株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
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投信のコスト

投信のコストを考える(1)

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よく「アクティブ投信はコストが高いから儲からないよな」とか「コストで選ぶならインデックス投信だよね」などと言われるが、投信のコストってなんだろう???
コストってわかっているようでわかっていない人が多い。
今回から数回にわたって投信のコストを考えてみたいのじゃ。

投信のコストは、まず、投信を買った時にかかる販売手数料、運用にかかる信託報酬、口座管理にかかる管理手数料、そして、分配金にかかるインカムゲイン課税、さらに売買益にかかるキャピタルゲイン課税がある。
でもこれだけだと思ったら大間違いで、株式投信なら組み入れ銘柄の売買にかかる売買手数料、外国投信などで為替取引にかかる手数料・・・
さらに投信の売却時にかかる場合もある信託財産留保額がある。
なんか費用や税金ばかりかかり、投信ってホントに儲かるの???という感じになる。

投信を選ぶ時にはどういうコストがどのぐらいかかるのかチェックするのは重要だ。
しかし、コストは安ければいいというわけではなく、組み入れる資産の変動性を考え、その期待収益とコストを比べるのが正しいやり方じゃ。
「投信ガラパゴス日本」のコーナーでも書いたが、販売会社と運用会社(再委託先の運用会社を含む)と証券の保管をする信託銀行の系列関係や様々な特殊事情が働いているため、投信のコストはかなり複雑になる。
その複雑さを簡単に考えてみたい。

まずは投信を買うと最初にかかる販売手数料だ。
販売手数料は投信の窓口となる証券会社や銀行の販売にかかる費用をまかなうためのモノだ。
販売手数料はノーロード投信で全くかからないものから、系列で囲っている専用投信で3%程度かかるものまで幅が広い。
インデックス投信はノーロード(販売手数料ゼロ)のものが多いが、わずだが販売手数料の必要なものもある。
また、市場に上場していて時価で売買できるインデックス型のETF(エクスチェンジ・トレーデッド・ファンド)は株式の売買と同様、売買委託手数料がかかる。
問題は系列の運用会社に投信を作らせて、専用投信として証券会社や銀行が販売するタイプだ。
他の販売会社では買えないため、どうしてもその専用投信を買いたい顧客は3%の高い販売手数料を払って買わぜるを得ない。
最近でもロボティックス投信とか、グローバルEV(電気自動車)関連投信のような夢を煽るタイプは専用投信として設定される場合が多く、その場合当然のように高い販売手数料を払うことになる。
こうした投信は証券や銀行の販売会社サイドから企画を持ち込むことが多く、販売会社としては企画料を上乗せするのは当然というところだろう。
逆に運用会社が企画し販売会社に持ち込む時は、できるだけ多くの販売会社(証券や銀行、さらにネット証券、地銀など)に販売してほしいので、専用(系列のみで販売する)ではなく公販(多くの販売会社が参加する)を希望する。

総じて企画が斬新で夢のある投信は販売手数料が高いと考えておいていいだろう。
逆になんの新味もないどこにでもあるような投信は販売手数料がゼロか低い水準に抑えられている。
でも、この「企画が斬新だ」とか「夢がある」とかは、あまりリターンには影響しない。
夢のある宝くじが実際儲からないのと同じじゃ。
このあたりの感覚がうまく儲ける人と儲けられない人の境い目かもしれない。


投信のコストを考える(2 信託報酬)

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日本の投信のコストは高いと言われている。
投信のコストがどうして高いのか、高いコストの投信をどう選ぶのかを議論してみたいと思い、このコーナー「投信のコストを考える」を書き始めた。
「投信ガラパゴス日本」の続きとしても個人投資家が知っておくべき事実だと思うんじゃな。
前回は販売手数料を取りあげたが、今回は運用会社の収入源である信託報酬を取りあげたい。

信託報酬って言葉は難しいが、簡単には運用フィー(手数料)のことだ。
大口の機関投資家のお金を預かって運用すると運用フィーがもらえるのと同じで投信を運用すれば信託報酬がもらえる。
しかし、運用フィーは契約で決められた日に口座から引かれるのに対し、投信の信託報酬は毎日の基準価額の計算に含まれている。
だから毎日少しづつ引かれるため、ほとんどの投資家は信託報酬を引かれているのに気がつかない。

