株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

個人投資家の運用を考える

ユーロ円、ユーロ高の違和感(2)受け身のユーロ円

ドルインデックス
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円インデックス
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ユーロインデックス
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ユーロ円が大きく上昇し、1ユーロ=176円、記憶にない水準までユーロ高が進んでいる。
なんか信じられないことが起こっている。
前回、ユーロ円のファンダメンタル、金利差、物価差、成長率格差を簡単に見てみたが、どうみてもファンダメンタルでは納得できない。

どこかに間違いがあったのだろうか?
筆者の仮説ではあるが、「ドルとユーロ、ドルと円という対ドル評価はきちんと市場で決まるが、クロスレートは主体的に決まらない」と思う。
ユーロ円は受動的に、受け身に決まるという仮説だ。


そこでドルインデックス、円インデックス、ユーロインデックス、それぞれの通貨の過重平均レートの動きで確認してみよう。

一番上のチャート、ドルインデックスだが、2025年1月ごろから一貫してドル安を続け、一番下のチャート、ユーロインデックスは、ドルとは全く逆にユーロ高を続けている。
ドルとユーロは一番取引量の多い通貨ペアなので、ドルインデックスが上昇すればユーロインデックスが低下する、その逆も起こる。
円の実力である円インデックス(真ん中のチャート)もドルインデックスと同じように低下トレンドを辿っている。
ドルも円も低下傾向で、円はドルに対してさらに弱い、最弱通貨となっている。

つまり、ユーロ円はユーロ>ドル>円という序列の中で、急速な対ユーロの円安が起こった。
あくまで受け身で円安が極端に出てしまった。
とすれば、「ユーロ円のファンダメンタルと関係ないユーロ高・円安」になっているといえる。


ユーロの先物投機ポジションを見ると、ユーロ・ロングが急速に拡大している。
これを見ると、一旦ロングの解消場面も考えられ、その場合、ユーロ円も投機の限界点を迎える可能性もあるだろう。

弱すぎるユーロ円が反転する時、何が起こるのだろうか?
これが大きな疑問として残る。

ユーロドルの先物投機ポジション
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ユーロ円、ユーロ高の違和感(1)ファンダメンタル比較

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昔、運用会社のCIOに就任した時、ユーロ紙幣をおよそ20万円分買ったことがあった。
当時、欧州の年金や機関投資家の顧客が多かったので、年数回は欧州への出張があったのでそのためにユーロ紙幣を買っておいた。
当時のレートで1ユーロ=100円ちょっとだったので、ユーロが割安だと思っていたのも理由だった。

それから10年近く経ってユーロがどんどん高くなった、その時ふっと気がついた「ユーロ紙幣がたくさん残っていた」と。
それが1年前の7月、1ユーロ=173円だった。
余ったユーロ紙幣を持って両替屋に行き、円紙幣に変えてもらうと20万円になった。
20万円をユーロに変えて、出張時に小遣いとして使い、残ったユーロ紙幣を円紙幣に戻したら、マルマル当初の円紙幣が戻ってきた。

出張時に家族へのお土産で欧州のブランド品などを買ったが、これらがタダで買えたことになった。
ところが、最近のユーロが上がり、その時の1ユーロ=173円を超えてきてしまった。
ユーロって高すぎるのではないか・・・と思った。


為替相場の決定要因は、①金利差、②物価差、③成長率格差の三つで、円とユーロを比べてみたい。

①金利差・・・
10年金利で見ると、独2.25%、仏3.34%、伊3.34%などと平均では3%弱というところ。
日本10年1.65%なので、特に独ー日の金利差は0.5%しかない。
金利が高い方にお金が流れるのが理屈だが、これほどのユーロ高・円安は説明つかない。

②物価差・・・
ユーロ圏の消費者物価(前年同月比)は9月で+2.2%に対して、日本の生鮮食品を除く消費者物価は同じく9月で+2.4%。
物価上昇が高いと為替の購買力が低下し為替は安くなるはずだが、この物価差の点からも日欧はほぼほぼ同水準で遜色がない。

③成長率格差・・・
米国には圧倒的な大型成長企業GAFAMがあり、さらに AI関連の投資が巨額化しグローバルな資金を惹きつけている。
でも欧州にはそれほどの巨大投資はなく、欧州の成長期待はなさそう。
IMFの予測では2025年ユーロ圏は+1.2%、対して日本は+0.7%で、欧州の方がちょっと高いがそれほど大きな成長率格差ではない。

というわけで、日本とユーロ圏のファンダメンタルには大きな差がない。
それでも為替は大きくユーロ高が進んでいる。

これはなぜ???
クロス円はファンダメンタルを反映しにくいのかもしれない。
次回考えてみたい。




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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(4)ファイナンシャルプランナー

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金融理論に精通したファイナンシャル・プランナーは個人投資家の運用に大きな役割がある。
とてつもない金持ちがいる欧州では、富裕層専門のプラーベート・バンカーが昔から活躍してきた。
スイスのプライベートバンクが有名だが、お城やマナーハウスに住んでいる資産家に対して、不動産管理、金融資産の運用、家族の収支管理、子供の教育や進学などお金が関わる全ての助言アドバイスを行う。

日本でもFP試験が行われ、CFP資格を持つファイナンシャルプランナーが多くいる。
家計の無駄を省く家計管理、住宅ローンなど借入金の管理、生命保険や自動車保険などの保険管理、金融投資の管理などに多くの助言をしているのだろう。
でも、日本のFPは欧州のプライベートバンカーとはちょっと違う。


それは「セルサイド」の証券会社や金融機関に多くのFPが所属していることだろう。
そうなると、FPとしての助言自体ではなく証券を売買させて証券会社に取り次ぐことで手数料を得るというビジネスモデルになる。
これに対して欧州のプライベートバンカーは証券会社や金融機関から独立し、独立して顧客に役立つ助言をする。

日本でも独立したFPがいないわけではない。
筆者が退職後に接触したFP会社は、個人投資家に情報や分析を提供し投資家の保有する口座で売買をする、するとその手数料の一部がFP会社にキックバックされるというビジネスモデルだった。
投資家は自分の持っている口座でいつもの通り売買するだけだが、その証券や銀行からキックバックされFP会社の収益になる。
これならば特定の金融機関との癒着がなく、より中立的な助言ができる。


でもこのビジネスモデルがうまくいったのかはよくわからない。
この会社には高齢の経験豊かなセールスマン経験者、個人顧客と親密な関係を作ってきた個人営業関係などが多くいたような気がする。
ただ、助言が証券投資に関するものが多く、不動産などの助言はできない。

独立系のFPといっても、純粋に助言やアドバイスのフィーだけで経営が成り立つというのは多くないもしれない。
個人投資家の中で証券売買手数料に加えて助言手数料を払う人は少ないのじゃないかと思うからだ。
日本語の「サービス」という言葉には「ただ=無料=サービス」という意味が含まれている。
英語のサービスは有料を意味しているのと、サービスの意味が大きく違う。

「サービスしますよ」と言えば、無料や割引の意味になる。



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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(3)債券から株式を考える

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日本では投資といえば株式投資を示していることが多いような気がする。
実際NISAでは債券を投資対象としていない。
債券は機関投資家が行うもの、株式は大儲けしたい個人がやるものとでも考えているのかもしれない。

しかし、金融理論、例えば、シャープの証券市場分析では無リスク資産のリターン(例えば、信用の高い国債利回り)が使われる。
リスクとはリターンのブレ具合で、リスクの高い資産は大きく儲かったり損したりするが、リスクの小さい資産は大儲けも大損もしない。
そのリスクを小さい資産から大きい資産まで並べ、過去のリターンと比べたのが証券市場線で、投資家は自分の取れるリスクの範囲内で資産の組み合わせを選ぶことができる。


投資家のポートフォリオの原点は無リスク資産のリターン、一般には国債利回りだ。
債券投資を考えない投資家はそのポートフォリオ運用の原点にある無リスク資産を考えていないということになる。
ポートフォリオの原点を全く考えずに、株式だけでポートフォリオを作るってなんかおかしくない?

金融理論、金融リテラシーを学んでいけば、すべての資産のリターンは国債利回りと比べて分析されることに気が付く。
そうなると、今のNISAって何のだろう?と不思議な感じがしてくる。


筆者は株式のバリュエーション(価値を見る)を測るのに、株式益回りと債券利回りを比較することが多い。
これはリスクの低い国債利回りと、リスクの高い株式益回りを比較して、株式が割高なのか割安なのかを示す指標になるからだ。

簡単にいえば、リスクの高い資産のリターンはリスクの低い資産のリターンよりも高くあるべきだということ。
もちろん、債券にも様々な種類があり、リスクの低い国債からリスクが比較的高い事業債まである。
債券市場は株式市場よりも効率的で、事業債は信用格付けによってリターンが決まる。
リスクのより高い低格付けの事業債はより高いリターンが求められる。

こうしたリスクの低い国債、ちょっとリスクの高い事業債、さらにリスクの高い株式に資産を分散することでリスク対リターンが高い、自身のリスク許容度に合わせたポートフォリオが作られる。
でもNISAの場合、株式を買うか、投信を買うか、ETFを買うかしかできない。
これじゃ、金融理論、金融リテラシーを学んでも片手落ち?



