株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

リートの研究

Jリート、CRE(法人の不動産戦略)に注目

不動産市場の取引実績
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企業のアセットライト戦略が進んでいる。
最近注目したのが、旧日立物流(ロジスティード)が保有する数千億円の不動産の流動化案件。
KKRが2000億円強の不動産を買取り、ロジスティードはその売却代金を使ってアルプス物流などを買収した事例だ。
そのアルプス物流は8物件315億円の不動産を切り離し物流施設の運営は継続するというアセットライト戦略を取った。

最近の企業決算を見ていると、不動産をバランスシートから切り離し、総資産を軽くして利益率を上げるCRE「カーブアウト戦略」を実行する企業が増えている気がする。
不動産価格の上昇により保有不動産を高値で売却すると同時に、不動産の売却益を他の事業に回したり、売却不動産をリースバックして事業を継続する。
企業はこれによって資産効率を高めることができる。
歴史の長い日本企業は「不動産神話」の中で生きてきたので不動産の保有が多い企業が多い。
カーブアウトやアセットライト戦略は企業の利益率を高める重要な財務戦略となり、こうしたCRE活動は一段と活発化するだろう。


上のグラフは不動産の取引実績だが、2024年上期から急速に取引額が増えている。
23年までは半期で2兆円強レベルだったが、24年以降3〜4兆円へとレベルアップしている。
半導体工場への投資が急増している九州、リゾート開発が加速化しているニセコや白馬で地価上昇が顕著になっているが、基本的に投資と地価上昇は明確な関係がある。

この不動産価格の上昇は、企業にとってアセットライト戦略を進めるチャンスになる。
下の表は2001年から2025年までの不動産取引主体別の売買動向。
いくつかの特徴が見られる。

①J REITが不動産の買い手として大きくなってきていること。
 リートは一旦購入すると賃貸料を得るために長期保有する傾向が強く、不動産の長期投資家として買い取りを増やしているのだろう。

②ここ数年では不動産の私募リートが買い手として成長してきていること。
 上場しているJリートは市場での価格変動が大きいが、私募リートは非上場で価格変動が小さい。
そのため、過剰なボラティリティを嫌う年金基金などが私募リートに投資している。

③海外投資ファンド(下のグラフではSPC・AM)もここ数年買いを積極化してきていること。
 もちろん円安で日本不動産が一段と割安になっていることも大きな要因だが、日本のビジネスチャンス、企業の売り物も出てきていることも影響しているだろう。

④問題はその他に含まれている法人の売りが激増していること。
 この売り手が「その他」としてよくわからないが、CRE(法人不動産)の関わる「カーブアウト戦略」や「アセットライト戦略」が含まれているのだろう。

不動産市場全体には長期金利の2.7%への上昇、都市部のタワマンをはじめとした高値警戒感、こうした点で市場全体に不透明感も漂っている。
こうした局面ではマンションを保有するレジデンシャルリートよりも企業向けの不動産を中心にビジネスするCRE型のリートの方がいい。
CREは法人の不動産戦略で、不動産価格に関係なく進む企業戦略だからだ。
最近のデータセンターなどの施設も、CREビジネスに大きなチャンスになっているかもしれない。

不動産市況と関係ないビジネス機会として、Jリート各社、特にCREに力を入れているKKR、KKRをスポンサーに持つ産業ファンドや日本都市ファンドにもビジネスチャンスが広がっているように思われる。

不動産取引、主体別ネット売買
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どうする日銀?(2)Jリート市場も利上げ織り込み済

Jリート分配金利回り、10年債利回りの比較
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Jリート市場が弱く、平均分配金利回りが4.89%まで上昇してきている。
債券市場で10年債利回りが2.5%を越えてきたが、Jリート市場でも日銀の利上げを織り込んでいる。
昨年前半の利回り5%水準(上のチャートの5%点線)に接近し、今年初めの4.47%から40bp上昇している。

Jリートの分配金利回りは今年に入ってから徐々に切り上がってきたが、これは基本的に長期金利(10年利回り)の上昇が連動している。

   Jリート利回り 変化  10年利回り 変化
5月14日 4.89% + 9bp  2.63% +12bp
4月30日 4.80  ー 7   2.51  +17
3月31日 4.87  +30   2.34  +23
2月27日 4.51  ー 6   2.11  ー13
1月30日 4.57  +10   2.24  +12
1月05日 4.47        2.12 
変化はベーシスポイント、百分の一単位

Jリート市場は毎月、10年利回り変化にほぼ連動してJリート分配利回りが動いている。
Jリート価格は債券市場とともに不動産市場の変化も織り込むわけだが、この年初からのJリート価格は10年債利回り変化を素直に連動している感じがする。
年初からのトータルでも10年債利回りも51bpの上昇、これに対してJリート利回りは42bpの上昇と若干10年最利回りの上昇が大きいがほぼ連動してきた。
こうした強い連動性は、イラン戦争から原油高・物価と金利に焦点が当たり、Jリート市場の大きな決定要素となったからだろう。
短期的には債券利回りの上昇はリート価格の低下につながり、債券利回りの低下はリート価格の上昇要因になる。


「どうする日銀?(1)」で分析したように、債券市場は10年債利回りで2.6%を越え、日銀の政策金利0.75%との金利差は2%の限界点に近づいている。
すでに10年利回りは2回以上の利上げを織り込み、Jリート市場も日銀の利上げに対応していると言っていい。
ならば、実際に日銀が利上げを決める時には長期債も織り込み済みとして反転するだろうし、Jリート価格も反発に入るだろうと思う。
Jリート市場は利上げを織り込んだ底値水準に来ている。

6月に向けて日銀の利上げ確率が上がっていくかどうか、日銀と財務省が同じ方向を見て政策的な円高誘導ができるかどうか、長期債の売られすぎ傾向が明確になるかどうか、こうした状況を確認しながらJリート市場を観察していきたいと考えている。



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Jリート投資の魅力(10)割安感の根拠

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Jリート指数は2000ポイントで頭打ちのような形となっているが、Jリートは分配金が高く、配当込み指数の方がパフォーマンスが圧倒的に高い。
現在でも配当込みでは市場開設以来の高値圏にある。

2003年から2026年2月までの長期期間で配当なし指数は2倍になった程度だが、配当込み指数は5倍に上昇している。
長期でJリートを保有し、配当再投資を行うことで非常に高い長期リターンが得られる。
これがJリート投資の大きな魅力だ。


しかしながら、今年に入ってからJリート市場にネガティブな意見も散見されるようになった。
おそらくその一番は、3月の1ヶ月間でJリート指数が7.5%下落したことだろう。
誰でも下落すればネガティブになる。
もう一つ言えるとしたら、トランプがイラン戦争を始めたことで世界全体の投資家でリスクオフ行動を強めたことだろう。

TOPIXも3月に11.1%下落、日経平均も13.2%も下落した。
世界的なリスクオフで多くのアセット価格が大きく下落した、その一環で日本株もJリートも売りに押されたというのが原因だろう。
Jリートは国内不動産で運用されているので、原油価格もイラン戦争も基本的には関係ない。
原油高による金利上昇は多少ともマイナス要因にはなるが・・・
それでも7.5%下落したのは、世界的なリスクオフの影響としか言えない。

下の表は2月末のJリート市場マーケット指標だが、3か月リターンでは、配当なし指数で−1.21%と若干のマイナスだが、配当込み指数では+0.43%と若干にプラスで終わった。
平均分配金利回り4.52%、平均NAV倍率0.94倍、3月の下落で平均分配金利回りは4.7%台へ一段と割安感が出ている。

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下の表はいつも使っているJリート指数の主要項目の長期的な推移だ。

一つ問題があったとしたら分配金水準が昨年末から1.4%程度下がったことだ。
分配金水準の低下は、1月に行われたいくつかのリートで公募増資で発行株数が増えたのが要因。
昨年は公募増資がほとんどなく、さらに自社株買いが実施されてきたので発行株数は増えなかったが、ここにきて1月日本ビルファンド、2月ジャパンホテルリート、日本リート法人、3月ONEリート、ジャパンリアル、グローバルワンなどが追加発行を行なった。

こうした公募増資による希薄化で分配金水準が1.4%低下した。
しかしこれは一時的な需給悪化で、これだけJリート市場が下落すれば公募増資ができなくなる。
したがって、4月現在では分配金利回り4.76%、NAV倍率0.89倍という割安状態、しかも今後の公募増資がやりにくくなる。
現在のJリート市場は分配金が良いし、公募による需給悪化も改善してくるとすれば、現水準は魅力的な状態と言える。

REIT指数利回り分配金増加率NAV倍率NAV騰落率
2021/1220663.63%74.8円+1.0%1.141812+2.6%
2022/121894 4.0676.9+2.80.971952+7.7
2023/1218064.3678.8+2.50.892030+4.0
2024/1216525.1585.1+7.90.802066+1.7
2025/1220134.5691.7+7.70.952118+2.5
2026/0219994.5290.4−1.4%0.942127+0.4





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Jリート投資の魅力(9)月末売りの正体


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毎月8営業日に東証からJリートの投資家別売買が公表される。
上の表は東証発表の2月分投資家別売買(単位は千円)

先月の売買では自己の対当する売買が全体の24%となっている。
流動性の薄いJリート市場では機関投資家の大口売買を市場で直接執行するよりも、証券会社の自己勘定で一旦引き受けて、自己の売りとして市場に発注されるケースが多い。
大体、毎月Jリート市場の20〜25%は証券自己が占めている。


それでは2月の数字から「月末売りの正体」を推測してみよう。

まず前提となるデータだが・・・
買い越し主体: 投信+692億円、海外+149億円、事法+65億円
売り越し主体: 自己ー756億円、金法ー34億円、個人ー87億円

月末日の引値での大口売りは756億円売った「証券自己」しかいない。
月間買い越しの主体が引値で大口売りすることはないからだ。
金融法人の内訳ではその他金融が−50億円、銀行+19億円であり、地銀や第二地銀・ノンバンクなどが含まれる「その他金融機関」が売りの中心だった。

これから推測できるのは、地銀などの地域金融機関がJリートを売却し、その多くの部分を証券自己とのクロス取引で売却し、一部を市場で売却したと言うことだろう。
そして、証券自己が自分の利益を最大化させるために月末の引値で大量売却を行なった。
これが読み筋だ。

それではその前の1月はどうだったのだろう?

