株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

小型株のパフォーマンス

小型株を考える(3)金利との関係

ラッセル2000と実質金利
ラッセル2000と実質金利202405
















上のグラフは小型株のラッセル2000のEPSと実質金利の関係を見たものだが、実質金利がマイナスの2020年から22年(網掛けの部分)新型コロン後には急速にEPSが増加した。
そして2022年以降はFRBの引き締め政策で実質金利が上昇し、逆にラッセル2000のEPSは伸び悩んだ。

しかし、これをもって実質金利が高い時期は小型株は低調になると一概にはいえない。
新型コロナ禍、その後の経済正常化という特殊な時期であり、巣ごもり需要が一巡したことで小型株は売られた面もあったからだ。

一般的に考えられるのは・・・

①小型株には財務体質の弱い会社が多く、金利上昇すると借金返済が厳しくなること。
これはあくまで一般論にすぎない。
金利以上の収益性があるビジネスならば、高い金利でも成長できる会社も多くある。
日本の小型株の中にも株価下落でも利益は増加している会社も多くある。

②投資家が金利上昇期は小型株を避ける傾向があること。
米国にはGAFAMという大型成長株があるので、金利が高い時期でも利益成長できる投資対象が多く、資金は金利上昇期にはGAFAM型の銘柄に集中する。
こうした投資家の事情も小型株の軟調の理由になっているかもしれない。
これは投資家心理の問題だろう。

③日本の小型株は需給要因で動くこと。
小型株投資家は短期トレードが多い。
だから、需給のしがらみがないIPO銘柄に小型株投資家の関心が集中する。
新規上場銘柄には過去のシガラミがなく、短期の需給だけで動くからだ。
一般的に流通株式が少ない小型株は、数人の投資家が動かすこともできる。
という意味で短期需給が株価に大きな影響を持つ。

小型株投資は、①金利上昇と投資家心理に影響しているのが大きい、②需給の波に乗ってモメンタム(上がった銘柄を買う)投資をするのが基本といえる。
良いビジネスモデルを持った銘柄を大きく下落した場面で買うとしたら、相当なリサーチと忍耐が必要なのかもしれない。






 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村  

小型株を考える(2)EPS成長

ラッセル2000のEPSと実質金利
R2000と実質金利202405
















東証グロース指数EPSと銘柄数
グロースEPS
















米小型株のEPSは金利上昇局面で完全に伸びが止まった。
新型コロナ禍での巣ごもり成長株物色、それに伴ってEPSも20~21年に急増したが、その巣ごもり需要が一巡し、FRBが引き締め政策に転じるとEPSは低調な伸びにとどまった。
これが米小型株の長期低迷の最大の理由だったのではないかと思う。

しかし、この低迷期から脱しつつあるように見える。
ラッセル2000のEPSは今年に入り、ピックと上昇した。
これが本格的なEPS増加基調に入るかどうかはまだまだ不明だ。
でも、少なくともFRBの引き締めが完了してくると小型株を取り巻く環境が変化してくる。
今年後半の動きがポイントになるだろう。

日本の旧マザーズ指数は一段と弱い動きだが、基本的には米小型株と同じで新型コロナ禍の巣ごもり需要で大きく株価上昇した後はずっと低迷していきた。
しかし、東証グロースのEPSを見ると、米小型株と同様にEPSが増加に転じている。

米小型株と同様、これが本格的なEPS成長期に入るかはまだ分からない。
日本の場合米国に遅れて国債買い入れの縮小や停止、ゼロ金利からプラス金利への金利正常化も進んでくる。
金利は今後も緩やかに上昇してくるが、そのペースは極めて緩慢だろう。
という意味では市場が金利を過剰に織り込む傾向があると思われる。

今年後半に米小型株の利益が増加トレンドに転じてくるとしたら、旧マザーズ銘柄にもチャンスが回ってくるかもしれない。
22年からの長期低迷は、そろそろ脱却のポイントが近付いているようにも見える。
小型株投資も選択して買う価値は高いだろう。




 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村  

小型株を考える(1)グローバルに低迷の理由

russell-index-us







グロース250指数はかつてマザーズ指数として人気があった指数だが、どうもマザーズの名前を変えてから良い所がない。
日経平均がバブル高値を越えて4万円を達成したのに、一方はダラダラと下落を続け、コロナ・ショック時の安値に接近している。

なんでこうなるの?

