株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

急落相場の読み方

相互関税、トランプの思惑が見える

天邪鬼













トランプ2.0で考えている事が「相互関税」で見えてきた感じがする。
4月2日トランプの解放の日、米国への輸入関税を製品別、国別の関税率を公表した。
自動車、鉄鋼、アルミは25%
中国:10%の追加2回∔追加34%で合計54%
他には、EU:20%、 日本24%、韓国25%、台湾32%、ベトナム46%・・・

この数字を眺めていて二つの事が気になった。

①対中国のミリタリーバランスを回復させようとする意図。

中国軍は圧倒的な粗鋼生産と基礎素材の増強をベースに、軍艦や空母、戦闘機や爆撃機をものすごいスピードで増強している。
それに対して米国はIT産業こそ強いが鉄鋼生産もアルミなどの基礎素材の生産も、さらに半導体生産も海外頼みだ。
これを米国内に戻す、そのための鉄鋼・アルミの25%関税、台湾に32%もの関税を掛けるという意図を感じる。

USスチール買収はダメだが、日鉄の巨額投資を受け入れる方針には、国内の鉄鋼生産を増やしたいという思惑が見える
米国内の鉄鋼生産を急速に増やすことは軍艦や空母の増設、海軍力に直結すると見ているし、戦闘機の主要材料であるアルミも同じだろう。

さらに半導体もNVDAやAMDなど設計や販売では有力な企業があるが、実際の生産は台湾TSMCを中心としたサプライチェーンに頼っている。
この半導体生産を国内に戻す、そのために台湾に34%の高関税を掛け、TSMCに米国内の巨額投資を促す。

ITハイテク分野でも同じで、アップルのように85%も中国内のフォックスコン等で生産している。
トランプ1.0ではアップルは関税の適用除外だったが、トランプ2.0では例外が無さそうで株価も急落してしまった。
フォックスコンの親会社、台湾の鴻海も米国内の生産移管を考えるかもしれない。

これらすべてを考え合わせる時、米国の対中国ミリタリーバランスの回復が目的ではないかと思う。


②中国封じ込め戦略が見えてきたこと。

欧州の安全保障は根本的に変わりEUは自立して防衛にあたる、これはおそらく今後も変わらない。
問題はアジアの安全保障なのだろう。
東南アジア~南アジア~中東~アフリカの地域には一体一路で存在感を高めている中国がいる。

この地域で中国の第三国輸出を封じ込める。
そのためにベトナム46%、カンボディア49%、タイ36%、スリランカ44%という高い相互関税を掛ける。
これらの一体一路の関係国を迂回した輸出を許さない明確な方針だ。


中国本土からの輸出には54%の関税、迂回輸出にも40%程度の追加関税をかける、これによって中国の動きを制する。
中国は自分の影響力を高める地域で儲けようとするだろうけど・・・。

「トランプ解放の日」
関税政策を使って中国を封じ込め、米国の軍事力、その基礎となる生産力を抜本的に引き上げる。
と考えると、関税政策は簡単に変更されることはないかもしれない。
その分相場的には一時的なマイナスとなるが、これはトランプの手のひらの上でコントロールされる。
多くの評論家が世界景気の悪化で株はダメだというが、その分、利下げ期待で株価が底打ちするのだろう。

筆者は急落相場の基本は10日~13日で一巡すると見ている。
現在、急落8日目になり、ほぼ最終局面に入ってきている。
これは、売りたい投資家が売りたいポジションを売り切るのに10~13日はかかると思うからだ。



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長短金利差のプラ転、長期金利は上昇するかも?

米国長短金利差
米長短金利差202412
















FOMCの結果は、事前に識者が指摘した通り、ドットチャートで25年のインフレが2%から2.5%に引き上げられ、利下げ回数が4回から2回に修正された。
利下げペースの鈍化やトランプ政権のインフレ再燃は、多くの市場関係者が想定してきたことだ。
しかしながら、米10年金利が4.5%まで上昇し、NASDAQが3.5%急落し、S&P500もNYダウも3%下落した。
これは市場の過剰反応だったのだろうか?


FOMCは来年のインフレ再燃を想定

FRBの今回の見通しで注目されるのは、①足元のGDPの上方修正(2.0⇒2.5%)、②来年のインフレの上方修正(2.1⇒2.5%)の2点だ。
今年のGDP上方修正は「パウエル氏の大間違い」だろうが、来年のインフレ再燃は「トランプのせい」なのだろう。

債券市場はこのインフレ再燃をFRBが認めた事、いよいよトランプ・インフレが現実化すると織り込んだのかもしれない。
そして、10年債利回りが4.5%に上昇、そのために株安とドル高が進んだ。


長短金利の逆イールドから順イールドに転換すると、長期金利の上昇幅が大きくなる

上のチャートは米国の長短金利差(10年ー3か月)、ずっと逆イールド状態だったが、景気後退がないとしたら長短金利差は当然ながらプラス圏(順イールド)に戻る。
堅調経済では長短金利差が通常1~2%程度のプラス、長期金利が高い状態になる。

だとしたら来年末に政策金利3.875%(中央値)へ利下げされても、逆に長期金利は上昇する。
短期金利∔1~2%金利差を想定すれば、来年末の10年金利は4.8%~5.8%になってもおかしくはない。
5%の長期金利が現実化すれば、株式市場が暴落するのは理解できる。


このシナリオでは株式市場は不安定化する

米インフレの再燃、政策金利の高止まり、さらに長短金利差のプラ転から米10年金利の上昇余地が拡大、株式市場は大幅調整という流れを読んだ。
しかし一方、米長期債の空売りは急激に増え、市場は長期金利上昇織り込んできている。
逆に長期金利の上昇が行き過ぎればトランプラリー(米債券空売り∔ドル高∔トランプ関連株高)はアンワインドされるかもしれない。

来年トランプ氏の就任(1/20)に向けて市場の不安定化は続く???




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インフラファンド指数、底なしの恐怖

東証インフラファンド指数
インフレファンド指数202412
















東証インフラファンド指数が下げ止まらない。
5月には1095ポイントだったインフラファンド指数が急落トレンドが続き、12月2日には685ポイントを700ポイントを割り込んだ。
5月からおよそ半年で37%の大幅な下落となった。

この安値で分配金利回り(12/3)は・・・ナント・・・

                    構成比   分配金利回り
9286 エネクス・インフラ投資法人    31%  11.29%
9284 カナディアンソーラー投資法人   30%   8.86%
9287 ジャパンインフラファンド投資法人 17%  11.20%

時価総額の上位3ファンドのうち、2ファンドで利回りが11%を超えてきた。
日本の低金利状況で10%以上の利回りのある金融商品に買いが入らないってかなりの異常な状態だ。

何か、問題を内包しているのだろうか?

インフラファンドは太陽光発電の設備に投資しその発電量を売却して投資家に分配する仕組みで、基本的には安定した収益が得られるはずだ。
発電量はそれほど減っているわけではないし、売価は長期的には下落する制度だがすぐに収益が減少するわけでもない。

考えられるのは、何か太陽光発電システム上の問題で発電量が低下している可能性・・・
こんなニュースみたこともないが、これならば個別問題でありインフラファンド指数全体が暴落する理由でもなさそうに思う。

トランプ政権がCOP29の環境協定から離脱する可能性・・・
トランプ政権になると世界の環境対応が後退し、環境保護が停滞、再生エネルギーへの補助が大幅にカットされることになるかもしれない。
世界中で化石燃料をバンバン掘り、CO2をまき散らして発電するのだろうか?
でもインフラファンドの将来不安を広がるにしても、それが価格を直撃する理由は分からない。

投資家の利回り商品に対するニーズが後退している可能性・・・
これは商品全般に言えるのかもしれない。
10%利回りのインフラファンドが買われないのなら、5%利回りのJリートも買いにくいし、3%利回りの高配当銘柄もグロースで買うしかない。

市場で何か起こっているのか?
単に需給の問題なのか?
それとももっと深いところで問題が生じているのか?

もっと考えてみたい・・・



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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(6)

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5月末から6月にかけて「重厚長大17年サイクルとその後の暴落」という話を5回に分けて書いた。
内容は
①重厚長大株は景気拡大が成熟化し、行き過ぎた金融緩和で買われる、
②重厚長大株の活躍期は1972年、1989年、2007年、2024年とほぼ17年周期、
③重厚長大株が歴史的な高値を付けた翌年は株式全体が下落する、という三点だ。

2024年も12月に入り、今年も残すところ1か月。
この17年周期が生きているかどうか、極めて興味深い時期に入ってきた。
そこで再度検討してみたい。


下のグラフを見ると、日銀のバランスシートはアベノミクス2014年以降一貫して増加している。
長期のアベノミクス金融緩和に加え、コロナ禍後の異常な超低金利と異常な量的緩和で過剰流動性が拡大し、重厚長大株を大きく持ち上げている。

日銀のバランスシートとTOPIX
日銀BSとTOPIX202410















上のグラフは日銀バランスシート残高とTOPIXの推移だが、直近の残高は764兆円と過去最大、それだけ金融市場には流動性が供給されている。
植田日銀が「金利正常化」する過程で、金利の引き上げとともにバランスシートの縮小を図るとしたら、流動性相場に変化が起こる。

主な重厚長大株の89年天井、2007年天井、2024年高値を比べて見ると以下の通り。

      1989年  2007年  2024年11月末現在
日本製鉄  9840円  9640円  3847円
三菱重工  1300    945   2441
川崎重工 12400   5700   7155
日本郵船  4166   4253   5543
商船三井  3883   6499   5559

