
ブログで受け取ったコメントで、重要な論点だなと思ったので一度ちゃんと考えてみたい。
まず第一にJリートのガバナンス問題。
コメントは・・・「Jリートは株と違って、運営会社が出資者の利益を最大化するインセンティブが無い。リートは株ではないから。むしろ親会社の利益を最大化することにインセンティブがある」
・・つまりJリートは投資家よりも親会社に向いて運営されていると言う指摘だ。
実際、ほとんどのJリートが不動産開発会社の傘下、ホテルや物流でも大手の開発業社の傘下にある。
Jリート自身は「不動産の箱」で、投資判断は運用会社(大手不動産等の子会社)が行う仕組みだ。
なので、不動産大手とディベロッパーグループと一体的に運営されている。
でも、よく考えてみよう。
成熟した日本社会では、不動産開発業社が行う再開発が大きな不動産市場の成長原動力だ。
東急不の渋谷、三井不の日本橋再開発、森ビルの虎ノ門再開発などが、東京を再生させている。
そして再開発したビル群を売却して次の開発へ資金を投じていくのだが、その際、外部へ売却ではなく、傘下のJリートを使ってグループ内で不動産保有を継続する。
再開発で収益力を上げた不動産は価値が上がるので、物件をグループ内で保有すると将来の賃貸料収入と値上がり益を期待できる。
これはJリートにとっても有利で、親会社の豊富な物件パイプラインを割安(鑑定価格より低い)に取得できるからだ。
もしJリートが独立した運営していたら、再開発のピカピカ物件は簡単には手に入らない。
Jリートの社長として大手不動産会社から独立して運営できる人材も日本にはなかなか見当たらないかもしれない。
不動産系の高度人材は、大手デベロッパーや海外投資ファンドに集中しているからだ。
KKRのような投資ファンドでも、星野リゾートのようなホテル開発でも、物流施設でも同様で親会社の不動産戦略に「不動産の箱」として使われているが、Jリートから見ればクオリティの高い優良物件をグループ内価格で買えるという利点もある。
第二はJリートのリターンが低いという問題。
コメントは・・・「外国株の様に円安の恩恵は受けられず(といっても資産防衛でしかないですが)、外国株ほど伸びるわけでもなく。円の価値がここまで下がっているのに、その円決済での成績がここ数年の惨状では厳しい。インセンティブの在り方に、通貨安とインフレに負けそうなレベルの配当、右肩下がりの基準価額、今後の利上げなどを考えると、現状非常に参入し辛い。」
論点としては二つあるだろう。
一つは為替と投資の問題、もう一つはリターン不足の問題だ。
まずは為替だが、1〜2年の短期投資かならば為替の方向で外株と日本株のウェートを変えるのは正解になるが、10〜20年の長期投資では為替はフラットに考えた方がいい。
10〜20年後の為替レートは誰にも予想できないからだ。
もう一つのJリートのリターン不足問題だが、これは上のチャートを見てほしい。
2003年から26年3月までのJリート指数と、配当再投資のJリート指数のチャートだ。
Jリートは5%の平均配当利回りがあるので、長期になればなるほど、価格だけの指数と配当込みの指数のリターン差が広がる。
この期間ではJリート指数が2倍にしかなっていないが、配当込み指数は5倍に上昇している。
筆者のような高齢投資家が最も恐れるのはボラティリティだ。
思いがけず株価が暴落すると、高齢投資家には致命的な損失となる、リカバリーのための十分な期間もその気力も残されていないからだ。
なので儲かることよりも損しないことが重要で、そのため、不確実なキャピタルゲインよりも確実なインカムゲインを中心とした運用になる。
現在のポートフォリオの配当利回りは5.5%以上、今後10年間5%の複利で運用すれば、10年後には1.6倍以上になる。
60歳代の平均資産3000万円はインカムゲインのみで10年後に5000万円になっているはずだ。
このリターンで10年間、好きな事ができれば十分だ。
若い人たちは一攫千金を狙えるし、仮に失敗してもリカバリーできる。
だから、急騰している半導体株や、米SOX指数に全力投球することもできる。
でも、高齢投資家にはリスクを極力抑えて運用することしかできない。
下落リスクをミニマムにして、コツコツと配当で収益を上げる運用スタイルが合っている。
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