買い越し主体: 個人+71億円、投信+39億円、事法+52億円、生保銀行+16億円
売り越し主体: 自己ー108億円、海外ー118億円、その他法人−39億円

海外の売りを自己で受けた可能性もあるが、地銀などの「その他法人」の売りを受けた可能性も方が高いと思う。
海外の売りはJリートを組み入れているグローバルファンドが中心で、月末値をわざわざ引き下げる必要性は全くない。
なので、やはり地銀などが売却に出ている可能性の方が高いだろう。

地銀などの地方金融は、貸し手不足で余った資金を利回りの高いリートなどで運用し収益を上げてきた。
ここ最近では貸出金利の上昇とともに貸出に力を入れる反面、余資運用を縮小させている。
これが今年度末に向けてJリートの売りが活発化した理由のでなのだろう。

3月末は年度末にあたり、今年度決算に反映させるためには月末で売るのは遅すぎる。
おそらく、月半ば〜20日までには売る必要があるだろう。
と言う意味では3月末の大口売りは、今週がやま場になるのかもしれない。



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Jリート投資の魅力(8)月末の大口売り、その3

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そもそも月末の引値で大口売りを出す理由は何だろう?

投信や年金などのファンドマネージャーは、自分のポートフォリオのパフォーマンスを良くするため、月末値を持ち上げたいと考える。
これはドレッシング(お化粧買い)と言われるもので、引値操作を疑われる違法行為だ。
パフォーマンスを悪化させる「月末引値大口売り」をしたいとは思わないはずだ。

もちろん、ヘッジファンドなどでロング/ショートのショートを運用するファンドマネージャーは、ショート側の銘柄を売って引値を引き下げるというのはありだ。
でも普通のロングオンリー(年金や投信など)のファンドマネージャーでは考えにくい。


考えられるのは・・・①どうしても引値で売りたい場合、②証券自己との売買の場合、がありえる。

①は大口解約が来た時の投信が代表例だ。
投信は基準価額での顧客との取引が原則なので、大口解約が来ると「引値で大口売り」を出す。
そして夕方引値を元にして基準価額が計算され、投資家は保有投信を基準価額で売却し、その後、代金を受け取ることができる。
こうした仕組みなので、引値を引き下げたいわけではなく、仕方なく引値で大量売却をする。

②は地銀や海外のJリートの機関投資家が、大量の売りを証券自己と売買する場合だ。
機関投資家はバスケット売買(多くの銘柄を一括で売り買いできる)を証券自己に発注すると、証券自己は自分の相場観で空売りし引値を大きく引き下げ、その安い価格でバスケットの売りを受けて買い埋めをする。
引値を下げれば下げるほど、証券自己の売却価格と、顧客との売買価格の差が開き、この差が大きな儲けになるため、引値を目一杯押し下げる。
これは引値の大きな問題だ。


東証が始めた「引値のオークション」が大きな間違いだ。

引値は、投信の基準価額だけでなく、年金や一任運用のパフォーマンスを計算する基準になる。
とても重要な価格なので、今まで東証は証券自己の売買を規制してきたし、大きく価格が飛ばないように規制してきた。

「引値オークション」は証券自己でも投資家の注文でも参加できる。
売買量の大きい大型銘柄では大口注文も十分にこなせ、引値が大きく飛ぶこともない。
しかし、板の薄い小型株やリート銘柄では引値が大きくブレる可能性がある。
この意味ではファンドマネージャーにとっては、従来禁止されてきた「引値操作」を自由にできるようになった。
また、従来引値への関与が禁止されてきた証券自己にとっても、自由に売買できる=好き勝手に儲けられる価格で売買を成立できることになった。

これは一般投資家には大きな迷惑でしかない。



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Jリート投資の魅力(7)月末の大口売り、その2

東証リート指数(〜2/28)
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東証リート指数を見ていると、月末に大きく下落することが多いのに気付く。
2月末も出来高5億5300万口と大きく(通常は3億口程度)、指数値も30ポイントも下がった。
1月末も出来高5億4900万口で24.9ポイントの指数下落を記録した。

毎月の月末の大口売りは何を意味しているのだろうか?

前回は日銀の売りを検討してみた。
日銀は、バランスシートの正常化として保有するETFとJリートの売却を決めた。
そのうりが市場で執行されているが、保有するJリートの売却を毎月5億円程度執行していく計画で、1月は1億円強、2月は5億円弱売却したが、月末の売りはわずかで市場に影響するような数字にはならなかった。

そこで今回はJリート投信の売却を検討してみたい。

まずは、三井住友トラストの運用する「Jリート・リサーチ・オープン』
    基準価額  前日比  純資産    前日比
1/30 4561円 −1.2%  2984億円 −1.25%
2/27 4588円 −1.4%  2988億円 −1.35%

純資産額は基準価額が減少すれば比例して減少する。
もし、解約があれば純資産は基準価額以上に減少するので、基準価額と純資産の減少率を比べれば解約がどの程度あったかを推測できる。

このリサーチ・オープンは1月末は若干の解約があったようだが、減少率の差は小さく大きな解約が出ているとは思えない。

大和アセットの「Jリートオープン」
    基準価額       純資産
1/30 1693円 −1.3% 1623億円 −1.3%
2/27 1712円 −1.5% 1619億円 −1.7%

大和アセットのJリート投信は、1月末の下落率は基準価額と純資産ともに1.3%だったので、特に資金流出した証拠は見られなかったが、2月末は基準価額が1.5%下落したのに対し、純資産は1.7%低下した、つまり、解約が多少とも出ていた。

ニッセイが運用する「Jリートファンド」
    基準価額        純資産
1/30  2707円 −1.2%  677億円 −1.3%
2/27  2719円 −1.5%  685億円 −1.1%

やっぱり月末の基準価額も純資産も減少しているが、大きな解約があったとは思えない。


この三つのJリート投信の数字変化から見て、3ヶ月の基準価額と純資産の動きからは大きな資金流出は確認できない。
月末の大口売り手は投信ではなかったかもしれない。

そもそも月末引値で大口売りを出す意味は何なのだろう?
次回は、投資主体が月末地で大口売りをする理由を月間投資家別売買状況を使って考えてみたい。



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Jリート投資の魅力(6)月末の大口売り

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東証リート指数のチャートを見ていて最近気がついたが、月末日に大きな売り手がいる。
この傾向が顕著に見られるようになったのは、昨年の11月からだ。
月末日の指数の動きと出来高を調べてみた。

        引値     前日比   下落率   出来高(千口)
25年11月末 2023.80 ー21.28 ー1.0% 363,093
25年12月末 2013.50 ー 8.27 ー0.4% 287,283
26年 1月末 1978.31 ー24.90 ー1.2% 549,744   
26年 2月末 1999.33 ー30.11 ー1.4% 553,093

月末の下落する傾向は昨年の11月末から見られているが、昨年11月と12月はそんなに意図的な感じる下落ではなかった。
出来高を見ても月末に急増するわけではなく、それほど多いという印象もなかった。

しかし、今年1月末は出来高も突出して多く(上のグラフでは中央の緑線の急増)、また、2月末もグラフ上では長大陰線を引くとともに、出来高も突出して拡大した。
不思議なのは、こうした大口売りで急落するのが「たった1日だけ」なことだ。
通常ならば、数日に分けて大口売りを実行するため、陰線が連続するチャートになるはずだが、月末日の大口売りは1日だけの現象で、次の日からは普通のトレードに戻っている。


一体、誰が大口売りを実行したのだろうか?

考えれる点は①日銀、②投信、③海外機関の三つだろうが、それぞれ検討してみたい。

①日銀の売りは開示されている。
売りを開始したのは1月だが、その後週次で数字が取れる。

1月31日 6547億円 −1.08億円
2月10日 6546億円 −1.35億円
2月20日 6544億円 −2.52億円
2月28日 6543億円 ー0.9億円

1月末に東証リート指数は−1.2%の下落を演じたが、その時日銀は1億円強しか売却していない。
2月末の日銀の売却はわずか9000万円で、市場に影響する金額ではなかった。
合計では5億8000万円を売却したが、これも市場を動かすほどではなかった。
東証リート指数の月末売りは日銀が原因とは言えない。


次は②の投信の売りを検討してみたい。
・・・続く。





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Jリート投資の魅力(5)1月のホテル稼働率(速報)

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中国人の観光客数が6割減という記録的な減少している今年の春節。
一番知りたいのが2月のホテル稼働率だが、その数字の公表はまだまだ1ヶ月先になる。
でも1月のホテル稼働率がボチボチと発表されている。
これはまだ春節前の数字だが、それでもすでに渡航自粛が始まっていて1月の数字も重要だ。

公表された関連数字を並べると、訪日客数は359万人で前年比−4.9%、百貨店免税売上−19%(百貨店全体は+2.3%)など。
習近平の怒りで中国人訪日客数が6割減、その影響がすでに織り込まれている。


直近で公表されたホテル稼働率は、いちごホテルリート、スターアジア、Jホテルリートなどで以下の数字となっている。

①いちごホテルリート(3463)
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保有26ホテルの合計で、稼働率は前年83.3%から今年80.9%に2.3ポイントの低下だった。
売上は−5.7%、Rev Par(ADR✖️稼働率)は−7.1%だった。
これらのホテルはADR(平均客室単価)が9000円台で、比較的安い部屋が中心のホテルだ。

中国人観光客は団体でシティホテルのような客室単価の低いホテルを利用する傾向があり、これらのホテルの売上減少、RevParの低下は中国人の影響といえる。

②スターアジア(3468)
スクリーンショット 2026-02-25 15.42.15

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スターアジアのホテル開示では、稼働率は前年比+7.1%の84.4%、RevParも+9.8%の9630円だった。
いちごホテルのような落ち込みは見られなかった。
稼働率が低下したのは、大阪なんば−11.3%、札幌大通り−2.7%などの一部地域にとどまる。
全体としては中国人の訪日自粛の影響は少ないようだ。

③ジャパンホテルリート(8985)
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Jホテルリートの26ホテルでは、稼働率+1.9%、RevPar+0.1%だった。
リート側は「中国人の渡航自粛により、RevParが前年比横ばいにとどまったが、レストラン部門が堅調で全体の売上は+4%だった」とコメントした。
平均の客室単価が1万7000円というやや高めのホテルカテゴリーでは中国人による影響はほとんどなかったというところだろう。


3つのリートの開示資料から言えるのは、価格の低いホテルでは中国人の団体客の影響で一部のホテルの稼働率が低下したが、それ以外のホテル、価格のやや高めのホテルはほとんど影響を受けなかった。
おそらく2月の稼働率でも同様の傾向が見られるだろう。

中国人、恐るるなかれ!!!




