株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

実戦的バリュエーションの話

NASDAQ、バリュエーション限界突破(2)

NASDAQ100の益回りと10債利回り
NASDAQ益回りと長期金利202405
















前回はS&P500益回りと10年債利回りが急接近し、バリュエーションの天井感がでてきていることを検証してみた。
その後、S&P500は5月末現在で4.68%で、10年債金利は現在4.4%とかろうじて益回りが高い状態を維持している。
これがS&P500のPERの上限を決めているのではないかと考えている。
長期金利4.4%が益回りの下限とすると、PERは23倍がS&P500の天井圏になる。
現在のPERは21.3倍で上限値の近い、微妙な展開だろう。
いずれにしてもFRBの金融緩和(長期金利の低下)がないとバリュエーションの天井が近いといえる。

でも、NASDAQは代表的大型株指数のS&P500と違い、成長力の高い市場で益回りと10年債利回りの関係も異なる(上のグラフ参照)。

NSADAQはGAFAMなど大型成長株が多く上場しているので、指数全体の成長性もS&P500よりも高い、その分、通常PERなどのバリュエーションも高い。
長期金利が上昇し始めた23年に長期金利が益回りを上回り「逆転状態」になった。
この状態だけを見れば「NASDAQは割高」と言えたが、成長力の高いNASDAQは何年か先の予想EPSを織り込んでいるともいえる。

NASDAQの1年後予想EPSは、22年末498ドル、23年末581ドル、24年現在678ドルと増加してきた。
22年末時点で益回り4.55%だったが、その1年先・23年末の予想EPSを織り込んでいたとしたら益回りは5.3%となり長期金利を上回っていたともいえる。
さらに23年末時点で益回りは3.46%と年末時点での長期金利3.88%を下回ったが、その1年後EPSを織り込んだ益回りは4.03%になり長期金利を上回っていた。

つまり、NASDAQはその成長性によって、その時点の1年先EPSではなく、2年先EPSを織り込んでいたわけだ。
成長株のPERは、より将来のEPSを織り込むんで形成される。
NASDAQの場合は2年先のEPS成長を織り込んでいるためにその時点の益回りは低くなってしまう、という事を頭に入れておくべきなのだろう。

だとしたら、現在のNASDAQのPER28倍も許容範囲といえるかもしれない。
2年先の予想EPSはNVDA中心にAIや半導体中心に伸びていくと期待を織り込んでいるのだろう。


それでは歴史のある優良株主体のNYダウではどうなのだろう?

NYダウ益回りと10年債利回り
NYダウと益回りと長期金利202405
















NASDAQと比べたら全く違う状況になっている。
NYダウの益回りは低下傾向にはあるものの、現在5.2%程度と高い。
10年債利回りは4.4%で、0.8%も上回っている。
という意味ではバリュエーションの天井までにはかなりの余裕がある状態だ。

でもだからといってNYダウ採用銘柄が上昇するというわけではない。
確かに割安状態にはあるが、成長性の低さが織り込まれているだけかもしれないからだ。



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S&P500、バリュエーションの天井感(1)

SP500益回りと10年債利回り202405
















上のチャートはS&P500の益回り(EPS/株価)と10年債利回りだが、株式益回りは通常、長期債利回りを越えることはない。

S&P500益回りはS&P500の純利益÷時価総額、株主の投資総額に対する純利益、株主の投資採算を示している。
この益回りに配当性向(純利益の中に配当の割合)をかけたものが配当利回りになる。

昔は配当利回りと長期債利回りが比較されてきた。
リスクの高い株式には長期金利以上の配当があってあたりまえと思われてきたためだ。
しかし、株式リターンは配当(インカム)+値上がり益(キャピタルゲイン)であり、値上がり益まで含めれば配当利回りは長期金利以下でもいい。

でも、純利益はキャピタルゲインの基礎であり、益回り(純利益÷時価総額)が株主のトータル・リターンを決める。
投資採算から見れば、リスクの高い株式益回りは長期金利より高くなるのは自然だ。
そうでなければ、投資家は資金は株式から債券へ移してしまう。

22年以降のFRBの引き締め政策で長期金利が2%から4%台(直近4..4%)へと上昇した。
一方のS&P500益回りは5%前後で推移してきたが、最近のPERの上昇によって低下傾向になり、現在4.7%だ。
その結果、益回りと長期金利の急接近が現れた。

長期金利とS&P500益回りの長期的な関係を考えた場合、益回りが長期金利の水準以下に低下(株価の上昇)するとは考えにくい。
そんな逆転が起こったら、おそらく長期投資家は資金を株式から債券にシフトさせる、その結果、株式が下落し自動調整される。
これが「S&P500のバリュエーションの天井」となる。

これが何を意味しているのだろうか?

バリュエーションの天井が株価の天井となるわけではない。
バリュエーションがピークでも、EPSが増えればその分株価は上がっていく。

長期金利が4.4%を想定すれば、S&P500のPERは23倍程度(現在21倍)が上限になる。
それ以上のPERの上昇は長期金利>益回りとなってしまい、株から債券への資金シフトの原因になるだろう。

という意味では今後のポイントは「長期金利が下がるかどうか」であり、「インフレの収束とFRBの緩和転換」がS&P500のPERを決める。
これがなければ米国株が現状から大きく上昇するのは困難だと思っている。

さらに言えば、インフレが収束しても景気悪化が起こらないことだ。
FRBが緩和に転換し利下げをするにしても、その際景気後退しEPSが低下しては元も子もない。
つまり、景気後退なしにインフレが収束するのか? これが最大のポイントということになる。



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米国株EPS、二極化が進む

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四半期決算の途中、月初の米主要指数EPSをチェックしていたが、なんとなく重要な違和感を感じる。
7ー9月期は実質GDPは4.9%も伸びた米経済を受けての企業業績だという点が大きなポイントだ。
インフレが3%程度はあるとすると、米国名目経済は7~8%の高スピードで成長した四半期であって、米国主要株価指数のEPSも大きく伸びていておかしくなかった。
でも、なんか変な感じを受ける。

米景気が良ければ小型株から大型株、成長株まですべてEPSが増加するのが通常だが・・・
1年先予想EPSの前年比を見ると、GAFAMを中心とするNASDAQ100のEPSが12%と二けた増加なの対して、NYダウは+0.8%、S&P500は+1.4%、小型株ラッセル2000は-2%と低空飛行を続けている。

以下の月次EPSの一覧表を見てみよう。

NYダウ 前年比 S&P500 前年比 NASDAQ 前年比 R2000 前年比
11月3日 1824.39 0.89% 226.17 1.49% 586.39 12.72% 78.71 -1.98%
10月6日 1854.95 0.74% 224.75 0.65% 573.25 8.16% 75.54 -6.72%
9月1日 1838.41 -1.79% 223.89 0.27% 566.39 4.44% 77.61 -6.30%
8月4日 1809.34 -3.97% 215.81 -5.14% 524.01 -8.51% 77.99 -8.16%
7月7日 1851.53 -3.96% 218.85 -4.52% 519.95 -5.93% 79.62 -8.98%
6月2日 1932.61 1.98% 226.34 -0.56% 526.1 -4.62% 81.48 -12.94%
5月5日 1899.29 0.39% 223.82 -0.94% 514.92 -7.27% 80.14 -9.08%
4月6日 1880.14 -1.94% 221.41 -2.05% 507.88 -10.84% 80.93 -7.23%
3月3日 1927.89 1.11% 224.63 -0.11% 512.97 -10.47% 91.17 2.20%
2月3日 1893.19 0.78% 223.35 -0.50% 504.55 -14.54% 84.6 -7.14%
1月6日 1854.97 -4.21% 230.21 4.59% 519.55 -6.77% 84.01 6.49%
各月初の様相EPSとその前年比変化率%

このEPSの二極化は何を意味しているのだろうか?

①一般的な景況感は悪化している可能性。
高金利経済では低利益率の会社や借金依存の高い会社などは経営が悪化する。
高金利が長期化するに従い、業績は悪化してくる可能性がある。

②サブスク型のビジネスモデルは堅調な拡大をしている可能性。
高金利の影響を受けにくい、サブスクリプション型のビジネスがGAFAMの収益をけん引している。
アマゾン、グーグル、アップルなどの決算でもクラウドビジネス、サブスクビジネスが堅調を保っている。

こうした傾向が顕著に出始めたのがこの7-9月期決算だったのかもしれない。
当面、業績面からいえば、GAFAMを中心としたNASDAQがリードする展開が想定される。
ただ、GDP成長率から言えば、この7-9月期の4.9%成長はピークだったともいえる。
これ以上の成長率はなかなか期待しにくい。
そうなると、高金利の長期化とともに米国の景気全般は鈍化傾向になる可能性もある。

あまり念仏のように「米国株の業績は強い」と言い続けない方がいいかも?と思う。
固定観念は時として投資の邪魔になる。



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FOMC、時間軸効果の問題だろ!

dotplot2309













9月のFOMCが終了し、大方の予想通りに金利は据え置きと発表された。
でも翌朝の東京市場では波乱に見舞われ日経平均は452円の下落を記録した。
大方の予想通りなのに評論家は株価が下がったのを見て「FRBのタカ派」で「あと1回の利上げ」が株安の原因とした。
不思議だ・・・FOMCの結果は多くの想定の範囲内だったはずだ。

では、何故、株価は神経質になっているのだろうか?

