株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

やさしい投信の選び方

iDeCoはやるけど、NISAはやらない(4)

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岸田「聞く耳」政権の目玉政策が、NISA拡充策だ。
その中身は・・・
①非課税運用の年間枠を従来の120万円から360万円に拡大。
②投信枠120万円、株式枠240万円と小分けにして個別株を別枠で変えるようになる。
③5年間の投資で合計1800万円まで運用することが可能。
④5年経過後はロールオーバーし、無期限に運用することができる。

非課税運用枠の拡大は個人投資家にとって朗報だが基本的な仕組みは従来と変わらず、非課税での機動的アロケーション変更や短期トレーディングはできない。
この政策でNISAで56兆円を集める方針らしい。

岸田政権の思惑は、第一にこの「NISA枠拡大で株式市場を持ち上げたい」ということだろう。
当ブログでは12/3から「株は買えば上がるの間違い」を4回で書いた。
これはNISAの拡充でも同じことだろう。
28兆円の残高を2倍の56兆円に増やしても株価を上げる理由にはならない。
もちろん買っている間は株価は上がるが、何年後の将来に売りに出てくるだけだからだ。
このNISAの拡充で儲かるのは投信を販売し、個別銘柄の売買手数料を受け取る証券会社や銀行。

もう一つ考えられる思惑は、このNISAの買いに日銀の保有ETFをぶつけ出口を作りたいということかもしれない。
日銀のBSには資産側にETF(簿価で36兆円)、その反対には日銀券発行(負債側)、このETFを強引に処分する時は日銀に損失が発生し、現金の吸収で市場需給が悪化してしまう。
もし証券会社が間に入り、NISA顧客のETFの現金買いを日銀のETF売りにぶつければ日銀のBS両側がうまく減る。
全額売却できるかは分からないにしても、マーケットインパクトなしに部分的売却を進められる。

NISA口座で一番大切なことは絶対に損失を出さないこと。
損失が出てストップロスをすると、非課税の効果がすべて失くしてしまう。
だから指数ETFはいいが、個別日本株や株価∔為替のリスクを取る個別外国株はボラが高くNISA口座では難しい。
バイ&ホールドで買える株式はボラの低い銘柄に限るし、為替リスクを取るのも上級者向けに限られるだろう。

という意味ではボラの低い高配当株などがNISA口座の対象となるだろう。
キャピタルゲインさえ狙わなければ、配当金が非課税になるだけで大きなメリットがあるからだ。
株価変動の小さい(ボラティリティの小さい)安定株ならば、大きな損失を出すこともなく長期保有でき、毎年の配当課税20%を非課税にできる。

初めてNISA口座で将来の高配当株でも買ってみようかなって思った。
・・・なんだ、やるんかい!



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iDeCoはやるけど、NISAはやらない(3)

ETF








バイ&ホールド型の投資戦略は日本株では難しい。
株価の長期パフォーマンスは経済の名目成長に近づく、単純にY軸に時価総額、X軸に名目GDPをグラフ上に描くと、幅の広い右肩上がりの直線が出来上がる。
株式市場の時価総額と名目GDPはゆるく順相関している。

インフレのある米国では「実質成長率+インフレ率」で長期的に時価総額は増加していく。
米国は実質成長率3%∔インフレ2%で5%の株価上昇が長期的に期待できるというわけ。
この長期的関係を利用したのがバフェット指数=時価総額÷名目GDPだ。

米国株のバフェット指数の推移を見ると・・・

ピーク:   (2015/3)122 (2018/9)145 (2021/12)199
ボトム:(2013/3)100 (2015/9)109 (2020/3)120・・・現在139

2020年新型コロナ禍のFRB金融・量的緩和による市場の流動性増加で、バケット指数も大きく上昇、昨年末には200%と名目GDPの2倍という異常値を記録した。
そのバブルと言ってもいい上昇から、現在は金融引き締めで低下し130水準にある。
米国株は名目成長率∔インフレ率∔バフェト指数の変化分で上昇・下落してきた。

日本はどうなのだろうか?

ピーク:   (2018/9)130  (2021/9)139
ボトム:(2015/1)102 (2020/10)106 (2022/9)121・・・現在131

日本はゼロインフレ時代が長かったので、名目成長率1~2%∔インフレ率ゼロで株価の上昇期待は年1~2%に過ぎない。
さらに日本バフェット指数も110~130で安定し日銀の金融・量的緩和の影響も限定的で、バブルのようなバフェット指数の上昇は見られなかった。.

という意味で長期の株価上昇期待は、米国+5%に対して日本では2%程度しかない。
ここをよく考える必要がある。
日本では株価が∔10%も+20%も急上昇したら、常に「売り」になる。
ファンダメンタルの変化以上に株価が上昇したら、それ以上に上がり続けることはない。
この事は日本市場では「バイ&ホールド」戦略は、もちろん一部に長期の業績成長を実現する企業もあるだろうが、そうした銘柄以外うまく行かない事を示している。

となると、高値で利食いできるiDeCoは運用OKだが、途中売却できないNISAは運用が難しい。
インデックス商品にしても、アクティブ商品にしても株式を源泉とするファンドは「吹き上がった時は常に売り時」ということだ。

日本市場は「バイ&ホールド」ではなく「バイ&セル」だ。
だから、iDeCoはやるけどNISAはやらない。

もう一つの視点は政治家の真の目的だ。
NISA枠を拡充し国民に広く浸透させて50兆円のおカネを集める、そしてETFの買い手を作ることで日銀の保有ETFの出口にすると考えているかもしれないからだ。

次回に続く・・・



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iDeCoはやるけど、NISAはやらない(2)

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サラリーマンの年金制度は、もともと基礎年金(=国民年金)、厚生年金、厚生年金基金という三階建てだった。
基礎年金は国民全員が入る、厚生年金はサラリーマンが全員強制的に加入、厚生年金基金は会社や産業単位で入る、年金運用制度だ。
しかし、日本の「失われた20年」と呼ばれた時代、小規模の年金基金運用が行き詰まってしまった。
多くの厚生年金基金が解散したり、代行返上して損失回避を行った。

2000年代前半の頃だったと記憶しているが、証券業界でも産業別年金「証券業厚生年金基金」を解散した。
それに代わって導入されたのが「確定拠出年金」だった。
これは運用結果を年金受益者の責任に転化し、会社や事務局は運用責任を回避できる制度だった。
会社と社員が半々で拠出し運用するが、運用次第で年金受け取り額が減っても自己責任として会社や業界は運用責任を転嫁した年金商品だ。
この「確定拠出年金」を企業型と位置付け、個人型の確定拠出年金が作られた、これがiDeCoだ。

このiDeCoは社員や個人に責任を押し付けるにもかかわらず、運用面では窮屈な制度だ。
筆者は2004年から2017年まで13年間この「確定拠出年金=iDeCo」に加盟していた。
運用は今では考えられないぐらい窮屈で、iDeCoの口座で買える投信は、国内株、外国株、外国債券、日本債券の4つのインデックスファンドと資金プールファンド(銀行預金)だけだった。
投資の基本から見ると、アルファなしのベータだけの運用で運用成果は限定された制度だ。
毎月一回、この5本の投信のアロケーション(配分)を変更することができる。

記憶の範囲で恐縮だが、当時は毎月2万円程度(会社1万円+社員1万円)の拠出をするので、年間24万円、それを13年間続けたので380万円ほど拠出したことになる。
その間、リーマンショック、ギリシャ危機、アベノミクスなどの強烈なイベントが目白押しだった。

結果はどうだったか?