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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(2)マルコビッツに会う

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金融リテラシーという言葉を聞くと、証券投資理論と現実の仕事の間で悩んだ若い頃を思い出す。
「金融リテラシーを学ぶ」というのは、多くの人にとって「株式投資で大儲けしようというのは無理だ」ということを学ぶことに等しい。
一方、証券会社は「投資は儲かる」と言わんばかりだ。

30歳の時英国へ転勤し、マーチャントバンカー系運用会社のファンドマネージャーたちといろいろ話をし、投資を議論した。

当時、会社がノーベル経済学賞を取った有名なハリー・マルコビッツ氏と新しい投信を作った。
その関係でマルコビッツ氏が英国に出張してきて、顧客周りをしてくれることになった。
ある日、伝統あるマーチャントバンカー・ロバートフレミングに氏を連れていった。

今でも忘れられないのが、英国有数のファンドマネージャーとマルコビッツ氏のミーティングだ。
マルコビッツ氏が白板にあの有名な「有効フロンティア」を描いてプレゼンテーションをした。
ファンドマネージャーは「オー!!!」絶句した感じ、学生時代に学んだ有効フロンティアをここで見るとは・・・たいへん感激していた。

ミーティング後に電話でファンドマネージャーと「どうだった?」と話した。
有効フロンティアは理論として面白い、でも現実は違うよね・・・ということになった。
実際に有効フロンティアから分析して投資するファンドは失敗した。

進歩したコンピュータでは多くの銘柄のリスクとリターンを簡単に計算できる、その数字から有効フロンティアも簡単に計算できる、その有効フロンティアから最適ポートフォリオを作れる。
でも期待したようなパフォーマンスが出なかった。


結局一番の経験になったのは、「理論は学んで忘れろ」ということだった。
現実の世界では市場は歪んでいて、個別銘柄の数字も歪んでいて、理論上の超過収益を出ない。
でもその市場を熟知しているファンドマネージャーは市場の歪みからリターンを上げることができる。

「市場が歪んでいるから投資で超過収益を上げられる」
が結論だった。



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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(1)

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金融リテラシー、投資教育がブームのように感じる。
政府は年金基金の厳しい財政を心配して「個人は自己責任で稼げ」とばかり、これによって年金の不足を補おうとしているとしか思えない。
年金が不足するから「70歳まで働け」「自分で稼げ」と言い続ける、その流れで「税金だけは免除してやる」というのが新NISAだ。 

この政府方針で乗っかるように証券業界も「金融リテラシー」「投資教育」を旗頭に挙げる。
これってどうなんだろう?と思う。

そもそも「金融リテラシー」って年金不足を解消できるようなシロモンじゃない。
投資教育を受ければ株で儲けることができるようになる、金融リテラシーを身につければ老後も安心、新NISAで投信に投資すれば大儲けできる・・・残念ながら、物事はそう簡単ではない。 


大学の政経学部を卒業して証券会社に入社し、初めて投資情報部で投資理論を勉強した。
上の写真は1980年代に刊行されたシャープの「現代証券投資理論」で当時の教科書だったが、これだけでなく様々な理論も学んだ。
ハリー・マルコビッツのポートフォリオ理論、ウィリアム・シャープの証券市場理論、モダンポートフォリオ理論(MPT)、キャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM)・・・・
しかし、勉強すればするほど、「株って儲かるものじゃない」と理解するようになる。

これらの理論が語っていることは、
①効率市場論: 情報は株価に織り込まれていて、誰も市場を出し抜くことはできない。
②投資リスク: リターンはどうにもならない、管理できるのはリスクだけだ。
③分散投資: 価格がどう変化するか、何が起こるか予測不可能、いろんな投資先に分散するべきだ。

良いニュースを読んでもその瞬間に株価がニュースを織り込んでしまうので、それから投資しても期待するリターンは得られない、これは当時の筆者にはショックだった。
毎日毎日情報を得るために歩き回っても情報で儲けることはできないって、なんか情報集めしている自分が否定されているような感じがした。

でも実際の仕事は、企業決算を見て、マクロの経済情報を読み、チャートで株価のトレンドを見ることだった。
投資の大先生たちが「情報をどう分析しても超過収益を得られない」と語っているのに、証券会社の現場では一生懸命に情報を分析して、顧客にレポートを配り、株式投資を推奨している。
この理論と現場の違いに悩んだこともあった。

そして30歳の頃、ロンドンで英国機関投資家と商売をすることになった。
これが大きな転機になった。




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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(4)長期リバーサル

シマノ10年月足(2016~2025年)
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長期リバーサルを考えると、どうしてもファンダメンタルの理解が必要になる。
筆者が注目している長期リバーサルは、10年安値、過去10年間の株価レンジの下限まで売られた株、そのリターンリバーサルを収益化しようという運用だ。
徹底的に売られたまま倒産するケースもありえる、しかし、実力のある会社はそこから不死鳥のごとく復活するケースも多い。
7000円以上に上昇した良品計画も数年前には1000円まで売られたことがあった。
その時買えば株価7倍になったというわけだ。
これも壮大な長期リバーサルといえる。


過去の話をしてもつまらないので、現在、10年安値にある事例として三つの会社、シマノ、ヤクルト、資生堂を取り上げてみたい。
いずれも過去10年という長期間で、株価が10年安値に落ち込んだ銘柄群だ。
10年安値に沈んだことで長期逆転の可能性があり、長期リバーサルの対象となるかもしれない。
こうした10年安値の銘柄はいつも気になる。

まずは、上のチャート、シマノ(7309)

シマノは自転車部品、その中でもキーとなるコンポを作っている会社で、ロードバイクに乗ったことのある人には神のような部品だ。
ロードバイクは新型コロナ禍で世界的に人気になり、シマノの株価も大きくがったが、その後はブームが去り業績が悪化し株価も下落してきた。

経常利益もコロナ禍21年1525億円から低下し、今期予想は493億円で業績悪化で大きく下落。
自転車の愛好者は世界中に多くいる、日本でも愛好家が増えているだろう。
そのキーコンポーネント部品を作り圧倒的なシェアを持つシマノは長期リバーサルの候補となるだろう。
市場全体が下落した時に買うかどうか考える予定だ。


ヤクルト10年月足(2016~2025年)
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ヤクルトは売上げの2割を占めた中国販売の低調で、上海の閉鎖などのリストラを余儀なくされ、株価も2400円台と過去10年のボトム圏に沈んだ。

中国景気の悪化は自動車各社、工作機械各社、食品、化粧品、様々な分野に影響した。
しかし、ヤクルトは乳酸菌の技術での強みもあり、国内中心にヤクルト1000などで安定している。

過去5年間の経常利益では多少の振れがあっても年700億円前後で安定している。
一時ダノンに株を買い占めら株価が8000円台まで上昇したが、ダノンも撤退しその処理も一巡した。
配当利回り2.7%、連結PER15倍で特に凄みはないが、市場が急落すると下値の強さが出てくるように思う。


資生堂10年月足(2016~2025年)
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資生堂もヤクルトと同じく、中国市場での不振で業績低迷、株価も長期下落トレンドをたどった。
株価は2200円前後まで売り込まれ、過去10年のボトム圏に達している。
この点ではヤクルトと似たような感じだが・・・

化粧品の場合、ヤクルトの乳酸菌事業とは違い、中国・韓国のコスメが安値攻勢をかけているので市場が価格破壊に見舞われていることだ。
安い韓国コスメとどのように対抗できるのか、筆者には分からない。
というわけで、「バリュー・トラップ」にハマりやすい銘柄かもしれないので環境変化をよく見ていきたい。



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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(3) リターンリバーサル

天邪鬼














世の中、永遠に続くものは何もない、万物は流転する。
だとしたら、今みんなが良いと思っていることも次の瞬間に変わってしまうかもしれない。
切ないと言えば、全く切ない。
株価とはこうした世の中の流転を反映したもので、今までがずっと続くことはない。

世の中が流転することをいつも考えている「天邪鬼投資家」が運用するスタンスが逆張り投資だ。
頑固者の「天邪鬼投資家」になかなかなれない投資家もリターンリバーサルを利用することはできる。


リターンリバーサルは言葉の通り、リターン(収益率)のリバーサル(逆転)だ。
これには二種類あるだろう。
一つはファンダメンタルの変化を伴わない「株価リターンリバーサル」、もう一つはファンダメンタルの変化を伴う「トレンドの転換」だ。

株価リバーサルは、数日から数週間程度、企業のファンダメンタルの変化が起きない短期での株価変動を利用する。
企業のファンダメンタルが変わらないという前提なら、売られた株は戻るし、買われた株も戻る。
この株価の戻りを取るトレードが、株価リターンリバーサルだ。

この取引は頭脳を必要としない、ファンダメンタルの分析などは全く不要だからだ。
トレーダーは株価の変化をよく見て、移動平均や過去の高値・安値を見て逆張りをする。
でも、これが儲かるかどうかは運次第だ。
株価には上がるか下がるかしかない、という意味ではルーレットの赤・黒に賭けるのに似ている。

多くの短期トレーダーが、短期リバーサルを使って一日~数日の取引をするが、大きく儲かっているかどうかは分からない。
株価のみに注目して取引するだけに「株価に対する敏感度」「株価の見方の熟練」などのスキルを磨けば儲けられる可能性はある。


トレンド転換型のリターンリバーサルは企業のファンダメンタルの変化を見る分、大きなリターンを生む可能性がある。
次回、考えてみたい。



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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(2)モメンタム

プライム売買代金25日MA202508
















「待ち伏せ」のような逆張りに対して、順張りは「攻撃的」でヒリヒリするような刺激がある。
この刺激はギャンブルの共通するようなドキドキ感をもたらす。
麻薬的な常習性もあるかもしれない。

順張り投資には、大きく分けて二つのタイプがある。
一つは価格モメンタムを使うやり方、もう一つは業績モメンタムを使うやり方だ。
一般に順張りという時は、上値をどんどん買っていくアグレッシブな投資、価格モメンタムを示す場合が多いだろう。