筆者が一番に気になったのは「時間軸効果」だ。
今回のドットチャートを見てみよう。

     23年末  24年末   25年末
上限   5.625%   6.125%   5.625%
中央値  5.625%   5.125%   3.875%
下限   5.375%   4.375%   2.375%

中央値は24年末まで5%以上の高金利を示唆している。
6月末のドットチャートでは、23年末5.625%は同じだが、24年末は4.625%と5%以下に利下げされることを見ていた。
この意味はFRBは「来年中の景気後退はない」という前提を持っていることだ。

25年末では今回の予想が3.875%だったのに対し、6月ドットチャートでは3.375%だった。
つまり、あと1回の利上げで終了というのは6月ドットチャートでも9月ドットチャートでも同じだが、24年~25年にかけて高金利が継続する予想に変更された。

これは「時間軸効果」を考える必要があるということを意味する。

①FRBの利下げ期待が「あとズレ」したこと。
これによって先の予想で低下していた長期金利が高止まりする、場合によっては一段と上昇する。

②高金利が継続することで市場の期待が変わり、ある意味利上げと同じ効果を生むこと。
「景気後退が来るぞ」という「オオカミ少年」効果は消えた。
「近い将来、利下げがある」という期待が長期金利をあるべき水準よりも低くしてしまう。
この期待が薄くなることで、長期金利は本来あるべき水準に上がる。

つまり、短期金利はもうすでに天井圏にあるにしても、長期金利は「時間軸効果」によって一段と上昇する可能性がある。
だとしたら、このFOMC結果は長期金利に影響し、株式のバリュエーションに影響する・・・ということになる。

重要なのは2点。

①株式益回りと長期債利回りの関係。
株式益回りは株主に属する最終利益率で、この利益率から配当利回りや株主還元率が決まるものだ。
現在S&P500の益回りは4.93%、10年国債利回りは約4.5%でまだ若干余裕があるが、もしこれが逆転したら・・・
米投資家は10年国債を買えば、今後10年間株式よりも高いリターンが得られることになり、資金は株式から国債に移動する。

②インフレ率と長期債利回りの関係。
長期債利回りがインフレ率よりも高くなると、投資家は国債を買うだけで「インフレヘッジ」ができる。
現在米コアインフレは4%水準にあり、4.5%の10年債利回りはインフレ率を若干上回る。
この関係も米国債へのシフトを助長する。

というわけで、FRBの時間軸効果が長期債利回りを引き上げ、株式需給にはマイナスになる。



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米国イールドスプレッド、"zero"に接近

イールドスプレッド2301














「FRBの引き締めは最終局面だし、米国景気はソコソコ強い」となれば株価は上がるしかない。
おそらくこれが現在の市場のコンセンサスだろう。
背景には、①これだけの高金利でも腰折れしない米国経済は強い、②FRBの引き締めが終了すれば、一段と強くなる、③数年後の米国企業利益は伸びているに違いない・・・ということだろう。

でもこのロジックに問題はないだろうか?

株式市場では期待が期待と呼び、EPSが増えていないのに株価だけ上昇する、結果としてPERが急上昇、株式益回りが急低下している。
一方債券市場では米国リセッションを見て長短金利が逆転してきたが、さすがに腰の強い米景気が続き長期債が売られ始め10年債利回りは4%を越え現在4.17%まで上昇した。

この株式益回りの急低下、債券利回りの上昇と言う局面は「イールドスプレッド=ゼロ」という転換点に接近していることを示す。
益回りは配当利回りの原資で、益回りに配当性向(純利益から配当に回す割合)を掛けたものが配当得利回りだ。
当然のことだが、益回りの低下は配当利回りの低下に直結する。

益回り 債券金利
SP500 Y/S NASD Y/S NYダウY/S 10年
Jul-23 4.77 0.81 3.43 -0.53 5.1 1.14 3.96
Jun-23 5.05 1.21 3.49 -0.35 5.5 1.66 3.84
Mar-23 5.51 1.96 3.94 0.39 5.76 2.21 3.55
Dec-22 5.71 1.84 4.55 0.68 5.47 1.6 3.87
Sep-22 6.12 2.29 4.8 0.97 6.4 2.57 3.83
Jun-22 5.9 2.89 4.71 1.7 6.09 3.08 3.01
Mar-22 5.04 2.7 3.88 1.54 5.51 3.17 2.34
益回りはEPS/株価、Y/Sはイールドスプレッド、 単位%

上の一覧表は、SP500、NASDAQ、NYダウの益回りの変化、益回りから10年債利回りを差し引いたイールドスプレッド(Y/S)を比較したものだ。
代表的なSP500で見ると昨年9月には6.1%と高かった益回りが4.7%に急低下の一方、8月3日では10年債4.17%に上昇したためイールドスプレッドは0.5%台に縮小している。
債券が一段と売れられば「イールドスプレッド=ゼロ」という極端な状態も視野に入ってくる。

優良株のNYダウのイールドスプレッドは1%程度を維持しているが、成長株のNASDAQはすでに「イールドスプレッド・マイナス圏=株式が割高」の状態に入っている。

これが何を意味するのか?

ここ数か月FRBの利上げで短期債中心に金利上昇してきたが、株価は意外なほど影響しなかった。
でもこの10年債4%を越えて上昇すると、株価はマイナス影響を受ける。
イールドスプレッドが極端な縮小、あるいは「ゼロ」状態に入る懸念が出てくるからだ。

「イールドスプレッド=ゼロ」状態では、株式配当取りは意味をなさない。
米国の配当性向は3~4割程度だが、そうなると債券の方が3倍利回りが高い状態になり、インカムゲインとしての株式は価値がない。
あいまいなキャピタルゲインのみで株を買うことになると、採算を重視する長期投資家は株から債券に資金シフトしてくるかもしれない。

今まで債券利回りの上昇は「景気の強さ」を示すものとして「株買い」要因になってきた。
でも4%以上の10年債利回りは株式益回りに接近し、株式から債券への資金シフトの原因になる。
これ以上の長期金利の上昇は株式にネガティブになるかもしれない。



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NASDAQ、新高値の条件(3 EPS)

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NASDAQ100は、22年初の高値16513ポイントから10月10440ポイントまで-36%下落した後大幅な反騰相場に入り、現在15826(7/19)と下げ幅の88%を戻してしまった。
この戻り相場のモメンタム(勢い)はどこで生じているのだろうか?
このまま22年初の高値を抜き、次の上昇トレンドに入っていくのだろうか?

前回書いた通り、NASDAQ100のPERはピークの30倍に接近している。
PERの面では限界があるだろう。
となれば、今後の展開は需給とEPSによって決まってくると思われる。

主要指数の予想EPS瞬間風速(3か月前比変化率)
NYDOW   S&P500   NASDAQ   R2000  
7月7日 1851.53 -1.52% 218.85 -1.16% 519.95 2.38% 79.62 -1.62%
6月2日 1932.61 0.24% 226.34 0.76% 526.1 2.56% 81.48 -10.63%
5月5日 1899.29 0.32% 223.82 0.21% 514.92 2.06% 80.14 -5.27%
4月6日 1880.14 1.36% 221.41 -3.82% 507.88 -2.25% 80.93 -3.67%
3月3日 1927.89 5.44% 224.63 1.29% 512.97 -0.99% 91.17 14.35%
2月3日 1893.19 4.70% 223.35 0.22% 504.55 -3.01% 84.6 5.35%
1月6日 1854.97 0.74% 230.21 3.10% 519.55 -1.97% 84.01 3.74%
12月2日 1828.46 -2.33% 221.77 -0.68% 518.11 -4.46% 79.73 -3.74%

EPSの瞬間風速を見ると、NASDAQのEPS伸び率が直近3か月2%と小幅ながら増加傾向になるが、その他、NYダウ、S&P500、ラッセル2000のEPSはほぼほぼ横ばい状態にある。
EPSが力強く伸び、業績回復相場に入るかどうかはまだ判断できないし予断は許されない。

それでもNASDAQ100を中心に上昇してきた背景には、「米国を代表する大型成長企業はどんな環境でも業績を伸ばせるだろう」という期待感がベースにある。
その意味では実際のEPS増加というよりも「その期待」が株式需給を動かしている。

ポイントは二つあるだろう。

①景気全般はリセッションに陥らず、なんとなく堅調に推移するケース。
それでも5%台の政策金利、7%台のローン金利が成長の足かせとなる中小型企業に逆風になる。
特に小型株、財務内容に不安のある企業はEPSが低下してしまう。
株高局面で小型株のラッセル2000が停滞したのは、年初84だったEPSも徐々に地盤沈下するように79まで低下した。
この局面ではEPS増加にはバラツキが生じてくるかもしれない。
悪化する企業と何とか横ばいで耐える企業の「二極化相場」がキーワードになるのかもしれない。

②高金利が需要を抑え景気鈍化が明確になるケースではEPSの伸び率は低下傾向になる。
インフレがさらに低下傾向を見せる反面、景気は鈍化し、雇用も減少、失業率が上昇するだろう。
相場はこの業績悪化を一端は織り込まなければならない。
市場は景気鈍化で一時的な調整を経てFRBの利下げ期待が生じる。
これが起点となって「金融相場」が始まる。

この二つのケースを想定してポジションを運営する方針だ。



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NASDAQ、新高値の条件(2 PER)

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アップルなどの主力NASDAQ銘柄、Nvidiaを中心したAI・半導体関連銘柄には21年の大天井を上抜ける銘柄も出てきている。
NASDAQ100の平均PERも29倍に達し、21年大天井時のPER30倍に接近している。
このNASDAQ指数が新高値を超えて上昇相場に入るのか、それとも二番天井を付けるのか?

米国株価指数には、ハイテクNASDAQ以外、優良株中心のNYダウ、米国全体で上位500銘柄を網羅したS&P500など世界の投資家が一般的に使っている指数がある。
NASDAQのバリュエーションと、これらの指数のバリュエーションを比べてみたい。

NYダウ NASDAQ SP500 R2000
2021年12月 株価天井 18.76 30.25 22.82 31.44
2022年9月 ボトム 15.62 20.82 16.35 21.37
2023年7月 直近値 18.88 29.84 20.59 24.71
PER単位は倍

PERで見ると、2021年末、まだFRBの強烈な引き締めが始まる前、小型株のラッセル2000のPERが31倍と最も高く、次にNASDAQ30倍、SP50022倍、NYダウ18倍と言う順番になっていた。
今年7月現在ではNASDAQは29倍とピーク30倍に近づいている一方、21年にはNASDAQ並みに高いPERだったラッセル2000のPERは24倍に過ぎない。

「株価=EPS×PER」であり、利益(EPS)に人気(PER)を掛けたものが株価だとすると、NASDAQの人気が圧倒的に高く、小型株のラッセル2000の人気が低迷しているといえる。

政策金利が5%台まで上昇し、住宅ローン金利が7%、低格付け企業の社債8.5%という高金利の米国経済は、信用力で劣る中小型企業にとっては厳しい金融環境だ。
一方、NYダウに採用されているような優良企業、S&P500に採用されている上位500の大企業などはその財務の安定性が高く信用問題はない。
こうした高金利ー財務安定性が人気(PER)の格差を生んでいるとしたら、むしろ高金利が大型ハイテク株を支えているといえる。
FRBの政策金利が5~6%で高止まり、長期金利も3.3%~4%のレンジでしばらく推移するとしたら、「大型ハイテクの二極化」が続いていくのかもしれない。

ただし、「大型ハイテクの二極化」には二つの関門がある。
一つはNASDAQ100のPERが30倍に接近しているバリュエーションの限界。
そこは「高金利下の業績回復」という投資家の期待を大型ハイテク企業が実現していけるのかが問われている。

もう一つの限界は「大型ハイテクの二極化」そのものの需給の限界だ。
「二極化の行き過ぎ」は永遠に続くわけではない、自ずから需給の限界がある。
このままインフレ高止まり―高金利の継続ー信用リスクの高まりという現状が続くとしても、いくら財務の安心できる大型ハイテク株といっても投資家が腹いっぱい買ってしまえば終わり。

次にEPSの推移を確認しながら、ポイントとなる業績を見てみよう。


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NASDAQ、新高値の条件(1)

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米NASDAQ市場は5%を越える高金利の下にもかかわらず、かつてないような活況を見せている。
金利上昇でPERが低下し株価が低迷した昨年とまさに様変わりだ。
すでに半導体のNvidiaは21年高値を突破し新高値圏に躍り出ているし、GAFAMの中のトップ、アップルも21年高値を突破している。

このままNASDAQ指数も21年高値と突破していくのだろうか?