5社平均  6317円  5467円  4909円

過去の高値水準と比べると、日本製鉄がUSスティール買収の不安があり低い水準にあるが、三菱重工や川崎重工、日本郵船や商船三井などは過去の高値を越えたレベルまで買われた。
2024年高値がその限界点だという根拠はないが、それぞれ株価が4倍~5倍になっていてかなり過熱感を持って買われてきたとはいえる。

過去の高値~相場下落状況を振り返ってみよう。

1989年は、三重野・日銀が「バブル退治」をテーマに公定歩合の連続引き上げと不動産総量規制を開始、と翌年から大暴落が始まった。
その間半年程度のタイムラグがあった。

2007年夏にはBNPパリバがサブプライム関連の損失を計上、パリバショックと呼ばれた株価下落を引き起こしたが、その後2008年にその深刻さが広く認識され、夏にリーマンブラザーズが破たん、リーマンショックが始まった。
その間,約1年のタイムラグが生じた。

2024年に重厚長大株が高値を打つとしたら、2025年は過剰流動性相場が変化することを示唆するだろう。
2025年の後半に日銀・植田氏が金融正常化の一環としてバランスシートの縮小を始める、ここが大きな注目点になる。
金利の引き上げよりも量的緩和の縮小、これが過剰流動性相場の終了を意味することになるからだ。



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インフラファンドは、なぜ、暴落したのか?(2)ファンダメンタル

東証インフレファンド指数
インフラファンド指数202411

















インフラファンドはJリートや不動産株などとはちょっと違う。
それは成長性はないことで、その分、安定した高利回りがある。
太陽光発電を中心とした再生エネルギーによる発電、そして固定価格買い取り制度に支えられて業績は安定している。
その一方、固定買い取り価格は引き下げられ、2012年の40円の固定買い取りが収益を支えているが、それ以降の太陽光発電設備の収益性は低下しているからだ。

インフラファンド指数構成比と分配金利回りを見てみよう。

                 構成比   分配金利回り
エネクス・インフラ投資法人    31%  9.52%
カナディアンソーラー投資法人   30%  8.12%
ジャパンインフラファンド投資法人 17%  9.45%

この3ファンドがインフレファンドのトップ3だが、時価総額は270~350億円と小さい。
限定した投資家への利回り商品というところだ。

それにしても分配金利回りは8~9%と他の金融商品と比べても圧倒的に高い。
高利回りのJリートでも平均5%なので、それよりも3~4%も高い。

どうして、これだけ高い利回りがあるのに下落を続けているのだろうか?

インフラファンドのネガティブな要素は・・・
①高い固定買い取り価格が2032年から順次終わり収益性の低下につながる「価格リスク」
②政府のエネルギー政策によって簡単に変更されてしまう「政治リスク」
③ファンドの時価総額が小さく、価格が大きく変動しやすい「ボラティリティ」
・・・などが考えられる。

固定価格買い取り制度は、2012年に1kwhあたりの買い取り価格が異常に高い40円で始まったが、その後毎年引き下げられ、現在では10円/kwh程度だ。
12年間で4分の1に引き下げられている。

ただし、2012年の買い取り価格40円は20年間維持される。
つまり、その時開発された太陽光発電施設は20年後の2032年までは40円の買い取り価格が維持される。
あと残り8年は今まで通りの高い配当が期待できる。

ではどうして価格が下落しているのだろう?

①固定買い取り制度の下では新規開発が制限され、一方、昔の稼働した発電施設がだんだん劣化していくので発電効率が落ちてくること。
新規開発をすればするほど、全体の収益性は低下していく宿命にある。
それでも2032年までは高収益が続く。

②高利回り商品全般に投資家の人気が離散していること。
以前問題にしたが、増資したJリートも公募価格割れしたままで、平均利回りが5%を乗せている。
それでも買い意欲が見られない。
インフラファンドもJリートも価格の下落で投資家が損失処理に追われているところなのかもしれない。

9%利回りのインフラファンド、5%利回りのJリート、それでも売る投資家が多いことは「目先の大きな需給問題」なのは間違いない。




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インフラファンドは、なぜ、暴落したのか?(1)需給

東証インフラファンド指数
インフラファンド指数202411
















あまり注目してないかもしれないだが、東証のインフレファンド指数がこの5月~10月にかけてけっこう厳しい下落となっている。
最高値は2022年10月末の1203ポイントで、今年の10月末までの2年間で36%の急落となってしまった。
でも、問題なのは今年の5月からナント5か月も連続して急落、5月初1096ポイントから10月末まで30%の大幅な下落となったことだ。

こうした断続的な売りが続くのは、個人の売買ではなく、大株主の法人が小口に分けて売り続けている場合が多い。

そこでカナディアンソーラー投資法人の大株主構成(カストディアンを除く)を見ると・・・

カナディアンソーラー・プロジェクト 14.53%
福岡銀行               1.73%
東日本銀行              0.90%

エネクスインフラ投資法人の大株主構成は・・・

個人                 1.7%
伊藤忠エネクス            1.7%
野村証券               0.9%
福岡銀行               0.8%
東日本銀行              0.8%
大和信用金庫             0.7%

もちろん、カナディアンソーラープロジェクトは母体会社で簡単に売却はできない。
株券を保管するだけのカストディアン・バンクはその背後の投資家が不明で除いた。

とすると、大口の売り手として考えられるのは地方銀行だ。
カナディアンソーラーの大株主には福岡銀行と東日本銀行が含まれ、エネクスインフラの大株主には愛知銀行、福岡銀行、東日本銀行、大和信用金庫が含まれている。

地方銀行は貸し出しが預金を下回るため余資運用に積極的だが、インフラファンドも結構な投資を行っていたとうわけだ。
価格が下がるにつれて、リスク管理部署から指摘が入り売却を進めたのかもしれない。
または貸出し需要が強まり、余資運用を減らしたのかもしれない。
これは次の決算で公表されるので分かる。
現段階では推測に過ぎない。

地銀の売却がインフラファンド下落の背景にあるとしたら、Jリートも地銀の保有株が多いので同じような需給で売られている可能性がある。
インフラファンドの下落がどうなるかは、Jリートの価格動向を考えるヒントにもなる。

次はファンダメンタル面を考えて、なぜ、売られたのかを考えてみたい。



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なぜ、日本株が一番下げたのか?

ドル建て日経平均と円建日経平均
ドル建て日経平均202408
















7月11日前後に日米株価が高値を付けた。
その後は、世界的にポジションの逆転が起こり、世界中の株価が急落した。
最大の懸念材料は「景気後退」だが、まだ明確ではない。
むしろ、積もり積もったポジションが逆回転し、一斉にポジション調整が始まった、ファンダメンタルというよりも需給の問題だと理解している。

多くの評論家は「なぜ、日本株が一番下げたのか?」と疑問を口にした。
日経CNBCの「兜町に通って50年」という評論家もNY株よりも日本株が下がったのか、日本株は下げ過ぎだとコメントした。

まずは数字で確認してみよう。
下の一覧表は7月高値からの下落率を、日経平均、ドル建て日経平均、NYダウ、SP500、NASDAQで比較したものだ。
参考としてドル円レートの変化率も載せてみた。


7月ピーク 直近値 変化率
日経平均 42224円
35909円 -15.0%
ドル建て 266.31ドル 254.03 -4.6%
 
NYダウ 41198 39737 -3.5%
SP500 5667 5346 -5.7%
NASDAQ 18509 16776 -9.4%
 
ドル円 161.74 146.44 -9.5%

日米株価の仮説として・・・・

①NYダウとドル建て日経平均が連動している。

7月高値からの下落率では日経平均が15%と圧倒的に大きい。
しかし、ドル建て日経平均は-4.6%と、NYダウ(-3.5%)とS&P500(-5.7%)のちょうど真ん中の下落率となっている。
日経平均とNYダウの連動性は低いが、ドル建て日経平均は米国株と連動している。

②日経平均の下落率=米国株の下落率∔ドル下落率という関係がある。

米国株の三指数の平均下落率は-6.2%、ドル下落率(対円)は-9.5%であり、両者を足すと-15.7%となる。
日経平均の下落率はー15%でほぼ同じ下落率になる。

つまり、米国株のリターンに為替リターンを加えたら、日本株のリターンになるわけだ。
という意味では今までの超円安で日本株のパフォーマンスが相当かさ上げされてきたということだ。
為替が反転するとともに、今まで良すぎたパフォーマンスが調整されているというわけ。

ドルの世界では米国株とドル建て日経平均は「裁定関係」にある。
でも日本では為替の変動が大きく、NYダウと日経平均(円建て)の動きは大きく乖離してしまう。
この関係を作り出しているのが、グローバルな運用ファンドだ。
彼らは「為替オーバーレイ」という手法を使い、株式ポートフォリオと為替ポートフォリオを別枠で運用する。
詳細は別の機会に考えてみたい。

当面の株式市場のポイントは・・・
為替市場が次の米利下げを織り込むと、徐々に安定性を取り戻してくるだろう。
もうすでに9月利下げは織り込んでいるかもしれない。
だとしたら利下げを織り込み為替が安定し、日本株がボトムを打つという場面も近いかもしれない。
新NISA投資家はあわてずに積立投資を続けるべきだし、その安値を狙って買うのもいいかもしれない。




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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(5)2024年

重厚長大産業










「重厚長大」株の17年サイクルを考えている。
結論として言えることは、過剰流動性相場が起こると「重厚長大」株のような大型で流通株式数の多い銘柄に資金が集中する傾向が見られることだ。
過去1972年、1989年、2007年を振り返ってきたが、ファンダメンタル条件が全然違うのに流動性相場では「重厚長大」株が大きく上昇したという事実だ。

