株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

リートの分散投資

米国REIT指数は本格反騰!!??

米国REIT指数と200日移動平均
米国REIT指数と200日MA202407

















何も考えずに、米国REIT指数のチャートを眺めてみよう。
22年後半から底値圏で行ったり来たりを続けてきたが、ちょっと底離れするのかなという場面に入ってきている。

米国REIT指数には大きな悪材料が二つあった。
①FRBの強烈な引き締め政策、②不動産(特にオフィス市況)市場の悪化。

①FRBの引き締め政策はもう最終コーナーを曲がり、出口に近づいている。
下のグラフは米国REIT指数と10年債利回りを比較したものだが、長期的には逆相関が見られる。
昨年後半に10年金利が5%に達した時に、米国REIT指数は底入れ、その後も10年金利が上昇すると米REIT指数が下落するという関係を続けてきた。

ここにきて米国REIT指数が底値圏から脱しようとしているが、これは10年金利も今後低下するという期待が織り込まれているのかもしれない。
FRBが利下げに転じるのは9月FOMCと期待されているが、まだその間に発表される経済指標によるだろう。

米国REIT指数と10年債利回り
米REITと長期金利202407

















②不動産市況の悪化

CPPI(商業不動産価格指数)
米商業不動産指数202407















米商業不動産指数は、昨年12月に121で当面の底に達した。
その後数か月はこの安値を割れていないが、反発も小さいので底入れかどうかはまだ確認できていない。
でも少なくとも小康状態にはあるといえるだろう。

という意味では米国REIT指数の二つの悪材料は徐々にこなしつつある。
グローバルREIT指数の約7割を占める米REITの底離れは、グローバルREIT指数全体に好影響を与えるだろう。
当然、Jリートにも好影響が期待される。



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マンションの「価格」と「賃料」の不思議な関係

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最近不思議に思うのは、1億円を越える高額・新築マンションが次々と登場してきていることだ。
1億円のマンションを買うってどんな金持ちなのだろうと思っていると、意外や意外、30歳台とも見られる普通の家族連れが買っている。
自宅の近くの3棟の高層マンションが建ったが、70㎡台の3LDKで9000万円~1億円だ。
1億円の借金って返済がキツイだろうけど、若い家族もリッチなんだなと感心する。

でも、価格上昇したマンションを買うのか、賃貸に入るのか、どっちが有利なのだろう?

不動産研究所のマンション指数(首都圏)と分譲マンションの賃料(首都圏)を比べてみた。
木造アパートではなく、分譲マンションの価格と賃料の比較だ。

      マンション価格指数   分譲マンション賃料
2019/12  92.88 +1.4%   2936円/㎡ +6.8%
2020/12  95.77 +3.1%   3168   +7.9%
2021/12 106.84 +11.5%    3303   +4.2%
2022/12 114.72 +7.3%   3337   +1.0%
2023/06 115.39 +2.9%   3518   +2.8%
マンション価格は不動産研究所の指数、賃料は1㎡あたりの賃料

2019年末から2023年6月までの上昇率は、既存マンション+24%、一方賃料は+19%。
不思議なのだが、既存マンションの方が価格上昇が激しい。
マンション価格が上がれば当然賃料も上がる、と言う意味では両者はパラレルに上昇しても何らおかしくない。
でも、賃料の伸びは過去3年半で5%も小さい。

ということは、「分譲マンションを買って賃貸に回す」不動産サイドビジネスは意外と割に合わないといえる。
多くの不動産業者がワンルームマンション投資を薦めてきたが、意外なところに落とし穴があったというわけだ。

そういえば、会社の同僚でワンルーム・マンション投資に入れ込んできた「サラリーマン不動産屋」と呼ばれた男がいた。
マンション価格の上昇で高い価格で買っているので、賃料の伸びが小さく割に合わないかもしれない。
しかし利益率は抑えられるものの、買ったマンションの時価が上昇しているので評価益は上がっているはずだ。

ワンルームマンション投資には、管理費、修繕積立金、共有部分の費用、室内設備の更新や維持など様々なコストがかかる。
これらの費用を負担してどれだけのリターンが残るのかが最終的な問題だ。
リターンが割に合わなければ、売却して利食うということも選択肢になる。

高額マンションブームを反映して住宅専業リートはJリート指数を大きく上回るパフォーマンスを出し、分配金利回りも3%台前半と低い。
たが、意外と盲点なのは住宅を半分程度組入れている総合型リートかもしれない。
積水ハウスや平和不動産などの総合型は、パフォーマンスが住宅専業よりも全然低く、分配金利回りが4%台前半と1%も高いからだ。
相当な含み益が溜まっているはずなので、割安なリート投資かもしれない。



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グローバルREIT指数の上昇トレンド

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東証Jリート指数は7月高値2186ポイントから調整含みで、現在2052ポイントと6.1%程度の下落となっている。
しかし、一方、グローバルREIT指数が高値を更新してきた。
ブルームバーグREIT指数は12/8現在384.41と、9月高値378、11月高値381を上抜けてきた。
この指数の格差はJリートの「公募ラッシュ」による需給悪化が大きく響いているものと見ている。

iShares Global REITというETFがある。
これは「FTSE NAREIT Global指数」という代表的な指数に連動するETFで指標として見ていい。
このETFで分析してみたい。

まずは11月末現在のパフォーマンス
 1y3y5y10yIncept.
28.078.657.78-6.30
Market Price (%) 28.318.627.78-6.31
Benchmark (%) 27.017.786.87-5.47
After Tax Pre-Liq. (%) 27.007.156.02-4.65
After Tax Post-Liq. (%) 16.706.085.30-4.1

この1年間のトータルリターンは28%と好調で新型コロナ禍からの立ち上がりで不動産市場が世界的に回復したことが背景にある。
ただし、3年でも年率8.6%、5年でも年率7.7%の安定的なリターンを上げている。

ポートフォリオのサマリー

Number of Holdings as of Dec 07, 2021 343
P/CF Ratio as of Dec 07, 2021 21.63
P/B Ratio as of Dec 07, 2021 1.92
Equity Beta (3y) as of Oct 31, 2021 1.00
30 Day SEC Yield as of Oct 29, 2021 2.42%
Standard Deviation (3y) as of Oct 31, 2021 21.03%
12m Trailing Yield as of Oct 29, 2021 2.17%






















利回りはJリートが3.52%に対して、グローバル・リートは2.42%しかない。
長期金利ゼロの日本が利回り1.1%も高いという割安状態にある。
グローバルREIT指数の中でもJリートの割安感は際立っている。

国別の構成比は・・・

米国71.5%、日本7.5%、アジア4.5%、英国4.3%、豪州4.0%、欧州3.9%・・・
圧倒的に大きいのが米国だが、日本は米国に次ぐ組み入れ比率となっている重要市場だ。
Jリートでは30銘柄が組み入れられているが、最近サンケイリート(2972)が新規組入れが発表された・・・HPを参照のこと。

組入れ銘柄の特徴は、日本ビル(8951)JRE(8952)都市ファンド(8953)などの大型ファンドは当然ながら組み入れられている。
さらに・・・
外資系のプロロジス(3283)GLP(3281)ラサール(3466)などは上位で組入れられ・・・
大手不動産の大和ハ(8984)野村(3462)オリックス(8954)積水ハ(3309)三井不ロジ(3471)日本アコモ(3226)も組み入れられている。

おそらく、海外投資家にJリートとして認識されいるのはこうした組入れ銘柄だ。
グローバルREIT指数の上昇トレンド入りとともに、日本でも指数組み入れ銘柄が注目されてくるのではないだろうか。


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近所の低層マンション、70年定期借地権を考える(3)

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70年という長期間の定期借地権、税法上の償却期間を大きく越える権利だ。
これをどう考えたらいいのか・・・?

これだけの長期間なのでマンション部屋のオーナーは初代オーナーが30~40年居住したとしても、二代目オーナーが残り期間居住することになるだろう。
・・・と想定して、今回は二代目オーナーの採算について考えてみた。

二代目オーナーは地代や解体準備金を払い続けコストが高いことに加え、残存期間が短くなるに連れて資産価値も急激に下がってくると予想される。

マンションの70㎡部屋を8500万円として、建物は5000万円、定期借地権を3500万円という前提で、二代目オーナーの居住期間を、築30年目~70年の40年間として考えてみた。

初代オーナーの負担は・・・建物が70年で均等に減価すると、築30年時点で2900万円程度の価値が残り、借地権価値の減価で2000万円程度、つまり、30年間の負担は3600万円

一方、二代目オーナーがこの4900万円で購入し、40年満期まで住むとすると・・・
管理費・修繕積立金・解体準備金・地代などの費用が40年合計で2400万円。
二代目の購入費4900万円が40年後にゼロになるとすると、住居費用と不動産の減価で、なんと、7300万円の負担となってしまう。
初代オーナーの2倍以上の負担が生じる。

この負担額は家賃15万円のマンションを40年借りたのとほとんど同じだ(家賃15万円×12か月×40年で7200万円)。
この二代目オーナーは賃貸で借りても定借マンションを買ってもほぼ同じという結果になる。
ただし、30年の住宅ローンで買うと、さらにローン金利が重くかかってくる。
それを考えたら、賃貸マンションを借りる方が良い。

定借マンションは新築で買って20年以内に売却するならば、有効な不動産投資だ。
定期借地権は都心に広大な土地を持つ地主や、都心に広いお寺や神社の宗教法人が、土地売却せずに収益化する方法であり、立地条件が良い=地価の上昇が期待できる場合も多い。
こうした定借マンションを短期保有し、売却後、さらに定借マンションを買うという・・・マンション転がしができる可能性もありそう。


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近所の低層マンション、70年定期借地を考える(2)

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70年定期借地のマンションが建った・・・低層で住みやすそうなマンションだ。
定期借地権のマンションに興味を持ったので考えてみた。

70年の定期借地権というと、初代のオーナーがずっと住むには長すぎる。
最初のオーナーはせいぜい30~40年間しか居住できないだろう。
そうすると、2代目のオーナーがさらに30~40年居住するということになる。
前回はこの前提で採算を30年保有のコストを考えてみた。
結論は・・・初代のオーナーにとっては初期費用は定借マンションの方が1500万円安く、30年間の継続費用では定借マンションの方が約600万円高い。
つまり、30年間の限定居住ならば、定期借地マンションの方が「900万円のお得」になるわけだ。