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Jリート投資の魅力(4)日銀の売りは引値のストレス

ETF









日銀は昨年9月に保有するETFの売却プランを公表した。
株式ETFは簿価で37兆円、時価では高市ラリーも含めると90兆円に近いかもしれないが、毎年簿価3300億円づつ処分する。
JリートETFは簿価で6554億円、時価では8000億円を超えるとは思うが、毎年50億円づつ処分する計画が公表された。


Jリート市場は時価総額で16兆円程度の小さい市場で、日銀のJリート処分が意外と影響する。
実際に売却が開始されたが、Jリートの引値にストレスを掛けているようだ。

まずはJリートETFのトップ3ファンドの純資産を比べてみよう。

                                        純資産額   利回り  過去1年リターン
NEXT FUNDS Jリート 5651億円 4.05% +21.6%
i SHARES CORE    4054億円 4.10% +21.6%  
MAXIS Jリート     2388億円 4.15% +16.1%
       合計 1兆2093億円

上記の3つのETFが純資産の上位3銘柄だが、その純資産は合計で1兆2093億円。
日銀のJリートの保有が簿価で6554億円、時価では8000億円あるとすると、JリートETFの純資産の3分の2ぐらいの規模感になる。
長期的にJリートETFの3分の2が売られると考えたら、結構な量だと思う。


次に日銀ETFの売却インパクトを考えてみよう。

スクリーンショット 2026-02-13 19.20.42










毎年50億円(簿価)の処分はおよそ60億円(時価)で、毎月5億円程度の売りだ。
月間で5億円程度では市場の需給に大きな影響はない。
しかし、日銀の保有リートの中には保有割合が10%近い個別銘柄もあり、マーケットインパクトは銘柄によって異なる。
ここが問題で、引値に集中して発注された場合、意外な値動きをする可能性も否定できない。

基本的な売却の流れは、まず日銀のETF売却を証券会社の自己勘定で受ける。
そして売りを受けた証券会社の自己勘定で一旦保有した後、引値オークションで発注する可能性が高い。
引値オークションは大量に一度に売却できるからだ。
しかしリスクはある、出来高の少ない銘柄ではザラ場の値動き範囲を越えて引ける場合もありえる。
「ザラ場にない安値引け」、とんでもない価格で引ける可能性も頭に入れておきたい。


個別銘柄の市場インパクトが大きい銘柄は、日銀が9%保有する福岡リート、ジャパンエクセレント、日本アコモデーション、ユナイテッドアーバン、東急リアル、日ロジスティックス、野村不動産マスターなどだが・・・

ちなみに日銀のJリート売却はすでに始まっている。
1月31日までに1億0762万円、2月10日までに1億3582万円、合計で2億4344億円売却した。
最近のJリート市場では、引値オークションで安く引ける日もあり、予想以上に日銀の売りがストレスになっているのかもしれない。




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Jリート投資の魅力(3)都心大型ビルの資産価値

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都心のマンション価格が急騰し、新築マンションの平均価格は優に1億3000万円を突破した。
直感的にはマンション価格の高騰は住宅系リートの含み益を激増させていると思う。
住宅地やマンションだけではなく、商業地も上昇している。
都心の公示地価(1月1日時点)も、都区部の商業地で23年+3.6%、24年+7.0%、25年+11.8%と伸びている。
都心の不動産価格は住宅地も商業地も両方とも上昇している。


Jリートが保有するビルも資産価格が上昇しているのだろうか?

Jリートが保有するビルの価値は、それぞれの有価証券報告書に詳細が開示されている。
都心の超大型ビルは①新宿三井ビルディング1700億円(取得価格)、②飯田橋グランブルーム1389億円、③六本木ヒルズ森タワー1154億円で、この三棟がJリートが保有する取得価格トップ3の大型ビルだ。

個別の有価証券報告書から、これらのビルの鑑定評価額、帳簿(貸借対照表上)の価額を新型コロナ後の22年〜24年の期間で調べてみた。

     新宿三井      飯田橋       ヒルズ 
    鑑定    帳簿   鑑定   帳簿   鑑定   帳簿
22年 1800 1750 1250 1132 1543 1153億円
24年 1830 1754 1540 1361 1592 1153億円

新宿三井も六本木ヒルズも鑑定価格はそれほど上昇しているわけではない。
鑑定価格の上昇率が、新宿三井+1.6%、六本木ヒルズ+3.1%。
飯田橋は途中で追加取得が発生しているため、広さを調整して計算するとおよそ+3%になる。

つまりJリートが保有している都心の超大型ビルの鑑定価格は新型コロナ禍後、2〜3%しか上昇していないというわけだ。
都心の公示価格が毎年7%程度で上昇しているのに、大型ビルはそれほど上昇していないのはなぜ?


一つの仮説は、超大型ビルに対するプレミアムが低下しているという仮説。
都心大型ビルはすでに賃料が高くテナントが敬遠され、より賃料がリーズナブルな中型ビルが人気になっている。
仮説としては言えるかもしれないが、都心の大型ビルの集客力は依然として高いと思う。
新宿の六本木も多くの人たちでゴッタ返している。

もう一つは、周辺の中小型ビルの割安感が出て地価上昇の恩恵を受けるのは中小型ビルという仮説。
地価上昇で中小型ビルが見直されているという仮説だが、地価の鑑定価格への影響では中小型ビルの方が大きいのかもしれない。

このことは、大型ビルを保有するリートよりも中小型ビル中心のリートの方が不動産価格の影響を大きく受ける可能性が示唆している。
また、検証していないが、マンション価格がこれだけ上昇すれば住宅リートの保有する賃貸マンションも価格が上がっているはずだ。
Jリートの銘柄選びの一つのヒントかもしれない。

日銀がJリートの売却を始めた。
次回はこの影響を考えてみたい。



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Jリート投資の魅力(2)配当再投資のメリット

Jリート配当込み指数、                      Jリート原指数
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ちょっと見にくいが、上のチャートはJリートの原指数と配当込み指数を比べたものだ。
配当込み指数は左チャートの青い線、原指数は右チャートの青い線だ。

2012年末、配当込み指数は1268ポイント、原子数は850ポイントで底打ちした。
その後13年経った2025年末、配当込み指数が5378ポイントに上昇、一方原指数は2013ポイントに留まっている。
つまり、この期間で配当込み指数は4.24倍に上昇、一方の原指数は2.36倍にしか上昇していない。

原指数と配当込み指数パフォーマンスの違いは累積配当によるものだ。
配当込み指数は、毎年の配当を再投資した前提で計算されている。
毎年の配当分が上乗せされて配当込み指数の上昇率が高い、というだけでなく、毎年の配当再投資による複利効果でより上昇が際立っている。

これが、Jリートの長期投資で得られる大きなメリットだ。
低リスクのJリート投資においても、配当再投資をすることで高い安定したリターンを得られることが証明されている。
もちろん、これはJリートだけの話ではなく、TOPIXでも同じように配当再投資効果がある。
しかし配当利回りが1%台のTOPIXと4%台のJリートでは配当効果は大きく異なる。
その分、Jリート投資での配当再投資効果が大きいわけだ。


でも個人投資家も国内機関投資家もあまりJリート投資に積極的ではない。

2024年と2025年のJリート需給を比べてみると・・・
        2024年   2025年  2年合計
金融機関   ー1476億円 ー1413億円 ー2889億円
事業法人   +1009億円 + 767億円 +1776億円
投資信託   ー1254億円 ー 475億円 ー1729億円
海外投資家  ー1166億円 + 344億円 ー 822億円
個人投資家  + 704億円 ー 331億円 + 373億円

24〜25年の合計で買い越しした投資主体は、事業法人と個人投資家だけだ。
Jリートでも自社株買いが増えてきているため、事業法人は長期的な買い主体になっている。
個人投資家は若干の買い越しだが、Jリートの新規上場があったのでその分が売り越しとしてカウントされるので、これを考えればもう少し大きな買い主体といえるだろう。
投資信託は毎月分配型の投信がNISA対象から外れたため、ずっと売り越しが続いてきたが、これも一巡感が出てきている。
海外投資家はグローバル指数の組み入れがすでに一巡し、買い越しが限定的になっている。

この需給状況は大きなプレーヤーの不在を示すが、逆に言えば大きな売りも出てきにくい需給状況とも言える。
いずれにしてもJリート投資は「長期+配当再投資」が大きなメリットを生むと考える。



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Jリート投資の魅力(1)分配金と資産価値

東証Jリート指数
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今年に入ってJリート指数が調整含みになってきた。
上のチャートはJリート指数だが、2000ポイントを越え、やや買いにくい水準まで上がってきたことも影響したのかもしれない。
これは「安値覚え」という心理で、特段理由がないけど「なんとなく買いにくい」という心理状態だ。

また、日本の10年債券利回りが2.2%台まで上昇してきたので、評論家の一部には長期金利の上昇がJリートの上昇を抑え込むと言う人もいる。
確かに長期金利は借入の多いJリートの業績に影響を与える、しかし、まだまだ水準が違いすぎる。
Jリートを10年保有するタイプの投資家は少なく、おそらく平均的な投資期間は2〜3年というわけで2年債利回りと比べた方がいいと思う。

「利回りの比較でJリート投資が有利」ことがまず重要だ。

現在の2年債利回りは1.30%、Jリートの利回り4.50%であり、Jリート投資は今ならば3.2%の超過リターンが期待できる。
投資家がどのぐらいの超過リターンを求めているはそれぞれだろうが、およそ債券利回り+2%は最低線だと思う。
投資予定期間と同年限の国債利回りに2%の超過リターンがあれば、事業債リターンよりもずっと高い。
年3%以上の超過リターンが見込めるならば、インカム投資家にとっては十分に魅力的だろう。

Jリートの分配金成長、NAV成長の分析表
REIT指数利回り分配金増加率NAV倍率NAV増加率
2021/1220663.63%74.8円+1.0%1.141812+2.6%
2022/121894 4.0676.9+2.80.971952+7.7
2023/1218064.3678.8+2.50.892030+4.0
2024/1216525.1585.1+7.90.802066+1.7
2025/1220134.5691.7+7.70.952118+2.5

「Jリート投資で重要なのは、分配金が成長するか、NAVが成長するか」見極めることだ。

上の表はJリート指数の過去5年間の年末値、利回り、分配金増加率、資産価値(NAV倍率)、NAV成長率を一覧で見たものだ。

第一の注目点は、分配金利回りだけでなく、分配金の成長率を確認することだ。
分配金利回りは国債利回りに対する超過リターンだが、より重要なのは「分配金が増えているのか、減っているのか」という点だ。
分配金の成長力が高ければ、将来の分配金の増加、分配金利回りの上昇が期待できる。