株価は上がるか下がるかしかないので、当日に上昇するのはおよそ5割の確率だ。
でも、前日の好材料があって株価が大商いで上昇している場合、当日に上昇する確率は5割をちょっと越えるかもしれない。
この感じが慣性=モメンタムと呼ばれているものだ。

株価が上昇しそれが続くと考えた人は買うのだが、それでもなんとなく心細い。
そこで理屈を付ける・・・それは「モメンタムの強さ」を理屈にする、もう一つは「業績モメンタム」で理屈を付ける。
競馬をやる人が過去の記録を調べるのと同じ心理なんのだろう。


「モメンタムの強さ」はいろいろなテクニカル指標を使って測定する。
移動平均乖離率が拡大する場面、売買代金が伸びている場面、新高値を取った場面、いろいろある。
でも、基本的に「株価はランダムウォーク」なので予想しても当たらないことが多いはずだ。

上のグラフは日経平均と売買代金25日・75日移動平均だ。
売買代金25日移動平均が増加すると株価上昇は加速する、モメンタムで美味しいのはこの売買代金が急増している局面だ。

しかし一旦ピークを付けると、日経平均も屈折点を迎える。
過去のピークは、24/3/12の5.27兆円、24/8/17の5.07兆円、25/4/10の4.94兆円、25/8/26の5.20兆円で、25日平均で5兆円に達すると株価はトレンド転換している。

直近の8/26の5兆円台で株価もピークを打ったかもしれない。
さらに売買代金が6兆円へ増加するなら一段高も期待できるが、モメンタム投資には予測困難さがつきまとう。

日経平均とEPS202508















もう一つの「業績モメンタム」を見てみよう。
業績の上方修正や下方修正した時に買いや売りを実行するのがモメンタム取引だが、株価は単純に上方修正したら株価が上がる、下方修正したから下がる・・・とうわけでもない。
多くの場合、先に株価が織り込んでしまうから、業績修正された時には織り込み済みとなる。

上のグラフは日経平均と予想EPSの長期推移だ。
基本的に予想EPS(青ライン)が増加するのと連動して、日経平均(赤ライン)も上昇している。
これが「業績モメンタム」の根拠で、業績が伸びれば株価が上がる、業績修正で投資するわけだ。
短期的には難しいが、長期投資家には予想EPSのトレンドを見ることは重要だ。

ここ数か月のトレンドを見ると、業績モメンタム(予想EPSの伸び)は停滞しているにもかかわらず、日経平均は新高値を取っている。
これは業績モメンタムを重視する投資家から見れば反落する可能性を示唆していることになる。



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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(1)FX研究所

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ある日、日経CNBCを見ていたら「FX研究所」というコーナーで水上さんという方がちょっと気になるコメントをしていた。

①円高には行かない、だから円安になる・・・
今まで1年以上にわたって「金利差の縮小で円高」と言われ続けたがそうなっていない。
だから、反対に円安になるって???

②ポジションは順張りだけ・・・
逆張りのポジションは投機筋に持っていかれるだけ。
ポジションは為替の動きに順張り、投機筋の仕掛けに乗っていく。

要するに、円安に動いてから円売り/ドル買いをすれば儲かるということだろう。
でも円安に振れて148円台でドル買いをしても全く儲からない相場が続いている。
それでも円安方向の順張りを続けていくべきなのだろうか?


でもなんか違和感が残る・・・

ドル金利が高く円金利が低いという「金利差」はそもそも「円安」要因だ。
この金利差が縮小しても金利差がある限り、低金利通貨売り/高金利通貨買い=「円安」が机の上の理論として正しい。

でも現実には金利差からくる「円安」は起こっていない。
それ以上に政策金利やトランプの赤字是正が市場の円高期待につながっている。
つまり、金利差による円安要因と政策による円高要因が市場でぶつかり膠着感を強めている。

第一に金利差が縮小してしまうのでそれまで儲かっていたポジション(ドルロング)が、それまでほど儲からなくなる。
だから、ポジションを縮小し、別のトレードに資金を移動させたくなる。

第二に現在の2年金利差で2%は半年で50bp収益であり、為替レートがわずか1%でも動けば金利差のリターンが吹っ飛んでしまう。
金利差が3%も4%もあった2年前とは違い、薄い利益の金利差に賭けるていいのかという問題もある。
ここから円安に賭けるポジションは危険な感じがする。


もう一つ気になったのが「順張り」のみを推奨していること。

順張りとは「高い価格で買い、より高い価格で売るトレード」で、より高い価格で買ってくれる投資家が必要になる。
昔、ソロスのファンドマネージャーが言った言葉を思い出した。
「日本株を動かすのは簡単だ。数十万株程度でも一気に買えば、その後も上がる」
確かに動きにのる「波乗りトレード」が多く、一旦持ち上げればしばらくは上がることは多い。
ウォーレンバフェットが買ったというだけで株価が上がるのも同じ理屈だ。
でもそれは一時的な効果しかない。

順張りのリスクは「高くなった価格で買い、安くなった価格で売る」ことでこれ自体がリスクだ。
株や為替を含む商品取引の基本は「安く買って、高く売る」ことで、安く買うからこそリターンを最大にできる。
ただし、安く買うのは「どの値段が安いのか? いくらの値段が高いのか?」をキチンと価格分析できていなければならない。

順張り投資と逆張り投資、その効果、などを再度確認してみたい。



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「ユーチューブの本音くん」を本音で考える(4)プラチナNISA

本音くん分配














政府が高齢者向けに「プラチナNISA」を作り、毎月分配型の投信を投資対象に入れるという。
おそらくは「トランプ混乱」で多くの新NISA民に含み損が発生したので、目先の利く銀行・証券会社がこのままでは投信が売れなくなるとビビったのだろう。
次のターゲットとして高齢者に狙いを定めた!
「儲からなければ投信じゃない」とでも言いたいのだろう。


若年層の資産形成で始まった新NISAだったが、こんなに簡単に主旨替えをしてしまう。
政府や証券会社の、この日和見な姿勢が日本の運用業界にどれだけ負の遺産(死に体となった過去の投信)をバラ撒いてきたのか?
同じことを繰り返す政府と証券業界には呆れてモノを言えない。


政府・証券会社の首脳はまず「本音くん」を見るべきだ。

本音くんは言う・・・

・毎月分配は普通分配と特別分配があり、普通分配は運用収益、特別分配は元本から分配される。
・特別分配は「タコが自分の足を食べるようモノ」、払った元本を分配するインチキ商品だ。
・元本を分配してしまうので、元本が減り投資効果(複利効果)が出ない。
・年金の補てんというが、それなら定期預金を定期的に取り崩す方がリスクが小さい。

本音くんは全く正しい。

新NISAでは投資理論的に正しく長期投資に適したオルカンが人気になってきた。
しかし、オルカン(S&P500などのインデックス投信)では証券会社が儲からない。
新NISAで約50兆円が投資されたが、証券会社が受け取るフィーは0.057%(eMAXISオルカン)程度しかなく、これだけ投信を売っても銀行・証券業界全体でたした儲けにならない。

貪欲な銀行・証券からすれば、もっと分厚い手数料が欲しいというところだろう。
そこで高齢者に目を付けた。
高齢者は今さら積立投資には興味がない、それよりも毎月分配に誘導しようというわけだ。
毎月分配型ならば、手数料は購入時3%、毎年の信託報酬1.5%は取れるから・・・

なんか、とっても見え透いていて・・・残念!!!


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信用投資家はトランプを甘く見てる?

信用買残ネットポジション
信用残ネット202504
















信用取引を使う個人投資家、個人の中でもプロ級の投資家たちなのだろうが、これだけの株価下落なのに「重たい感じ」が強い。
信用取引はおカネを借りて株を買う「ロング」と株を借りて売る「ショート」で、その差引残高でポジションの状態、投資家の強弱感、将来(6カ月以内)の需給などを判断できる。

上のグラフは信用買残ネットポジション(信用買残ー信用売残)だが、4/11現在では3兆5000億円、ピークが4兆円だったのでネットで5000億円しか減っていない。
日経CNBCでは4月初の「トランプ相互関税」下落で「追証による投げ売り」が出たとされたが、この週の買残が5000億円程度しか減っていない。
その結果、ネットポジションで3.5兆円規模の高水準が続いている。

信用評価損率
信用評価損率202504
















信用投資家の「ポジション損益が悪化」している。

上のグラフは信用残評価損益率で、すでに目安となる―10%水準を下回り―13%に達している。
信用投資家は平均的に13%の評価損を抱えている厳しい局面に陥っている。
過去の水準を見ると-10%以下はボトム圏で、投げ売りが出て株価が底入れというパターンが多いが、今回はこれだけ損失を抱えているのにポジションを減らそうを考えている投資家は少ない。

買残ネットポジションが3.5兆円という高水準で、なおかつ評価損益比率が―13%となると、信用取引の損失が抱えてガマンし続けている姿が見えてくる。
厳しいようだが、ガマンしていても状況は変わらない。
必要なのは「ポジションを投げる」ことで、これがあって初めて「底入れの条件」ができる。

信用倍率
信用倍率202504
















さらに今回は「空売りが増えていない」ことが大きなポイントにもなる。

上のグラフは買残を売残で割った信用倍率で、この倍率が高いほど売り残が少なく買残が多いという状況を示す。
通常の株価下落で空売りが増えてくれば、売残が増加し信用倍率が低下してくる。
ところが、今回の株価下落場面では信用倍率が逆に上昇し、4/11現在で8.6倍と過去のピークを上回る水準になっている。
これはトランプ減税の不透明感で「空売りする勇気」もなくなっていることを示している。