それでは、30年後の資産価値は定期借地権と所有権ではどう変わってくるのだろうか?
所有権マンションの資産価値(簡単にするために土地50%、建物50%)は、建物の減価と土地価格の変化で決まる。
前提として①建物の価値は70年でゼロになる、②土地価格は変化しないを置いてみた。

そうすると・・・
所有権マンションで価格1億円で、半分の建物は70年でゼロになるので、年間71万円づつ減価していく。
土地価格5000万円は地価が変化しないという前提では30年後も5000万円を維持できる。
合計のマンション価値は5000万円∔(5000万円-71万円×30年)となり、7870万円の価値が残る。

一方、定借マンションは価格8500万円で建物5000万円、土地3500万円と、定期借地の分だけ土地代が安くなる。
定借といえども30年間では十分に残存期間が長く残っているので途中売却が可能だろう。
とすると、借地権(3500万円ー50万円×30年)∔建物(5000万円ー71万円×30年)で4870万円の価値が残る計算になる。

つまり、所有権マンションは30年で資産価値は1億円から7870万円へと2130万円の減価。
一方、定借マンションは30年で資産価値が8500万円から4870万円へと3630万円の減価。
70年定額で価値が減価する前提での計算にすぎない。
実際は地価も変化するし、立地によってマンション需給も変わり、人気の場所なら高い価格が付くかもしれない。

所有権マンションに比べ定借マンションの方が、最初の30年間で費用は「900万円のお得」、また資産価値は「1500万円の損」
でも、これが二代目のオーナーとなると、大きく事情が変化していくだろう。
築50~60年の定借マンションは資産価値ゼロに向かって急減してしまうからだ。
次回考えてみたい。



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不動産のチラシを見て驚いた事

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定年退職とともに日経新聞を取るのをやめた。
株式売買を職業としていた時は、日経新聞は毎日目を通していた・・・新聞記事が話題になったり、意見を求められたりすることが多かったからだ。
でも、はっきり言って日経新聞を読むことは退屈で苦痛だった。

というわけで新聞を取らなくなると、新聞のチラシも見なくなる。
しかし、この所、毎日のように「土地を求む」、「古家を求む」「〇億円で土地を求めている方がいます」などというチラシが入ってくる。
不動産取引が活発になっているのかもしれない。

ある日、チラシを見て驚いた。
近所に建った高層中古マンションの広告だった。
このマンションは鹿島建設施工、三井不動産レジデンシャルが分譲したパークシティで、2019年12月築だ。
完工からわずか1年と3か月と、中古とはいえ新築に近い物件だ。
しかも全部で4棟建設される計画の第1棟なので、これからも新築マンションが発売される計画だ。
その中古マンション価格が衝撃的だった。

新築時の販売価格は、90㎡超で1億2000万円、70㎡台で1億円、50㎡超で8000万円という水準だった。
でも、チラシに出ていた中古価格は、76.33㎡の2LDKで1億2480万円だ。
わずか1年強で、価格が20%も上昇していた。

不動産研究所が首都圏のマンション価格調査を毎月発表している。
最新データは12月と若干タイムラグがあるが、その数値を以下の通りだ。

     7月 8月 9月 10月 11月 12月
首都圏 +2.40 +2.26 +3.32 +3.37 +4.01 +3.07 %
東京  +4.33 +3.53 +5.07 +4.19 +5.45 +3.73 %
 (数字は前年比%)

1年強で20%の価格上昇はちょっと局地的なものかもしれないが、東京地区でもマンション価格は前年比4%程度で上昇している。
新型コロナ禍が始まりリモートワークが増加した時、多くの評論家は地方に移住が増える、自宅に書斎を作ったりと郊外へ移動が増えるとしていた。
全く間違いだった。
都心のマンションや高層マンションが人気になっている。

おそらく、新型コロナ禍は「自分の住む家」に対する投資を増やす起点になった。
都心の高層ビルで景色を楽しみ、「お家時間」を充実させるためのおカネを惜しまないという感覚だろう。
これは地方移住にも通じる・・・住む家や場所、自分が楽しむために投資をする・・・それが地方だったというだけだ。
家やマンションという外側だけでなく、内装や室内設備なども含めて、「お家時間」を楽しみ充実させるための投資はどんどん増えそうだ。
住宅と関連投資は引き続き注目だろう。


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ニューノーマル時代、不動産は売りなのか?

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ニューノーマル時代で「新しい生活様式」という言葉が広がってきてる。
リモートワークがニューノーマルの中心に位置し、都心のオフィス需要が大きく低下するという意見が強く出ている・・・そして、不動産株やオフィス型リートが大きく売られている。
たしかに三鬼商事のオフィス空室率を見ると、東京ビジネス地区で2月1.49%から6月1.97%まで4か月連続で空室率が上昇している。
しかし、空室率の上昇幅は、わずか0.48%にすぎない・・・この程度の空室率の上昇ではオフィス賃貸ビジネスに与える影響は極めてわずかなものにとどまる。

東証リート指数を見ると3月の新型コロナ騒動で大きな下落があったが、年初来で比較すると・・・時価総額が3.1兆円減少し、利回りが3.6%から4.4%に低下し、NAV倍率は1.2倍から0.97倍に低下した。

  リート指数 時価総額  利回り NAV倍率  空室率
2019/12  2145.49 16兆4380億円  3.60% 1.2倍 1.55%
2020/6 1666.83 13兆0442億円  4.41% 0.97倍 1.97%

この数字から二つの疑問が生じる。
1.NAV倍率がすでに1倍を割り込み、保有不動産の価格が低下する可能性を織り込んでいる?
NAV倍率の低下は将来の不動産価値の低下を織り込んでいるからだが、本当に不動産価値が下落するのかは別の問題だ。
現在のリモートワーク指向やウィズ・コロナの雰囲気がオフィス型リートの価格を下落させている可能性もある。
しかし、長期的には日本の狭い国土、東京への一極集中が都心の不動産価値を支える。
NYやロンドンではリモートワークやワーケーションは実施済みだが、両都市の不動産価格はいずれも長期上昇してきた・・・在宅や分散オフィスは不動産市況に影響していない。
東京の一極集中が変化しない限り、東京都心の不動産価値は不変だ。

2.分配金の利回りが4.4%にまで上昇、将来の分配金の下方修正が今後表面化する?
5月決算の平和不リートの説明ではオフィスの稼働率99.7%で、平均賃料は0.35%の増加としっかりした業績だった。
さらにソーシャルディスタンスを意識した会議室やビデオ室、フロア分散、サテライト・オフィスに対応したオフィスを開発していくという戦略が示された。
同じく5月決算の大和オフィスリートも順調な着地で分配金は予想通り・・・オフィス稼働率は99.5%、テナントの退去を保守的にみても分配金は増加する予想だ。
6月決算では三菱地所系のJREの決算発表(8月)で分配金の下方修正があるかどうかが注目される。

リーマン危機の時は、オフィスの空室率は2007年から上昇しリーマン後ほぼ一直線に上昇し8%に達した。
今回は空室率が上昇したとはいえ、まだまだ水準は2%以下のほぼ満室状態・・・不動産研究所は今後3年間の空室率は3%程度へ上昇すると予想しているが、オフィス需給が基本的にリーマン危機後のオフィス市場と大きく異なっているといえる。
リモートワーク懸念が一巡してくると、オフィス型リートの割安度が際立ってくるだろう。
7/14に「GMOの未来家賃は成長への自信」でも書いたが、「オフィスは武器」と位置付けている成長企業もある。

現在、都心中心の優良オフィス型リートでも4%の利回りが確保できる。
さらに中堅オフィス型リートでは5%~6%台の利回りと、長期金利がゼロの日本では貴重なイールドハンティングの対象であることは間違いない。
将来の3~5年を見れば利回りが魅力的な水準で、オフィス型リートのウェートを引き上げる好機と見ている。


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リートの減配リスクを考える(2)

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森トラストホテルリートが分配金予想を大幅に下方修正した・・・この数字を使ってリートの減配リスクを具体的に検討してみたい。

今8月期の予想配当が前年同期の3219円/口から1727円/口へと、前年同期比46%という大幅な減配となった。
極めて厳しい分配金カットで、利回り投資家はガッカリだろう。

その内容を検討してみたい。
森トラストホテルはファンド全体の固定賃料と変動賃料を開示していないため、ちょっと面倒だが、保有する個別ホテルの収益状況で検討せざるをえない。

シャングリラ東京・・・2020年8月期の変動賃料は6.35億円。
前期の賃料は9.54億円だったので、前期比33%の減少となっている。
一応、最低保証賃料は8.82億円(年間)で、現在の賃料予想は上回っている。

ヒルトン小田原・・・今期の変動賃料は2.04億円。
前年1月から12月までの基準利益の合計×95%の半年分となるので、昨年のホテル運営状況が反映されている。
という意味では新型コロナ騒動のマイナスは含んでいないので、来年の分配金に影響することになる。

コートヤードマリオット・東京ステーション・・・今期の変動賃料はわずか1.32億円。
前期は4.33億円だったので、前期比70%の大幅な減収となった。
3か月前のコストを引いた調整営業利益×90%という契約なので、新型コロナ騒動の影響が色濃く出てしまった。

コートヤードマリオット・新大阪ステーション・・・今期変動賃料はわずか1.36億円。
前期3.86億円だったので、前期比65%の大幅な減少だ。
コートヤードマリオット東京と同様の仕組みで、やはり、大きなマイナス影響を受けている。

ホテルサンルートプラザ新宿・・・固定賃料6.52億円。
固定賃料なのでホテル運営状況の影響はなかったが・・・

これを見て分かるのが、ホテルとの賃料契約によって大きな違いが生じることだ。
コートヤードマリオットの2ホテルは最低保証があるものの、変動賃料の低下で7割近い減収と大きな要因になった。
また、ヒルトン小田原は前年の基準利益から今期の賃料が計算されているので、後から新型コロナ騒動の影響が表面化してくる。

ホテル型リートの業績は、組み入れたホテルの賃料契約で減少率が決まる・・・それだけ分析が難しい。
まずは変動賃料の契約が全体のどのぐらいあるか、そして、完全な変動賃料や最低保証付き変動賃料のような仕組みには景気悪化時には注意が必要になる。
今後の観光客や出張客の回復が期待される・・・しかし、タイ・ベトナム・オーストラリア・ニュージーランドの4か国が解禁されたものの、全体のインバウンド客の回復には時間がかかりそうだ。
国内旅行客は徐々に回復するが、ホテル型リートは契約形態によって回復のペースが変わってくる。
特に変動賃料が主体のホテル型リートは、これからも分配金が引き下げられていく可能性が高い。