また、Jリートの資産価値は、NAV(ネットアセットバリュー)と呼ばれる、保有不動産の時価評価(鑑定士による評価価格)だ。
このNAVが増加しているJリートは資産のクオリティが高く、保有する価値が高いといえる。

Jリート市場全体で分析したのが上の表だ。
現在のJリートの分配金は+7%ペースで増加している。
空室率も賃貸料も上昇しているので収益環境が良く、さらに物件売却による譲渡益が乗っているので一段と高い分配金の伸び率になっている、しかもしばらくこの環境が続きそうだ。
分配金の伸びが+7%もあって利回りが4.5%ってかなり割安な感じがする。
Jリート指数が2000ポイントを越えた高値圏でも割安な感じを出すところが凄い。

NAV(資産価値)も+2%と堅調、不動産価格の上昇を反映している。
これによって投資物件を入れ替えて含み益を実現化しいるのに、全体の含み益が減っていない。
NAVを見てここが凄いところだ。

次回は配当込み指数を考えてみたい。




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Jリート指数、2000ポイント接近、どうなる?(3)

Jリート指数と分配金利回り
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Jリート指数の2000ポイントは一定の達成感はあるかもしれない。
リート投資家のパフォーマンスはかなり良く、もちろんグロース株には劣るものの、バリュー株の多くを上回っているだろう。
と言う意味では一応満足すべき水準だから達成感が出るのも理解できる。

しかし、いくつかの点で今後も上昇トレンドを続ける可能性があるだろう。

第一に日銀の利上げは想定されるものの、高市政権は利上げを抑える方向だ。

さらに前回指摘したが、Jリートのトレンドは、むしろ、米国金利に大きく影響されている。
FRBは一段の利下げが実施されるとしたら、Jリートにも好影響を与えるだろう。

第二にNAV成長はまだまだ続く。

下の表でNAVは今年9月で2110ポイントであり、2000ポイントでもNAVを下回っている。
不動産価格の上昇とともにNAV自体が増加しているので、2100ポイントまでは割高とはいえない。
来年、再来年もNAV成長を考えれば上昇トレンドは続くと見ても違和感はない。

REIT指数利回り分配金騰落率NAV倍率NAV騰落率
2021/1220663.63%74.8円+1.0%1.141812+2.6%
2022/121894 4.0676.9+2.80.971952+7.7
2023/1218064.3678.8+2.50.892030+4.0
2024/1216525.1585.1+7.90.802066+1.7
2025/919214.6789.7+5.40.912110+2.1


第三に実力分配金の増加に注目。

分配金は今年も5%ペースで増えている。
今期の分配金は基本となる賃貸料収入と不動産売却による譲渡益で出来ている。

直近で決算を行った日本都市ファンド(8953)の事例を見てみよう。
運用会社は譲渡益で毎期300円の還元を行うが、3年先まで原資を確保済みとしている。
さらに複数オファーを得ている売却予定物件も500億円に上るという。

しかし、投資家の目線では、賃料アップによる内部成長、売却資金とLTV余力による新規物件取得が重要、これが分配金の基礎になるからだ。

分配金を賃貸料の実力部分と譲渡益の追加部分に分けてみると・・・
       25/2   25/8  26/2   26/8   中期
実力分配金 2334円 2459円 2428円 2493円 2700円
譲渡益    474円  361円  524円  357円  300円
分配金   2808円 2820円 2952円 2850円 3000円

実力分配金は、来年2月前年比+4.0%、来年8月+1.4%と安定して増加。
実力ベースの分配金利回りでも4.2%と4%を超える利回りを得られる。
さらに譲渡益は安定するものではないが、運用会社は300円を安定的に還元するとしている。
毎期300円の譲渡益を長期で期待できるとしたら安定分配金利回りは4.7%とJリート平均を上回る。

というわけで、Jリートの銘柄選択の基準は・・・
①実力分配金で十分高いリターンを得られること、②さらに譲渡益で安定分配金を確保できること、③さらに内部成長で実力分配金を成長させられること、この3点。
今後は、全体の割安感よりも個別の銘柄選択を重視すべきと考えている。



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Jリート指数、2000ポイント接近、どうなる?(2)米長期金利が決め手

Jリート指数と日長期金利
スクリーンショット 2025-10-28 13.33.15











日本の長期金利(赤いライン)は2021年から上昇局面に入っている(上のグラフ参照)。
その中、2021年〜2023年までは長期金利が徐々に上昇した局面でJリートの価格はダラダラと下げ続けてきた。
この下落局面は日長期金利の上昇のせいと言えなくもない。

2025年に入ってからは日銀の金利正常化方針への変更で長期金利が上昇し、1%水準を大きく超えてきたにもかかわらずリート価格は上昇に入った、これってどう考えたらいいのだろう?

長期金利が上がったとはいえJリートの利回り4.6%と、3%近い超過利回りがある。
グローバル投資家は日本の長期金利の上昇をそれほど悪材料視していないかもしれない。

それよりも米長期金利の影響が大きいのかも?

下のチャートはJリート指数と米長期金利の動きを示している。
スクリーンショット 2025-10-28 10.47.54












2025年1月からの米金利低下傾向(赤いライン)の中で、Jリート価格が反発場面に入ったことは重要だろう。
Jリートは日本の長期金利よりも米金利を中心としたグローバルな金利環境に影響されるのかもしれないからだ。
米長期金利はグローバル投資家の指標でもあり、米金利の動向によってグローバル投資家がJリートのトレンドを判断している可能性がある。

Jリート指数、2000ポイント達成後、どうなる?

今まで見てきたように、日本長期金利よりも米長期金利がJリートの動きを決めるとしたら、米長期金利をよく見ていく方が投資家には有効だとなる。
その米長期金利はFRBの金融緩和もあり、4%まで低下してきている。
ここからも一段と利下げがあり低下するとしたら、Jリートはしばらく上昇しても不思議はない。

次回はJリートのファンダメンタルから2000ポイント後の動きを考えてみたい。

・・・次回に続く。




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Jリート指数、2000ポイント接近、どうなる?(1)

Jリート指数と米国金利
スクリーンショット 2025-10-28 10.47.54











Jリートのパフォーマンスが好調、1983ポイントまで上昇、リート指数2000ポイントに接近してきた。
この水準で達成感が出るのだろうか?
日本の長期金利の上昇が悪材料と評論家は言うが、なんか、違う気がする。
国内金利場面にあっても継続した買いが入っている、これはどういう理屈なのだろう?
大きく二つの要因が考えられる。

①Jリートの強力な分配金成長、NAV成長が最大の要因

下の表はJリートの分配金の成長率とNAVの成長率を計算したものだ。
REIT指数利回り分配金成長率NAV倍率NAV成長率
2021/1220663.63%74.8+1.0%1.141812+2.6%
2022/121894 4.0676.9+2.80.971952+7.7
2023/1218064.3678.8+2.50.892030+4.0
2024/1216525.1585.1+7.90.802066+1.7
2025/919214.6789.7+5.40.912110+2.1

指数ベースの分配金利回りとNAV倍率から分配金とNAVを逆算し前年からの成長率を計算した。
分配金の成長率は、昨年+7.9%と伸び、今年9月までも+5.4%と好調な伸びだ。
これはオフィス需給の引き締まりで賃料が上昇したことに加え、資産売却で実現益を出し、積極的にポートフォリオを入れ替えてきた結果でもある。

さらにNAV(時価ベースの資産評価)も昨年+1.7%、今年+2.1%と順調に伸びている。
特筆すべきは、資産売却で実現益を出しているにもかかわらず、NAVが増加していることだ。
地価上昇でオフィスビルの価値が増加し、マンション需給もタイトで中古マンションの価格上昇も影響しているだろう。
オフィス系リート、住宅系リートは価格上昇に影響を受けNAVが増えているし、商業系リートはテナントの業績好調で物件価値が上がっている。


②米国金利の低下でJリートにプラスなのも大きな要因。

日本の長期金利が上昇している局面でもJリートは上昇を続けている。
これをどう考えたらいいのだろう?

・・・次回考えてみたい。



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Jリート、「真の実力」を計算する(2)産業ファンドⅡ

Jリートと長期金利202508

















Jリートは地価や不動産価格の上昇局面で物件入れ替えを加速化、譲渡益を拡大させ、株主還元を増やしてきた。
これは含み益の実現化でもあり含み益が枯渇すれば続けていけなくなる、個別のリートで保有不動産がどれだけの含み益を新たに生み出す能力も重要だ。
リートは「不動産の缶詰」であり、不動産価値の増加は経営的にも株主リターンでも重要だ。

というわけで、今回は②「真の実力」として保有物件の真の価値を考えてみたい。
前回と同じように最近決算を発表した産業ファンド投資法人の資料から見てみた。


25年は2物件の売却を行なっている。
①東大阪ロジスティックスセンター
売却価格は52.5億円だが、帳簿価格は24.1億円、鑑定価格45.6億円だった。
売却価格は帳簿価格の2.17倍、鑑定価格を15%上回った。
ちなみに売却益は26億円、今後3期に分けて株主還元するという。

②蒲田R&Dセンター
売却価格は100億円で、帳簿価格は72.76億円、鑑定価格は80.2億円。
この物件でも売却価格は帳簿価格を37%上回り、鑑定価格でも24%上回った。
売却益23億円は一括して株主還元する予定になっている。


最大の注目点は「保有不動産の真の価値」

不動産鑑定士の評価が鑑定価格だが、実際の売却価格と比べて20%前後低い。
真の価値は売却して初めて分かるものかもしれないが、不動産市場が上昇期にある時は売却価格が鑑定価格を越えて高騰するということだろう。

産業用不動産・物流やR&Dなどで顧客企業と長期契約を結んでいるだけ賃貸料収入は安定しているが、契約の更新時にどのような契約、パススルー契約なのかマスター契約なのか、あるいは用途を変更することで利益率の高いビジネスを呼び込めるか、などを運用会社は指摘している。

運用会社は契約更新は大きなチャンスになっているというわけだ。
更新前から戦略を作り顧客と交渉し、その中で売却の判断をする物件も増えてくるのだろう。

もし保有不動産の真の価値が、鑑定価格よりも20%上回るのならば、Jリートの「真の実力」は決算上のNAV(ネット・アセット・バリュー)よりも上だと言える。
産業ファンドのNAVは14万3847円だが、実際の売却価格は15万円を越えると想像できる。

これをどう株価が織り込むのかは市場の需給だろう。




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Jリート、「真の実力」を計算する(1)産業ファンド

Jリートと長期金利202508

















Jリートの決算数字は読みづらくなってきている。
地価が上昇し物件価格が上昇してくると、当然割高になる物件は出てくるし、NOI(ネット・オペレーティング・インカム)を増加させるための物件入れ替えが重要になってくる。
というわけで、Jリートは物件譲渡で含み益を実現化すると同時に、スポンサーの新規開発物件を組み入れる。


