株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
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クレジットを考える

ファーストR銀行の処理、まるで「ハゲタカ」じゃん

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今年3行目の米銀破たんはファースト・リパブリック銀行だった。
この破たん銀行をJPモルガンが106億ドルで買収し、市場も政府もFRBも安堵した。
このやり方、昔、日本の銀行の不良債権をハゲタカ外資が買い取ったのに似ている。

まずは基礎データから・・・
ローン債権1730億ドル(法人や富裕層への貸し出し)、保有証券300億ドル、預金920億ドル(そのうち300億ドルは公的預金)
株価は3月1日122.5ドルから4月28日に3.51ドルまで97%の急落。

昔、日本の銀行が不良債権に苦しんでいた時期、ゴールドマンサックスに転職した友人が日系銀行の不良債権をバルクで買い取るビジネスをやっていた。
この時この友人が言っていたのを思い出す。
「額面100の不良債権を額面の4%程度で買い取るから大儲けだ。」
「回収できないモノはすぐにゼロに、回収できそうな債権は数年かけて回収する。」
「ほんの一部分でも回収できれば、額面100の7~8%にはなる、つまり、買い取った価格が簡単に2倍になるということさ。」

世間で批判された不良債権を切り離したい日系銀行は超格安で外資系ハゲタカに売り、そのハゲタカが大儲けするという構図だ。
その際、回収見込みのない中小企業の債権はゼロ評価、つまり破たん先として扱われ、会社は倒産に経営者は個人破産に追い込まれる。
銀行経営者は不良債権を切り離して自己保身をし、ハゲタカは見込みのない企業を倒産させ、残りの一部で大儲けする、その結果、多くの中小企業が倒産しその経営者が破産した。
これが日本経済の長期停滞を招いた。

ファーストR銀の処理はこれと同じ構図だ。
ローン債権1730億ドル∔保有証券300億ドル、合計2030億ドルの資産をわずか106億ドルでJPモルガンが買い取った、つまり、額面の5%で買い取ったハゲタカと同じだ。
このローン債権は不動産会社への融資が多いらしいが、必ずしも不良債権(金利の支払いが滞った延滞や破たん先の債権)というわけではない。
当時の日系銀行の不良債権よりも回収の可能性が高そうだし、300億ドルの保有有価証券は時価で買い取っているはずで損失は限定されているし、国債だったら満期保有すれば額面で償還され大儲けだ。

これを額面の5%で買い取れば、かなりのリターンを生む可能性が高い。
こうした期待でJPモルガンの株価は上昇したのだろう。

損得勘定を考えてみると・・・
一番の大儲けはもちろん債権を買い取ったJPモルガンなのは間違いない。
二番目は緊急融資した銀行預金がまるまる戻るので米金融当局もバイデン大統領もメデタシメデタシ。
マイナスの一番は株主や出資者で、株式も劣後債もまるまる全損失になる可能性が高い。
ひょっとしてマイナスなのが、ファーストR銀行から借金をしている会社や個人で、債権回収の圧力を受け、返せなければ「倒産、破たん、破産」という可能性もありそう。

株主や出資者は全損失を処理しなければならなし、ハゲタカと同じように次々と倒産や個人破産をさせれば、米国のクレジット市場が打撃を受ける。
今のところ米クレジット市場は安定しているが・・・他の米地銀の破たんがあればちょっとヤバくなるかもしれない。
いずれにしても時間差を持って影響するかもしれないので注意は怠れない。




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シリコンバレー銀行とリーマンブラザーズ(2)




この図は2007年末に作った米国のクレジット関係図だ。
これを作成後、9か月経ってリーマンブラザーズが破たんしたが、クレジットリスクを端的に示したものだったと思う。

簡単にいえば・・・
サブプライムローン1.5兆ドルを含む10兆ドルの住宅ローン市場と10兆ドルの社債・モーゲージ市場からおよそ10兆ドルの証券化商品が組成され・・・
それを束にしてCDS(クレジットデフォルトスワップ)やCDO(クレジットデフォルトオブリゲーション)が作られ・・・
さらにクレジットデリバティブ(想定元本20兆ドル規模)をシニア/メザニン/劣後に分けて、それぞれのリスク許容度に分けて販売された。

リーマン危機では、こうした複雑に組み合わされたクレジット商品も次々と破綻したが、誰がどのリスクを取ったのか分からなくなり機関投資家の間でお互いに疑心暗鬼になった。
これがカウンターパーティ・リスクとして企業間の取引が滞り、為替市場から貿易金融まですべて金融取引が停滞してしまった。

これがリーマン危機の正体だが、これと今回のシリコンバレー銀行(SVB)と比べてみよう。
SVBの影響は①国債を保有するすべての銀行への影響、②ベンチャー企業やスタートアップの資金繰りへの影響、③暗号通貨市場への影響の三つだろう。

①についてはどのぐらい深いかの判断は難しい。
SVBは総資産211十億ドル、自己資本16十億ドル、利益レベル1.4十億ドルと厳しい状態で、下落した国債を投げざるを得なかった。
しかし、多くの金融機関は健全な財務状態にあるので、大きな影響は出ないかもしれない。

リーマン危機では想定元本20兆ドル規模のデリバティブの処理の難しさから危機が拡大したが、今回は米国債の問題であり、デリバティブの問題ではない。
少なくとも破たん処理の難易度は低いといえる。

②については複数のスタートアップの資金繰りに影響するのは間違いない。
でもリーマン当時のサブプライムローンの急膨張のような広がりは考えにくい。
スタートアップ企業の資金繰り問題はもう少し拡大しそうだが、おそらく数社の資金繰りが厳しくなる程度と思われる。

もしスタートアップの連鎖的な破たんが起れば脅威だが、現段階ではそこまで言えない。

③の暗号通貨市場、一番のリスクかもしれないが、ビットコイン価格には大きな影響はなかった。
ビットコインの保有者が引き出したい時にいつでも現金で取引できるのか、そのための準備金が十分にあり正しく管理されているのか、どこかのビットコイン会社が破たんした時に投資家保護のための仕組みが整っているのか・・・
投資家保護と言う観点から制度・仕組みが整っているのかには不安がある。
この点が暗号通貨の長期的な課題かもしれない。


リーマン危機と比べて、基本的には規模の大きさにも債務の広がりにも限界的で、大きな危機には成りにくいと考えている。
短期的にはスタートアップやNASDAQ市場には影響が残るかもしれないが、逆にSVBに売られた長期国債市場は戻りに入る可能性が高い。





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シリコンバレー銀行とリーマンブラザーズ(1)

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シリコンバレー銀行(以下SVB)が破たんし、金融市場は不安定になっている。
総資産2100億ドル、預金総額1750億ドルのSVBの破たんだが、不安の波及過程は三つ考えられる。

①国債価格の下落。
SVBの資産のうち半分は米国債ポートフォリオで、FRBの急激な利上げで20億ドルの損失が出たと報道されている。
米国債の銀行経営への影響は二つある、第一に金利上昇=国債価格の下落で含み損が拡大したこと、第二に逆イールドの拡大で短期金利で借りて長期に貸し出す銀行モデルは役に立たないことだ。
これはSVBだけでなく、米銀全般に関わる問題だ。

②シリコンバレーのベンチャー企業への影響。
SVBのローンブックは730億ドルで、そのうち20%がスタートアップ企業向けになっている。
およそ150億ドル(2兆円弱)がスタートアップとなり、この2兆円のローンが他の金融機関にちゃんと引き継げられるかどうかだ。
スタートアップは金利上昇で苦しんでおり、追加融資を受けられない企業も出てきそう。
その場合、小規模の倒産が増える程度はありえる。