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リートの減配リスクを考える(1)

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ホテル型リートが発表した4月実績が超~厳しい。
およその全体像を想像すると、実績の稼働率は前年比60%の低下、ホテル業績の指標であるRevPARは前年比8割の大幅な減少程度になっている。
リート市場では物流や住宅は順調だが、ホテル、商業施設は影響を大きく受けるかもしれない・・・オフィスは今のところ順調だが、企業業績の悪化とともに固定費削減=空室率の上昇が起こると懸念されている。

まずは、ホテル型リートの減配リスクが考えてみたい。
新型コロナ禍の影響を受けた2月~5月が含まれる決算発表は星野リゾートリートから始まる・・・そして5月決算の大江戸温泉リートが続く。
固定賃料はそのまま、変動賃料が2~5月まで8割減少するという厳しい前提をおいて簡単に試算してみた。

星野リゾートは66%が固定で34%が変動、2~4月の変動賃料が8割減少すると仮定する。
その場合、予想配当(現在、1万3234円)の66%は予定通り、変動部分34%、そのうち半分の期間で変動賃料が8割減少となる・・・簡単に計算すると予想配当は11433円へと、14%の減配となる。

次は5月決算の大江戸温泉リートだ・・・2月~5月までの4か月が影響される。
月次開示では3月はRevPARで-49%、4月がー88%、5月も同様だと考えられる。
決算短信では固定賃料が毎期ほぼ12億3000万円程度、変動賃料は1億円程度。
4か月間のRevPARを8割減益と見ると、今期の賃料合計は12億7000万円程度、前期比5%程度の減益になる。

変動賃料の割合、新型コロナ期間の長さによって減配リスクの大きさが決まる。
この厳しい前提で星野リゾートリートは14%の減配だが、利回りで見ると減配後も5%を維持できる・・・さらに変動賃料の少ない大江戸温泉リートは5%程度の影響で、利回りは減配後も5%前半だろう。
この意味では、両リートの株価はこの減配を織り込んで5%台に利回りがあるといえる。

今後の焦点は二つあるだろう。

一つはこのRevPARが8割低下という厳しいホテル経営状態がいつまで続くのかという点だ。
国内の出張や旅行は6月にも解禁されるが、インバウンド客は低迷を続ける。
年後半のRevPARも5割程度しか回復しないとしたら、下期の変動賃料も減少するので、翌期の分配金も減少する可能性がある。

もう一つはホテルのオペレーターの経営不安だ。
両リートとも固定賃料がしっかり取れる前提だが、RevPARが今後1年で5割程度しか回復しないとすると、ホテル・オペレーターは厳しい経営状態に陥る。
インビンシブルが投資家の収益を犠牲にしてホテル・オペレーターを救済するとしたが、固定賃料を引き下げると減配リスクが非常に大きくなる・・・これが大きなリスクだ。



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インビンシブル(8963)の裏切り

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ホテル型のインビンシブルが分配金の大幅な下方修正を発表した・・・当期利益を従来予想の110億4700万円から、わずか1億8200万円に、これに伴って分配金も1812円から30円に引き下げた。
インバウンド客も国内旅行客も大幅な減少をしているので、多くの投資家にとって下方修正は読み筋だっただろう。
しかし、このインビンシブルは、投資家の利益を犠牲にして系列のホテル・オペレーターを救済するという投資家を裏切るルール違反をした・・・ここが大問題だ。

プレスリリースの要点は・・・
(1)3月以降の売上減少で、ホテルのマネジメント会社、MHMの経営が厳しく、しかもスポンサーのフォートレスの支援も限定的で経営破たんの可能性が出てきた。
・・・だからリートがホテル・オペレーターを救済するってマジか?

(2)この状況で3~6月の固定賃料(35億円)を全額免除するとともに、本来MHMが負担すべき物件管理費をインビンシブルの負担をし、さらにインビンシブルからMHMに払う管理委託料(合計14億8500万円)を引き上げた。
・・・本来、リート投資家が受け取るべき収益(合計50億円)をグループ会社の救済に回す・・明らかに不当だ。

(3)インビンシブルは過去の売却益による内部留保127億円を保有するが、今後の不測の事態に備えて留保する。
・・・不測の事態ってMHMの倒産のこと?・・・リートの内部留保でさらなる救済をするって?

簡単に言えば、フォートレスがスポンサーとして、傘下のホテルオペレーターにインビンシブルの保有ホテル75棟を貸出しグループ内で利益をカサ上げてしてきた・・・というグループ内の錬金術が今回のコロナ騒動で破たんした・・・だからリートがオペレータ-を救済するということだ。
しかし、本来リートは不動産を保有する「単なる箱」で、スポンサーが物件を優先的に回し、その不動産を貸出し収益を上げ、それをすべて投資家に還元するものだ。
リートは投資家に向けた収益還元がすべてで、リートがオペレーターやスポンサーの救済するのは本末転倒だ!!
ここに大きな問題がある。

MHMというホテル・オペレーターはフォートレス傘下の会社で、その経営破たんはリート投資家には全く関係ない。
もしこのMHMを救済するとしたら、インビンシブルというリートではなく、親会社のフォートレスでなければならない・・・リートの所有者はリートを保有している投資家たちで、フォートレスではないし、ましてやMHMでもないからだ。
リートは保有投資家の利益を最優先にすべきだ。

この点に大きな違和感があるインビンシブルのリリースだ。
もちろん、ワシはインビンシブルの投資家ではないのでエラそうなことは言える立場ではないが、インビンシブルの保有者はもっと怒るべきだ。
こんなリートは信用できない・・・内部留保127億円だって、最後はグループ会社の救済に使われてしまううかもしれない・・・早急に全額を分配金として投資家に還元すべきだ。


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リートの誤算

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先週、リート市場が正真正銘の暴落を演じた。
リート市場が一日10%の下落・・・これだけの暴落をするとは、正直、全く想像もできなかった。
リートは株式よりもボラティリティが低いはずだったが、株式以上にボラティリティが上昇してしまった・・・大きな誤算だった。
この暴落相場を見ていて三つの反省点がある・・・人間は「反省する葦」でもある。

第一の反省点はリートが予想以上に世界的ブームとなり、グローバル・リートのパッシブ運用が巨大化していたことだ。
今回のリート市場の下落の特徴は、NY市場に上場している米国REIT指数と東証リート指数がピッタリと毎日毎日、ほぼ完全に連動していたことだ。
米国REIT指数の動きで翌日の東京のリートの動きが予想できたほどの強い連動性を示していた。
つまり、グローバル・リートのパッシブファンドが人気で残高が積み上がり、その解約売りが出てきた時、米国REIT指数と東証リート指数が同時に売られたため、両者の値動きがほぼ完全に連動したというわけだ。

第二の反省点は、東証リート市場の流動性の低さだ。
グローバル・パッシブファンドが売りを出す時は、幅広い銘柄を含むインデックス売りになるので多くの銘柄に一斉に売りが出る・・・しかし、リートの板には買い注文が少ない。
アクティブ運用者なら板を見ながら売買執行するが、パッシブ運用ではバスケットでまとめて売りを出す・・・したがって、薄い板に大量の売りが出て、売買インパクトが非常に大きくなってしまった。

第三の反省点は、分配金利回りなどファンダメンタルが下支え要因にならないことだ。
通常のアクティブ運用ではリートの場合、もちろん配当の実現可能性を考慮するが、基本的に分配金利回りで株価に水準感が出てくる。
ところが、パッシブ売りが中心の市場では、個別リートの利回りなどの水準感は全く関係ない。
まとめてインデックス売りが出て、利回り水準に関係なく暴落する。

・・・ということで
①グローバルなリートのブームで膨張したETFやパッシブ運用が逆転し暴力的な売りになった、
②市場でリートが品薄だったため、パッシブ売りのインパクトが大きくなった、
③リートの利回りなどの指標は完全に無視された、
・・・という3点、これが予想をはるかに越えるマグニチュードの大震災になってしまった理由だろう。

でも、このパッシブ売りのおかげで高い分配金利回りで好きなだけ欲しいリートを買うことができる環境ができた。
年初のターゲットは、①大手不動産や大手商社などのスポンサーが優良企業、②分配金利回りが4%以上、③ホテル型や商業型などインバウンド関連を避ける、という三点だが・・・ここにきての暴落で分配金利回りが5%以上の優良リートがゴロゴロしている状態になった。

というわけで20%保有していたキャッシュをほぼ全額投入、特にSQ日の暴落時に仕込んだ。
もちろん、市場は一寸先が闇、これがどうなるかは分からない。
しかし、5%以上の利回りがあれば、キャリー収益だけで十分な投資採算になると見ている・・・株価上昇がなくても、5年保有すれば東証リート指数の下落分を相殺できる。
キャリー収益が5%あれば長期保有できる。


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ウィークリー雑感(2/2 REITの再考)

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最近、1/31「膨張する東京・・・」1/7「東京の住宅地が上がる・・・」などのブログを書いたが、不動産の世界ではやっぱり「東京」だ。
REIT市場は昨年10月に短期の天井を打ち、その後3か月調整局面にあるにもかかわらず・・・REITの代表銘柄である日本ビルファンドが新高値を取ってきている・・・この銘柄のスポンサーは三井不動産で、東京都心のオフィスビルが中心の超優良REITだ。
今はREIT市場全体が盛り上がっているわけではないが、この「東京」を象徴する代表銘柄が新値を取ってきたことには大きな意味がある。
外部環境面では米10年金利が中国の新コロナウィルス問題から低下し、1.6%台と落ち着いてきたことがREIT価格にはプラスに作用するし、ボラティリティが低く比較的値動きが小さいREIT投資は安心感がある・・・こんなところを評価して買われているのかもしれない。
でも、それだけではないという気がする。