下の表は、新型コロナ禍で沈んだ2020年6月、そこから超金融緩和+量的緩和で株価上昇しピークを打った2022年12月、EPSがピークを打った2022年1月、金利上昇によるPERの低下が進みPERがボトムに達したのが2022年10月、そこからの反騰相場・・・・このサイクル全体をもう一度確認してみたものだ。

  NASDAQ EPS PER  
2020年6月 EPSボトム 9849 325.6 29.21
2021年12月 株価ピーク 16567 68.2% 539.51 65.7% 30.25 3.6%
2022年1月 EPSピーク 14438 -12.9% 630.32 16.8% 22.91 -24.3%
2022年10月 PERボトム 10692 -25.9% 525.67 -16.6% 20.37 -11.1%
2023年7月 現在 15713 47.0% 530.89 1.0% 29.6 45.3%
NASDAQは数字の取得できる100銘柄(NASDAQ100)、変化率%、EPSはドル、PERは倍。

1)新型コロナ禍2020年6月~株価ピーク2021年
この間、EPSは65%伸び、PERは4%の上昇、そして、株価は68%と大幅な上昇を記録した。
もちろん、コロナ禍のロックダウンで株価暴落した後の反騰なので、EPSの伸び率も株価上昇率も非常に高く際立って出たともいえる。

2)株価ピーク2021年12月~EPSピーク2022年1月
この間わずか1か月だが、EPSが16%伸びている反面、株価が13%の下落。
FRBの引き締め入りを予想してPERが低下し株価は下落となった。
わずか1か月で市場期待が金融緩和から金融引き締めへと大きく変化、逆金融相場の始まりとなった。

3)EPSピーク2022年1月~PERボトム2022年10月
FRBの金融引き締めが効いてEPSとPERの両方が低下し、株価も下落した。
EPSが16%の低下、PERも11%の低下、そしてその掛け算である株価が26%下落した。
弱気相場の典型的なパターンだ。

4)PERボトム2022年10月~直近2023年7月
期待先行のPERによるリバウンドだ。
ファンダメンタルには大きな変化がなく、金融引き締めの継続+EPSの軟調に対して、PERが45%上昇して株価の47%上昇を支えた。

今後を考える上では・・・

①現在のPER29.6倍は、20~22年上昇相場でのPERピーク30倍に接近。
30倍というPERは歴史的にも高い。
米国のインフレがピークに達し、徐々に長期金利が低下局面に入るとの期待を織り込んでいる。
インフレー長期金利ーNASDAQの関係を考えて直してみるべきだろう。

②NASDAQの上昇はアップルや半導体など一部の銘柄の上昇寄与が大きい。
この需給の一極集中がNASDAQ市場のPERを押し上げているのかもしれない。
この点も検討すべきだろう。

③最大のポイントは、EPS伸び率が高まっていくかどうかだ。
これだけの高金利で米企業は業績を伸ばしていけるのか、その条件はなんなのだろう?
高金利は低収益企業を排除していく、その結果、高金利でも成長できる企業に注目が当たる。
では実際に高金利下で業績、EPSを伸ばしていけるのか?

この三点を中心にしてNASDAQが新高値を取っていけるのか、次回から検討してみたい。



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ソシオネクスト株で外人の半導体評価を探る

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ショッキングな大株主の売り出し規模で、株価が急落するのは当然といえる。
ソシオネクストの大株主3社、日本政策投資銀行15%、富士通15%、パナソニック7.5%が3社談合したかのように海外での売り出しを決めた。
発行株の37%の大規模売り出しであり、大きな下落要因だ。

海外投資家は株の空売りを含めてショートポジションを作り、売り出しで取得した株でショートカバーすると自動的に大儲けできる。
ある意味、海外投資家が価格の決定権を持っていると言っていい。

それだけに値決め日が注目される。
海外投資家が日本の半導体会社をどう評価しているのかが明確になるからだ。

まずはソシオネクストの今期予想EPS519円をベースに考えてみよう。

銘柄      2023年EPS    株価        PER水準  
エヌビディア  6.75ドル   425.03ドル  62.9倍
アドバンテスト 610円     19970円    32.7倍    
ASML    23.76ユーロ 649.4ユーロ  26.9倍
東京エレク   781円     20205円    25.8倍
TSMC    39.37ドル  565.0ドル   14.3倍
予想EPSは各機関によって予想の幅があり、一応の目安としての数字。

高成長が期待されているエヌビディア株のPERは60倍台で当然ながら一番高い。
来期の急成長を織り込んでいる株価といえる。
アドバンテストは30倍台でエヌビディアと同様にAI市場向けの急増を織り込んでいる。
その他の半導体株は20倍前後で、このPER水準が世界の半導体株の標準的な水準なのだろう。

さて本題のソシオネクストだが、大株主の売り出しを意識して急落し、現在株価17480円、今期予想PERは33.6倍に低下してきた。
半導体株としては高評価を受けているが、人気化しストレッチしたバリュエーションともいえる。

この株を海外投資家はどう評価するのだろうか?
発行株の3割以上という規模であり、一気に買えば経営に影響できるわけでこれを魅力的に感じる大手投資家もいるだろう。
ちなみに37%全株を買えば、株主総会で特別決議を否決できる大きな影響力を手にする。
しかも空売り自由で自分の買いたい水準に売り出し価格を押し下げることもできる。

まさに海外投資家の日本半導体株の評価を探る絶好の機会になるだろう。
順当に行けば、半導体株の標準バリュエーション20~30倍程度で決まるだろう。
30倍かそれ以上で値決めされれば、海外投資家は日本の半導体に高い評価を付けているともいえる。
もし、今回の売り出しで有力な大手投資家が大口で購入すれば、ソシオネクストの今後の成長への大きな支援者となる可能性もある。
その場合、中長期の成長を加速させるかもしれない。



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イールドスプレッドがピークを打つ時

イールドスプレッド2301














イールドスプレッド(SP500÷米10年債利回り)は10年利回り3.51%-SP500益回り5.41%で、-1.9%と2%以下に縮まった。
以下の表はSP500、NYダウ、NASDAQの益回りと10年国債利回りを比べたものだ。

      益回り             10年債利回り
      SP500  NYダウ   NASDAQ  
5月現在 5.41% 5.64% 3.88% 3.51%
2月末  5.58  5.68  4.16  3.94
12月末 5.71  5.52  4.55  3.87
10月末 5.87  5.72  4.73  4.01
5月8日現在

現在のイールドスプレッドの動きにはいくつかの特徴がある。

①長期金利はここ数か月少しづつ低下しているが、株式益回りがかなり急速に低下している。
昨年10月以降の中間反騰で株式の益回りは急速に低下=株式の魅力の低下を示している。
一方、10年債価格も反発し長期金利もわずかに低下したが、FRBの利上げが継続しているので大きく低下するわけでない。
イールドスプレッドの収縮は主として株価上昇によって起こっている。

②NASDAQと10年債ではほぼ同水準、スプレッドはわずか-0.3%。
成長株主体のNASDAQの益回りはそもそも低めなのだが、すでに10年債利回りと同水準に近い。
イールドスプレッドからすれば、NASDAQに投資採算としての魅力がなくなっている。
これをもってすぐに下落するわけではないが、NASDAQ銘柄に投資魅力がない。

現在のところ雇用や消費景気に変調が見えるわけではなく、企業業績も大きな悪化は見られていない。
それだけに株式益回りは徐々に低下、債券は横ばいという状態が続くのかもしれない。
これは一種の「平衡状態」、微妙に安定した状態を示しているのかもしれない。
と同時に投資環境の変化を待っているともいえる。

SP500の実質的な株主リターン4.3%に過ぎない。
米企業の平均的配当性向30%∔自社株買い50%=総還元80%とすると、現在の株式益回り(5.4%)の80%、つまり4.3%程度が実質的な株主リターンになる。
すでに短期金利はこの実質株主リターンを上回り、株式よりも短期債の方が魅力的な水準にある。

短期金利が預金金利を決めるので、財務の良い銀行の預金やMMFが相対的に魅力的になる。
おそらくこの状態では株式は銀行預金やMMFに勝てない。
FRBの5月利上げでFF金利が5%前半水準に上昇し、想定されたターミナル金利に近づいた。
これ以上の利上げは、イールドスプレッドをさらに収縮させ、株式市場が不安定にする。

イールドスプレッドがピークを打つ時、株式益回りの上昇=株価の下落、あるいは長期金利の低下=景気の悪化のどちらかが想定されるわけだ。
景気が悪化すれば金利は低下するわけだが、景気が先か? 金利が先か?が大きな問題となる。
この問題はこの後のトレンドを決める。

日経CNBCの岡崎さんは、「金利が先、だから株式市場は上昇する」と見ている。
次回検討してみたい。



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イールドスプレッド、数十年ぶりに注目!!