60歳で定年退職した時、このiDeCo資金を全額受け取ったがその金額は800万円だった。
アロケーションはかなりダイナミックに行った。
利回りセロの日本債は組入れず、国内株、外国株、外国債に三つの投資し、2008年リーマン危機前に国内株+外国株+外国債を20%づつに抑え資金プールを40%に、2012年に国内株∔外国株で100%、外債をゼロにした。
自分でもダイナミックな配分変更でリターンを最大化したと思う。

でも、これらの努力はどんな結果につながったのだろう?
TOPIX配当込み指数のこの20年間の平均年率リターンはおよそ6%だった。
これを基に積立投資のリターンをシミュレーションしてみると・・・初期投資ゼロ、毎月3万円、期間13年、年リターン6%で計算すると、706万円になる。

筆者はダイナミックに配分を変更して最大のリターンを出したつもりだった。
TOPIX配当込みで運用しても700万円・・・この100万円の差が大きいと見るか、不十分と見るかは個人によって違うかもしれない。
結果としていえるのは「ダイナミック配分の平均リターンは年率7%弱だった」ということだ。

NISAで同じ期間運用したらどうなるだろうか?

最大の違いはNISAは「バイ&ホールド」で、iDeCoはダイナミック配分ができることだ。
ダイナミック配分をしたリターンは年率7%、TOPIXのみで運用すると年率6%として計算してみる。

NISAは毎年120万円を5年間運用できる。
毎月10万円(年間120万円)6%で積立運用をすると、5年後に697万円になる。
毎月10万円、年率7%で積立運用すると、5年後には715万円。
実際NISAでは非課税で運用するには売却ができないので、アロケーションのダイナミックな変更はできない。
それにしても5年後の受取金額は18万円の違いだ。

個人的な感想だが、ダイナミックに配分を効果的に使えばリターンを引き上げることができる。
さらにレバレッジを掛ければさらにリターンをブーストすることができる。
こうしたテクニックが使えないNISAには魅力を感じない。


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iDeCoはやるけど、NISAはやらない(1)

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岸田「聞く耳」内閣の目玉が、どうやらNISAの拡充らしい。
NISAの口座数1700万口座を倍増させ、投資額28兆円も倍増させ56兆円にするという。
非課税での保有期間を無期限に、限度額も引き上げるという。

でも筆者は「iDeCoはやったけど、NISAはやらない。」
NISAの制度と筆者の運用方針が合わないからだ。

まずはNISAとiDeCoの運用上の違いを考えてみよう。
一般NISAは年間120万円まで上場株式や投信・ETFなどに非課税で投資できる制度だ。
運用期間は5年間で、ロールオーバーも含めて600万円が上限となる。
一旦売却するとその後は課税口座に移され、非課税の効果がなくなる。

一方iDeCoは個人型の確定拠出年金であり、毎月一定額を積み立てiDeCoの対象商品で運用する仕組みだ。
年金制度の一つなので60歳で終わり、受給開始できるが開始時期は選択できる。
受取も年金型でもらうこともできるし、60歳で一時金で全額受け取ることもできる。
個人の判断で運用商品を選択でき、資金プールも用意されているのでキャッシュポジションを持つこともできる、比較的自由度の高い運用ができる。

なぜ、「iDeCoはやるけど、NISAはやらない」のか?

その最大の理由が運用の自由度だ。
iDeCoでは上場株式に直接投資はできないことが不自由だが、運用途中で外株と日本株を入れ替えたり、相場がヤバいと思えば、キャッシュ運用に移管できる。
NISAでは一旦買ったら5年間売却できない(売却できるが、その後非課税運用はできない)。
ここが致命的な違いだと思う。

バイ&ホールド、一旦買ったらずっと保有し続けるという戦略はGAFAMような長期成長株では有効な戦略だが、日本株には合わない。
日本株にも成長企業はあるが、その株価がかなり不安定だ。
日本の代表的成長株レーザーテック株の値動きを見れば一目瞭然だろう。
今年1月の高値は3万6000円だが、6月安値1万4450円、10月安値1万4320円と半値以下の1万4000円台まで下落し、その後反発し2万9000円台まで戻った。

投資家の事情、市場の一時的な需給で株価は大きく動く。
3万円台でバイ&ホールドした投資家には悲惨な運命が待っているし、1万5000円台で買った投資家もバイ&ホールドする気にはならないだろう。

筆者は日本株の運用には「バイ&ホールド」は合わないと考えている。
次回は「バイ&ホールド」戦略について掘り下げて考えてみたい。
そこに「iDeCoはやるけど、NISAはやらない」基本的な考え方がある。



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2023年、人気の日本株投信を考える

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2022年の国内株投信のパフォーマンスは冴えない。
残高の大きい三つの大型投信「フィデリティ日本成長株」、「ひふみプラス」、「さわかみファンド」ともに大きく下落し、一番下落の小さい「さわかみファンド」でもTOPIXリターンよりも2%も負けている。
このTOPIXリターンは配当込みではないので、配当分2%を加えると4%も負けていることになる。
もし機関投資家向けファンドだったら、このパフォーマンスでは「即、解約」間違いない!!
個人投資家向け投信はそれだけ甘い!

2023年の国内株投信はどうなのだろう?
いくつかの視点がある。

第一に「外需よりも内需」
2023年は中国経済の停滞や欧米先進国の金融引き締めが実態経済に影響し始める年になる。
一方出遅れたリオープンの影響で、インバウンド需要や出遅れレジャー需要などで国内経済はソコソコの水準を維持する。
単純に「外需よりも内需」、だとしたら製造業の大企業よりもサービス業の小型株が優位に立つ。

第二に「円安よりも円高」
FRBの金融引き締めがピークに達するとしたら、ドル円はトレンド転換し「円安よりも円高」となる。
しかしインフレ体質が続く米国経済を考えると、米金利は高止まりし急速な円高にならない。
それでも2022年に円安と原材料高に苦しんできた内需企業には朗報だ。
企業努力で原材料高を克服できる環境になるからだ。

第三に「大型株より小型株」
マザーズ指数は2020年にピークを打ち、市場全体に先駆けて大幅な調整をしてきた。
相場格言で「大回り3年、小回り3か月」と言われるが、その大回り3年の底入れをした。
日本市場では小型株の底入れから反転が明確に見える年となるかもしれない。

