株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
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相場の真髄

プラチナ価格の急上昇の意味

プラチナ価格
プラチナ202506
















最近になってプラチナ価格が急上昇している。
NY白金先物は昨年末910ドルだったが、6月12日には1275ドルまで40%も上昇した。
国内価格も昨年末の5319円/gから6619円/gまで24.4%上昇した。
これは国内金価格の上昇率16.9%を大きく上回る。


これに違和感を持つ人も多いと思う。
なぜなら、プラチナは金と違い、産業用のウェートが高い貴金属だ。

プラチナは自動車の触媒に使われ、排ガス浄化では欠かせない金属だった。
過去10年ではガソリンエンジン車から電気自動車(EV)へのシフトが鮮明で、プラチナの自動車向け需要は停滞感が強まった。

一方、金地金は世界の投機資金を惹きつけた。
トランプ1.0以降も米中対立の中で中国が外貨準簿の一つとして買い増し、自実需に裏付けられた金需要が金価格を大きく上昇させた。

プラチナ価格はEVシフトで低迷、一方金価格は中国の買いや投機資金の買いで上昇、同じ貴金属、それも希少性のある資産として、この10年間では明らかなトレンドの違いになった。


なぜ、今年、プラチナが上昇しているのだろうか?

①「貴金属上昇相場の出遅れ商品として投機筋に狙われた」説。
金地金が長期上昇トレンドにあり、その反面、プラチナは出遅れてきた。
自動車人気がEVからハイブリッドやエンジンを使う自動車に戻ってきたタイミングで出遅れ修正が起こっている。

②「プラチナの希少性が見直されている」説。
金の市場規模に比べて産出量が小さいプラチナは主役にはなれない。
しかし、その希少性から投機筋が仕掛ける可能性は高い。

プラチナの需要の6割は産業用なので、ガソリンエンジン(ハイブリッドを含む)への注目が増えれば需要にはプラスとなる。
さらに燃料電池にも多く使われるので、燃料電池車の普及があれば需要が増える。


ホントの事は分からないが、何かしらの投機資金が動いている可能性が高いのかもしれない。



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ヘッジ外債の暴落、農林中金の失敗(2)日米金利差を甘く見るな

農林中金











これはNHKの過去ニュースから取ったものだが、農林中金の資産ポートフォリオ56兆円のうち外国債券42%と多く、その外債投資で含み損2兆3000億円を被ったとしている。
数字としては正しいが、単に外債投資では、米国債に投資しても、欧州債に投資してもこんなに大きな損失額は出ない。
あのNHK、国営放送にしてその説明があいまいだと感じた。

農林中金という運用のプロ集団さえ巨額損失って???

外国債券投資では、金利政策の方向と為替の方向が逆になるのがセオリー。
FRBが引き締めを進め政策金利が引き上げれると、長期債利回りも上昇し債券価格が下落する。
しかし、その一方、日銀がゼロ金利を続ければ日米金利差が拡大してドル円レートは円安に振れる。
米債券価格が下落し損益がマイナスになるが、反対に為替では円安が進み損益にプラスになる、というわけで債券投資のリターンは相殺される。

農林中金というプロ集団でさえ、為替をヘッジした「ヘッジ外債」のまま運用したのだろう。
そうなると、債券価格の下落のマイナスと、為替の円安のマイナス(ヘッジコストの上昇)をダブルで受ける。
そのため本来安定運用のはずの「ヘッジ」外債で大きな損失を出してしまったのではないかと思う。

年金基金の一部でも同じようにヘッジ外債を組入れたところが多かったと思う。
ヘッジ外債をヘッジしたままにすれば、農林中金と同じように損失が発生しているかもしれない。
ただ、農林中金ほど外債投資一本やりにはなっていなかったことが救いだろう。

日米金利差をしっかり見て、その動きを見抜くことが外国証券投資には必要だ。
これはそんなに難しくない。
FRBと日銀の声をよく聞く、そして、今後の日米の金融政策の方向を確認すること、日米金利差の動きでポジションを柔軟に変更することだ。

新NISAで最も人気なのが「SP500」と「オルカン」らしいが、今は逆に日米金利差は明らかに縮小場面にあり、外国株のパフォーマンスを円高が削いでいく局面だ。
日米金利差を甘く見ないほうがいいと思う、農林中金のプロ集団でさえ失敗したからだ。



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ヘッジ外債の暴落、農林中金の失敗(1)ヘッジにならないヘッジ

ヘッジ外債













このグラフは2023年に公表されたニッセイアセットの資料から使った。
ヘッジ外債のパフォーマンスが22年央から急速に悪化したのが分かる。
ニッセイアセットはこの時点でヘッジ外債に警戒感を出していた。

