
イラン戦争から世界景気の鈍化懸念一方、AIやデータセンターへの巨額投資、サーバーや先端半導体、それだけではなくメモリー半導体などの需要が急増、米国ではNASDAQへの集中投資が起こり、半導体のウェートが高い韓国株や台湾株を暴騰させている。
NASDAQ、KOSPI・加権指数、日経平均への集中投資、その反面、そのほか多くの指数や銘柄が売り対象になっている。
機関投資家の運用者にとってはこの二極化相場は厳しい。
すでに大きく上がった半導体株をオーバーウェートにしない限り、確実にインデックスに負ける。
否応なくそれ以外のセクターや銘柄を売却し、一方的に半導体株を買い続けるしか方法がない。
これが一段と極端な二極化相場を生んでいる。
今から27年前の1999年、この年も今年と同じような極端な二極化相場が起こった。
一つの要因は携帯電話の普及期でインターネット接続できる携帯の需要が急増したこと。
このインターネットブームで爆発的に売上を伸ばしたのが携帯の販売会社であった光通信、携帯の通信会社の各社、携帯の使われる半導体企業、通信機器などの企業で、当時「勝ち組」とされた。
この「勝ち組」企業への集中投資が始まった。
もう一つは当時2000年問題と言われたシステムの誤作動懸念だ。
「99」など二桁の年表示が2000年で「00」になってしまいシステムの誤作動が引き起こす可能性があるとされ、多くの企業が一斉にシステムの更新やソフトウェアの書き換え、さらにはバックアップシステムへの過大な投資が行われた。
この2000年問題は杞憂に終わったのだが、1999年にこうしたシステム関連投資が爆発した。
この特殊な需要がシステム会社や通信会社、さらには半導体などの部品会社の業績を引き上げた。
ドットコム・バブルと呼ばれた強烈な「二極化相場」はこうした背景で起こった。
ファンドマネジャーが「勝ち組=ニューエコノミー」、「負け組=オールドエコノミー」と区別して、オールドを売却し、「ニューエコノミー株」を爆買いした。
これが極まったのが、2000年を前にした数週間で驚くべきストップ高の連発が起こった。
筆者は当時エクイティ運用部長として自己勘定運用の責任者であったが、クオンツ系・バリュー系の運用のリターンが激落したのをよく覚えている。
一方、モメンタム系の運用が莫大なリターンを上げ、年末の数週間でソフトバンクや携帯販売の光通信、ソニーなどの携帯サプライヤーの株価がストップ高を演じた。
こうなるとロングショート運用者は誰でも「ニュー」をロングに「オールド」をショートした。
年金の運用などでも「ニュー」のウェートを大幅に引き上げるしか選択肢はない。
こうして多くの株式を売り続け、上がる銘柄を集中的に買い続けた、これが「ドットコム・バブルの正体」だった。
2000年正月が終わり大発会で景色が一変する。
大発会の朝、いきなり売り気配で始まり、関連銘柄の暴落が始まると市場は異常な雰囲気に包まれた。
これが二極化が転換した瞬間だった。
それから数年間はバリュー投資の全盛期に入った。
今回のAIの二極化相場は、データセンターが完成し実働し始める27〜30年が大きな分岐点になる。
それまでは、先端半導体にしろ、DRAMなどの汎用品も、サーバーなどのコンピュータ機器も、それを接続する光部品も膨大な需要が出て価格が急上昇する。
でも価格上昇はいつ反転するかもしれない不安定感を持っている。
超好決算を発表したキオクシアも、26/3期で売上げが36.9%伸びたが売上原価が16.5%しか増えていない、つまり、NAND型フラッシュメモリーの価格上昇が全てだったと言うわけだ。
これは競争相手のサムスン電子も同様で、ライバルが増産に舵を切ると価格上昇は止まる。
ドットコム・バブルは2000年が分岐点だったが、今回のAI二極化相場ではNVDAの決算(5/21)が分岐点になるかもしれないと思っている。
1Q決算はNVDAの発表後、織り込み済みの「過去」になる。
その中心のデータセンター投資は金利上昇とともにファイナンスの問題が出てくる、来年もこんな100兆円を超える投資を続けられるかは不透明だ。
株式市場ではキオクシアや古河電がストップ高を連発して、足元の需要以上に数年後の需要まで織り込み始めている。
データセンター向け需要の数年後まで織り込んでしまったら、これ以上のカタリスト(株価上昇の触媒)が見えなくなる。
決算発表が終わる頃が一番気をつけるタイミングかもしれない。
ドットコムバブルの二極化相場の経験でしかないが・・・
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