総合して考えると、現在の市場はけっこう厳しく、市場は重たい感じを残る。

急落の第一幕は終わっているが、中途半端に強気を持ったままの投資家が多く、空売りする勇気もないし、買いポジションを投げ売りする勇気もない。
となれば市場の売買代金が減少し、投資家は一段と動きにくくなってしまう。
ポジションを抱え込んだまま、強気にも弱気にもなれない投資家だ。

市場の次の下落で空売りが増えたり、ポジションの投げ売りが出れば底入れの条件が整うが、それまで時間がかかるかもしれない。
信用投資家はトランプを甘く見ているのかもしれない、しばらくは「重たい市場」が続くような気がする。





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「ユーチューブの本音くん」を本音で考える(3)ネット情報

本音くん ネット















「本音くん」の作者は相当勉強してる感が強い。
証券会社の推奨銘柄に対して「儲かるなら証券マンが自分で買えばいい、自分で買う気もない銘柄を客に推奨、だから証券会社は信用できない」という顧客が登場する。

それに対して本根くんは「証券マンが自分で買った銘柄を顧客に薦めることは違反行為にあたる。」と否定する。
しかし客は「だから、証券会社の情報は信用できない、ネット情報の方が信用できる」と言う。

この後の本根くんの答えが俊逸だ。

ネットの投資インフルエンサーは過去多くの違法行為で捕まっている。
米国のゲームストップ株事件を例にあげる。
ヘッジファンドが大量に空売りしているゲームストップ株を、インフルエンサーを中心にした個人投資家が大量買いを入れて、ヘッジファンドが大量のショートカバーに追い込まれた事件だ。
映画にもなっているので有名な話だが、本根くんはネットのインフルエンサーたちは意図を持って買いを煽っているので信用するのは危険だと説く。


確かに株式市場は「鉄火場(博打場)」と呼ばれた時期もあった。
仕手筋とか相場師と呼ばれた是川銀蔵たちが活躍していた時期で、空売りが入りやすいボロ株を買い煽っていく、空売りを増やしていく、最後に空売りの買い戻し(踏み上げ)で急上昇した時に利食うというやり方が横行した。
現代でいうと、傷だらけのフジHD株を買い煽り空売りを増やして踏み上げを狙うようなやり方だ。

筆者はこうした信用取引の特殊な需給関係を使った相場は無視していいと思っている。
したがって多くのネット系インフルエンサーの意見も全く聞く必要がない。
本根くんの言う「信用するか、しないか」という問題ではなく、そもそも聞く必要がないと考えている。
株式投資は儲かればいいというわけじゃない。
自分のデータ収集と分析、その結果を市場で勝負する知的ゲームと思っている。


では、何を頼りに投資判断すればいいのだろうか?

株式には本源的な価値があり、どんな暴落相場でも必ず下げ止まる「地相場」といえる。
その「本源的な価値」のアップサイドを決めるのが「株式需給」だ。
つまり、株価=本源的な価値∔株式需給、で決まる。
その両方、「本源的な価値」と「株式需給」を考える事から始まる。



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「ユーチューブの本音くん」を本音で考える(2)ゴミ投信

本音くん投信











この動画を作った人は証券営業をよく知っている人だなと思う・・・。
でも運用の世界はよく知らないような気がする。

証券マンがお客に投信を勧める時、本根くんが「インデックス投信は販売手数料(購入時)2%、さらに毎年1%以上の手数料コストがかかります。ETFは購入時は株式と同じ売買手数料、コストは0.24%と低いです。それでもゴミ投信を買ってください」と言う。

同じ中身のインデックス投信はコストが高くETFはコストが安い、アクティブ投信はインデックス投信よりもさらにコストが高い、なのに証券営業マンは顧客にコストが高い投信を熱心に薦める。
単に証券会社が儲けたいだけだ・・・本根くんは正しい。


インデックス投信とETFはその通りだが、でも、アクティブ投信は本当にコストが高く損する金融商品なのだろうか?

運用会社でCIO(投資責任者)をしていた経験から言うと、本根くんの話は基本が違っている。
株式運用のプロの世界では、インデックスはベンチマーク、ファンドの評価はベンチマークに対比してどのぐらいプラスかで決まる。

ちょっと難しいかもしれないが、インデックス並みのパフォーマンスは「標準」で、プロのファンドマネージャーはその「標準」にどれだけ上乗せしたリターンを得られるかで勝負している。
たとえばワールドインデックスが年間15%上昇したとすると、ワールドインデックス投信が15%上昇していれば「標準」であたりまえ、15%以上のリターンを上げたファンドマネージャーだけが評価される世界だ。


パフォーマンスと手数料と比べて見ると・・・

アクティブ投信が18%のリターン、インデックスが15%のリターンだとすると・・・
アクティブ投信の超過リターン(上乗せ分)が3%となる。
アクティブ投信の販売手数料3%∔信託報酬1.6%とすると、合計コストは4.6%
したがって、初年度のアクティブ投信の超リターンは3%-コスト4.6%で、1.6%のマイナス超過リターンになってしまう。

一方、インデックス投信は15%とベンチマークを同じリターンが出るが、売買コスト+信託報酬で1%程度とすると、超過リターンは0%ーコスト1%=-1%、1%のマイナス超過リターンで済む
というわけでインデックス投信の方が0.6%良かったということになる。

しかし、投資2年目になると販売手数料3%がかからないので、同じケースだとアクティブ投信の方が2.4%超過リターンが良くなる


つまり、腕の良いファンドマネージャーの運用ならば、長期保有するほどアクティブ投信の超過リターンが拡大していく。
ポイントはファンドマネージャーが3%の超過リターンを長期で続けられるかどうかだ。
投信で目標の3%超過リターンを達成できるファンドは少ないかもしれない。

でも「投資一任」のファンドマネージャーは超過収益がマイナスだと「クビ」になるので、長期で超過リターンを上げ続けたファンドマネージャーもいる。
彼らが運用する投信も同様の超過リターンを上げているはずだ。

伝説的ピーターリンチのマゼランファンド、バフェットのバークシャーハサウェー、ジョージソロスのソロスファンドなど、長期にインデックスを上回る超過リターンを上げたファンドも多くあった。
日本でも知り合いのファンドマネージャーは過去10年で数十%の超過リターンを上げた。

しかし個人差が大きい世界ので、アクティブ投信を選ぶ際はファンドマネージャーの質(コメントや運用方針の開示)を見て判断するべきだろう。
これがアクティブ投信の難しいところだ。



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「ユーチューブの本音くん」を本音で考える(1)

本音くん、















ブログの読者から紹介された「ユーチューブの本音くん」を見ながら、ひとりでクスクスと笑ってしまい、妻からは「何笑っているの?」と不思議がられてしまった。

登場する本根くんは、入社2年目の証券営業マン、よく勉強しているマジメな証券マンだ。
この本根くんと上司、先輩、お客との会話が面白い。
証券会社の立場がよくよく現れているからだ。

まずは、証券会社に就職すれば投資で儲けられるようになるのか?

残念ながら「証券マンというだけでは投資で適切なリターンを上げることはできない」が事実。
特に証券営業をいくら長く経験しても投資で勝てない。

なぜか?

証券会社に就職した途端、株式売買が禁止され、ほとんどの営業マンは自分の資金で株式を売買した経験がない。
経験がなければ、損失を出したこともない、だから、売買や投資の実戦がない、だったら投資で勝つのは無理だ。

でも証券会社でも自己売買部門に配属されれば、指数裁定、クオンツ運用、イベント運用などなど一通りの市場取引手法を経験する。
しかも儲けるのがあたりまえで、損を出せばクビとなる厳しい世界だ。
その厳しい世界で生き残った証券マンは自分なりに「相場に勝つ」方法を身に着けている。

また、投信部門(運用会社)に配属されれば、投資アナリストやファンドマネージャーを経験するので、投資で勝てる人になれる可能性はある。
ファンドマネージャーの中でも年金や海外客の「投資一任」を運用している人は厳しい環境にいるので相場がうまくなる。
一方株投信のファンドマネージャーは甘々な世界にドップリと浸かっているので「相場に勝つ」方法を身に着けることはほとんど無理だ。


一般的に個人営業や法人営業を担当してきた証券社員は自己資金の運用経験がないといえる。
これは証券や銀行で投資アドバイスをしたり、ファイナンシャルプランナーや業界アナリストや投資ストラテジストという名刺を持った人も同じだ。
目標株価を計算したり、今は買いとか推奨するが、本人には売買経験がなく、損した時の心理的なキツさ、下落相場で怖くなるような感覚を経験していない。

自分で経験していないことを「空想」で話しているのにすぎない。
運用の世界では経験が何よりも重要なスキルになる。


次は、投信は儲かるのか? 手数料や信託報酬の話。
・・・続く・・・



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2年目の新NISA、どうする?(4)短期キャピタル狙い

新NISA









短期キャピタルゲイン狙いで成長枠を使う、これが最もリターンが高い方法かもしれない。
もし優秀な投資家がいて、毎年きちんとキャピタルゲインをあげられるとしたら・・・

まずは、新NISA成長枠の基本を確認しておこう。
①投資金額は1年240万円で5年で合計1200万円まで可能。
②投資対象はETFを含む上場銘柄のすべてで、プライムでもグロースでも買付可能。
③年240万円の枠だが、売却した分は次の年に復活する。

