株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

バブルの物語

FRBパウエル氏「バブルへGO!!」

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パウエル氏は「GDP見通しを1.4%⇒2.1%に引き上げ」「インフレ見通し(コア)を2.4%⇒2.6%に引き上げ」「失業率見通しを4.1%⇒4.0%に引き下げ」にかもかかわらず、今年3回の利下げをするという。
この甘々な見通しをもってNY株は急上昇し、長期金利はちょっと低下した。
市場は非常に素直に、そして鋭い反応を見せたようだ。

強気景気で株式が強烈な上昇トレンドを形成してきた局面で、さらに「景気上方修正でも利下げ」するという甘々なパウエル氏を市場はバブルで反応するだろう。
実質金利が2%前後の高金利経済でも株高を続ける米株式市場に、さらに「3回の利下げ」というガソリンが注入される。
一段と燃え上がるのは必定だ。

では来年2025年はどうなるのだろうか?

FRB25年見通しは、GDPを1.8%⇒2.0%へ上方修正、インフレは2.1%⇒2.2%へ上方修正(コアは変わらず)、失業率も変わらず4.1%となっている。
しかし、24年の株価バブル化を考えるとこの25年の数字はもっと振れ幅を拡大させると思う。
24年後半に予想される「3回利下げ」が株高のブースターになる、もし市場が過熱すれば25年はもしかしたら大きな調整になるかもしれないからだ。

投資家が今やるべき事は、パウエル氏の気が変わらないうちに徹底的に儲けることだろう。
植田日銀も「異次元緩和の次も緩和だ」と言わんばかりのコメントで、市場は緩和継続期待を一段と増した。
パウエル氏も植田氏も、株高の継続が政策目標になっているような気がする。
でもいつ気が変わるかは分からない。




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1999年、ITバブルの記憶

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株高に加速がかかり、半導体関連株が天を突くような急騰を演じている。
こんな市場を見ていると、1999年、四半世紀前のITバブルを思い出す。
筆者は当時、証券会社の自己売買部門で会社資金を運用していた。

1997~98年は危機に次ぐ危機だった。
東南アジアで短期資本の急激な流出で通貨危機が起こり、その後、ロシア危機に飛び火し、その中で巨大ヘッジファンドLTCM(ロングターム・アセットマネージメント)が破たんした。
この危機への対応で各国中銀が急激な金融緩和を行い、危機後の市場には過剰流動性が発生した。
この過剰流動性が起こしたのが「ITバブル」だった。

さらにインターネットの勃興期で、通信がピッチからガラケーさらにスマホへと発展し、インターネットの世界もEコマースが急速に拡大し、「ドットコム・バブル」が起こっていた。
ネット本屋だったアマゾンがEコマースを急速に拡大させ、グーグルがIT世界を席巻し、アップルがタブレットやスマホの新製品を次々に生み出し通信世界を変えた。

こうした「インターネットの夢=ドットコム・バブル」と金融市場の「過剰流動性」が作ったのがITバブルだった。
当時の東京市場でもソフトバンクや光通信がバブル化し、ゲームで急成長したソニーやアップルサプライヤーの村田製作のような電子部品が急騰した。
ニューエコノミーとオールドエコノミーという単純な二分類が集中投資をリードし、オールドに分類された株は全く人気の圏外に放置された。

当時会社の自己勘定ポジションはソフトバンクやソニーやNTTドコモなどが筆頭だったので大きくリターンを上げた。
自己売買部門で100億円の利益を上げた最初の年が1999年だった。

その1999年末が凄かった、今でも記憶に残っている。

12月最終週にソニー株を始め、ニユーエコノミー株が加速した。
ストップ高だったかは記憶にないが、それに近いとんでもない暴騰を三日間連続で記録した。
ソニー株はこの年、株価数千円から始まり、12月末には3万5000円までぶっ飛んだ。
このソニーの3万5000円への急上昇は今でも記憶に鮮明に残っている。

そして、正月休みは普段通りに家族と過ごした。
でもこの期間に冷静になり、2000年の大発会でソニー株を全株売却しようと心に決めていた。
当日大発会はいきなりの売り気配で値が付かず、およそ500円安ぐらいで寄り付いたように覚えている。
これがITバブル崩壊の始まりだった。

なぜ、こんな昔話をしているのか?

現在の市場とは全く異なっているが、半導体株ばかり急上昇する今の株価の動きは当時のITバブルに近づいている感じがする。
しかし現在、最後の三日間ソニー株ほどの熱狂場面にはなっていない。
数日前に「バブルへGO」というブログを書いたが、この映画の中で広末さんが「バブルって楽しい、最高!」と叫んだのを思い出す。
その楽しい株価暴騰もいつかは破裂する。

そのカギは3月FOMCでFRBが何を言うかだと思う。
もし5月にも利下げを想定するならば、この資産価格効果による経済活発化でのFRB利下げは、バブルを巨大化させる要因になりうる。
逆にFRBが慎重な姿勢を見せれば利下げは遠のく、次の一手は「利上げ」だと市場が受け取れば株は暴落しかねない。

3月FOMCが注目点だ。
投資家としては銘柄分散を図る局面だと思う。
食品、薬品、化粧品、家庭用品などのデフェンシブセクターを用心のために組み入れるところかもしれない。



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投資と詐欺師の話(5)日経リンク債、MS転換社債

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教訓④ 「日経リンク債・MS転換社債のトラップに注意

証券市場はフェアであるべきだが、実際は全くフェアじゃない。
需給を歪めて儲けようとしている投資家や投資機関が山ほどいるからだ。

まずは日経リンク債だが・・・
これは債券に日経平均のPutオプションの売りが付いた商品で、たとえば「日経平均が2万円を切ると株式で償還されるが、切らなければ高い利回りになる」という仕組み。
投資家は「まさか日経平均3万円にまでは下がらないだろう」と考えてリンク債を買うが、実際は先物の強烈な売りが続き、マサカの値段が付く可能性もある。
この株価操作によってストライクプライスまで価格を引き下げ、タッチしたら株式で償還されるので投資家は慌ててヘッジ売りをすることになる。

自己勘定の運用部を率いていた時、ちょっと高い利回りが得られる日経リンク債は銀行や生保、投資顧問会社などに日経リンク債がバカ売れしていた。
当時、部下のトレーダーがリンク債の行使価格とその転換株数を一生懸命に計算していた。
強烈な先物売りとともに日経平均が急落し行使価格にタッチすると、一段と輪をかけた枚数で先物売りが入り、さらに一段と暴落する。
この行使価格タッチを想定していたトレーダーは、積み上げた売りポジションを急落時に買戻し莫大な利益を上げた。
リンク債の価格と枚数を計算するだけで大儲けができた。
いかに市場が歪んでいたかを示している。

ムービング・ストライクプライス転換社債(MSCB)も同様で、一定の期間後、転換価格の再調整が行われる転換社債だ。
個別銘柄の貸株を大量に確保しこの変更期間に向けて空売りを仕掛ける・・・相場下落で転換価格が引き下げになる・・・当初予定よりも安く株式をもらえる・・・その受け取った株式で空売りを埋める。
その結果、トレーダーは大儲けできた。

MSCBは資金調達に不安がある企業が投資家が買いやすくなるように設計された金融商品だが、主にヘッジファンドに大量に買われ、強烈な売り仕掛けで企業の株価が暴落させた。
あまりに副作用が大きい金融商品だった。

これらは日経リンク債やMS転換社債に仕掛けられた「トラップ」だ。
こうしたリンク債やMS転換社債を使って、株価操作すれば莫大な利益を得られた。
実際、こうした株価操作を行ったし、株価操作しているトレーダーも見てきた。

一方、リンク債やMS転換社債の投資家は大損を抱えたのは間違いない。
オプションを組み込んだ金融商品などは、株価操作の「トラップ」を仕掛けることで大儲けが可能な商品はその基本構造から再考すべきだろう。

投資家はこうした仕組債には注意が必要だ。
トレーダーが儲けた分、投資家が損することになるわけだからだ。



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投資と詐欺師の話(4)預かり証

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教訓③ 「預かり証詐欺にご注意」

投資ジャーナル事件も若い頃の印象に残った詐欺事件だった。
筆者の記憶では証券詐欺の常道ともいえる「預かり証詐欺」を最初にやったのがこの投資ジャーナルだったように記憶している。

投資ジャーナルの詐欺方法は単純そのものだ。
投資ジャーナルという雑誌を通じて株の推奨を行い、多くの投資家から投資資金を集めたが、実際には買わずに「預かり証」を投資家に渡しただけだった。

投資家の払い込んだおカネは丸々、投資ジャーナルのフトコロに入った。
7000人以上の投資家から600億円近くの資金を集めた詐欺事件だった。

この投資ジャーナルの影響の大きさは、その後、「預かり証」を使った投資詐欺が数多く発生したということろにあるだろう。
投資先ははっきり言って何でもいい、和牛でもいいし、リゾート施設でもいい、ワインでもいい。
「今投資すれば10倍になる」と豪語して投資家から資金を集め、実際には何も投資せずに自分のフトコロに入れてしまえばいいだけだ。

詐欺の前半は資金が流入しているので配当を支払うこともできるが、資金流入が止まると配当の支払いができず、資金ぐりが行き詰まりすぐに破たんする。
しかも投資ジャーナルなどの詐欺の元締めが相当な金額を着服しているので、資金ぐりはあっという間に悪化し、気が付いたら破たんしていたということになる。
そして詐欺がバレて本人たちは「御用!!」刑務所行きになる。
これがこの手の詐欺の行く付くところだ。