この三つの視点から言えることは、内需型サービス企業、コスト管理の強い企業、マザーズ市場のような小型成長企業が優位になると思われる。
これを考えると大型株に過度に依存している投信は避けて、小型の内需サービスに強い投信を選ぶべきではないかと思う。



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2023年、人気の外国株投信を考える(2)

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米国成長株D、eMAXIS・S&PS500、グローバルエクスポネンシャルイノベーションの三つのファンドの2023年を考えてみる。
まず重要なのは2022年の外国株投信の最大のリターン源泉であった「ドル円リターン」は2023年はあまり期待できない、または、若干のマイナス要因になる可能性もある。
したがって、「株価リータン」がどうなるかを純粋に考えるべきだろう。

株価リターンを考える場合には第一に基本となる株式市場全体のパフォーマンス、S&P500のリターンを考えること、第二に2022年の最悪セクターGAFAMなどのハイテク株にリターンリバーサル効果が出るかどうかだろう。
いくつかの視点があるだろう。

①逆業績相場から金融相場に入るタイミングをどう見るか?
サイクルを考えれば、FRBの利上げ終了から逆業績相場に入る、そして、業績悪化が深刻化しFRBが再び利上げに入る、このタイミングで金融相場がスタートする。
いわゆる「不景気の株高」だが、これは金融緩和に言及した時点で起こる。

2023年の場合、インフレの収束タイミングがFRBの政策に大きく影響する。
インフレが目標の2%になるか2%に近づく見通しがある時に金融政策が変更される。
つまり、景気全般の問題よりもインフレの収束タイミングが重要ということになるだろう。

②QT量的引き締めの最終地点をどう見るか?
これについてはよく分からない。
FRBのバランスシートは少しづつ着実に減少しているが、その終着点はどこか見えていない。
さらに利上げとQTの関係も不明だ。
利上げが終了した時点でQTも終了させるのか、それ以後もQTが続くのかははっきりしていない。
QTが現在のようにゆっくりと進むならば株式市場には影響しないが、スピードを上げると影響するかもしれない。

③景気と金利の関係でハイテク株のリターンリバーサルが決まる?
景気が急速に悪化すれば利上げが終わる、景気が順調ならばインフレが高進し利上げが続く、という二つだけだはハイテク株のリバーサルイメージがなかなかはっきりしない。
グローバル景気に依存するGAFAMはすでに人員削減に入っているが、GAFAM業績がピンチになるぐらいのグローバル景気の悪化が起これば変わる。
金融緩和をFRBが選択すればハイテク株は利下げ期待でリターンリバーサルに入る。
ハイテク株のリターンリバーサルはFRBの金融政策、緩和への転換がタイミングになるだろうう。

というわけで、米国成長株D、eMAXISsp500、グローバルエクスポの三投信のどれがいいかは2023年のシナリオをどう読むかだ。
グローバル景気が大きく悪化すれば、その後の金融緩和を期待して米国成長株Dなどのハイテク系のリターンリバーサル狙いができる。
特に長期保有するならアライアンスバーンスタインの運用力に期待して米国成長株Dが注目される。
逆に米景気の底が浅い場合はSP500に連動するeMAXISsp500に安心感がある。
グローバルエクスポは組み入れ株が際どい銘柄が多く、市場全体の流れというよりも個別要因に左右されるかもしれない。




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2023年、人気の外国株投信を考える(1)

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ここ1~2年で大きく資金流入した人気の外国株投信は、米国成長株投信D、eMAKIS・SP500ファンド、グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションファンドの3ファンドだ。
直近2022年ののパフォーマンスを分析した結果、2022年の最大のパフォーマンス決定要因は株価ではなく「ドル円」だった。

外国株投信といえども「ドル円リターン」をどう見るかがカギを握っている。
「ドル円リターン」を決めるのは、①金利差、②物価差、③景気差の三つの要因だ。

①の金利差は2022年の最大の決定要因だったが、2023年は不確実だ。
2023年FRBの引き締め終了はかなり高い確率だろうが、ターミナル金利水準はまだ分からない。
感覚的には7割の確率で5%のターミナル金利ならば、日米金利差の縮小から円安修正が本格化する。
しかし、3割程度の確率では6%以上にFRBが引き上げる可能性も残っている。
これはインフレが6~7%で高止まりし、パウエル氏が意固地になって利上げを進め、インフレ6~7%=FF金利6%を整合的と考えてしまうリスクだ。

一方来年4月日銀の総裁交代以降、日本が利上げに入る可能性が高まっている。
日銀のYCCが緩和され、日本のインフレ3~4%を想定すれば長期金利は2~3%に上昇していき、日米金利差は2~3%に縮小する。
日本で円を借りて米国にドル預金すれば年4%以上のリターンが得られた、キャリートレードやり放題の状況が変わる。
となれば、ドル円上昇の大きな要因が失われる。

②の物価差はかなり大きい。
ビッグマック指数では日本390円に対して米国710円で2倍近い価格差がある。
日本でビッグマックを買って米国で売れば320円の利益が出ると言う状態だ。

為替は長期的には物価差を相殺する方向に動き、PPP(購買力平価)に近づく。
という意味では、現在PPP(消費者物価ベース)で108円/ドル、スポットレート140円/ドルなので30%円の割安状態だといえる。
長期的には行き過ぎた円安局面の修正が行われる可能性が大きい。

③の経済成長率の差はなんとも影響しない。
日本の高度成長期には360円/ドルから120円/ドルまでの強烈な円高が起こった。
長期に高い成長率を達成し、巨額の累積経常黒字を上げた日本の通貨は当然円高になった。
中国の高度成長期も同じで、10%の経済急成長と累積経常黒字により人民元高となった。
でも高度成長は終わり、中成長や低成長に入ると成長率格差によって為替が大きく動くことはない。

というわけで、2023年の外国株投信のパフォーマンスは円ドルリターンの影響は小さくなるか、逆にパフォーマンスを引き下げる方向に影響する可能性が高い。

次回、米国市場全体S&P500のパフォーマンスと、ハイテク株のリターンリバーサルが起こるかという残りの二点を考えてみたい。



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2022年、人気の日本株投信を分析する

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日本株投信では残高の大きい投信が、昨年度、特にこの1-3月期のパフォーマンスを悪化させた。
ニッセイ基礎研究所の研究員によると、残高の大きい日本株投信のパフォーマンスに警戒感を持っているという。
残高のTOP3の日本株投信を分析してみたい。

①残高4612億円、フィデリティ日本成長株:21年度-3%、1-3月期∸9.6%
②残高4577億円、ひふみプラス:21年度-9.4%、1‐3月期-8.7%
③残高3374億円、さわかみファンド:21年度-2%、1‐3月期-5.5%

今年1-3月期だけでは実態が見えないので、この3本の日本株ファンドの年初来パフォーマンスを調べ、TOPIXリターンと比べてみたい。

           2021/12末 2022/11/16 リターン   TOPIXリターン
①フィデリティ日本成長 33406   30762  - 7.9% -1.33%
②ひふみプラス     51081   45161  -11.5% -1.33%
③さわかみファンド   32204   31112  - 3.4%  -1.33%
基準価額は配当再投資ベース