多くの評論家が長期投資!長期投資!の大合唱だが、実は新NISAの条件は短期売買にとても有利だといえる。

①年間の買い注文は240万円まで1回だけだが、成長枠を細かく分けて売買できる。
たとえば20万円の買い分ければ1年に12回の買いチャンスを得る。

②売りは金額もタイミングに自由で、投資家は好きなタイミングで利食いができる。
買い付けた合計240万円に達するまでの株式を買付け、売却はその年内に全部売却してもいいし、一部を利食いして残りは次年に回してもいい。

③買い付けた240万円の株式は、年内の売却分も含めて成長枠は次年初に復活し240万円となる。
つまり次の年も同じように最大240万円買付けることができる。

④売却時のキャピタルゲインは非課税でマルマル利益になる。
通常の売却益におよそ20%の課税がかかるが新NISAは非課税。

⑤決算期末で保有すれば、売却したとしても配当も非課税でマルマル受け取れる。

こうやって考えると、毎年240万円の投資額を年1回転、しかも売買益も配当も非課税って・・・まさに短期売買の天国のようなシステムだ。


ではこの条件で最適な売買手法を考えると・・・・

①自分で銘柄をいくつか選び、成長枠で「240万円分の株式を買い」付ける。
②買い付けた銘柄をできれば決算期を越えて保有して「配当を確保」する。
③買い付けた銘柄のうち、価格が上昇し儲かった銘柄を「利食い」売却する。
④価格が下落した銘柄は配当や株主優待をもらい、そのまま「塩漬け」にして非課税枠1200万円までは累積投資できる。

前年利食えなかった分はそのまま「塩漬け」にしておけばいい、何年間経てば何かの拍子に上昇することもある。
利食いできるかは運次第にしても、トータルリターンはバイ&ホールドよりも良いかもしれない。

それにしても、長期投資だけが絶対ではない。
投資家は工夫して成長枠を使えば、より高い効率的な運用も可能だ。



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2年目の新NISA、どうする?(3)インカム投資

新NISA










新NISA の2年目、どうする? 1年目と同じ運用する?
積み立て投資枠でコツコツと投信を買っている人はそのまま継続するべきだと思う。
でも成長枠は自由度が高く、いろいろな使い方ができる。

王道はアップルのような大型成長株を毎年毎年買っていくというスタイルだが、残念ながら普通の企業は20年も経てば成熟化してしまう。
現在絶好調の銘柄、たとえばNVDAはピカピカに見えるし、20年後でも世界の半導体市場を牛耳っているかもしれない、でも競争が激しい半導体では他のスーパースター企業が登場し新技術を開発し市場を一変させてしまうかもしれない。
要するに20年前にアップルを見つけた投資家は大成功だが、今後20年のアップルのような企業が探すのは簡単ではないということだろう。

このような大型成長株を20年30年のタイムスパンで買いためていくというのは、可能性ゼロとは言わないが難易度が相当に高い。
それに比べて、インカム投資はもっと簡単だ。

高配当投資の要点は
①業績が長期的に安定した銘柄であること
②配当性向を高くコミットしていること
③収益の源泉が明確で普遍的なこと

①の業績の安定性は、過去の決算短信を見れば分かる。
売上げ高の変化、営業利益のブレが小さい会社というわけだが、これだけで選ぶといわゆるディフェンシブな業種に偏るだろう。
具体的には食品や薬品などの業績安定業種などだが、いくらディフェンシブといっても、業種が偏ることでポートフォリオのリスクが高くなってしまう。

②配当性向を高くコミットする会社(最近増えている)は株主還元に積極的な会社だ。
株主還元は取締役会が決定するので、一旦配当性向を40%あるいは50%に決めればこれが投資家に対する強いコミットメント(公約)になる。
こうした配当性向や株主還元率をコミットした会社を選ぶべきだろう。

③収益の源泉が明確かつ普遍的な会社は、業績も安定し配当にも積極的になるケースが多い
たとえば、JT日本たばこがそんな会社といえる。
嫌煙運動が活発だった頃ボロボロに売られたが、世界のたばこ市場で安定した高シェアを持ち、市場占有率が安定している。
市場占有率の高い製品は長期的な収益の源泉となり、インカム投資の有力な対象となる。

この三点からじっくりと銘柄を見極めていくことでインカム投資は成功する確率が上がる。
日本企業はニッチ分野で高い市場占有率を持っていることが多く、市場占有率の高い企業から「業績の安定性」「株主還元のコミットメント」を加味して銘柄選択するといいのかもしれない。



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2年目の新NISA、どうする?(2)成長枠を考える

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新NISAの2年目であっても積立NISAでオルカンを買うのが、基本になるのかもしれない。
ひたすら、マジメに毎月コツコツと買い、20~30年のタイムスパンで投資する。
これこそ王道だといえる。

では、新NISAの成長枠はどう使えばいいのだろうか?

成長枠の使い方は個人によって様々だろうが、大きく分けると三つに分類できるだろう。
①個別銘柄の長期集中投資、②配当を中心としたインカム投資、③1年以内の短期かつ非課税投資の三つだ。

まずは、①の個別銘柄の長期集中投資。
インデックス投資は積み立てNISAでできるので、成長枠を使うならもっと期待収益の高い個別銘柄を使うことに意味がある。

たとえば、アップルのような長期成長株を数銘柄選んで毎年等金額を買い付ける。
成長枠は240万円を5年間買付けできるので、5年後には1200万円の成長株ポートフォリオが出来上がる。
あとは20年~30年ホールドしていくだけで、アップルだったら数十倍になっているというわけ。
でもアップルのような株を見つけられるかが問題だろう。

次に、②配当中心としたインカム投資。
安定した配当の銘柄を毎年240万円づつ買付け、5年後には1200万円で配当利回り5%程度のポートフォリオを作るのが成長枠を使ったインカム投資の目的だ。
一旦5%の利回りのポートフォリオ1200万円を作れれば、その後、毎年非課税で60万円の配当を手にすることができる。


具体的なポートフォリオ構築に入る前に筆者のやり方を参考程度に。

筆者の新NISA成長枠の使い方だが、インカムポートフォリオを作る5年計画で毎年買うつもりだ。
個別銘柄では海運株やJT株などは5%以上の配当利回りがあるので投資対象となるが、この高配当が10年も20年も継続するかを吟味することが重要。
安定した配当、なおかつ配当利回りが5%以上となると、少なくとも数銘柄はJリートを組入れる必要が出てくる。

1年目のポートフォリオは平均配当利回り5.5%だが、Jリートの価格下落で3%程度の含み損となってしまった、でも全く気にしていない。
価格が上がらなければ、それだけ高い利回りで継続的に組入れることができるからだ。
2年目にもさらに利回りの上昇したJリートや高配当株を買い付けていくつもり。
今年1~2月現在、2年目の成長枠240万円のうち、すでに3割程度を6%前後で組入れた。
これを繰り返すだけで4年後には5%利回りのインカムポートフォリオが出来上がる。

次回はインカム投資の基本をもう少し深く考え、さらに新NISAの成長枠での短期投資を考えてみたい。




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2年目の新NISA、どうする?(1)オルカン

新NISA










新NISA成長枠の1年目は比較的簡単で悩むことはない。
もちろん積立てNISAは毎月着々と積み立てるのでなんの問題もないけど、新NISA成長枠は違う。
成長枠をどう使うかは自由だし、いつ買うか、いくら買うかも勝手に決めることができる。

人気のオルカンをNISA口座で買った場合、昨年1年間で+15%のリターンを得ている。
これはMSCI-ACWIのパフォーマンスで、オルカン投信だと手数料や信託報酬を引かれ、さらに為替の損益が加わる。
オルカンに新NISA開始時に買った投資家は15%程度のベンチマーク・リターン、プラス円安10%程度で合計リターンは25%程度だろう。
ただし、為替が140円~160円の幅で動いたので為替損益は、投資したタイミングでパフォーマンスは大きく変わってくる。

オルカン投資は運用目標が明確なことが魅力。
①世界経済の名目成長が収益の源泉、
②銘柄選択が不要で世界に投資、
③10年後20年後の世界経済が運用目標になること、
などに特徴がある。

①世界経済の名目成長がリターンの源泉になる。
数年程度の短期ではオルカンのリターンと世界経済成長率がズレる可能性がある。
たとえば、世界的に金融引き締めが行われ成長期待がなくなったり、世界中で大きな災害が起こり農業生産が大きく低下したり、世界中で大きな戦争が起こったり・・・などが考えられる。

しかし、人類はそれらも克服して成長してきた。
という意味で、オルカン投資は世界経済成長率(およそ3%程度)∔インフレ率(およそ2%)で長期的に年5%程度のリターンが期待できる。

新NISAの長期投資に適した運用対象であることは間違いない。
特に30年も40年も投資できる若い世代には大きな味方となる。

しかし、高齢者層にはそうともいえない。
大きなリスクは円為替レートの問題だ。
多くの高齢者にとっては10年生きることは簡単ではない。
こうした10年以内の投資では為替レートが大きな不安定な要因になる。

記憶しているだけでも、1990年代からの超円高で2000年代初頭にドル円相場は80円/ドルまで上昇した。
その後、リーマン危機を経て黒田日銀は異次元緩和を行い、その10年後の2020年代、今度は160円/ドルへの超円安が起こった。
過去、10年程度の間に為替市場のトレンドがガラッと変化してきた。
今後も変化すると考えた方がいい。

オルカン投資はドル基準なので、円安になるとリターンが増えるが、円高になるとリターンが低下してしまう。
おそらく20年、30年という時間軸では、平均的に購買力平価(PPP)に収れんするだろうから、若い世代の新NISA投資では為替は問題にはならない。
しかし、5~10年という高齢者の新NISAでは為替のタイミングが大きなリスクとして残ってしまう。
投資の出口、死亡や介護などの現金化時期、その時の為替レートがどうなっているかは運次第だ。