もっとも気になっているのは投資環境ではなく、別の視点だ。
それは1月決算のREIT銘柄の公募増資の多さだ・・・ざっと上げると・・・
1/6 ジャパンエクセレント(31%)、マリモ創生(15.4%)、伊藤忠AL(36%)
1/7 CREロジ(36%)、コンフォリア(4.8%)
1/8 三井不ロジ(16.4%)
1/10 エスコンジャパン(19.4%)
1/17 プロロジス(7.5%)・・・と続く。
( )内の数字はダイリューション、つまり、発行株数の増加率=公募株数/発行株数(%)
1月決算のREITは15銘柄あるが、そのうち8銘柄が公募増資を発表した・・・半分以上という高い割合でREITが資金調達に走ったというわけだ。

これが何を意味するのだろうか?
REITの公募増資は普通株とは決定的に違い、その調達資金の使い途が明確だ。
購入予定物件の築年数・構造・鑑定価格その他すべての開示があり、さらに組入れ物件ののNOI利回りや組入れ後の分配金予想まで開示する。
投資家はその物件の組入れによる収益の向上、ポートフォリオ上の効果などを検証した上で公募増資に応じることになる。
だから、この公募増資の急増の裏側には、REITの物件買収・・・そして、不動産価格が上昇しているとはいえ、まだまだ収益性の高い物件(NOI利回りが想定以上)があるということを意味する。

ただし、増資銘柄の値動きを見ていると、イベントドリブンの連中がいろいろ動いていると感じる。
一般的には、(1)増資発表の翌日株価は下落する・・・ダイリューションと呼ばれ、投資口数が増加する分一株あたりの価値が希薄化するとの懸念から投資家が売る。
そして、(2)値決め日も株価が下落する・・・できるだけ安い公募価格を期待する投資家が引値にかけて売る。
最後に、(3)払込日も株価が下落する・・・公募で配分を受けた投資家の一部短期筋が利食いの空売りを入れる・・・そして、公募株を受け取り決済する。

この3つのタイミングを狙ってイベントドリブンの売買が交錯する・・・だから、値動きが複雑になる。
今回の公募増資では「払い込み日」が配当落ち後の来週になっている銘柄があり、空売りが入ってくる可能性がある。
こうしたイベントを越えて上昇するようならば、REITの上昇相場は本格的だろう。


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東京の住宅地が今後上がる可能性

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東京で犬の散歩をしていて気がつくのが、古い立派な家屋が壊され、4~5階程度の低層マンションが建築されることが多いことだ。
近所の家で持ち主が高齢化し、おそらく介護施設にも入居したのだろうが・・・空き家になり放ったらかしのままになっている家が散見される。
そして、おそらく相続が起こったと考えられるが、古い空き家が取り壊され低層マンションやアパートに生まれ変わる。
こうした物件が散歩コースに5~6物件もある。

ここからは想像だが・・・築40~50年の古い家屋というと、1970年から1980年代に建てられた家屋ということになり、おそらく所有者は80才代から90才代になっていると思われる・・・ちょうど戦中生れから団塊世代前後にあたる。
この世代が建てた家屋が老朽化する一方、所有者が介護施設などに入り空き家になっているケースが多い・・・だから空き家が増えている。
所有者が生きている間は、その親族たちでも不動産の処分も建て替えもできず、放ったらかしになってしまう。
そして、所有者が亡くなり相続が発生すると、その子供世代が引き継ぎ、マンションやアパートなどで土地の高度利用を行う・・・というわけだ。

東京は人口が増加している、日本では例外的な地域だ。
東京湾岸には高層マンションが立ち並び、住宅地には低層マンションが次々に建設されている。
不動産の価値は、その土地が生み出す収益が基礎だ・・・つまり、収益力が上がれば土地の価値も上がる。
東京の土地の所有者が世代交代していくことで、高度利用が進み、土地の価値が上がるという循環に入っていくと思われる。
東京都心の商業地がここ数年で大きく値上がりしている・・・でも、住宅地はまだ上がっていない・・・今後は東京23区の住宅地が「買い」だ。


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東京オリンピックへのもう一つの狭き門

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東京オリンピックのチケット2次販売の結果が発表された・・・皆さん、どうでしたか?
100万枚のチケットに対して2200万枚の申し込みがあったようなので、競争率はナント! 22倍・・・22枚申し込んでやっと一枚が当たるという狭き門となった。
でも、東京オリンピックにはもう一つ狭き門がある・・・それはホテルだ。

皇居前の一流ホテルパレスホテル、六本木の一流ホテルであるリッツ・カールトン、九段下のアパホテルの一泊料金をトリバゴやブッキング・ドットコムで調べてみた・・・各月末の平日で比較した。

  パレスホテル リッツ・カールトン アパホテル 九段下
Jan-20 61600 71000 9900
Feb-20 63794 69000 7920
Mar-20 113302 173000 14850
Apr-20 113300 97000 6930
May-20 90194 89000 9900
Jun-20 77006 89000 8910
Jul-20 121000 169290 34650
Aug-20 81070 121770 7920
Sep-20 NA
96030 9900
Oct-20 NA 105930 8910
Nov-20 NA 123750 7920

パレスホテルやリッツカールトン東京のような一流ホテルは平常時期でツイン・スタンダードの部屋が一泊で8万円から9万円というレベルだが、東京オリンピック期間の7月末には12万円から16万円に跳ね上がる。
さらに8月上旬のオリンピックで最も盛り上がる期間だと、パレスホテルのツインスタンダードで1泊24万2000円、リッツカールトンも30万8800円とピークに達する。
もちろん、それだけ需要が強いということで、客室稼働率も100%に近い高水準になると予想される。

一方、ビジネスホテルのアパ九段下は、通常時期はセミダブル・シングルの部屋で1泊7000円から9000円といったところだが、オリンピック期間だけ1泊3万4000円と通常時期の3倍に急騰する。
限界的な需要でビジネスホテルや民泊のような格安宿泊所の料金が急騰するというわけが、期間限定のオリンピック需要なのだろう。
だから高級ホテルとは違い、オリンピック期間だけが突出して高くなる・・・まあ、足元を見ているといえば、それまでだが・・・おそらく、民泊も1家族・1泊で10万円台が続出するようだ。

さすがに、一流ホテルは通常料金の3倍などとエゲツなく吹っ掛けることはしない・・・お上品な価格設定だ・・・それでもピーク料金は3倍になる。
しかも、現在の予約料金から見ているとピーク後も高め水準が続くので、2020年は一流ホテルの業績が向上する可能性が髙い。
ホテルの業績の指標はRevPARと呼ばれる、客室稼働率×ADR(平均客室単価)で表される。
稼働率も100%近く、客室単価も1~2割アップするとしたら、RevPARも1~2割以上上昇し、ホテルの業績は向上する。

日本で開催される二回目のオリンピックだが、地方に住む人たちがチケットを入手し、ホテルを予約して東京オリンピックを楽しむには、髙~い、髙~いハードルがある・・・母国開催なのに残念!
でも、ホテルが大儲けするのは間違いない!!!


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自己流運用、当面の考え方

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自己資金の運用で生計を立てている定年投資家だが、自己流の運用を「個人投資家の最強運用」というシリーズで公開している。
これはまだ完結していないが、一個人投資家としての実際の運用であり、参考になることもあるかもしれないと思い書き続けている。
また、9/15には「ウィークリー雑感」で今年の運用状況を取り上げ、反省と評価をした。
その時・・・
期初ポジションを100とすると、現在は118.8となっているので、キャッシュ込みで18.8%のリターンだ。キャッシュ比率(キャッシュ/ポジション)は徐々に高めできて現在33%。
今年の売買動向・・・3~4月の当時、NY市場のトリプルトップの可能性を見ていたので、保有していた株式をほとんど売却しREITに乗り換えを行った・・・そして、7~8月以降、上昇したREITを順次売却していった・・・REITがピークを打ったかはまだ不明だが、ピークに達するまでに半分を売却する予定。」

・・・と書いた。

その後、東証REIT指数は上昇を続け、10月には2254ポイントの高値を付けたが・・・その時点まで売り上り戦略を実行し、ポジションのキャッシュ比率を50%までに高めた。
今年のパフォーマンスは9月末で+19.8%、10月末で+23.5%まで伸びた・・・そして11月に下落したが、現在でも+21.5%のリターン・・・11月の下落で2%やられたことになる。
一方、東証REIT指数は11月の安値までー6.5%、直近まで4%の下落・・・つまり、キャッシュ比率を50%にまで引き上げたことで、東証REIT指数が4%下落したのに、ポジションは2%のマイナスで済んだ・・・キャッシュ比率を上げた意味があった。

今後はどう運用するか?
米長期金利が2%を越えてくると世界のREIT市場は調整に入ると想定している・・・しかし、当面は1.8%を中心にした動きなっており、しばらく時間がありそうだ・・・この時間を使ってポートフォリオの銘柄入れ替えを行っている。
特に3%以下や3%前後まで買われた割高REITを順次売却し、11月の下落で割安になったクオリティ対比分配金利回りが高くなったREITへの入れ替えだ・・・先に10%の組入れを増やしキャッシュ40%なっているので、ここからは売り上がりが中心となる。

割安になったクオリティ銘柄とは、たとえば・・・
星野リゾート・・・クオリティは抜群だし、スポンサーの星のリゾートが強力な集客力を持つリゾート開発会社だ。そのクオリティのREITが4.8%の利回りで買えた。

サンケイリアルエステート・・・上場間もない成長型のオフィスREITだが、サンケイのスポンサーも協力もあり、数年後には代表的なオフィスREITの一つに資産成長するとみられる。そのクオリティで4.3%の利回りで買えた。

エスコンジャパン・・・ここのポートフォリオは半分が底地投資で、商業施設やその他の50年定期借地権に投資している。つまり、土地は減価しにくく、資産が維持されやすい、しかも長期契約であり、安定した借地権収入が期待できるREITだ。このクオリティで5.8%の利回りで買えた。
・・・平均利回り5%でポートフォリオの10%の組入れができた。

その後のREIT相場の反発で、今度は今まで保有していた分配金利回りが3%前後にまで低下した割高銘柄の売り上り戦略を継続している。
ECBが政策変更して、ドイツ10年債がゼロ水準を上回っていく可能性(10/30「ドラギからラガルドへECB政策転嫁の予感」を参照)や、景気センチメントの改善で米10年債が2%水準を越えて行く可能性・・・これが起こると、再び、債券バブルの破裂懸念でREITや債券代替商品が売られる。
そのタイミングは不明だが、それまでにキャッシュ比率を50%以上への引上げ、割高REITの売り、クオリティ対比割安REITへと銘柄を変更する・・・これが当面の自己流運用戦略だ。


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REITの爆騰、どう考える?