残高の大きい日本株3ファンドともにTOPIXリターンを大きく劣後した。
アクティブ運用がインデックスに勝てない一年だったといえる。
小型株やグロース株の株価停滞がその原因だったのだろう。
株価指数ではNY市場よりずっと堅調だった日本市場だったが・・・
投信パフォーマンスが株価指数に大きく負けてしまった現状には運用者として問題がある。
為替でパフォーマンスが持ち上げられた外国株投信に太刀打ちできないというジレンマに陥った。
このままでは国内の資金がどんどん外国株に流出していくだろう。

2023年の日本株を考える視点は、
①国内インフレや金利が世界に遅れてどう上がってくる影響をどう考えるか? 
②円安が終わって日本企業の業績がどうなるか? 
③岸田「聞く耳」内閣のバラマキが株価にどう影響するのか? 
・・・などなどたくさんある。

次回考えてみたい。



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2022年、人気の外国株投信を分析する

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ニッセイ基礎研究所の研究員が外国株投信の資金流入額とパフォーマンスをまとめた一覧表だ。
ちょっと見にくいのでまとめてみる。
資金流入額TOP5の投信、1-3月期のパフォーマンスと流入額だ。

                  1-3月期   資金流入額
①米国成長株投信D          -6.7%  11028億円
②eMAXIS Slim 米国株式SP500    +2.5%   6389億円
③グロバル・エクスポネンシャル   -13.6%   5303億円
④米国成長株投信B            -6.8%   3106億円
⑤eMAXIS Slim オールカントリー   +1.8%    3013億円

1-3月期だけではパフォーマンス実態が見えてこない。
そこで上位3ファンドのパフォーマンスを株価変動による分と円安による上昇分に分けてみたい。
 
         2021/12/30  2022/11/16  リターン   ドル円
米国成長株D   13006  11500  -11.5% ∔21.3%
eMAXIS・SP500 19204  19633  + 2.2% +21.3%
グロバルエクスポ   8389      5142    -38.9% +21.3%
基準価額は分配金再投資ベース。

米国成長株Dはアライアンスバーンスタインの運用する投信だが、基準価額の変動はー11%に対してドル円のリターンは+21%。
つまり、ドル円のプラス影響を除くと、株価リターンは年初来で-32%という大きなマイナスになっている。
ドル円リターンに相当助けられた、株価リターンだけでは大損だったといえる。

一方、eMAXIS・SP500はS&P500のインデックス投信で、株価リターンも比較的良いとは思うが、年初来+2%とプラスリターンを保った。
しかし、これはドル円リターン+21%を除けば19%のマイナスになる。
SP500の指数自体のリターンは年初来で-16%であり、指数自体のリターンよりも3%程度悪い。
これは様々な管理・運営コストがかかっているためかもしれないが、インデックス運用で3%の劣後は機関投資家向けファンドではありえない。
「即刻、解約」が言い渡される劣後状況で、個人投資家はなめられているようだ。

グローバル・エクスポネンシャルファンドとなるとなんともコメントしようがないほど悲惨だ。
これは日興アセットの設定投信だが、アークインベストメントの運用なので考えられないほどパフォーマンスが悪い。
ドル円リターン+21%がありながら、ファンドリターンが-38%、つまり、株価リターンでは-59%とまさに悲惨としか言いようがない。

米国の大手運用会社アライアンスバーンスタインのファンド、SP500のインデックスファンド、アークインベストメントの極端なファンド、の三つが資金流入のTOP3に入ったことは興味深い。
この三つのファンドを追いかけていくことで、オーソドックスなアクティブ、極端なアクティブ、そしてインデックスファンドを比較していくことができるからだ。

いずれにしても2022年はドル円リターンに大きく助けられた年だった。
来年2023年を考える上でも最も重要なのがドル円リターンがどうなっていくのかだ。
ドル円リターンが円高でマイナスになるようならば外国株投信のリターンを逆に削り取る要因になるからだ。

①ドル円がどう動き、リターンに影響するか?
②米国株全体の動きを示すS&P500がどのようなリターンになるのか?
③大きく負けたハイテク株のリターン・リバーサルが起こるか?

この三つの質問が来年の外国株投信を決める。
株山人流に考えてみたいと思う。



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グローバルAIファンドは下落相場に強かった

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昨年はAIが騒がれた年だった・・・でも、その後、新型コロナ騒動で世界の株価が大混乱したが、AIファンドはどうだったのだろうか?
人間でさえ大混乱で、慌てふためいた投資家がぶん投げに次ぐぶん投げ・・・株や商品・債券相場までドタバタ劇をAI運用はどう切り抜けたのだろうか?
こうした波乱相場では、ファンドの本当の力がよく分かる。

人間でさえドタバタしたこの時期で、運用としてのAIの実力を見てみたいところだが、今回は運用先としてAI開発会社などに投資するグローバルAIファンドを取り上げた。
グローバルAIファンドの代表として、三井住友DSが運用している「グローバルAIファンド」を取り上げてみたい。

まずは、昨年末から1月末、~2月末、~3月末のパフォーマンスを、AIファンド、TOPIX配当込み、S&P500と比較してみた。

  AI   TOPIX   SP500  
昨年末 17127   2483.05   3230.78  
1月末 17901 4.5% 2429.94 -2.1% 3225.52 -0.2%
2月末 16633 -2.9% 2180.18 -12.2% 2978.78 -7.8%
3月末 14720 -14.1% 2045.68 -17.6% 2584.59 -20.0%

3月末までの3か月では、「グローバルAIファンド」がTOPIX配当込み指数を3.5%、S&P500を5.9% アウトパフォームしていた。
為替ヘッジなしのファンドと、円建てのTOPIX配当込み、ドル建てのS%P500を単純比較していいかは問題があるので、参考程度でしかない。
それにしても、わずか3か月での3~6%もアウトパフォームは尋常ではない。
特筆すべき好パフォーマンスといえる。

残念ながら、この三井住友DSの「グローバルAIファンド」はAIが運用しているファンドではなく、アリアンツ社が世界500社のAI関連ユニバースから40~100銘柄を絞りこみ投資をしているファンドだ。
運用者としての人間とAIを比べてみたかったが、まだきちんとしたパフォーマンス・レコードが手に入れられなかった。

しかしながら、この大暴落相場で、AI関連企業の株価がグローバルで強かったということは、投資家のAI技術への期待の大きさを示している。
「グローバルAIファンド」は今後もウォッチしていきたい優良ファンドだった。
問題はそのコストで、販売手数料が3.3%、信託報酬が1.95%かかる・・・つまり、1年目は合計5.2%のコストがかかるので投資家は注意が必要・・・長期保有する気がある投資家にはいいかもしれない。



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やさしい投信の選び方(9公募投信続き)