世界経済全体の成長を買うという「投資の王道」がオルカン投資だが、それでも投資スパンによって使い方を考えるべきだと思う。




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過大な信用買残を考える(3)信用評価損益比率

信用評価損益比率
信用評価損率202407
















信用取引はプラスになると利食いが入り、マイナスの場合だけ残高として溜まっていく。
だから信用評価損益は通常マイナスの数字になる。

信用評価損益は個人投資家の「ある意味、喜怒哀楽」を素直に示してしまう。
人生で命の次に大切なおカネを投資しているので、投資家は損すれば「ガッカリ」するし、儲かれば「ニコニコ」になる。
なので、個人投資家の心理状況がそのまま信用評価損益という数字で表現される。

この信用評価損益比率はマイナス15%~マイナス5%の間で動く。

15%ものマイナスになれば保有に耐えられなくなり、ポジションを投げる(クローズ)する。
一方、プラスの値を取ることは通常ないので、マイナス5%ぐらいが上限になる。
というわけでマイナス15%~マイナス5%の範囲で動くことになる。

信用取引をしている投資家の多くが損失が少ない「良い状態」というのは、みんながハッピーな「ニコニコ」状態で、これは株価が天井を打ちやすい状態でもある。
逆に損失が15%に達するような「悪い状態」では、多くの投資家が「残念な」心理状態でもある、だからこそ、株価は底打ちしやすい状態になる。

もちろん、個人投資家の存在感は市場全体の数%程度しかないので、これがすべてではない。
それでも個人投資家は市場全体のセンチメントには大きな影響を持っている。
信用残を分析することは、市場心理を理解する上で重要な視点になるのは間違いない。


今までの話をまとめて信用残を見てみよう。
    
                    7/19         7/23
信用売残:   7605億円    6844億円
信用買残: 4兆9254億円  4兆9808億円
信用倍率: 6.48倍     7.28倍
評価損率: -5.54%    -9.36%

これから言えることは・・・
①ネット信用残(買い残ー売り残)が4兆円を越えていて時価総額の0.5%と過大な状態だ。
 さらに株価が下落した7/23の週でもさらに増加した。これも重荷になる。

②信用倍率も6.48倍、通常よりも買い方に偏っている。
 この数字もさらに上昇し、7/23の週では7.28倍に一段と重荷が増えた。

③信用評価損比率は-5.5%とかなり「良い状態」にあった。
 評価損益比率が7/23の週で急速に悪化、-9.3%と信用投資家のポジションは損失拡大。
 おそらく今週の株価急落で一段と評価損が増加しているだろう。

信用取引の状況は急速に悪化している。
株価の下落でも信用で押し目買いをしている投資家が多く、信用残は一段と重くのしかかっている。

個人投資家が信用ポジションをブン投げれば株価の底が入るが、投げずに頑張ってしまえば底入れに時間を要する。
なんか、信用投資家には「皮肉な」ポジションになっている。



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過大な信用買残を考える(2)信用倍率

信用倍率(下のグラフ)
信用倍率202407
















次に信用倍率を考えてみよう。

信用倍率は信用買残÷信用売残で計算され、信用買残が信用売残の何倍になっているか示す。
信用買残の大きさは投資家の強気を示し、信用倍率が高ければ高いほど「投資家が強気になっている」ことを暗示する。
逆に信用倍率が低いほど「投資家が弱気になっている」というわけだ。

でも重要な点はこの信用倍率は一定のレンジで動いているわけではなく、長期的に水準が切り上がっていることだ。
信用買残は市場規模(時価総額)の増加とともに増えていく。
市場が大きくなれば、信用買残も大きくなるからだ。
しかし、信用売残は「持ち株のヘッジ売り」で使われることが多く、配当落ち時や決算期などに増える一時的な残高が含まれている。

しかも機関投資家は借株(株式を借りて売る)を利用するので信用売りは使わない。
信用売りがどこまで実質的な投資家心理を表しているかは微妙だ。
相場下落を予想して信用売りする投資家はそれほど大きない。
というわけで市場が大きくなるにつれて増加するというわけは必ずしもない。

この買い残と売り残の違いがあるので、その倍率も長期的に上昇傾向にある。
こうした定常的(一定の範囲でおさまる)でない指標の判断は難しい。
何倍が天井圏とはいいにくいからだ。
しかし、上のグラフに見られるように、株価が上昇し信用買残が増加し信用倍率が上昇すると、その後株価が調整に入ることが多い。

信用評価損益(以下のグラフ)

信用評価損率202407

















信用評価損益は信用建玉のコストと時価を比べた指標で、基本的にはマイナスの値を取る。
理由は簡単で、信用取引で買ったポジションは利益が出れば、すぐに解消され実現益として確保されるからだ。
元々信用取引は短期利益を狙ったレバレッジ取引で、わずかな利益でもレバレッジがかかっているので利幅が大きくなる。
だから、短期売買で上がれば実現益、下がれば評価損になる。

これを市場全体で集めた数字が「信用評価損益比率」で、評価損益÷建玉残で計算される。
この指標の見方・考え方は次回に。





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過大な信用買残を考える(1)信用残の基礎知識

東証信用残(ネット)と日経平均のチャート
信用残ネット202407

















信用残は主に個人投資家がレバレッジを掛けるのに使う取引、その未決済残高のことだ。
簡単に言えば借金して株を買うことで、保有資金の数倍の取引ができる。
現物買いを手仕舞い、信用で買付をすれば、より大きなポジションで勝負できる。
それだけ個人投資家の強気観を図ることができる指標だ。

しかし、市場全体から考えると、市場売買高の60~70%が海外投資家、10~20%が証券自己とすると、個人投資家の売買シェアは数%にすぎないだろう。
信用残全体でも4兆円強、時価総額1000兆円の0.4%程度でしかない。
つまり全体から見れば、個人投資家の市場への影響力は極めて限られているといえる。

じゃ、信用残なんてどうでもいいのか?

しかし、市場のセンチメントは個人投資家によって作られていると言ってもいい。
他の投資主体は、年金=超長期投資家で短期の値動きには無頓着、海外=複雑な取引を行うので単純に強気/弱気にはならない、事法=自社株買いで買うだけ、投信=影響力は限定的、とセンチメントを図る主体ではない。

という意味で市場のセンチメントは「急落でマッ青」とか「強気で買い乗せ」とか、個人投資家の心理で決まる。
市場センチメント、市場心理を理解することが信用残を考える基本だ。

市場は皮肉なもので、全員が強気になれば株価は天井を打つし、投資家皆が弱気になれば株価は底打ちするものだ。
特に個人投資家が皆強気になれば株式市場はピークに達する。
その感覚的な「心理=センチメント」を数字で測定できるのが信用残でもある。


下のグラフは信用残(買残ー売り残)と東証時価総額を比べた数字だ。
株価が上昇し信用残が増加すると株価上昇が勢いづく、信用残が増えて信用比率(信用残÷時価総額)が0.5%を越えてくると市場全体が強気化して天井を打つ・・・という関係が見て取れる。

次回に続く・・・


信用買残比率202407






















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高齢者の運用にはNISAは不要

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NISAの拡充が24年から始まり、世を上げて資産運用の大号令がかかっている。
誰でも資産運用はうまくできればやった方がいいのは間違いない。
特に30~40歳台の若い世代は将来の資産形成を考えることが大切だ。
資産形成には長い時間がかかる、10年や20年は最短で、できれば30~40年という長い期間で考えるべきだろう。

そんなNISAや資産形成の高まりに流されず、高齢者は別の違った考え方をすべきだ。
当然のことだが、60~70歳になって資産形成は無理、20~30年後を考えて投資するには老後の時間が足りないからだ。

したがって、自分も含めて高齢者の資産運用の中心は「キャッシュフロー(現金収支)の最大化」になる。
高齢者にはNISAもiDeCoも不要。
キャッシュフローの最大化は、別に運用収益だけの問題ではなく、年金、給料、不動産収入、その他の収入、加えて配当やキャピタルゲインの合計を最大にすることだ。
さらに重要な視点は、それぞれの収入に収益にかかる税金も考慮して、より安定的に毎年の税引き後キャッシュフローを考えることだ。

NISAで非課税投資ができるのは魅力的だが、一年間一年間きっちりと成果を出していくにはNISAは難しい。
NISAは1年程度の短期リターンを目指すように設計されてはいないからだ。

①きちんと税金を払って運用すること。
キャピタルゲインがあれば税金を払うのは当然だ。
配当や分配金は天引きで課税されるが、年金やその他の収入を含めて総合課税を選択することで、税金の支払いを意識してトータルなキャッシュフローを管理できる。
正々堂々と税金を払って運用することに高齢者の運用の意味がある。

②年間のキャッシュフローの最大化には配当や分配金などのインカムゲインは一番重要。
年間キャッシュフローを最大化するのは不安定なキャピタルゲインだけには頼れない。
それ以上に株式の配当、リートの分配金、外貨預金の利子などのインカムゲインをきちんと上げていくことが欠かせない。
キャピタルゲインはインカム収入の「おまけ」みたいなものと考えた方がいい。

③大きな下落リスクを避ける事が儲ける事以上に大切。
高齢者は運用で失敗できない。
働いて給料を得ることができない(または少ない)高齢者が大きな失敗をしたら、それを取り返すのは不可能、または非常に困難になる。
相場の上昇よりも大きな下落に注意をしていくことが重要だ。
そのためにはキャッシュ比率の管理が重要で、相場が下落すると予想される時はキャッシュ比率を高めてポジションのプロテクションを図る。