小型株が軟調なのは日本だけでなく、米国でも見られる顕著な現象だ。
ラッセル2000のチャートを見てみよう。
ラッセル2000とPER
















上のグラフの赤線が小型で構成されているラッセル2000指数の推移、青線はラッセル2000のPERの動きだ。
通常ならば小型株は成長性が高いのでPERは高めになる。
でも現在は、ラッセル200の予想PERが24.3倍、S&P500が21.4倍、NASDAQが27.3倍と大型株の平均的なPERだ。
ラッセル2000はS&P500よりも若干高いが、NASDAQよりも低い。

しかもPERのチャートを見ても分かる通り、もう3年間もPERは20倍台で横ばい、なんともトレンドが見えない感じ。
株価も21年に新型コロナ禍で付けた高値2437ポイントから低迷、現在でも2069ポイント(5/24)と高値から15%の低い位置に留まっている。
マザーズ指数よりはマシかなというところ。

株式ブームに沸く米国株でも小型株は全く人気の圏外にある。
これは日本のグロース250指数の低迷と共通するものがあるのかもしれない。

なぜ、小型株が軟調なのか?

仮説としては三つの要因が考えられる。
①EPSの成長が鈍化していること(利益成長の問題)
②金利の上昇で財務が悪化していること(金利の問題)
③大型株の好調で資金が偏在していること(株式需給の問題)

もう少し深堀して考えてみたい。
・・・続く。



 相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村  

小型株の底入れを考える(2)

マザーズ指数202310















小型株専門のファンドマネージャーN君は昔からの知り合いだ。
彼は30年前に新人アナリストとしてロンドンに出張してきた。
当時英国機関投資家セールスをしていたので、英国の運用会社訪問でN君を連れまわした。
それから15年、筆者が運用会社のCIOになった時、N君は小型株専門のファンドマネージャーになっていた。

企業はヒト・モノ・カネで成長する。
ヒトは有能な人材、小型企業の場合社長のリーダーシップが人材の価値を決める大きな要素になる。
モノは企業の資産、これは有価証券報告書に乗っているし、必要とあれば現地で精査するば分かる。
カネは企業の資金調達能力で、やはり社長のリーダーシップに大きく依存する。
N君は年間700~800社の社長をインタビューして、そのヒト・モノ・カネを精査し、企業の将来性を評価する。

ボトムアップのバリューアプローチを徹底することで、彼の中小型ファンドは高いパフォーマンスを上げてきた。
彼の実績は公募投信の「日本中小型株」のパフォーマンスで確認できる。
1年パフォーマンス+28.6%、3年+61.5%、5年+47.6%と圧倒的だ。
これは分配金再投資後のパフォーマンスだが、素晴らしい結果だ。

N君のファンドの組入れ上位銘柄は①タムロン、②ニチアス、③黒崎播磨の3銘柄。
多くのファンドと全く違う。
小型株の醍醐味はここにある。
誰にも見向きもされない株を探し出し/リサーチし/評価し買うことだ。

現在の株式市場はインデックス売買に占領されている感があるが、こうしたボトムアップの銘柄選択が有効だったというのは興味ある事実だ。
もちろんバリューが効いたのは小型株も同じだろうが、あいまいなスタイルで運用するのとは一線を画している。

マザーズ市場や小型株市場は海外投資家の強烈な空売りに影響されており、海外投資家がは反対売買に入れば「底入れ」となるだろう。
でもこうしたテクニカルな売買は本流ではない。
「小型株を自分なりにリサーチし、その株価を評価し買う」という基本動作が重要なのだ。
今回のマザーズ市場の急落はこうした基本にかえるという意味で大切な事を学ぶ機会だったように思う。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村 

小型株の底入れを考える(1)

マザーズ指数202310


東証マザーズ指数の日足












東証マザーズ指数が急落している。
これを見てある評論家は「マザーズ市場は11月に名称変更するので底入れする」と言う。
「マザーズ」の名前を変えるからって「底入れ」する???
もちろんここまで下落しているので「いつ底入れしてもおかしくない」といいう状態かもしれない。
でも小型株の下落は日本だけの話ではなく、米国のラッセル2000などの小型株指数も厳しい下落に見舞われている。

東証マザーズ指数は6月ピークから10月直近まで24%の下落となったが、ラッセル2000も7月末ピークから10月直近まで15%の下落。

ラッセル2000の下げた理由は明確で、予想EPSが7月末79ドルから10月73ドルまで短期間で7%低下したこと、つまり業績の下方修正が原因だ。
もちろん、多くの評論家が言うように「長期金利の上昇でPERが低下する」というのも一因だが、ラッセル2000のPERは25倍から23倍に低下したにすぎない。
米金融引き締めで資金調達が滞ったり、高金利の融資でコストが上昇したり、金融面から小型企業の業績を圧迫し始めたというのが最大要因だといえる。

