が賃金上昇で株価は上昇すると言っているが、実はインフレ時代は株価低迷してきた。
逆にインフレが終息したディスインフレの時代に株価は6倍に上昇した。
インフレと株価の関係は別途考えてみたいテーマだ。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村     

植田日銀、変動住宅ローンもご用心

image

















次期日銀総裁は雨宮さんが結局辞退し、予想できなかった植田和男東大名誉教授に決まったようだ。
生粋の日銀マンではない学者が日銀総裁に就任すると、現場感覚重視の黒田体制とは大きく変わっていくのかもしれない。
評価は時期尚早だが、日銀総裁に必要なスキルとして植田氏は「理論重視、説明の分かりやすさ」とコメントした。

その本心は「データドリブン」・・・今後の経済データを正確に読み、金融政策を実行するということだろう。
米FRBのように毎月の物価統計や勤労統計などの経済データで金融政策が決まるようになってくるのかもしれない。

最も重要なデータは「雇用と賃金」であり、一部企業が春闘に前向きな回答が出てきているものの、春闘後の賃金の伸びが現れる勤労統計が注目される。
ここでインフレ率に見合う賃金上昇が確認されれば、植田日銀は金利正常化プロセスにゆっくりと進んでいくだろう。

住宅ローンではすでに固定型が長期金利上昇の影響を受け、徐々に切り上がっている。
でも多くの既存契約者は関係ない、新規契約のローン金利が上がっているだけだ。
変動型は今のところ変化がないので、新規に住宅ローンを借りる人は変動型を希望するだろう。

銀行融資全体では515兆円(うち都銀236兆円、地銀276兆円)の残高がある。
そのうち住宅ローンは合計で200兆円、そのうち固定金利ローンは約70兆円、変動金利約130兆円と変動金利ローンが圧倒的に大きい。
長期に渡る低金利で、固定型ローン(フラット35は1.5%)に対して、変動型ローンだと0.45%で借りられる状況が続き、新規の住宅ローンでは7割以上の人が変動型を選択した。
この傾向がさらに進むだろう。

でも政策金利の引き上げがスタートすると変動型ローンの金利も上がる。
変動型住宅ローンでは政策金利が上昇すると既存も含め全契約の金利が引き上げられる。
20年とか30年の長期変動型ローンの契約者ほど厳しい利払いが待っている。

ある試算では約130兆円の変動型ローンの金利が1%上昇すると、年間の元利支払い15.6兆円から16.3兆円に7000億円増加するとしていた。
日銀の目標どおり2%の物価上昇を前提として短期金利を2%に引き上げれば、元利支払いは17兆円を越えてくる。
現在の元利支払いがおよそ10%増加し、月20万円元利支払いをしている人は2万円程度増えてしまう。

変動ローンを借りている人はは早めに対応策を考えておくべき。
2年後には金利が上昇するため、早めに繰り上げ返済し残高を減らしておくと安心できる。
また、金利の安いうちに固定型に変更しておくのも一法だ。
「備えあれば憂いなし」という局面かもしれない。



筆者の既刊の説明をしたいと思います。

実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

株式需給の達人(実戦的バリュエーション編)
株式投資を理論的に行うにはPER,PBRなどのバリュエーションを理解し、割安/割高も考え方を解説します。
割安とは成長性がないだけの場合もあり、割高とは市場が高い成長性を期待している場合もあります。
PERは低ければいいのではなく、低いPER4でも今後成長できる株は買いなのです。
そのための基本理論を実践的に筆者の経験に基づいて解説しました。
株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。

相場テクニックとして「酒田五法」格言を多く解説した実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦で使うことを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


個人投資家が正確なパフォーマンスっ計測、その弱点をどう分析するかを解説した本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村 

株式需給の達人(基礎編)

「周回遅れ」金利正常化のリスク

5F18F629-1F8B-4B2E-B82C-D5E0DE36721A

















令和臨調が「政府と日銀の新たな共同声明」という提言を行った。
基本認識は納得できるもので、「過去10年の異次元緩和の検証」「持続的な成長に向けて財政・金融政策の一体改革」を提言した。

政府のバラマキ政策で国債が大量発行され、それを日銀が大量購入して支え、バラマキの資金は国民の預貯金にブタ積みされ経済はうまく回らない。
こんな政策が持続的であるはずはない。
長期的に考えれば、財政支出の効率化で国債発行を減少させ、国民全体の資金を循環させることで経済を回していくことが重要なのは明らかだからだ。

金融政策の正常化は大切だが、問題は日本が世界の主要国から見ると「周回遅れ」なことだ。
物価についても米国CPIがピークアウトし、欧州CPIもピークの通過が期待されている反面、日本では賃金の上昇が小さく、金利の引き上げも遅れている。
この「周回遅れ」が株式市場や為替市場に影響してしまう。