では、前回2007年から17年目に当たる2024年の相場をどう考えたらいいのだろうか?
「重厚長大」株はすでに上昇トレンドに入っている。

日本製鉄: 東証PBR改革の流れに乗り、株価は1000円(2020年)から3500円前後へとすでに3倍以上に上昇した。 米USスティールの買収計画はバイデン政権に「待った」を掛けられている。バイデン氏の票田に絡んだ政治的問題であり、大統領選後は買収が進展する可能性もある。

三菱重工: 低PBRとはいえないPER4倍だが、東証PBR改革の流れでバリュー株物色がプラスになっり株価は300円台から1400円へと4倍に上昇した。さらに防衛予算増額の恩恵も期待され、さらに宇宙開発も政府予算が増額されているプラス面もありそう。現代のトレンドに乗った「重厚長大」株といえる。

日本郵船: 海運株は不定期コンテナ船の市況が大きく変動するために業績変動も大きい。ただ、株主還元には圧倒的に積極的になったため、利益が上がると配当も大きく上がる仕組みが出来上がっている。海運市況の変化で株価が大きく上昇し、2021年には1000円以下だった株価が5000円と5倍になった。

「重厚長大」株はそれぞれ異なるエクイティ・ストーリーで上昇してきたわけだが、その背景にあるのは世界的な過剰流動性だ。
過去3年で株価はそれぞれ4~5倍に大化けした。

ワールドダラー




















三井住友DSアセットが掲載したドルの世界供給を示す「ワールドダラー」だが、FRBやECBの引き締め政策にもかかわらず、過去から見ても高水準で推移している。
こうした過剰流動性が「重厚長大」株を持ち上げていると思われる。
「重厚長大」株は過剰流動性を表すバロメーターともいえる。

「重厚長大」株の17年サイクルの各ピーク
      1989年  2007年  2024年現在
日本製鉄  9840円  9640円  3847円
三菱重工  1300    945   1460
川崎重工 12400   5700   6212
日本郵船  4166   4253   5236
商船三井  3883   6499   5511

5社平均  6317円  5467円  4453円

業績による株高の面ももちろんあるが、それ以上に「東証のPBR改革」への期待が背景にあり、低位株イメージのある株式が軒並み上昇した。
お話ベースの、ストーリー重視の株高(実態に合っているかを検証すべき)という面も否めない。

過去の「重厚長大」株ピークの後に市場が調整に入った事例が多く、ピークを打ったとなれば「流動性相場の行き過ぎ」を警戒すべきだろう。
もし今年2024年後半に「重厚長大」株価が2007年や1989年のピーク株価に近づいてくるとしたら、2025年は暴落を警戒すべき年になる。

歴史は繰り返すのか、それとも全く異なる現象が起こるのか、よく見ていきたい。




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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(4)2007年

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「重厚長大」産業は構造転換を進め、全く新しい産業として生まれ変っている。
しかし、株式市場ではその流通株式数の大きさ、膨大な企業設備を持つ大型株として過剰流動性相場で重要な役割を演じてきた。
その役割は時代が変わっても変わらない。
過去50年で「重厚長大」株の大相場は1972年、1989年、2007年に大天井を打った。
そのサイクルは不思議と17年毎に起こり天井を付けている。

このブログでは3回それぞれの相場環境を分析し、前回から17年目にあたる2024年の「重厚長大」株の上昇の意味、今後の展開を考えてみたいと思う。
今回は4回目という事で、2007年の「重厚長大」相場を振り返ってみたい。

エンロンやワールドコムの企業不正会計や不祥事が立て続けに起こった2000年代初頭、日本では不良債権の処理が最終局面を迎え、鈍化した景気を支えるためにFRBも日銀も金融緩和を積極的に行った。
こうした景気回復局面、金融緩和局面で株式市場は「ゴルディロックス」と呼ばれた長期の上昇相場を形成した。

長期の金融緩和で住宅投資が拡大し、サブプライムと呼ばれた低所得者層へのローンが急増し、ホームエクイティローンの住宅価格上昇でローンを追い貸しするスキームなども増加した。
株式市場では「長期に続く低金利+順調な企業利益拡大」と安定した「適温相場=ゴルディロックス」相場が展開された。


その流れが変わったのが「2007年」だった。
2007年7月、サブプライム関連の証券化商品による市場混乱でBNPパリバがミューチャルファンドの解約を停止した。
この解約停止により欧州の投資家だけでなく、米国や世界の投資家にショックが走った。
これが「パリバ・ショック」で将来リーマン危機に通じていく先駆けとなった。

ゴルディロックス型の適度な金融緩和と順調な景気拡大が大きな背景にあるが、もう一つの要因があったと思う。
それはこのゴルディロックスの需給相場は株式だけでなく、金などの貴金属、さらに銅やアルミなどの非鉄相場、原油価格にもその影響が出ていた。
こうした環境で株式需給と商品価格の上昇が「重厚長大」株を上昇させた。

いずれにしても「パリバ・ショック」からサブプライム危機が始まり、それが証券化商品全般に影響し取引が急減する、その価格リスクが集中したのが米金融金融機関、リーマンブラザーズの破たんにつながった。
この局面で「重厚長大」株が相場の主役だったわけではないが、その需給の広がりで商品市況が上昇したことが「重厚長大」株を押し上げたと考えられる。

つまり、世界の流動性の増加が株式・債券だけでなく商品市場にも影響したことが「重厚長大」サイクルの要因となったと思う。
サブプライムという信用の低い住宅ローンが急速の増加し、そのサブプライムの証券化商品が行き詰まったことで暴落が始まった。
暴落の前段階で市場流動性の拡大と債務の膨張がある。
「重厚長大」株はこうした市場の投機性のバロメーターでもあったのではないだろうか?




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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(3)1989年

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「重厚長大」株には17~18年ごとに上昇相場のピークを打つという「サイクル」がある。
おそらく、流通株式が多い「重厚長大」株はファンダメンタルよりも市場の需給に大きな影響を受けるからだと考えている。

今回は過去50年で二回目のピーク、1989年を考えてみよう。

ザっとした年表は・・・
1月、昭和天皇の崩御
4月、リクルート事件で竹下首相の秘書が自殺、リクルート株の政界バラマキが大きな事件に
6月、北京天安門事件
10月、三菱地所がNYロックフェラービルを買収
12月、日経平均が3万8957円のバブルピークを記録

この年は「昭和天皇の崩御」から始まり、日本中が「喪に服す」事態となった。
いろんなイベントが中止され、経済活動が一旦は休止するという経済にはマイナスの年だった。
でもその分、カネ余りが急速に拡大し、強烈な資産バブルを膨張させた年でもあった。

電電公社が民営化されNTTの株式公開で国民的な大ブームを巻き起こしたことは今でも語り草になっているだろう。
巨大な民営化企業の株式が公開されると大人気で株価が大暴騰し、あっという間に3倍、4倍と駆け上がっていった。

さらに重厚長大企業も大人気で、三菱重工の転換社債が初値で200円と付けたことも記憶にある。
転換社債とはいえ社債なので100円前後は始まるのは常識だったが、債券にもかかわらず初値200円は異常な人気だった。

年末には三菱地所がNYの摩天楼ビル、ロックフェラービルを買収した。
現在のジャパン・マネーは細々としているが、当時はジャパンマネーの全盛期で、世界の資産を次々と買収していった時代だ。
これにはアメリカ人は大ブーイングだったが、家電、自動車、エレクトロニクスなどで次々と日本企業に負けて行った時代を象徴する出来事だっただろう。

もう少し広く見ると、86年のプラザ合意、87年のブラックマンデー(暗黒の金曜日)から、カネ余りが広がった日本は、実業への投資よりも投機的な資産運用に突き進んでいった。
こうした膨大なカネ余りと投機熱の時代で、株式市場では大型の「重厚長大」株が上昇したのはある意味当然の帰結だったのかもしれない。

こうしたカネ余りと投機熱狂によって日経平均は年末には歴史的な大天井となった高値3万8957円を記録した。
この熱狂の時代では株という株が上昇したが、インパクトが大きかったのはやはり「重厚長大」株の乱舞だった。

次回は2007年の「重厚長大」ピークを見てみよう。


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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(2)1972年

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50年という長期の株式市場を見ると、「重厚長大」株が17年周期で天井を打ち、その後株式市場全体が暴落するというサイクルを繰り返してきた。
過去の「重厚長大」天井時の1972年、1989年、2007年の事例を詳しく見ると、それによって前回から17年が経過した今年2024年に何が起るのかを考えてみたい。

①1972年の事例

「20世紀全記録」(講談社)から1972年の出来事を調べてみよう。
72年2月、ニクソンと周恩来の関係正常化。あさま山荘事件
5月、核軍縮で米ソ首脳がSALT合意、沖縄返還
6月、田中角栄の列島改造論、
9月、日中国交回復

73年1月、米ベトナムの和平協定(パリ協定)調印
2月、日本円の変動相場制、円の大幅な切り上げ
10月、OPEC原油価格を大幅な引き上げ、石油危機始まる

為替がフロート化されドルが世界の市場を動き回った時代で、ユーロダラーが急膨張し世過剰ドルが世界経済を大きく動かした。
ベトナム戦争が終結し世界中でインフレが加速、それが73年のOPECの原油価格引き上げにつながっていく。
過剰ドルの発生が石油危機につながり、狂乱物価で世界の株価が暴落した。