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公募投資の選び方も今回で最後になるが、最後に「分配金」の問題を考えてみたい。
投資家としては分配金を受け取るのは楽しみで、たとえ、それがタコ足配当であったとしても。
多くの高齢投資家は、「投信の元本部分はいずれ自分が亡くなった時、相続として親族に行く部分だけど、分配金は生きているうちに自分が受け取れ、自分のために使える」と考えている。
だから、毎月分配などの高分配の投信は高齢者に人気がある。

この分配金は分配可能原資から払われるのだけど、これが少しややっこしい。
というのは、当期の配当収入などのインカムゲインと値上がり益などのキャピタルゲインだけでなく、過去のインカム・キャピタルゲインのうち留保(その時に払っていない分)されている準備金と、さらに追加でこの投信を買った顧客の収益調整金も含まれる。
簡単に言うと、今期儲かった分を分配するだけでなく、過去に上げた収益や追加投資家の資金も分配に使える。
過去に上げた収益というのがミソで、過去基準価額が大きく上昇したことがある投信は分配原資が大きく積み上がっている。
しかも、追加の投資家と既存の投資家を公平に扱うために新規資金の一部も分配に回すことができる。
こうしたルールがあるために、日本では投信の基準価額以上の分配原資がある投信があるという訳わからない状態になってしまった。

昔、台湾で日本の毎月分配型のような投信を出そうと考えたことがあったが、台湾は当期の収益の範囲内でしか分配できないために、毎月分配型の投信はあきらめたことがあった。
欧州の投信規格UCITSでも、米国のミューチャルファンドでもこんなタコ足分配は無理だ。
日本だけの特殊なルールで、金融庁が毎月分配型をめの敵にするのは、こうした事情があるのかもしれない・・・将来、このルールが変わっていくかもしれない。
税法では、収益を原資とした分配には分離課税がかかるが、タコ足分配部分には税金はかからない・・・なぜなら、それは運用で上げた収益ではなく、自分の出したおカネだからだ。
毎月の分配金をもらって喜ぶ高齢者は別としても、通常の投資家にはタコ足分配は自分の出したおカネをもらうだけなので全く意味がない。
特殊な日本的な投信というわけだが、でも、まだまだ人気がある。
年金の不足を解決する手段でもあり、日本では生き続けるのかもしれない。




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やさしい投信の選び方(8公募投信続き)

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公募投信の選び方は、(1)小型株やグローバル高配当などの自分でできない運用はプロに任せた方がいい、(2)新興国の高金利通貨を買うことが多い、通貨選択はかなりリスクが高いので十分に慎重に検討すべき、というところまでは検討してきた。
まだ、もう少し、公募投信で知っておくべきこともある。

その一つがカバードコールが付いた投信だ。
カバードコールはコールオプションの売りが付いている投信だ。
コールオプション(買う権利)を売ると、その値段で株価指数を売る権利を持つことになる。
だから株価指数が上昇していくと損失が出るが、その代わりにオプション料を受け取ることができる。
コールオプションの付いた投信はオプション料をもらえる分だけ投資リターンが上がる。

実際にある公募投信では株式部分の半分程度をコールオプションで売るケースが多いと見られる。
そうなると投資家の損益はどうなるだろうか?
株価指数が下落した場合・・・当然のことながら、株式部分で価格が下落し損失が出る、しかし、コールオプションの売りによるオプション料の受取りが利益となり、株式部分の損失の一部を相殺する、全体のリターンはマイナスだが、マイナス幅が抑えられる。
株価指数が上昇した場合・・・株式部分で利益が上がるが、コールオプションを株式部分の半分を売っているため、利益は半分になってしまう、それにプラスしてオプション料の受取りも利益になる。
株価指数が横ばいの場合・・・株式部分は損益チャラだが、オプション料の受取りでリターンはプラスになる。
つまり、簡単にいえば、株式指数の上昇の半分でコールオプションを売り、株価指数の下落に備えた投信といえる。

日本株投信などでは、投資家は自分でポートフォリオを作って運用し、その一部をコールオプションの売りでカバードコール戦略を自分でもできる。
しかし、欧米株式やアジア株式では、コールオプションを自分で売るのは少々難しい。
外貨の買い、外貨のオプション売り、外国株式のオプション売りと複雑化してくると、外貨・株式・オプション等のポジション量の調整、ポジション損益の管理と要因分解、証拠金の管理、などなど複雑な仕事をしなければならなくなる。
これらをすべて自分でやるのは個人投資家にはハードルが高い。
カバードコール付きの日本株投信なら自分でやるという選択もありだが、外国株式のカバードコール付き投信なら買った方がいいと思う。

しかし、外国株式のカバードコール付き投信は若干の問題がある。
それは、投信のカバードコール部分を別に切り出して、トータルリターンスワップを海外の証券会社と結ぶ場合が多いことだ。
このトータルリターンスワップは海外の証券会社のポジションを使ってカバードコールを運用し、その結果損益だけを公募投信に反映させるものだ。
つまり、海外の証券会社が勝手にオプション評価してプレミアムを算出し、自己ポジションにするため、やや自分に有利(投信に不利)なプライシングをしている可能性が高い。
でもこれは外部からは確認しようもないので、投資家は文句を言えない。
これは目論見書に出ているのでチェックした方がいい。



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やさしい投信の選び方(7公募投信続き)

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前回は公募投信の定番でもある小型株、高配当型、テーマ型などを簡単に見てきた。
それぞれ、個人投資家が自分で銘柄を選び運用することもできるが、プロの腕が生きる分野でもあり優秀なファンドマネージャーを抱える投信会社に任せた方がいいと思う。
今回は、もう少し工夫した公募投信を取り上げてみよう。

まず、最初に通貨選択型の公募投信だ。
これは為替を使ってリターンを増やそうという戦略のファンドで、グローバル債券に投資してさらに為替収益で上乗せを図るというものだ。
各国の金利と為替の動きはお互いに相関するものなので、グローバル債券に為替スワップを組み合わせた商品設計が一般的だ。
特にここ数年はグローバルに長期金利が低下してきたため、債券だけでは十分なリターンが上げにくくなってしまった・・・そこで為替スワップの収益を上乗せすることで、リターンを引上げようと考えたわけだ。
特に日本の低金利で、日本投資家から見れば海外の債券は魅力的だし、しかも内外金利差を収益化する為替スワップでさらにリターンを引き上げられたらより魅力が上がる。

でも、問題はいくつかある。
まず、通常使う通貨は内外金利差の大きい通貨、つまり、高金利通貨が選ばれる。
その方が金利差が大きく収益が上がるからだが、実は高金利通貨はリスクが非常に高い。
運用会社でもリスクの高い高金利通貨を一般の個人投資家に売っていいのか内輪で議論になったこともあったが、一旦、発売してみるとよく売れるのでこのコンプライアンス観点は無視されてしまった。
しかし、高金利通貨はファンダメンタルが弱く、たとえば、経常赤字だったり、対外債務が大きかったり、国内の資本蓄積が不足してたり、政治が不安定だったりと、何かイベントが起きると暴落する可能性が高い。
プロのファンドマネージャーが運用する時でも各新興国のファンダメンタルを月次で追いかけ、IMFやBISの統計を追いかけ、政治情報などはとても収集に苦労するし、さらに分析もたいへんな国が多い。
こうした通貨を個人投資家が自分で判断して通貨選択をするのは困難だろう。