こうした譲渡益でJリートの決算数字が持ち上げれていて「真の実力」が見えにくくなっている。
そこでJリートの「真の実力」を簡単に計算してみたい。
決算発表をしたばかりの産業ファンド投資法人を事例に考えてみたい。

まずは決算数字だが・・・
       営業利益  経常利益   純利益
25年7月期 106億円  92.6億円  92.9億円 + 5.5%
26年1月期 120億円 104.9億円 104.9億円 +12.9%

Jリートは導菅性要件(二重課税を防ぐ措置)ために課税されないので、経常利益=純利益になる。
この純利益は分配金の原資だが、ここには賃貸料などの内部利益と譲渡益の外部利益が含まれている。

「真の実力」の第一の要素は、譲渡益を除いた分配金利回り

       分配金   譲渡益を除いた分配金
25年7月期 3477円 3051→3078円(上方修正)
26年1月期 4310円 3086円
26年7月期 3600円 3281円

一口あたりの分配金から譲渡益を除くと、リート本来の利益や分配金が見えてくる。
この分配金の利回りを計算すると、25/7期2.4%(半期)、26/1期2.4%、26/7期2.5%と安定した利回りが出てくる。
譲渡益によって分配金が持ち上げられると、利回りは高くなるが安定性がなくなる。

これを年間換算すると、26/1期は4.8%、26/7期は4.9%、だいたい4.8%〜5%程度で安定した利回りになる。
現在のJリートの平均利回りが4.6%程度なので、譲渡益を除いた分配金でも十分に高い価値を持っていると言える。

さらに運用会社の資料では、27〜28年という中期で譲渡益を除いた分配金を3400円、さらに譲渡益の還元として年200〜400円の上乗せを目標としている。
となると中期目標分配金は半期で3600円〜3800円、年間では7200円〜7600円。
現在株価(9/17)から利回りを計算すると5.58%〜5.89%となる。
分配金の増加余地が大きく、現在の株価は配当重視の投資家には魅力的なリートといえる。



「真の実力」の第二の要素は、保有物件の真の価値
・・・次回に続く




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米国リートは買い?

米国リート長期金利日足202509
















東京市場とNY市場には基本的な違いがある。
米国株は長期の成長期待と金融条件で理論的に決まる。
一方、日本株は海外市場に影響される度合いが大きく、必ずしも主体的に価格が決められているわけではない。

リート市場も同じで、米国リートは金利状況、不動産市場の動向、利益と分配金の状況などで理論的に整合的に決まる。
Jリートは地銀など金融機関の決算対策に影響され、必ずしもファンダメンタルに整合的に決まらない。
という意味で米国リートの方が個人投資家にはわかりやすいのかもしれない。

まずは、長期金利とリート価格

上のグラフは米国リートと長期金利の動きだが、明らかに反対に動いている。
2021〜22年は新型コロナ禍だったが、低金利の中リート価格は急上昇した。
2022〜23年はコロナからの経済回復で金利が上昇、一方、リート価格は低迷した。
2024〜25年初は利上げが一巡しリート価格は上昇をたどった。

しかし、25年はFRBの利下げもなく、トランプ関税の影響も懸念され、リート価格は横ばい。
ところが、夏場以降の経済指標の鈍化で利下げ期待が生じ、リート価格は反発の地合いになっている。

次に長期金利と分配金利回り

Jリートは分配金利回りが長期金利を3%も上回っているが、米国リートの利回りは長期金利と大きな違いはない(下のグラフを参照)。
2023〜24年にかけて急速な引き締めで長期金利も急上昇し、リートの分配金利回りに接近した。
その後は同水準で推移している。
分配金の水準というより、長期金利の低下がリート相場の鍵を握っていると言える。

9月FOMC前にして長期金利が低下し、10年で4%水準となり、リート価格も若干ながら上向きになっている。
今後も長期金利の水準が低下すれば、リート相場もジリジリと上がってくると見られる。

米国リート分配金利回り202509



















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Jリート市場、相場位置の再確認(2)今後の投資のポイント

Jリートと長期金利202508

















REIT指数利回り分配金伸び率NAV倍率NAV伸び率
Dec-201783.94.15%74.0-4.2%1.011766.2-1.2%
Dec-212066.333.62%74.81.0%1.141812.62.6%
Dec-221894.064.06%76.92.8%0.971952.67.7%
Dec-231806.964.36%78.82.5%0.892030.34.0%
Dec-241652.945.15%85.17.9%0.82066.21.7%
Jul-251859.194.78%88.84.3%0.892088.91.1%
分配金とNAVは指数から逆算し推計、前年末からの伸び率

Jリート市場は順調に上昇してきたが、Jリート指数が1900ポイントを越えてきてだんだん割安感が減ってきている。

この1900ポイント~2000ポイントでどう考えて投資すればいいのだろうか?
もちろん、安値でガバっと買った投資家は「バイ&ホールド」を続ければいいだけで、余計な事は考えない方が良い。
でも、今後投資したい人はいくつかの条件を考えるべきだと思う。


第一に外部環境とJリートの関係。

長期金利とJリート価格には反比例の関係がある。
長期金利が上昇するとJリート価格は下落する、また、長期金利が低下する(上げ止まる)とJリート価格は上昇する、という関係だ。

現在、日銀植田氏がグズグズとしているので長期金利は1.3~1.6%で往来相場に入っている。
長期金利が止まっていることがJリート市場の反発を可能にしたといえる。

でも、植田氏が再び金利の正常化を進めたらどうなるのだろうか?

①利上げをすると、数か月から2年ぐらいの金利も影響され上昇する、しかし、10年の長期金利は政策金利だけでなく「利上げ後の景況感」や「財政のひっ迫度」が大きく影響する。
利上げしたからといってすぐに大きく長期金利が上がるとは限らないが、景気が強ければ長期金利八上昇するし、財政がひっ迫すれば長期金利は上がりやすい。

②Jリートの分配金水準が上昇しているので、25bpの利上げならば0.25%分配金が増加すれば影響は中和される。
今年の分配金は1~7月で4.3%増加している。
金利上昇以上に分配金が増加すればいいわけで、現在のペースで分配金成長は5~6%は期待できる。植田氏が利上げをしてもJリート市場は意外と下値で強さを見せる可能性もある。


第二にJリートのファンダメンタル確認。

①Jリート指数2000ポイントの場合、分配金利回りは4.4%に、NAV倍率は0.95倍になる。
上の表から簡単に計算すると、過去5年の平均分配金利回りは4.45%、平均NAV倍率は0.95倍で、2000ポイント水準は過去5年の平均値となる。

今年のJリート指数は「非常に割安圏」から割安修正に入っているが、2000ポイントを達成すると過去平均から見て「中立圏」に入ってくる。

②Jリート指数2000ポイント以上の高値圏は、地価上昇率、オフィス空室率、賃貸料、マンション需給などのファンダメンタルがJリート価格を決める。

路線価や公示地価を見ると、全国平均でも地価は上昇し始め、特に東京中心に三大都市圏、地方都市圏でも地価上昇が顕著だ。
その背後にはインバウンド客の急増で地方の観光や商業施設に新たな投資が増えていること、半導体など産業投資も増加していること、さらに東京のレジデンシャル価格の上昇が徐々に地方都市に影響していくこと、などなどを考えた場合、地価の上昇はしばらく続くと考えられる。

さらに不動産賃料は、基本的に契約期間の満了後の更新で上昇する。
それだけ地価上昇に遅行して賃料が上がってくる、これは考えるとリートの収益源泉である賃料は今後も上昇する可能性が高い。

Jリート指数2000ポイント以下は割安投資、2000ポイント以上は成長性を考えて投資すべきだと思う。
日銀の金融政策、リートの分配金状況、不動産価格、オフィス空室率、オフィス賃料、などを見ながら投資を決めていくことが重要になるう。



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Jリート市場、相場位置の再確認(1)割安はどこまで

Jリート指数と日本10年金利
Jリートと長期金利202508










 





Jリート指数が上昇に転じ、今年は数年ぶりのパフォーマンスを見せている。
10年金利の上昇が大きなマイナス要因をしてJリート価格を低迷させてきたが、長期金利が1.6%前後を上限として推移していること、さらに公示地価や路線価が着実な上昇を示し不動産価値を引き上げていること、などから上昇局面に転じている。

利回り商品好きの個人投資家は好パフォーマンスに満足しているだろう。
Jリート指数は年初から15%の上昇、日経平均の10%、TOPIXの12%と比べても高い。
これは原数値リターンなので、配当の高さ(Jリートは株式より3%程度高い)を考えるとJリート指数の方がさらに上回っている。
これだけ良いパフォーマンスだと、ここから買えるのか疑問を持つ人も多いだろう。


Jリートの相場の位置を確認し、今後の投資を考えてみたい。

もちろん、Jリートを買うかどうかは個人の判断なのだが、筆者はJリート指数で1900~2000ポイントまでは割安の修正場面、2000ポイント以上がJリート指数の成長性を買う場面と考えている。

まずは、基本情報、下の一覧表を見てみよう。


REIT指数 利回り 分配金 成長率 NAV倍率 NAV 成長率2
Dec-20 1783.9 4.15% 74.0 -4.2% 1.01 1766.2 -1.2%
Dec-21 2066.33 3.62% 74.8 1.0% 1.14 1812.6 2.6%
Dec-22 1894.06 4.06% 76.9 2.8% 0.97 1952.6 7.7%
Dec-23 1806.96 4.36% 78.8 2.5% 0.89 2030.3 4.0%
Dec-24 1652.94 5.15% 85.1 7.9% 0.8 2066.2 1.7%
Jul-25 1859.19 4.78% 88.8 4.3% 0.89 2088.9 1.1%
分配金とNAVは指数から推計、前年末からの変化率を計算した。

①Jリートの株価水準をどう見るか?
分配金利回りは7月末現在4.78%で、過去5年の平均水準4.35%からみれば十分に高い。
NAV倍率でも現在0.89倍で、過去5年の平均倍率0.95倍から見ると以前割安に位置している。
長期金利との関係があるが、現在の分配金利回りは十分に高いし、不動産価格の上昇を考えてもNAV倍率は安すぎ、買収を招く水準といえる。


②分配金の成長性をどう見るか?
オフィス空室率で低下で賃料が上昇傾向にあり、レジデンシャルの賃料も地価上昇に遅れて徐々に上がってきている。
分配金の成長も本年1~7月の半年強で+4.3%、昨年の+7.9%を上回るペースで分配金は増加している。
賃料契約は更新時に切り上がるので時間的に遅行性があり、今後も賃料は増加していく。


③NAVの成長性をどう見るか?
NAVは時価ベースでの不動産価値だが、今年1~7月で+1.1%と地価上昇率に比べたらちょっと寂しい感じ。
ただし、Jリートは保有資産の売却と新規取得でポートフォリオを常に変化させ、分配金原資を確保するとともに不動産ポートフォリオの若返りを行っている。
その分,NAVの成長は抑えられているが、重要なのは物件売却しても合計の含み益は多くのリートで減少していない、むしろ、増えていることだ。


というわけで、Jリートの魅力は衰えていない。
次回、Jリート指数2000ポイント以上の高値圏でのJリート投資を考えてみたい。



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Jリート市場の需給調整は終わった!?(2)海外投資家が買う?