イールドスプレッド2301














古典的な分析ツールに「イールドスプレッド」がある。
大昔のインフレ時代に使われた遺物だが、再び現代のアメリカに蘇ってきている。

イールドスプレッドの原理は簡単。
10年債利回りと株式益回り(EPS/株価、PERの逆数)を比べたものだ。
長期の債券投資と株式投資のどちらが高いリターンを得られるのかを示すもので、株式益回り>10年債ならば「株の勝ち」、逆に株式益回り<10年債ならば「株の負け」。

リーマン危機以降の世界的な超低金利で、10年債利回りが非常に低かったので、株式益回りな債券よりも常に2~4%も上回った状態、株式が選好される状地合いが続いた。
なので誰も長い間注目さえしなかった投資尺度だったが、米債券の利回りがすべて4%以上になり、数十年ぶりにイールドスプレッドを意識する局面に入ってきたように見える。

米国の主要株価指数の益回りと10年債利回りを比べてみた。

       益回り             10年債利回り
      SP500  NYダウ   NASDAQ  
2月末  5.58% 5.68% 4.16% 3.94%
12月末 5.71  5.52  4.55  3.87
10月末 5.87  5.72  4.73  4.01

FRBの引き締め開始から1年、10年債利回りの上昇で「益回りー10年債=イールドスプレッド」が急速に縮まっている。
10年債利回りが10月並みに4%に乗せ、NASDAQのイールドスプレッドはほぼゼロの状況になる。
SP500でも2月末で-1.64%と2005年以降で最も接近してきた。

NYダウやSP500などの機関投資家の主要なベンチマークでイールドスプレッドの縮小が起こるとどういう影響があるのだろうか?

①イールドスプレッドがゼロに接近する状況では機関投資家は株よりも債券を選好する。
世界中の株式と債券、あるいはオルタナティブアセットに分散投資している機関投資家は、イールドスプレッドが逆転するような状況ならば、株式ウェートを減らし、債券ウェートを高めてくる、これは常道だ。

株式リスクを取って得るリターンであるEPSよりも、リスクの小さい10年債投資で得る金利の方がいいとなれば、当然、リスク対比でみれば債券が有利だ。
機関投資家はポートフォリオの配分を定期的に変更しているので、簡単に機動的にウェートは変更されてしまう。

②投資家のリターンは株式益回りよりさらに低くなるので、株式投資の魅力が低下する。
会社は純利益であるEPSから自社株買いをしたり配当を株主に分配する。
米国では総還元性向(自社株買い∔配当/利益)の比率は80%程度で、配当性向30%、自社株買い比率50%程度だ。

だから実際はSP500の益回りは5.58%だが、配当が1.7%、自社株買い2.8%の合計4.5%程度が実質的な株主リターンとなる。
もし10年債利回りが4.5%になれば、株式の高いリスクを取る必要はなくなる。
4.5%の利回りを10年債で受け取れるからだ。

というわけでイールドスプレッドは機関投資家だけでなく個人投資家にも大きく影響するだろう。
これから6月までの3回のFOMCと、それを受けた長期債の動きで決まる。
次回、もう少し掘り下げて考えてみたい。



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NYダウは「バブル的」とはいえない

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米国の金融政策の方向を変わる局面に来ても以前として米国株は新高値を付け上昇は続いている。
この上昇が過剰流動性による「バブル的」なのか、ファンダメンタルの基づいた上昇なのか、を検証してみたい。
直感的には・・・米国の過剰流動性のピークはテーパリングの終了する来年前半になると思われる。
この流動性のピークに向けて「バブル的」相場が形成されるかもしれないと思っている。
しかし、これはあくまで直感的な話で根拠はない。

そこで2021年1月から10月末までのEPS(予想)の増加とNYダウの上昇率を比較してみた。

     NYダウ月末値 3か月上昇率  NYダウEPS 3か月増加率
10月末 35819ドル ∔ 2.5%  1905ドル  ∔ 6.0%
7月末  34935   ∔ 3.1   1796    ∔ 8.2%
4月末  33874   ∔11.7   1659    ∔10.9

NYダウの上昇率を同じ期間のEPSの増加と比較した。
NYダウの上昇率がEPSの増加率を上回っていたのは今年の1月~4月の期間だけだった。
この時期はEPSの増加が10%だったのに対し、NYダウの上昇率は11%と、ファンダメンタルが好調で株価が少し行き過ぎたと言える。

しかし、その後4月~7月ではNYダウの上昇率はEPSの増加率を5%も下回ったし、7~10月でも3.5%下回った。
この6か月の期間では熱狂的な「バブル的」な株価上昇は見られていない。
それどころか、ファンダメンタルからは株価はもっと上昇してもいいぐらいだった。
冷静な相場展開だったといえる。

素材や中間財の価格上昇とインフレ懸念、中国不動産の悪化と国内景気の不透明さが、むしろ、株式市場を冷静に保つ働きをしたのではないだろうか?
米国の過剰流動性は来年前半のピークに向かうが、株式市場は冷静さを失っていない。
としたら、NYダウは途中途中の調整でガス抜きをして「バブル的」を抑えている。
基本的な上昇相場は続くのかもしれない。
問題は現実に流動性が落ち来る来年前半以降なのだろう。


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株式需給の達人(実践的バリュエーション編)

実戦的バリュエーション

















株式需給の達人(実践的バリュエーション編)を出版しました。

投資の成功を多くの人が夢見ています。
「1億円稼ぐ方法」「あなたも億り人」などなど、投資で大儲けした人の経験談が多く出版されています。

たとえば・・・IPOで当たった株が10バガー(株価10倍)になり、ホクホク!!
確かにありえる話ですが、一回IPOで儲けたからといって、何回も大儲けできるとは限りません。られるは分かりません。
人気のIPO銘柄は応募が殺到し抽選になるので、なかなか当たらないのが普通です。

また、「IPOの逆説」もあります。
つまり、「人気のあるIPO銘柄は競争が激しく、めったに当たらない、でも、IPOで簡単に当たる銘柄は人気がなく儲からない」・・・という話です。
IPOの応募し続けている投資家には、結局、人気のないIPO銘柄ばかりよく当たり、あまり儲からないという経験をしている方も多いと思います。

平均的に安定して儲けることを「投資の再現性」といいます。
運用で必要なのは1回の大儲けではなく、再現性の高い投資なのです。

大儲けはできなくても、投資採算を見て運用することで再現性の高い投資=安定的なリターンが取れる運用ができます。
では、その投資採算とは何か? その採算をどう計算するのか?
その答えが、この「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」にあります。
投資する価値は、株価の判断で決まります。
適正な株価で買うことが何より大切です。
その判断の尺度になるのが、PBRやPERなどのバリュエーションです。

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TOPIXの「EPSーPERマトリックス」

TOPIX

TOPIX日足










今まで相場の水準を測るのに日経平均の「EPSーPERのマトリックス」を使ってきた。
しかし、日経平均のバリュエーションはソフトバンクGの予想EPSに大きく影響され、しかも、前年度5兆円の純利益が凄まじい数字だったため、今期予想が大きくブレている。
なので日経平均のPERは14倍なのか、18倍なのか、不明な状態になってしまった。
相変わらず、平野憲一氏などは日経平均EPS2000円に乗せ、昨年末から2倍になった・・・それにもかかわらず、株価は上がってないので出遅れ感が強いと説明している。
そこで日経平均ではなく、TOPIXの「EPSーPERのマトリックス」を使って考えてみたい。

基本的なバリュエーションの考え方は日経平均でもTOPIXでも変わらない。
昨年の相場上昇で22/3期の大幅な業績回復(30%以上のEPSP増加)を織り込んでいる。
その上でフェアバリュー水準を考えていくのが目的だ。

TOPIXのEPSは4月末で95円程度だった・・・そして、5月中旬の決算発表を受けて、110円に上昇、増益率は16%だった。
ちなみに日経平均EPSは4月末1411円で、直近2018円なので43%増加した。
この違い(日経平均+43%:TOPIX+16%)はSBGの影響が大きな要因だ。

今期TOPIXのEPS増加は16%と、事前に期待された30%増益には届かなかったが、それなりの業績回復期待が会社側の数字でも確認できた。
前期EPSを95円として10%増益~40%増益までを縦軸にし、PERを14倍~22倍まで想定した横軸で、マトリックスを作った。

列1 列2 列3 列4 列5 列6 列7
EPS PER(倍)
成長率 14倍 16倍 18倍 20倍 22倍
0% 95.0 1330 1520 1710 1900 2090
10% 104.5 1463 1672 1881 2090 2299
20% 114.0 1596 1824 2052 2280 2508
30% 123.5 1729 1976 2223 2470 2717
40% 133.0 1862 2128 2394 2660 2926

EPS20%増益を前提にして、TOPIXのフェアバリューは、PER16倍~PER18倍の組み合わせでは1820~2050ポイントのレンジだ。
現在TOPIXは1900ポイント前後で推移しているのでレンジの真ん中にある。
今期の新型コロナ禍の元でのEPS回復をほぼ織り込み、ほぼフェアバリューといえる。

現在、フェアバリュー範囲の真ん中にいるTOPIXは居心地の良い水準ともいえる。
安定した相場圏にあるとみられ、ここから大きく下がれば「押し目買い」が有効になる。
仮に新型コロナ禍を日本が克服し、業績が一段と伸びる予想が出てくれば、レンジを切り上げるだろう・・・しかし、その場合、経済正常化後のPERは低下する。
業績の回復度合いとPERの低下の関係によってTOPIXのレンジが決まることになる。


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自動車のレガシーコストを考える(2)

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自動車産業は大きな転換期を迎えている。
菅さんのカーボンニュートラル宣言は世界では遅い方で、欧米先進国、中国などすべての国が2030~2040年にガソリン車の販売禁止をうたっている。
内燃機関に膨大な研究開発費を投じ、ガソリン車を生産してきた自動車会社には当然ながらレガシーコストが大きくのしかかる。
その中でマツダを取り上げて、この自動車のレガシーコストを考えてみようという話。

マツダのバランスシートには1兆円を超える有形固定資産がある。
そのうち土地が4171億円、建物が1887億円と有形固定資産の6割を占める。
土地・建物は主に生産工場と販売拠点などだろうが、これらはガソリンでもEVでも関係ない。
大きなレガシーとなるのは、ガソリンエンジンやガソリン車の組立・生産ラインに限定されるだろう。
とすると、機械設備やその他に含まれている4000億円の一部といえる。
それ以上の内訳は開示されていないが、仮に半分はエンジンの組み立て・生産ラインとすれば、およそ2000億円程度が内燃機関のレガシーコストとなるだろう。

無形固定資産の400億円の一部が内燃機関の知的資産だろすれば、有形固定資産の2000億円に加え、レガシーコスト全体では2100億円~2200億円程度と見積もればいいと思う。