これに対して東証マザーズ市場の低落はEPSの低下というよりも、株式需給の悪化で売られたという面が圧倒的に強い。
       9月   8月   7月   合計
海外投資家 -303 -124 -828 -1255億円
個人投資家 +284 +274 +759 +1317億円

東証グローズ市場の投資家別売買で明らかだが、海外投資家が1255億円売り越し、個人投資家が1317億円の買い越しと、海外投資家と個人投資家が対立している。
海外投資家の下値を叩く売りと個人投資家の押し目買いの構図だ。
当然、海外投資家の売りが強くグロース市場・マザーズ市場の下落の最大要因となっているだろう。

マザーズ銘柄の7ー9月期決算が出ればこの間のEPSの動きが見えるが、おそらくそれほど大きな変化はなさそうだ。
となると、マザーズ市場の急落は主として海外投資家の売り、市場をつぶすような売りが原因だ。

この売りが何だったのか?
日本の景気悪化を予想して小型銘柄のEPSが急低下すると見ているのだろうか?
それとも国内金利が急上昇して資金コストが急上昇、資金調達難で回転資金が枯渇するとでもいうのだろうか?
両方とも現段階では考えにくい。

マザーズ市場の流動性が低いことを利用して、空売りを仕掛けて指数を急落させているかもしれない。
もう一つの需給イベントは買い手に回っている個人投資家の年末「タックス・ロス・セリング」だ。
損失の出ている銘柄を売却しキャピタルゲインを相殺する「税金対策の売り」だ。

当面、需給相場の様相を強め乱高下が予想されるが、年末にかけては今度国内個人の「税金対策の売り」が気になるところだ。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM






にほんブログ村 

小型株のパフォーマンス悪化を考える(2)

IMG_0560
















前回は主要な小型株ファンドの概要を見てきたが、今回は小型株ファンドのパフォーマンスに焦点を当てて考えてみたい。
過去3年のリターンは小型株がTOPIXより圧倒的高いが、この1年ではTOPIXを下回る低調なパフォーマンスだ。
特にここ6か月と1年のリターンは東証TOPIXを大幅に劣後している。
資産残高 パフォーマンス    
    3か月 6か月 1年 3年
ひふみ投信 1307億円 12.1% -13.1% -10.3% 35.0%
日本中小型株 254億円 4.9% -15.9% -16.7% 46.5%
コモンズ30 151億円 7.2% -14.1% -9.8% 29.6%
小型ブル-チップ 105億円 9.7% -15.4% -12.9% 29.4%
TOPIX   7.7% -11.2% -5.9% 26.2%

その理由をいくつかの点から考えてみよう。
まず、景気期待との関連だ。
小型株、特に新興市場株などは、一般的に、IT関連のサービス、ソフトウェア開発、その他一般サービス産業が多く、東証1部のように製造業のウェートが高い市場ではない。
したがって、サービス産業などの非製造業は景気変動の波を受けにくく、小型株は景気敏感ではない。
こうした点で1月以降の景気持ち直し期待で上昇した市場ではどちらかというと出遅れてしまうのかもしれない。

次に市場内の需給関係との関連だ。
年初来の値動きでは日経225の値嵩株の動きが良く、NT倍率(日経225/TOPIX)が上昇を続けた。
ある意味、225のインデックス買いが株高の大きな原動力になったといえる。
こうしたインデックス売買が市場を席捲している状況では、小型株はサイドラインに置かれてしまう傾向がある。
これも小型株のリターンが低調だった理由だろう。

さらに考えておきたいのは、もう少し中長期の株式需給だ。
2017年は小型株に大きな外人投資家の買いが入った年で、逆に2018年は外人投資家売りが続いた年となった。
2016年から17年は、今でも覚えているが、中東のオイル系の大手運用機関が小型株投資を増加させた年だった。
当時、新規に委託を受けた投資額は小型株への投資としては非常に大きい規模の数百億円だった。
こうした外人投資家の買いが市場にインパクトを与え、小型株ファンドのリターンを向上させた。
逆に昨年は外人投資家が売り越しを続け、小型株のパフォーマンスが悪化したというわけだ。