ブラジルのレアル建ての投信が一時人気になったが、一つの例として大和住銀の「エマージングボンド」の三つのコース、つまり、通貨選択のない円コース、ブラジルレアルコース、トルコリラコースを比較してみよう。
人気のブラジルレアルコースの分配金再投資リターン(今年2月末)を見ると、1年ー7.0%、3年+44.7%、5年+19.5%と、特に3年では大幅リターンを出している。
ここ数年はドル高/円安で推移していたため、海外債券の投資はプラスになる環境だった。
円コース(通貨選択なし)は純粋な外債ファンドで、このリターンは3年+10.9%・・・3年で考えるとレアルコースは34%のリターンを通過選択で稼いだといえる。
でも逆にトルコリラコースは同じく3年で-9.8%で、通貨選択がマイナスになる20%の損失だった。
簡単にに言うと、外債ファンドは3年で+10%、それにブラジルレアルの通貨選択で+34%、だけど、トルコリラの通貨選択では-20%という結果になった。
このように高金利通貨の為替スワップを組み込むと、うまくいけば高いリターンが得られるし、失敗すると大きな損失になる。
このファンダメンタルズの比較的弱い高金利通貨の選択がうまくいけばいいが、失敗するとひどい目にあうというわけだ。
この高いリスクを個人投資家に取らせていいのかが運用会社の姿勢の問題といえる。

・・・続く。



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やさしい投信の選び方(6 公募投信)

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前回話した通り、日本の公募投信はコストが高い分、個人が自分で投資するのが難しいような商品を組み入れるものや、海外の運用会社が組成したファンドを買うタイプのものが多くなる。
自分でも買えるような、たとえば、日本株の大型株や代表株のような投信は売れないし、販売会社のラインアップにも入らない・・・FTFの方が「よっぽどマシ」だからだ。。

もう少し細かく見てみよう。
まずは、日本株の小型株投信だ。
小型株が好きな個人投資家も多いと思うが、JASDAQやマザーズに上場している小型株まで含めると銘柄数が多く、なかなか一つ一つの会社を調べて比較して投資するのは面倒だ。
よく知っている小型株ファンドマネージャーは毎日5社の経営者を面談し、年間800社以上を調べる。
そして、会社毎に利益成長の見通し、最適なバリュエーションを算定し、その理論株価から見て割安な株に投資する。
こんな事ができるのは専業のファンドマネージャーだけだ。
こうしたファンドマネージャーの運用する公募投信は、個人投資家にはできない投資を提供すると言う意味で重要だろう。

次に配当を中心にした投信、グローバル高配当やアジア高配当だ。
これはまた個人投資家には簡単そうに見えて、ハードルが高い運用でプロに任せた方がいいかもしれない。
日本株での配当投資は個人でもやりやすい分野だが、アジアやグローバルとなる難しい。
アジアの企業の業績は大きく振れるので、配当利回りが10%とか12%とかの水準に達している場合もある。
しかし、多くの場合、業績が悪化の途中で、いずれ大幅な下方修正、そして、大幅な減配・・・気がついて見たら配当利回りは3%だったとかいうことも多かった。
つまり、業績の振れの小さい日本株ならいいけど、アジアやグローバルでは配当投資といっても業績の予測が必要になる。
その海外企業の業績予測を個人投資家がするのはかなりハードルが高いだろう。
という意味で、プロのファンドマネージャーが運用する投信を選ぶ方がいい。

次はテーマ型の投信だ。
環境ファンド、ESG、ロボット、5G関連、などなど、様々なテーマ型の投信が設定されている。
確かに魅力的な成長分野に特化した銘柄選択で、人気化している投信もある。
これらのテーマは基本的には持続性に限界があるし、そもそも投資対象が限定されているので融通が利かない。
もちろん人気があり資金が集まっている投信は、基準価額も上昇しやすくパフォーマンスも上がりやすい。
でも、人気に依存しすぎているため、人気が一巡すると資金が流出し始めパフォーマンスも落ちてしまう。
たとえば、日興アセットのグローバル・ロボティクス投信、2017年から2018年頭にかけて人気化し、基準価額も1万7000円近くまで上昇、純資産も5000億円に急成長した。
しかし、その後は、基準価額も14000円程度で純資産も4000億円程度に減少。
現在は人気が一巡した状況にある。
テーマ型投信はうまく人気の流れを見ながら投資しないと、人気が離散し基準価額もするとどうしょうもなくなるから注意が必要だ。

・・・・続く。


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やさしい投信の選び方(5公募投信の注意点)

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いよいよ、投信の本丸ともいえる公募投信の選び方に話を進めていきたい。
公募投信は誰でも証券会社や銀行で買えるお手軽な金融商品で、日本でも長い歴史があり馴染みが深いものだろう。
その馴染みのある公募投信だが、いくつかの特徴があり注意が必要とともに、目論見書をよく読むことが大切だ。

まず第一に、公募投信は誰でも買えるかが、販売はタテ割りでどこでも買えるわけではない。
公募投信の運用者は運用会社に属するファンドマネージャーだが、販売は証券会社か銀行だ。
証券や銀行は系列が明確に分かれており、一つの公募投信は基本的に系列の銀行や証券で販売される。
つまり、特定の公募投信を買おうとしたら、その系列の販売会社に口座を持たないと買えない。
いろいろな投信を買うと、いろいろな販売会社に口座を持たなくてはいけないので、ちょっとめんどうくさい。

第二に、公募投信の手数料が高いこと。
個人投資家が自分でできないような運用をプロのファンドマネージャーが行うため、手数料が高くなるのが普通だ。
たとえば、新興市場の株式や債券だったり、カバード・コールなどのオプションを使った運用だったり、海外の調査会社を使ったりするので、運用のコストがかかる。
だから、基準価格は運用手数料(信託報酬という)を引かれた後の価格になるので注意が必要だ。

第三に、販売手数料がかかること。
販売会社が系列の運用会社が設定した投信を売るので、販売額に対して3%程度に手数料を払う必要がある。
だから、販売会社は大きく儲かる可能性のある投信を積極的に販売する傾向がある。
そのためにはリスクの高い投信、新興国の株式や債券・為替、値動きの大きい小型株、などが販売の中心になる。
リスクの計算をちゃんとしないと思わね損失を被る可能性があるだろう。