日銀が「周回遅れ」になった理由は労働市場の柔軟性が足りないからだ。
欧米ではコロナからの回復過程であらゆる需要が急拡大し、労働市場が締まり賃金が上昇し、賃金と物価のスパイラル状態になった。
しかし日本では労働市場が硬直的で物価上昇に対して賃金が上がらず、輸入物価によるコストアップ型インフレが起こったに過ぎなかった。

春闘が始まったが、今後起こる賃上げの程度で金融政策が決まる。
賃上げ率がインフレ率と同等になれば、「周回遅れ」の金融引き締めが起こる。
でも「周回遅れ」の引き締めは危険な香りがする。

金融正常化のプロセスを日米で比較してみると・・・

FRB: ①テーパリング、②QEの終了、③利上げ開始、④QTの開始、⑤利上げとQTの終了
日銀: ①YCC幅の拡大、②YCCの撤廃、③ゼロ金利の解除(利上げ)、④QTの開始、⑤終了

この日米のプロセスを比べると、FRBが④段階まで進んでいるのに対し、日銀はまだ①の段階にとどまっている。
欧米中銀は金利をピークに近い水準まですでに引き上げ、実態経済への影響を確認している段階だ。
それに対して「周回遅れ」の日本は「世界景気の減速+金利のピークアウト」局面で金利引き締めをするという矛盾が生じているからだ。

黒田さんの交代、ヘッジファンドの国債空売り圧力、無理やりの賃金引上げ、など多少無理筋の話で金融政策を決めるべきではない。
そんな事をしたら金融市場も株式市場も混乱するだけだ。
国内の需要動向、労働市場の動向を見ながら、時間をかけて判断するべきだ。

長期的には金利正常化のプロセスで短期金利はゼロからプラスへ上昇していく。
YCCの幅拡大では長期金利に連動する固定型住宅ローン金利が上がっただけなので、既存のローン契約者には影響しない。
新規住宅ローンを組む人は金利の上がった固定型を避け変動型に集中していく。
問題は利上げが視野に入り、短期プライムレートが上昇すれば変動型の金利が上昇することだ。
変動型金利の上昇は既契約の借り手にも全員に影響する。
これが日本の転換点になる。


興味のある方は以下のURLからアクセスしてください。
株式需給の達人格言編




実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD



株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村    

黒田さん「日銀の国債保有、何の問題もない」ってホント?

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













10年国債のYCC上限0.5%を巡る攻防は、とりあえずの所は日銀の勝利だった。
ヘッジファンドは空売りを少しだけ戻し、10年利回りは現在0.4%台で推移している。
それでも日銀の大量国債保有が市場を歪めているという見方も多い。

黒田さんは会見で「何の問題もない」と言い切った。
本当に日銀の大量保有に「何の問題もない」のだろうか?

12月末で日銀は556兆円の国債を保有し、バランスシート全体の703兆円となっている。
1月は20兆円程度国債保有が増加していると思われ、570兆円程度拡大しているだろう。

日銀から見ると・・・
10年債を中心とする保有は基本的に10年経てば100の額面で償還されるので、2033年まで待てば保有国債はすべて償還される。
さらに元本も保証されているので日銀には何の損失も生じない。
共通担保資金供給オペがうまくいけば市中銀行が日銀資金で国債を買うことになり、「何の問題もない」ことにしたいのだろう。

でも、政府・財務省から見ると・・・
もし日銀がYCCをやめ量的引き締め(QT)に入ったら、国債を買ってくれる人を自分で見つけなけらばならなくなる。
今年の新規発行国債は35兆円、それに既発行の借換債が157兆円、合計200兆円近い。
日銀が買わなくなったら別の巨大な買い手を見つけてくる必要がある。
GPIFや共済年金、また郵貯に買わせる気だろうが、財務省にとっては非常に厳しい。

また、市場から見ると・・・
日銀が国債発行残の半分以上保有しているだけに、YCCの撤廃をネタに空売りを仕掛けるのは無理だ。
逆に日銀の金利正常化が進む観測の中、ロングで保有するのもリスクが高い。
というわけで市場では日本国債はトレード対象外になる可能性が高い。
という意味では国債市場の流動性の問題は続いてしまうだろう。

日銀には何の問題もなくても、国債市場は機能不全が続き、政府・財務省にとっても日銀なしでは国債発行が進まない懸念が強い。
この異常な市場からの正常化は困難なプロセスで、次期日銀総裁は市場と対話しながら、時間をかけてゆっくりと進める以外に方法はないと思う。



 興味のある方は以下のURLからアクセスしてください。
株式需給の達人格言編





実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD



株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村   

為替介入の効果をどう見る?

