
私募リートが安定的に増え、この3月でも「第一生命ライフパートナー投資法人」と「大和証券ロジスティックス・プライベート投資法人」の2ファンドがローンチした。
東証リート指数が大暴落した3月に、私募リートはしっかりと投資家を集めていたことが注目される。
不動産市場で上場リートが最大の買い手であり、今年2月現在で19.4兆円(取得ベース)の不動産を保有している・・・一方、私募リートの不動産保有は3.3兆円で規模は小さい。
リート全体では22.7兆円の不動産を取得したが・・・そのうち私募リートが約15%にすぎない。
しかし、昨年2月から今年2月までの1年間で、上場リートの不動産保有が6%の伸びだったのに対して、私募リートの不動産保有は12%と大きく伸びている。
新規の不動産取得だけを見ると、上場リートが1.2兆円だったのに対し、私募リートは約4500億円と、私募リートの存在感が高まっているのが分かる。
この私募リートの人気は何を意味するのだろうか?
私募リートの成長が不動産市場にどのぐらいのインパクトを与えるのだろうか?
(1)機関投資家は私募リートを好むだろうということ。
上場リートはいつでも売買できるが、私募リートは機関投資家向けで売り手を見つけて来ない限り買えない。
「私募」は、お互いの事情をよく理解できる機関投資家の間で売買される特殊なものだ。
したがって大手投資家にとっては安心して長期保有できるリートだろう。
しかも、評価がNAVベースなので、市場の需給関係で価格が暴落したりすることもない・・・この点も機関投資家には安心感がある。
(2)機関投資家は上場リートの高いボラティリティを避けるだろうということ。
上場金融商品としてのリートは新型コロナ不況による不動産市場の先行き懸念を素早く織り込み大暴落した・・・このボラティリティの高さが機関投資家には敬遠される。
私募リートは評価価格がNAVなので、不動産価格が暴落しない限り評価損を計上する必要がない。
(3)私募リートが不動産市場の主役になる可能性があること。
おそらく、ここ数年の不動産市場では最大の買い手が上場リートだったが、これは終わる。
この1年間でも上場リートは1.2兆円の不動産を買ったが、これは上場リートが公募増資を行って取得したものだ・・・NAV倍率が1倍以下になっている現在、公募増資が困難になり、上場リートの買い余力には期待できない。
先週、三菱地所系リートのJREの決算ではいくつかのポイントがあった。
1)公募増資を計画しているが、公募増資できなかった場合も考えている。
2)空室率の上昇(半年で1%づつ)を前提にしても、修繕費の圧縮で分配金は変わらない。
3)経営が厳しいテナントへの賃料の猶予を前提としても分配金は横ばいを維持できる。
公募増資ない場合は分配金が増加する・・・分配金のレベル維持という点では予想以上にしっかりと考えられていた。
不動産投信という商品は機関投資家の運用難時代にあって重要性が変わらない。
ボラティリティの高い上場リートは避けられてしまうので、結果、私募リートへの資金流入は続くことになりそうだ。
しかし私募リートの取得規模は上場リートと比べ小さく、不動産市場に与えるインパクトには限界がある。
私募リートの年間の不動産取得は3000億円~5000億円ぐらいではないか思う・・・やっぱり上場リートが復活しないと、不動産市場の需給は厳しいかもしれない。

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