ヘッジ外債は日本のゼロ金利が続いた2010年代、米国債などの高い利回りを為替ヘッジすることで安定な円リターンを作り出す「打ちでの小槌」のように考えられていた。
筆者は運用会社のCIOをしていた時期で、農林中金だけでなく国内の年金基金にも円債代替(ゼロ金利の円債に代わる債券プロダクト)として人気があったのを記憶している。

年金基金からすれば、円債代替=円債の一部だった。
年金は4資産ポートフォリオで運用され各資産の中で実際の投資が行われるが、ヘッジ外債は外債なのに円資産に分類されていた。
そのため、他の円債と比較してヘッジ外債は高いリターンを出るので注目されたわけだ。


ヘッジ外債比較
















上のグラフは米国の利上げ局面での各種の債券プロダクトのリターンを比較したものだ。
FRBの引き締め局面であり、当然、債券金利が上昇し、債券価格が下落する。
しかし、この期間(21年~23年)の米国債リターンは円安が大きく効き、上下あがりながら5%程度のプラスだった。

しかし、ヘッジ米国債(ヘッジコストを含めた)は15%程度低下し、円建て米国債(単に円ベースに直した)も10%以上低下した。
このヘッジ米国債のパフォーマンスは、①日米金利差が急拡大しヘッジコストが大きく上昇したこと、②さらに米引き締めで米債券価格も下落したこと、これらの複合要因で悪化した。

本来ならば安定したリターンを約束するはずの「ヘッジ」外債投資が、日米金利差という大きな変動要因を見逃したことで大きな損失を被った。

農林中金が1兆5000億円の純損失を計上した、今年度の金融業界が巨額利益を上げているのに対照的な最悪決算だ。
報道では有価証券投資の失敗としか説明されていない。
でも外債に投資しただけではこんな巨額損失では考えにくい。
筆者はこの「ヘッジ」外債に大きく投資したこと、さらに日米金利差を読めなかったことが原因ではないかと考えている。

オルカンやSP500に投資している個人投資家にもいろいろ示唆に富む話なので、次回、もう少し考えてみたい。




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ノーフリーランチの定理(4)ファットテール

ノーフリーランチ















ノーフリーランチがどんな最適化プログラムも超過リターンを得られないことを意味し、投資の世界も同じで特定の株式戦略が超過リターンを生み出し続けるのは難しい。

さらに株式市場には「ファットテールの問題」がある。

2000年~2010年はこの「ファットテールの問題」が運用の世界でも関心を集めた。
ファットテールは、簡単に言えば、非常に低い確率で予想以上に大きな株価変動をもたらすという現象だが、これが通常より起こる確率が上がっているのではないかという問題提起だ。

このファットテールを実証するかのように、2000年のITバブル崩壊、エンロンやワールドコムの不正会計事件、BNPパリバ危機・サブプライム危機からリーマンショックと立て続けに予想外の激震が株式市場を襲った。

しかし、2010年以降は日本のアベノミクス・異次元金融緩和、FRBとECBの量的緩和と世界の中央銀行が揃い踏みで金融・量的緩和を行ってきた。
過剰な流動性が供給され、世界の株価は長期上昇トレンドに入り、「ファットテール」という言葉は全く聞かれなくなった。

今後も「ファットテール」は死語のままなのだろうか?

「ファットテール」が起こらないとしたら、リターンの正規分布が安定し、リターンリバーサルが有効な戦略であり続ける。
「災害は忘れた頃にやてくる」という言葉もあり、ファットテールから生じる「テールリスク」には一定の注意が必要だろう。
ただし、テールリスクは誰にも予測できない、まるで巨大地震のようなもの。
警戒はすべきだが、テールリスクに備えて先物でヘッジ売りを続けるのもコストがかかる。

世界的に債務の膨張には懸念がある。

中国では不良不動産の問題がありながら、来年は中央政府が大型の特別国債を数十兆円レベルで発行し財政支出をすると言っているし、日本でも防衛予算をGDP2%以上に財政赤字を増やす方向で当然財政赤字は一段と増える。
トランプ政権では一概に債務が膨張するとはいえないが、米民間の債務が着実に膨張している。

グローバルな債務の膨張を見ていると、一旦株価急落が起こると、連鎖的な危機に陥る可能性もないとはいえない。
テールリスクという明確な理由はないが、投資家が「ファットテールの問題」を忘れ去っているところが気にかかる。