こうした何の価値があるのか全く分からない「預かり証」を使って信用させて投資詐欺をするという詐欺手法が作り出したのが投資ジャーナルだったのかもしれない。
「預かり証」という紙で荷物の一時預かりのような安心感を持つとしたら、大きな間違いだろう。
「預かり証」は詐欺の始まりだと考えた方がいい。




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投資と詐欺師の話(3)仕手集団

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教訓② 「仕手株、最後は暴落か?乗っ取りか?」


証券会社に入社した頃、株式市場では「仕手株」と呼ばれた銘柄が乱舞していた。
その中心にいたのが「黒川木徳証券」で、この会社が買う銘柄は次々と大暴騰していた。
これらの銘柄は「マルキ」と呼ばれ、市場で注目されていた。

当時アナリストの端くれにいたが、これらの銘柄をどう分析しても「買える」要素がなかった。
共通点として気が付いたのは、①業績がボロボロの「市場で見放された株」、②「時価総額は数十億円」という小型株、③さらに小型株にもかかわらず「信用取引ができる貸借銘柄」だった。

こうした条件の銘柄を買い上げていくと、割高感が強く出て「空売り」を誘う・・・空売りが溜まった時点で信用買いを現引きする・・・さらに一段を買い上げる・・・損失の巨大化を避けるために空売りの買い戻しが起こる・・・株価はさらに上昇し利食う。

現代の市場では「株価操作」であり「偽装売買」の疑いがあるが、当時の市場では規制できなかった。
この「仕手」を演出していたのが「誠備グループ」だった。

こうした「株集め」の出口は結局のところ二つしかない。

一つは先に出た「ショートスクイーズ」、空売りの踏み上げを利用して利食うことだ。
この出口は一時的だった、なぜなら、投資家は学習し「マルキ」銘柄というだけで空売りを避けたからだ。

というわけで誠備グループはもう一つの「会社による買戻し」を出口戦略の中心にした。
宮地鉄工などが印象に残っているが、株集めをしていくと株価がどんどん上昇する一方、通常の売買対象ではなくなり出来高がどんどん減少していく。
市場の流通株式の大半を買ってしまえば、取引量が減少するのは「自明の理」だ。
そうなると、ニッチもサッチもいかなくなり、最後に暴落してしまう。

そこで笹川氏や大手政治家の名を使って会社側に圧力をかける。
経営者はビビりまくり、仕手筋の圧力に屈し、乗っ取りを防ぐために自社株を買い取る。
そこで誠備グループは株式を売り渡すというわけだ。

こうした「株集め」「株価操作」は現代の株式市場では規制されている。
現代の仕手筋として存在しているのは「アクティビスト」という人たちだ。
彼らは5~10%程度の株式保有なので、誠備グループの「乗っ取り」とは根本的に異なる。
あくまで少数株主として株主意見を会社にぶつけるだけだ。
でも大規模な自社株買いを要求してその自社株買いで保有株を売り抜けるとしたら・・・乗っ取りの誠備グループとそんなに変わらない。



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投資と詐欺師の話(2)ドルワラント

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教訓① 「よく知らない商品を薦められたら気を付けよう」


1980年代後半の日本のバブル株高、その時ロンドンではドル建てワラント債(以下ドルワラ)が大流行し、資金調達のしやすいワラント債の発行は日本企業の間で増えていた。
ちょうどロンドンに赴任した頃だったので強い印象を持っている。

ドルワラ債は債券部分とコールオプション部分を分離して販売されていたので、ドルワラの中身はコールオプションそのものだ。
しかも値決め前のプレマーケットで販売されていたので、投資家にはインチキが可能な商品だった。
値決めまでに大量にドルワラを買い値決め日に発行企業の株を上昇させれば、ドルワラの価格が急上昇し利益を得られたというわけだ。

このドルワラに特定の国内支店からいつも買い注文が入っていたので不思議に思ったが・・・
この仕組みを悪用した詐欺師グループが徒党を組んでロンドンに買い注文を出していたと分かった。
このグループは顧客のカネで価格を引き上げてドルワラを高値で利食ったり、顧客の株資金でドルワラを買うことでその差額をポケットに入れたりと顧客口座を使って利益を上げていた。

あとで明らかになったが、このグループは総額数十億円という金額を顧客から巻き上げれいた。
ドルワラを使ったり取引で儲け、さらに顧客資産を勝手に着服し、顧客口座で勝手に売買し手数料を増やすことで証券会社から巨額のボーナスを受け取っていた。
昔の営業マンには「ダマテン」という顧客に黙って買ってに売買したり、「ノミ行為」という顧客の注文を執行せずに資金をだまし取るなどの法令違反で平気でやる輩も多かった。
こうした悪徳営業マンの典型だ。

その後、ドルワラ投資家がどうなったのかって?

1990年からのバブル崩壊で、一番被害を受けたのはドルワラ投資家だった。
なぜなら、株価の急落でほとんどすべてのドルワラが「紙くず」になったからだ。
ドルワラの市場全体がわずか1~2年で完全に消滅してしまった、まさに「金融商品の絶滅」だ。

ドル建てワラント債だけでなく、多くのインチキ商品があった。
MS転換社債、これは「ムービング・ストライク・CB」と呼ばれ、転換価格が一定期間後に変更されるタイプの転換社債。
日経リンク債、日経平均の価格によって株式で償還される債券。
こうした特殊な仕組みを組み込んだ債券で、多くのインチキが行われてきた。
よく知らない商品は「危険がいっぱい」だ。





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投資と詐欺師の話(1)

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いつも不思議に思うのが、「投資勧誘、投資の勧め、投資は儲かります」的な話が見の回りにいくらでもあることだ
中には「10万円があっという間に800万円になります」「投資の秘法」「テンバガー投資法」などと銘打った広告も多く見られる。

考えてみれば簡単な話・・・

もしホントに儲かるならば他人にその方法を教えることはない、同じ方法で投資する人が増えれば増えるほど当人の儲けは難しくなるだけからだ。
さらにいくら儲かったかをネットで晒す必要もない、税務署に目を付けられるだけだからだ。

証券会社の営業マンが「株の買い」を薦めるのは「手数料」が欲しいからだ。
もし儲かれば実現益を得る「売り」で手数料を上げ、さらに次の「株の買い」で2倍の手数料を得る。
もし損しても顧客の損で営業マンに損失はない。

銀行の営業マンが「投信の買い」を薦めるのは「販売手数料」が欲しいからだ。
「投信」はプロが運用することになっているので、銀行営業マンには全く運用責任はない。
だから銀行マンは安心して「手数料稼ぎ」に集中できる。
投信会社は投信会社で「投資は顧客の自己責任」を繰り返し責任を回避する。

結局のところ、「株や投信の買い」を薦めるのはほとんどが怪しげな人たちだ。
立派な経済学者や経済評論家はそれを理解しているので「投資をやめろ」という。
「投資をやめろ」という人が善人、「投資は儲かる」という人は詐欺的だということになる。
しかし「投資はやめろ」とは正確な言い方ではない。
正確に言うならば「投資の勧めに乗るな」という事だ。
こうした投資詐欺を避けるには「自分で考え、自分の判断で投資」することだ。

筆者は様ざまな「投資の詐欺師」を見てきた。
一度「投資詐欺」について書いてみたいと思っていた。





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「バブル後高値」に何の意味もない

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「33年ぶりの高値だ!」「バブル高値を超えるのか」とか1980年代バブル期と比較する論調が増えているが・・・???と思う。
1990年バブル・ピーク頃の株式市場と2020年代の現代株式市場は全くの別物だからだ。

その頃は重厚長大・製造業(鉄鋼、造船、重電、化学素材など)が中心の株式市場でサービス産業のウェートは微々たるものだった。
NTTドコモ、第二電電(DDI)、NTTデータなどは上場していなかったし、反対に今は存在すらしない長期信用銀行が3行も上場され、今は3行しかない都市銀行も9行も上場していた。
倒産する前の山一証券や北海道拓殖銀行なども上場していた。

今でも記憶しているが、1990年当時、実態経済ではソフト化・サービス化が進展していたにもかかわらず、東証上場企業の構成が重厚長大製造業に偏っている問題だと著書に書いたことがあった。
当時の東証は実態経済を反映した市場していない、そのためには古い企業が退出すると同時に新規上場企業が増加し、市場の構造を変えることが必要だと考えていた。

その後、1990年代から2000年代に長信銀・都市銀行が再編され、鉄鋼や化学や半導体・基礎素材企業の合併が相次いで起こった。
その一方、多くのITサービス企業、通信企業、サービス企業が上場し、現代の株式市場ではサービス産業のウェートが製造業を上回る。
産業構造の変化が東証の株式市場の構成銘柄にも反映されてきた。

日経平均の225銘柄数は変わらないが、その構成銘柄は大きく変わっている。
2000年初頭にハイテク値嵩株がやっと日経平均の構成銘柄に大挙して採用された。
京セラやファーストリテイリング、東京エレクトロン、などはすべて2000年以降に採用のはずだ(記憶の範囲なので間違っていたらごめんなさい)。

同じ日経225といっても、当時の日経平均と現在の日経平均は採用銘柄が全く異なっている。
その後、単位株数も変更され、株式分割も頻繁に行われ、同じ企業でも日経225ウェートも全く違ってしまっているだろう。
こんな指数の状態変化があるのに「33年前の日経平均値が越えた」といっても何の意味があるのか全く理解できない。