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東証REIT指数がじり高を続け、2007年の急騰相場以来の高水準にまで上昇している。
REITは利回り商品として個人投資家の運用には欠かせない商品だが、ここまでくるとさすがに高値を警戒する声も聞かれるようになった。
当ブログでも9/26「六本木ヒルズとツイン21(続編)」で、大阪のオフィスビルの急激な値上がりが続いていて、ツイン21を保有するMCUB-Midctyは分配利回りというより値上がりを買うモメンタム相場に入ってきたのではないかと書いた。
なんかモメンタム相場=イケイケ相場に入ってきたような感じがしたからだ。

このREIT相場、もう一度、基本的な投資スタンスを確認しておきたいと思う。
第一に、REITの基本投資尺度の分配金利回り。
東証REIT指数は2007年ピーク時の指数水準は2612(現在2200台)、平均分配金利回りは2.56%(現在3.4%)・・・過去の水準から見ると、指数水準からも平均分配金利回りからも上昇余地が大きいといえる。

第二に、REIT分配金利回りと国債利回りのスプレッド。
東証REIT指数のピーク時は、REITの分配金利回り2.56%に対して10年指標国債利回りで1.75%、スプレッドは1%未満まで低下した・・・しかし、現在はREITの平均分配金利回り3.4%に対して、長期国債はゼロ%水準・・・スプレッドは3%以上あり、当時に比べ過熱感が少ない。

第三に、高配当株との投資価値の比較。
ここでは日経高配当50ETFと比べてみると、日経高配当50の配当利回りは4.6%と、すでにREITの平均利回り3.4%を大幅に上回る・・・ただし、この50銘柄にはパフォーマンスの悪い銀行・商社・自動車などの割安株が多く含まれているのでこの1年で-15%のリターンで、REITの方が投資魅力が高い。

基本的な投資比較では、現在の東証REITは割高でもなんでもない。
それどころか、今の国債利回りからスプレッドを見ればREIT利回りに1%以上の低下余地があり、東証REIT指数が過去の高値2600水準まで上がる可能性さえある。
しかし、比較した2007年当時のREIT時価総額は7兆円しかなく、現在の16兆円の半分以下しかない・・・まだまだREIT市場が未成熟だった時期の話で、薄い流動性の中でピーク水準も利回り水準もオーバーシュートしやすい市場だったのかもしれない。
この点を考慮するべきだろう。

一方、個人投資家から見れば、利回り2%台のREITは全く魅力がない。
高配当株でも2~3%以上の配当利回りがあり、さらに10%の企業成長を期待できる会社があるからだ。
REITの内部成長性はせいぜい数%程度であり、これらの高配当株に対してプレミアムが付いていないと投資家には全く魅力がない。
つまり、内部成長性の低いREITは高配当株よりも高い利回りが必要になる。
そのためには東証REIT指数で3%以上の平均利回り(現在、3.4%)は必須条件で、2%台のREITが8銘柄もある今の市場はやや過熱感が出てきているといえる。
モメンタム重視のREIT市場では売り上がり戦略で実現益を確保していくのが重要だと思う。


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ウィークリー雑感(9/1 インバウンドをどう見る?)

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韓国人観光客が日本旅行をキャンセルしたり、行先を日本以外に変更したりしていることについて、藻谷氏などの一部の評論家が九州・沖縄地方に大きな影響が出ると政府の対韓国政策を非難している。
でも、国家間の問題と個人の嗜好である旅行とは基本的になんの関係もない・・・行きたい所へ旅行する個人の自由がある。
日韓問題が出てからも日本では「反韓デモや抗議運動」は全くなく、社会は安定しているので日本に来たい韓国人は来ればいいだろう。
いずれ時間の問題で、韓国内の反日空気を読むより好きな場所への自由な旅行が優先されてくるだろう・・・国家や政府の問題と個人の自由を無理やりリンクさせているのは韓国人ぐらいでかなり異例だからだ。
ただ、このインバウンドの問題が観光産業の収益にどのぐらい影響するのかは、考えておく必要がある・・・7月の数字を見てみたい。

外国人に人気の沖縄県が発表した7月の入域観光客概況では・・・
国内客が66万800人で前年比+6万7500人、海外客が30万2800人で前年比1万2000人となっている。
国内外ともに全体では順調に観光客が増加している・・・今年度も4月以降毎月前年水準を上回っている。

海外観光客の国別統計を見ると、台湾10万4200人(前年比-200人)でトップ、中国7万1600人(+6800人)、韓国3万9700人(-2000人)、香港3万2000人(+4000人)・・・と続き、海外観光客全体で+1万2000人となっている。
たしかに韓国人観光客は2000人減少したが、他の国からの訪日客で全体として前年を上回っている。
驚かされるのは、民主化運動やデモが続く香港からの観光客が前年比4000人の増加と、15%程度の伸びていることだ・・・政治やデモと、個人の嗜好である旅行とは別物なのだと分かる。
訪日観光客全体では、韓国人の減少を中国と香港の増加で埋めて、前年比プラスの状況が7月も続いている。
8月と9月は韓国人観光客がさらに減少するので、その他の国からの観光客がどのぐらい増えるかが注目点だろう・・・おそらく、数か月経てば韓国人も徐々に回復に入ると見ている。

このところ東証REIT市場では、韓国観光客の減少リスクを織り込むように、ホテル系REITが下落している・・・一部に韓国人観光客の動向を懸念する人たちが売り急いでいるのだろう。
ホテル系のREITの7月実績を見ると、①稼働率が低下している・・・()内は前年比・・・JホテルREITで稼働率87.3%(-0.6%)、いちごホテル87.0%(-3.3%)、インビンシブル90.8%(-0.6%)
②ADR(平均室料)も低下・・・Jホテル17436円(ー3.3%)、いちごホテル8089円(-7.6%)、インビンシブル10437円(-4.3%)
①と②の数字を見ても、安い宿泊料のホテルほど平均室料が下落率が大きくなっている。
ちょうど中間決算を発表したJホテル社長の説明によると、「ホテルの新規開業が進み、ホテル間の競争が高まり、稼働率とADR(平均室料)はやや低下している。年後半も前年比横ばい程度と見ている。」ということらしい。
この三つのREITを比較しても、平均室料の安いホテルの方が苦戦しているのは、単価の低いホテルの建設ラッシュを反映しているのだろう。
韓国人観光客の不安が高まっている今、逆にホテル系REITの底値買いが有効かもしれない。


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債券バブルと東証REITの関係(5)

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東証REITに投資する場合、もう一つ気になるのは、東京オリンピック後の不動産市場だ。
特にホテル建設が大ブームで、APAホテルなどは全国各地にホテルを新築し急拡大しているし、地方都市でも様々な新規のホテル開業が急増している・・・さらにHISがユニゾHDを買収し、国内ホテル事業を中核に2023年までの国内100ホテルと国内ホテル事業を拡大させると表明した。
オリンピック前のホテル不足が問題となり、オリンピック期間のホテルの宿泊予約も非常に困難になっている・・・東京から遠く離れた場所のホテルを予約し、新幹線でオリンピックを見に行くなんてツアーも出てきそうだ・・・もちろん、ルームレートも上昇している。
こうしたホテル需給のひっ迫感が、新規のホテル建設、既存ホテルの買収などに不動産関連企業を駆り立てている。

でも、オリンピック以後まで考えると、供給過剰でホテル需給に過熱感が出ているのではないだろうかと心配になってしまう。
ホテルREITは、固定賃料でホテルのオペレーション企業に貸し付けている場合と、変動賃料で貸出している場合がある。
ここ数年、稼働率やルームレートが向上し、変動賃料でREITは大きく収益を増加させてきた・・・しかし、逆に稼働率が下がりADR(平均ルームレート)が低下すると、変動賃料も減少してしまうことになる・・・ここに注意が必要だ。
オリンピック後、稼働率やRevPAR(稼働率×ADR)が下落すると、ホテルREITの分配金も下がる場合が出てくるだろう・・・稼働率が下がった場合の影響を考えると、特に低価格のホテルはこの点に気を付けたい。
また、日韓関係の悪化で韓国人観光客の減少は九州に大きく影響が出るが、ホテルの稼働率の低下は九州の一部にとどまると見られる・・・韓国人の日本での旅行支出は3泊で平均7万円程度なので、安い宿泊を提供する民泊やビジネスホテルを利用する傾向が強いからだ。

また、もう一つは物流施設だ。
アマゾンやネット通販の急増で物流施設への需要が急拡大し、当然のことながら、物流施設もどんどん建設され、物流施設の価格もびっくりするぐらい上昇している。

数か月前、産業ファンドが厚木ロジパーク(物流施設)を売却したが、その物件の帳簿価格15.3億円、鑑定価格21.6億円に対して、売却価格26.5億円と高値だった。
帳簿価格を73%も上回る価格での売却であり、産業ファンドは大きな実現益を手に入れたわけだ。
でも、一方でこうした売却事例が物流施設のブームにも過熱感が出てきていることを示しているかもしれない。

物流施設は主要幹線道路や高速道路などに面した物流の要衝にあり、トラック輸送の要になっている。しかし、そうはいっても土地価格が非常に安い田舎にあるので、一旦、
稼働率が低下したら物流拠点としての価値を失う。
そうなると物流拠点といっても単なる田舎の物件に過ぎなくなる・・・もし景気が悪化し、物流需要が減少し、物流拠点の稼働率が低下するとその価値が一気に低下し、REIT価格へのダメージが大きくなる。
物流REITでは、顧客のニーズに合わせて顧客との共同不動産開発を行う産業ファンドなどは景気後退下でも生き残る可能性が高いが、単に地方に物流拠点を持っているだけでは危ない・・・こうした景気の状況、稼働率をこまめにチェックするべきだろう。



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債券バブルと東証REITの関係(3)

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REITは二つの特性を持っている。
一つは金融商品としての特性で、株式や債券の伝統的資産に加え、ヘッジファンドやハイイールド債などのオルタナティブ資産とも比較される。
もう一つは不動産に投資するビークルとしての特性で、不動産市場の動向に影響される。
前回は東証REITを金融商品としての見方から考えたが、今回は不動産投資という視点から東証REITを考えてみたい。