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ノーフリーランチの定理(3)作用と反作用

大谷水原










人間の行動には必ず、作用と反作用がある。
大谷選手が大活躍したが、その反作用も起こる。
これだけ活躍し大金を稼ぎ、そのおカネの管理を一平さんに丸投げしなければ、この不幸な事件は起こらなかった。
物事には原因と結果があり、この因果関係が人間の行動に影響してしまう。
別に一平さんを味方するわけではないが、大谷さんの大金を口座ごとまるまる管理するとしたら、ちょっとぐらい・・・という魔が差す場合があるのが人間だ。
これもある意味、作用ー反作用ともいえる。

この作用と反作用は株式市場でも必ず起こる。

日本株の評論家はテーマが好きで、市場テーマで株推奨をする。
NVDIAがAIで爆謄した昨年は「AIと半導体」が大きなテーマでほとんどすべての評論家が推奨していた。
半導体関連の流れに乗り、関連する半導体製造装置の東京エレクトロン株、検査装置のレーザーテック株などが次々と急騰劇を演じた。
今年の前半も半導体株が好調だったが、年後半になると全く違った株価の動きになった。

今年前半までの絶好調から、なぜ、その反対=反作用が起こったのだろう?
東京エレクトロン株は3月には40860円まで急上昇したが、その後、9月には20450円の年初来安値まで急落、50%の下落だった。
レーザーテック株はもっと強烈で、今年5月には45500円の高値を付け、今12月には15500円の年初来安値を付けた、ナント66%の暴落となった。

この間、ファンダメンタルにはこれだけ下落する理由はなかった。
AI向半導体でNVDAは猛烈な売上げ増加を継続しているし、ファウンドリーのTSMCは相変わらず好調な決算を発表した。
ASMLはちょっとコケタたが、東京エレクトロンでもレーザーテックでも決算は悪くない。
それでも株価が下落した、その理由は買われすぎた反動=反作用だった。
そう考えると、来年は逆に大きく売られた日本の半導体株にリターンリバーサルが起こる可能性を否定できない。
23~24年前半の半値戻し、というのが反作用だ。

作用があれば反作用が起こる、まさに「山高ければ谷深し」

「平均への回帰」も「作用と反作用」も必ず出現する現象で、これが起こらなかったことはない。
前回に取り上げたが、株価水準を長期的に決定するのは「EPS水準」で「PER」ではない。
PERの上昇で起こった株高は必ず修正される。
それを「平均への回帰」と呼ぶか、単にリバーサル=「作用と反作用」と呼ぶかの違いに過ぎない。

・・・続く



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ノーフリーランチの定理(2)平均への回帰

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投資の世界には「フリーランチ=ただ乗り」はない。
結局、大きな支払いをすることになる。

このただ乗りを狙ったのがむかしむかしのLTCMだった。
最新の統計手法で計測し割高な債券を空売りし割安な債券を買い、その金利差を収益にする。
さらに数十倍のレバレッジ(借金)をかけてわずかな金利差収益を数十倍に拡大させる。
ポジションをどんどん膨らませるだけで利益が爆発的に拡大する。
しかしアジア通貨危機がロシア危機に広がりロシア・新興国債券が暴落、スプレッドの限界まで拡大しLTCMは40億ドル以上の損失を出しあえなく倒産した。

スプレッド取引で予想以上にスプレッドが拡大すると予想できない損失が生じる。
そしてポジションを閉じると、逆にスプレッドが縮小し正常化する。
限界まで広がったポジションが急反転する過程が「平均への回帰」だ。
難しいのはどこが限界点なのか判断できないこと。


「平均への回帰」は投資の基礎。

「平均への回帰」は株式市場でもよく見られる現象だ。
何かの人気材料があって株価が急騰する、よくある事だが、残念ながら株価の急騰は永遠には続かない。
なぜなのだろう?
需給の限界点まで行けば「平均への回帰」が必ず起こるからだ。

「平均への回帰」とは一時的な熱狂で平均値から大きく離れるが、それが限界点に達すると平均値に戻ってしまう現象だ。
熱狂した急騰の限界点まで達すれば、「平均への回帰」は必ず起こる


株価=EPS(一株利益)×PER(人気)で表せる。
長期的に株価水準を決めるのはPERではなくEPSの方だ。
EPSが増加していく限り、株価水準は長期的に切り上がっていく。
しかし、PERは一定の範囲で上下するだけで、長期的に上昇することはない。
この性質を理解していれば、PERが上昇して株価が上昇してもこれは一時的な現象と判断できる。
PERは平均への回帰が起こる数字だ。

最近のトランプラリーで熱狂的な上昇をしているテスラ株だが、実績PERが急上昇し100倍を越えてきた。
来年、テスラのEVがバカ売れしEPSが急増するならいいが、そうでない場合「平均への回帰」に気を付けるべきだろう。
EPSには「平均への回帰」はないが、PERは「平均への回帰」が起こる。