一体、3万3000円という株価水準に何の意味があるのか?
バブルの再来かどうか、通過点かどうかも・・・全く意味はない、ましてや、史上最高値を越えることにも意味はない。



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ワイルド過ぎて・・・ツイていけない

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なんだ、これは???
今回の米企業の決算、数字もイロイロだが、株価の反応が半端ない。

まずは・・・AAPL アップル。
1/27の四半期決算発表し、売上げ1239億ドルで予想1187億ドルを上回り、純利益も346億ドルと予想310億ドルを上回った。
確かに好決算で株高になるのは不思議はない。
そして、株価は(1/24)155ドルから(2/3)175ドルまで13%の上昇となった。
純利益が予想より11%増加し、株価は13%上昇し、時価総額が3600億ドル=40兆円増加したというわけだ。

純利益の増加よりも株価の上昇率が大きく、結果、40兆円の時価総額が増えた。
この増え方が凄まじい。
日本株でいえば、東証最大のトヨタの時価総額が、四半期決算だけでまるまる増えたようなものだ。

次にGOOG、アルファベット、グーグル。
四半期の純利益は206億ドルで、EPSでは予想27.5ドルを上回る30.69ドルだった。
つまり、純利益は予想が3.1ドル、11%上回った。
そして株価は2513ドル(1/24)から2970ドル(2/2)へと18%も上昇し、時価総額は3400億ドル=37兆円も増えた。
ここでもまた、東証最大のトヨタ1社が増加したようなものだ。

そして、FB、ファイスブックの親会社、メタ・プラットフォーム。
四半期決算は衝撃だったが、純利益は8%減益の102億ドルでEPSは3.67ドル。
予想EPSが3.84ドルだったので、実績EPSがわずか4%下回っただけだ。
しかし、株価は323ドル(2/2)から237ドル(2/4)まで、なんと! 26%も下落してしまった。
EPSが予想を4%下回り、株価は26%下落し、時価総額が1800億ドル=20兆円の減少してしまった。
東証最大のトヨタの半分が消えてなくなったような感じだ。

これがアメリカなのか、これがGAFA決算なのか?
ごく短期の四半期決算発表で、予想より11%良かった(アップルとグーグル)とか、予想より8%悪かった(フェイスブック)などはよくあることだ。
これに対して企業の時価総額が20兆円も30兆円も40兆円も変動するって・・・何なのだろう?

大型株になればなるほど、値動きは小さくなるのが普通なのだが・・・。
ちょっとした事で、トヨタ時価総額に匹敵する規模で企業価値が変動するってマジか。
四半期という短期の決算変動に対して株価があまりにもブレ過ぎている気がする。
株式市場やその参加者がグリーディでワイルド過ぎるからなのか。

簡単に言えば、リアルなビジネス経済規模と、株やオプションなど証券経済規模がバランスを欠いてしまったということかもしれない。
その原因がFRBの過剰な量的緩和であるとしたら、早目に正常化することが必要だろう。


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FRBのリスクは「政治家への迎合」

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パウエル氏がFRB議長に再任され、2026年までの4年間続けることになった。
このパウエル氏のFRBのリスクが明確になってきている。
それは金融当局の「政治家への迎合」だ。

パウエル氏の議会証言・・・
「FRBのバランスシートは必要な水準をはるかに超えている。今回のバランスシート縮小は前回よりも「より早く、より速い」。バランスシートに関する決定は2─4回のFOMCをかけて行う」

「インフレ目標からは遠く離れている。インフレのコントロールに集中する必要がある。今年後半には供給面で何らかの緩和が見られると想定。そうでなければインフレが定着するリスクが高まり、対応が必要になる」


ハト派で有名なブレナード副議長・・・
「インフレ率を2%に落ち着かせることに重点を置いている。これがわれわれの最も重要な課題だ」
「全国の勤労者世帯からインフレに関する声が上がっていることを、しっかり認識している」

メスター・クリーブランド連銀総裁・・・
「緩和策を解除する論拠には極めて説得力がある。当局のバランスシート上の資産水準を下げるため、バランスシートを巡ってどのような対応が可能かを検討する」

パウエル氏の「バランスシートは必要水準をはるかに超える」発言は、昨年後半「インフレは一時的」と言い続け、過大なバランスシートを作り上げた張本人がよく言うよ、って感じだ。
この半年で物価上昇が加速化すると、今度は「より早く縮小させる」と逆の発言になった。

おそらく、彼の発言の背後にはバイデン政権や政治家の問題意識の変化がある。
政治の要請が、半年前の「どんどん緩和して経済を拡大しろ」から「物価上昇を抑えろ」に変わった。
車価格やガソリンの高騰、食料品の値段上昇という、米国民の物価懸念が政治家を変えたのだろう
そして、「FOMC2~4回でバランスシートの縮小に入る」発言の意味は、「米中間選挙までに物価を抑え込む」という政治の要請があったと読める。

ハト派のブレイナード氏の証言で「インフレ抑制に金融政策を使うこと」が語られ、他の理事たちの発言も同様で、FRB内でのコンセンサスになっている。
中間選挙ではバイデンの苦戦ートランプの再拡大の懸念が広がっている。
バイデン政権は人気取りのためにもより強いインフレ抑制へと舵を切る。
同時にその政治要請を受けたパウエル氏が「過剰なバランスシートの縮小」を引き起こす懸念がより恐ろしい。
急激な縮小により米市場の流動性が急減すれば、債券も株式も大きな混乱を免れないかもしれない。


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バブル崩壊のパターン検証(2)

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過去のバブル、オランダのチューリップマニア、英国の南海泡沫事件、米国の1920年代バブル、日本の1980年代バブル、2000年のITバブル・・・と見ると、バブルの膨張する過程には様々な違いがある。
しかし、バブルの崩壊過程はほとんど同じだった。
一つは損失が雪だるま状態で膨れ上がること、もう一つは政策の変更、特に金融引締めだ。

昔、「バブルへGO」という映画があった。
主婦が開発した洗濯機タイムマシンによって娘がバブルの80年代にタイムススリップ。
その後、大蔵省のバブルつぶしの「計画」を知り、それを若手官僚とともに「計画」をぶっ潰す。
バブルは潰されず、日本の将来は「失われた20年」とは全く違い、繁栄を続けたという「オチ」だった。

バブルは潰してはいけないという大きな経験則がそこにはある。
急激な金融引き締め、政策金利の引き上げ、市場の余裕資金の回収、こうした政策を一気に行えばバブルの大きさに関わらず、バブルは破裂し実態経済に大きな混乱を招く。
過去の事例を見ていると、金融当局の「このまま行くと、資産バブルをコントロールできなくなる」という危機感とともに、「一部の富裕層に富が集中し、一般人はバブルの恩恵を受けていない」という一般大衆の嫉妬心も大きな理由になっている。
こうなると、選挙で選ばれる為政者は大衆の票を得るためにも富裕層増税をしたり、金融引き締めをしたりと、バブル退治的な行動を取る。

重要なことは、バブルを破裂させないようにコントロールしていくことだ。
1990年代のFRB議長、アラン・グリーンスパンは「イレーショナル・イグザービュランス=根拠なき熱狂」と株式市場の急上昇に警告を発し、バブルの巨大化は防いだ。
当時、今でも記憶にあるのは、グリースパンはバブルを「フロス=小さいバブル」と呼び、バブルの巨大化を意識していた。
市場との対話を通じて、FRBの政策意図を市場に浸透させることを重視したFRB議長だった。

また、グリーンスパンの跡を継いでFRB議長になったバーナンキは、2013年に量的漢和を縮小すると発言し、一時的に金融・資本市場は乱高下を演じた(テーパ―タントラムと呼ばれた)。
しかし、2014年に実際にテーパリング=量的緩和の縮小を始めた時には、金融・資本市場は全く混乱せず、FRBの政策意図は完全に市場に理解されていた。
バーナンキのテーパ―タントラムは彼の予想を越えた市場変動を招いたかもしれないが、結果としてFRBの政策変更を市場に織り込ませた効果はあった。

過去のFRB議長は、バブルを破裂させないように市場との対話を重視し、政策意図を予め市場に織り込ませてきた。
これが結果としてバブルの破裂を阻止してきたといえる。

広末涼子さんの主演映画「バブルへGO」は正しかった。
バブルは崩壊させてはいけない・・・時々、ガス抜きをしながら、過剰なポジションを調整させていく。
これによって長期的に安定的に株式市場を機能させることができる。


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バブル崩壊のパターン検証(1)

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過去の歴史的なバブル、オランダのチューリップマニア、東インド会社のサウスシーバブル、1929年NY市場の大恐慌、1990年の日本バブル崩壊、2000年ITバブル崩壊・・・・
多くのバブルの歴史を勉強すると、バブルが形成された理由は様々だったが、バブル崩壊の理由はどれも同じだったという事がわかる。
バブル崩壊はある意味、誰にでも簡単に理解できる。
でも、いつ崩壊するかという時間軸は予測困難だ。

①バブル崩壊は、投資家の損失拡大から始まる。
今ままで儲かりまくっていたポジションが一転損失の転換してしまう。
投資家は焦り、ポジションのリスクを落とす。
多くの投資家が同じ行動に出ると市場は波乱になり、さらに損失が拡大する。
こうしてファンダメンタルな理由がなくても、市場心理の悪化でバブルは崩壊に入る場合がある。
チューリップ熱などは典型例で・・・ある日突然、伸び切った価格が限界に達し、下落に転じ、その後損失の雪だるまが出来上がった。
現代ではヘッジファンドなどが損失で閉鎖といった記事に注意すべきだろう。