ここから得られる教訓は、(1)小型株は非製造業・サービス企業が多く、景気が悪化しても比較的強い、(2)インデックス売買が席巻している市場では疎外される(リターンが上がらない)、(3)個人投資家の好きな銘柄が多く、一見、個人投資家動向に左右されると思われているが、実は長期投資家の姿勢に大きく影響される・・・この3点だ。
そして、このパフォーマンスの悪化は、今の市場需給が多くの要因だということだ。
インデックス売買中心の市場でパフォーマンスが悪化するのはあたりまえで、むしろ、このパフォーマンス悪化時期が買い場になるのかもしれない。




にほんブログ村

小型株のパフォーマンス悪化を考える(1)

IMG_0602
















小型株ファンドのパフォーマンスが落ちている。
「やさしい投信の選び方」でも書いたが、小型株投信のファンドマネージャーはけっこうプロ意識が強く、そしてかなりマニアックな連中が多い。
そして、これらのマニアックなファンドマネージャーが意外と苦戦している。

主な小型株・独立系ファンドを一覧表にまとめたのが下の表だ。
まず、ここ数年で大きく資産残高を伸ばしてきたのが「ひふみ投信」。
もともとジャーディンフレミングで小型株アナリストをしていた男が、その後いろいろあって独立系投信を立ち上げたのがこの「ひふみ投信」で、ここ数年の好調なパフォーマンスに加え、確定拠出年金やNISA向けの対象ファンドに選ばれ、宣伝のうまさもあり急成長してきた。
現在、公募の「ひふみ投信」、NISAやiDeCo向けファンドの元となっているマザーファンドは7500億円にも達し、純粋に小型株だけで運用できる限界をとうに超えてしまった。
そのためにアメリカ株も組入れるなどの組入れ銘柄の拡大対応をしているが、もはや小型株ファンドとは呼べなくなっている。
過去3年のリターンは+35%と高いが、ファンドの変質とともに高いリターンは期待しにくい。

「日本中小型ファンド」は超マニアックなファンドマネージャーが運用しているが、毎日4~5社の経営者と面談し、年間1000社の面談結果とデータを基に組み入れ銘柄を決める。
企業の中期的に達成可能な利益水準と適正なバリュエーションを想定して、上値余地の大きい銘柄を組み入れていくという運用手法を取る。
さらに新興市場と東証2部銘柄がファンドの10%以上あり、他のファンドより小型株バイアスが強いこともこのファンドの特徴だ。
ファンドのパフォーマンスは純粋に小型株から生じているため、他のファンドよりもパフォーマンスのバラツキが大きい・・・過去3年で+46%と圧倒的なリターンを生み出している反面、過去1年で-16%と一番やられが大きい。

「コモンズ30投信」は、著名ファンドマネージャー氏が独立系運用会社を立ち上げ、公募投信を運用しているものだ。
これも純粋に小型株・新興市場株ファンドとはいえないが、独特の投資判断で長期投資を実践するファンドで当然小型株の成長をリターンの源泉にしているファンドだ。
でもパフォーマンスとしてはあまりパッとしない・・・過去3年で+29%、過去1年で-14%とどちらも中程度だ。
渋沢栄一の子孫が立ち上げた会社なので、今度の新紙幣発行で多少人気になるのことを期待しているかもしれない。

「小型ブルーチップ」は最大手の運用会社が運用する小型株特化の投信だ。
この最大手運用会社と親会社の強力な販売力で設定した投信はどれでもよく売れてしまうので、運用のプロである必要はなく、サラリーマン的なファンドマネージャーで十分なのが投資家から見るとマイナス要因だ。
このあたりの事情がパフォーマンスにも表れているのだろう・・・過去3年で+29%、過去1年で-15%と、他の投信と比較して、儲かる時は小さく損する時は大きいという特徴がある。

次に、小型株のパフォーマンス悪化が何を意味しているかを次に考えてみよう。

資産残高 パフォーマンス    
    3か月 6か月 1年 3年
ひふみ投信 1307億円 12.1% -13.1% -10.3% 35.0%
日本中小型株 254億円 4.9% -15.9% -16.7% 46.5%
コモンズ30 151億円 7.2% -14.1% -9.8% 29.6%
小型ブル-チップ 105億円 9.7% -15.4% -12.9% 29.4%
TOPIX   7.7% -11.2% -5.9% 26.2%




にほんブログ村
最新コメント
読者登録
LINE読者登録QRコード
楽天市場
プロフィール

kabusanjin

株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
カテゴリー
RSS
  • ライブドアブログ