さてその信託報酬だが、アクティブ株式投信では年1.5%から1.8%ぐらいかかっている。
ちなみに機関投資家向けの同じ株式運用商品は運用フィーが0.3から0.5%程度で個人向けの投信に比べ大幅に低く設定されている。
一応、大口10億円以上の機関投資家向けなどと限定して低い運用フィーで受託するという理屈でこの違いを正当化しているわけだ。
もう一つ重要な違いは、機関投資家向け商品の運用フィーはすべて運用会社の収入になるが、投信の信託報酬はずべて運用会社に入るわけではないことだ。
投信の信託報酬は運用会社と販売会社と資産管理会社で分けられ、大体、運用会社が5割以上にもらい、販売会社も4割ぐらいはもらえる。
資産管理会社は管理するだけなので0.1%程度と極少ない部分を信託報酬から受け取る。
なぜ、販売会社も信託報酬をもらえるのかは慣習というだけで理屈はないが、販売会社を頂点とする金融グループで投信ビジネスが行われてきたという構造問題が影響しているのだろうと思う。
信託報酬に販売会社への分け前があるので、信託報酬全体が必然的に高くなってしまうんじゃ。

ここ10年ぐらいの間、個人投資家のレベルも向上してきて、単なる日本株なら自分で運用できる投資家が増えている。
だから、投信会社は個人投資家が自分でできないような商品を組み入れた投信の開発をすすめてきた。
たとえば、海外のリートを組み込んだグローバル・リート投信、海外の運用会社の提供するエッジの効いた商品(優先株やMLPなど)を組入れた投信、新興国の株式を組み入れた投信、などなどだ。
でも問題はこうしたエキゾティックな商品は日本の運用会社にノウハウがなく、海外の運用会社に再委託することになることだ。
海外の運用会社は運用フィーに対して厳格なポリシーを持っているので安いフィーでは受託しない。
したがって、こうした投信の信託報酬は、たとえば、海外運用会社に0.7から1%、国内運用会社に0.3%、販売会社に0.5%、管理会社に0.1%というような分け前になる。
そうなると、合計の信託報酬は1.5%から2%という高水準になってしまう。

投信の信託報酬は日本の運用業界の特徴をよく表している。
その中心には販売会社があり、その意向にそって周りが動いていく。
だから、投資家の利益というより、販売会社の利益が重視されることになる。
それでホントにいいのか?それで投信は発展していくのか?という疑問が残ってしまう。




投信のコストを考える(3 信託報酬続き)

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日本の投信のコストが高いと言われているが、やっぱり高い。
今までみてきたように、最初に投信を買うと販売手数料がかかる、しかもアクティブ投信なら3%もかかる。
信託報酬もアクティブ投信なら1.5%から1.8%もかかる。
投信を買った最初の1年間で合計4.5%から4.8%もかかり、プラスのリターンを出すのが難しい。
これは誰でも知っている事実だが、これを覚悟して投信を買うのならば、①アクティブ投信は長期で保有する、②ファンドマネージャーの腕を見て買う、③その時々の流行を追わない、などの投資原則が必要になるが、ここでは投信のコストにもう少し焦点を当ててみたい。

日本の投信の高いコストは投信販売会社(証券会社、銀行など)が主導しているため、自分たちの利益が投資家の利益よりも優先してしまうことが根本的な原因だ。
販売会社のサイドから見ると、投信は3度おいしいビジネスだ。
まず、第一にアクティブ投信を販売すれば、販売手数料として3%近い収益が上がること。
次に、アクティブ投信に銘柄を組入れる時、証券会社は運用会社から買い注文をもらえ、売買手数料を稼げること。
三番目は、年間1.5%から1.8%の信託報酬の一部を販売会社が受け取ることができえること。
1回投信を売れば3度おいしい収益をもらえるので、証券会社の収益の柱の一つになっている。
となると、高い手数料に批判があっても、どの証券会社もこの収益の柱を手放そうとはしない。

さらにエグイのが「ファンド・オブ・ファンズ」という「投信を買う投信」だ。
今流行りのファンド・ラップなどがこの分類に入るが、投信に分散投資し安定的な高リターンを得ると宣伝されているものだ。
ひと昔、海外でファンド・オブ・ヘッジ・ファンドというのが流行った。
ヘッジファンドは高リスク/高リターンの運用をするので、一つのヘッジファンドに全額投資するより複数のヘッジファンドに分散投資した方が良いだろうということで人気になった。
しかし日本では、海外にあったラップ口座とこのファンド・オブ・ファンズが合体してファンド・ラップという商品が出来上がってしまった。

本来ラップ口座はWRAP(包む)という語源で、預金から株式・債券・投信・金やコモディティなどなど、なんでも網羅的に買える便利な投資口座のことである。
しかも一定に管理料を払えば、手数料なしで様々な金融商品を買うことができる、お得な口座でもある。
しかし、業界の垣根の高い日本では網羅的に金融商品を扱うのが困難で、単に「投信を買う投信」として導入されてしまった。
しかも全然、お得ではないラップになってしまった。
なぜなら、組み入れる投信の手数料(信託報酬など)はそのままで、それに加えてラップ口座全体の管理料が2%程度かかるからだ。
これは投資家から見れば手数料の二重取りに見える。
ただし、投信の入れ替え時の販売手数料がかからないというメリットはある。
でも、信託報酬と口座管理料の二重コストが年4%近くなり、余程腕のいいファンドマネージャーでないとプラスを出せない。
並みのファンドマネージャーではコストを上回るリターンが上がらないだろう・・・年4%のコストはそれほど重いのだ。