②もう一つ重要な事は、それまでバブルを拡大してきた要因が変わること。
多くのバブル崩壊は、ジャブジャブのカネ余りから当局の金融引き締めへ転換で起こった。
1920年代のNYバブル、1980年代の日本バブルは、いずれもバブルが膨らんだ局面での金融政策の変更がキッカケとなった。

まずは①の条件から見てみよう。
GAFA+MS+Tと香港市場のテンセントとアリババの高値から3月底値までの株価下落率、前回の
底値での3/5のPERと時価総額を一覧表にしたものだ。

列1 ピーク 3/5底値 下落率 PER 時価総額
アップル 143.16 116.36 -18.7% 31.56 1953
フェイスブック 294.68 255.31 -13.4% 25.3 727
エヌビディア 612.2 463.73 -24.3% 67.21 287
アマゾン 3380 2951.95 -12.7% 70.57 1486
アルファベット 2143.43 2024.17 -5.6% 34.53 1361
マイクロソフト 244.49 227.39 -7.0% 33.9 1715
テスラ 883.09 563 -36.2% 879.69 540
テンセント 766.5 642.5 -16.2% 58.33 799
アリババ 307.4 220.6 -28.2% 621
株価の単位は米ドル、香港ドル、PERは倍、時価総額の単位は10億米ドル

この9銘柄の合計時価総額は9.5兆ドルで、日本円では1000兆円という巨額だ。
この9銘柄の株価が10%下落すると、100兆円がぶっ飛ぶ・・・日本の国家予算が一気に消えるようなものだ。
3/5の安値からGAFA銘柄群は戻りに入ったが、再び、暗雲が立ち込めてきた。

このGAFA銘柄群が10%下落すると、100兆円がぶっ飛ぶという事実は重要だ。
GAFA銘柄群が3月安値を下回っていくような事態になれば、損失は再度増加する。
もし、これらの銘柄群が20%株価下落すれば、200兆円の損失が投資家に出る。
米国でもバイデンの追加財政が1.9兆ドル=200兆円であり、GAFA銘柄群が20%下落しただけでバイデン追加財政の効果を相殺してしまう計算になる。

①のバブル崩壊条件としては・・・この3月5日の安値を割り込むかどうかが重要だ。
ワシはこれをチェックポイントにして市場を見ている。
米国のインフレ警戒からGAFA株が急落しているが、この3月安値を下回るかが最も重要だ。

日経平均が28000円水準にまで下落してきたが、これでPERは18倍以下になった。
日本株の割高感は相当修正され、フェアバリュー圏に入ってきたとみている。
問題はGAFA銘柄群の値動きだ。

②のバブル崩壊条件は、別途書いてみたい。


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消えるおカネの価値~これからの事を考える~(5)

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世界の中銀の異常な緩和、それによって主要国でマネーの伸びが年率10%以上に達し、「おカネの膨張」とともに「おカネの価値の低下」が起こっている。
インフレで一般物価が上昇し、相対的にカネの価値が下がっているというわけではない。
だから、普通に生活しているだけでは「おカネの価値の低下」を感じないかもしれない。

しかし、財布に現金を入れて持ち運ぶという普通の事が、相対的に損をしているという実感を多くの人たちが持ち始めているのは事実だろう。

第一に、銀行が小口預金を敬遠し始めていること。
コストに見合わない小口預金の口座は減らしていきたい・・・というのが銀行の本音だ。
メガバンクは支店数をどんどん減らしていく・・・その代わりにATMだけを設置した簡易的な場所が増えていく。
支店数を減らせばコストが低下する・・・さらにATMの手数料(入出金など)をどんどん引き上げる・・・これによりコスト削減と手数料収入の増加という二つの効果を得られる。
儲からない小口預金の収益化を図っているというのが明らかだ。
でも消費者にとっては不便でしかも手数料が割高となる。
メガバンクの小口預金はやめた方がいい・・・あるいは、公共料金の引き落としなど、必要最低限にとどめた方がいい。

第二にペイペイやdポイントやメリペイなどのネット決済の利便性が向上していること。
ネット決済を使える店が急速に増えていることだ。
全国のコンビニはもちろんのこと、山梨の田舎でも「ペイペイ」の旗をよく見かけるようになった。
さらにメルカリでも様々な機会でポイント付与のキャンペーンが行われている。
dポイントも積極的なキャンペーンが多く見られ、メールには毎日のように通知がくる。
まさにネット決済は戦国時代・・・ここでシェアの伸ばした会社が勝つというタイミングなのだ。
今後も生き残りを掛けたキャンペーンが多く実施されるだろう。
これを考えれば、ネット決済は現金決済よりも有利な状況が続くだろう。
もうすでに財布にお札を何枚も入れて持ち歩くというのは理屈に合わない。

第三に資産運用の重要性だ。
銀行に小口預金していれば「安心」という時代は過ぎ去っている。
銀行預金しているだけで実は「相対的に損」をしている・・・という意味で銀行預金からなにかしらの資産運用をしなければならない時代だ。
それでは自分の「おカネ」や資産をどう守っていけばいいのだろうか?

この問題には正しい答えはない。
リスクを取らなければならない・・・という意味は損する可能性もあるということだからだ。
リスクと向き合ってリターンを上げることは簡単ではない。
特に銀行預金の代替として資産運用する場合は、リスクの分散に気を使うだろう。
でもこれは将来の生活で必要な知識だ・・・自分で勉強し経験するしかない。
勧められることは、前回論じたように「広く、薄く、多様な資産に分散すること」。
「おカネ」の価値が低下していく現代で、自分で自分の「おカネ」の価値を守る重要性はどんどん高くなってきている。


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アルケゴス、破たんの可能性

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二つの記事が市場を震撼させている。
一つは・・・
「米ゴールドマン・サックス・グループは26日にブロック取引で105億ドル(約1兆1500億円)相当の株式を売却した。同日には中国の大手テクノロジー企業や米メディア企業の株式のブロック取引が大量に行われ、これら企業の時価総額は合わせて350億ドル減少した。」
さらに米モルガンスタンレー経由でも大口のブロック取引があったという。

もう一つは・・・
「野村ホールディングスの米子会社で、26日の市場価格で20億ドルと試算される多額の損失が生じる可能性があると発表した。これは、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントによる取引巻き戻しに関連している。」

さらにブルームバーグは
「アルケゴスが利用していたレバレッジの多くは野村ホールディングスやクレディ・スイス・グループなどの銀行が、スワップや「差金決済取引(CFD)」を通じて提供していた。この取引ではアルケゴスが実際に原資産を保有することはない。」

詳細は開示されていないが、これはおそらくヘッジファンドの破たんという意味だと考えられる。

第一にアルケゴスの中国株の保有ポジションが悪化し、マージンコールが掛けられ、200億ドル相当の株式売却を迫られたこと。
大口のブロック取引を実行したのは、GSだったり、モルガンスタンレーだったりだが、このポジションのプライムブローカーだったのが野村証券で損失はここで発生したということ。

プライムブローカーはヘッジファンドのポジション管理、貸し株のアレンジ、レバレッジ(借金)の管理など、ファンド業務すべてを一括で行うブローカレッジだ。
おそらくポジションの借金を野村が貸し出した・・・そこで、ポジションの損失が拡大し、借金の担保額を越えてしまった・・・そして、ポジションをブン投げた・・・ということだろう。

第二にプライムブローカレッジ業務での損失が20億ドルになるという野村の推測。
これはおそらくアルケゴスのポジション損失からアルケゴスの自己資本(担保)を差引いたものと思われる。
ポジションの売却額が200億ドルで野村の損失可能性20億ドル、その他クレディスイスの損失を考慮しても、レバレッジ(ポジション/担保)は10倍近いと思われる。
一説にはポジションは500億ドル以上、担保資産は50~100億ドルといわれている。
差金取引やスワップを使っているなら全損失の可能性もあり、損失は500億ドル近いかもしれない・・・自己資本100億ドルあったとしても、最大400億円(4兆円)の損失の可能性が考えられる。

第三にアルケゴスの顧客への影響だ。
アルケゴスは中国株に集中したポジションを持っていた・・・この背後には中国系の投資家がいる可能性がある。
米中の摩擦によって、米国に上場している中国株は市場から強制退出になる可能性もある現在、米国投資家が中国株ヘッジファンドに大きく投資するとは思えない。
となると、背後の中国系投資家にも損失が及ぶ・・・その損失を埋める行動に出るかもしれない。

この三点からおそらく、このアルケゴスというヘッジファンドは債務超過に陥り、強制的にポジションを売却、その代金を顧客の支払いに充て、自己資本を吹き飛ばし、破たん状態にあると考えられる。
これが米市場に上場している中国株の暴落が何か政治的な背後があるのか? アルケゴスの中国株ポジションに問題があったのか? 他のヘッジファンドも同様にケースがありえるのか?
この話は、まだまだ・・・分からないことが多い。


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消える「おカネ」の価値~貯蓄~(4)

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世界の中央銀行の異次元緩和によって、「おカネ」がジャブジャブに供給され資産価格が上昇し、相対的の「おカネ」の価値が低下している。
銀行預金にばかりため込んでいる人は、周りの人が儲けていて、相対的に貧乏になってきていることを肌身で感じるかもしれない。
前回の話題だが、「現金」をため込んでいる人、「銀行預金」にため込んでいる人は相対的に自分の資産が減少している。