日本でも昭和47年の過剰流動性相場で日経平均は71年末2700円から73年1月に5359円までおよそ2倍になった。
その上昇の原動力は鉄鋼・造船・海運などの「重厚長大」株だった。

当時の「重厚長大」産業は日本経済を戦後復興から高度成長へと導いた主要な産業だった。
鉄鋼も粗鋼生産1億トンを達成し、造船が船舶トン数で世界1位になり、海運業も当時の主要な国際物流を担うリーディングインダストリーだといえた。
過剰流動性相場でもその主役になったのは十分に理解できる。

そして73年に石油危機が始まり、原油価格が4倍に値上がりし狂乱物価と呼ばれた時代が始まった。
株価は73年初に大天井を打ち、日経平均は3355円まら1年半で37%の暴落となった。

重要な点は、金ドル交換停止(ニクソンショック)から為替が自由化され、過剰ドルが発生し、世界的に過剰流動性相場を形成したこと、OPECによる石油危機とともに経済悪化が顕著となり最終的に株価が暴落したことの二点だ。

次に1989年の詳細を見てみたい。



・・・続く





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「重厚長大」17年サイクル、その後の暴落(1)


重厚長大産業










「重厚長大」という言葉はご存じだろうか?
80年代には日本の産業構造の変化を「重厚長大」から「軽薄短小」へと表現された。
「重厚長大」は鉄鋼や造船・機械や海運などの巨大な設備を必要とする大型産業で、日本の戦後の成長を支えてきた業種だった。
逆に「軽薄短小」と呼ばれたのはエレクトロニクスを始め、半導体、電子部品など微細な加工技術を必要とする業種だ。

株式市場では流通株式が多く株価が重たいイメージがあるが、金融緩和で発生した流動性が主導していく市場では最後の急騰を演じてきたのがこの「重厚長大」産業だ。
大きな上昇相場はこの50年で3回あった。
一つは70年代初頭の狂乱物価の上昇相場1972年、二回目は80年代バブルの最終場面1989年、三回目はITバブルからの緩和相場2007年だ。

いずれもそのピーク後、悲惨な暴落相場を見せた。
一つは日本の狂乱物価時代の暴落、二つ目の日本のバブル崩壊、もう一つはリーマン危機だった。

日本製鉄、三菱重工、川崎重工、日本郵船、商船三井の5社の株価(修正株価)ピークを調べてみた。

      1989年  2007年  2024年現在
日本製鉄  9840円  9640円  3847円
三菱重工  1300    945   1460
川崎重工 12400   5700   6212
日本郵船  4166   4253   5236
商船三井  3883   6499   5511

5社平均  6317円  5467円  4453円

30年前のバブル期から重厚長大企業はとつてもない企業努力を行い、会社合併、事業分割、構造変貌を繰り返してきた。
鉄鋼業は上位二社に集約され、高付加価値の自動車向けなどにシフトし、さらに鉄スクラップから再生する電炉事業などへ構造変貌を遂げてきた。
造船業も今や造船ではなく、防衛関連、重機械、航空宇宙などの分野へシフトしてきた。
海運業も不定期コンテナ船など運賃が変動するボラタイルな事業を分離・別会社に集約し、合理化が進めてきた。

ただそれでも株式市場では流通株式の大きい流動性相場で活躍する習性は変わらない。
そして流動性相場のピークで天井を打つと株価は元に水準に戻る。
今回の流動性相場でも、海運株が急騰し、PBR改革に刺激された鉄鋼株や造船株が大きく上昇した。

この5社平均株価で見ると、過去のピークに比べまだ2割ほど低い位置にある。
もう少し上値余地があるのかもしれない。

長い歴史で合併や分割をしてきたので株価がよく分からないが、実はもう一つ歴史的な大きな上昇期があった。
それは1972年で「昭和47年の過剰流動性相場」だ。
1972年天井、1989年天井、2007年天井・・・と17~18年毎に「重厚長大」株が天井を打ってきた。
しかも、その後は1973年石油危機の暴落、1990年バブル崩壊の暴落、2008年リーマンショックの暴落と続いていった。

今年は前回の重厚長大株のピークから17年目に当たる。この歴史的な「重厚長大」サイクルの詳細を考えてみたい。
・・・続く。




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「VWAPの売り」にご注意

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ここ数日、あきらかに「VWAPの売り」が出ているような値動きになっている。
VWAPはボリューム・ウェーテッド・アベレージ・プライスiの略で、出来高で加重した平均値という意味だ。
このVWAP売買、特に多数の銘柄を組入れたバスケットでVWAPが出ている時は注意を要する。

このVWAPの売りが出ていると、寄付きから引け値まで断続的に売りが出る場合が多い。
たとえば、TOPIX型の」VWAPだとしたら、毎分TOPIXの値をチェックしながら、その出来高形状に合わせて売り株数を決めていくことになる。
通常午前の寄付きと引けが取引量が多いので、それに合わせて大きな売りを出すことになる。
しかもこうした売りが断続的に引けまで続き、引けで大きな売り注文が出されて安値引けをする。
こうした特徴がある。

巨額のVWAP売りが出る場合は、運用会社での経験から二つある。

一つは「大口の解約売り」
機関投資家の口座で、突然、運用減額や全解約を伝えられることがある。
そうするとファンドマネージャーはその解約金額を何日ぐらい売却できるかを計算し、「VWAPのバスケット売り」を証券会社と交渉し決める、そしてバスケットの売りを受けた証券会社が「VWAP」で約定する、という流れになる。
でも今回は「日本株売り」というターゲットを絞った解約売りではなさそうだ。

もう一つは「アロケーションの変更」
機関投資家が「株売り/債券買い」あるいは「米国売り/日本買い」などとアロケーションを変更する場合もありえる。
現在出ているのは、このうち「株売り/短期債買い」を海外投資家が行っている可能性がある。
そうなると全世界の株式に売りを出すことになり「VWAP」を使って機械的に売りを出すだろう。
こうした売りが世界中の株式を下落させていると思われる。

こうした「VWAP売り」が出ている市場で、我々個人投資家は何をしたらいいのだろうか?

まず第一に安易な値ぼれによる押し目買いをしないこと。
もういいかなと思っても、巨大な海外投資家の売りが断続的に続く、それには抗しきれない。

第二にだいたい5日以内で売却は完了すること。
時間がかかるほど売り手の機関投資家もパフォーマンス悪化リスクを抱える、できるだけ迅速に売却を完了したいのが本音だ。
数日間、ジッとガマンするのが良い、というかそれしかできない。

10月2日から先物売りから始まり、3日、4日と現物V-WAP売りが出ているので、あと2~3日程度で一巡してくると期待しているが・・・
いずれにしても「VーWAP売り」が入っているかどうか、確認しながら売買すべきだろう。
9月後半以降で米国株もピークから10%近い調整、日経平均やTOPIXも10%近い調整となった。
一つの値幅のメドには到達しているので、ここからが重要なポイントだろう。
日柄としては9月FOMCから11月FOMCへの期間を見ている。



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大損投資家の一発逆転

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猛烈なリターンリバーサルが米国市場で起きている。
昨年ボロボロになった投資家の一発逆転、「リターンリバーサル」だ。
BofAグローバルリサーチでは1週間の株式流入額が133億ドル=1兆7200億円に達し、また、債券にも同様に122億ドル=1兆5800億円も流入したようだ。
合わせて3兆円を越える巨額資金が株式と債券に同時流入した。
これは「米経済のソフトランディング+早期の利下げ」を読んでいる。

これにより大きく下落したNASDAQ市場、テスラ株やフェイスブック株(メタ)などの昨年の暴落株が急反発している。
年初からの上昇率を見ると、NASDAQ+11%と二けた上昇、SP500.+6.%、NYダウ∔2.5%と昨年のパフォーマンス順位がひっくり返った。
個別銘柄でもテスラが+63%、エヌビディア+41%、メタ+21%と圧倒的に高い。
ビットコインも急反発しているので、世界の大損投資家が一気に損失回復を狙ってきたように見える。

ここで大復活するのか、FRBに再びやられるのか、今週のFOMCは重要イベントになってきた。

中銀には「プライド」があり、市場には負けないという信念がある。
先週の日銀決定会合もそうだが、ファンド筋に巨額の国債空売りを仕掛けられた時にYCCの拡大(実質利上げ)は絶対にしない。
FOMCでもファンド筋に負けを認めるような小幅利上げ(25bp)はしないだろう。
来週、中銀のプライドを掛けた戦いが起こる。

特に原油価格やコモディティ価格が底入れし中国経済が回復に入る局面で、利上げを中途半端に終わらせインフレが再加速したらFRBはボコボコに叩かれる・・・という恐怖をパウエル氏は感じているだろう。
だから、投資家の期待のように「早期の打ち止め+早期の利下げ」には抵抗感が強いはずだろう。

筆者は50bpの利上げを予想するが、そうなるとFF金利の誘導レートは4.75~5%になる。
2年物国債は売られ4.5%以上に上昇し、10年物国債との差、逆イールドは1%以上に拡大する。
これが意味するものはタカ派のFRBと楽観的な投資家の両立はしない、ガチンコの勝負だ。

ダイナミックに主張がぶつかる、相場は面白いとつくづく思う。
個人的には投資家が勝ち、利上げしても長期金利が低下する、株価が上昇トレンドに戻るというのを期待したいけど・・・



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「地相場」の考え方(2)