では、コストの安いインデックス投信ばかりでよいかというとそうでもない。
「安かろう悪かろう」の法則は生きているからだ。
問題はコストが高くてもリターンをきっちり出す良い投信をどうやって選ぶかじゃ。
次回はこのあたりの話をしてみたい。



投信のコストを考える(4 毎月分配)

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投信のコストを考えるコーナーの4回目だ。
前回は運用手数料を二重に払わされるファンドオブファンズやファンドラップについて見てきたが、今回は根強い人気がある毎月分配型の投信を取りあげてみたい。
最近、金融庁はこの毎月分配を目の敵のように攻撃しているが、一方、高齢投資家を中心に根強い人気があるのも事実だ。

毎月分配では、円コースがあり「生」のパフォーマンスが開示され、しかも日本株のオーソドックスなアクティブ投信である大和住銀投信投資顧問(長い名前だな)の 日本株厳選ファンドを例に話を進めていきたい。
円コースの目論見書を見てみよう。
販売手数料は3.5%+消費税で合計3.78%と高い。
信託報酬(運用フィー)は1.53%で運用会社0.7%、販売会社0.7%で分ける。
運用はファンドマネージャーがアクティブに選んだ厳選株に集中投資するスタイル。
複数の通貨選択がついており、外貨コースを選ぶと内外金利差を収益化できる(為替変動のリスクも負うことになるが)。
分配金はその期の配当や金利収益と売買益が原資だが、過去の売買益を取り崩して分配できるためその期に収益を越えて分配されている。
その場合には基準価額がその分下落するという注意書きが付いている。

「生」の日本株運用実績を示す円コースと、高金利の代表レアルコースのパフォーマンスを月次レポートで確認してみよう。
円コースの設定来パフォーマンスは+100.9%、最近1年は+7.8%+だ。
毎月分配は150円/月で、設定来ずっと保有していたとすると、合計9140円の分配金をもらえたことになる。
5月末現在の円コースの基準価額は9562円だ。

ブラジルレアルコースの設定来のパフォーマンスは+91.4%、最近1年は-1.2%だ。
分配金は100円/月で、設定来の合計分配金は10960円だ。
5月末現在のレアルコースの基準価額は4712円だ。

第一に、日本株アクティブ投信としては優れたパフォーマンスを上げていることだ。
もちろん2011年の設定がアベノミクス直前でタイミングに恵まれていたことも大きし、ファンドマネージャーの銘柄選択も素晴らしい。
それが円コースの7年で100%(2倍)を越えるパフォーマンスに表れている。
毎月150円の分配金をもらえて、基準価額は9500円台とほぼ分配金が丸々収益になったわけだ。

第二にレアルの通貨選択は日本の低金利の下、内外金利差を収益化できるのが大きな魅力だが、レアルが弱く金利差の収益を完全に吐き出してしまっている。
分配金こそ合計1万円を超える一方、基準価額は5000円割れに下落している。
設定当初に買った投資家は7年で50%(1.5倍)とそれなりの儲かったが、途中で購入した投資家は必ずしも儲かっていないかもしれない。
問題は基準価額が5000円割れても100円/月の分配金を出し続けていることだ。
年間の分配金は1200円にも達し、年20%以上の分配を続けていることになり、ファンドマネージャーにとっても資金が常に流出している状態で運用がしづらくなっているのは間違いない。

第三に毎月分配の投信の問題点を挙げてみたい。
その期の収益を越えて分配するので、複利効果が得られない。
分配金には利子配当課税の20%税金がかかってしまう。
・・・などの問題点がある。
一方、高齢者には不足する年金の一部を分配金で補填できるという生活の知恵もある。
また、投信の元本はいずれ相続で息子や娘に行くが、分配金は自分で使えるのがいいという高齢者もいる。

金融庁が、複利効果もなく節税効果もない、投資理論に合わない投信として毎月分配を嫌うのは一応理解はできる。
しかし、いろんな投資家がいるわけで、一概には問題視するものでもないだろう。
それよりもっと重要なことはアクティブ投信の運用能力の判断だ。
日本株厳選の「生」のパフォーマンス(円コース)は素晴らしいし、こうしたファンドマネージャーを選択することが投信で運用成果を上げる最大のポイントじゃと思う。





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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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