③暗号通貨資産への影響。
ステープルコインのビジネスを展開するサークル・ネット・インターナショナルは
USDコインの準備金400億ドルのうち、33億ドルをSVBに預けていた。
この準備金への不安で12%下落したが、その後戻り、1.2%の下落にとどまっている。
暗号通貨市場への影響は限定的だった。

一番の問題はFRBの急激な引き締めで米国債ポートフォリオに大きな評価損が出たこと。
これは満期保有できる財務の良い金融機関には問題にはならないが、財務の弱い金融機関には預金の取り付けが起こり、強制的売却になると損失が表面化し銀行経営を直撃する。

SVBが国債を投げたことで、10年債利回りが4%に跳ね上がったのだろう。
これで一段落ならば、10年債利回りはピークを打ったのかもしれない。

第二に逆イールドの長期化が問題だ。
銀行は預金や短期債などの短期金利で調達し、長期の融資をすることで利ザヤを稼ぐが、現在のように短期金利が急上昇し、長期金利を上回る逆イールドになると利ザヤが圧迫されてしまう。
この逆イールドが長期化すると、大きな負担になってくる。

3月FOMCで50bpの利上げをしたら、さらに逆イールドが広がる。
この逆イールドが銀行決算に与える影響をFRBがどう見てくるのかが注目点だろう。
FRBが手加減し、25bp利上げ、または利上げなしとすると、市場は問題の深刻さを捉え不安が増してくるかもしれない。

この二点はSVBだけではなく、米銀全体、あるいは国際業務を展開している邦銀にも影響してくるはずだ。
その他の二点は、スタートアップ企業融資の問題、暗号通貨ビジネスへの問題である。
SVBの破たんはリーマン危機以来、最大の米銀の破たんとして指摘されている。
これらの点を含めて金融界全体への影響を、リーマンブラザーズの破たんと比べてみたい。
・・・次回に続く。




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クレジットイベントを考える(4 ビットコインETF)

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10/25に「クレジットイベントを考える(三つのETF)」を書いた。
その後、NYダウは上昇しているのにもかかわらず、この三つのETF、ビットコインETF、アークインベストメントETF、クレーンシェアーズチャイナETFの価格低迷が続いている。
前回使った一覧表を11/14現在でアップデートした。

ティッカー ピーク       直近値        下落率    資産総額
BITO   41.12ドル(21/11/12)    9.81ドル(22/11/14)-76.1%  600百万ドル
ARKK   156.58  (21/2/12)   38.91  (22/11/14)-75.5  6911
KWEB  102.20  (21/2/12) 24.47  (22/11/14)-76.1  4658

クレーンシェアーズチャイナETFは中国のゼロコロナ政策の転換期待で、アークイノベーションETFは長期金利ピークの期待で一旦反発したが、まだまだ不安定な感じだ。

ビットコインETFは暗号通貨取引所FTX社の経営不安もあり直近安値を割り込み、ピークからの下落率は76%に達した。
ETFを購入した投資家全員が損失を出している状態と思われる。
ただし、資産規模は700~800億円程度と小さく、致命的な損失規模ではない。に

しかし暗号通貨全体となると、クレジットイベントが起こりえる規模だ。

FTX社の経営破たんでは損失が数兆円レベルに達し、投資家の資産は保護されないという。
経営者は100億ドルの顧客資産を自分の投資会社口座に移管した、顧客資産が守られていない状況がヤバい。
顧客の資産を預かる金融機関や金融会社にとって顧客資産の分別管理は基本中の基本であり、会社が破たんしたとしても顧客資産は保護されるのは基本的な社会的約束だ。
FTX社ではこの基本ができていないとしたら、社会的に存在すべきでない会社ですぐに清算して顧客資産を守るべきだ。
これがFTX社だけでないとしたら、暗号資産トレーディング会社の信用問題は根深い。
こんな状況では暗号資産業界全体に厳しい目が向けられるのは当然のこと。

暗号通貨で最大のビットコインの時価総額は現在4000億ドル程度。
ピーク時には1.3兆ドルあったので、ピークからはおよそ三分の一に減価している。
それでも円ベースでは50兆円以上と、価格が大きく下落したとはいえまだまだ時価総額は大きい。
このビットコインの価格下落は世界の投資家の損益に大きな影響力を持つ。
仮に50%の損失が表面化すれば投資家の合計損失は20兆円レベルの巨額損失になっているはずだ。

この巨大な損失が業界や顧客口座に隠されている。
それが表面化した時にはけっこうヤバいインパクトがあるだろう。
それが一般の金融機関にどれだけ影響するかどうかは分からないが、暗号資産関連の金融会社、暗号資産に強気だったテスラなどの事業会社などには気を付けた方がいいと思う。
市場全体への影響は隠れた損失がどのぐらい表面化するかによる。
今のところ、損失を隠す余裕がある金融機関が多いと思われるので一気に暴落はないだろう。

このクレジットイベントが株式市場に影響するとしたら、「実態のない仮想資産」から「実態の明らかな実物資産」への資金移動が起こるだろうということだ。
投資家はより確かな実態のある資産を指向する。
実物資産としては金ダイヤモンドなどの希少資産、土地やマンションなどの不動産、中古品の価値やリセールバリューを重視した投資などだろう。

ビットコイン問題はどこまで広がるかに注意が必要。
クレジット問題は「あとからリボ」で効いてくるので継続的に注意して見ていきたい。



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クレジットイベントを考える(3 中国リスク)

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クレーンシェアーズCSIチャイナETFは、共産党大会で習近平がイエスマンで固めた最高指導部の結果として何が起こるかを読み込んで価格が動いているはずだ。
この1年間のパフォーマンスは―62%で、香港ハンセン指数のパフォーマンス―40%を大きく上回る悲惨な状況だ(10月21日現在)。
習近平体制の「共同富裕」が中国内政の大きな柱となっており、大金持ちや超富裕層と言われるアリババ創業者のジャック馬やテンセントの創業者ポニー馬氏などを富裕層から政治的に転落させる方向は明確だった。
アリババ株もテンセント株も徹底的に売られた。
最悪の場合、習近平はアリババやテンセントの国有化に踏み切るかもしれない。
絶対権力を握った習近平ならありえる話だろう。

今回の共産党大会の結論は、多くの評論家の指摘の通り「習近平の独裁体制が今後5年続く」、その政策はに今後5年間変わらない。

一つは中国式の社会主義の建設。
これには欧米の民主主義とは一線を画した政治が行われるという意味だ。
少数民族に対する弾圧や中国化は当然の方向で、基本的人権は全く考慮されない。
さらにコロナ対策も中国式で行われ、鄧小平以来の開放政策・市場経済を完全否定する。
これでは欧米先進国とはお互いに理解し合うことは極めて難しい。

もう一つは建国100年で世界を支配するという「2049年」計画。
中国が独自路線を歩み米国を凌駕して世界に君臨する、昔は「中国3千年の夢」と表現していたと思うが、「偉大な中華民族の再興」も掲げてきた。
米国型の民主主義経済は決別するという決意でもある。
習近平政権が牛耳る今後5年間が最も重要な期間となる。

ということは・・・今後5年の習近平政権は・・・
①「共同富裕」として富裕層を痛めつけ続ける。
②欧米の民主主義と一線を画し、人権を認めず強権政治を続ける。
③経済成長よりも政治の安定が優先される。
④外交よりも軍事が優先し、国際的には承認されていない九段線の領土・領海は断固として守る。
⑤当然ながら軍事力を強化し、台湾関係は譲らない。

下の文章はETFの創業者クレーン氏のコメントだが、中国情勢を読み間違えているか明らかだ。

米国のクレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネット・ファンドの創業者ジョナサン・クレーン氏は、「米国と中国はマーケット、貿易、グローバル化など多くの面で相互に依存し合っている。米国のトップレベル企業は中国でマーケットを開拓し、中国も米国で投資を行なう必要がある。両国は世界の1位と2位のエコノミーであり、経済と企業の角度から見ると、米中が共にビジネスチャンスを作り出せば恩恵は非常に大きなものになる」と述べた。