投信の販売が系列で行われるので、複数の投信を買う投資家は複数の証券会社や銀行に口座を持つ必要があり、ちょっと面倒くさい。
一つの口座でどの公募投信でも買えるワン・ストップのサービスがあると投資家にはありがたいが・・・ない。
・・・ということが公募投信を買うためには投資の前提条件になる。
つまり、買いたいと思う投信の販売会社に口座を持つこと、販売手数料がかかるので短期売買には向かないので長期投資をすること、信託報酬(運用費用)がかかるので目論見書をよく読むことの三つが大切だ。

さて、それでは公募投信の種類から考えてみよう。
公募投信に組み入れるのはリターンの高い商品を選別されているので、外債型(新興国型、グローバル型、特定国型)、グローバル株式型(新興国型・テーマ型)、日本株式(テーマ型や小型株)、特殊商品(グローバルREIT,MLPなど)が基本的な公募投信の種類だ。
次回から、それぞれの特徴とどう選べばいいかを考えていきたい。



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やさしい投信の選び方(4RIETやインフラF)

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不動産投信の選び方の二回目だが、前回は第一のポイントとして配当利回りとその安定性を取りあげた。
配当利回りが高いだけで買うと、クォリティが低いREITを買ってしまうことも多いから気をつけたい。
配当の安定性は時価総額の大きさ、財務状況、不動産の集中度などを見ることで、より安定した配当を実現できる可能性を判断できる。
今回は視点を変えて、配当と並んで重要なポイントとなるREITの新規投資による成長、そのパイプライン、スポンサーという選び方を考えてみよう。

REITの成長には内部成長(賃貸料の増額)と外部成長(新規の物件投資)の二種類あるが、新規の物件投資はリートの成長にとって最も重要な要素だ。
しかも問題は不動産市場は効率的であり、割安な物件には割安な理由があり、割高な物件は割高な理由があることだ・・・そんなに美味しい物件はない。
現在のように物件価格が何年も上昇したあとの新規投資をするとなると、十分な利回り(NOI利回り)を上げるのはけっこう難しい。
となると、新規投資のパイプライン(優先購入権などの投資候補のリスク)の強さ、不動産開発業者のスポンサーの強さはとても重要なポイントになる。

REITはその設立の歴史から、不動産開発会社や不動産会社の開発物件を系列のREITに組み入れて新たにキャッシュを確保し、次の不動産開発に向かうための箱でもある。
したがって、不動産デベロッパーとの結びつきが強く、REITのスポンサーとなっている場合も多い。
三菱地所や三井不動産その他の不動産会社はそれぞれ系列のREITを持っているし、デベロッパーでは森ビルや森トラストなどのそれぞれのREITを持つ。
さらに物流業者(GLPやラサールなど)も、商業施設ではイオンなどもREITを持っている。
このようなREITはスポンサーの開発したビルや施設を優先的に購入する権利を与えられており、クォリティの高い物件をリーズナブルな価格で買うことができる。
これが外部成長を決める大きな要因になるので、このパイプラインの強さもREIT選びの重要なポイントだ。

インフラファンドはREITよりももっとシンプルな構造を持っている。
太陽光発電プラントや再生エネルギー発電を対象にしたファンドで、発電した電力を売却しその利益を投資家に配分する。
20年とかの長期の固定買取契約で電力会社に売電できる施設が投資対象で、長期的に安定した利回りを生むように設計されているので比較的安心できる。
現在、固定買取価格は大幅に引き下げられており、新規投資でファンドを拡大することが困難だし、太陽光電池が劣化したりで発電量が減少すると利回りが落ちてくる可能性もある。
このあたりがインフラファンドの欠点になる。



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やさしい投信の選び方(3REITやインフラファンド)

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REITは簡単に売買できる不動産投信で、実物の不動産投資に興味ある投資家が少額で投資できる便利な投信だ。
不動産投資は、悪い意味で話題になることも多い・・・昨年は「かぼちゃの馬車」があったし、今年も年初から「レオパレス」が世の中を騒がせている。
個人投資家にとって実物の不動産投資となると、賃貸アパート経営か、ワンルーム・マンション投資ぐらいの選択肢しかない。
オフィスビル投資となると、巨額の資金が必要になるし、ノウハウも必要にり、かなりハードルが高い・・・というか個人では手が出ないのが実情だ。
上場REITには、オフィスビル専門に投資するもの、商業施設専門に投資するもの、物流施設専門、ホテル専門・・・などなど、様々な種類の不動産投資を行っているREITがある。
個人が都心の一等地のビルや超高級ホテルなどに投資できる唯一の投信がREITだ。
これをうまく使えば、投資ジャンルを一気に増やせ、自分の不動産資産全体の分散効果を高めることができる・・・それがREITの強みだ。

では、REITの60本ぐらいが上場され、時価総額は20兆円弱の規模だが、実際、どうやって選べばいいのだろうか?
第一のポイントは、REITは利回り商品なので配当利回りがまず重要になることだ。
ただし、配当利回りが高ければいいというわけではなく、配当の安定性を含めた利回りの高さが重要になる。
具体的には、時価総額(大きい方が安定しているが利回りは低くなる)、財務状態(借金が多ければ配当が高くなる)、物件の集中度(一部のビルに依存していないか、地域的に集中していないか、など)の三点が重要なチェック項目だ。

一般的な傾向だがREITの時価総額が大きいほど、人気のある大型開発物件が多くなり、業績が安定する。
したがって、時価総額と配当利回りの関係を見れば明らかだが、時価総額の大きさと利回りは反比例する傾向がある。
比較的時価総額が大きく安定感のあるリートを対象に配当利回りを加味して選ぶことが大切だ。

財務状態を指す用語で、LTV(ローン・トウ・バリュー)がある。
これは借入金を資産価値で割ったもので、REITの平均は40~50%といったところになり、LTVが40%あるいは30%台のREITは保守的で安定感が高いといえる。
当然の話だが、借入金を増やしてビル投資をすればそれだけ賃貸料も上がるので、配当利回りも高くなるわけだ。

物件の集中度。大型開発ビルに資産が集中している場合、大口テナントの退去で大きな影響が出てしまうし、特定の地域の物件に集中している場合、その地域が災害などが起これば大きな下方修正要因になってしまうかもしれない。
少数ビルへの集中投資や特定地域への集中投資は、やはりリスクを高め、配当の安定性を損なう要因になりかねない。

次回に続く・・・


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やさしい投信の選び方(2市場で買う投信の選び方)

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ETF、REIT、インフラファンドは市場で簡単に売買できる便利な金融商品だ。
誰でも市場に注文を出して売買できるし、販売手数料もかからない。
かかるのは、株式売買にかかるのと同じ売買手数料だけだ。
この便利なETFだが、どう使えば最も有効なポートフォリオを作れるのだろうか?