・・・次回に続く。




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ノーフリーランチの定理(1)ただより高いものはない

㎡なりすまし詐欺











……コスト関数の極値を探索するあらゆるアルゴリズムは、全ての可能なコスト関数に適用した結果を平均すると同じ性能となる— Wolpert and Macready、1995年
コストをどう最適化しても結果は全てのコスト関数の平均になる、つまり、どうやっても抜け駆けはできないということになる。
この「ノー・フリー・ランチの定理」は数学的にそれを証明したわけで素人の我々には難しいが、日常生活でも「ノーフリーランチ」は多くの場面で実感する。
直訳すれば「ただのランチはない」ということで、「ただほど高いものはない」という日本の格言に通じるところもある。

投資の世界でも「ノーフリーランチ」は多くの場面で当てはまる。
株価は時として爆発的に上昇する、その場面にで合わせればまさに一攫千金、株成金になれる。
たまたま買った株が暴騰するのはどのぐらいだろうか?

2000年以降の新規上場株およそ1500銘柄、そのうちテンバガーを記録したのは20銘柄だけだったらしい。
およその確率は1.3%程度だったという。
それでも非常に高い確率だといえる。

宝くじはどうだろう?
同じ一攫千金でも宝くじにあたって数億円を手にする人が全然少ない。
せいぜい数百万人に一人しかしない、確率からいっても人間の一生で百万回宝くじを買えば1回ぐらい当たるかもしれない。
でも人間の一生はせいぜい80年でとても百万回も宝くじを買えない、だから一攫千金は難しい。

宝くじに比べたら、株成金は誰の身近にも何人もいるぐらいで珍しい現象ではない。
だからこそ、多くの人が新NISAで口座を開き投資した目的は株成金なのかもしれない。
でもそれはフリーランチを期待しているのと同じだ。

何故?

多くの人たちにはフリーランチは魅力的で、自分だけが特別「フリーランチに招待される」と信じてしまう。
多くの投資詐欺に合う人たちも同じで、ちょっとした「フリーランチ」にありつけると思てしまうところに落とし穴が待ち受けている。

投資詐欺では「なりすまし」にしても「ねずみ講」にしても、甘い言葉で勧誘し、フリーランチにありつけるような錯覚を引き起こす。
でもフリーランチはない、「ただ=儲け」と思っても後でちゃんとコストを支払わされることになる。

筆者のこの点で「ノーフリーランチ」を自らの行動原則にしている。
そう思えば、間違いないからだ。

投資の世界で「ノーフリーランチ」がどのように機能しているかを考えてみたい。
①平均への回帰、一旦急騰しても結局は「平均」に戻る。
②作用と反作用、ある力が加わって株価が動いても(作用)、その後には必ず反対の作用(反作用)が出てくる。
③ファットテール、低確率だが起こるを大きな影響が出る出来事もある。
・・・・・・など考えてみたい。





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日銀ラリーの「ノイズ」と「本質」

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夜中にフト目が覚めると、日経報道で「日銀、YCC修正を検討」というニュースが飛び込んできた。
直後、200ポイント程度上昇していたNASDAQ指数が上げ幅を失い、13日連騰していたNYダウはマイナス圏に沈んだ。
おそらく・・・日銀の政策変更ー円金利上昇ー円ファンディングのコスト上昇ーキャリートレードのアンワインドー米国株や債券の下落・・・という連想ゲームが起こったのだろう。
世界の市場はつながっているのがよく分かった。

グローバル市場はモザイクのような複雑怪奇な資金フローによって作られている。
円は低金利が約束されたファンディング通貨だが、これが変わる時、世界の金融資本市場に影響してしまう。

現代の市場は様ざまなプレーヤーがいて、それぞれ自分の有利になるようにポジショントークをする。
これらが「ノイズ」となって市場のボラが拡大させ、そのボラの拡大で他のプレーヤーたちの売買を誘導してしまう。
今後、日銀ラリーの中で日経平均先物、円ドル為替だけでなく、米国株・債券にも影響が広がるだろう。
それだからこそ、日銀ラリーの「ノイズ」と「本質」を見ておく必要がある。

日銀ラリーについて一つ言える事は「日銀の金利政策の正常化はすでに始まっている」こと。
これは日本経済が脱デフレをしていく局面では「本質」、そしてこの日銀ラリーをめぐって多くの「ノイズ」が発生してる。

第一ステップ 22年12月 YCC幅を従来の±0.25%から±0.5%に拡大。
市場はビックリして日経平均が660円(2.5%)の急落、Jリート指数も103ポイント(5.3%)の急落、そして、円ドルは5.2円(3.2%)の円高を記録した。