自分も高齢者の一人であり、この三つの原則で運用している。



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運用ゴールの決め方(4 ターゲット運用)

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「老後に必要な資金を獲得する」という目標に対して、運用ゴールをどう設定すればいいかを前3回で考えてきた。
運用ゴールと「45~65歳までの20年間老後資金を積み立て、その後65~85歳までの20年間で取り崩し、国民年金と合わせて月20万円の生活資金を獲得する」とした。
そのためには毎月10万円を20年間非課税で積み立て年率2%で運用することだ。
そして運用には「高配当の複利運用」を用いるのが有効だ・・・という所まで論じた。

積立運用の最適なやり方は簡単に二通りがある。
一つは運用目標を達成するために必要なリスクを最小にすること。
もう一つは一定の運用目標に達する時間を最小にすること。

時間はリスクでもある。

同じリスクでもより長い時間リスクを取り続けるとリスクは極大化してしまう。
たとえば、デイトレードは一日で完結する売買でリスクは小さい、一方、長期投資はその間天変地異や金融危機など何が起こるか分からないのでリスクが高くなる。
目標リターンを得るのに時間が短ければ短いほどリスクを抑えられる。
そして目標リターンを獲得したらリスクゼロの元本保証型に切り替える、厳密にはターゲットファンドではないが一種のターゲット運用といえるだろう。

時間をリスクとして考えた場合の積立投資シミュレーションを検討してみたい。
条件は前回と同じで、45歳から毎月10万円の積立投資を実行し、老後の必要資金2500~2600万円を得るまで続ける。

運用利回り10%ならば、12年で2764万円、
運用利回り5%ならば、14年で2672万円、
運用利回り4%ならば、16年で2683万円
運用利回り3%ならば、17年で2656万円と目標を達成できる。

もし株式市場が予想以上に好調で運用が予想以上にうまく行けば、当初2%の運用利回りで20年という設定がどんどん短くなる。
もし平均年率5%で運用できれば14年で、当初の運用期間を6年も短縮できる。
当然ながら、それの分だけリスクを減らすことができる。

目標を年率4%の設定すればiDeCoで株式やリートを中心とした比較的ボラの高い資産を高いウェートで持つことになる。
株式やリートなどのボラの高い資産を組入れた場合、損益の振れも大きくなり、4%の目標利回りを達成できるかどうかは不透明だ。
損失を出すかもしれない。
でも、もしかして運用がうまく行けば短い期間で目標リターンを達成し、あとは元本保証商品で着実に運用すれば、安泰な老後を過ごせる。
老後資金の獲得という運用ゴールには適した運用方法だろう。



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運用ゴールの決め方(3 配当込みで考える)

JPX











個人投資家にも様々なタイプがいると思うが、大半の投資家はNISAやiDeCoなどの積立投資スキームを使って老後の資産形成をしたいと考えているだろう。
前回の「運用ゴールの決め方」では厚生年金や国民年金の不足分を補うためにNISAやiDeCoを使う場合の運用目標の設定を考えてみた。

毎月10万円を20年間積み立て年収益率2%で運用できれば、45~65歳までの20年間で2945万円の資金が得られる。
この積立資金を65~85歳までの20年間で取りくずすと、毎月14万円が手に入り国民年金と合計で毎月20万円を生活費に充てられる。
この水準が一つの目標、個人の運用ゴールになるのではないかと思う。

でも国債利回りが0.5%以下という日本で20年の長期に渡って毎年平均2%のリターンを得るのは簡単なことではない。
この年2%という運用利回りを目標として、TOPIXとJリートのトータルリターンを比べたのが下の表だ。
2005年に100の資金で運用開始、その後5年毎の配当込みトータルリターンを示したものだ。
2005 2010 2015 2020 2023
運用目標 100 112.6 124.3 137.2 145.6
TOPIX 1277.55 1075.83 1851.51 2429.94 3127.02
100.0 84.2 144.9 190.2 244.8
REIT指数 1593.56 1239.89 3260.64 4608.85 4204.73
100.0 77.8 204.6 289.2 263.9
2023年は3月末。

一番上の運用目標は資金100を年2%で運用した時の5年毎の資金額になる。
期初100の資金が5年後に112になり、10年後に124になり、15年後に137になる。

TOPIXは配当を含めたトータルリターンで5年後の2010年に約15%のマイナスになるが、10年後の2015年に144で4割ぐらいプラスに転じ、15年後に190と2倍近くに成長した。

さらにJリートで運用すれば5年後には77と2割強のマイナスだが、10年後に2倍を越え、15年後には3倍近いリターンになる。
株式やJリートでも10年後には運用目標の年2%リターンを優に越えて行った。

なぜこんなに高いリターンが出るのか?
もちろん、TOPIXでもJリートでも5年程度の期間ではマイナスになることもあるが、長期で保有すれば配当の複利効果が出て十分高いリターンが取れる。
つまり、長期で安定的にリターンを上げたい場合は、株式配当やリート分配金をしっかり再投資していくことが最も重要だといえる。

高配当指数、配当貴族指数、Jリート指数などの高配当指数に分散投資することで20年や30年という超長期のリターンを安定化することができる。
将来も続くかは誰にも分からないが、少なくとも高配当の複利運用は個人投資家の資産形成の大きな味方になるのは間違いないだろう。
これが長期投資の教訓だ。



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運用ゴールの決め方(2 将来の必要資金)

ETF








儲かれば儲かるほど良い・・・あたりまえの話だ。
でも投資についてはこれは当てはまらない。
大儲けの話ほど注意が必要で、過去いくらでも「儲かりまっせ」という投資話があったがそのほとんどが「ウソ」か「詐欺」だった。
「儲かりまっせ」の投資話にハマって資産の大半を失った人たちも多くいた。

運用には儲け(リターン)を得るためにリスクを取らなければならない。
このリスクが問題になる。
無制限のリスクを取って無制限のリターンが欲しい人は、無制限のリスクを取って無制限の損失を出す可能性があるからだ。

運用ゴールをどう決めるかは個人の問題でもある。
各人の考え方は異なる。
基本的な考え方の一つは最小のリスクで運用ゴールを達成する事、もう一つは一定のリスクで最大のリターンを得る事だ。
いろいろな考え方の人たちがいるとは思うが、ここでは非課税スキームを使って積立型で「老後の人生設計」というケースを考えてみたい。

まずは積み立て投資のシミュレーションを考えてみたい。
毎月10万円を積み立て「老後の人生設計」を考えるとしたら、積立投資シミュレーションは欠かすことができないツールだ。
65歳まで働き毎月10万円を積み立て投資に回すという前提で考えてみる。
この65歳で国民年金(月6万円程度)を受け取ることができるのでここからは運用よりも年金が中心になる・・・これが標準だろう。

この前提で毎月10万円を20年間積み立てると・・・
運用利回り0%、つまり貯金しただけで20年後は2400万円になる。
この水準から運用利回りを得ていくことで20年後の金額は大きく変動する。

運用利回り0.5%・・・2523万5497円
運用利回り1%・・・2655万6125円
運用利回り2%・・・2947万9684円
運用利回り3%・・・3283万0200円
運用利回り4%・・・3667万7463円

さらに65歳から85歳までの20年間でこの積立金を取り崩すと毎月の生活資金がいくらになるかも計算すると・・・

運用利回り1%で・・・毎月12万2130円
運用利回り2%で・・・毎月14万9132円
運用利回り3%で・・・毎月18万2075円
運用利回り4%で・・・毎月22万2258円

この積立金の取り崩しと国民年金を合計すれば、利回り2%で運用できれば毎月の生活費合計は(14.9万円+国民年金6万円)でおよそ21万円となる。
夫婦二人での生活ならば毎月20万円あればなんとかなる水準だろう。
ちなみに3%の運用利回りがあれば国民年金と合わせて24万円以上の生活費が使える。
もし4%で運用できれば国民年金と合わせて28万円以上の生活費を確保できることになる。

と考えると、運用利回り2%は老後のための重要な目標になるだろう。
そうすれば国民年金との合計で毎月20万円の生活費を確保できるからだ。
でも預金金利が0.1%の現在、2%の運用利回りを20年という長期に渡って得ることは簡単ではない。

次に2%の運用リターンを上げる場合のリスクについても考えてみたい。



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NISAなど、運用ゴールの決め方(1)

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昔、ロンドンで日本株営業をしている頃、スイスのプライベートバンクの話を聞いた。

欧州地域の金持ちは基本的に貴族の流れを組む人たちで、エステートと呼ぶ広大な土地、お城やお城のような館、広大な農地と小作人など持っている。
スイス・プライベートバンクの顧客はこうした伝統的富裕層が中心で、いくらの儲けたかは問われないが、いくら損したかには超敏感だという。
プライベートバンクの運用は株式だけでなく債券や不動産でも構わない自由度が高い投資だ。
でもそのゴール(運用目標)は・・・儲からなくてもいいが、絶対に損失を出してはならないということだ。

広大な土地、建物、庭園、農園を維持していくだけでも膨大な費用がかかる。
その費用を賄った上で、エステート全体を維持していくのが最大の目標だ。
運用で損失を出すことはありえない・・・これがプライベートバンクの運用ゴールになる。


翻って現代の日本・・・・
「人生100年」とマスコミに脅され、若いうちから自分の人生を楽しむより老後が心配になっているかのようだ。
平均寿命は男女80歳台なのに100年生きると言われ、まるで脅迫されているかのようにおカネを貯めこまなければと考える。
なんか変だと思いながらも・・・必死に稼ぐ・・・当然、運用ゴールは老後ゆっくりと生活できる資金ということになる。