だからこの甘い見通しが、場合によってクレジットイベントを引き起こす可能性を否定できない。
特にクレジット問題は「あとからリボ」であり、危機が過ぎてから1~3年経過してから表面化する場合もある。

特に「共同富裕」を掲げる習近平が、ネット系の超富裕層であるジャック馬やポニー馬を許すはずがないとしたら今後5年間に何が起こるか要注目だ。
この「あとからリボ」には注意を怠れない。



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クレジットイベントを考える(2 三つのETF)

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クレジット危機は一旦起こると影響が非常に大きく、その分確率は低いものの、投資家としては注意しておかなければならない。
そのチェックの第一点は前回話したハイイールド債の利回りやスプレッドを確認することだが、これは少し遅行性がある。
何かが起こってからハイイールド債スプレッドが拡大することになるからだ。

その意味ではVIX指数に似ている。
VIX指数が急上昇する局面では悲観が市場を覆い株価が急落しているが、でも株価の急落の方が先だ。
株価が急落後にVIX指数が上昇するからだ。
だから、VIX指数を見て株を売却しても遅い場合が多い。
このハイイールド債スプレッドも同じように遅行性があるので、何かが起こってからスプレッドが急上昇することになる。
投資判断をする場合この遅行性は致命的だ。

それでは投資家はクレジット危機をどう予測したらいいのだろうか?

個別のクレジットイベントをよく見ていくことだと思う。
たとえば、現在スイスの大手銀行クレディスイスの株価が急落し、グローバル投資家の注目を惹きつけている。
クレディスイスの決算・財務内容やアナリストのコメントなどをよく見ることも必要だ。
でもはっきり言ってよく分からないが、SNSで経営不安が指摘され、株価は4.2スイスフランと急落し現在1995年以降の最低水準にある。
直感ではかなりヤバいが、増資の話も出てきていて先行きは難しい。
でも、株価をよく見ていくぐらいはできる。

クレジットイベントに関して、筆者は三つのETFに注目して観察している。
ETFは数字が公表されているので、時価も純資産も簡単に手に入るところがいい。

一つはプロシェアーズ・ビットコイン(BITO)、二つ目はアークイノベーション(ARKK)、そして三つ目はクレーンシェアーズCSIチャイナ(KWEB)だ。

ティッカー ピーク       直近値        下落率    資産総額
BITO   41.12ドル(21/11/12)  11.94ドル(22/10/24)-70.9%  623百万ドル
ARKK   156.58  (21/2/12)   35.43  (22/10/24)-77.3  7023
KWEB  102.20  (21/2/12) 18.41  (22/10/24)-81.9  4356

いずれのETFも大きな影響を持っている。
ビットコインETFは鳴り物入りでスタートした暗号通貨ETFで、その背後には原資産の暗号通貨がひしめいている。
大暴落すると大きな影響があり、暗号通貨関連企業への影響が懸念される。

アークイノベーションETFは破壊的イノベーションをテーマにアークインベストメント社が運用しているが、保有株はテスラ株などのハイテク株が中心だ。
問題はこのETFに多くの国内投信がぶら下がっていることで、パフォーマンス悪化とともに資金流出が強まれば、自分の首を自分で絞めるような自殺型の下落に入りかねない。

クレーンシェアーズCSIチャイナETFは中国のインターネット企業を投資対象とするもので、資産総額は小さいがアリババやテンセントを始め大きな影響を与える。
アリババ株の下落を通じてソフトバンクGにも影響を与えかねないことが懸念材料だ。

次回からもっと詳しく考えていきたい。




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クレジットイベントを考える(1、ハイイールド債)

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目下の最大にリスクは、米金利上昇が行き過ぎー企業の業績が悪化ー企業の信用格付けの引き下げーその結果資金調達が困難になり、企業破綻するというクレジットイベントの発生だと思っている。
株式市場が予想以上に大きな調整となる局面では、必ずといっていいほど「クレジット」が関与している。

90年日本のバブル崩壊から数年後には住専問題が深刻化したが、結局、山一証券、拓銀などの大手金融機関が次々と破綻し、東京市場は値幅も日柄も大きな調整を余儀なくされた。
1997年のアジア危機がロシア危機につながり、1998年にロシア国債のレバレッジポジションを作っていたLTCMが破たんした。
2000年米ITバブルから数年後不正会計からエンロンが企業破綻し、2007年パリバ銀行ショックから1年後、米サブプライム危機で米証券リーマンブラザーズが企業破綻した。

危機と呼ばれた大きな価格変動から数年経過してから、世界の株式市場を震撼とさせたクレジットイベントや企業破綻が起こってきたのも歴史の事実だ。
株式市場には「あとからリボ」みたいな効果がある。
大手企業の破たんによりクレジット危機が起きる、これが景気の底割れにつながり、株式市場の調整率が大きくなる。

現在は米国を中心として金融引き締めが進んでいるが、景気や企業業績はまだまだ比較的堅調で「クレジットクランチ」の兆候はない。
でも、一旦起こった時の影響の大きさを考えると、投資家としてはその準備を怠れない。

まずは一般的にクレジットをどう見るか。
米国ハイイールド指数とは、米国発行事業債で格付けが投資不適格のジャンク債を指数化したもの。
ハイイールド債スプレッドはそのジャンク債と同年限の米国債との利回りスプレッドのことだ。

現在、FRBの利上げの影響でハイイールド債利回りもどんどん上昇してきている。
今年の年初4.42%だった利回りが9.50%までまで上昇した。
その結果、ハイイールド債スプレッドも拡大し、年初3.05%だったのが現在5.31%に広がっている。
投資適格以下の企業の資金調達は徐々に苦しくなっているようだ。

これをどう考えるか?

FRBの利上げ幅は3月以降毎回のFOMC合計で3%、今年はあと2回のFOMCがある。
政策金利の引き上げ幅が3%とすると、年初4.42%だったハイイールド債利回りは3%を乗せて7.42%まではFRBのせいといえるだろう。
それ以上の上昇した分2%がクレジット不安による利回り上昇なのだろう。
という意味では現状で大きな問題となっていない。

一方、ハイイールド債スプレッドは長期サイクルを持っている。
米国の景気サイクルに連動し、過去のピークは2002年12%、2009年22%、2016年9%、2020年10%・・・

2002年はITバブル崩壊後のクレジット危機、2009年はリーマン後のクレジット危機、2016年はFRBの引き締め局面、2020年は新型コロナ禍でのロックダウン。
10%以上のハイイールド債スプレッドを記録した2002年、2009年はクレジット危機として記憶に残っている。
現在のスプレッドは5%台であり、まだこれらのクレジット危機時から比べると問題にならないぐらい低い。

クレジット全体としては問題になってはいないが、個別のクレジットリスクはやや怪しい。
この面では三つのETFに注目している。
いずれも過去1年のトータルリターンが50~70%と大きく下落し、世界中の投資家が大損しているETFだ。
次回から個別のリスクをチェックしてみたい。




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ハイイールドー国債スプレッドの上昇

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先週末(6/17)米国株価が急反発し、投資家はホッと一息という感じだが・・・
米債券の上昇が米株価の上昇につながったわけだが、意外な部分がある。
それはクレジットの弱さだ。

75bpの利上げを実施した6月のFOMC後、FRBのドットチャートは利上げ全体のコンセンサスを示した。
米債券市場は今回の利上げを織り込み2年債は3.3%台へ上昇したが、その後3.1%程度でやや落ち着いてきた。
その間、ハイイールド債の利回りは一段と上昇し、8.5%まで上昇した・・・その結果、ハイイールドー国債スプレッドも5.38%と広がった。
筆者が危険水域と見ていた5%ラインを上回ってきた。