唐突感が強いYCC変更であり市場に大きなサプライズ=「ノイズ」」だった。
その後、日銀ラリーのプレ・ポジションがイベントドリブン系で根強く蓄積されてきた。

そして第二ステップ 23年7月YCC±0.5%を柔軟に運用し、10年利回り1%までを容認。
事実上YCCの自由化に近いが、日経平均の下落は131円(0.4%)、Jリートの下落は10.1ポイント(0.53%)、円ドルは0.41%の円高にとどまった。

イベントドリブン系のヘッジファンドなどは日銀ラリーに向けたポジションを十分に保有しているので、直後の仕掛けが一巡してくれば、利益確定の反対売買が出てくる。
第一ステップのようなサプライズはなく、市場は影響を吸収するだろう。
実際、金曜日のNY市場は前日分をすべて取り返してしまった。
来週初の東京市場でも買戻しが中心になってくるだろう。

いつかは分からないが、第三ステップはゼロ金利の解除・・・
この三回目のステップで金利は正常化され、その後の利上げは日本経済がどの程度インフレ体質になっているかによる。
いずれにしてもこの第三ステップは日本経済が長期デフレからインフレ時代に変わるサインであり、株価は名目成長を織り込み上昇トレンドを作る。
むしろ、ポジティブなサインとして受け取られるだろう、これが「本質」だと思う。

もう一つ重要な「本質」は日米金利差による円安相場は転換点を迎えていることだ。
これはFRBの引き締めが最終局面にありあと1回利上げすれば終了、一方、日銀は着々と金利正常化を進める・・・・となれば金利差拡大で進んできた「円安」は終わる、これもまた「本質」だ。



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ドル・円相場の「ノイズ」と「本質」

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相場のノイズとは本質とは関係のないコメントや株価の動きのことだ。
毎日の株式市場の中でほとんどの言動は「ノイズ」であり、ほとんどの株価の上下変動は「ノイズ」で発生している。
だから長期投資家の中には毎日の株価の動きは見る必要はないと断言する人もいる。
彼らからは、当然ながら、証券会社の推奨や評論家の分析も「ノイズ」として毛嫌いされる。

物事の本質は時間の変化の中で表れるという人もいる。
一日一日の株価の上下変動を追ってもその本質的な変化=トレンドを見ることはできない。
でも一日一日の株価変化がトレンドの基本になっているのは間違いない。

為替市場で「ノイズ」が急激に増している。
「日銀会合で植田総裁がYCCのチェンジをする」とか、極端な人は「YCCの撤廃までありえる」とかコメントしている一方、「植田氏は動かない」と言う人もいるし、「前回植田氏は金融政策にサプライズがあっても仕方がないと発言したので展望レポートに何か変化が起きる」と期待している人もいる。

はっきり言ってこれらの発言はすべて「ノイズ」に過ぎない。
円相場が一時の144円/ドル台から140円/ドルを割れてきたから、こうした発言を誘発しているだけだ。
また評論家にとっては円相場で何かコメントをしなければならないので「ノイズ発言」をしているということもある。

円相場の本質的なトレンドをどう考えたらいいのだろうか?
本質とは連続する時間の変化の中で生じてくるものだ。

①米国:この7月のFOMCで25bpの利上げを実施したら、その次9月あるいは10月のFOMCの利上げが本当に最後になる。
またCPI数字の影響で7月が最後という人もいる。
でも昨年初から始まった利上げ局面はいよいよ最後になる。
つまり、日米金利差の拡大による円暴落はいよいよ最終局面に入るとうことは確かだろう。

米国利上げ局面が終われば、金利差による円安は修正されるのは間違いない。

②日本:賃金と物価の好循環が起こるとしたら日銀の金利正常化は実行される。
賃金上昇と個人消費の回復が日本のカギである。
一部の評論家は設備投資が重要というが、設備投資は米国景気や中国景気に影響される不安定な要素だと言う事に注意を要する。

一番重要なのは賃金と物価の好循環であり、もしこの好循環が認められれば植田日銀はYCCを撤廃するだろう。
それがすぐに金利引き上げに通じるものではないが、日本経済の本格的なデフレ脱却だといえる。

この二点が「本質」だ。
7月のFOMC、日銀決定会合がどうなったとしても、この「本質」は変わらない。
FRBは利上げの最終局面に入り、日銀は賃金と物価の好循環を見極めるタイミングに入る。
としたら、拡張した円ショートポジションはリスクが高まる。
そのポジション調整がすでに始まっている。
だから、少しづつ円が対ドルで高くなり始めていると理解すべきだ。



