株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

新紙幣とタンス預金

銀行預金をやめる方法

ETF








山梨には地元民が「無尽」と呼ぶ融資制度がある。
銀行を介さない資金の融通制度だ。
各地域で一種の会員制のように無尽メンバーが固定され、メンバーは毎月一定額を拠出し、無尽の基金を運用する。
それが毎年毎年蓄積され、かなりの金額に成長しているらしい。

メンバーが病気になったり、家を建て替えたり、農業資金が必要になったり・・・こうした万一の場合、低利で「無尽」から借りることができるという。
農家や自営業者は銀行から借りることが難しい場合が多いが、「無尽」ならお互いの信用が見えているので低利で借りられる、地元民には便利な制度だ。

余剰資金が多い年には、その一部でメンバー宴会をしたり、団体旅行をしたり、ゴルフ大会をしたりと娯楽メニューも多いと聞く。
いざと言う時の資金、余った時の娯楽など、「無尽」は田舎生活の基礎になっているようだ。

逆に、大手銀行には最近怒りを感じている。

住宅ローン金利を大幅に引き上げ、10年固定では1%以上の金利を取る。
日銀が10年債利回りを0.25%に抑え込んでいるのに銀行の貸出金利が1%以上って何?
さらに預金金利は「ほぼゼロ」のままなのに、住宅ローン金利だけを引き上げるって何?

手数料をどんどん引き上げ、硬貨や小銭を持ち込むと預金するのに手数料を取られる。
支店の統廃合が進められ、近所の支店は閉鎖、二駅放れた支店まで行かなければならない。
田舎の無尽制度が東京にもあればいいなと思う。

それでは「もう銀行預金は最低限しかしない!」と思うが、銀行預金をどこへ持っていけばいいのだろうか?

①タンス預金する。
現金を身近に置くと盗難が心配だが、いざという時には鞄に入れて簡単に脱出できる。
小銭貯金も銀行に持っていくと手数料を取られるので、そのまま硬貨で貯めこむ方がいい。
札束を自宅金庫に保管し、札束を眺めて暮らすのも一興だろう。

②「金」に換えて保有する。
「金地金」は1kgの延べ棒でも小さいので保管が簡単なのが良い。
価値は歴史的にも地域的にも保全されているので安心できる。
でも、金は金利が付かないし、しかも、売却した時には税金がかかるのが鬱陶しい。
しかもドル建て価格は下がっているのでいいが、円建て価格は円安で持ち上げられているので割高だ。

③証券会社で社債を買う。
これは金利の面ではなかなか良い。
事業債では3年で1%近い金利をもられるのもある。
ただ、いつでも買えるわけではないので、証券会社のHPを確認し、社債発行があった時に申し込むことになる。
証券会社に口座を持たない人は面倒くさいと思うかもしれない。

④金利の高い外貨預金をする。
米金利が急上昇しているので利息の面では有利なのは間違いない。
しかし、これには為替リスクがある。
特にドル/円レートが円安に大きく振れているため、この水準から新規の「ドル買い∔外貨預金」は多少勇気がいるかもしれない。
外国人なら誰でも簡単に儲かる「円キャリートレード」が急膨張し過ぎていて、何かの拍子にアンワインド(巻き戻し)が起こると急速な円高に振れる可能性もあるからだ。




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新紙幣とタンス預金(4)

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裏カネかもしれない40兆円のタンス預金をあぶり出すことで、日本経済は健全化されると言われている。
この40兆円はやくざ組織や暴力団、あるいは個人の金庫で退蔵された資金として蓄積されている可能性もあり、このおカネがあぶり出され使われることになれば、40兆円が市中にで回る=カネ回りが良くなり景気にはプラスになるからだ。
マネーロンダリングを厳しく監視し、こうしたヤミの資金をあぶり出すことは、日本経済の健全化につながる。
でも、新紙幣の発行だけではできない・・・新紙幣の発行後も、旧紙幣を使うことができるならば裏カネはそのまま退蔵されるだけだ。
戦後の新円切り替えみたいに、旧紙幣が使えない状況を作り出せば、旧紙幣のタンス預金は新紙幣に交換を余儀なくされる。
でも、新紙幣の発行だけならここまでの効果はない。

それではどうすればタンス預金を一掃できるか?
まず、その一つは1万円札を廃止し、発行しないことだ。
高額紙幣は裏カネになりやすいので、多くの国で高額紙幣の発行を制限している。
英国では100ポンド紙幣(約1万4000円)があるがほとんど流通していないし、中国では100元紙幣(約1700円)が高額紙幣だ。
欧米先進国では高額紙幣より小切手が昔から使われてきたし、今ではクレジットカードが普及し、高額紙幣を使わずに必要な決済ができるし、中国はキャッシュレスが進んでいる。
高額紙幣が必要なのは、カジノとか一部の特殊な場所しかない。
日本で1万円札を廃止したら、1万円札で退蔵されているタンス預金はあぶり出されることになる。

