
市場関係者は買い越しの投資主体には非常に関心が高く、海外投資家や事業法人の買越しばかりが話題になる。
確かに海外投資家でもヘッジファンドやCTAは上値をガンガン買うので、株価インパクトが大きく無視できない存在ではある。
また事業法人も自社株買いを取締役会で決定すると、きちんと完了するまで買うので基本的な需給関係を改善する主体として重要になってきた。
しかし、売り主体を見てみると、日本の社会構造を反映しているのがわかる。
上のグラフは年間の投資主体別売買動向だが、紫ラインの信託銀行が23年以降3年連続で売越しを続けている。
25年はまだ決まっていないが、年間での売越しはほぼ確定的だと思う。
信託銀行の売越しの最大の要因は、おそらく年金基金の株売りだと考えている。
今年以降はそれに日銀のETF売り、これはETFがバラバラにされて現物株として市場売却される。
日銀のET F売りは今後の問題だとしても、年金基金の売りは高齢化社会の基本的な需給構造になると考えておいた方がいい。
下のチャートは、ちょっと古いが、令和元年の年金財政の構造を示している。
基礎年金から年間24.1兆円、サラリーマンと公務員の厚生年金から28.7兆円が年金受給者に支出される。
合計で52.8兆円もの巨額な年金給付だ。
ここ数年で高齢化が一段と進んでいるので、おそらく年50兆円を大きく越える金額が毎年毎年給付されていると推測できる。
年金収入の方は国民が拠出する年金保険料で、1号保険者(自営業など)が1.3兆円、2号保険者(サラリーマンや公務員)が37.7兆円となっている。
ザックリ、年間保険料合計で39兆円、それに対して年金受給者は52兆円強を受け取っている。
国庫負担も年1.8兆円(税金から払っている)あるので、実際の不足額は10兆円強になる。
この不足分は厚生年金を運用するGPIF、公務員年金を運用する国共済や地共連・全国市町村などが運用資金を取り崩しているというわけだ。
年金資産取り崩し、その一部(GPIFは日本株比率25%)が株式市場での信託銀行売りになって出ている。
この信託銀行売りは高齢化社会の構造的な要因だ。
さらに日銀のETF売りが年3300億円(時価では5000億円ぐらいにはなる)あるが、これも信託銀行売りとして出てくるだろう。
もし日銀がETF売りを加速化するなら、もっと大きい金額が売られることになる。
これらの売りに対して事業法人の自社株買い、個人NISA投資やiDeCo投資がどうなるか、さらに海外投資家が買うのかどうか、これらが基本的な株式需給を決める。

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