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相場の真髄(5)~グローバル投信の潜在資金(2)~


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相場の真髄とは・・・
「市場は絶対的に買いが入らなければ上がらない。市場売買では売りと買いが一致するので市場を見ても分からない。その背後にある投資家の潜在的資金量の増減で市場の上昇/下降が決まる。」
・・・だから、重要な事は各投資家の潜在資金の増減・・・ということ。

今回は投信の潜在資金を考えるの第二回で、グローバル投信を考えてみよう。
今年6月に発表された金融庁の数字を見てみよう。
米投信のうち、アクティブ投信の残高は5.5兆ドル、それに対してパッシブ投信の残高が5.4兆ドルと、アクティブ投信を急追している。
そのパッシブ投信のうち、伸びているがのがETFで残高は2.8兆ドルと3兆ドルに迫る。
パッシブ投信は、ブラックロック、バンガード、ステートストリートの3社の寡占状態にある。

直近のニュースでは、米国のETFであるステートストリートのSPY・・・運用残高では最大で2940億ドルだったが、急速に資金流出に見舞われ、今年は330億ドルの減少となった。
これは手数料が0.095%と他社ファンド(ブラックロック、バンガード)の0.03%に比べ高かったので、投資家は株価の戻りとともに解約が増えたというわけだ。
その一方、バンガードETFの増加1480億ドル、ブラックロックが790億ドルの増加と大幅な増加となった。
パッシブ投信会社の間の競争も激烈なものだった。

そのパッシブ投信では、ESG指数をベンチマークにしたESGファンドが資金規模を増加させていく可能性が高い。
CO2排出量を実質的ゼロとするカーボンニュートラルを中国が2060年、日本が2050年に目標設定した。
米国も環境問題に関しては180度変わる・・・バイデンはパリ協定に復帰し、CO2の排出削減に積極的に取り組むと予想される。
この米国・中国の姿勢変化がESGへの取り組みを進めていくだろう。

すでに年金運用の世界では、国連の「責任投資原則」への署名が年金の受託基本条件になっている・・・ESGを推進し、基準にそった議決権行使を行い、企業経営を監視、毎年国連にレポートを提出することで、年金資金の受託運用ができるようになる。
年金の世界だけでなく、投信の世界でもESGが重要なファクターになっていく。
それとともにESGファンドに資金が流入していく流れが作られていくと思われる。

日本株の潜在的な資金増減を考えてみよう。
グローバル投信の国別ウェートは、米国が上昇し58.98%、日本が6.97%、中国が5.64%となっている。
グローバル資金の7%は自動的に日本の投資されていく。
バイデンの株高でもこのグローバル資金が原動力になっただろうし、日本株が29年ぶりに戻り高値を更新したのもこの動きだろう。


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相場の真髄(4)~投信の潜在資金(1)~

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投信の潜在的資金規模を考えるには大きく二つに分けると分かりやすい。
一つは証券会社や銀行で買う公募投信の残高、もう一つは確定拠出年金(企業型+個人型iDeCo)や積立NISAのような資金が純増する積立型口座で保有する投信だ。

投信協会の統計では、8月末の公募投信の残高は136兆円ある。
そのうち、株式投信が113兆円、公社債投信が13兆円となっている。
モーニングスターの調べでは、9月の株式投信では、国際株式が5542億円の増加、バランス型が440億円の増加、国内リートが181億円の増加・・・それに対して、国内株式は1211億円の減少、国際債券557億円の減少となっている。
投資家が普通に証券・銀行窓口で売買する公募投信では、国内株式が減少傾向、海外株式が増加傾向になる・・・これが当面続く傾向かもしれないが、国内株式は純減傾向で日本株市場へはマイナス影響が大きくなっているといえる。

一方、確定拠出年金や積立てNISAのような長期貯蓄型では全く異なる。
確定拠出年金では企業型とiDeCo(個人型)があるが、その合計の残高は2019年で12.5兆円・・・過去3年で3兆円の伸びが記録されている。
このiDeCoや確定拠出年金は毎月一定額を積み立てるので、毎年1兆円程度の増加が継続する。
そして、国内株式のウェートは12~13%とほぼ一定なので、国内株式には毎年1300億円程度の潜在的資金流入が起こっている。

また、積立てNISAは加速的に加入者数が増えているところだが、今年1-9月の資金流入で5492億円・・・このまま延長すると年では7300億円ほどの資金流入が想定される。
9月末の残高は3兆5927億円で、そのうち国内株式は12%程度になっている・・・つまり、積立てNISAの年間資金流入7300億円にうち、900億円程度が国内株式への潜在的資金流入と推定できる。