それでは、どうしたらいいかを今回以降で考えてみたい。

「現金」や「銀行預金」から資金を防衛するためには、何かしらのリスクを取ることになる。
リスクは運用には付き物でも避けては通れないものだが、人のリスク選好度には大きな違いがある。
「高リスク」な人はすでに投資を実行していると思われるので、勝手にやっていてくれという感じだ。
ここでは「低リスク」と「中リスク」の選好度を持つ人がどうしたらいいかを考えてみたい。

まずは、「低リスク」の話だ。
昔は「MMF(マネーマーケットファンド)」があり、短期の金融市場で運用され、そこそこの流動性があり、そこそこのリターンが取れるという商品があった。
しかし、金利がなくなった今日では、こうした短期金融市場はゼロ金利になり、リターンが消失してしまった。

では、銀行預金をどう移したらいいか、でもゼロ金利下ではその移動先は難しい。
そこで重要なのか「リスクの分散」という考え方だ。
しかも、小口に分け、賞金額を多くの金融商品に投資する・・・すると、分散の効果で儲かっても少額、損しても少額というポートフォリオを作れる。
投資の教科書的には、GPIFが行っているような4資産分散(円債、外債、円株、外株)から、その4資産に不動産(オフィスやアパートなど)や国際商品(原油や金や銅など)を加えたものまである。
分散すればすれほど、儲からなくなる反面、大きな損をしなくなる。
一つだけ気を付けることは経済恐慌で、これが起こると多くの資産が同じ方向に動いていしまう。
通常の場合は別々に動くので分散効果が得られる。

「低リスク」の運用をする場合に最初に気を付けることは「コスト」だ。
低リスク・低リターンではコストが最大の問題で、信託報酬が1%や2%もかかる投信を買っていけない・・・コストの安いETFなどを利用することだろう。
また、一つに金融商品への投資額も小さくする・・・たとば、20種類の金融資産に投資し、一つの金融資産には投資金額の5%以内にあるなどの方針を決める。

そして、分散には細心の注意が必要になる。
もちろん、4資産分散が基本だが、それにできるだけ多くの商品を加えていくことも重要になる。
不動産だったら、日本のリートだけでなく、米国やアジアのリートにも分散する・・・さらに不動産の多くのカテゴリー・・・「オフィス」「商業」「住宅」「物流」などに分散することも重要だろう。
国際商品でも「金FTF]や「金貨」、「プラチナETF」や「「原油ETF」さらに「CRBなどの商品指数ETF」などに分散した方がいい。

こうした高度に分散されたポートフォリオならば、リターンは低くてもリスクも低い。
経済恐慌時以外は・・・の話だ。


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消える「おカネ」の価値~貯蓄~(3)

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実物資産の価値に裏付けられた「金貨・銀貨」の時代から、中銀の信用に裏付けられた「ペーパーマネー」の時代、そして、インターネットとプラグラム内に存在するだけの「電子マネー」の時代に変わっていく。
価値の交換として使われる「現金」の価値がどんどん減っていく・・・逆に「現金」より価値の高い「電子マネー」が価値の交換の主役になっていくと前回指摘した。

でも、中央銀行の金融政策によって通貨供給量が決まる「現金」に対して、民間の信用によって供給される「電子マネー」はどうコントロールされ、どう価値を維持していけるのだろうか?
価値を蓄積するという意味で、貯蓄手段をしての「おカネ」を考えてみたい。

貯蓄という観点で一番重要なことは、「おカネ」を増やすことではなく、その価値を守ることだ。
銀行に貯金をして微々たる金利を受け取る・・・これで増えたといえるのか?
もし、現在の金融政策で「おカネ」の価値が下落しているとすると、0.1%以下の微々たる金利がその価値の下落を補ってくれるとは考えにくい。

価値を守るためにどう考えたらいいのだろうか?

第一に「現金」で保有することは実質的な減価と同義語だ。
昔から脱税した「現金」を壁の中に隠したり、縁の下に隠したり・・・映画のシーンでよく見られた。
でも、現代では壁の中に現金を隠している間に、相対的に価値が低下してしまう。
その「現金」で株式指数を買っておけば価値は維持できたかもしれないし、賃貸アパートを買っておけば家賃で補填できたかもしれないのだ。
ただの「現金」では溜め込めばため込むほど、価値は低下する。

第二に銀行預金では「おカネ」の価値を維持できないことだ。
日本人は銀行預金が大好きで、銀行に預けておけば「おカネ」の価値は減らないと信じている。
でも、こうした預金神話はすでに終わっている。
過去の巨額の量的緩和で「おカネ」と「モノ」のバランスは」大きく変わってきている。
一般物価指数ではデフレ的な状況=「おカネ」の価値の増加が変わっていない。
しかし、株式や不動産などの資産価格を考えると、相対的にリターンの低い(あるいはほとんどゼロ)の銀行預金は「おカネ」の価値を気付かないだけで少しづつ失っているのは間違いない。

ではどうしたらいいか?
次回に続く・・・


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消える「おカネ」の価値~交換~(2)

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「おカネ」って何だろう?
昔は金貨や銀貨など「おカネ」自体に価値があり、「おカネ」の価値とモノの価値を等価交換していた時代が長く続いた。
その後「おカネ」自体には価値がなく、政府や中銀が価値を保証する形の兌換紙幣が登場した・・・:ペーパーマネーの時代になった。
そして、ペーパーマネーの時代も終わり、現在は電子マネーの時代への移行期だ。

ペーパーマネーの時代は、実際に造幣局が紙幣を印刷し、その紙幣が中央銀行を通じて民間へ流され、市中で一般人が使い流通していた。
印刷された紙幣は中央銀行の金融政策を通じて市中に流され、中央銀行が紙幣の量をコントロールすることができた。
でも、電子マネーとなると、もう造幣局もいらないし中央銀行も今までのようにコントロールできない。

たとえば、クレジットや電子マネーには一定の範囲で借金ができる機能が付いている。
何の審査も手続きもなく簡単に借りられる・・・もし国民の多くがクレジットカードで短期借金して消費すれば一気に通貨流通量が拡大するかもしれない。

たとえば、ペイペイなどの電子マネーには、通常買い物金額に合わせてポイントが付く。
電子マネーを使って買い物をすれば、ポイントの分だけ安く買える・・・つまり、電子マネーは現金よりも価値が高いということになる。

たとえば、メルカリ内で使えるメリペイは消費税がかからない。
メルカリ内の商品売買は個人間の取引であり、その大半が消費税非課税業者だ。
こうなると、メルペイでメルカリ内で買い物をすれば、新品でも10%安く買うことができる。
つまり、メリペイは現金より10%価値が高いということになる。

価値の交換という意味での「おカネ」は電子マネーの流通増加で多様化し、その電子マネーの価値は通常現金よりも高い。
ポイントの付与や消費税の扱いなどで大きく変わってくるにしても、すでに現金を保有し、現金で買い物をする意味が薄れているのは事実だ。

これから起こることは、価値の交換手段としての現金はだんだん使われなくなるかもしれない・・・ということだ。
「おカネ」の役割には、価値の交換、価値の貯蓄、価値の表示があるが、そのうち、交換手段としての現金は不要になっていく。


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消える「おカネ」の価値~問題提起~(1)

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新型コロナ禍でも株価は好調に上昇してきた。
簡単にいえば、株式の価値はその企業が稼ぐ力によって決まる・・・だから、株価が上昇するということは企業の稼ぐ力が向上していることを示すということだが・・・。

ホントだろうか?

中銀がジャブジャブな量的緩和を行い、前例のない規模でバラマキ財政政策が取られた・・・膨大なおカネが供給されて株価が上がった。
と考えれば、「おカネ」の価値が下がっただけというのが実情かもしれない。
「おカネ」がジャブジャブに膨れ上がると「おカネ」の価値は下がる・・・だから、株価が上がったように見えているのかもしれない。
株式の価値は一定だった・・・株価上昇は見せかけにすぎなかったということもありえる。

「おカネ」の価値をもう一回考えてみようと思ったのは、それが今回の株高の意味を考えることにつながると思ったからだ。
確かに日本ではアベノミクスが始まった2014年以来、長期間に渡って日銀の量的緩和が続いている。
日本政府が発行している国債の半分は日銀が保有し、ETF買いによって日銀は40兆円もの株式を保有し国内最大の株主になった。
これだけ大量の国内債券や株式を買い、その分の「おカネ」を市中にバラまいた。
それでも日本人はデフレにおびえ、現金保有を続けている。

アメリカ人は違う。
この有り余る「おカネ」を株式投資に回し、個人投資家が大きく成長しロビンフッターたちが機関投資家やヘッジファンドのプロ連中を相手に仕手戦を仕掛けている。
この「おカネ」に対する積極性がインフレ心理を煽っているのかもしれない。
長期金利の上昇が明らかになり、超長期を含めイールドカーブが急になってきた・・・期待インフレ率の上昇に入っている。
ジャブジャブのカネ余りの中、米国でさえも「おカネ」の価値に信頼感がなくなってきたのかもしれない。

「おカネ」の価値の低下・・・市場に大きな影響を与えたのかもしれない。
今後の「おカネ」は実物資産に裏付けられた「金貨や銀貨」から、中銀の信用による紙の「ペーパーマネー」に、そしてインタネットのプログラム内に存在するだけの「電子マネー」に姿を変えてくる。
これがどのような影響を経済に与えるのだろうか?