マツダの株主資本は1兆円、うち利益剰余金が4621億円となっている。
というわけで、マツダの財務体力からすれば、内燃機関のレガシーコストは十分に償却できる範囲だろう。
ただし、純資産/株は1727円であり、このレガシーコストを考慮すると実質的に1400円提程度になるはずだ。
現在の時価が900円台、PBRは0.52倍・・・レガシーコストを考慮後のPBRが0.6倍台に上がるに過ぎない。
自動車のレガシーコストは意外と小さかった・・・というのが結論だ。


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自動車のレガシーコストを考える(1)

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2030年代には本当にガソリン車(ハイブリッドを含む)が販売禁止になるのだろうか?
このトレンドに遅れまいと、世界の自動車メーカーがEVの開発にしのぎを削っている。
各国の環境政策がこれだけ揃っていると、日本だけゼロエミッションを変更するというわけにはいかない。
そうなると、内燃機関=エンジンに大量の開発資金を投じ、エンジン自体の性能の向上、DHOCやターボなどによる技術力によって自動車を販売してきた日本の自動車メーカーはどうするのだろうか?
トヨタや日産は、内燃機関をベースとしながらもハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドやEVに巨額資金を投じ研究開発を続けてきた。

ここでまず取り上げたいのが、マツダだ。
以前マツダ本社にリサーチで行ったこともあったが、広島での「マツダ」の存在感は全く半端ない。
広島全体がマツダファンであり、地域とマツダは正に一体だ。

このマツダは、以前のロータリーエンジンや最近のスカイアクティブなど、内燃機関の開発から生み出されたR&D主導の経営、さらにデミオからロードスターやマツダ3まで自動車デザインの強烈な個性によって活躍してきた個性的な日本車メーカーだ。
地域との密接な関係、R&D主導の経営、デザインの個性で他の自動車会社とは一線を画する。
ガソリンからEVへの大きな流れの中で、過去の研究開発の結果生み出された膨大な技術資産がどうなるのだろうか?

レガシーコストという言葉がある。
過去のしがらみから生じる負担という意味だが、二つの過去のガソリンエンジン車のレガシーコストが考えられる。
一つは内燃機関の膨大な研究開発コスト、もう一つはガソリンエンジンの巨額な生産ラインだ。

マツダのバランスシートには無形固定資産が423億円が計上されている。
特許や知的財産としての価値=無形固定資産となるので、実際に内燃機関の知的財産や特許としての価値は400億円以下だろう・・・それほど大きくはない。
マツダは毎年の1000億円以上(ここ2年は1300億円/年)の研究開発費を使ってきた。

マツダの内燃機関の開発費は主に資産ではなく費用だった。
ガソリンエンジンからEVへ完全に移行しても、マツダのレガシーコスト、償却すべきコストはそんなに大きくはないといえるのかもしれない。
研究開発費は毎年の営業費用の中ですでに落とされているからだ。
でも、一方、EV車へ需要が流れてしまいガソリン車が売れなくなると、研究開発費が重くのしかかり決算数字を直撃するかもしれない。

マツダの説明会資料では、内燃機関をベースとする戦略が描かれている。
100%EVにするつもりは全くない・・・ハイブリッド車までのラインアップを長期戦略の核にしている。
あくまで内燃機関の膨大な技術資産や競争優位を守ると言っているわけだ。
カーボンニュートラルという国家目標に対して、ある意味反旗を翻しているといえる。
ただし、菅内閣も表面的にはカーボンニュートラル宣言をしても、現実的な道程を示してはいない。
あやふやな国家目標であり、マツダの戦略の方が正しいのかもしれない。

次回は生産ラインのレガシーコストについて考えてみたい。


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「2021年相場のイメージ」のアップデート

日経平均202002












昨年11月25日に「2021年相場のイメージ」を書いた。
その当時の日経平均は2万6000円近辺でPER24倍だが・・・
ワクチンによるコロナ収束で経済の正常化を前提で、30~40%の増益で日経平均2万9000円が最大のイメージとした。
しかし、それからわずか3か月で「2021年のイメージ」を達成してしまった。
当時の想定を超える相場展開だったと反省を込めて・・・改めて考えてみたい。

成長率 EPS(円) PER(倍) 列1 列2
    15 18 20
20% 1464 21960 26352 29280
30% 1586 23790 28548 31720
40% 1708 25620 30744 34160

上の一覧表は現在の今期予想をアップデートして作ったものだ。
今期の予想EPSが1090円から1220円に上方修正されたため、その分を加味した。

この表から言えることは・・・
(1)21年上期の段階でワクチン接種の拡大と経済正常化への期待がすでに織り込んでいる
現在の2万9000円台に日経平均は経済正常化を織り込み、PER24倍の市場評価になっている。
このPER倍は日本の潜在成長率からすれば明らかにメチャクチャ高いが、新型コロナ騒動が正常化する一時的な現象としてはありえる。
来年のEPS成長率とともにPERは中長期的に均衡水準に低下していく。

(2)来期のEPS成長率30~40%が期待できるか
今のところ来期のEPS成長は30~40%が期待されている。
これを前提にすると、ラフな来期イメージは(EPS30%増益+PER18倍)2万8500円~(EPS40%増益+PER20倍)3万4000円というレンジだ。
来期のEPS成長が本当に30~40%増加するかを見ていきたい。

(3)22年以降の中期成長力をどう見るかでPER水準が決まってくる
2021年のグローバル経済は8%成長が期待されている中国がリードし、欧米や日本も3~4%と新型コロナ騒動の反動で高成長が期待されている。
しかし、経済の正常化は金融の正常化も招くので、金利の上昇と量的緩和のテーパーリングとPERの低下が起こる。
おそらく2021年の最も重要な瞬間は、現在の新型コロナ対応相場から経済正常化+量的緩和の縮小+金利の上昇という局面変化の時だ。
パウエル氏が後手に回ったり、日銀など金融当局の対応がズレれば、金融資本市場に大きな変動を引き起こすだろう。

運用の観点からは・・・
この日経平均の最大3万4000円水準+PER20倍以上の水準は一時的な現象と考えていた方が良いだろう。
来期以降のポストコロナ経済の進展を見て、リアルな成長率とPERから日経平均のレンジを修正していけばいい。


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実践的バリュエーションを考える(10)

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前回話の続きだが・・・任天堂は成長株イメージが強く、バリュー投資で任天堂を買うというと一般に違和感があるかもしれない。
しかし我々の眼から見れば、2-3年という短期では成長株といえるが、10年以上という期間でみると明らかにバリュー株なのだ。

2013年から2014年はそこそこのヒットゲームしかなく、WiiUなどのゲーム機器も売れず、業績の端境期で営業赤字に落ち込んだ時期だった。
株価は営業赤字を反映して下落し、ついに一株あたり純資産9400円を割り込んだ。
WiiUの販売の不振やスマホゲームの時代に入り任天堂の成長は終わったと言われた時期だった。

この時、バリュー投資のファンドマネージャーが任天堂株を買い出した・・・理由は二つ。
一つは資産価値の安定度。
バランスシート(貸借対照表)を見ると、過去の蓄積としてドル建ての預貯金が2000億円以上あり、一株あたり純資産は安定していた。

もう一つは前回説明した「永久キッズ・サイクル」によるコンテンツの長期的な価値が高いことだ。
ディズニーや任天堂にとってミッキーマウスやポケモンは世代を越えて人気を維持できる超長期コンテンツだ。
景気悪化サイクルでも次の回復時にポケモンゲームなどを出せば復活できるのが強みだ。

結果は言うまでもないが、株価1万円前後(純資産レベル)で任天堂を買うと、その後株価3~4倍になる・・・バリュー投資が有効な会社だ。

最近、問題だと思うのは「バリューかグロースか」という二元論的な相場解説が多いことだ。
特にPBRやPERを使って割安株と割高株に分類し、割安株をバリュー投資、割高株をグロース投資として区分けし、どっちが強いかを話題にする場合が多い。
しかし、同じ会社でもグロースの観点から評価できる時期もあれば、バリューの観点から評価できる時期もあるのが現実だ・・・任天堂や先の例に挙げたソニーでも・・・。

もちろん、テスラのように上場来赤字の会社はどう転んでもバリュー投資の尺度で買うのは無理だが、成熟化している日本企業は、たいていの場合、バリュー投資の時期とグロース投資の時期が交互に来る。
グロース投資の時期に業績の伸びを期待して買うのもいいが、業績不調の時期にバリュー投資として買うと大きなリターンが出る。
「バリュー投資がダメだ、効かない」と言う多くの株式評論家が言うが、こうした企業の業績サイクルを見て行う「バリュー投資」は今でも有効な投資手法だ。
あまりバリューかグロースかという二元論で考えない方がいい。
業績不調期のバリュー投資が最も簡単にリターンが上がる・・・これが結論だ。


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実践的バリュエーションを考える(9)

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バリュー投資は一種コントラリアン(逆張り投資家)であり、世間の評価からは大きくズレることも多い。
コントラリアン投資とは、辞書では一般の傾向と反対の行動をする人、逆張り投資とか書かれているが、実際にコントラリアン運用するとしたら、「逆張り」どころか「天邪鬼」に近い。
普通の人はみんな同じ行動をしていると安心する・・・人と違った投資行動するのはそれだけ強い精神力が求められる・・・だから普通の人から見れば「天邪鬼」だ。

バリュー投資の実例として取り上げたいのが・・・任天堂(7974)だ。
任天堂は家庭用ゲームで成長した・・・成長株だと見られている。
しかし、どちらかというと、バリュー株である時期の方が長いかもしれない。

任天堂は三つの側面を持つ・・・なかなか一筋縄ではいかない会社だ。

第一にゲーム機器のハード会社としての側面。
ハードのゲーム機も栄枯盛衰があるし、技術サイクルが短いのであっという間に世代交代していくビジネスだ。
しかも現在は専用ゲーム機からスマホ・ゲームアプリまで幅広く、人気ソフト次第では専用機ビジネスもかなり上下が激しい。

第二にソフト会社としての側面。
スクエア、エニックス、ガンホー、ミクシーなど人気ゲームで一時代を築き上げた開発会社が多くあるが、ブームが過ぎるととことんダメになってしまう会社もある。
ソフトは非常に荒っぽいビジネスで、うまく行けば大儲けできるが、失敗すれば開発費の回収もできない・・・また、ブームが去れば逆に売上の低迷期に入ってしまう。
ゲーム会社の業績はジェットコースターのように変動する・・・だから株価のボラも高い。
任天堂といえども、この高いボラから逃げることはできない。