このスプレッドの拡大は、格付けの低い中堅企業の資金調達を厳しくする。
8.5%の利回りでハイイールド債を発行するのも厳しい。
なぜなら、営業利益率が8.5%以下の企業には「逆ザヤ」になってしまうからだ。
中堅企業で事業債を発行できるところは限定的にならざるをえない。

ここ2年のコロナ禍では、政府が窮乏企業に財政投入を実施し財務状況を支えてきた。
しかし、こうした財政支援も終了し、正常化する経済の中での今回の「クレジットのひっ迫」だ。
特にバブル的に拡大してきた暗号通貨関連、マイニング、取引所、トレーディングなどは危険な香りが漂っている。
中小型株やミーム株の乱舞を招いたロビンフッターなどの関連企業などでも信用不安の可能性は残っているかもしれない。
市場はFRBの金利引き締めを織り込んできたが、QT(量的引き締め)による流動性の調整にどのように対応できるのかはまだまだ不明だ。
引き続き、ハイイールドー国債スプレッドは注意して見ていきたい。


         高値    安値   ハイイールドー国債スプレッド
 
2022/  4-6   8.48%  5.80%   3.27 ~ 5.38%
     1-3   6.28   4.42    3.05 ~ 4.21
2021/10-12  4.82   4.20   3.03 ~ 3.67
    7-9      4.26   3.92   3.02 ~ 3.42
    4-6    4.40   4.01   3.03 ~ 3.40
    1-3    4.67   4.09   3.41 ~ 3.93
2020/10-12  5.79   4.34    3.86 ~ 5.64
    7ー9    6.72   5.28   4.97 ~ 6.52
    4-6    9.87   6.05   5.78 ~ 9.43
    1-3   11.38    5.02   3.48 ~ 10.87




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「景気後退」を織り込むには早すぎる

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FRBが50bpの連続利上げを6~7月に行うと表明している一方、NY株式は急落し、米10年債利回りも2.8%台へ低下し、為替市場でドル高修正に入った。
スタグフレーション懸念が今後の業績悪化を想起させ株価が暴落し、景気悪化懸念が長期金利を低下させ、それがドル高を止めたというわけだ。

年後半の市場で「景気後退」が起こるのかが大きなポイントだ。
インフレの加速、ウクライナ情勢の悪化、中国経済の停滞感、FRBの急速な利上げと量的引き締め・・・すべて「景気後退」を示唆しているように見える。

でも現段階では「景気後退」の証拠はなく消化不良だ。
企業業績でも米国株EPSはわずかながら変調が見えるものの、増益基調が変わったとは言い切れない。
日本では新型コロナ禍から規制が解かれ、大規模イベントや海外旅行なども含めて経済正常化が一段と進む局面でもある。

筆者は「景気後退」を見極める点として二つを注目している。
一つはクレジット・スプレッドで、特に格付けの低いハイイールド債の市場が「景気後退」には敏感に反応すると見ている。
下の表はハイイールド債の利回りレンジと、国債とのスプレッドだ。

       高値   安値  ハイイールドー国債スプレッド
2022/    4-5  7.68%  5.80% 3.27 ~ 4.82%
     1-3  6.28   4.42  3.05 ~ 4.21
2021/10-12  4.82   4.20  3.03 ~ 3.67
    7-9   4.26   3.92  3.02 ~ 3.42
    4-6   4.40   4.01  3.03 ~ 3.40
    1-3   4.67   4.09  3.41 ~ 3.93
2020/10-12  5.79   4.34  3.86 ~ 5.64
    7ー9   6.72   5.28  4.97 ~ 6.52
    4-6   9.87   6.05  5.78 ~ 9.43
    1-3  11.38     5.02  3.48 ~ 10.87

格付けの低い会社は、それだけ高い金利を払わないと資金調達ができない。
景気悪化局面では高いクレジット・スプレッドを払わないと資金が回らなくなるので、資金繰りが悪化して困難な財務状況に陥る。
新型コロナ危機の2020年前半にはスプレッドが5~10%に達し、低格付け会社は資金繰りが厳しい状況に落ち込んだ・・・しかし、その時はFRBが前例なのない金融・量的緩和を行い、危機を脱することができた。

今回は、スプレッドが4%台なので深刻な状況には陥っていない。
そのクレジット・スプレッドが5~6%に達すると危険水域に入ってくる。
その場合、急激に景気後退を招く可能性もあり注目している。
現段階ではじっと見ていくことしかない。

もう一つは巨大ファンドの損益状況、恐ろしいのはファンドの破たんだが、これは後で考えてみたい。


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ハイイールド債ー国債スプレッドに注目(2)

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信用格付けがBB以下の投資不適格社債はハイイールド債、またはジャンク債と呼ばれている。
これらの投資不適格のハイイールド債は、FRBによる超金融緩和と新型コロナ対策のバラマキで倒産確率が急低下したことからずっと買われてきた。

FRBは量的緩和の一環として国債だけでなく、住宅ローンを元にしたMBSを月400億ドルも買い続け、2兆6000億ドルものMBSを保有している。
その結果、債券利回りの低下と倒産確率の低下でハイイールド債が買われ、平均利回りも4%という非常に低い状態が続いた。

しかし、その「ハイイールド債天国」もFRBの引き締め政策の転換とともに「終わり」を迎えていると思われる。
FRBのQTが明確になると明確にハイイールドー国債スプレッドは拡大していくだろう。

以下の表、ハイイールド債の利回りレンジを見てみよう。

        高値   安値  ハイイールドー国債スプレッド
2022/ 1-3  6.28%  4.42% 3.05 ~ 4.21%
2021/10-12  4.82   4.20  3.03 ~ 3.67
    7-9   4.26   3.92  3.02 ~ 3.42
    4-6   4.40   4.01  3.03 ~ 3.40
    1-3   4.67   4.09  3.41 ~ 3.93
2020/10-12  5.79   4.34  3.86 ~ 5.64
    7ー9   6.72   5.28  4.97 ~ 6.52
    4-6   9.87   6.05  5.78 ~ 9.43
    1-3  11.38     5.02  3.48 ~ 10.87

2020年1-3月期は新型コロナ禍が始まった四半期で利回りで11%に達し、スプレッドも10%以上に拡大した。
その後金融緩和の効果もあり、スプレッドは3%台に落ち着いていたが、2022年に入りFRBの金融政策の正常化とともに、ジャンク債利回りも6%にまで上昇、スプレッドも4%台に上昇した。
微妙な変化が見て取れる。

ただし、現段階ではFRBによる政策金利の上昇につれて2年国債が2%台に上昇、それが10年2.3%を押し上げているのが主な理由で、信用不安がハイイールド債の利回りを引き上げているわけではない。
利上げがさらに続きQTの効果が出始めた時、ウクライナ危機が長期化した時、景気全般がどうなるのかが最大の問題で、その時にはスプレッドが危険水域である5%を越えて拡大していく。

全ては今後の展開次第であり、ジッとウォッチしていくべき指標になるだろう。



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ハイイールド債ー国債スプレッドに注目(1)

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1998年のロシア危機では「ロシア国債のデフォルトからLTCMの破たん」が世界の株式市場を震撼とさせた。
「ロングターム・キャピタル・マネージメント」という巨大なヘッジファンドが、ロシアや欧州債券のロングショートを積み上げてきたが、これがロシア危機とともに逆に動き巨額損失を出し倒産した。

この1998年型のデフォルトに対して、今回はプーチンの軍事行動に対する経済制裁によるデフォルトだ。
中央銀行の海外資産が凍結されたロシアはルーブル暴落、ルーブル建て債券の利払い停止に追い込まれ、ドルでの利払いを停止(あるいは意図的にやめた?)。
98年当時はデフォルト後、IMFをはじめ国際的支援が行われロシアは安定に向かったが、今回は国際的な支援はない。
ここが大きな違いだ。