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「地相場」の考え方は、①類似した過去の局面との株価比較、②類似した過去の局面のバリュエーション(PER、PBRなど)比較の二つの考え方がある。
パンデミック後の異常な金融量的緩和が作り出した相場なので、パンデミック以前の株価水準が「地相場」になると、また、過去の引き締めピーク時点の株価水準が「地相場」になる、という二つの仮説で前回は考えてみた。

今回はPERとPBRというバリュエーション(株価尺度)から「地相場」を考えてみたい。
下の表は個別株価指数ではなく、地域でまとめられたMSCIデータを使い、米国、欧州先進国、日本の実績PERとPBRを比較してみた。
ただし、予想PERは来期予想が不明なこととデータが入手できなかったことで実績PERを使った。
ちなみにPBRも実績値。

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 直近値
米国 PER 18.1 22.2 23.4 19.9 22.1 25.4 37.5 17.8
  PBR 2.8 3 3.5 3.1 3.8 4.4 5.3 3.8
先進国 PER 16.9 20.4 21 15.6 18.3 21.6 32.1 15.1
PBR 2.1 2.3 2.5 2.1 2.5 2.8 3.4 2.6
日本 PER 16.1 16.1 16.6 11 13.1 18.6 17.8 12.8
PBR 1.4 1.4 1.6 1.2 1.3 1.4 1.5 1.3
単位:倍

基本的な考え方は、前回と同じだ。

①パンデミック以前の株価尺度を「地相場」の基準とする。
2019年末のPERと比べると、米国も欧州先進国も日本もすでに直近値の方が低い。
2019年末のPBRとの比較では、米国3.8倍、欧州先進国2.5倍、日本1.3倍と直近値は同水準にある。
この株価尺度では現在水準はパンデミック前に戻っているといえる。

②前回の引き締めピーク時の株価尺度を「地相場」の基準とする。
2018-19年平均PERは米国21倍、欧州16倍、日本12倍であり、直近値は近い水準にある。
また、PBRでは米国3.4倍、欧州2.3倍、日本1.2倍に対して、直近値米国3.8倍、欧州2.6倍、日本1.3倍と少し上の水準にある。
PERでは「地相場」に近いところまで調整が進んでいるといえるが、PBRでは1割程度割高な水準といえる。

総じて、「地相場」に近い水準に戻ってきているといえるが、PBRではもう少し下値余地が残っているようだ。
利益が不安定化する局面では、PBRを比較して考えた方がいいかもしれない。
これが結論だ。




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「地相場」の考え方(1)

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今回の下落では政府による「株価テコ入れ策」や「緊急緩和」を全く期待できない。
過株価が3割の下落する状況になると、市場関係者は「当局の株価対策」や「中銀の金融緩和」を期待するとともに、政府も国民の不安感に対応して「リップサービス」する。
それで市場心理が変化し、株価トレンドが反転する場合も多く見られた。

でも、今回はこの政府による株価テコ入れ策を期待できない。
パンデミック後の過剰な金融量的緩和の後始末をしている真っ只中だからだ。
なので・・・なかなか明確な底値水準が見えていない。

相場には「地相場」というものがある。
「地相場」とはどんな悪材料も織り込み済みの株価水準で、もうここからは下がらないと言う水準だ。

目下の相場では「地相場」の考え方は二つあるだろうと思う。
一つの考え方は過剰な金融緩和が行われた2020~21年以前の株価水準を「地相場」と考える。
もう一つの考え方は、前回の金融引き締めのピーク時(2018~19年)の株価水準を「地相場」と考える。
過剰な金融緩和以前の株価水準や前回引き締めのピーク時の株価水準は参考になるはずだ。

そこで主要な株価指数の2015年~2021年までの年末値を並べた表を見てみよう。

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 直近値
NYダウ 17425 19762 24719 23327 28536 30606 36338 28725
2年平均
24023 25931 
日経平均 19033 19114 22764 20014 23656 27444 28791 25937
2年平均 21389 21835

ユーロ50 3286 3197 3503 2937 3745 3452 4298 3318
2年平均 3220 3341
上海 3539 3103 3307 2493 3050 3473 3639 3024
2年平均   2900 2771

年末値、直近値は9月末、2年平均は年末値の平均値。

第一の「地相場」の考え方

パンデミックの異常な金融緩和前の株価水準であり、その後の異常な緩和が修正されるとしたら株価も2019年に戻るというのが道理。
その意味で2019年末の株価水準は「地相場」の一つが考えていいかもしれない。

NYダウでは直近値28725ドルに対して、2019年末値は28536ドルでかなり近づいてきた。
日経平均では2019年末値が23656円で直近値25397円はまだ上にあるが、パンデミック後の異常な金融緩和の前に戻った株価水準に近づいている。
異常な金融・量的緩和による株価上昇はほぼ全修正されてきたといえる。

第二の「地相場」の考え方

前回の引き締めは2016年に始まったが、2018年12月から2019年7月までFF金利2.5%の引き締めピーク水準を続けた。
2018ー19年2年平均は、「金融緩和―引き締めのサイクル」の中で前回サイクルの金利ピーク時の株価水準だ。
今回FF金利は3%台と前回よりの高いが、サイクルのピーク時という2018-19年の平均値は「地相場」として考えてもいい。

NYダウでは25931ドル、日経平均では21837円、ユーロ50では3341ポイント、上海総合では2771ポイントという水準になる。
ユーロ50はすでにその水準に到達しているが、その他の指数では現在水準はその「地相場」レベルの1~2割上にある。

現在の株価水準は「地相場」といえる水準に近づいているとはいえるかもしれない。
その他、PERやPBRなどのバリュエーションから導く「地相場」もある。
ただ、来年の利益が見通しにくい中でPERはもう一つ信頼度が落ちるかもしれないが、次回バリュエーションを株価尺度として「地相場」を考えてみたい。



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パウエル・リスクを考える

202209ドットチャート













FOMCの結果に特に驚きはないが、金利の先行きを示すドットチャートが大きく上方修正された。

      下限値     中央値    上限値
22年末  3.9% ー 4.4% ー 4.6%
23年末  3.9% ー 4.6% ー 4.9%
24年末  2.6% ー 3.9% ー 4.6%

7月のFOMCまでは最終地点(ターミナル金利)が3.5~4%を債券市場は織り込んで、2年国債3~3.5%で推移してきた。
これがターミナル金利4.4%とすると、2年国債も4%を越えてしまう。
ターミナル金利想定の上方修正は、NY株式市場の6月安値を割り込む可能性を示唆する。

パウエル氏の過去の発言を見ると、政治にムチャクチャ弱いのが分かる。
数年前、当時の大統領トランプに恫喝され、パウエル氏は金融緩和を加速化した経緯もある。
また、バイデン大統領が選挙までにインフレをなんとかしろと言うと、50bp、75bpという従来考えられなかった急激な利上げに踏み切った。
この政治への弱腰がパウエル氏のリスクだ。

そして、この11月の中間選挙を控えたこの時期には、時の政権バイデン氏の忖度し、インフレファンタ―として力強い演技(=力強い利上げ)をしているように見える。
でもこのパウエル氏のパフォーマンスも11月で終わる。
そういう意味では来年以降はバイデン政権の内政の優先順位が変わり、強すぎる利上げは必要なくなるかもしれない。

株式市場はターミナル金利が4%から4.6%に引き上げられたリスクを織り込まなければならない。
そのためには6月安値を割り込むリスクがあるわけだが、そのあたりが一番キツイところになるかもしれない。
中央値が正しいとすると、今年年末に4.4%なのでこの3か月強で1%強の利上げが予想されていることになる。
でも、来年末の中央値は4.6%、わずか0.2%の利上げしか予想していない、来年の利上げペースは今年に比べ非常に緩慢なものになるとFRBは見ている。

11月の米中間選挙が終わり、11月と12月FOMCで利上げすれば、大方の利上げリスクを株式市場は織り込んでしまうだろう。
あとは、景気後退リスク、FRBのQE(量的引き締め)リスク、それに伴うクレジット(企業信用)のリスクに注目点が移っていくだろう。



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NYダウ、二回目の1000ドル暴落

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あれっと思ったのが、米CPI発表後の急落相場だ。
8月ジャクソンホールのパウエル発言から1000ドルの暴落は記憶に新しいが、今回の1200ドル以上のCPI暴落は意外感が大きかった。
「甘い市場の期待が裏切られた」という意味ではジャクソンホール暴落もCPI暴落も同じ土壌にあったのかもしれない。
しかし、「柳の下の二匹目のドジョウ狙うな」と言われるし、同じ材料で二度暴騰(暴落)することはない。
二回目となれば市場関係者の間で「慣れ」が生じ、新鮮なインパクトに欠けてしまうからだ。

まず、米CPIの数字をよく見てみよう。

消費者物価指数 平均時給 原油価格
CPI コアCPI CPI-コア 前年比 前年比
2022年8月 8.30 6.30 2.00 5.20 26.37
2022年7月 8.50 5.90 2.60 5.20 37.80
2022年6月 9.10 5.90 3.20 5.10 60.54
2022年5月 8.60 6.00 2.60 5.20 68.15
2022年4月 8.30 6.20 2.10 5.50 64.93
2022年3月 8.50 6.50 2.00 5.60 74.00
2022年2月 7.90 6.40 1.50 5.10 55.33
2022年1月 7.50 6.00 1.50 5.70 59.54
前年比、単位%

こうして数字を眺めてみると、ウクライナ戦争以後の資源価格高騰、サプライチェーンの混乱は一巡してきているのが分かる。
原油価格の前年比は∔60~70%という上昇率から8月には∔26%の縮小してきた。
これに伴ってCPI(エネルギー食品含む)とコアCPI(エネルギー食品除く)の差は順調に縮小してきている。