三番目の側面は「永久キッズ・サイクル」だ。
子供はミッキーマウスで育ったり、ポケモンで育ったり、ドラえもんで育ち、大人になる。
大人になり家庭を持ち、子供が生まれる・・・すると、その子供もやっぱり、ミッキー・ポケモン・ドラえもんで育っていく。
一度、この「永久キッズ・サイクル」に入ったキャラクターやコンテンツもまた半永久に残っていく。
この「永久キッズ・サイクル」は長期キャッシュ・カウとして鉄板人気を作り上げる。

任天堂の株価にはこの三つの側面が大きく影響する。
ダメになると、とことんダメになる・・・ミクシーやガンホーを見ても業績も株価も大きく変動する。
2012年から2013年にかけてはこの任天堂も営業赤字に苦しんだ。
それに拍車をかえたのがスマホゲームの人気で、WiiUなどゲーム機の売上が伸びず、任天堂が営業赤字に転落した・・・株価も1万円まで下落した。
しかし、永久キッズサイクルが株価を支える・・・ポケモンなどの子供向けは圧倒的に強い。

次回実際の投資事例を取り上げたい。


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実践的バリュエーションを考える(8)

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前回からPBRを使った投資を検討している。
ソニー株をバリュー投資の事例をして上げたが・・・バリュー投資で大切な事は三つだ。
(1)資産を精査して正確なバリュエーションを計算すること・・・正確な資産評価、
(2)バランスシートの右側を精査して劣化した資産や利益を生まない資産をチェックすること・・・資産のクオリティの評価、
(3)業績のターンアラウンドの可能性だ。

この三点を考えることは、実はバリュー・トラップを避けることに通じる。
これはバリュー投資を行う上での「割安のワナ」であり、割安で買ったものの、永遠に割安のままでリターンが上がらないという状態だ。
株式市場では「万年割安株」と呼ばれている銘柄で、これが典型的なバリュー・トラップだ。

たとえば、現在の市場では銀行株が万年割安株の範疇に入っているが・・・
銀行は全国をカバーする支店網があり、巨大な銀行オンラインでつなぎ、ATMや窓口で様々な金融サービスを行っている。
しかし、問題はこの巨大な支店網やオンラインシステムが大きなお荷物になりかけていることだ。
フィンテックが進み、暗号通貨が一般化しキャッシュレス社会になり、ネットバンキングですべてのサービスが提供される時代になると・・・巨大な支店網やATM網が遊休資産になってしまうかもしれない。
膨大な支店の土地建物、過剰な人材資産、ATMなどの機械資産などを考えれば、銀行のバランスシートには大きな無駄があると言われる時が来るかもしれない。
その分、銀行のPBRは低くなるのは当然の理だろう。

業績のターンアラウンドを考えることがバリュー・トラップを避けるコツだ。
PBRとROE(自己資本利益率)には明確な関係がある。
ROEは利益/自己資本で、自己資本=株主資本を使ってどれだけの利益が上げたかという尺度だ。
簡単な恒等式を使うと・・・

      PER(P/E)=PBR(P/B)÷ROE(E/B)

          Pは株価、Eは利益、Bは自己資本

この式の意味することは、低PBR銘柄はROE(利益率)が低いから低PBRなのであり、高PBR銘柄はROEが高いから高PBRなのだということ。
重要なことは、現在低PBRであっても、将来のROEが上昇するならば、PBRは上昇していくということだ。
業績のターンアラウンドを考えることは、企業のROEを考えることだ。
ROEが将来上昇するならば、バリュー投資は最高のリターンを生むだろう。


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実践的バリュエーションを考える(7)

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PBRを使った株式投資を前回から見てきたが、その二回目だ。
PBRを使う有利な点は利益のように予想する必要がないことだろう・・・利益予想自体がとても難しいし、無理して予想してもほとんど当たらない。
熟練アナリストでも当たらない予想を基にPERで投資するよりも、予想の不要なPBRで投資する方がとっても簡単だ。

もう時効だから問題ないと思うが、今回は運用会社が行ったPBR投資の実際例としてソニー株を取り上げてみたい。

これは2012年かた2013年にかけての事だった。
ソニーは2012年3月期に5200億円の大幅な赤字に陥った。
日本のエレクトロニクス業界は、主要なデジタル製品で新興国の追い上げと競争激化、リーマン危機後の1ドル=80円台の超円高で大きな打撃を受け、いかにソニーといえども例外ではなかった。

こうした環境で株価が暴落したソニー株をバリュー投資マネージャーたちが果敢に買い始めた。
ソニー株が1000円台まで暴落した・・・このPBRを中心にしたバリュー投資で成長株イメージのあったソニー株を買うのは珍しいことだったのでよく覚えている。
PBRが1倍を割れ超割安になった水準から大きく買い注文を入れた。

ところが、運用に関係のない一部の役員さんたちが異を唱え始めた。
日経新聞が2012年6月に「PBR1倍割れ、それでも買えない日本株」という特集を掲載し、山崎元氏などの評論家が「市場が企業に与えた経営者失格の烙印」とコメントしたりと、ソニーを否定するムードが世の中全体にあった。
本来、投資判断は運用部門の専管事項のはずだが、「ソニー株が急落したら、顧客にどう言い訳するのか」と言いたい放題の役員もいた。

では、その時、ファンドマネージャーは何を考え、ソニー株の大口保有を決断したのか?
まずは、B(ブックバリュー)の精査。
2011年3月期の一株純資産は2538円で、PBRは0.7倍だった。
2012年3月期に事業環境も悪かったが、会計上で米国事業の繰り延べ税金資産の引当を実施したため赤字額が2000億円増加した・・・その結果としての5200億円の最終赤字だった。
繰り延べ税金資産は過去の赤字で払い過ぎた税金分が将来戻ってくることを前提に資産計上するものだ。
この入り繰りのために赤字が増加したが、会計上の話で実際の営業キャッシュフローは変わらない。
これらをすべて修正した上で、PBRが割安だと判断したわけだ。

もう一つは金融部門、映画やゲームのコンテンツ部門が順調に安定した業績を上げていること。
エレクトロ二クス部門のリストラで部門収益が今後改善されてくる・・・それによりソニー全体の収益が回復してくるという読みだ。
実際、ソニーはテレビの分社化、VAIOの売却、大崎の本社ビルの売却などのリストラ策を次々と実行していた。

その後、ソニー株価は1000円台を脱し、アベノミクス相場に乗って上昇し、パフォーマンスに大きく貢献した。
PBRを使ったバリュー投資には、正確な資産評価、資産のクオリティの精査、そして、業績ターンアラウンドの検討という三つのプロセスが重要だということが分かる。
特にバリュー投資が難しいのは、PBRが低くなるほどの悪環境で、多くの人たちが弱気になっている中で投資判断することだ。
評論家や外野の人たちの言う事を無視する「胆力」が必要になるということ。


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実践的バリュエーションを考える(6)

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前回のPERの話に続き、今回はPBRを取り上げてみたい。
Pはプライス(株価)、Bはブックバリュー、Rはレシオ、比率だ。
BはBOOK、普通の意味は「本」だが、この場合は「帳簿」・・・ブックバリューは帳簿上の価値。
企業の資産価値は資産から負債を差引いた自己資本で表され、一株当たり自己資本がBPS(ブックバリュー/株数)・・・PBRは株価(P)を一株自己資本(B)で割り、株価が自己資本の何倍かを示す。

しかし、PBRの数字自体よりも資産の中身が需要であり、ここをちゃんと見なければならない。
資産=バランスシートの左側の項目は・・・流動資産(現金や保有短期証券、営業上の売掛金や買掛金など)、その下に固定資産(土地や建物、無形資産、投資有価証券その他)がある・・・重要なのはこの固定資産の中身をきっちりと分析することだ。

土地や建物は簿価で表示されているため、現実の価値(時価)とは異なる。
土地は鑑定士の試算が必要になるが、路線価でおよその推計はできるので時価評価に修正できる。
建物は取得原価から減価償却分を差引いた評価額で十分だろう。

ブックバリューに時価評価(含み益)を加えたものをネットアセットバリュー(NAV)という。

次にNAVと生産額や売上額を比べて、資産がどのぐらいの生産や売上げを生み出しているかを見る。
簡単なのは逆にダメなところを探し、全体から引き算して考える方が簡単だ。
稼働率の低い無駄な設備、利益をあげていない有休土地などがあるかをチェックし、それが多い会社を避ける・・・これなら簡単だが、これをやるだけでも投資効率が違ってくる。
利益を上げていない無駄な資産が多い会社のPBRはずっと低迷し続ける可能性が高い・・・つまり、バリュー・トラップにハマってしまうかもしれない。

多くの評論家は「PBRの1倍以下の会社は解散価値を割れている」という。
「解散価値」とは会社の資産をすべて売却して会社清算した時に残る価値という意味だが、実際に解散した時にその価値が残っているかは疑わしい。
それ故に、PBR1倍以下の会社が市場ではゴロゴロしているわけだ・・・もし、PBR1倍割れが解散価値割れならば、サッサと買収され会社清算されてしまうだろう。

こんなPBRだが、使い方を次第ではもう少しマシな投資ができる。
それを次回取り上げたい。



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正常化後PERで考える、逆転発想

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新型コロナ禍によって企業業績がムチャクチャなことになっている・・・5/18現在、日経平均のEPSは550円で、PERは36.6倍だ。
今は本決算が終わる頃で、普通ならば2020/3期の予想数字でEPSが計算されるはずだが、今回は半分以上の上場会社が予想を出していない。
会社予想がない場合、日経新聞社は「利益ゼロで入力される」と明らかにした・・・日経新聞社の株式評価システムがコロナ禍に対応できていないのが原因だ。

だからバリュエーションも全く計算できないクレージーな市場になっている・・・暗闇で株トレードしているような状態だ。
こうした暗闇のような市場で何を頼りに運用したらいいのだろうか?