ニセコ









海外投資家が日本の不動産を買いまくっている。
上の写真は北海道のニセコだが、オーストラリアのスキー客に人気のリゾートで海外からの莫大な投資資金で不動産価格が急上昇してしまった。
ニセコだけじゃなく、八方尾根の麓の白馬村も、台湾の半導体工場が建設されている熊本の地域の不動産も海外からの資金で大賑わいになっている。

おそらく、海外投資家の眼から見れば非常に魅力的で価格の安い場所がたくさんあるはずだ。
さらに東京都心では、東急系が大規模な開発を行っている渋谷も生まれ変わり、品川駅近くの電車の操車場だった高輪ゲートシティも開発が進んできた。
東京はどんどん生まれ変わっていく。
こうした変貌も海外投資家にとってはチャンスに見えているのかもしれない。

賛否は両論がある。
「中国人の高級マンション投資を制限すべきだ」「ニセコにしても海外客が来ない夏場は閑古鳥が鳴く」・・・などなど。
不動産への海外からの直接投資に様々な議論が出てくる。


そんな中では「不動産の缶詰」であるJリートへの投資も選択肢に上るだろう。
下の表は東証が公表しているJリートの投資家別売買を、2023年以降主要な投資家をピックアップしたものだ。


2023 2024 25-Jan 25-Feb 25-Mar 25-Apr 25-May 合計
投信 ▲ 400 ▲ 1254 ▲ 433 ▲ 297 ▲ 190 ▲ 411 68 ▲ 2917
金法 40 ▲ 1476 ▲ 321 ▲ 263 ▲ 246 ▲ 260 ▲ 102 ▲ 2628
海外 ▲ 66 ▲ 1166 438 ▲ 81 192 101 ▲ 298 ▲ 880
個人 ▲ 509 704 102 29 21 57 2 406
自己 870 2058 ▲ 112 339 ▲ 20 228 119 3482
単位:億円

Jリート市場では前回見た「毎月分配Jリート投信」の売り、さらに「金法の売り」が大きく価格下落に影響したのが分かる。
以前指摘したとおり、投信の売りは一巡したように思う。
金法の売りはJリート価格が下がると、評価損対策として売りが出てくるが、価格は反発すると売りは小さくなる。

では、海外投資家はどうなろう?
2024年は「日銀の金利正常化」が大きなテーマになった年で、海外投資家は理論通りに金利に弱いJリートを売却してきた。
しかし2025年はネットで買い越しに転じている。
日本の長期金利の上昇に限界を見ているのかもしれない。

Jリートには、都心オフィスを中心に保有しているものもあるし、物流施設専門も、商業施設専門、ホテル専門のリートもある。
Jリート投資を経由して、オフィスからホテルまで様々な不動産にアクセスできる、大きなメリットがあるだろう。

直接不動産を買うだけでなく、Jリートで不動産代替投資をする投資家も出てきても不思議はない。



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Jリート市場の需給調整は終わった!?(1)毎月分配投信

Jリート指数と分配金利回り
Jリート指数202506















日銀・植田氏は「金利の正常化=利上げ」を進める方向にコミットしているが、金利上昇に弱いJリート指数がジリジリと上昇している。
これをどう考えたらいいのだろうか?

ファンダメンタル価値、需給、金利という三つの要素でJリート価格は決まる。
ここ数年は地価上昇が顕著になり、マンション価格も上昇している、こうした不動産価値の増加でファンダメンタル価値は増加しているのは間違いない。
一方、需給と金利はJリート価格にマイナス要因となってきた。

需給で最も弱い要因だったのが、Jリート投信からの資金流出と金融法人の売却だ。
まずは継続的にチェックしている毎月分配Jリート投信からの資金流出状況を確認してみよう。

毎月分配Jリート投信は、2年前の新NISAの対象から外れ、その後ずっと資金流出が続いてきた。
下の表は代表的な三つの毎月分配Jリート投信の基準価額の変化と純資産の変化をみたものだ。

ダイワJリート投信、Jリートリサーチオープン、しんきんJリート投信の三つ合計で23年9月には1兆円を超える純資産があった。
これが24年初に新NISA開始とともに資金流出し、今年6月までに合計純資産は5820億円と23年9月から45%の減少だった。
基準価額も22~26%下落したので、この分を差し引いても流出額は4174億円に達したと推定できる。



Sep-23 Jun-25 変化率 資金流出額
ダイワJR 基準価格(円) 2093 1534 -26.7%
  純資産(億円) 4062 1834 -54.8% 1923.35
JRリサーチ 基準価格(円) 5803 4327 -25.4%
純資産(億円) 4447 2698 -39.3% 1388.793
しんきんJR 基準価格(円) 2851 2219 -22.2%
純資産(億円) 2340 1288 -45.0% 862.46
三投信計 合計純資産 10849 5820 -46.4% 4174.603

実は今年4月のブログでも使ったが、その数字は下の表のとおりだった。
この時点では5714億円と、もっと流出額が大きかった。
この2か月間、毎月分配Jリート投信は、ネット資金流出からネット資金流入に変化していた。



Sep-23
Apr-25 変化率 資金流出額
ダイワJR 基準価格(円) 2093 1482 -29.2%
  純資産(億円) 4062 1883 -53.6% 1874.35
JRリサーチ 基準価格(円) 5803 4223 -27.2%
純資産(億円) 4447 2569 -42.2% 1517.793
しんきんJR 基準価格(円) 2851 2152 -24.5%
純資産(億円) 2340 1262 -46.1% 888.46
三投信計 合計純資産 10849 5714 -47.3% 4280.603

これが意味するものは、①売りたい投資家がすべて売り切った、②高齢者NISAで毎月分配が解禁される可能性も見て売るのをやめた、この二つが考えられる。
いずれの要因にしても、Jリート投信からの資金流出は一巡してきたとみられる。

となれば、新NISAのスタート後、断続的な売りで下落してきたJリート投信が底入れる可能性が出てきている。
もちろん、投信の売りだけが問題だったわけではなく、Jリートを多く保有してきた金融機関、特に地銀等の動きも重要だ。
次回は金融法人と海外投資家の動きをチェックしてみたい。



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Jリート市場の再確認(2)ファンダメンタルのアップデート

Jリート指数と利回り202504
















Jリート市場は2023~24年の長期金利の上昇と需給悪化の要因により低迷してきた。
需給面では①グローバル指数の採用による海外投資家の買い越しが一巡したこと、②国寧金融機関の保有がロスカットで減らされてきたこと、③新NISAで採用されなかった毎月分配型Jリート投信からの資金流出が激しかったこと、の3点が挙げられる。

この三つの要因もほぼほぼ市場は消化してきた。
この需給要因のためにJリートのバリュエーションは、リーマン危機直後に匹敵する割安な状態になっている。

下の一覧表は2019年以降の年末の変化を示したものだ。


J-REIT
東証REIT指数
投資関連指標
 銘柄数時価総額指数前年比分配金利回りNAV倍率
20196416,438,0442,145.4920.94%3.60%1.2
20206214,398,0101,783.90-16.85%4.15%1.01
20216116,995,7242,066.3315.83%3.62%1.14
20226115,836,9881,894.06-8.34%4.06%0.97
20235815,411,7221,806.96-4.60%4.36%0.89
20245714,292,0651,652.94-8.52%5.15%0.8
Mar-255714,596,5341,691.632.34%5.09%0.81


東証リート指数は22年末から毎年のように4~8%下落してきた。
この下落により分配金利回りは5%に上昇し、NAV倍率(時価純資産倍率)は0.8倍と純資産を大きく下回る割安状況になった。
時価総額で14兆円という小規模な市場なので、需給要因が大きく影響したわけだ。

しかしその間、分配金は増加し時価純資産も毎年増加してきている。
下の表は東証リート指数の利回りとNAV倍率から一株当たり分配金とNAVを逆算し、その数字の毎年の上昇率・増加率(成長率として表示)を示したものだ。


REIT指数 利回り 分配金 成長率 NAV倍率 NAV 成長率
Dec-20 1783.9 4.15% 74.0 -4.2% 1.01 1766.2 -1.2%
Dec-21 2066.33 3.62% 74.8 1.0% 1.14 1812.6 2.6%
Dec-22 1894.06 4.06% 76.9 2.8% 0.97 1952.6 7.7%
Dec-23 1806.96 4.36% 78.8 2.5% 0.89 2030.3 4.0%
Dec-24 1652.94 5.15% 85.1 7.9% 0.8 2066.2 1.7%
Mar-25 1691.63 5.09% 86.1 1.1% 0.81 2088.4 1.1%

分配金利回りの水準(5%)も高いが、より重要なのは分配金の成長が期待できることだ。
さらに時価純資産を割り込む株価水準(NAV倍率0.8倍)と安いだけでなく、NAVそのものが成長を続けてきていること。

今まで様々な分析を行ってきたが、トランプに揺れる世界の株式市場にあってこの3月末時点でも割安と成長性を持った市場だといえる。



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Jリート市場の再確認(1)需給のアップデート

Jリート指数と長期金利202504
















Jリート市場は日銀の金利正常化とそれに伴う長期金利の上昇に悩まされてきた。
よく考えれば、Jリートの分配金利回りは常に長期金利∔3%以上の水準にあったので、投資家目線で言えば、長期金利に対して十分な上乗せ金利をエンジョイできた。
それでもJリート指数が低下トレンドを続けたのは「需給が悪かった」としかえない。


需給が悪いとは何か?