問題は賃金とコアCPIの伸び率が引き続き∔5~6%と高く、ウクライナ戦争の影響でなく、「賃金とインフレのスパイラル」を起こすホームメード・インフレの様相を強めていることだ。
おそらく、これはFRB も当然認識していることだろう。

賃金上昇を抑え込みコアCPIの上昇を抑えていくためには、景気を鎮静化させ労働需給を緩和させる利上げが必要という結論になる。
FRBはこうした状況を見た上で、9月の75bpの利上げをする。

これでホームメードインフレを抑え込めるかはまだ分からない。
11月、12月のFOMCでも利上げが続くかもしれないが、年末までにだんだんと利上げの最終地点が見えてくると思われる。
政策金利の最終地点が4%以内ならば現在の債券市場が織り込んでいる範囲内であり、大きな波乱要因にならない。
しかし、それが4.5%とか5%とか、4%以上になるともう一段の波乱が想定される。

でも、今回のCPIではそこまで確信を持てないだろう。
それでもNYダウが二回目の暴落を演じたのは、やはり、アルゴリズムトレードが活躍したのではないか・・・と思う。
アルゴリズムトレード以外、ここまで売る理由があるとは思えないからだ。
「二匹目のドジョウ」はアルゴリズムによってもたらされたのかもしれない。
そうなると、アルゴリズムがある限り、ドジョウが何匹いるのか分からなくなる。



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ジェイミーダイモンの「経済ハリケーン」を考える(3)

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通常の景気循環と「経済ハリケーン」はどこが違うのか?

一つは価格変動の大きさでこれによって大きな損失が出る、そうなるとレバレッジを掛け過ぎた投資が失敗する、さらに投資の失敗が貸付けの焦げ付きや債務超過を引き起こす、ついに企業やファンドが破たんするという悪循環を招く。
この悪循環によって大型破たんが生じると、金融システム全体が大きく揺れ、システミック・リスクを高めてしまう。
こうした一連の動きが「経済ハリケーン」の一つの典型例だった。

もう一つは信用の問題、つまりクレジットだ。
信用力の高い格付けの会社は景気悪化局面でも資金調達が可能だが、信用格付けの低い会社となると景気後退局面では資金調達が困難になり資金繰りが悪化する。

2008年運用会社の運用部門にいたが、リーマンショックが直撃した時の債券ファンドマネージャーたちの動揺は忘れられない。
リーマン危機の最大の問題は、どこの巨額損失が隠されているか誰にも分からない状態でカウンターパーティリスクが極度に高まり、グローバルに資金取引が停滞してしまったことだった。

債券のアクティブ運用は一定のクレジットリスク(事業債への投資)を持っている。
資金繰りの詰まると想定された事業債は、通常の取引100前後から一気に70前後に下落してしまう。
そして資金繰り悪化が表面化すれば、即、50以下に暴落し、倒産すればゴミの近い20以下になる。
パフォーマンスはこれで一気にブチ壊れ・・・「一巻の終わり」。

この時酷かったのは不動産業界や消費者金融業界などの事業債だった。
この事業債の暴落が次から次へと連鎖していって、中堅不動産の一部、消費者金融のほとんど全部が資金繰り懸念で暴落した。
その結果、債券ファンドとは思えないほどの二けたマイナスを記録してしまった。
こうなると悲惨で、その債券ファンドマネージャー数名は残務処理が終わり次第「クビ」宣告を受けた。
運用者はパフォーマンス激落とともに仕事もキャリアも失ってしまった。
と同時に、グローバル市場は大混乱に陥ってしまった。

米国ハイイールド債利回りの高安、ハイイールド債ー国債スプレッド

         高値    安値   ハイイールドー国債スプレッド
2022/  4-6   7.72%  5.80%   3.27 ~ 4.92%
     1-3   6.28   4.42   3.05 ~ 4.21
2021/10-12  4.82   4.20   3.03 ~ 3.67
    7-9      4.26   3.92   3.02 ~ 3.42
    4-6    4.40   4.01   3.03 ~ 3.40
    1-3    4.67   4.09   3.41 ~ 3.93
2020/10-12  5.79   4.34    3.86 ~ 5.64
    7ー9    6.72   5.28   4.97 ~ 6.52
    4-6    9.87   6.05   5.78 ~ 9.43
    1-3   11.38    5.02   3.48 ~ 10.87


5月の米CPIが前年比8.6%に上昇し、市場の空気を一変させてしまった。
一気に9月の50bpの利上げを織り込む動きになってしまった。
それとともに欧ECBが利上げを決定し、マイナス金利から一気にプラス金利の利上げというインパクトが出てしまった。
欧州株の急落と米国株の急落が連動する形になってしまった。

米NASDAQ指数が安値に接近してきたが、ちょっと厳しい局面を見るかもしれない。
ハイイールド債の利回りは7.45%まで上昇し、格付けの低い会社にとってはかなり厳しい金利情勢なのだろう。
でも、同年限に近い国債5年金利が3.26%と急上昇したので、ハイイールドー国債スプレッドは4%台後半に留まっていて、危険水域の5%超には達していない。
スプレッド4%台にしてもハイイールド債利回りが7%台と高いのは要注意で、クレジット動向には気を付けるべきかもしれない。


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ジェイミーダイモンの「経済ハリケーン」を考える(2)

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通常の景気循環と経済ハリケーンはどう違うのだろうか?
景気は普通でも上昇したり下降したりする。
その下降局面では経済が低調になり、企業収益が悪化し、株価が売られ、金利が低下する。
でも、経済ハリケーンは全く異なり、急激で大幅な経済悪化をもたらす。

筆者はその境目には二つの現象が出てくると考えている。

一つは投資の失敗による企業やファンドの破たん。

1990年の日本バブル崩壊は金融会社の破綻が連続して続き、住専各社、拓殖銀、山一証券などの大型倒産を引き起こした。
いすれも不動産バブル崩壊による投資損失、簿外債務の拡大によるものだった。

1998年にはアジア・ロシア危機から巨額の損失を出したLTCMが破たん、その対策としての金融緩和によりITバブルが巨大化した。
金融緩和によるあぶく銭が株価を持ち上げ破裂・・・エンロンの破たんなどを引き起こした。

2008年にはサブプライム問題が深刻化し、パリバ危機から1年後に巨大証券リーマンブラザーズが破綻した。
証券化や金融技術の進歩が投資リスクを巨大化・複雑化させ、金融システムリスクが市場を大混乱させたのがリーマン危機を拡大させた。

金融緩和による価格バブルの拡大、レバレッジを掛け過ぎた投資ファンドの拡大、それが破裂した時に起きるのが「経済ハリケーン」だと思う。

現在、こうした投資失敗による破たんが起こっているわけではない。
しかし、その芽はいろんな分野にある。
例えば、ETFでは、1年トータルリターン-59%のアークイノベーションETF、同じく-55%のクレーンシェアーズCSIチャイナETFあたりは巨額の損失を出している可能性がある。

商品市場でも原油・天然ガス先物やオプションあたりはかなりのボラティリティなのでデリバティブでは大きく損益変動が出ていると推測している。
ロシア株や債券での損失発生が危惧されたが、今のところロシア市場も平穏だ。

予想していない分野から巨額損失が出てくる可能性もあるが、なんとも言えない。
すべて今後の問題なので注視はするべきだが、すぐに「経済ハリケーン」が来るとも言えない。




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ジェイミーダイモンの「経済ハリケーン」を考える(1)

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JPモルガンのジェミー・ダイモン氏が「大規模な量的引き締め、ウクライナ戦争、前例のないイベントに市場は直面している、経済のハリケーンに備えよ」と警告している。
世界のJPモルガンのリーダーとして金融資本市場を長年見てきたダイモン氏の警告の意味は深い。

個人投資家はこの警告をどう捉えるべきなのかを考えてみたい。
経済や市場が大きく動揺した時、何が市場の動揺を極端に拡大させたかを見てみたい。

①1990年代始めの日本バブルの崩壊。
90年始めからバブルの崩壊が始まり、株価が下落し始めた。
でも「経済ハリケーン」は不動産市場で、不動産価格の下落が銀行の担保割れを加速化し、銀行の膨大な不良債権を発生させたことだ。
銀行の与信能力が低下し、それがさらなる不動産危機に発展すると言う無限連鎖的は危機につながった。
株価下落が金融のシステミックリスクにつながった事が「経済ハリケーン」の本質だった。

②1998年の金融危機~2000年ITバブルの崩壊
この局面は現在にけっこう似ている。
1998年のアジア・ロシア通貨危機、過剰なレバレッジを掛けたロシア債のロングショートで破綻したロングターム・キャピタル・マネージメントの破たん、そしてこの混乱を回避するための金融緩和がITバブルの作った。
新型コロナ禍から過剰な金融・量的緩和を実行し、GAFAを中心としてNASDAQ急騰、そして、金融引き締め、量的引き締めという流れが何となく似ている。

③2007年パリバショックから2008年のリーマン危機の大暴落。
米住宅ブーム、より所得の低い層へ住宅ローン(サブプライムローン)のブーム、そして、サブプライムを基に作成されたMBS、さらにそれを切り分け束にしたCDOへ急拡大し住宅バブルが崩壊。
サブプライムローンが焦げ付き、さらに証券化され束にされて投資家に販売されていたため、危機が急拡大し金融システム全体の危機に広がった。

この30年間に起こった「経済ハリケーン」だが、単なる株価下落、景気循環ではない資産価格の大暴落となったのは、いくつかの理由があった。
次回、もう少し考えてみたい。



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投げなきゃ、クライマックスは来ない

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1月FOMC前、多くの市場関係者が「これだけ株価が下がったのでFRBは(株価に配慮して)タカ派発言はできない」とFOMC後に大規模な「ショートカバーが入る」と期待していた。
その根拠のない期待がはがれ、翌朝の日本市場は2万7000円を割れた。

パウエル・プットは期待していいのだろうか?