もう一つは中国のようにキャッシュレスのQR決済を一気に普及させることだ。
クレジットカードは個人の信用を基にした決済なので、誰でも持てるわけではない。
しかし、QR決済は個人信用とは関係ないので、QR決済を個人の銀行口座とつなげれば、キャッシュレス社会が実現する可能性が高いし、こうしたキャッシュレス決済が普及していけば、現金で支払いをする人は目立ってしまうし、結果、現金を保有し、現金をため込むが珍しくなる。
周囲の目がタンス預金を自然にあぶり出すことになるかもしれない。

いずれにしても、死蔵されているタンス預金40兆円(=国家予算100兆円の40%)をどうやって活性化させるかは日本経済には重要なことかもしれない。




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新紙幣とタンス預金(3)

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タンス預金は現金が無記名であるため、裏カネをタンス預金しているケースが相当多いのではないかと思う。
たとえば、知り合いに何か頼まれでやり、その御礼として現金を受け取る・・・というのがある。
これも雑所得に含まれるから、本来、申告して税金を納めるべきだろうが・・・実際、そんな面倒なことはしない。
ただし、現金商売している法人が売上を過小申告したら、仕入などの取引相手も法人なので簡単に脱税がバレてしまうのでやめた方がいい。

昔、外銀にドル預金をしていたがその外銀が日本から撤退してしまい、口座が行方不明になってしまったという人がいた。
その人から友人を通じて、「その凍結口座を探し出して本人確認をして口座のドル現金を取り返してほしい」と依頼されたことがあった。 多くの手続きを行いドル預金を取り返した時、その10%を御礼としてもらったが、これも知人間のおカネの移動であり、税金を払っていない。
小口の移動は関係ないと思うが、知人間でも大規模なお金の移動があれば、タンス預金にされるかもしれない。
たとえば、知人とやっている麻雀で大きな規模で掛金が移動した場合とか、おそらく税金は払っていないだろう。
また、反グレ連中が一般人を脅して現金を巻き上げても税金を払わずに現金のまま保有しているだろう。
多くの個人間の相対取引では現金で決済されている場合、課税されない裏カネになっている可能性が高い。

また、パチンコや競馬などのギャンブルの益金も裏カネになる可能性も高い。
本来、公営ギャンブルの益金も年50万円を越えれば雑所得として課税される。
しかし、現金でパチンコ玉を買い、馬券を買って、うまくいったら現金で益金を受け取る・・・としたら、課税するのが難しい。
毎日パチンコして5万円を稼いだとしたら、年300日としても1500万円の収入になる・・・現金でのやり取りだけなら、税務署にはなかなか見つからない・・・これは現金で裏金として保有される。
しかし、競馬の必勝プログラムを作りネットで馬券売買をすると、個人の売買記録が当局に分かってしまう・・・数億円の利益が上げた人がいたが、税務署に課税された事件があった。
税務署は当たった馬券の費用のみを認めているので、はずれ馬券は考慮されない。

個人間のおカネやり取りが多くなると、裏カネも多くなるはずだ。
つまり、タンス預金にはこうした税金を払っていない現金保有が相当含まれていると思われる。
こうした動機で保有されるタンス預金は、出てこないし、出てきたら脱税がバレてしまう。
たとえば、裏カネで土地を買ったら土地の移転登記があるので、所有者が変更されたのが税務署にはすぐにわかり、お尋ねが来る。
だから、新紙幣に交換してもこうした裏カネである限り、表には出てこない。
新紙幣の発行の目的が、もしタンス預金をあぶり出すことだとしたら、うまくいかないだろう。



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新紙幣とタンス預金(2)

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新紙幣の発行がタンス預金をあぶりだすのか? そして、あぶりだされたタンス預金がどうなるのか?

タンス預金は第一生命試算では2017年時点で43兆円とされていて、個人金融資産のうち現預金900兆円の5%程度と、かなり大きい金額になっている。
タンス預金という響きから、一般家庭で現金を金庫に入れて保有しているようなイメージがあるが、これにしては大きすぎる。
40兆円という金額は、1億人の国民が一人当たり40万円のタンス預金をしている金額だ。
でも、これって現実的だろうか?
標準的な3人家族で120万円の現金を家の中のどこかに隠している・・・というのが普通とは思えないからだ。
となると、一部の人たちが何千万円とか何億円とかの現金をタンス預金しているから、国民全体では40兆円という巨額なタンス預金になると考える方が普通だろう。