まず基本は株価指数に連動するETFだが、これは株式用語でいうベータ(β)リターンであり神様だけが知る世界で、自分の努力でリターンを上げられるという代物ではない。
一旦、このタイプのETFを買ってしまうと、あとは神様にお祈りをするだけしかできることはない。
だから、どのぐらいのリターンを取れるか分からないので、リスクの方から考えてみることが大切だ。

世界中の株式に分散したMSCI-ACWI(アクウィと読む)というインデックスがある。
これは24か国の先進国株(MSCI-ワールド)と21か国の新興国株式(MSCI-エマージング)を足したものだが、そのウェートを見ると米国が約半分、他の半分のうち欧州とアジアで半分づつという大まかな構成だ。
欧州では英国5%台、フランス3%台、ドイツ3%台、アジアでは日本7%台、中国3%台などだ。
このアクウィの使い方だが、国や地域の分散比率をこのアクウィを基準にして決めるのが基本だ。
たとえば、米国に強気なら米国のウェートを6割にし、日本に強気なら2割の日本にしてみる・・・さらに、欧州の弱気ならばウェートを1割程度に抑え・・・という感じだ。

各国別指数ETFをウェートを管理していくのはとても大変な作業だが、これを簡単にすることもできる。
それは自分のポートフォリオの1/2~2/3の中核部分でアクウィのETFを買い、残りの部分で強気の国別ETFを買う・・・これだけで国別のオーバーウェート/アンダーウェートを作れる。
たとえば、50%をアクウィにして、日本、米国、新興国などのETFを追加上乗せすると、追加で買ったETFの国がオーバーウェートになり、その他の国がアンダーウェートになる。
こうすることで、基本ウェートに日本・米国・新興国をオーバーウェートにしたグローバル・ポートフォリオを簡単に作ることができる。

また、株価指数による違いを考えることで、リターンをプラスすることができる。
たとえば、日経平均のETFとTOPIXのETFで、これはNT倍率トレードと呼ばれ、相場の局面をするトレード手法だ。
日経平均は主要な225銘柄の単純平均なので、株価が高い銘柄の方が指数への影響が大きい。
よく言われるようにファーストリやソフトバンクのような高株価の銘柄がどう動くかで水準が日経平均が決まる。
一方TOPIXは全上場銘柄の時価総額を元にしているので大型株の影響が強いが、日経平均ほど一部の銘柄で決まるという極端なことはない。
だから、日経平均ETFをロング(買い持ち)し、TOPIX・ETFをショート(空売り)することで、値がさ株の上昇による収益が得られる。

さらに通常の株価指数ETFと高配当ETFの組み合わせで運用することもできる。
たとえば、TOPIXのETFと高配当インデックスのETFを比べてみる。
この両ETFの反応度が異なることに注目したトレードだ・・・TOPIXが1%上昇し、TOPIXのETFも同様に1%近く上昇するが、高配当ETFはだいたい0.6%程度しか上昇しないし、また、下落時したりは逆にTOPIXよりも下落率が小さくなる。
この特性を利用して、相場の下落時には高配当ETFを買い、相場の上昇時にはTOPIXのETFを買うという投資もできる。

インデックスETFに対する投資では、じっと待つというガマンが必要だ。
個別銘柄ならあっという間に3割上昇したりするが、インデックスの投資は簡単にリターンが出ない。
時間が必要になるので、3年から5年ガマンして保有し、やっと2割とか3割のリターンを上げられるようになる。
手っ取り早く儲けたい人には向かないし、熟成する期間を待つことができる人には有効な投資となる。
また、ドルコスト平均法といい、毎月同額を買うことで株価が低い時には多めに高い時には少な目に買うこともできる。

次は市場で買う投信として、REITやインフラファンドを考えてみたい。



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やさしい投信の選び方(1市場で売買できる投信)

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ネット証券会社や銀行で誰でも買うことができる公募投信だが、数百の投信が設定され、いろんなタイプの投信が出ているので、選ぶのに迷ってしまう。
しかも、人生で命の次の大切なお金を運用するものなので、場合によっては大損し人生計画が狂ってしまうほど重要なものだ。
しかし、高齢化が進み長生きすることが普通になってきている現在、資産をうまく運用する人としない人の格差が今後急速に広がっていく。
運用は一か八かのギャンブルではない。
きちんとした知識を持ち、投資原則にそった運用を心掛ければ、リターン/リスクに応じた長期リターンを上げていくことは誰でもできる。
この「やさしい投信の選び方」では、基本的な投信のタイプとその特徴、各タイプ別に良い投信の選び方を考えてみたい。

まず、投信は公募投信と私募投信に分けられるが、個人投資家が買えるのは公募投信だ。
これには証券会社や銀行で買う投信と、東証に上場していて株式と同様に東証に注文を出して市場から買う投信に大きく分けられる。
細かい分け方はいろいろあるが、個人投資家には証券・銀行で売買する投信と、東証などの市場で売買する投信を分かっていれば十分だ・・・通常の投信の分類とは異なるが、個人投資家にとっては実用的な分け方だ。

簡単なので市場で売買する投信の話から始めよう。
市場で売買する投信には、ETF、上場不動産投資法人、上場インフラファンドなどがある。
その中で最も大きいのがETFで、これはTOPIXや日経平均などの株価指数に連動したETF、低PERや高配当などの指数に連動したETFがある。
まず、ETFから話を始めたいが、その利点は、大きく2つある。
一つは売買コストも安いことで、株価指数のETFなら大体0.1~0.2%程度の信託報酬だ・・・毎日計算され、時価から差し引かれる。
もう一つは売買が簡単なことで、普通の株式と同様に証券会社を通じて市場に注文を出して売買する。
価格の透明性があり、投資家にとっても非常に分かりやすい。

しかも、ETFと株価指数で裁定取引が行われているので、大きな買い注文が入ったとしても実勢以上に急上昇することはない・・・価格は原資産である株価指数に連動するので、安心して投資できる。
裁定取引は、まずETFに大きな買いが入り価格が上がると、裁定業者がETF売り/指数先物買いの裁定ポジションを組み、指数先物を現物バスケットに組み替え、現物バスケットをETF運用会社に持ち込み、ETFと交換する・・・という流れで、大口買いが入ると、回り回ってETFの発行量が増加する仕組みだ。

また、便利なETFだがETF自体はレバレッジが基本的にはかかっていない。
指数の変動を最大利用するためにはレバレッジをかけたい投資家もいる。
こうした投資家には日経平均レバレッジなど、先物を組み入れて投資金額の2倍のポジションを作れるようなものもあり、個人投資家には人気の商品だ。

ETFの応用編ともいえるのがスマート・ベータ型のETFだ。
これらは単純な株価指数ではなく、ちょっと工夫した指数(高配当指数、最小分散指数、ファンダメンタル指数など)に連動させるETFだ。
これらはセミ・アクティブといえる投信であり、別途考えてみたいと思う。

上場不動産投資法人やインフレファンドはたしかに市場で売買できる投信には分類されるが、実際は個別銘柄と同様に中身を吟味して投資する必要がある。
リートはオフィス、商業施設、物流施設など、あるいはインフレファンドは太陽光発電施設などに投資するファンドで、それぞれの不動産や施設の価値や見通しを考えて投資しなければならない。
十分に分散された株価指数ETFとは違い、個別の株式に投資するのと同じように勉強する必要がある。




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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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