半年ちょっと前、12/16のウィークリー雑感で「不動産バブルへGO」を書いた。
オフィスの空室率は日本の主要都市すべてで過去最低水準に低下し、需給が極めてタイトな状態だ。
空室率の6月の数字を見ると、東京1.72%、大阪2.33%、名古屋2.09%、福岡1.79%、札幌2.29%など、東京と札幌ではわずかに上昇したが、大阪・名古屋・福岡は低下し、全国的に空室率が過去最低水準にある。
この要因として、(1)IT系企業のスタートアップの増加、(2)社員の交流スペースの増加など、オフィス環境の向上、(3)スモールオフィスやWeWorkなどのコ・ワーキングの増加など、新しい起業や新しい働き方がオフィス需要を生み出している。
当面、空室率は低水準で推移すると見込まれている。

空室率が低下すれば賃料は徐々に上がっていくが、そこにはタイムラグがある。
入居企業が賃料の改訂時期に値上げをしていくことになるので、今の空室率の低下が来年や再来年の賃料改訂に影響してくる・・・今後も賃料の上昇が続いていくことになる。
上場REITの決算を見ても、賃料はだいたい5%程度で上昇しているケースが多い。
空室率の低水準ともに賃料の上昇も不動産の価値を高め、これがREITの内部成長をけん引していく。
組入れた不動産価値の増加が、REITの価値を引き上げているといえる。

しかし考えておく必要があることは、不動産とREITは違うという点だ。
たとえば、上場REITの財務状況は健全で、LTV(借入金/不動産総額)を見るとほとんどのREITで40%台であり、過大な借入金を抱え込んだREITは少ない。
厳格にLTVを管理しているREITが多く、この面からはREITは比較的安全な投資対象だ。
しかし、不動産市場全体は、高層オフィスビル、高層タワーマンション、ホテル開発などなど、開発案件が激増している・・・当然、不動産融資も増加しているはずだ。
REITではLTVがきちんと管理され、財務内容が健全であっても、その元にある不動産市場が過熱し過大債務に陥る状況になれば、REIT価格は影響を受けてしまう。
したがって、REITは安全と言いながらも、不動産市場に気を付けておかなければならない。

また、REITの運用会社についてもよく吟味する必要がある。
運用会社の運営方針や考え方、また、トップの不動産市場に対する見識・経験などは重要な指標となる。
保守的な運用を心掛けているREIT、積極的に外部成長を取り込んでいこうとするREIT、REITの運用方針にもかなりの違いがあるからだ。
どちらが良いという話ではないが、不動産市場の立ち上げり局面ならば積極的運用方針のREITの方が外部成長力があるだろうし、不動産市場が成熟化した局面では内部成長を中心にした保守的な運用方針のREITの方が安心できる。
不動産市場の局面によって投資するREITを選別する必要がある。
そのためには、REITの決算発表時に運用会社の役員が決算説明会を開くので、そこで経営陣の考え方にじっくりと耳を傾けることだ。
実際の説明会に参加できなくても、HPから説明会の動画を見ることができる。
直接、声を聴き、考え方を知る非常に良い機会となるはずだ。
次回は、今、気になっている不動産市場のリスクについて考えてみたい。


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債券バブルと東証REITの関係(2)

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日銀の量的緩和で日本国債はマイナス金利が定着し、さらにFRBの緩和姿勢への転換で米長期金利も急低下し、機関投資家特に年金基金などの運用難は一段と厳しくなっている。
JPモルガンの「企業年金運用動向調査」は116の企業年金にアンケート調査しまとめたものだが、この調査でも大きなポートフォリオの変更が確認された・・・オルタナティブへの資産配分が全体の21%となり、初めてが国内債券のウェートと逆転したという。
オルタナティブ資産とは、伝統的な株式や債券とは違ったリスク・リターンを持つ資産のことで、具体的にはヘッジファンド、不動産ファンド、インフラファンドなどだ。
日銀のマイナス金利で国内債券が十分なリターンを上げられなくなり、企業年金は国内債券への資産配分を減らし、ヘッジ外債やオルタナティブ資産(不動産ファンド、インフラファンド、ヘッジファンドなど)を増やしてきたわけだ。

国内年金の運用難は厳しい。
国内債券に代替できるような安定したリターンを上げられる商品は、米ハイイールド債(為替ヘッジ付き)、ロングショートなどのヘッジファンド商品、不動産ファンド(REITを含む)ぐらいしかない。
そのうち、USハイイールド債(BBB以下)はまだ6%台の利回りがあるが、ドル建て商品であり為替ヘッジすると日米金利差2%を取られ、実質4%台になってしまう。
日本株のロングショート商品はだいたい2~3%程度のリターンで、東証REIT指数は3.8%の利回りだ。
インフラファンドは長期で5%以上の利回りとされているが、短期の換金はできない。
USハイイールド債を使ったヘッジ外債でも4%、国内のREITで3.8%なら、私募REITなら4%以上あるかもしれない・・・不動産ファンドを買う方が簡単で説明もしやすい。
・・・というわけで、円建て商品で4%前後を上げられるのはREITなどの不動産ファンドしかない。
ここに資金が集まろうとしている。

JPモルガンの企業年金調査でも、ここ数年でオルタナティブ資産に資金が流入してきている背景には機関投資家の運用難があるが、これが不動産市場にどう影響しているのかを次回は考えてみたい。


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債券バブルと東証REITの関係(1)

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東証REIT指数が上昇し、過去の高値2015年の1月の1990ポイントに接近してきてる・・・REIT市場で何が起こっているのだろうか?

まずは東証の投資家別売買データで確認してみよう。
買い手は証券自己と金融機関で・・・自己は4月に+438億円、5月に+97億円と買い越し・・・金融機関は4月に+144億円、5月に+104億円の買い越しとなった。
証券自己の買いはREITのETFを組成するための買いと思われる・・・日銀のREITのETF買いが続いているので、その日銀オペに対応したものだろう。
金融機関の買いは純投資と思われる。

一方、売り手は個人投資家と海外投資家で、個人は4月に-89億円、5月に-230億円の売り越し、海外は4月に-717億円、5月に+4億円で2か月で713億円の売り越しだった。
個人投資家はIPOなどで買ったREIT銘柄を売却しているだろうし、REIT全般に価格上昇で利食いに出たものだろう。
海外投資家はここ数年、ずっとREITの買い越しを続けてきたので、その利食いと思われる。

こう見ると、この高値圏でREITを買っているのは、日銀と国内金融機関ということになる。
日銀は別格としても、国内金融機関が史上最高値にあるREITを買い越していることが注目される。
日本の債券バブルがひどい事になってきているからだ。
日銀は量的緩和で国債を買い占めてしまっているため、10年債の利回りはマイナスで運用対象にはならない・・・だから、債券を買いたくても、その中心となる国債、しかも指標銘柄となってきた10年債はマイナス金利で買えない。
そのために仕方なく、機関投資家は20年以上の超長期国債を買ったり、利回りの高い事業債を組み入れ、なんとかリターンを底上げしている。
そして、その延長線上に、利回り商品であるREIT、ヘッジ外債(海外のハイイールド債を組み入れた外債ヘッジ商品)、不動産ファンド(私募ファンドなど)・・・などがある。
債券で運用してきた資金が、こうした利回り商品に流れこみ、その一部の資金が比較的安全な上場REITにシフトしてきたということだろう。
東証REIT指数の上昇の背景にはこうしたことがありそうだ。

しかし、上場REITの時価総額は15兆円弱で、機関投資家が本格的に資金シフトしたら、時価総額がどう見ても足りない。
たとえば、GPIFの日本債券は
全体の28%、金額では42兆円を運用しているが・・・そのGIPFが日本債券から利回り商品にシフトしようにも、上場REITの時価総額では明らかに足りない。
次回は年金などの機関投資家に焦点を当てて、「債券バブルと東証REITの関係」を深堀してみたい。


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リートの分散投資を考える(7その他セクター)

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リートの分散投資を考えるコーナーの最終回だ。
今回は主要なサブセクターであるオフィス、物流、ホテル、商業を取り上げてきたが、今回はそれ以外のサブセクターを取り上げてみたい。

リートのサブセクターは多様なリスク特性を持っている。
サブセクターの中心であるオフィスリートはオフィス街のプライム・ロケーションにあるオフィスビルの投資するので、土地の価値も高く変わらないしオフィスビルとしての競争力も高い不動産が中心になる・・・もっとも安定した不動産投資の王道だ。
物流リートはEコマースの潮流に乗り急成長する物流需要をベースに物流拠点を増やしているし、ホテルリートは今の日本の国策である観光立国の流れに乗り成長を続けている。
前回の商業リートも郊外型の大型商業施設か都心型のプライム商業施設かの違いがあるにしても、GDPの60%を占める個人消費の中心である不動産であることは変わらない。

その他では最近流行なのはヘルスケア・セクター、これは介護施設の建物・敷地を保有し、介護オペレーターに貸し出すリートだ。
団塊世代が70歳台になり介護サービスの需要が増加していることが背景に、介護ビジネスの注目度が高い。
しかし、不動産自体は郊外や地方にあり、不動産価格は低位安定で大きな成長は見込めない。
介護ビジネスが収益化している時はいいが、一旦稼働率が下がると田舎の土地と建物だけに値段が低く、売却しようにも売れない状態になることも考えられる。
このあたりのリスクを織り込む形で分配金利回りが高いが、短期収益を中心とした運用対象だろう。

また、レジデンシャル(住宅)リートも大きなサブセクターだ。
しかし、個人投資家はワンルームマンション投資もできるので、あえてリートでレジデンシャルを買う理由が見当たらない。
住宅・マンションならば、リートでなくても、自分で実物投資ができるし、その方が高い利回りを実現できる。
さらに税金面でも減価償却を使えるので有利だ・・・このへんの事情や税金面についてはワンルームとリート投資を比較した「素人の不動産投資(全8回)」で詳しく書いたので、参考にしていただきたい。