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













日銀の為替介入が実施されたらしい。
多くの識者は「為替介入の効果は一脾摘」「介入でトレンドを変えることはできない」「ドル売り介入には限界がある」などとコメントしている。
大方はその通りで毎日毎日介入できるわけではないし、市場参加者の期待を変えられない限りトレンドを変えられない。

でもドル売り介入が有効だった事例もある。

例えば、プラザ合意後のドル売り介入。
1986年に起こったNYのプラザホテルで合意した1ドル=120円体制、230円台からドル売り/円買い介入を行い、超円高を作り出した。
最大の目的は日本の輸出競争力を低下させ貿易不均衡を解消することだった。
為替介入で市場の期待は完全に変化し、協調介入の効果は絶大だった。

1998年のドル売り介入。
ドル高でアジア新興国が外貨流出に見舞われたアジア危機からロシアや韓国の外貨危機に連鎖した時代でドル高一極体制が進んだ。
このドル高行き過ぎ局面で1ドル=150円で日米の協調介入が実行され、トレンドは大きく反転した。

この二回のドル売り/円買い介入を見ると、①市場の期待が変化する局面、②為替相場が行き過ぎた局面、③協調介入、がその効果の条件だった。
この条件に合わせて、今回の介入の効果を考えてみたい。

市場の期待が変化するか?

昨日重要だったことは、今までタカ派一辺倒だったFRB政策が変わるかもしれないことだ。
米10年債利回りが4.2%まで上昇し、5%のFFレート(政策金利)を織り込みに行った場面でハシゴを外すかのように一部のFRB高官の「利上げのペースダウン発言」が伝わったからだ。
ハシゴを外された市場参加者には「戸惑い」が広がったことも為替介入の効果を高めた理由だろう。
この「戸惑い」が市場の期待を本格的に変化させるかは今後の問題だが、タカ派一辺倒を織り込んでいた市場にはインパクトをもたらすだろう。

為替レートは行き過ぎていたか?

購買力平価(PPP)は二か国の物価水準から為替のフェアバリューを示すものだが、現在消費者物価ベースのPPPは108.71円(2022/8)であり、150円だと37%のドル割高になっている。
この面からは行き過ぎには見える。

協調介入の可能性?

今のところバイデン大統領もFRBも円安は(金融政策を変えない)日銀のせいだとしている。
でも、FRB高官の「利上げペースダウン発言」が日銀の為替介入とタイミングを合わせた口裏合わせだったとしたら、何かしらの協調行動だったともいえる。
FRBのターミナル金利が見えてくれば変わるかもしれない。
米グローバル企業の業績がドル高で悪化し始めており、業績悪化で米財務省のドル高一辺倒の態度も変化する可能性はある。

為替市場は際どい局面にあるのは間違いない。
何が起ってもおかしくない局面だといえるのではないだろうか?
思考を柔軟にすべきなのだろう。




興味のある方は以下のURLからアクセスしてください。
実戦的バリュエーション
https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD



株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村    

日銀の「謎のQT(量的引き締め)」を追う(2)

300x300x5cd7de3ef075f8b86098f1e2













新型コロナ禍で急増した日銀の緊急融資が経済正常化の始まりとともに縮小してきている。
融資の縮小とともに、銀行が日銀に預ける準備預金も縮小してくる。
5月末から9月末までに日銀のB/Sは52兆円の縮小となったが、同期間の当座預金が55兆円縮小し、そのうちの準備預金は49兆円の減少となった。
これが直接のB/Sの縮小要因だ。

しかし緊急融資の減少という要因であるにしても、実際、おカネには色がない。
準備預金の縮小でも国債保有額の縮小でもその効果は全く変わらない。
日銀のB/Sが縮小している分だけ、市中のマネー量が減少していることわけだ。

日銀が管理できる市中に出回る資金量であるマネタリーベースを見てみよう。
5月末のマネタリーベースは673兆円だったが、9月末には618兆円と、この期間で55兆円も減少した。
これは市中の資金量が減少しているということで、日銀の量的引き締めと同じ効果を持つ。

日銀は謎のQT(量的引き締め)をすでにスタートさせている。
来年4月までの黒田総裁の任期中は金融緩和を続ける方針だが、コロナ緊急融資の減少による準備預金の減少が続くかもしれない。
その後は国債償還分を再投資しないという選択もあり、その分、国債保有残高は減少することになる。
国債償還で償還金が中銀の口座に入るが、もし再投資しなければその分市中の資金量は減少する。
日銀のB/Sでは680兆円の総資産のうち530兆円は国債なので、日銀次第であるにしてもまだまだ減らそうと思えば減らせる。
こうしたマネタリーベースの減少は株式市場にも引き締め効果が出てくるので注意が必要だ。

またもう一つ注目すべきことはFRBのB/Sよりも日銀のB/Sの方が減少が速いことだ。
今年あと2回のFOMCで金利差はもう少し拡大するので為替をドル高に動かす可能性もあるが、量的引き締めで円需給がタイトになることは円高要因でもある。

来年の黒田総裁の任期末に向けて、日本国内の景気や需給にも注目が怠れない。



興味のある方は以下のURLからアクセスしてください。

実戦的バリュエーション 
https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD



株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村        
最新コメント
読者登録
LINE読者登録QRコード
楽天市場
プロフィール

kabusanjin

株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
カテゴリー
RSS
  • ライブドアブログ