筆者はFRB議長としてのパウエル氏の力量は評価していない。
政治家の意向でパウエルFRBが右往左往しすぎているからだ。
おそらく、バイデン大統領もパウエル氏も株価下落で政策を変更することはないだろう。

一つは物価上昇を抑え込むことが最優先課題となっていること。
中間選挙に向けて支持率が落ちたバイデン政権は、支持率回復の一番地だと考えているのが物価のコントロールだ。
バーデン政権の意向を受けたパウエル・FRBも「株価よりも物価の抑制」を変えることはなさそうだ。

もう一つは、超格差社会の米国では株価下落を喜ぶ層が一定程度いることだ。
彼らの政治的影響力は民主党の得票につながる。
トランプの影響力が再拡大している現在、バイデン民主党が株価対策に税金を投入することはありえないだろう。

というわけでこの調整が大規模化していく理屈だが、それでも市場は市場。
当面見えている材料を織り込めば、自律反発に入る。
それには「買い方の投げ売り」が出切るかどうかだ。

このところの人気株の信用残で「投げ」が出たかどうかを確認してみよう。
       信用買残          株価
       12/30   1/21       12/30   1/21       
レーザーテク 100.5万株 208万株  2.1倍 35290円 26770円 -24% 
東京エレク  35.1万株   74.6万株 2.1倍    66280円 57510円 -13%
メルカリ   144万株  180万株 1.3倍  5860円    4850円  -17%

この人気株3銘柄は今年に入り株価急落に見舞われたが、その間、信用買残はなんと爆発的に増加していた。
個人投資家のかなり「強烈な押し目買い」が入ったためだ。
これではセリング・クライマックスは来ない。
この数字は1月21日までの推移だが、その後さらに株価が下落し、現在ではレーザーテクが29%、東京エレクが18%、メルカリが30%という下落率だ。

信用残の追証が出始め、「投げ売り」によるセリング・クライマックスが起こるかもしれない。



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ボラティリティ上昇は大儲けのチャンス(2)

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ボラティリティは筆者の好物で、ボラティリティが上がってくると興奮を覚える・・・ボラティリティのピークで株を買えば大儲けできる・・・と11/30のブログで書いた。

でも、実はその後、株を買っていない。
それは未だにピークに至っていないと判断しているからだ。
では、ボラティリティの現状を再確認してみよう。

以下の一覧表は、S&P500とNYダウとNASDAQのボラティリティ指数(VIX指数)だ。

     1月19日 過去1か月レンジ  過去3か月レンジ
S&P500 23.8 22.8~16.6 30.6~15.1
NYダウ    21.8 22.9~17.2 29.8~14.6
NASDAQ    29.0 25.9~21.2 33.4~18.5

この三指数のボラティリティを比較すると、NASDAQのボラティリティが相対的に高く、過去1か月レンジの上限を越えてしまった。
一方、NYダウは過去1か月レンジの範囲内にあり全く位置が異なっている。
最近のグロースからバリューへのスイッチが背景にある。

過去3か月レンジで見ると、それぞれレンジの中央に位置し比較的高めの水準だが、まだピーク水準には達していない。
経験的には、調整の最終局面では良い会社も悪い会社も、グロース株もバリュー株もすべて下落し、いわゆる「セリングクライマックス」を引き起こす。
そういう意味ではNASDAQもNYダウもS&P500も同じように下落しボラティリティが上昇する時、明確な買い場になると考えている。
おそらく、各種VIX指数が再度過去3か月レンジの上限を越えていく。
早ければ1月末、2月中には「セリングクライマックス」が来るかもしれない。

そのボラティリティのピーク時に株を買えば大儲けもできる。
現在、筆者のキャッシュポジションは50%あり、底値と判断すれば果敢に買いに出るつもりだ。
タイミングを狙って虎視眈々と相場を見ている。


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ボラティリティは大儲けのチャンス

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米国の恐怖指数VIX指数が久しぶりに急上昇した。
たった1日でVIX指数が18.5%から28.6%に10ポイントもジャンプし、一気に市場は混乱状態に入った。
昨日は5ポイント低下し、22%程度になっているが、まだまだ高水準にある。

天邪鬼な性格のせいだろうか、筆者はボラティリティが上昇してくると興奮を覚える。
VIX指数が急上昇した後は通常1~2か月以内に平常に戻り、そのリバウンドで大儲けできるからだ。
ボラティリティの高い市場には大きく儲けるチャンスがある。

筆者は二つのポイントに注目して見ている。
一つはオミクロン株の世界での広がり方、もう一つは主要国の入国制限から影響されるサプライチェーンの目詰まりの広がり方だ。

オミクロン株の話は2週間程度でもう少し分かってくる。
ワクチンがどの程度有効なのか、開発中の経口治療薬が効くのか、国境閉鎖で国内へのウィルス流入を抑えられるのか、だんだん分かってくる。
主要国の対応が早いので、筆者はオミクロン株自体はそれほど恐れていない。
各国の規制強化が感染のグローバルな広がりを抑える。

しかし、その反面、日本が全世界からの外国人の入国禁止、米国・英国の入国規制の強化、その他の地域での入国管理の強化・・・これらが続くと、世界の人流と物流に影響する。

島国の英国や日本は簡単に国境を閉鎖でき、水際対策の強化でウィルスを抑え込めるかもしれない。
米国も入国制限を行い、欧州各国も入国時の規制を強化している。
オミクロン株の広がりが確認されれば、さらに強い国境管理が必要になってくる。
そうなると、再度グローバル物流が途絶え、サプライチェーンが混乱を引き起こすかもしれない。

この二つの視点から状況をじっくりと見ていくつもりだ。

このボラティリティの高い市場で大きな取引チャンスが来るだろう。
じっくりとタイミングを見る。
おそらく、予想以上に割安に株式を買える時が来るだろう。
それを虎視眈々と見ていくことだ。


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パウエル氏、「ハト派」の限界(2)

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過去のFRB議長とパウエル氏の違いを見てきた。
グリーンスパン氏は市場との対話に優れ、FRBの考え方をうまく市場に織り込ませ、政策の信頼性を格段に引き上げた。
バーナンキ氏は突然のテーパリング発言をして、将来の政策変更をソフトランディングさせた。
では、現FRB議長のパウエル氏はどうだろうか?

パウエル氏は就任以来ずっと「ハト派」だが・・・4~5月までに三つの局面変化が見込まれる。

FEDのバランスシートの総資産
3月末     4月末  5月末  7月末  9月末  11月末 1月現在
5.25兆ドル 6.65 7.09 6.94 7.05 7.21 7.40

FRBは毎月800億ドルの国債、400億ドルのMBSを買い入れているが、バランスシートの増加は7月以降緩慢なままだ。
FRBの保有債券が償還され、買い入れ額と償還金額の差であるネットの買い入れ額がそれほど増えていない・・・つまり、「ハト派」のわりにジャブジャブの資金供給をしているわけではない。
広義流動性(M3やM4)も中銀の資金供給を反映して年率10%以上のペースで伸びてきたが、4~5月になると前年水準が上がり、伸び率が一気に低下してくる。
緩和効果が一巡してくる・・・これが第一の局面変化だ。

米国では感染者数が26000万人、ワクチン接種が2700万人・・・ワクチン接種者とコロナ抗体保有者の合計5300万人。
集団免疫とまではいかないが、人口3.3億人に対して六分の一が免疫抗体を持っている勘定になる。
もちろんワクチンの効果はこれから検証されていくのだろうが・・・
いずれにしてもワクチン接種が増加すると、コロナ後の経済正常化への期待が増えていくだろう・・・これが第二の局面変化だ。

バイデンの追加財政措置が議会を通過すればインフレ期待も増大する。
共和党は反対しているので議会では紆余曲折があるだろうけど、仮に減額されようがいずれ通過する。
バイデンの追加バラマキ政策によって、景気回復が明確になれば米国長期金利がさらに上昇してくる。・・・これが第三の局面変化だ。

その時、こうした局面変化に対してパウエル氏は「ハト派」を続けるだろうか?
「ハト派」の限界のように思われる。

株式市場ではITサービスや巣ごもり関連など「ウィズコロナ型」の銘柄が調整圧力に受け、旅行やレジャー・娯楽関連など「アフターコロナ型」の銘柄が自律反発してきている。
これも近い将来の局面変化を感じているからなのかもしれない。


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パウエル氏、「ハト派」の限界(1)

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市場との対話が一番うまかったのは、やっぱりグリーンスパン氏だったのかもしれない。
1996年頃だったと思うが、グリーンスパンは株式市場を「irrational exuberance=根拠なき熱狂」と表現した。
非合理的な熱狂による株価上昇だと、株式市場の過熱を警告したわけだ。
これがどのぐらいのガス抜きになったかは定量的には分からない。
しかし、4年後にITバブルが頂点に達し暴落するまで、少なくとも数年間にわたる金融市場の安定を達成したといえる。