これは問題提起であって、結論ではない。
いろいろな面からこの問題を考えてみたい。


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テスラ株と仏CAC指数

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テスタ株の日足















テスラ株と仏CAC指数は当ブログではずっと注目してきた・・・テスラ株は投機資金の動きを示すものとして、仏CAC指数はグローバル資金の動きを示すものとして・・・。

昨年12月13日に「テスラの三段ロケット」というブログを書いた。
要約すると、第一段は四半期決算の黒字化から、第二段は1:5のストックスプリット期待、第三段はS&P500指数への採用をはやして上昇したが、第四段はネタがなく投機しかない。
そして、880ドルまで上昇した・・・その時の時価総額は70兆円を超え、PERは1200倍という異常値だった。

まさに「投機の象徴」のような存在だった。
そのテスラ株が静かに売られてきている・・・880ドルをピークに昨日の698ドルまでジリジリと下落してきている・・・すでに下落率は2割に達している。
このじり安は何を意味しているのか・・・もしかしたら、投機資金の変調を示しているのかもしれない。
テスラ株の下落にもかかわらず、NYダウはこの二日間でほぼ横ばい、一昨日31512ドル、昨日31537ドルと3万1000ドル台を維持している。
でも、知らず知らずのうちに投機資金に変調が起こっているとしたら、注意を要する。

仏CAC指数については、1月27日に「仏CAC指数の語るもの」というブログを書いた。
グローバル金融相場でグローバル資金が世界の株価指数を持ち上げた・・・ファンダメンタルの悪化しているフランスでも同様にグローバル資金が流入し株高が起こった。
そのグローバル資金に変調が起こると、ファンダメンタルの弱い欧州、しかも観光・農業国のフランスの株価が兆しを見せるのではないかと思った。

しかし、その後も仏CAC指数は横ばいを保っている・・・もちろん、経済正常化を買う現在の相場の中ではフランスの観光産業も回復期待があるのかもしれない。
それにしても、グローバル資金には現在のところ変調は見られていないということだろう。

投機資金とはいっても損失が拡大すれば資金規模は縮小する・・・PER1200倍まで買い上げたテスラ株は大天井を付けた可能性もあり、投機資金は損失の淵に立っている。
一方、グローバル資金はまだまだパワーを維持しているということだろう。
グローバル市場が大きな調整に入るというより投機的な資金の動きが低下し、一部投機的に買い上げられてきた部分が剥落するという感じだろう。
いずれにしても、テスラ株と仏CAC指数からは目が離せない。


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GAFA+Mの止まらない株価


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GAFA+M(+Tesla)の株価上昇が止まらない・・・その上昇スピードは想像以上だった。
7/13に「ニュー〇〇はバブルの香り」というブログを書いた。

要約すると・・・
(1)日本のバブル期は「新人類相場」とネーミングされ、ITバブルは「ニューエコノミー」がキーワードになった。
「ニュー〇〇」というネーミングはバブル期の特徴だ・・・ということで、現在の「ニューノーマル」にもバブルの香りがする

(2)GAFA+Mの株価がバブル領域に入る。
FRBが3兆ドルの量的緩和を行い市場に流動性を注入し、GAFA+Mの時価総額は3月から7月で2.7兆ドル増加した。
しかし、FRBのバランスシートは6月中旬から横ばいで、GAFA+Mの時価総額が3兆ドル以上の増加するなら「バブル領域」に入ると書いた。

GAFA+Mの株価は続伸に次ぐ続伸で、時価総額は・・・
            3月      7月        8月現在(8/26)
G・・・グーグルの時価総額 6190億ドル ⇒ 1兆0340億ドル ⇒ 1兆1230億ドル
A・・・アップル      9700億ドル ⇒ 1兆6590億ドル ⇒ 2兆1640億ドル
F・・・フェイスブック   4166億ドル ⇒   6966億ドル ⇒   8658億ドル
A・・・アマゾン      8350億ドル ⇒ 1兆5870億ドル ⇒ 1兆7240億ドル
MS・・マイクロソフト  1兆250億ドル ⇒ 1兆6250億ドル ⇒ 1兆6740億ドル 
  


この5社の時価総額合計は、3月の3兆8600億ドルから、8月直近で7兆5500億ドルにまで急膨張している。
その増加額は3兆6900億ドルとなり、FRBのバランスシートの増加額3兆ドルを大きく越えた。
つまり、8月以降の株価上昇はバブル的だったといえる。

これをどう理解するのか?
仮説は二つある。
(1)流動性の増加に対して、大きくレバレッジをかけた加速化が起こった。
レバレッジがかかり時価総額が市場の過剰流動性以上に爆発的に増加した。
(2)他の資産クラスから株式への資金シフトが起こった。
債券や商品など他の資産クラスから資金が流れ、それがGAFA+Mの時価総額を膨張させた。

資産間のシフトは、あまり強い印象がない・・・金などの貴金属、原油などのエネルギー、米国債券などもそれぞれ上昇しているからだ。
というわけで、GAFA+Mの止まらない株価の最大の原動力は高いレバレッジだった可能性が高い。

昨日、GAFA+Mの株価が急反落したが、株価のバブル部分の調整に入り始めたということだ。
もちろん、押し目買いも入ってくるだろうから、高値圏での乱高下の状態になる可能性はある。
基本的には8月以降のバブル的な上昇の調整と考えている。


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「ニュー〇〇」はバブルの香り

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評論家の平野氏が言う・・・「超需給相場が始まり、日経平均は2万4000円を越えて暴騰する」
他の評論家も言う・・・「二極化相場がスタートしたばかりで、これから二極化がさらに激しくなる。上昇している銘柄がさらに上昇する」
しかし40年の相場経験が「もういつ壊れてもおかしくないぐらいにバブル化している」とささやく。
どうも「ニュー〇〇」というネーミングが相場に付くと、今までの経験から本能的に警戒してしまうようだ。

ちょっと記憶をたどってみよう。
1980年代後半、「プラザ合意」から急速な円高が進み、円高不況に対応するための金融緩和で日本の株式市場のバブルが始まった。
その時、話題に上ったのが「新人類」で、彼らが作ったのが「新人類相場」と呼ばれるものだ。
新卒の若いファンドマネージャーたちが株価をどんどん買い上げる・・・バリュエーションなど全く気にしない、経験のないファンドマネージャーたち「新人類」だからこそ「怖いもの知らず」でできた事だった。

そして、1990年代末のITバブル。
アジア通貨危機、ロングターム破たんに端を発した金融緩和が背景にあるが、当時インターネットの勃興期でネット企業の夢を買ったバブル相場だった。
この時は「ニューエコノミー」という言葉が流行り、ネット企業を中心とした「ニューエコノミー」とそれに対して古い企業を「オールドエコノミー」として対比した。
両者の強烈な二極化相場がITバブルの正体だった。

そして、2020年、各国中銀の異常な金融緩和により発生したコロナ・バブル。
キーワードは「ニューノーマル」で、新型コロナ騒動に対応したITネット企業の成長期待だ。
人と人の接触を減らしたネットビジネス、在宅でのリモートワークやテレビ会議システム、経理など業務のシステム化・AI化などの推進するハイテク企業が台頭している。
米国ではGAFA+MSがその中核として集中投資に、中国でもアリババやテンセントが物色の核となった・・・かつてないぐらいの一極集中相場だ。

「新人類」「ニューエコノミー」・・・そして「ニューノーマル」・・・バブルの香り
もちろん、バブルはいつ破裂するのか、誰にも分からない・・・でも、いつか必ず破裂する。

GAFA+MSの時価総額は3月から7月現在で次の通りだ。
G・・・グーグルの時価総額 6190億ドル(3月)⇒ 1兆0340億ドル(7月)
A・・・アップル      9700億ドル    ⇒ 1兆6590億ドル
F・・・フェイスブック   4166億ドル    ⇒   6966億ドル
A・・・アマゾン      8350億ドル    ⇒ 1兆5870億ドル
MS・・マイクロソフト  1兆250億ドル    ⇒ 1兆6250億ドル    

5社合計の時価総額は3兆8600億ドルから6兆6000億ドルまで、2兆7400億ドルの増加となった・・・日本円で約300兆円の増加だ。
この間、FRBのバランスシートが4兆1000億ドルから7兆1000ドルまで約3兆ドル増加した。
FRBは米国債や米企業の事業債・CPなどを買い取り、金融市場に3兆ドルを放出した・・・その3兆ドルのキャッシュが株式市場に流れ込み、GAFA+MSのたった5社の時価総額を2.7兆ドル増加させた。
GAFA+MSの時価総額はFRBの超金融緩和の規模とだいたい整合的だ・・・ここまでは過剰流動性で説明がつく。

でも、GAFA+MSの時価総額のこれ以上の増加は説明不能の領域に入る。
そして、実はFRBのバランスシートは6月以降、少しづつ減少している・・・もう債券の買取プログラムが終了している可能性が高い。
「バブルの香り」が「甘い香り」から「危険な香り」になりきそうな・・・


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FRBのバブル作成計画

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米FRBが緊急理事会を行い、FF金利の誘導レートを0ー0.25.%へとフル引下げ、さらに7000億ドル(70兆円強)の量的緩和を決定した。
これで日銀、ECBに加えて、FRBもゼロ金利政策の仲間入りとなった。