こうなったら、株価から逆算して考える「逆転の発想」方がいいかもしれない。

第一に、2021/3期については異常値として見る。
2020/3期決算からソフトバンクの巨額赤字もあるし、銀行の巨額貸倒引当金の計上もあり、総合商社の資産の減損と一時的な減益要因が大きく、すでに継続企業としての決算実態が不明だ。
さらに2021/3期だが、4-6月期はグローバル経済が停止し悲惨な状況になるし、7-9月期も悪影響が残る。
10-12月期から少しはまともな企業業績になっていくだろうが、時すでに遅し、今期のEPSはガタガタになる。
今期EPSは異常値としてとらえる・・・あまり気にしないことだ。

第二に、前期、今期を飛び越えて来期の企業業績をイメージする。
3月決算が発表され、予想EPSの数字が切り替わるのが5月末・・・各年の5月末の日経平均EPSをっ見てみよう。
2018年5月末の日経平均EPSは1666円、2019年5月末は1771円・・・平均1718円だった。
日経平均のレンジが2万円から2万4000円だったので、PERのレンジは12倍~13倍。

この2年間の状態を正常化PER12~13倍として見積もると、織り込んでいる正常化EPSは1540~1660円・・・ちょうど今年1~2月の日経平均EPSと同じ水準になる。
現在の日経平均が2万円が織り込んでいるものは、「2021年5月には新型コロナ騒動を克服して企業業績が2020年初のレベルに戻ってくる」という市場の期待だろう。

これが実現するかどうかは分からない。
そんなに簡単に新型コロナ騒動をなかったことにできるのだろうか?
企業も個人の生活も簡単にコロナ以前に戻れるのだろうか?
ワクチン開発でもアンジェス、J&J、アストラゼネカ(オックスフォード)など進んできているが、決定的なワクチンはできていない。
もう少し時間がかかる可能性もあり、「逆ブラックスワン」は簡単には出現しないかもしれない。
今時点ではNYダウや日経平均が織り込んでいる以上にハードルが高いと思う。


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実践的バリュエーションを考える(5)

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今回は低PERの不人気株への投資を考えてみたい。
個別企業のPERが低いのには、いくつかの理由が考えられる。
一つは業績の悪化局面で、この局面では利益の下方修正が遅れるのでその分見た目のPERは低くなる。
二つ目は地震や天災で被害を受けた場合など、何かしらの資産の減損可能性をかかえている場合などで、将来の損失を織り込んでPERは低下する。
三つ目は業種全体で成熟化し業績の伸び率低下が続いてる場合などで低いPERが続く。
これらは低PER銘柄の代表例だが、一番目、二番目のケースは実際に利益減少や資産の減損が起こり、株価が織り込めば、普通に将来の利益回復を見て株式を買うことができる。

しかし、三つ目のケース、構造的な低成長業種は、十分に投資価値がある場合もある。
もう十年以上たつので時効だと思うが、自分の不人気株の投資例があるので紹介したい。
それは日鉄ドラムという会社で、当時東証2部に上場していた。
ドラム缶という完全な成熟産業で、ライバルも少なく、成長性がないため、PERは10倍以下、PBRも1倍以下という不人気株だった。
しかし、業績は超安定していて景気に関係なく一定の利益を計上していたし、新日鉄の子会社の中でも経営の安定性はピカ一だった。
市場での出来高も少なく、誰にも注目されることもなく株価は400円前後でずっと横這いで動きがなかった。

当時、証券会社で自己勘定の運用部長だったワシは、400円台での株集めを始めた。
約20種類の運用戦略(裁定取引、オプション・先物、ロングショート、リターンリバーサル、クオンツ・・・などなど)を行っていたのでそっちが忙しく、日鉄ドラムの株を買い集めていたことを忘れていた。
半年以上たったある日、上司から突然呼ばれた。
事業法人部から問合せが来ているという話で、四季報の上位株主に当社が入っているがどうしたのかというものだった。
すぐに四季報をめくり日鉄ドラムのページを見たら、たしかに上位株主に当社の名前があった。
事業法人の顧客である親会社の新日鉄の役員が買収を心配しているという・・・そこで出向いて純投資であることを説明してその場を切り抜けた。
その後2007年に、新日鉄は子会社のガバナンス強化で日鉄ドラムを完全子会社化した。
文句をさんざん言われたが、子会社化の買戻し価格が900円台だったので投資としては成功だった。と同時にワシにとっては忘れられない不人気株投資の例となった。

成熟産業の高シェアを持つ銘柄はちゃんと調べると、多くの投資家が見逃している投資チャンスを見つけることもできる。
「人の行く裏の道あり、花の山」という格言があるが、不人気株への投資はこうした醍醐味がある。


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PERの全値戻しは・・・やり過ぎ??

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米・株式市場が強い動きで、NASDAQ100の予想PERは現在23倍を上回り、24倍に近づいている。
新型コロナ暴落の前、1~2月中旬までNASDAQ100のPERは24倍前後で推移していた・・・新型コロナ暴落で3月13日には18.63倍へ一気に低下・・・そして、PERの全値戻しを達成!!!
このPERの推移を見ていると、まるで新型コロナ騒動がなかったかのように見える。

たしかにネット消費関連などのように一部の銘柄はロックダウンでむしろ需要が増えるかもしれない。
あるいは、テレワークやリモートワークに関連するシステムサービスなどで新規需要があるかもしれない。
しかし、米国全体でヒトの動きが停止し、多くの失業者が出ている現在、これによる個人消費全体、設備投資全体、物流全体では相当な落ち込みが予想される・・・NASDAQ上場銘柄とはいえ、EPSは減少するのは間違いない。

  株価=EPS×人気(PER)

簡単にいえば、現在の業績悪化=EPSの低下に対して、人気(PER)が株価を支えている。
米国内の新型コロナ感染者数のピークアウト観測が強まり、欧州でもドイツは新型コロナ後の経済回復に視点が移ってきている。
前向きの話が増えてきているだけにV字回復を期待する楽観的な投資家が増えていることが背景にある。
しかし
NASDAQのPER24倍は、年第4四半期の米国経済ユーフォリアが覆っていた時期のバリュエーションで・・・砂上の楼閣のように実態と乖離してしまっている。

実は日本でも同じ現象が起こっている。
日経平均のEPSは下方修正を反映して下落、現在1396円だ。
日経19500円水準はPER14倍・・・年末年始のユーフォリア相場と同水準にあり、あきらかに人気先行だ。
これ以上のPERの上昇は行き過ぎで、いつPERの調整が起こってもおかしくない。

・・・・「個人投資家の最強運用」をキンドル本で発売しました。
「株式需給の達人(基礎編、投資家編)」に続く新刊です。
自己運用で実践している運用方法、具体的には、合理的なポジションの管理方法、簡単にキャッシュ管理する方法、キャリー収益重視の考え方、投信その他運用商品に関する基本知識など、マル秘ノウハウを大公開しています。
新型コロナ暴落の市場で、生き残る「個人投資家の最強運用」を一緒に考えてみませんか?
是非、一読してみてください。



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日経平均はすでに景気後退を織り込む水準

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新型コロナ騒動の心のダメージは東北大震災に似ているかもしれない・・・投資家のやる気を完全に削いでしまった。
2011年の大地震の後、日本経済は2012年頃には正常化していたが、日本株は低空飛行を続け、回復には2014年のアベノミクスまで丸2年かかった。
今回の新型コロナ暴落は過去にないほどのスピードで、世界中の投資家の心に大きなダメージを与えている。

現在日経平均のPERは10倍だが・・・しばらく投資家のリスク感覚が厳しくなるので、今後1~2年の期間でせいぜい12~13倍程度ぐらいしか上がらないだろう。
わずか1か月前、15倍でも強気の評論家がいたのがずっと昔話のように思えてしまう。

そう考えると、今の1万6000円~1万7000円の水準は何を織り込んでいるのだろうか。
来期のEPSを5%減益、10%減益、20%減益と三つのケースで考えてみる。
5%減益になると、PER12倍で・・・日経平均18336円、13倍で・・・19864円
10%減益になると、PER12倍で・・・日経平均17376円、13倍で・・・18824円
20%減益になると、PER12倍で・・・日経平均15444円、13倍で・・・16734円だ

1万6000円の日経平均の現在水準は、来期業績の20%減少を織り込んでいる。
法人企業統計の過去分を見ると、リーマン危機の2008年度33%減益、さらに東北大震災時2011年は2Qに15%減益という瞬間風速があった。
企業業績の20%減益はこれらの危機に匹敵する業績悪化になり、すでに来期のグローバルな景気後退を織り込んでいる可能性が高い。
会社予想業績が出てくるのが5月・・・それまでに新型ウィルス騒動が一巡しているのかがポイントだろう・・・5~10%程度の業績悪化なら急反発することもありえるからだ。


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実践的バリュエーションを考える(4)

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前回からPERを使った投資の話をしている。
高PER銘柄への投資でも、まずは重要な高PERの「成長株」の見方を取り上げた。
今回はもう一つ重要なのが、成長株ではない「シクリカル株」への投資だ。
「シクリカル株」とは、市況産業などのように景気の良い時と悪い時の循環(サイクル)の影響を強く受ける銘柄のことで・・・。
たとえば、原油価格が大幅な上昇をすると、輸入の原油価格が上昇するが、それ以上に石油製品の価格が上昇し、石油精製会社は儲かる・・・さらに石油を使って化学品を作る会社も製品価格が大きく上昇し儲かる。
また、ニッケルや銅やアルミニウムなども同じで・・・こうした企業を含めて「シクリカル」と呼ぶ。
まあ、一言でいえば、市況産業で原材料価格の変動で企業利益が大きく変わるような産業だ。

たとえば、石油化学会社だったら原油価格に大きな影響を受けるし、鉄鋼会社だったら原料の鉄鉱石価格、ステンレスだったら原料のニッケルやクロム価格に大きく影響される。
これらの原材料価格も世界の景気に大きく影響される・・・景気変動によって原材料価格も大きく変動すると同時に製品である素材の需要も景気次第、景気変動の2倍以上の影響を受けることになる。
だから、企業利益は景気拡大時にメチャクチャ大きくなり、景気後退時は大きく減少していしまう。
これをPERで見ると、景気拡大時は利益が大きく上昇するためPERは低くなる・・・逆に景気後退時は利益が大きく減少しPERは急上昇する。

こうした「シクリカル株」は景気サイクルを判断できれば、大きく儲けるチャンスが大きい。
利益の変動が大きいと同時に株価の変動率も大きいからだ・・・2倍3倍はあたりまえで5倍6倍もありえる株で、うまく売買タイミングを捉えれば、「大儲け」だ。
実際、ワシの知っているファンドマネージャーでもニッケル価格や銅価格をきっちりと分析し、太平洋金属や三井金属などの「シクリカル株」で大儲けをしていた奴もいた。
 