その他、総合リートと呼ばれるセクターもある。
これはその名のとおり、様々なカテゴリーの不動産に投資するリートで、オフィス、物流、商業、ホテル、住宅などに総合的に投資する。
それぞれのサブセクターの解説で理解されたと思うが、リスク/リターン特性、地域的な分散、不動産市場の特徴などいろんな要素が複雑に絡んでいる。
だから、総合型と一口にいっても中身はそれぞれ大きく違い、比較評価は簡単ではない。
もし1銘柄のみ保有するというならば、多様な物件を組み入れている総合型リートを買うのがいいかもしれない。
だけど、リートのサブセクターで分散投資をするとしたら、総合型リートはリスクの見極めが難しく、分散ポートフォリオに組み入れるのは避けるべきと思う。
分散ポートフォリオでは安定性のある都心中心のオフィスを中心に、訪日観光客で盛り上がるホテル、景気敏感な物流や商業を組み合わせていくのが基本だ。



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リートの分散投資を考える(6商業リート)

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前回は内藤某評論家のリート評論についてちょっとイラっときてしまい、話がズレてしまった。
そこで今回はちゃんとリートの分散投資の話に戻したい。
というわけで今回は商業リートを取り上げてみた。

商業リートは大型ショッピングセンター、郊外型ショッピングモールなどの商業施設を保有し、テナントを誘致して賃貸料で収益を上げる。
日本リテール(8953)、イオンリート(3292)、ケネディクス商業(3453)、フロンティア(8964)などだが・・・じつは商業リートにはそれぞれ別々の切り口とリスクがあり一様ではない。

代表格のイオンリートだが、イオングループがスポンサーで強力なパイプラインを持つ。
イオンならではだろうが、GMSと呼ばれる大型ショッピングセンター(SC)が中心で、保有物件の8割はこの大型SCというリートだ。
また、フロンティアもスポンサーが三井不動産であり、三井ショッピングセンターや三井アウトレットパークなどの大型SCが総資産の44%を占める。
でも、逆にこのことが投資家の不安を煽っている・・・米国ではウォルマートなどの大型SCからアマゾンなどのEコマースに大きくシフトしてきているからだ。
日本でも大型SCの集客力に疑問を持つ投資家が増えているのだろう。
今のところ、イオンモールにしても三井アウトレットパークにしてもで集客力があり、安定した収益を上げていて問題はない・・・特にワシのように山梨の田舎に住んでいると、イオンの集客力の高さにはまさに脱帽だ。
イオンモールの甲府がちょっと前にオープンしたがものすごい人気で、山梨の子供たちのあこがれのTDLみたいなものだ。
たいした娯楽のない田舎にあっては、単に買い物だけでなく、家族みんなで楽しめるエンターテイメント施設なのだ。
日本での大型SCやアウトレットモールは米国とは違うかもしれない。

大型SCやGMSなどの大型商業施設から戦略を変化させているリートもある。
最大の資産規模を持つ日本リテールは郊外型の大型SCの比率をさげ、主要駅に近い都市型やプライム立地の都市商業施設のウェートを引き上げてきている。
商業施設の魅力を引上げ、集客力を上げることを上げる基本戦略を取っており、リート運用会社がリーダーシップを取って収益力の引き上げを行っているところにも特徴がある・・・リニューアル工事やテナントの選別などもリート運用会社が戦略的に行っている。
一方、イオンリートやフロンティアはスポンサーの戦略により大型SCの運営はされており、ここに大きな違いがみられる。

また、ケネディクス商業リートもイオンやフロンティアとは違い、大型SCやGMSから日常型/生活密着型へとシフトしている。
テナントの属性を見ても、食品が24%、サービス10%、スポーツ5%・・・と、生活に密着した店の出店が増えている。
これによってEコマースの急拡大の影響を最小限にしようとしているわけだ。

分配金利回りを見ると、小規模のケネディクス商業が5.2%と最も高く、強力なスポンサーを持つイオンが4.9%、フロンティアが4.5%、そして、日本リテールが4.3%と最も低い。
イオンやフロンティアの高めの分配金利回りは、Eコマースの台頭で大型SCの集客力が低下する可能性を織り込んでいるかもしれない。

財務面ではLTV(ローン・トゥ・バリュー)で40-49%で遜色はない。イオンやフロンティアはそれぞれイオングループ、三井不動産グループがスポンサーにあり安定感が強い。
日本リテールは自社株買いを実施し自社株を償却したが、財務面の余裕を示したものとして注目される。
いずれにしろ、日本の商業施設が大型SC中心で展開していくのか? それとも、米国のようにアマゾンなどのEコマースが中心になり大型SCは集客力を失っていくのか? あるいは、ネットとリアルが融合して新しい業態が生まれていくのか?・・・
リートのサブセクターの中でも、商業リートの運用はきわめて興味深い。
その他、注意する点は頻発する雨や風や地震などの自然災害だが、こればっかりは読めない。



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リートの分散投資を考える(5 商業リート)

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内藤某とかいう評論家が、「それでもリートを買わない理由」というコラムを書いているが、なんか全く的外れで、イラっとくる。
買わない理由として3つ挙げている・・・(1)いつも買わなければならない、(2)実はそれほど高利回りでない、(3)税制メリットが小さい、の3点だ。

(1)の理由は笑える・・・言いたいのは不動産市況が高騰し割高になってもリートは運用し続けなければならないということだろうが・・・プロが運用するプロダクトは基本的にフルインベストメントが大前提で勝手にキャッシュばかり保有するのは運用放棄になる・・・個人投資家が不動産を割高と判断してキャッシュ比率を高めたいならリートを売却すればいいだけだ。

(2)の理由も分かっていない人の典型だ・・・実物の不動産、都心の中古マンションなどの方が利回りが高いと言いたいのだろうが、不動産市場は合理的で効率的な市場でフリーランチはない、つまり、利回りの高い不動産はリスクも高いということ・・・リートは例えば六本木ヒルズの区分所有などのクオリティの高い不動産投資を可能にする有効な運用ツールだ・・・その分利回りはワンルームマンション投資に比べ低いのは常識だ。

(3)の理由もピントはずれ・・・実物不動産の相続税では小規模住宅の特例などの減税措置があることを言っているのだろうが・・・相続税対策が必要な時期になってリートを売却し他の相続税対策付き資産に移せばればいいだけだ・・・マンション投資には減価償却があるので税金面では有利だが、その分資産の劣化に注意しなければならない(素人の不動産投資を参照)。

内藤某だけでなく、日本の評論家は全般的に投資理論を勉強したり理屈をこねるのは得意だが、特に自分で運用した経験が不足しているため、本当に必要な実践的知識に欠けている場合が多い。
自分でやってみれば直ぐに分かることも多いので、評論家諸氏には自分でリスクを取ってみなさいと言いたい。
気づいていないのか、あるいは個人ならダマせると思っているのかは分からないが、摩訶不思議なコメントが多すぎる。
個人への投資教育が必要と言われているが、その前にプロだと思ってコメントしている人たちのレベルをまともな水準に引き上げる必要があるだろう。
そっちの方がよっぽど重要で、いい加減な話を聞かされている個人投資家こそ大迷惑じゃ。

話がズレてしまったので、商業リートの話は次回にしたい。



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リートの分散投資を考える(4ホテルリート)

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リートの運用は分配金利回りが4%と高く、キャピタルゲインをそんなに狙わなくても期間トータルリターンを安定して稼ぐことができる。
長期運用には、この分配金利回りにより安定的に期間収益を稼げるのがうれしい。
そのためにもリートの分散投資をきちんと理解しておきたい。
今まで、リートの中心セクターであるオフィス、景気敏感サブセクターである物流を取り上げてきた。
今回は外国人観光客の増加で注目されているホテルリートを取り上げたい。

ホテルリートはホテル不動産を所有するだけで、実際のオペレーションはホテル事業者に任せている。
ホテル事業者との契約には固定報酬タイプ、固定+変動タイプ、変動報酬タイプと複数の契約が混在しているが、ホテルの稼働率が安定的に高まるとともに成功報酬的な変動タイプの契約が増加してきた。
固定+変動と変動報酬タイプのホテルがリートの収益を決める最大要素のなるので、これら契約のホテルがよく見ることが大切だ。
ホテルリートの分配金は賃料報酬と保有ホテル数(+クオリティ)で決まる。
さらに変動賃料はホテルの収益力によって決まり、保有ホテル数は系列ホテルブランドからのパイプラインで決まる。
だから、この二つを見て投資すればいいわけだ。

まず、変動賃料だが、客室稼働率やADR(客室単価)が基礎指標となり、稼働率とADR(客室単価)を掛け算したRevPAR(稼働している客室単価)が最も重要な評価項目となる。
各ホテルリートは月次でこの3指標を開示しているので、投資家はこの開示資料から変動賃料の増減を予測する。

JHRと星野リゾートを実際に比較してみよう。
JHR(8985)の主要11ホテルでは、今期(1月ー5月)で稼働率87.5%、ADR(客室単価)15310円、掛け算したRevPARは13396円で前年比+2.2%となっている。
稼働率も高めに維持されているし、RevPARも順調に伸びている。
このホテルにはヒルトン、マリオット、日航ホテルなど部屋単価の高い有名ホテルが含まれている。
単価の低いシティホテルから高級ホテルまで、バランスの良い安定したホテルポートフォリオになっている。

一方、星野リゾート(3287)は個別開示しかないが、主力の星のや軽井沢でみると、今期1-4月の稼働率71%~84%、ADRは64000~71000円、RevPARは48000~60000円。
星のや軽井沢は部屋単価が7万円近くと高級ホテルだが、稼働率は7-80%と低め、すでに高い部屋単価がさらに上がるとは考えにくく、RevPARの伸び率も限界がある
高級ホテルは客室単価がすでに高く大きな伸びしろがない分だけ、クオリティが高いが成長の点では見劣りしてしまう。
一方中間価格のホテルは需要がタイトになる(稼働率が上がる)と客室単価が上がりやすいので、RevPARの伸び率が高い・・・つまり、分配金の成長力がある。
それだから、星野リゾートも高級な星のやだけでなく界ホテルも増えてきたし、チサンインなどのビジネスホテルにも力を入れているということだ。

もう一つの重要な要素である新規投資対象ホテルのパイプラインだが、ここでは星野リゾートが非常に強いポジションにある。
星野リゾートグループとの優先契約があり、クオリティの高い系列ホテルを優先的に回してもらえる特権を持っている。
でも、JHRも国際的なホテルブランドであるヒルトン、シェラトン、マリオットなどだけでなく、メルキュールやイビスなどとも連携し保有ホテルを増やしている。
いずれにしても変動賃料の成長率と新規ホテル投資が成長ドライバーである。