第一に国内金融機関の評価損失からの売却

国内金融機関はJリート市場の最大の買い手だった。
特に地銀などの地域金融機関は資金の借り手が少なく、オーバーバンキング状態だったので、利回りの高いJリートは格好の運用ツールだった。

しかしJリート指数の下落とともに評価損が抱えてしまい、毎決算期前に売却を余儀なくされてきた。
24年の年間で金融機関は1476億円のネット売却を行った。
今年に入ってからも前年比でリート指数が下落したため、584億円のネット売却をしている。
今年に入ってからはJリート指数はほぼ横ばいなので今後の売却は限定的になるかもしれない。


第二に海外投資家のインデックス組入れの一巡

新型コロナ禍前後、FTグローバル指数がJリート銘柄を指数採用したため、海外投資家は毎年差引買い越しを記録してきた。
しかし、23年以降は組入れが完了し、購入が一巡してしまった。
24年の海外投資家は1106億円の売り越しになったが、25年は357億円の買い越し。
売ったり買ったりの状況がしばらくは続くのだろう。


第三にJリート投信からの資金流出



Sep-23 Apr-25 変化率 資金流出額
ダイワJR 基準価格(円) 2093 1482 -29.2%
  純資産(億円) 4062 1883 -53.6% 1874.35
JRリサーチ 基準価格(円) 5803 4223 -27.2%
純資産(億円) 4447 2569 -42.2% 1517.793
しんきんJR 基準価格(円) 2851 2152 -24.5%
純資産(億円) 2340 1262 -46.1% 888.46
三投信計 合計純資産 10849 5714 -47.3% 4280.603

上の表は代表的なJリート投信の2023年9月と2025年4月を比較したものだ。
この三つのJリート投信は毎月分配型として人気で1兆円の資産残高を持っていた。
特に高齢者にとって毎月分配金を受け取えるのは年金の補てんになり、そこが人気の要因だった。

その流れが一気に変わったのが、新NISAのスタートだった。
これらの毎月分配型は新NISAの対象投信から除外され、多くの投資家がこれらを売却して新NISA 口座に資金を移したからだ。

上の表で、この三投信の合計純資産は23年9月には1兆849億円と1兆円を越えていた。
その純資産が25年4月には5714億円と、実に47%も減少してしまった。
基準価額の減少は株価下落による要因と、資金流出の要因と二つある。
資金流出額だけを推定すると、実に4280億円が流出、直接Jリート市場で売却された計算になる。
投資家の解約が需給悪化の直接の要因だが、すでに純資産は半減しているので大方売り切ったのかもしれない。


今回のトランプ株価調整で日本の長期金利もピークアウトした。
日銀植田さんもこんな株式市場の状態では利上げは難しそうだ。
長期金利の面からは、Jリート市場の需給好転を示唆する。



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Jリートの不動産売却(2)日本都市ファンドの事例研究

大阪城とツイン21










不動産投信といってもJリートとUSリートでは大きな違いがある。
USリートは会社型投信で、運用の指図から運用ポートフォリオの管理まで一元的に行われる。
しかし、Jリートはスポンサーを頂点として、傘下の運用会社が運用指図行い、リートは運用ポートフォリオの管理を行うという分業体制、ここが一番違うところだ

なのでJリートにはスポンサーが100%所有する運用会社にスポンサー物件を高値でJリートに買わせるのではないかという疑念がつきまとった。
しかし現実にはその反対で、むしろ、Jリートの競争力はスポンサーの強さ(良い物件を開発する能力)によって決まってきたといえる。


今回は日本都市ファンド(8953)の事例を見てみよう。

このリートはKKRがスポンサーで、商業用不動産を中心にオフィスビル(上の写真の大阪ツイン21を所有)を保有している。
昨年より価格がNAV(ネットアセットバリュー)を下回り、「総資産の最大化」よりも「物件売却して再投資」中心に成長を指向している。

譲渡物件をみて見ると・・・

①イオンモール札幌
取得価格:74.08億円、鑑定価格:74.08億円、帳簿価格:46.11億円(有報の数字)
この物件を3回に渡り譲渡・・・25/2に譲渡価格18.6億円(実現益7億円)、25/8譲渡価格18.6億円(実現益7.14億円)、26/2譲渡価格37.9億円(実現益14億円)

おそらくこの物件は損失処理で取得価格約74億円を帳簿価格46億円にまで引き下げたと思われる。
そして合計の譲渡価格74.4億円、鑑定価格74.08億円を若干上回った。
保有期間で含み損が出た物件を最終的に取得価格を上回る価格で売却できたのは大きなプラスだろう。
28.29億円の譲渡益を手にする(利益率は38%)、使い道は自社口買いと新規投資としている。

②コナミスポーツクラブ京橋
取得価格:34.2億円、鑑定価格:30.3億円、帳簿価格:33.39億円(有報)
25/9譲渡価格37.25億円、26/3に37.25億円と二回に分けて譲渡する予定。

取得価格に対して帳簿価格は若干低いが、譲渡価格は74.5億円とメチャクチャ高い。
譲渡益も40億円と取得価格の2倍以上の大儲けとなった。
26/2と26/8に投資家へ全額還元する予定。

③イトーヨーカ堂綱島
取得価格:50億円、鑑定価格:51.3億円、帳簿価格:43.09億円(有報)
25/2に譲渡価格:54億円、25/3に36億円で売却予定、合計90億円。

取得価格に対して帳簿価格が43億円まで減額されているので含み損が出た物件だったと思われる。
それをトータル90億円で売却し、譲渡益を46億円も計上する(利益率は51%)。
譲渡益は分配金として株主還元する予定。


商業施設は新型コロナ禍でボロボロになりその時点で評価損を計上したのだろう。
そのため帳簿価格が引き下げられた物件も多い。
しかし、最近の建築費の高騰、建築資材の上昇で商業施設の新規開発は滞っているため、既存の商業施設への需要が拡大し価格が大きく上昇している。


日本都市ファンドは3件の物件譲渡で110億円以上の譲渡益をあげている。
おそるべし、商業施設!!
リート全体の総資産は1兆3731億円で前期から1461億円増加し、鑑定価格ベースの含み益は2067億円に上る。
価格上昇によって措定以上に売却できる物件が数多くある。
今後、物件を売却しその譲渡益で分配金をあげたり、自己口取得をする場合が増えていくだろう。




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Jリートの不動産売却(1)平和不リートの事例研究

公募増資








Jリート市場の過去5年間の成長は以下の表のとおり。


REIT指数 利回り 分配金 成長率 NAV倍率 NAV 成長率
Dec-20 1783.9 4.15% 74.0 -4.2% 1.01 1766.2 -1.2%
Dec-21 2066.33 3.62% 74.8 1.0% 1.14 1812.6 2.6%
Dec-22 1894.06 4.06% 76.9 2.8% 0.97 1952.6 7.7%
Dec-23 1806.96 4.36% 78.8 2.5% 0.89 2030.3 4.0%
Dec-24 1652.94 5.15% 85.1 7.9% 0.8 2066.2 1.7%

市場全体では指数の平均分配金は20年末74ポイントかた85ポイントまで15%程度増加し、時価純資産である平均NAVは17%も増加した。
新型コロナ後土地や建物の価格が上昇し、1億円を超えるマンションが販売される時代になったが、Jリート市場でもこの不動産高の影響を受け、NAV(時価純資産)は5年間で17%増加した。

NAVの増加は地価上昇が大きな要因だが、ビルや施設の収益性回復も大きな原動力だ。
一方、分配金はオフィス空室率の改善もプラスだが、それとともにJリートの資産売却により実現益を貯めこみ、その一部を投資主に分配金や自己口買いで還元していることも大きい。


代表的な事例として平和不動産リート(8966)を見てみよう。

この平和不リートは運営方針として①投資主還元、②内部成長の強化、③資産回転型ビジネスの三つをあげているちょっと変わったリート法人だ。
多くのリートが内部成長と外部成長という「総資産を増やす」方針なのに対し、この平和不リートは投資主還元を最大の運営方針にしているところに特徴がある。

特に資産回転型ビジネスは、将来収益性に懸念がある保有物件をどんどん売却し、将来収益性が高い物件へと積極的に入れ替えることで将来の分配金を安定させる。
住居(マンション)と中型オフィスを投資対象としているので、物件あたりの投資額が小さく回転が効きやすいというポートフォリオの特徴があるからできるのことだろう。

バランスシートを見ると、内部留保(一時差異調整金+繰り越し利益+圧縮積立金)は55億円あり、さらに物件の含み益が600億円もある。
この含み益を実現益化し分配金を引き上げると同時に、豊富な内部留保を使って将来への投資を行う。

物件売却の事例を見てみよう。

①麹町HFビル
譲渡価格:26億円、鑑定価格:21.1億円、帳簿価格13.45億円 譲渡益11.22億円
物件譲渡の利益率=譲渡益÷譲渡価格=43%

②HF市川レジデンス
譲渡価格:6.7億円、鑑定価格:6.1億円、帳簿価格:3.65億円、譲渡益:2.65億円
物件譲渡の利益率=39%

③HF日本橋浜町ビル
譲渡価格:35.2億円、鑑定価格:26.6億円、帳簿価格:19.94億円、譲渡益:14.41億円
物件譲渡の利益率=40%

物件譲渡時に40%程度の利益を上げているのが分かる。
リートの保有物件は有利な条件で売却できることを立証していると同時に、含み益でより将来性の高い物件を買う、さらに譲渡益で分配金を増やし、場合によっては自己口買いに使う。

こうした戦略はリート価格がNAVを下回っている状況では非常に有効だ。
大型ビルを中心に保有するリートは物件の回転率を上げるのは難しいが、平和不リートのような中型物件を中心とする場合は、この資産回転型ビジネスがとても有効だといえる。



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CREのTOBはJリートの見方を変える

東証REIT指数 日足
東証REIT指数











日銀決定会合の利上げ決定以降、東証REIT指数が急速に上昇している。
基本的には利上げを懸念した下落相場から、利上げ決定により織り込み済みから反発局面に入ったと考えられる。

12月初旬にブログ「Jリート市場2024年振り返る」と「Jリート市場2025年、注目は資本政策」を書いた。
要約すると、
①Jリート市場は利回りが5%以上でNAV倍率も0.8倍という超割安、
②しかも分配金は7%増加し、NAVも1.1%増えた、
③それにもかかわらず下落しているのは需給海外投資家と投信が売り続けていることを指摘した。
結論として2025年はこの割安状態をどうするのか、TOBや自己株買いなど資本政策が重要になるとした。

今年に入ってCREリート法人の親会社である物流系の不動産会社CREが、三井住友FLと組んで資本再編と非上場化すると発表した。
簡単にいえば、現在、創業者が保有するのが41%、ケネディクスの保有15%、浮動株44%(端数切り上げ)だが、資本再編後、創業者等で49%、三井住友FL51%となる。