しかし、基本的に米国のゼロ金利は日本や欧州とは違う。
日本は生産年齢人口の減少と生産性の低下で、潜在的にもほぼ長期的なゼロ成長に陥っている。
また、欧州も同様に人口の高齢化、金融機関の弱体化、産業の構造転換の遅れ・・・様々な問題に直面し、低成長局面にある。
でも、米国は違う・・・人口は引き続き増加しているし、生産性も向上している・・・さらに金融機関は強力で、産業構造の転換も進んでいる。
米国の潜在成長率は新型コロナ問題があっても2%以上はあると思われる。
ここが決定的に違う。

日本や欧州は所詮、ゼロ成長とゼロ金利・量的緩和の組合せだが、米国はプラス成長とゼロ金利・量的緩和の組合せだ。
プラス成長の国でゼロ金利・量的緩和を行うとどうなるかは明らかだが、それをあえて実施した。
今回のFRBの決定は実態経済に比べ、急激に縮小してしまった金融資本市場の回復を意識したものだ。

さらにG7の緊急電話会議で、ECBも日銀も量的緩和の拡大に追い込まれる可能性が高い。
となると、バブルを作り出そうという意図が見え見えの政策だ。
・・・おそらく、トランプの大統領選挙前の株価暴落は許さないという意志が働いているような気がする


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バブルを期待する事の矛盾

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来年は「NYダウが3万3000ドルになってもおかしくない」というマネックス証券の吉田恒氏。
その根拠は1998年との対比・・・米景気が拡大基調の中でFRBが3回連続利下げを行い、その後株価が急上昇した1998年からその後2000年のITバブルを、今回のNYダウに当てはめると来年NYダウは3万3000ドルになるという。
これは新しいストーリーではなく、バブルが好きな証券会社ストラテジストがよくする話題でもある。

当ブログでも過去のバブルを検討したことがある・・・「バブルの物語」を書いた。
その中で1998年から2000年までの「ITバブル」についても検討した・・・参照してほしい。
このITバブルではニューエコノミーとして情報通信関連が集中的に買われ、その他製造業などはブリック&モルタル企業として売られた。
米国ではアップル・アマゾン・グーグルなどがPER数百倍まで買われ、日本でもソフトバンク株が20万円(分割前)、光通信が10万円以上に押し上げられた。
このITバブルの構成要素は、(1)アジア通貨危機・ロングタームの破たんを背景に米FRBが3回の連続利下げを行った金融緩和、(2)インターネットの勃興期で夢のある成長企業がどんどん上場したこと、(3)ニューエコノミーに対する集中投資で投資家がロング/ショートを通じてレバレッジを高めたことが挙げられる。

本来、バブルは後になって「あの時のソフトバンク株価の20万円は高かったな」とか、「あの時、ソニーが歴史的な高値3万円を付けた」とか、「携帯電話を販売しているだけでITとはいえない光通信が大暴騰した」とか・・・思い出して「バブルだった」という結論になるわけだ。
冷静な市場では考えられない相場がバブルで、バブル相場を説明する理屈はない・・・ここに大きな矛盾がある。
つまり、説明できないバブルが起こるという理屈がないことだ。

金融緩和が必ずバブル相場につながるわけではない・・・ロング/ショートが必ずレバレッジをかけるわけではない・・・GAFAの夢物語も永遠ではない。
1998年と似ているのはFRBの3回の利下げ・・・というだけで、すぐに「ITバブルの再来」に結びつけるのは乱暴な議論のように感じる。
バブルの最中は楽しいけど、その終わりは悲惨だ・・・80年代の日本バブルの崩壊後、日本経済は悲惨な目にあったし、ITバブル崩壊後の数年間はグローバル経済が停滞した。
そして、楽しいが故に誰もうまく逃げられない・・・悲惨な目に合う・・・それでもバブルを期待するのだろうか?


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普遍主義と地域主義

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第二次大戦後の長い歴史を見ていると、普遍主義と地域主義という大きな波が世界経済に大きな影響を与えてきたことが分かる。
普遍主義とは「自由、平等、博愛」のフランス革命ではないが、民主主義、自由や人権などの人類普遍的な価値を求める考え方で、逆に地域主義とは普遍主義に対して自分の住む地域、民族、宗教、文化、慣習などを大切にしようとする考え方だ。
どちらが正しいかではなく両方とも人間にとって重要なもので、その時々の経済・政治情勢の中で極端な形で出てくることがある。

たとえば、第二次世界大戦で欧州もアジアも戦火によって破壊されたが、人類はこうした不幸を避けるために国際的な枠組みを作った・・・国連や世銀・IMFなどの国際機関を作り、NATOなどの集団安全保障体制を作った・・・これらはすべて普遍的な価値を地域エゴに優先し、人類の平和・共存を進めようとするものだった。
こうした普遍主義的な動きが1960年代の「ゴールデン60’s」と呼ばれる経済成長を支えた。

その後1970年代から、特に中南米などの新興資源国で欧米資本から独立しようという動きが台頭し、資源国を中心にして地域の利益を一番に考える方向に変わった。
いわゆる資源ナショナリズムだが、こうした動きが2度の石油危機をまねき、世界経済全体は低成長に陥った。

1990年代以降、インターネットが世界をつなぎ、グローバリズムと呼ばれた世界市場の統一化(仕事のルール・やり方の統一)が進んだ。
欧州市場が統合され、EUが成立したのもこの時期だ。
そして、世界の企業がグローバルなサプライチェーン(世界最適生産)とグローバルな販売チェーンを作り巨大化した。
リーマン危機などをはさむが、生産や技術の移転で新興国も大きく伸び、世界経済が順調に拡大したのも事実だ。

しかし、ここ数年、逆に、地域主義的な動きが世界中で見られ始めた。
欧州では移民の制限を始めEUの根幹でもあったシェンゲン協定が揺さぶられ、イギリスがEUからの離脱を国民投票で決定した。
アジアでは、中国と香港、台湾に摩擦が表面化し、巨大中華圏を分裂させる動きが見られる。
さらに、アメリカでもトランプの過激なアメリカ・ファーストで、多国間(国際協力)より二国間の地域的な協定を重視する方向になり、国際機関が機能不全に陥りそうな気配だ。
米国でも欧州でもアジアでも明らかに地域主義が台頭してきているようだ。

世界経済は普遍主義の時代であった1950~60年代に、1990~2010年代の普遍主義=グローバリズムを中心とするに成長した。
一方、1970~80年代には日本は高度成長期だったが、世界はどちらかというと低成長だった。
地域が優先する時代では経済は低成長に陥るというのが歴史の語るところだ。
さらに地域主義が蔓延すると、世界のいろんな地域で民族意識が高まり、自治や独立を求める動きが強まる。
中国と香港、台湾、新疆ウィグルなどの少数民族、英国ではスコットランドの独立問題、スペインではカタルーニャの独立問題、中東では国境によって分割されているクルド人の民族問題・・・世界の至る所で地域主義や民族主義が立ち上がってくるかもしれない。


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バブルの物語(4暗号通貨バブル)

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ビットコインが登場し、日本でもマウントゴックスが問題を起こし潰れた頃、これが本当にまともに流通するなら金融革命になると思った。
でも、典型的なバブルの要素をその誕生時に埋め込まれていたということに後で気がついた。
ビットコインは金融革命どころか、世紀の投機商品となり、バブルを作っただけだった。

バブルの条件は、まず、第一に壮大な夢。
ブロックチェーン技術によりすべての取引記録が保存され、書き換え不可能で安全性が高く、中央銀行がなくても安全性の高い電子通貨となること。
これにより海外旅行で国境を越える毎に通貨を両替し手数料を払い続ける無駄を省くことができる。
どの国の株式にも交換手数料なしで投資できる、手数料なしの送金も可能な、両替不要な、理想的な国際通貨になる・・・と言う夢だ。
しかし、ビットコインのボラが高く、手数料や投資コストの比ではなかった。

第二に、供給量が抑えられ、強い上昇期待が生じること。
ビットコインはマイニングをすると新規に発行され、マイニング業者の利益にある・・・このマイニングによって発行量が増えていくという仕組みふぁ。
しかし、定期的に発行量の半減期が設けられているので、将来の発行量が減少していくように設計されている。
つまり・・・マイニングで新規のビットコインを得る機会は減少していくことになり、早い者勝ちとなる・・・投機が生まれやすい構造だ。

第三に、高いレバレッジ。
ビットコインを早い段階で見つけた人が大儲けをしたニュースが駆け巡り、人々が熱狂して借金をしてビットコインを買いあさる。
イケハヤなどのブロガーが「仮想通貨、まだ、持っていないの?」などと毎日煽る。
彼らは自分のブログのPVを伸ばすためにビットコインのブームに便乗した。
こうした便乗組が多てきて、異常な雰囲気で投機人気が過熱してしまった・・・逆に一般投資家はビットコインを経敬遠せざるをえなかった。

というわけで、バブル条件、①バブルの夢、②バブルを起こす需給、③加速するレバレッジ、を完全に満たしてしまった・・・これでビットコイン・バブルと呼べる状態だ。
最近、再びビットコイン価格が上昇しているが、バブルはすでに破裂しており、残り火を中国勢が仕掛けている感じだろう・・・それより重要なのは、フェイスブックがLibraという本格的に既存通貨を代替する電子通貨を計画していることだ。
全世界の人口70億人の3割という膨大な20億人以上のアクティブユーザーを持つフェイスブックがシステム内で使える通貨を作ると、これは本格的な電子通貨になる可能性がある。
このシステム内では自由にドルからLibra、Libraから円と両替できるし、リアルな買い物をLibraで決済できれば既存通貨は不要になってしまう。
まさにLibra経済圏が広がれば、フェイスブック王国ができ上げる可能性だってある。

