
安田倉庫のお尋ねがあり、考えてみました。
倉庫株はもちろん景気、物流需要に影響されるが・・・基本的に倉庫の保管面積×単価で営業収入が決まってくるので、倉庫の保管面積はほぼ一定であり単価の変動も少なく、比較的業績が安定した業種としてディフェンシブな評価がされている・・・でも、東証全体で33銘柄が上場しているので、業種内の競争も激しい業界でもある。
業界のバリュエーションはディフェンシブな業種でもあり、PERのレンジは5倍~15倍程度、PBRは0.3倍~1.2倍程度、配当利回りは1.5%~2%程度のレンジで市場評価されている。
ナツさんのお尋ねの安田倉庫(9324)は、PBR0.42倍、PER9.4倍、配当利回り1.91%と、倉庫業界のレンジの中央から若干割安圏にある。
この会社は歴史のある保守的な会社なので、堅実な経営と安定した業績が投資家には魅力となる・・・ナツさんは良い所に目を付けたと思う。
有価証券報告書(2019/3)でファンダメンタルを確認すると、いくつかのポイントがある。
(1)営業収入は伸びているが、保管業務、倉庫作業、国際貨物などでは若干の増収、陸運とその他部門が伸びている。
伸びている陸運はネット通販が伸びているので需要が強く、売上の伸びは期待できる・・・ただし、人手不足で運用員の確保が困難になっていることと人件費が上昇してきているコスト上昇要因になってきた。
もう一つのその他部門は会社に取材しないとよく分からないが、36億円から45億円を9億円増加し、全体伸びをけん引している。
2019/3の利益増加は主要部門というよりその他から来ているので、持続性は不明だ。
(2)古い会社なので株式の持ち合いが多く、保有有価証券423億円と、倉庫などの中核固定資産583億円と比べて、明らかに多すぎる。
これは安定した業績を上げる会社にありがちな、第三者から買収されるリスクを経営陣が感じ続けてきたことがあるかもしれない。
大株主は損保ジャパン7%、明治安田生命6.4%、東京建物5.4%、みずほFG4.2%・・・と分散しているが、大株主全体で42%は安定化されている。
しかし、バックボーンとして経営を支えられる大株主はいない・・最大株主が7%、現社長はみずほ銀行出身だが、みずほは4%しか株式を保有していない。
持ち合いで安定株主を確保しているようは見えるが、柱となる大株主がいないので敵対的買収が懸念されているのだろう。
そのために423億円も有価証券を保有することになっている・・・昔からの保有であり、簿価は低いと思われるが、この余分な株式持ち合いで資本利益率(ROE)を引き下げているのが辛いところだ。
ちなみにこの会社のROEは4%と低く、通常、日本の年金基金などの投資対象にはならない。
(3)保有資産(倉庫など)は首都圏中心で、比較的資産価格も安定していると見てよいだろう。
所有資産の内訳を見ると、神奈川地区(大黒ふ頭など)が15万8000m2と最も大きく、東京地区で7万4000m2、大阪地区3万8000m2と続く。
横浜の大黒ふ頭や東京の大井ふ頭などの倉庫のウェートが高く、資産の減損も出にくい地域分散となっているように思う。
この資産価値でも大きな不安要素は無さそうだ。
バリュエーションも割安だし、業績も安定しているので、個人投資家には投資対象になる会社だと思う・・・ただし、配当利回りは市場平均並みで特に魅力はない。
ただし、保有有価証券が多く、株式市場が大きく下落した時は、影響を受けやすいのが難点とみられる。

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