手順は、三井住友FLが発行株式の約半分の浮動株にTOBをかけ、創業者資産管理会社が半分を保有するが、TOB完了後合併し非上場の不動産会社が出来上がる、というわけだ。
創業者からみればMBOで株式を非公開化すること、三井住友FLからみればTOBで不動産会社の過半数を支配することになる。

CREの経営陣からすると、上場して浮動株保有者に配慮して経営するよりも、非公開化して自由に戦略を組めることが狙いなのだろう。
三井住友FLからすれば、不動産を利用したビジネスを拡大できるチャンスでもある。
この両社の思惑が一致したわけだ。

ここからは推測だが・・・

まず、株式市場の低評価で資産価値を割り込んでいる不動産評価、それはJリート全体の問題でもあるが、この低評価は企業買収の動機になりかねない。
そこで自社を守るためにもTOBとMBOを組み合わせた資本再編を行ったということだと思う。

もう一つは不動産価格の上昇と円安という組み合わせで、傘下のJリートも平均NAV倍率で0.8倍、資産価値の80%で買収できる状態にあることだ。
親会社の資本再編の後は、傘下リートの資本再編に踏み込んでくる可能性がある。

CREリート投資法人、ケネディクス不動産投資法人という二つのJリートをどうしようとしているのかはまだ公表されていない。
しかし、なんからの資本再編が行われる、たとえば、親会社と同じように非上場化して私募リートにするとか、両社を合併させて巨大な総合型リートにするとか・・・可能性があるような気がする。

いずれにしても、Jリートは親会社か買収者か、何かしらの資本や支配権を狙った動きが表面化するかもしれない。
それほどの割安になっているということだろう。




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Jリート市場2025年、自社株買いが決める

Jリート指数と長期金利202412
















Jリート市場はNAV倍率で0.8倍、つまり、リート時価はNAV=時価純資産に対して20%のディスカウント状態にある。
まさに大バーゲンセールだが、このディスカウントを使って儲ける戦略が2025年には話題になってくる可能性もありそうだ。

前回のブログでTOBを使って収益を上げるモデルを考えたが、今回はJリートを存続させたままディスカウントを収益化する戦略を考えてみたい。


③資産売却し実現利益を出し、その資金で自社株買いをする。

具体例で考えてみたい。
時価総額8000億円で含み益2000億円(NAV倍率0.8倍)、分配金利回り5%のリートを想定すると・・・

もし時価総額8000億円の10%の不動産を売却すると、800億円に加えて含み益200億円で合計1000億円を手にすることができる。
売却代金1000億円、これを自社株買いに回すと(時価総額の12.5%)、株価は12.5%上昇する可能性がある。

分配金利回り5%なので、8000億円の時価総額の5%で分配原資400億円だった。
そして資産売却すると、運用資産が7000億円に減少し、分配金原資も350億円に減少する。
その場合、発行株数も同じように減少するので株価が変わらなければ利回りは5%となる。
だが、自社株買いで株価がすればその分利回りは低下する。

簡単に言えば、公募増資をして不動産の資産を購入する「外部成長」と正反対に、資産売却をして自社株買いをする「資産縮小」がディスカウント状態を正常化する政策になる。

こんなディスカウント状態では公募増資はアリエナイ!!!
こんな状態での公募は投資家の信頼を大きく傷つけるとリート運用会社は認識すべきで、NAV割れのディスカウント状態を緩和させ、リート投資家の信頼を回復することを重視すべきだ。

いずれにしても、NAV0.8倍という異常なディスカウントは大きなビジネス機会にもなる。
2025年はこうしたビジネス機会をうかがうファンドも出てくると予想している。



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Jリート市場2025年、注目は資本政策?

Jリート指数と長期金利202412















現在のJリート市場を考えたら、2025年は一味違う現象が出てくると思う。
それは現在のJリートの平均NAV倍率が0.8倍という前例のない異常値にあることだ。
単純に時価でJリートを買収すれば、自動的に20%の含み益を手にすることができる。
この「20%ディカウント」を利用すれば様々なビジネスモデルが考えられる。

この点をめぐって2025年に起こると予想されるのは、Jリートの支配権をめぐる資本戦略だろう。
Jリートの買収価値考えると、いくつかの戦略が想定できる。


①ディスカウントのJリートを単純にTOBをする。

気を付けることはJリートは会社ではなく規約型投信で、準拠する法律も会社法ではなく投信法だということだ。
Jリート自体は「不動産が束になった箱」であり、司令塔である運用会社は別に存在している。
JリートにTOBをかけて投資口全部を買収することはできるが、運用会社は別でTOBで同時に買収できるわけではない。

以前にスターウッドがインベスコ・オフィスリートを買収しようとした事例がある。
Jリートの投資口をTOBですべて取得しJリートを非上場化するとともに解散する、そして投資主総会で特別決議を採決して「資産の全部譲渡」をする。
買収会社は20%ディスカウントで都心のオフィス、ショッピングモールなどの商業施設、物流施設、研究開発施設などを手に入れることができる。

Jリートの投資主総会では白票を賛成票にカウントできる(投信法)ので、3分の2の賛成が必要な特別決議を通すことは会社法よりもハードルが低い。
そのため、Jリート解散と資産の全部譲渡という特別決議は比較的簡単だ。
しかし、長期に渡って高い分配金を受け取る目的だった個人投資家には不利かもしれない。
TOBで10~20%程度のリターンを取れるが、それで終わりだからだ。


②Jリートを買収して私募リートに転換し、機関投資家に売り込む。

これはちょっとハードルが上がるが、有効なビジネスモデルになるだろう。
JリートにTOBをかけて投資口を全部買い取るところまでは同じプロセスだが、その後が違う。
Jリートに加えて運用会社も買収しJリートを上場廃止し、私募リートとして再スタートする。

運用会社を買収した事例は過去に多くある。
大和証券グループがダヴィンチのリート運用会社を買収し、三菱商事とUBSの合弁リート運用会社をKKRが買収した。

私募リートへの転換時に利益を上げて、転換後の私募リートを機関投資家に時価で販売すればいい。
私募リートは非上場なのでNAVで評価される、つまり、Jリートのように市場需給で価格がブレる心配がない。
年金基金や国家ファンドのような機関投資家にはJリートよりも評価価格が安定し、賃貸料を基にした安定した分配金を受け取ることができる私募リートは人気の商品だ。


上記に二つの戦略はTOBをベースにしたもので、一番簡単に20%ディスカウントを収益化できる。
しかし、Jリートを存続させたままでこのディスカウント状態から収益を得る方法もある。

・・・次回に続く。



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Jリート市場2024年、振り返る・・・

東証REIT指数と日本の10年金利
Jリート指数と長期金利202412
















今年のJリート市場は全く冴えなかった。
最大の要因は、米国長期金利の上昇から国内の10年金利も上昇したことだろう。
日銀がゼロ金利を解除し、長期金利は国内物価を反映して1%水準まで上昇した。
長期金利と競合する利回り商品のJリートはマイナス影響を受けた。

しかし、長期投資の視点からは、平均の分配金利回りが5%に達し、毎年5%のインカムゲインを長期に渡って受け取れるという最高のタイミングになった。
パフォーマンスには不満の多い一年だったものの、今後数年間を考えれば、特に高齢者にとっては年金∔5%分配金で満足すべきだろう。

需給面では・・・Jリート投信、特に毎月分配型は一年を通じて解約が継続した。

下の一覧表は代表的な三つのJリート投信の基準価額と純資産、昨年9月から直近まで変化分を計算したものだ。
基準価額はおよそ2割~3割と大幅な下落で、純資産額も4割の大幅な減少を見せた。
三投信合計で1兆円の純資産があったが、現在は6197億円に過ぎない。
まだまだ減少傾向にあるが、来年は徐々に解約売り圧力が一巡してくるタイミングを見つけたい。

列1 列2 Sep-24 Dec-24 変化率 資金流出額
ダイワJR 基準価格(円) 2093 1510 -27.9%
  純資産(億円) 4062 2081 -48.8% 1676.35
JRリサーチ 基準価格(円) 5803 4225 -27.2%
純資産(億円) 4447 2657 -40.3% 1429.793
しんきんJR 基準価格(円) 2851 2193 -23.1%
純資産(億円) 2340 1368 -41.5% 782.46
三投信計 合計純資産 10849 6106 -43.7% 3888.603
資金流出額は純資産の減少のうち基準価額の低下による分を差し引いたもの


ファンダメンタルでは・・・Jリートの分配金もNAV(ネット・アセット・バリュー)も成長。

下の一覧表は20年末から毎年の利回りから計算した分配金・成長率、NAVから計算したNAV成長率を比べたものだ。
昨年末からの分配金成長率は+7.1%と順調な伸びを記録した。
過去5年と比べても最も高い成長率で、ここ1年でオフィス空室率が改善し、住居・マンションなどの市場も活況だったことが大きなプラス要因となったと思われる。

また、指数NAV(ネット・アセット・バリュー=時価純資産)も2051ポイントで前年末に比べて+1%と時価純資産も着実に伸びている。
新型コロナ禍以後ここ数年の伸び率が安定していて、路線価などの土地価格の上昇、不動産賃貸料が上昇していることを反映したものだろう。

この不動産市場のファンダメンタル面の強さに対して、Jリート価格は低下したために分配金利回りは5%まで上昇し、NAV倍率は0.82と時価純資産に対して大きく割安になった。

列1 REIT指数 利回り 分配金 成長率 NAV倍率 NAV 成長率2
Dec-20 1783.9   4.15% 74.0 -4.2% 1.01 1766.2 -1.2%
Dec-21 2066.33   3.62% 74.8 1.0% 1.14 1812.6 2.6%
Dec-22 1894.06   4.06% 76.9 2.8% 0.97 1952.6 7.7%
Dec-23 1806.96    4.36% 78.8 2.5% 0.89 2030.3 4.0%
Oct-24 1682.36  5.02% 84.4 7.1% 0.82 2051.6 1.1%

金利上昇以外の要因として、この1年のJリート市場を見ていて感じるのは・・・
①毎月分配型投信がJリート市場で大きなウェートを持ってきたこと、これが新NISAの登場で一気に逆風に晒されたこと。
②地銀等も余資運用のインカム商品としてJリート運用をしてきたが、これもパフォーマンスの悪化でポジション調整を余儀なくされたこと。

こうした需給が大きく悪化し、好調なファンダメンタルにもかかわらず、Jリート市場の軟調な展開を招いたということだろう。
来年は割安の修正が起こる可能性がある。

次回からこの割安を利用してビジネス機会にする方法を考えてみたい。



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正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
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ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

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需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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