その分、ロシア経済の本質的な破たんリスクが高まっている。
単にロシア関連の損失は単に債券や株式の下落、関連プロジェクトからの撤退損失というだけではなく、ロシア経済という1.5兆ドルの市場が国際市場から締め出される。
もちろん、欧州はロシア天然ガスの輸入を続けるし、プーチンの仲良しの習近平中国がtロシア貿易を増やしているし、経済支援を実行するかもしれないので、まるまる1.5兆ドルが消えるわけではない。

金融資本市場は下がったり、上がったり値動きが激しいが、それでもこの激動の株式相場を読むカギは「最後は景気と業績」なのは間違いない。
でも、この「ウクライナの軍事危機」と「ロシアの経済危機」が今後のグローバル景気をどう変化させるかは不確定だ。

グローバル景気のバロメーターとして注目できるのが「ハイイールド債ー国債の利回りスプレッド」

景気が悪化するとしたら、まず影響が出てくるのは最も財政的に脆弱なのが格付けの低い会社になる。
景気が悪化し始めると、まずは格付けの低い債券が売られ、ハイイールド債利回りが同年限の国債利回りに対して上昇する。
そして第二段階では信用スプレッドが急拡大し、信用度の低い企業は資金調達できなくたり、財務が行き詰まる、これが信用不安だ。
というわけで「ハイイールドー国債スプレッド」は格付けの低い企業の信用を図る指標になるというわけだ。
単純な理屈だが、これをチェックすることでグローバル危機の深刻度を図ることができるだろう。

現段階では3/17現在でジャンク債利回り(ハイイールド債指数)は5.94%だ。
米長期金利の上昇とともにジャンク債利回りも上昇している。
しかし、ジャンク債ー国債のスプレッドは3.81%と過去1年では高い水準にあるが、過去の危機時に比べたらまだまだ低い。
あくまで現段階だが、グローバルな景気悪化は見られていない。

このハイイールドー国債スプレッドをもう少し細かく考えてみたい。


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良い金利上昇? 悪い金利上昇?

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単純化することが好きな評論家がよく使うネタに「良い金利上昇と悪い金利上昇」というのがある。
「良い金利上昇」とは「景気が良くて自然に金利が上がる状態」で、株式市場は業績の好調によって金利が上がっても株価が上がることを指している。
一方「悪い金利上昇」とは「景気の過熱で物価が上昇し金利がハネ上がる状態」や「景気の先行き懸念や財政赤字で国債が売られたり、クレジットリスクで事業債の利回りが上がる状態」とされている。

では、現在の米金利の上昇は「良い金利上昇」あるいは「悪い金利上昇」なのだろうか?
米景気は好調なのは事実だが、中間財や企業物価の上昇は景気が良いからだけではなく、原油や原材料価格の上昇やサプライチェーンの歪みが大きく影響している。
その点では「良い金利上昇」ともいえるし、「悪い金利上昇」の始まりともいえる。
FRBは「良い金利上昇」だと判断し、11月以降のテーパリングの開始、来年後半の利上げ開始を想定している。

一方、最近注目を集めている中国不動産企業の資金繰り問題だ。
ドル建て債を発行している恒大集団だけでなく、花様年や新力などの不動産会社にクレジット問題はほろがってきている。
中国不動産セクターのクレジット問題は明らかに深刻化している。

これがグローバルに波及していくのだろうか?
もし、波及していくならば、目下の金利上昇は明らかに「悪い金利上昇」になる。

しかし、米国のハイイールド債(HYGG、ジャンク債価格指数)は、2021年初87.12だったものが、現在でも86.88(10/13)と横ばいで、今のところは全く下落していない。
米国のジャンク債の価格は安定している。
中国不動産のクレジットリスクは地域限定的だといえる。

現段階では「悪い金利上昇」は始まっていないと考えている。
将来的にクレジットリスクが拡大し、米ジャンク債が売られるような時が来れば注意を要するが・・・
その兆候を捉えるために毎日ジャンク債市場はチェックするべき局面だろう。


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リーマン危機の再考(2)~中国不動産危機と比較

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前回見てきた通り、リーマン危機の本質は①行き過ぎた信用度の低い住宅ローンの急膨張、②そのクレジットリスクが拡散し銀行や企業のカウンターパーティ・リスク(取引相手のリスク)が高まり、企業間の取引を急縮小させたことだ。
この二つのよって世界の貿易や経済取引が急減速し、経済は大混乱に陥った。

恒大集団の破たんはリーマン危機並みの世界経済の混乱を生み出すという評論家も多い。
多くの評論家はその債務の規模(負債総額30兆円と言われる)、それが中国不動産市場に拡散した場合の負のスパイラルをイメージしている。
しかし、リーマン危機とは本質的に異なっている。

類似点は、長期に渡る不動産ブームで債務が膨張していること、新しい金融商品が登場し債務が急拡大したことだ。
米国のサブプライムローンの急増と中国不動産ローンの急増には共通点が多い。
さらにサブプライム危機では証券化商品やCDO・SIVなどの新しい金融商品が急拡大し、本来のリスクを上回るクレジットリスクをバラ撒いてしまった。
中国でも理財商品の人気が個人投資家の小口資金を巻き上げ、不動産市場の過熱につながった。
・・・という点でサブプライム危機と中国不動産危機は似ている。

しかし、決定的に違うのが、カウンターパーティ・リスクの問題だ。
サブプライム危機の本質はクレジットリスクがバラ撒かれ、誰がリスクを持っているか誰にも分からない状態に陥り、企業間取引、貿易取引が停滞し、世界経済の急減速につながった。
一方、恒大集団の危機には、グローバルな広がりはなさそうだ。
恒大集団のドル建て債務がデフォルトしても、グローバル投資家は2兆円レベルの損失処理は十分にできる。
不動産といってもマンション・住宅分野なので、オフィスビルのようなグローバル投資ではない。
中国国内のマンション・住宅市場には大きな影響があるかもしれないが、グローバルな危機にはならないだろう。

もう一つの大問題の理財商品全体への影響も基本的に中国の国内問題だ。
恒大集団の理財商品6000億円は政府により保障される可能性が高い。
理財商品全体(400兆円)に波及したらあまりに危険だからだ。

というわけで、リーマン危機と今回の中国不動産危機とは本質的に違うと思う。


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リーマン危機の再考(1)~危機の本質



リーマン危機の直前、2007年の12月、私は評論家の武者さんとともにブルームバーグ東京本社で講演を行った。
その時に使った資料の1枚が上の図だ。

サブプライムローンと呼ばれた質の悪い住宅ローン1.5兆ドルが他のローン債権とともに証券化され、10兆ドルの資産担保証券(ABS)となり、そのABSを束にしてCDOが組成され、さらに投資商品にしたSIVが生まれていった。
金融商品が新しい金融商品に産み、クレジットリスクがこんがらがり、リスクがどこにあるのか分からない状態に陥った様子がよく分かる図だった。

リーマン危機の本質は二つある。

①行きすぎた、信用度の低い住宅ローンが急膨張してしまったこと。
本来ならば銀行から借りることができない低所得者にも「サブプライム」としてローンを提供し、住宅ローン全体に15%にまで拡大た。
こうした劣後したクレジットが膨張することは、長期の景気拡大の末期にはよく見られるが、住宅ローンを基にした金融商品の拡大で、それが一段と拡大してしまった。

②どこに損失が隠されているかわからず、多くの企業が疑心暗鬼になってしまったこと。
金融技術の発展とともに新しい証券化商品が拡大し、簡単に住宅ローン商品を買える時代になった。
さらに証券化商品を束にしたCDOやその投資家向け商品SIVなどクレジットリスクが広がり、大元のサブプライムの貸し倒れが起きた時、どこの誰がリスクを持っているのか分からない状態になり、疑心悪鬼がまん延した。