それではタンス預金はどんな動機で行われているのだろうか?
お金持ちで札束を見るのが好きだという人もいるかもしれない・・・自宅金庫を持ち、中に積み上げられた札束を見て「ニヤニヤする」なんて、ちょっと気持ち悪いが、そういう人もいてもおかしくはない。
また、いつ現金が必要になるかもしれないので、いつでも使えるように札束をタンス預金しているという人もいるかもしれない。
あるいは、銀行が大嫌いで、資産はすべて現金で自宅に保有しているという人もいるかもしれない。

でも、最大にして絶対的な動機は、現金が無記名だということだろう。
昔、銀行の割引債、興銀(興業銀行、今はみずほ銀の一部)のワリコー、長銀(長期信用銀行、すでに倒産)のワリチョーなどがあり、無記名で分離課税だったため多くの金持ちが購入した。
これは税金を払わなかった所得分で割引債を買うことで、実質的な税金逃れをした。
無記名で誰が保有しているのか分からないので税務署に捕捉される可能性が低いからだ。
現金も同様で、税金を払わなかった利益=裏カネを隠すのにこの無記名が都合がいいからだ。

かつて「マルサの女」や北野武監督の映画などでよく見かけたのが、札束を畳の下や壁の内側に隠しているシーンだ。
脱税した現金をタンス預金として隠す・・・というのが実際かなりあるのではないかと思う。
銀行口座で決済したり預金をすると、おカネの動きがすべて税務署に把握されてしまう。
これはゴーン事件をみれば分かる・・・架空のペーパーカンパニーをいくつも経由してマネーロンダリングを図るが、すべての金融システムを通じた資金の流れを分析すれば、どの口座からどの口座におカネが移動したか、結局、捕捉されてしまうものだ。
ところが、現金のみでやり取りをすると、きちんと領収書でも出していない限り、税務署は把握できない場合もある。
これが現金で保有する・・・タンス預金をする・・・動機が見えてくるし、誰がタンス預金をしているかも想像ができるようになる。

次回は、この裏金についてもう少し詳しく見てみたい・・・ただし、犯罪とか暴力組織とかには知識がないので、ごく身近にある裏金と新紙幣について考えてみたい。




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新紙幣とタンス預金(1)

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政府が新紙幣の発行を表明した時、ある解説者は国内にあるタンス預金をあぶりだして流通させることで経済が成長すると発言していた。
本当なのか?
今後、遅ればせながら「キャッシュレス社会」に移行しようとしている日本で、わざわざコストをかけて新紙幣を発行する理由は何なのか?
特に多くの偽札事件が発生しているわけでもないのに、なぜ、新紙幣を発行しなければならないのか?
通貨の信認が問題になるようなインフレが高まっているわけでもないのに、新紙幣を発行する理由はあるのか?
タンス預金をあぶりだすことができるのだろうか?
タンス預金を持っている個人には新紙幣の発行は何か影響があるのか?
・・・多くの質問が頭に浮かぶ。
新紙幣の発行をタンス預金の観点も含めて、改めて考えてみたい。

まず、新紙幣を発行することの意味だが・・・・。
最も分かりやすい理由は「通貨の信認の回復」だ。
昔、第一次大戦後のドイツでハイパーインフレでが起こりマルクが屑となった時、レンテンマルクという新紙幣を発行して切り抜けたことがあった。
日本の第二次大戦後の新円への切り替えも同様に通貨の信認の回復が理由だった。
通貨の信認がなくなり紙幣が紙くずとなったような時、経済の回復政策とともに新紙幣の発行で局面を打開してきた。

二番目は政治的理由で、人心を一新したい時に新紙幣を発行して国民の結束を図ることだ。
記念通貨を発行したりして政治的なお祭り気分を作り出すことで、国民の意識が高まる。
今回も新天皇の即位にからんで発表されたのは、こうした政治的な意図があったのかもしれない。

三番目は紙幣単位の追加や偽造紙幣の一掃などの理由だ。
日本でも2000円札が発行されたことがあったが(残念ながら流通しなかった)、英国でも新20ポンド紙幣が発行されたりしたこともあった。
定期的に新紙幣を発行し、偽造紙幣を一掃したりする国もある。

四番目はデノミなど通貨単位の変更だ。
日本でも1ドル=100円水準から1ドル=1円に単位変更しようと議論されたことがあったが、インフレもない国でデノミをやっても混乱するだけだとして退けられた。

新紙幣の発行については一般的にこんな理由が考えられるが、これから進んでいく「キャッシュレス社会」に対して、コストをかけて新紙幣を出す理由は不明だ。
そして、解説者の言うように、新紙幣がタンス預金のあぶり出しを意図したものなのかも不明だ。
そこで次回は「タンス預金」についてもう少し考えてみたい。



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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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