財務面ではどちらも遜色がない。
NAV倍率も両社1.1倍程度、NOI利回りも7%程度、分配金利回りも4.4%程度とほぼ同水準だ。
LTVも40%以下、格付けも両社ともにA格近辺にあり、両者ともに良好な財務状態といえる。

今後、東京オリンピックに向けて海外訪問客は増え続ける予想で主要ホテルにはしばらく強い需要がありそう。
今後のリスクとしては、世界景気の後退によるビジネス出張の減少、地震や台風などの自然災害などが考えられるが・・・他のサブセクターに比べ、景気後退にも比較的強くディフェンシブなセクターだ。ホテルセクターを組み入れる価値がありそうだ。


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リートの分散投資を考える(3物流リート)

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リートの分散投資を考えるコーナーだが、前回からずいぶんと時間があいてしまった・・・反省。
前回はリートの中心サブセクターであるオフィスを取り上げた。
オフィスリートの見方は、第一にスポンサーの物件パイプライン、第二に保有物件のロケーション、第三にNAV倍率や分配金利回りなどのバリュエーションだ。
スポンサーの物件パイプラインでは、不動産系の強いスポンサー(森ビル、三菱地所、三井不動産など)のリートが優位なポジションを占めている。
さらにロケーションでは都心3区、あるいは、都心5区のプライムエリアの比率が重要で、この比率の高いリートの方が一般的に価格下落リスクが小さい。
分配金利回りやNAV倍率などは個別リート毎にチェックが必要だが、分配金利回りは高ければいいというものではないところに注意が必要だ。

さて、今回はちょっと違った視点からリートを考えるため、景気敏感のサブセクターである物流リートを取り上げてみたい。
物流リートは主要高速道路の要となるインターチェンジなどに近い場所が作られる物流拠点に投資するので、基本的に田舎の広い土地にある倉庫などの不動産がほとんどだ。
所詮、田舎の不動産であり根源的な価値は小さいが、今は好調な景気全般に加えネット販売の拡大に伴う物流需要が急速に伸びているので各物流拠点の稼働率が非常に高く、収益還元評価ベースの価値は高い。
しかしもし一旦、景気後退に入れると、物流需要が低下し物流拠点の稼働率が低下し収益還元評価が下落する。
その場合、物流不動産の価値が周辺の不動産価格にサヤ寄せし、単なる田舎の倉庫物件の価格に近づくかもしれない。
現在の膨大な物流需要を元にした収益還元の評価と、周辺の単なる田舎倉庫の不動産評価に大きなギャップがあるということに気を付けたい。

だから、そうしたリスクを織り込んだ価格評価となるので、大体、常にNAV倍率1倍前後で評価される。
日ロジ(8967)、GLP(3282)、産業ファンド(3249)、プロロジ(3287)、ラサールロジ(3466)、三井不ロジ(3471)、三菱地所物流(3481)など、ほとんどすべてNAV倍率1~1.1倍の範囲にある。
今の景気と物流需要は好調そのもので稼働率も高く収益も好調だが、景気後退のリスクを織り込み高いNAV倍率での評価は難しいということだろう。

物流リートのスポンサーは強力で、三井物産、GLP、UBS-三菱商事、プロロジス、ラサール、三井不、三菱地所、と世界の一流物流企業が並んでいる。
パイプラインは各社ともに強力で、そんなに遜色がない。
財務内容もLTV、負債金利、平均残存年数、格付けなども大きな違いはない。
あとは物件のエリア別比率の違いだが、東京周辺比率が高いのが産業ファンド、東京・大阪の大都市中心のラサール、関東・関西に広く保有するプロロジスなどの特徴が見られるが、人口の多い地域に重点的に物件保有するのが基本じゃ。
分配金利回りで4%を越える、ラサール(4.6%)、GLP(4.3%)、産業ファンド(4.3%)などが魅力的だろう。

物流リートはNAV倍率が比較的安定した投資対象で、内容が良いので分配金利回りの高いリートに投資するときの安心感がある。
ただし、景気後退が最大のリスクで、その場合、「収益還元評価」から「単なる田舎の不動産評価」に変わってしまうリスクを考えに入れておきたい。


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リートの分散投資を考える(2)

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リートは非常に面白い資産クラスだ。
個人は賃貸マンションぐらいしか実物不動産投資ができないが、リートを使うことで個人では難しい超高層オフィスビル、老舗のホテル、巨大ショッピングセンターなどにも簡単に投資できる。
しかも決算があり会社説明会もあるので、その期の利益だけでなく、鑑定士の鑑定価格やNAV(ネットアセットバリュー)、テナントの出入りや稼働率、平均賃料の動き、さらに財務の諸数字、借入の状況、すべて開示される。
個人にとってはこの情報公開は非常に有効でネットをチェックするだけでいろんな事を分析できる。
さらにリートの分配金利回りも平均4%を越えているので、市場価格が上昇しなくても十分な期間損益を上げることができる。
そして、ワシが注目していることはリートのサブセクターだ。
景気に敏感な物流リートや商業リート、資産価値の高い都心オフィスリート、利回りの高い田舎不動産を中心としたリート(ヘルスケアなど)いろんなタイプがあり、サブセクターとその組み合わせで様々な経済状況に対応するポジションを作れる。
リートの分散投資を考えてみたい。

その基礎知識としてまず取りあげたいのがサブセクターとしてのオフィスリートだ。
オフィスリートで最も大切なのは、スポンサーの強さとパイプラインの大きさだ。
森ヒルズリートの会社説明会で、執行役員が「オフィスビル価格の上昇とオークションの競争激化で新規のビル投資は高値掴みになりやすい。当社は優先権を使い森ビル案件のみに新規投資する」と言ったことが印象に残っている。
スポンサーのパイプラインが今後の外部成長のカギとなっているわけだ。
この意味で、前回、NBF(8951)、JRE(8952)、森ヒルズ(3234)、オリックス(8954)、MCUB‐midcity(3227)を取りあげた。

今回はさらに掘り下げてみたい。
オフィスビルの判断基準は、資産内容と財務状況とバリュエーションだ。
まず、資産内容では、オフィスビルのエリア別の比率が重要。
特にプライムエリアと呼ばれる都心3区(千代田区、中央区、港区)、5区(3区に加え新宿区、渋谷区)は、景気鈍化しても資産価値が維持されるし、稼働率や賃料でも比較的高水準が維持されやすい。
一方、都心5区以外のエリアでは資産価格の変動が大きく、景気後退期に安く購入すれば短期的にリターンを上げやすい。
都心3区の比率では森ヒルズ(3234)が注目されるし、都心の優良物件ではNBF(8951)やJRE(8952)だ。

財務内容の比較では、現在の金融緩和の下ではそんなに大きな違いはない。
LTV(ローン/バリュー、借入//総資産)でも大体40%前後、借入金利も0.5-1.0%、長期固定比率(変動金利以外のウェート)も90%前後と、どのリートもここ数年の低金利・金融緩和で手堅い数字を維持している。

リートのバリュエーションでは、分配金利回りとNAV倍率が重要だ。
オフィスリートの分配金利回りでは、クオリティの高いNBFやJREは3.1-3.2%とかなり低いし、グローバルワンや大和オフィスリートやオリックス等は3.5%前後、森ヒルズやMCUBーMI CITY等で4%前後というレベルだ。
また、NAV倍率では、このところの鑑定価格の上昇もあり、ほとんどのリートで1倍から1.2倍というレベルでどのリートでも割高感はない。
しかし、鑑定価格ベースであり、一旦不動産市場が調整に入ると鑑定価格が引き下げられ、NAV倍率が知らぬ間に割高になったという場合も考えられるので気を付けたい。

これらを総合すると、強力なスポンサーを持ち、財務内容が良く、分配金利回りも比較的高いとなると、森ヒルズリート、オリックス、MCUB-MI CITYあたりが候補となる。
不動産市場の波乱を想定するならば三菱地所系のJREや三井不動産系のNBFが安定している。
逆に不動産市場がまだまだ上昇すると見れば、5%以上の高分配利回りのインベスコ・ONEリート等で勝負するのも考えられる。

リートの分散投資を考える(1)

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素人の不動産投資というコーナーで、ワンルームマンション投資とリート投資を比較して採算、コスト、税金など様々な視点から考えてきた。
また、素人が陥りやすい不動産トラブルを「かぼちゃの馬車」を例に考えてきた。
その中でサブリースのからくりや不動産詐欺的な仕組みなどを取りあげてきた。
そして総合して言えるのは素人にはリートの方が向いているのではないかということだ。
そこで今回から新しい不動産編として、リートの分散投資を深く考えてみたいのじゃ。

まずはリート投資の王道としてオフィスリートを考えてみよう。
都心部の巨大なオフィスビルに投資をするなんて、素人が自分ではできない。
仮に何十億円という十分な資金があっても、投資物件を購入することはほぼ不可能だ。
都心部の再開発プロジェクトをリードする不動産開発会社は、完工後、次のプロジェクトに投資するため、部分的にオフィスビルの持ち分を売却しキャッシュを確保する。
そのため、関連する会社やリートに売却する例が多い。
リートによっては開発会社と優先取得契約をしている場合もみられる。
したがって、都心部の巨大オフィスビル(超優良物件)に投資するには、保有会社の株式を買うか保有しているリートを買って間接的に保有する方法はしかない。

オフィスリートの投資判断するのに、資産内容(エリア、含み益、稼働率など)、財務状態(LTV、格付け、金利、残存年数など)、分配金利回り(分配金/時価)、NAV倍率(NAV/時価)などの視点がある。
でも、ワシが最も重視しているのはパイプライン(今後取得可能なオフィス物件)だ。
リートにはスポンサーがいて、それが将来の物件をリートに紹介する。
優先権を設定している場合もあるが、資本関係で物件を紹介するケースもある。
たとえば、NBF(8951)なら三井不動産が、JRE(8952)なら三菱地所が、その他、東急、オリックス、丸紅、三菱商事、森ビルなどがリートのスポンサーになっている。
都心の不動産市場はかなりブームになってきているので、強い不動産開発力を持つスポンサーとの強いつながりが将来の優良物件の取得のカギになる。
そうした意味で、オフィスリートの第一の選択条件がパイプラインなのだ。

この視点からは、NBF(8951)、JRE(8952)、森ヒルズ(3234)、オリックス(8954)、MCUB‐midcity(3227)などが対象として絞り込める。
次回はさらに詳細を見てみよう。





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株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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