この確定拠出年金と積立てNISAが毎月毎月純増になるので、国内株式への年間の潜在的資金流入は2200億円程度。
現在も加入者が増加している状況なので、おそらく今後数年を考えたら3000億円程度の潜在資金を想定していいだろう。

iDeCoやNISAなどの積立て投信では毎年3000億円程度の資金純増が期待できる。
しかし、投信からの資金流入が大きく増加するには限界がある・・・個人投資家は海外株式志向を強めていて、国内株式の投信は人気がない。

次回に続く・・・


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相場の真髄(3)~個人投資家(続き)~

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個人投資家の話の続きだが・・・

前回見てきた通り、通常の個人証券口座を基にした潜在資金量に加えて、新型コロナ騒動による国民全員への現金給付、信用残の増加、IPOによる大儲け(錬金術の効果)が大きくプラスに貢献した。
そして、この個人投資家からの資金流入は東証全体の指数にも影響したが、特にマザース市場には非常に大きい影響を与えた。
個人投資家が主役のマザース指数は3月の600ポイント割れから、10月には1300台に上昇・・・半年強で2倍以上になった。

ただし、この基本的な3つの要因に少しづつ変化が見られている。
個人投資家の潜在資金に大きな影響するのが、当面の信用残の動向だ。
マザース市場の信用残ではアンジェス(4563)の189億円が最大で、買い残/時価総額比は13%・・・このアンジェスが急落し、高値から半値に落ち込んでしまった。
そして、信用残で第二位の155億円(買い残/時価総額比は9%)のジーエヌアイ(2160)が急落している。
マザーズ市場で回転売買を繰り返してきた個人投資家にとって・・・徐々に信用取引の回転が効かなくなっているという逆風が吹き始めている。
次に信用残が大きいのはBASEやメドレーといった銘柄だが、その動向が当面の注目点だ・・・この傾向が続くと雲行きが怪しくなってくる。

現金給付はもう一回あるかもしれないと期待している人たちも多いが、まだ、具体的な政策として上がってきているわけではない。
5万円を国民全体に配るにしても5兆円という大きな補正予算が必要になるだけに簡単ではない。

また、もう一つの要因だったIPOの人気は続いている・・・この人気が峠を越してきたような雰囲気が出てくると市場が変化してくるだろう。
いずれにしても個人投資家の潜在資金量を引き上げてきた3つの要因に注目が怠れない。

より長期的な視野に立ってiDeCoや積立NISAの動向を丹念に見ていくことも大切だ。
その元となる個人金融資産の中で投信や株式が占める割合は依然として13%程度に留まっており、個人投資家が長期的に株式市場を上昇されるという条件が整っているわけではない。
アメリカの401Kは株式市場に大きな影響があったが、日本のiDeCoや積立てNISAでの株式投資の総量がどのぐらい増加するかはまだ分からない・・・それにしても長期的なカギを握っている。
もし、この積立てプランが一般の個人投資家に支持され伸びていくならば、潜在的資金量を引上げ、長期的に株価を上昇させる。


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相場の真髄(2)~個人投資家の潜在的資金量を考える~

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個人投資家の潜在的資金量は日銀の資金循環統計(個人金融資産の項目)で四半期ごとに確認できる。

個人金融資産残高(6月末)の数字を確認してみよう。
個人金融資産合計は1883兆円・・・前年比+1.8%
そのうち、株式保有残高は173兆円・・・個人金融資産の9.2%、前年比-4.3%
     投信保有残高は 68兆円・・・個人金融資産の3.6%、前年比-2.7%

6月末までの段階では個人保有の株式も投信も前年比減少している・・・これは今年前半、6月までの株価の下落要因になっているはずだ。
iDeCoやNISAで定期的に積立している個人投資家も多いはずだが、新型コロナ騒動で株価が急落したことが響いたのかもしれない。

しかし、今年の個人投資家の潜在資金量を考える場合、いくつかの特殊な要因があったといえる。

第一に、新型コロナ対策として個人に10万円の現金給付が行われたこと。
国民全体では12兆円(人口1億2000万人として)の現金がばら撒かれた。
このうち、消費に使われた部分もあるだろうし、銀行口座に滞留しているものもあればだろうし、銀行口座から証券口座に移され株の投資資金になったものもあるだろう。
仮に3割が証券口座に移されたとしても3.6兆円の潜在資金量の増加になる。

第二に、レバレッジの拡大、信用残の増加。
年初2兆2742億円だった信用買い残が、2兆4626億円に増加した・・・信用残はおカネを借りて株を買った残高であり、この2000億円近い増加は個人投資家の潜在的資金量の増加につながる。
本来の資金量にレバレッジ(借金による梃子の効果)がかかり、潜在的資金量が一時的に増加する。
ただし、信用取引では6か月間で反対売買する必要があるから、一定期間後に逆の資金量縮小の効果が出る。