こうした「シクリカル株」では景気後退期の利益減少でPERが極大化する・・・そして、景気拡大期にPERは低下する・・・つまり高PER時に買い、低PER時に売るのがセオリーだ。
しかし、現実には景気後退期に高PER の銘柄を買うには勇気がいる・・・だからこそ、原材料市況をきっちりと見ていかなければならない。
原材料価格のチャートを確認し、景気に関する情報を集め、その需要国の状況を分析する・・・そこで判断できたら、景気悪化+高PER の「シクリカル」株を買う・・・けっこう手間がかかる・・・
それでもうまく行けばリターンが大きい。



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資産価値から相場を考える

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今回の大規模で広範囲なセル・オフで、結局、すべての資産が売られた・・・世界中の株式、リート、原油、金・・・買われたのは債券だけだ。
運用の世界は「相関」「変動性」「価値」で成り立っている。
相関」とは、たとえば、株が下がると債券が買われる、債券が買われると代替資産のREITが買われる、株が下がると金が買われる、ドルが下がると金が買われる、などなど・・・過去の動きで一定の相関が見られた関係のことだ。
変動性」とはボラで、株が売られるとボラ=VIXが上がる、ボラが上がると低ボラの債券やREITが買われるなど、ボラの動きによって資産が売られたり、買われたりする。
価値」とはその資産が持っている本来の価値で、これは基本的には不変だ。

今回起こっている事だが・・・まず、この「相関」が崩れた・・・となると、予定した収益が上げられない投資家はポジション全体を売却し、キャッシュポジションを高める防衛的な動きを取る。
さらに「変動性」が急上昇するとリスクが急速に拡大するので、ポジションにあるリスク資産を減らさなければならない・・・低リスクの債券にシフトするか、キャッシュポジションを高める。
・・・というわけで、「相関」が崩れ、「変動性」が上がったことで、債券を除くすべての資産を売却することになったのではないかと想像している。

そして、最後に残るのが「価値」だ。
これは簡単には変わらないので、どんな相場でも資産を保有する「価値」が残る・・・具体的には利益配分を受ける権利(利潤証券)、会社の経営に参加する権利(支配証券)、会社の資産の受け取る権利(資産証券)という三つの権利を持つことから生じる「価値」だ。
今後、この「価値」を基に投資するのが重要だろう。

当面の市場は「相関」が崩れ「変動性」が高い局面で、株価や他の資産価格も乱高下するだろう。
まずは凄まじい全面安の局面が続く・・・どこかでセリングクライマックスが生じ、一時的な全面高をする・・・その後は全面安と全面高を繰り返す不安定な局面で値動きの激しい展開になると予想される。
その中で時間をかけて新コロナ騒動の影響を織り込み、「価値」によって価格水準が下支えされ、価格が安定してくる・・・そして市場が正常化してくると想定している。

価値」を見る場合は、株式ならばPBRに、リートならばNAV倍率に注目する必要があるだろう。
日経225の一株純資産は20600円程度なので、この水準が注目される。
ただし、一株純資産は簿価なので解散価値ではない・・・評論家によっては純資産=解散価値としているが、これは大きな間違いだ。
今後の景気悪化で赤字企業が増えれば純資産は減少するし、資産の損失が出れば減損するし、繰り延べ 税金資産も減る可能性がる・・・要は「価値」は絶対的でない。
株価が一時的に純資産を割れてオーバーシュートする場合もありえる。

また、リートでは上場銘柄67銘柄中、NAV倍率1倍を割れている銘柄数が20銘柄、1.1倍以下だと34銘柄ある・・・上場銘柄の半分はNAV1倍前後かそれ以下にある。
しかも、このNAV1倍前後の銘柄の大半は分配金利回りが4%以上ある。
このことは価格上昇期待がなくても年4%の利回りでリターンが取れるというのを意味している・・・さらに最悪の場合でも、リートの組入れ不動産を全部売却すれば、投資金額が全額返金されるという投資家にとっては魅力的な状況にある。
ただし、リートのNAV(ネット・アセット・バリュー)は不動産の時価ベースなので、世界不況で不動産価格が下がればNAVも下がる点には注意したい。

こんな相場では、資産価値から相場を考えることが重要かもしれない。


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実践的バリュエーションを考える(3)

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実際にPERを使った銘柄選択について考えてみよう。
人気の高い高PERの銘柄を買うか、低いPERの銘柄を買うか・・・そしてもう一つはこれらの中間、ほどほどに成長性がありPERもそれほど高くない銘柄を買う・・・GARP(Growth At the Reasonable Price)アプローチだ。

まず、高PER銘柄を買う場合を考えてみよう。
高いPERを作っている要素、長期のビジネスモデル、売上の成長要因とその継続性、さらに、成長を維持できるキャッシュフローを検討する。
ビジネスモデルとは簡単にいえば「儲かる仕組み」・・・それは結局のところ、企業の成長はトップライン(損益計算書の一番上の項目)である売上高の成長性とそのビジネスの利益率で表せる。
成長企業は利益を次の成長である設備投資に使うので、売上の成長率が高い・・・その反面、利益がなかなか出ないこともありえる・・・その両方に注目したいのが、「40のルール」という経験則だ。

これは「売上の成長率+営業マージン>40」というルール・・・営業マージン=営業利益/売上高で、売上/営業利益率と呼ばれる。
売上高の年平均成長率が40%以上あれば営業利益ゼロ以下あるいは赤字でも許容される・・・同様に売上高の成長率が20%ならば、営業利益率20%が求められるという具合だ。
簡単に言えば、売上の成長が40%以上ある企業は赤字でも十分に評価できる・・・「買い」
だ。
売上の成長率が20~40%の企業は、利益が黒字化することを求められる・・・黒字化すれば「買い」だ。
しかし、売上の成長率が20%以下の企業は利益を上げる=営業利益率がある程度あることを求められ・・・つまり、売上の成長率が20%以下の企業に対して利益水準とともにPERの評価が必要になるという原則がこの「40のルール」だ。

昔の話だが、90年代にアマゾンがNASDAQに上場したが、上場後長らく赤字を続けた。
稼いだキャッシュフローをすべて次の投資に使い、ITと物流拠点に投資し最大効率の物流ネットワークを構築いた・・・このITの強みが現在にAWS(アマゾン・ウェッブ・サービス)の基盤になっている。
このアマゾンの凄いところは、赤字でも売上成長率の40%以上を長期にわたって続けたことだ・・・この特筆すべき売上成長が赤字でも株価が上昇を続けた最大に要因だろう。
アマゾンを調べた時、「売上成長が40%以上あれば、赤字でも株価は上がる」という経験則が生きていると思った。

高成長の高PER銘柄を買う場合は、売上の成長率がカギになる。
売上成長が40%以上あれば「買い」だし、20~40%でも利益やキャッシュフローを見て「買える」、しかし、売上成長が20%以下の企業は利益率やPERによって銘柄選択をする。
さらに売上成長率が10%以下の企業になると、GARPのアプローチが有効になるだろう・・・後に「GARP」についても考えてみたい。
高PER銘柄を買う場合は、この売上成長力が高く利益が出ていない成長企業と、もう一つある・・・この話は次回にしたい。



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実践的バリュエーションを考える(2)

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前回は代表的バリュエーション指標であるPERについて基本的なことを考えてみた。
前回はP(株価)=E(利益)×PER(人気)であり、PERとは突き詰めれば人気だと書いた・・・株価は利益と人気の掛け算で決まるといっていい。
また、PERはP(株価)/E(利益)であり、その逆数のE/Pは元本に対する利息に相当する・・・つまり、投資した元本=Pに対してリターン=Eを得るという意味になる。
だから、E/Pは益利回りと呼ばれ、金利とゆるく相関する・・・簡単にいえば、金利が上がるとPERは低下し、金利が下がるとPERは上がる・・・前回はそこまで書いた。

今回はPERをさらに、もう少し、詳しく掘り下げてみたい。
まず、企業成長とPERの関係を考えてみよう。
過去5年の企業ごとの利益成長率と各企業のPERを見ると、たしかに成長率の高い企業がPERも高い傾向は見られる・・・アマゾンは別格としてもグーグルやファイスブック30倍台で取引されている・・・成長企業のPERは高く、一見して成長性とPERは関係しているように見える。
でもよく考えると、過去の成長率が高い企業の株価はそれだけの利益成長により株価が押し上げられてきたということを示すに過ぎない・・・そのために過去の成長率の企業の株価はPERも高かったといえる。
でも、逆に現在のPERが高い企業は今後5年間の成長率も高いといえるだろうか?
これは因果関係が逆で、現在のPERの高い企業は投資家に人気があるといえるが、これは過去の成長率が髙かったからで、今後5年の成長率が高いとは必ずしもいえない。

実際に、5年前のPERとその後5年間の利益成長率をプロットしてみたらほとんど関係が見られないからだ。
あくまでPERは現時点での人気=成長期待を反映している・・・これが将来の企業成長を約束するわけではない。
しかし、GAFAは5年前のPERもその後5年の成長率も高かった・・・その意味では特殊な事例かもしれない。
ここは注意を要する。


次に企業買収の点から考えてみよう。
P(株価)/E(利益)ということは、その会社を時価で買収した場合、何年間の利益で買収資金を回収できるかという意味になる。

投資資金を早く回収できるならば企業買収は容易になる・・・投資回収期間は短ければ短いほど財務負担が小さいからだ・・・なので、低いPERの企業は買収対象となりやすいといえる。
だから、PERの低い企業は買収される危険度が高い・・・こうした企業の経営者
は買収されないように利益水準を引上げ、買収から身を守ろうとするだろう。
だから、低PERの企業の経営者は、なんとか業績を上げようと努力する・・・これが身を結べば、株価が上昇し、PERが上昇し、その結果、買収防衛になる。

もう一つ別の視点だが、事業のビジネスサイクルの長さとPERの関係も重要だ。
ビジネスサイクルから見ると、投資から販売・利益回収までの長い事業サイクルもあれば、単に仕入れて販売するだけという短い事業サイクルもある。
昔の話だが、住友鉱山の鹿児島・菱刈金山で金鉱床が見つかった時、住友鉱山の株価が大幅に上昇し、非常に高いPERになったことがあった・・・この高いPERは、金の採掘ビジネスが事業利益を生むまでの期間が長かったためだ。
一般的に、サイクルの長い事業のPERは高くなり、収益化までの期間が短い事業のPERは低くなる。
企業のバリュエーションを比較する際にも、このビジネスサイクルの違いは頭に入れておきたい項目だ。
特に企業が新規事業の参入するという時には、ビジネスサイクルの長さがPERに影響する場合もあるので気をつけたい。

・・・次回に続く。




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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
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PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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