でも、これはバブルにはならない・・・交換レートを安定させ、使いやすくするためだ。
①の条件バブルの夢を見たすが、②必要に応じてLibraが発行されるため、バブルの需給は期待できないし、③Libraによる決済、貯蓄、しかも既存通貨と安定したレートで交換できるという、実用性が重視されるため投機的なレバレッジも起きないと思われる。
でも、これはそれだけLibraが暗号通貨の本命になる可能性があることを示している。


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バブルの物語(3 ITバブル)

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1990年代はインタネットの勃興期で、米クリントン政権で「情報スーパーハイウェイ」構想が進められ、ネット検索のネットスケープやYahoo!が登場した。
そして、インターネットを使ったビジネスの将来性が、バブルの条件①壮大な夢が市場を虜にした。
そうして起きたのがITバブルで、1998年から2000年初頭の時期を指している。
当時、米国でもネットの本屋さんでスタートしたアマゾンが上場し、赤字経営のまま株価が急上昇したり、日本でもソフトバンクや光通信の株価が大暴騰した。
インターネットの夢、ネット企業が次々とIPOでNY市場に上場してきた時期でもあり、IPO価格の急上昇とともにインターネット・バブルが増幅していった。

もう一つ重要なのが、バブルの条件②、ITバブル特有の需給構造だ。
誰が言い出したかは分からないが、当時よく言われたニューエコノミーとオールドエコノミーという二分類だ。
ニューエコノミーはインターネットを中心にしたビジネスで、ネット検索やネットショッピングはもちろん、ネットを使った物々交換までニューエコノミーとして機関投資家の買い候補になり、従来のブリック&モルタル企業はオールドエコノミーとして売り候補とされてしまった。
日本では、ソフトバンクが株価20万円まで買い上げられたり、携帯販売の光通信がニューエコノミーの旗手としてもてはやされたりした。
異常な拡大解釈とともに、単純に良い/悪いの二元論に集約されてしまったため、誰にでも分かりやすく、重厚長大産業を売り、ITの臭いがするサービス産業を買うという行動が市場を席捲してしまった。
こんな二元論で良い企業と悪い企業が決められてはたまらんというところだが、これが現実の株式市場で起こった・・・しかも、日本だけでなく、NY市場でも欧州市場でも起こった。

バブルの条件③のレバレッジだが、実は、このITバブルの前にアジア危機が起こり、アジアの国は資本流出に見舞われ大変な危機に直面していた。
その後、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネージメント)という巨大ヘッジファンドが新興国債券のロングショートで大失敗・・・巨額倒産をしてしまった。
アジア危機とヘッジファンドの倒産・・・こうした流動性危機を回避するため、世界中の中央銀行が金利の引下げを行い、市場への資金供給を増やした。
この金利引下げとその後のITバブルで市場は急速にレバレッジを高め、行きつくところまで行ってしまったというわけだ。
ソフトバンクの株価が歴史的な高値20万円を付けたが、ソニーも1999年の年末にストップ高を連日付けて、株価3万円の上場来高値を付けた。
そして、翌年の大発会からソニーは売り気配になり、株価が急落・・・バブルがはじけた瞬間だった。

ITバブルの恐ろしさは、プロ投資家でも市場の流れに逆らえなかったことだ。
誰もがニューエコノミーとオールドエコノミーという単純な二元論から逃れることができなかった・・・プロのファンドマネージャーでもオールドエコノミー銘柄を買ったらパフォーマンスがガタガタになり、クビになってしまう恐怖に苛まれた。
ただ、バリューファンドのマネージャーは割高なニューエコノミー銘柄を買うことができずITバブルの間のパフォーマンスがボロボロになった。
しかし、それでも忍耐強くバリュー投資を続けたため、その後、ITバブルのピークアウトとともに2000年の初頭に大復活を遂げた・・・日本市場でこれだけバリュー投資が有効だったのはこの時期だけだ。

今月末のFOMCで予防的な利下げを期待する声が市場にあり、一部にはこのITバブル直前の利下げ(1998年)を例にして、今回もバブルが起こるとコメントしている評論家がいる。
バブルの3条件、①バブルの夢、②バブルの需給、③バブルのレバレッジを考えてみよう。
FRBの予防的な利下げで需給は確かにバブルっぽくなるだろうし(②の条件)、債務残高などを見るとレバレッジも高い(③の条件)かもしれないが、バブルを作り出すような壮大な夢(①の条件)が今の相場には欠けている。
だから、一部の評論家が期待するようなITバブルの再来はないと思う。


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バブルの物語(2 80年代日本に学ぶ)

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今さらという感じもするが、やっぱり、避けては通れないということで、1980年代の日本のバブルを取り上げてみよう。
この時期の日本は「バブルの教科書」のような状態で、バブルを勉強するのには最も良い事例かもしれない。

まず、第一にバブルには多くの大衆を巻き込むだけの大きな夢がある・・・視点1は「バブルの夢」。
日本経済は戦後から復興し、半導体や精密部品、自動車、家電などの耐久消費財、カメラなどの精密機器、主要な製造業分野で圧倒的な技術優位を作り上げた。
その頃、ジャパン・アズ・NO1と言われたが、日本国民は日本が1番だと夢見心地になった。
これがバブルの夢を作り出したのは事実だろう。

第二に、バブルを発生させる需給構造・・・視点2「バブルを起こす需給」
黒船(外国資本)が来ると恐れる日本企業は1970年代から株式の持合いをして、外国資本による買収からお互いに身を守る構造を作ってきた。
いわゆる株式の法人化だが、これによって上場株式の3割以上は持合いで市場外で固定されてしまった。
つまり、上場株式の30~40%が市場に出てこない株式となってしまい、結果、流通株式が減少し買いが入ると上昇しやすい市場構造になったいた。
これがバブルの土台となったと4いえる。

第三に、借金して大儲けをしたいというバブル動機・・・視点3「バブルを加速させるレバレッジ」
当時、「ゴルフ会員権は二口買え」と言っている人がいたが、その意味は会員権を2口買っておくと、会員権価格がすぐに2倍になり1口を売却しする・・・すると、無料で会員権1口が手に入るというわけだ。
これが実はレバレッジというもので、バブル発生すると、必ず、レバレッジをかけて大儲けしようとしる人たちが出てくる。
こうした大儲けムードがバブルが増長させていった。

この三点、「バブルの夢」、「バブルを起こす需給」、そして、「バブルを加速させるレバレッジ」がそろった時、市場はバブル的になってくる。
もう一つ重要な事は「大衆を巻き込む」だが、大衆を巻き込むには、バブルの夢が必要だし、誰か先導役も必要だ。
このコーナーでは、こうした三つに視点から、最近起こっている様々な小さいバブルを見ていきたいと思う。



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バブルの物語(1現代のバブルとは)

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古典的なバブルは、たとえば、16世紀オランダのチューリップ・マニア(チューリップの球根への投機バブル)、18世紀英国のサウス・シー・バブル(南海泡沫会社への株式バブル)などだが、その規模の大きさと実態経済への大きな影響がある、歴史的な熱狂相場があった。
それぞれ、金融の天才がものすごく儲かる方法が見つけ、その一攫千金の夢に投機人気が高まり、さらに投機が拡大して一般人も巻き込み、大儲けを企み緩い金融が借入れを増やし、さらに熱狂場面に行く・・・そして、「最後は暴落して元の木阿弥」となる。
言うのは簡単だが、人間の本性=金銭欲が根本にあるので、歴史的にも現在でも何回も何回も繰り返されてしまう。

ここでは現代のバブルを中心に取り上げるので、「バブルの歴史」に興味ある人は、上のガルブレイスの「バブルの物語」でも読んでほしい。
過去の歴史的なバブルとは全く違い、現代のグローバル市場では、昨年の「ビットコイン投機」でも見られたとように小さなバブル(グリーンスパンはフロスと呼んだ)が次々と絶え間なくに生み出されている。
一般の人でも「これがバブルだ」と認識できないと、その後バブルの崩壊で痛い目にあってしまう。
この現代のバブルを見極めて、自己を守る対応策を身につけないと、思わねところで大きな損失を出してしまうかもしれない。

でも、バブルに乗っかって儲けるのはすごく楽しい。
広末さん主演の映画「バブルへGO」でもタイムスリップした主人公が、1980年代バブル期の日本で「バブルって最高!」と叫ぶ・・・というぐらい、バブルは楽しい。
ただし、残念ながら楽しい時期は長くは続かない・・・いつか夢から目が覚める、その時、大損しているのに気がつく・・・これがバブルだ。
そして、バブルのピークで目が覚め逃げることは、極めて難しい。

現代のグローバル市場は、昔と違い、多くのバブルが同時に発生し崩壊していく。
基本的におカネの経済が量的緩和で膨張し、これが恒常化していることで、何か儲かると思うとバブルが発生し投機が投機を呼ぶ・・・昨年のビットコインはその典型例だと思われる。
こうした現代の市場で運用していくにはバブルとの付き合い方がどうしても必要になるだろう。
最近の株式を中心としたバブルを振り返り考えることで、少しはバブルの楽しみ方が分かればいいかなって思う。


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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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