第三にIPOの活況による錬金術の効果。
6月のIPOが再開され、9月末までに25社(再上場の雪国まいたけを除く)がIPOで上場した。
IPO金額では合計およそ430億円、1社あたり平均17億円と小さいIPOが多く、ちょっとした資金で大幅に上昇してしまう。
IPO価格から初値までの上昇率では、テンバガー(10倍)となった銘柄も散見されるほどの人気になった・・・おそらく平均でも5~6倍になっているだろう。
つまり、IPO金額430億円が5倍になったとして、およそ2000億円に膨らむ・・・この分、個人投資家の潜在資金量を引き上げたといえる。

次回に続く・・・



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相場の真髄(1)~株価上昇のメカニズム~

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株式市場のコメントで多いのが・・・「外人買いで株が上がった」とか、「日銀のETF買い期待で引けにかけて上昇」とか・・・「誰かが株が買ったから上がった」というコメントだ。
でも普通に考えれば・・・外人が買っても誰が買っても、市場では売りと買いが同金額で成立している。
つまり、外人買いと同額の売りが市場にはあったわけで、外人買いで上がったというのはおかしいという意見もある。
逆に「外人が売ったから下がった」といっても、同金額を買った他の投資家がいたはずなのに「他の投資家が買ったから下がった」とは言わない。

しかしながら、新規の資金が流入するから株式市場が上昇するというのは「絶対の真理」だ。
誰かが買わなければ株式相場は上がらない。

非常に単純化した市場を考えてみよう。
上場しているのは1銘柄だけ、現在の価格は100円とする。
100円で一株売買されると、売買代金は100円で、株価が横ばいだ。
もし、市場に100円の新規資金流入が起こると、一株200円で売買され売買代金は200円になり、株価は100円上昇する。
つまり、100円で取引されている株式市場では100円の流動性がある・・・それに追加100円の資金流入で株価は200円に上がり、売買代金は200円に時価総額は200円になる。
100円の追加資金流入が、株価を100円押し上げ、時価総額を100円増やした。

実際の市場では多くのプレーヤーがいて複雑な取引が行われているが、株価上昇のメカニズムは同じだ・・・市場に資金が流入することで株価が上昇する・・・市場の資金が流出することで株価が下落する・・・「絶対の真理」だ。
しかし、難しいのは市場内での需給は売りと買いが一致していて、流動性が増えているかどうかは市場を見ているだけでは分からない。
市場での売買は、実はもっと大きい潜在市場の一部分の注文が市場で約定しているだけだ。
その潜在的な市場をワシは「潜在的資金量」と呼んでいる。
個人の証券口座を考えてみる・・・口座資金の一部が売ったり買ったりと動いている・・・しかし、口座の資金量の増減は株価の上下に連動しているのが分かる。
この証券口座の全体を「潜在的資金量」と考えることができる。

市場の潜在的に存在している資金量が増えれば株価が上昇し、その潜在資金量が減少すれば株価が下落する・・・という考え方だ。

たとえば、今年4-6月期に米FRBのバランスシートが3兆ドル膨らんだ・・・3兆ドルの流動性供給を行ったわけだ。
これは米国の3兆ドル以上の財政支援の結果、多く発行された米債をFRBが買ったためにバランスシートが膨れ上がった。
その米債の追加発行は、個人に対する1200ドルの現金給付、企業の資金繰り支援、失業者への週600ドルの追加支援などに使われた。
FRBの流動性は直接株式を買う行動にはつながっていない・・・しかし財政で支援された個人や企業が当面の余剰資金を抱え運用に走った。
個人がロビンフッド証券に口座を持ち株式を買ったかもしれないし、余剰資金が運用会社の商品に流れ込み、その運用会社が株式を買ったのかもしれない。
様々な経路を通りめぐりめぐって、米FRBのバランスシートの増加=資金の供給が株式市場に流れ込み、この猛烈な株高を作った・・・その元カネがFRBのバランスシートの増加だといえる。

この広義の潜在的資金量が株式市場に影響した。
この潜在資金量が増えているのか、減っているのか・・・その判断により株式市場が上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのかが決まる。
残念ながら、この潜在資金量はあまりに投資経路が複雑すぎて簡単に計算できる算式はない。
でも、マクロの統計、ミクロの数字を使って推測することはできる。
このシリーズでは各投資家の動きからこの「潜在的資金量」を推定し、株式市場のトレンドを判断することをテーマに考えていきたい。


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