でもどのぐらい稼げばいいのか、よく分かっていない人が多いだろう。
人生100年だと老後の期間は30年以上ある。
その間にどのぐらいの生活費がかかるのかを単純に計算すると膨大な額になってしまう。
毎月20万円として20万円×12か月×30年だと7200万円だ。
そのうち半分を年金でもらえるとしても3600万円という大きな金額になる。
この単純計算する人ほど将来が不安になってしまうだろう。

また、機関投資家の運用ゴールも特殊だ。
GPIFや共済年金など年金基金は高齢化の進む日本で将来に渡り国民に年金を支払う義務を負っている。
したがって将来想定される年金支払い(年金債務)に対して年金資産をどれだけ保有できるかが運用ゴールになる。
アセット/ライアビリティ・マネージメント(ALM)と呼ばれるが、資産と債務とを比較して将来の年金支払いに備えるのが年金基金の運用ゴールだ。

人口が増えて年金積立金がどんどん増えた時期には、年金はザルのような管理で無駄な不動産投資をバンバン行い失敗を繰り返した、でも誰も責任を問われなかった。
逆に人口が減る時期を迎えた年金はしっかりと運用して国民の信頼に耐える運用がマストで高い運用責任を負うことになった。

それぞれ立場の違いで運用ゴールの決め方が違う。
その設定の違いで運用のやり方も違ってくる。
政府は将来の年金問題を個人責任に押し付けるためにiDeCoやNISAを拡充する。
GPIFで大損したら政府の責任だが、iDeCoやNISAで失敗しても個人の責任で政府の責任は問われない。
国民皆年金だけで生活ができないから、個人の自己責任で補えという理屈だ。

とにかく個人責任で老後をなんとかしないとならない時代なのは間違いない。
各人が運用ゴールを考えてリスクを最適に管理して運用することが求められている。


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個人向け国債(変動金利)を買ってみました

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もし日本でも金利が復活するインフレ時代になったとすると、資産ポートフォリオをどう動かせばいいのだろう?
とりあえず「変動10」を買ってみた。
「変動10」とは10年の変動利付国債で、以下の条件がある。

①半年ごとに適応金利が変わる
②実勢金利に応じて適応金利が変わる
③最低金利0.5%が保証される
④発行から1年経てば途中換金が可能・・・という仕組みが財務省から説明されている。

これが投資家の救世主になるかは分からないが、やっと日本でも金利が復活するかもしれない段階で、どの程度日銀の金利正常化で国債金利が変化していくのか身をもって試してみたいという理由だ。

一般的に日本の債券市場には大きな欠陥があると言われている。
それは「実質金利」という概念がないからだ。
長い間デフレで物価を意識しないで債券市場が成り立ってきた唯一の国だったからだ。
物価上昇=ゼロならば名目金利=実質金利であり、わざわざ実質金利で考える必要はない。

米国には物価連動債(TIPS、インフレ連動債)の市場があり、5年、10年、20年、30年債がトレードされている。
現在、5年から30年まで物価連動債は1.5~1.6%で取引が成立している。

名目債券利回り=実質利回り+期待インフレ率∔リスクプレミアム
       =実質利回り+ブレークイーブンインフレ率
となるので、名目5年利回り現在4.2%であり、5年期待インフレ率は2.6%となる。

日本ではどうなのだろうか?
残念ながらデフレ続きで物価連動債が機能していないので、米国のような期待インフレ率や実質金利の把握が難しい。
米国のコアCPI(1月)は低下してきたとはいえ+5.6%、期待インフレ率は5年で∔2.6%なので今後インフレが2%台へと低下することが期待されている。
日本ではコアCPI∔4%だが、5年期待インフレ率はよく分からない。
日銀の物価目標+2%なのかもしれないが・・・

長期的に人口が大きく減少し、潜在成長率がゼロ近辺の日本では実質金利が大きくプラスになることは難しいだろう。
・・・としたら長期金利も2%を越えることはなさそうに見える。
現在はインフレ率が国債金利よりも高い状態で、債券投資は物価に負ける。
それでも「変動10」を買ったのは、今後の推移を肌身で感じたいという興味でしかない。




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高まる個人投資家の存在感

ETF








日銀の発表した資金循環表によると、12月時点の家計金融資産は前年比4.5%増加して2023兆円と2000兆円の大台を超えた。
その内訳でも株式等+15.5%、投信+2.04%と伸び率でも高い。
残高としては株式等211兆円、投信94兆円と、個人金融資産全体の、株式等で10.4% 投信で4.6%に高まってきている。

個人投資家の市場内での行動を見ていると、明らかな変化が見られる。
もちろん、デートレードやマネーゲーム的な短期売買も多く見られるが、根本的な投資スタンスが昔の投資家とは異なってきている。

その一つが、当ブログでは何回も指摘してきたが、「投げない」投資家が増えていることだろう。

注目してるブロガーの一人に米国株で資産を作ろうとしている人がいる。
公認会計士だというので、それなりに年収の高い人だと思われる。
新型コロナ急落をした2020年3月には「一日の損失が給料を超えた」としてサラリーマンの投資の難しさをコメントしていた。
しかし、最近のコメントでは「最近、数千万円のマンションを買ったので、その分、資産ポートフォリオの株式の割合が小さくなり、ポートフォリオの変動は小さくなった」ので米国株の下落は気にしていない・・・という。

新築マンション価格の価格上昇だけではなく、中古マンションも二けた上昇している現在、持ち家やマンションで含み益を増やしている個人投資家も多い。
これらの不動産の含み益が個人投資家の株式投資に安心感を与える。
こうした安心感が、個人のリスク許容度を引き上げている可能性がある。
その結果、損しても「投げない投資家」が増え、個人投資家のすそ野が広がっていると感じる。

もう一つは、「長期保有」を実践している投資家が増加していることだろう。

NISAやiDeCoの影響も大きく、個人投資家に「非課税の効果」と「長期投資の効果」が十分に認識されるようになった。
NISAやiDeCoと言うと中心はインデックス投資だが、投資に慣れてくる効果が大きい。

若い頃は「所詮、株屋だろ」と言われ、証券マンはギャンブラーのようないかがわしい職業とされた。
しかし、株式投資は「景気の読み」「ビジネスの将来性」「財務の安定性」などを考え分析した上での「最高に知的なゲーム」だ。
でもこのゲームを楽しむためには「多くの勉強」が必要になる。
NISAやiDeCoでの投資を経験して、投資に必要な知識を自然に勉強できる、これが個人投資家のレベルを大きく引き上げていると思われる。

個人金融資産が2000兆円を越え、株式や投信の保有が着実に増加している。
このトレンドは日本の金融社会を大きく変えていく原動力になるのは間違いない。




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投資損失に耐える方法

個人投資家の最強運用


















株式投資のリターンのブレは「リスク」と呼ばれる。
株式投資で成功するためには、このリスクに耐える精神が必要だ。
リスクにビビッて安値で株式が投げたら、いつまで経っても成功はできない。

では株式投資の損失を耐えきれる方法は?

まず第一に自分の「投資原則」を持つこと。
投資方法は人により様々だが、「投資原則」を作ったら最後まで守ることが大切だ。

「長期投資で一旦買ったら3年は最低でも保有する」という原則を持つ人ならば、株価がどんなに下落しようが売らないことが重要だ。
「損失が出たら株価を見ない」という人もいるが、これは一つの対処法だ。

「デイトレードで宵越しの株は持たない」という原則を持つ人ならば、その日の引けまでに確実に売却し現金化することが重要だ。
日本の夜の間にNY市場で大きな変化があれば、翌日の寄り付き値が大きく変わる。
このリスクを取らないことがその人の原則だからだ。

また、「10%下落したら損切る」というロスカット原則を持つ人ならば、10%下落でロスカットを着実に実行することだ。
筆者は「ロスカット」が嫌いだが、多くの評論家が損失を限定させる方法として薦めている。
これも一つの原則なので、一旦取り入れたら徹底的に実行すべきだろう。

株式投資の損失に耐える方法はもう一つある。

投資専用の口座を持ち、年初に一定額を入れたらそのまま資金の出入りをしないことだ。
こうすることで二つの効果が得られる。

一つは投資専用口座の中で投資が完結するので、どんなに損しようが、日々の生活に影響しないこと。
月間給料以上の投資損失が起こると、多くの投資家はガックシ・・・とメゲてしまう。
その時、投資専用口座と一般生活費の口座を分けておけば、投資損益は生活費とは別次元にあるものだと認識できる。
投資損失が出ても専用口座の中の事で、時間が経てばまた変わる。
でも、生活費とゴチャゴチャになっていると、投資損失で生活費が減り、本人も家族も悲惨な思いをすることになる。
儲かったからといって「自分へのご褒美」はダメ、ちょっと「豪華な食事に」もダメ。

もう一つの副次効果はパフォーマンスの計測が簡単になること。
資金の出入りがあるとパフォーマンス計測が格段に難しくなる。
TOPIXのパフォーマンスと比較したり、キャッシュ保有効果を分析したり・・・などが簡単になる。
運用期間の分析を通じて様ざまな「反省」を次に生かせる。

株式投資は現実の経済や企業に投資しているので、「良い時」も「悪い時」もある。
そうした循環の中に市場はあり、「悪い時」の次には「良い時」が必ず来る。
損益のブレに耐えることが、個人投資家が投資で成功するコツだ。

「個人投資家の最強運用」というキンドル本で個人投資家向けの必要なテクニックを解説した。
一読することをお勧めしたい。


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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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