そうなると、銀行間、企業と銀行間の取引にカウンターパーティ・リスクが高まり、銀行・企業間の取引があらゆる分野で停滞してしまった

貿易でも信用状の発行などの手続きが停滞し、貿易量そのものが急減してしまうという状況に陥った。
このカウンターパーティ・リスクの拡大がリーマン危機後の世界経済を急縮小させたわけだ。

この二つの本質がリーマン危機を世界的な危機に拡大させた大きな理由だ。
この点から現在の危機、中国不動産危機について見てみよう。


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「資金繰り」より「資本」、そして「投資家の役割」

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FRBの「メインストリート・ローン・プログラム」、欧州の「リカバリーファンド、復興基金」、日銀の資金繰り支援プログラムなど、各国・各地域で新型コロナ対策として企業の資金繰り支援が行われている。
米国ではこのFRBの社債買取りを期待して、ハイイールド債の価格が安定している。

しかし、企業倒産が目先は回避されるものの、基本的に企業のPL(損益計算書)の話であり、短期的に資金をもらって生き延びるというだけの話だ。
より重要なのは、新型コロナ問題を克服して企業が継続できるかどうか・・・つまり、バランスシート(貸借対照表)の資本項目の問題だ。
新型コロナ騒動で売上不振の企業が多く、赤字事業を抱えたままという企業も多い・・・この赤字が自己資本を削る。

日本でも4-6月期、わずか3か月で日産の1500億円の赤字、JR東の1553億円の赤字、ANAの1088億円の赤字、オリエンタルランドの248億円の赤字、テスラに電池を供給するパナソニックの98億円の赤字、キャノンの88億円の赤字、吉野家が40億円の赤字で150店舗の閉鎖、などなど、
新型コロナの逆風下、企業決算が一段と厳しさを増している。
おそらく、同業セクターの多くの企業が赤字決算に落ち込む可能性がある・・・そして、「資本」を食いつぶしてしまえば、債務超過に陥る。

この「資本」の問題は自由資本主義の世界では「税金」では解決できない・・・それができるのは社会主義国だけだ。
自由資本主義の国では企業の経営者は自ら資本を調達して会社の継続を図る・・・と同時に投資家はこの「資本」を出すという重要な役割がある。
ここからが投資家の出番だろう・・・企業決算書を読み込み、企業の損益分岐点の引下げ(コスト削減努力)、フリーキャッシュフローの確保(運転資金の確保)、資本増強、3~5年後の復活イメージ、株価でいえば2~3倍になるイメージ・・・投資家がしっかりと企業を見ていく必要がある。

GAFAの史上最高値を買うことよりも、赤字会社の存続可能性を見極めて「資本」を出すことが本来の投資家の仕事だ。


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ウィークリー雑感(11/10 債券バブルの破裂?)

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ファンダメンタルの良好な米国株だけでなく、景気悪化の欧州株もアジア株も買われている反面、世界の債券利回りが急速に上昇に転じている。
数か月前には世界の国債の3分の2以上がマイナス金利だったが、それでも債券が買い進まれた・・・当ブログでも3か月前の8/16から3回にわたり「マイナス利回り債券は買えるか?」をテーマに取り上げた。
要約すると、マイナス利回りの債券を買う理由は
(1)さらに高い価格(低い利回り)で買ってくれる投資家がいると考えていること、
(2)マイナス利回りでも債券を組み入れることでポートフォリオ全体のリスクを引き下げられること、
(3)イールドカーブが立っていれば、ロールダウン効果からリターンが得られること、
の3点を上げた。
こんな債券買いは普通ではないが、米国10年債が1.4%まで買われ、ドイツ国債がー0.7%、フランス国債がー0.4%、オランダ国債がー0.5%、日本国債がー0.24%まで買われた現象をこの3点で説明できる。

しかし、このところの米中摩擦改善期待や景気回復期待による株高で、この債券相場がひっくり返ってしまった。
そうなると、考えておかなければならないのは、債券バブルの破裂だ。
マイナス利回りの債券を買う理由の(1)を振り返ってみよう。
自分がー0.2%の国債を買ったとしても、ー0.5%で買ってくれる投資家がいれば、価格上昇(利回り低下)で利食うことができる。
マイナス利回りといってもクーポン(表面利率)は0.1%なので、マイナス金利で買った(=100以上の高価格で買った)投資家も償還時までに売却してしまえば損はしない・・・でも、満期に100で償還されるため満期保有すると損失が出る。
したがって、債券投資家は、もし中銀が政策金利を引き下げないとしたら、高値で買ってくれる投資家を見込めなくなり、損失を回避するために、保有しているマイナス利回りで買った債券を売るかもしれない。
彼らは元々、満期保有する気がない投資家でトレーディングには慣れているだろうから、動きは迅速だろう。

こうした投資家行動が債券市場に出てくるかが最も注目だ。
その分岐点は米国10年債の2%を越えること、欧州10年債や日本10年国債がプラス利回りに転じてくることだろう・・・もし、そんな事が起これば、債券投資家たちは一斉に損失回避の行動に出るかもしれない。
しかし、一方、高い利回りで新規に買うチャンスでもあるので、市場では高い価格で買った既存投資家の投げと、新規の債券買いがぶつかることになる。
この攻防の結果、売り方(既存投資家)が強かれば、債券市場の混乱につながる・・・一方、買い方(新規の債券買い)が強ければ、一旦、底打ちとなるかもしれない・・・いずれにしてもここが最大の注目点だ。
現在、米国10年国債は1.94%、ドイツ10年国債はー0.26%、フランス10年国債は0.02%とプラ転、オランダ10年国債はー0.14%、日本10年債はー0.07%と上昇してきている。


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金利が上昇を始める時、REITは天井を付ける

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NY市場が新高値を付け、景気が悪化している欧州株も上昇しフランスCACが新高値を取り、ドイツDAXも高値に接近してきている。
出遅れてきたアジア市場も新高値は取っていないものの、日本株、上海株、台湾株も上昇し、投資家にネグられてきた韓国株も上昇に転じている。
一方、米国10年債が静かに売られ、利回りが1.86%まで上昇してきた・・・米中摩擦の混乱の中で買われてきた金価格も8月の高値1551ドルを付けた後、下落に転じ現在1483ドルと軟化してきた。
世界の各地域で各資産クラスで、局面の変化が感じられる。
そんな局面変化でおそらく一番問題となるのが、米国の金利上昇と不動産・REITの天井形成だろう。

第一に、REITの分配金利回りがこの半年で大きく低下し、4%台から現在3.4%まで低下してきたことだ。
分配金利回りが3%を割り込むREITも、日本ビルファンドの2.61%、ジャパンリアルエステートの2.69%をはじめ、オリックス不動産2.99%まで8銘柄に増加している。
この利回りの低下で、さらに上昇する長期金利との差が急速に縮小している・・・もし、米10年債が2%を越えるようならば、両者の利回り格差は一気に縮まり、資金の流れが一気に変化し、グローバルにREITが暴落する状態も考えられる。

第二に、主要国のREIT価格が上昇し、米REIT指数は年初の1160ポイントから10月1524ポイントまで+31%、日本のJREIT指数も年初の1750ポイントから10月2254ポイントまで∔29%と大幅な上昇を記録したことだ。
ここまでの上昇でグローバル投資家は大きなリターンを手にしている・・・いつ売りに転じてもおかしくないほど儲かっているといえる。
大口の売りがいつ出てきてもおかしくないという市場心理、これがREIT市場を不安定化させるだろう。