次のFRB議長、バーナンキ氏も市場の「期待」をよく理解していたと思う。
2013年のバーナンキショックの時は投資顧問の運用ヘッドだったが、今でもよく覚えている・・・突然、テーパー(量的緩和の縮小)発言をしたからだ。
もちろん、市場はすぐさま大きな変動を起こし、長期金利が急上昇し株価が急落した。
それが「テーパータントラム」と呼ばれた市場の調整場面だ。
でも逆にこの「バーナンキ・ショック」により、市場はテーパリングのリスクを織り込みソフトランディングできたといえる。

景気や企業業績などファンダメンタル要因、中銀の資金供給などの需給要因が基本的な株価トレンドを作る。
しかし、「期待」がさらに強い「期待」を生んでいくと、ファンダメンタルや需給にそった株価トレンドから「乖離」が生じてしまう。
こうした過剰な「期待」による市場の「乖離」は時折調整されなければならない。
過剰な「期待」は膨らみ過ぎると、大きなバブル崩壊を招いてしまうからだ。
グリーンスパン氏やバーナンキ氏はこの事をよく理解していた。

では、現FRB議長のパウエル氏はどうだろう。
常に「ハト派」で市場に対してやさしい発言しかしない。
そこがグリーンスパン氏やバーナンキ氏と一番違うところだ。
これが金融市場に緩みを生み、株式市場を必要以上に上昇させ、ファンダメンタルからの乖離を作ってしまった。
過剰な流動性が市場を大きく歪めている。
ロビンフッダーと呼ばれる個人投資家が群れを作って株式売買し、一時はテスラ株を急騰させ、現在では空売りが多い銘柄が持ち上げ、ショート・スクイーズを狙う。

一貫して市場に優しい「ハト派」のパウエル氏・・・


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WHO、追い込まれてパンデミック宣言

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WHOがパンデミック宣言をした。
そもそも、このテドロスとかいう事務総長は怪しげだった・・・中国で新型コロナが発生し武漢を閉鎖した頃、「中国はよくやっている」と、習近平を盛んに持ち上げていた。
ところが、イタリアで感染爆発し欧州大陸全般に拡散して、WHOの当初の甘い判断が糾弾されそうになると、一転、態度を変えた・・・それが今回のパンデミック宣言だろう。

欧米での1日を時系列で追うと・・・
・UKで感染ケースが22%急増し456人に、欧州の感染源のイタリアでは31%増加。
・イタリアで全ビジネスを停止、日用品や薬屋を除く。
・NYのバスケトーナメントを無観客に。
・シアトルで公立学校を閉鎖。
・プリンストンのパーティで集団感染。
・NY州は民間研究機関とウィルス・テストを増やすために対応協議。
・英国政府は緊急事態法のドラフトで労働党との協働を要請。
・オハイオ州では大規模集会を規制。
・全米で大規模なイベントを規制の方向、ワシントンは1000人以上の集会を中止要請。
・サンフランシスコは1000人以上のイベント(NBAなどを含む)の中止を要請。
・クウェートは国境を閉鎖。
・そして・・・WHOがパンデミックを宣言。
・NY州はシフトを2つに分けた就業、並びにテレワークの許容を企業に推奨。
・ハンガリー政府、緊急事態宣言、大学の閉鎖。
・英国政府、緊急経済パッケージ、約4000億円を発表。
・トロントで2万人が参加したマイニング・カンファランスで集団感染。

この一連のニュースを見ていると、欧米社会が新型コロナに震撼し、一気に恐怖に包まれた様子が見て取れる。
急速な感染拡大でブルブルと震える欧米の白人エスタブリッシュメント層の姿が見える・・・これで一気にWHO批判が強まるだろう・・・テドロス氏も追い詰められていったのだろうと思う。
ちょっと可哀そうな気もするが、中国からワイロをもらっているという噂もある。
WHOの権威が下落したのは間違いない。
でも、東京オリンピックも遠のいた感じ・・・せっかく観戦チケット当たったのになあ・・・?


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急落相場の読み方(2)

前回、過去の急落相場を経験的に三つのパターンに分け、基本的な説明をした。
そのうち、最も危険なのは、「半値、八掛け」型の下落で、これを想定したら買いポジションは投げるしかない。
「40%調整」型は景気循環による下落で、再び景気が回復するまで買いポジションを持ち続けるという選択もできる。
そして「20%調整」型は需給による株価変動で、これを積極的に売買タイミングとして考え、より良い運用ができる。
この意味で「20%調整」の読み方は運用のテクニックとしても重要じゃな。

相場格言では「3割高下にむかえ」というのがあり、3割下落したら買えと押し目買いを勧める。
しかし、一方で「落ちてくるナイフはさわるな」ともいい、安易な押し目買いを慎めとしている。
ここで最も大切なのは説明した三つのパターンのどれを当てはめるかの判断だ。
需給による「20%調整」なら買い向かうのが基本になる。
「半値、八掛け」や「40%調整」では押し目買いは危険じゃ。

需給による急落は、市場心理の読み方で書いたとおり、市場心理が大きく影響している。
そのため、値幅と日柄から考えることが有効なテクニックとなる。

まず、値幅じゃが、今回のNYダウの動き(引け値ベース)をみてみよう。
1/26高値26616ドルから2/8の23860ドルまで2756ドル、10.3%の下落を記録している・・・これが第一段の下落。
その後2/26の25709ドルまで戻った位置から、第二段の下落に入る。
値幅のメドは、同幅の下落を想定すると22953ドル、同率の下落を想定すると23060ドルとなる。
しかし実際には第二段で下落ペースを加速させてくる場合もあるので注意が必要だ。

次に日柄じゃが、ワシはこっちの方が使えると思うんじゃな。
繰り返しになるが、日柄とは投資家の興味が持続する期間だ。
人間は忘れる動物、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」もので下落相場も期間限定だ。
今回のNY市場の急落が始まったのは3/22で、トランプの対中国関税引き上げでこれが米中貿易戦争への拡大が懸念されたことだ。
このニュースは全世界に広がり世界中の株式市場が大幅な下落、これが起点だ。

日柄で重要なのは、まず7日目。
「放れ七手変化底」(酒田五法)と昔から言われているが、7日もたてば鈍感な人でもこのニュースを知っているし、専門家がいろいろ分析して説明している頃でもある。
というわけでまず最初に織り込み済になる期間なのだ。
途中で戻りを入れている場合は、もうちょっと期間を長く見ておく方がいいだろう。
経験的には9日、15日が重要な日柄だ。
3/22を起点に、7日目は4/2、9日目は4/4、15日目は4/15だ。
米中貿易問題を市場が織り込む期間として、ワシは注目している。



急落相場の読み方(1)

先週はNY市場の急落で終わり、市場関係者の言葉を借りれば「引け味が悪い」らしい。
急落がなぜ起こるか、ワシャ、経験的に三つのパターンがある思うんじゃ。

まず、一番危険なのは、「半値、八掛け、二割引き」型の下落だ。
これは何かのバブルが崩壊したあとに現れる暴落で、半値(50%下落)、さらに八掛け(20%下落)、そしてさらに二割引き(20%の下落)と合計68%の下落がメドとなる。
1990年の東京市場。バブルのピーク1989年末、日経平均の史上最高値39000円から暴落を始める。
当時の日銀総裁三重野さんがバブル退治を始め、不動産総量規制、急激な金融引き締めを実行したからだが、株価急落で企業のクレジット(信用)が大きく棄損してしまった。
これがさらなる下落をまねき、不動産価格も暴落状態になった。
その前数年で銀行融資が300兆円増加したが、その多くの不動産関連融資が次々と不良債権化してしまった。
結局、日経平均は半値の2万円で止まらず、八掛け15000円を割り下げ止まった。

もう一つは2008年のリーマンショック後の下落。
サブプライム危機から下落していた株価は、9月に大手投資銀リーマンブラザーズの破たんからさらに急落。
今でも忘れられないのは、その1-2か月後、商社などから入ってきた貿易がフリーズしているという情報だった。
モノの取引のうしろには必ずカネの流れ=融資があり、貿易は信用で成り立っている。
リーマン後のクレジットクランチ(信用収縮)で貿易金融が凍結されたようだった。
貿易はグローバル経済の血流で、これが止まると・・・ショック死しかねない・・・ギョッとした。
こうしてクレジットクランチが株価の下落をさらに拡大させた。
結局、リーマン前の高値19000円前後から半値(9000円台)、さらに八掛け(7000円台)までの暴落となった。

クレジットクランチを引き起こす株価下落はめったなことでは起こらない。
しかし、一旦起こるとたいへんな惨状をまねくから要注意じゃ。

次のパターンは、リセッション(景気後退)型で、だいたい、40%以内の下落だ。
これは数年に一度起こる株価調整で、通常の設備投資循環などによって引き起こされるものだ。
しかし、最近はきれいな投資循環もあまり見かけなくなってしまった。
経済も株価もショックで動いているからな。

最後は株式需給による調整で、だいたい、20%以内の調整だ。
これは買い手が目一杯のポジションを取ると、それ以上買う人がいなくなり反落する。
売り手が全部売却すると、それ以上の売り手がいなくなり反発する。
そんな需給よる株価変動で、普通に日常的に起こっていることだ。

この三つの急落パターンのどれが当てはまるかの判断が重要だ。
クレジットクランチの兆候があれば大きな調整を予想するし、景気後退につながるならMAX40%程度の調整を想定するし、単なる需給要因ならMAX20%程度を想定すれば十分だ。
次は一番よく起こる需給による株価調整をもう少し考えてみたい。

おまけ。
ビットコインはこの「半値、八掛け、二割引き」のパターンに入っている。2万ドルでピークを打ったてから、半値1万ドルを割り込み、八掛け8000ドルを割り込んだ。あと残るは二割引き6400ドルだけだ。




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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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