そもそも、REIT指数が大幅な上昇した理由は大きく分けて二つだ。
(1)不動産景気が堅調で、オフィスの空室率が低く、賃料も増加基調をたどったというファンダメンタルの好調。
(2)昨年12月のFRBの政策変更とともに米長期金利が3%台から1.4%にまで急低下してきたという金融緩和。
この理由のうち、(1)のファンダメンタルはまだまだ堅調を維持している・・・オフィス空室率は東京や大阪だけでなく、名古屋も福岡も仙台も非常に低い状態が続いているし、オフィス賃料も安定して上昇基調だ。
しかし、(2)の金融環境は変化の兆しがある・・・そこに注意が必要になる。
10月のFOMCでFRBが利下げ打ち止めを暗示し、想定された範囲にしろ米中摩擦は一時休戦の可能性が出てきて、企業業績の底入れ期待が一気に拡大した市場・・・市場心理が一気に好転し、NY株価が新高値に進むと同時に、米長期債が売られ、金価格が売られ、REITが売られ始めていることには注目を要する。

今後、米10年債がさらに売られ、利回りが2%を越えてくると、おそらく、2%台の分配金利回りのREITはもたない。
ファンダメンタルの良さが救いだけど、REIT市場の調整はありえる・・・そうなれば、REIT価格の下落が実物不動産市場にどういう影響を与え、さらに不動産担保の融資やクレジット市場にどう影響するのかが次のポイントになる。
こうした連鎖は懸念に過ぎないが、チラッと気になる。


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円債ファンドマネージャーは失職の危機

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GPIFがヘッジ外債を国内債として扱うと発表した。
GPIFのポートフォリオに占める外債の割合は、6月末時点で18.05%と上限の19%に近づいていた。
そのため、ヘッジ外債を円資産として扱い、国内債券の資産クラスに変更するとした。
高橋理事長は、マイナス金利の債券が増えている国内債券市場で、ヘッジ外債を円債の代替として運用を増やせる変更だとコメントした。

下の表は、日本債券ファンド「ベガ」の組入れ国債上位だ。
これを見て明らかなのは、今までポートフォリオの中心を占めてきた10年国債が減り、20年国債、30年国債、そして、40年国債の組入れも始まっていることだ。
10年以下の国債の利回りがマイナスになってしまったので、やむを得ず超長期国債を組み入れてポートフォリオの利回りを確保しようというわけだ。
しかし、20年、30年、40年という超長期国債になると、何が起こるか分からないほどの長い時間を保有しなければならない。
誰にも想像できないほどの長い期間の国債・・・これによって様々な不確実性が急速に増える。
これをデュレーション・リスクというが、こうした超長期になればなるほどリスクが高くなる。

ベガという日本国債ファンドは長期トラックレコードがあり、元部下の超優秀なファンドマネジャーが運用する優秀ファンドだ。
その日本債券ファンドでも、20年、30年、40年という超長期国債の組入れが不確実性のリスクを急速に高めている。
もし、日本経済・財政に不測の事態があれば、大きなリスクにさらされることになるからだ。

銘柄 クーポン 残存年数 保有比率
20年国債167 0.50% 19.3年 6.20%
10年国債355 0.10% 9.8年 5.90%
30年国債63 0.40% 29.8年 3.70%
20年国債169 0.30% 19.8年 3.60%
30年国債24 2.50% 17.1年 3.30%
40年国債12 0.50% 39.6年 2.60%
20年国債168 0.50% 19.6年 2.40%

おそらく、GPIFの国内債券の資産クラスでも同じように超長期国債の組入れが増えているはずだ。
プラスのリターンを確保するには超長期国債か事業債を組み入れるのは、ファンドマネージャーの個人的な判断ではなく、今の環境がこうした投資を無理強いしているからだ。
しかし、不測の事態による大きなリスクを考えたら、超長期の日本国債を大きく組入れるべきでない。
これに苦慮して出した結論が、今回のヘッジ外債を国内債券の資産クラスに入れるという決定だと考えれれる。

これによってどんな変化が起こるだろうか?
まず、当然だが日本債券の資産クラスで国債の組入れが減り、外債の組入れが増える・・・超長期の国債のニーズが減少する。
第二に、為替ヘッジ・ニーズが増える・・・ヘッジコストにどう影響するかは難しいが・・・。
第三に、外債運用に強みを持つ外資系運用会社が全面に出てくる・・・海外の債券ハウスには大きなビジネスチャンスだ・・・すでにピムコなどの日本債券ファンドにはヘッジ外債が組入れられている。
一方、国内運用会社の円債ファンドマネージャーは通常外債を運用した経験がないので、自分の担当する運用残高が減少するのは間違いない。
これは失職しかねない緊急事態だ。
将来、場合によっては日本債券という資産クラスが消滅し、グローバル債券(日本債券を含む)という一つの資産クラスに統合されてしまうかもしれない。

そうなると、GPIFという巨大な買い手を失い、日本債券の買い手は日銀だけになってしまう。
日銀の量的緩和の出口はさらに遠くなるかもしれない。


GPIFについて詳しく知りたい人は、以下の「株式需給の達人(投資家編)」を買ってね!!!


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マイナス利回り債券は買えるか(3)

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欧州と日本では10年債のマイナス金利が一段と深まっている。
アメリカは10年債が1.5%割れにまで低下していきているが、将来、ゼロ金利やマイナス金利が米国で出てこないとは言い切れない。
世界のあぶく銭が極端な動き方をしているのが今のグローバル市場だからだ。
もしこれが実現するとしたら、逆イールドどころではなく、FEDの大幅な利下げ=景気後退リスクの織り込みが進んでいるはずだ。
現在の米国のファンダメンタルからはイメージしにくいが、ありえない話ではない。

米国での長期金利の低下が続くと、一番資金が流れやすいのがクレジット債券つまり社債だ。
政策金利が低下すると財務に問題のある企業が金融緩和の恩恵を得るので、企業のクレジットも緩み事業債が人気化しやすい。
事業債の中でもハイイールド債券は格付けが低いBBB格未満のジャンク債だが、国債のゼロ金利またはマイナス金利下では、逆にクレジット投資のプラスの金利は投資家にとっては大きな魅力となる。
事実、BB格の米ジャンク債の利回りが4.0%と2017年以来の低水準まで買われた。

通常、こうしたジャンク債はデフォルトリスクを織り込んでいるはずだが、政策金利がゼロまたはマイナスだと投資家がプラスリターンを求め、デフォルトリスク以上にハイイールド債を買い進んでしまう。
一方、景気後退が進行してくるとデフォルトリスク=償還できないリスク=倒産リスクが急激に高まることになり、ハイイールド債にピーク感(利回りのボトム感)が出てくる。
政策金利の低下でハイイールド債の魅力が高まるが、一方、金利低下が景気後退につながってくると、逆にハイイールド債はデフォルトリスクが高まりピークアウトしかねない。

マイナス利回り債券の議論は、こうして、金利の付かない金や不動産、そして、ハイリスクのハイイールド債につながっていく問題だ。
マイナス利回りの債券投資は一種の債券バブルであり、キャピタルゲインを得られないと投資家が思った時終わる。
マイナス利回りの債券から様々な資産へと波及効果が高いが、ファンダメンタルの価値から離れた需給相場はバブルの要素を持っている・・・当面はバブルに乗っかって儲けるも良し、「君子危うきに近寄らず」と静観するも良しだが・・・。
少しは気を付けた方がいいかも・・・なぜなら、崩壊してはじめてわかるのが・・・バブルだからだ。





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マイナス利回り債券は買えるか(2)

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前回、マイナス利回り債券を買えるかという話をした。
ポイントは、マイナス利回りであっても金利の先行き低下期待があればトレーディング益を狙う債券買いができるし、ポートフォリオに債券を組み入れることでポートフォリオ全体のボラティリティを下げることができることだが、実は、もう一つポイントがある。
それが債券のロールダウン効果だ。
短期債の利回り<長期債の利回りという普通の状態(イールドカーブ)では、1年債券を保有すると、残存期間が1年短くなり、その分利回りは低下、価格が上昇する・・・これをロールダウン効果というが、マイナス金利でもロールダウン効果でリターンが上がる。
しかし、現在、アメリカの2年債利回りと10年債利回りが逆転している状況では、ロールダウン効果が見込めない・・・だから、残念ながら、この点ではマイナス利回り債券を買う動機にはならない。

でも市場は抜け目ないので、マイナス利回り債券が増えることによって、各金融商品の利回りを比較して、様々な資産に資金が流れるきっかけになっている・・・たとえば、金、ゴールドだ。
金には金利が付かない・・・しかも安全に保有するには、自宅に金庫を買ったり、銀行の貸金庫を使ったりとコストがかかる・・・保有コストをかけてひたすら為替調整後の金価格(たとえば、日本人なら円建て価格)の上昇をひたすら祈るというのが金投資だ。
でも、マイナス金利の債券を比べたら、金利ゼロの金が高利回り商品となる・・・つまり、本来、金利の付かない資産である金が高利回り商品に化けてしまう。
普通の時にはありえないが、マイナス金利の時なら十分にありえるので金投資がブームになる。

不動産商品も同じ理屈だ。
マイナス金利で貸し出しが無限に増加するとしたら、不動産投資は無限に拡大していく・・・ゼロ金利で借り入れて不動産に投資するだけで利ザヤが取れるからだ。
不動産投資の基本的リターンであるNOI利回りが借入金金利を上回ればプラスのリターンを取れる・・・ゼロ金利の下ではNOI利回りの高い不動産はずっと続く。
でも、不動産が活況となり価格が上昇していくと、NOI利回りが低下してくる・・・不動産の保有には金以上にコストがかかるので、NOI利回りが下がり過ぎると投資資金の引上げが起こるかもしれない。ゼロ金利下の不動産投資とはいえ、不動産市場の過熱によって投資の限界が出てくるかもしれない。

マイナス利回りの債券投資は、こうした金や不動産の投資へと資金フローを拡大していく。
長期につづいた低金利の効果として世界全体の債務残高が大きく増加していて、特に中国での民間債務が肥大化している。
こうした債務残高の積み上げりとともに、クレジット(社債)市場も肥大化しているのが現状だ。
マイナス利回り債券が世界債券市場の4割を占める状況では、多少リスクを取ってもプラスの利回りが期待できるハイイールド債券が人気になっているのもうなづける・・・次回はこのハイイールド債券について考えてみたい。


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マイナス利回り債券は買えるか(1)

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身曽岐神社・・・マイナス利回り債を買うのは神頼みみたいなもの。
長期国債の利回り低下が激しくなっている・・・各国の10年国債利回りを見ると、日本債-0.24%、米債1.57%、カナダ債1.14%、英債0.44%、独債-0.65%、仏債-0.37%、オランダ債-0.53%、スペイン債0.13%、オーストラリア債0.94%、などなど。
すでに日本と、独、仏、蘭などの欧州の主要国はマイナス金利が拡大してきている。
マイナス金利の債券がどんどん買われている状況だが、マイナス金利債を買って金利を支払うことに、投資としての意味があるのか不思議だろう。
マイナス金利を買うとはどういうことなのだろうか?

基本的なことだが、マイナス金利の国債を買うとは、毎年毎年金利を支払うというわけではなく、債券をオーバーパー(100以上)、たとえば、102円で買うことだ・・・満期まで保有していると100円で償還されるため、2円の損失が出てしまう・・・これがマイナス金利だ。
現在、国債の表面利率は、ほとんどゼロとはいえ、一応、0.1%の利率がついている。
ここでマイナス金利の債券を買う理由の一つが出てくる・・・それは、102円で国債を買っても将来さらに金利が低下(債券価格が上昇)することを予想し、103円で売れるかもしれないという期待だ。
国債を満期まで保有せず、途中でさらにマイナス金利が広がれば、そこで利食って、プラスの投資収益を稼げる。

もう一つは国債のボラティリティがその他の資産、株式や商品などに比べて低いことだ。
つまり、国債をポートフォリオに組み入れることで、ポートフォリオ全体のボラティリティを下げることができる。
特に、現在のNY市場のように株価が急落しボラティリティが急上昇している局面では、ポートフォリオのボラティリティを引き下げるのは運用の常道だ・・・そうしなければ、大損をする可能性さえあるからだ。
リターンがなくてもボラティリティの低い債券は必要不可欠な資産クラスであり、マイナス金利でも買う大きな理由になる。

こうした動機でマイナス利回り債券がさらに買われていく・・・しかし、問題は誰も満期保有しようとは考えていないことだ。
債券の売買益を目的にしても、ポートフォリオのボラティリティを引き下げる目的にしても、オーバーパーで債券を買っているので、満期まで保有したら償還損が出てしまう。
だから、マイナス利回り債券は満期前に手放すことになる・・・もし、すべての投資家が満期前に手放したら、債券価格は急落してしまう・・・売買益を上げるどころではなくなる。
これがマイナス利回り債券の投資の難しいところだ・・・つまり、債券価格を暴落させるメカニズムがこのマイナス金利政策に内包されていることになる。
10年債のマイナス金利なので、当分先のことだと安心しているかもしれないが、実際は、いつ起こるか分からない。
満期間際になって慌てることにもなりかねないし、早めに手放そうとして債券価格の急落をまねくかもしれない。
日銀の量的緩和政策が続き、償還前に保有するマイナス利回り債を日銀が買ってくれるという場合はかなりラッキーだろう・・・量的緩和が10年先も続くとは誰にも予想できないからだ。
また、国債以外、周辺の金融商品でも、この債券バブルの煽りで、投資のリスクも高まっている商品もある・・・次回、考えてみたい。


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債券市場の語るもの

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この1か月で最も変化が大きかったのは債券市場だ。
米10年債の利回りは2.5~2.6%から急激に低下し、2.1%まで下がった・・・わずか1か月での話だ。

米国債券市場は効率的なので、長期債、短期債からFFレート先物まできちんと動く。
長期債が急激に買われ、FFレートの誘導レンジ2.25%~2.5%を10年債が下回るという状況になると、これから計算されるFRBの金融政策も、当然のことながら影響され、FRBの金利引下げ予想が出てくる。
これらの先物からの期待値はFEDウオッチャーが公開しているが、それを見ると、年内にFRBが利下げする確率がすでに98%まで高まっている・・・さらに年内1回利下げの確率が急低下し、3回利下げの確率が急上昇している・・・7月のFRBのFOMCで利下げが決定されるという期待値が急上昇している。
先週の「ウィークリー雑感」でも取り上げたが、過去の各国中銀の量的緩和政策の影響でグローバル債券市場の流動性が低下している状況で、債券市場にバイアスがかかっているから生じた可能性がある。

米中摩擦の激化とともに、将来の景気後退リスクがどうなるかが最大の注目点だが・・・
しかしながら、多くのエコノミストはグローバル景気はスローダウンしているとはいえ、リセッションを予測しているわけではない・・・米国のGDP成長は鈍化するとはいえ、2%程度を見込まれている。
また、多くのアナリストは企業業績の鈍化は予想しているが、業績の大幅減益を見ているわけではない・・・日米ともに企業成長の鈍化は予測されているが、それでも一桁の利益成長が見込まれている。
この二つについて、株式市場は、ちょうど良い、そして、都合の良い解釈をしたようだ。
FRBの利下げ期待が強まっている一方、景気や業績の大幅な悪化を見ていないというところで、両方の良い所取りをし、それが最近の株価反発につながったからだ。

でも、問題は二つある。
一つは、景気指標の悪化が表面化しなければ、このFEDウオッチャーの期待・確率通りにFRBが動くとは限らないこと。
もう一つは、実際に景気悪化の指標が出てきた時、FRBは利下げに入るだろうが、株価が再下落することだ。



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