株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

世界の巨大投資家

女神を失った香港はどこへ?

香港日足202312













香港ハンセン指数の日足。 酷い下げだ。 香港の「民主改革の女神」と呼ばれた周庭さんが香港を去り、カナダの大学院に進学するとともに亡命すると報じされている。
雨傘運動から始まる、香港の学生による反中国化運動の中心的な女神だった。
共産党の「香港の中国化」方針に対して、民主主義の香港を守ろうとしたジャンヌダルクみたいな象徴的な女性だった。

厳しい妨害、投獄を経験をしながらも香港の自由を守る活動を続けていくと思われていたが、今回の彼女の香港脱出、亡命で大きく香港の運命が変わってしまうだろう。
二つの中国を守る、香港の自由や自治を守る人はもう誰もいない。
アヘン戦争以降、英国領になり99年の租借の期限が切れ、二つの中国(1国2制度)による自由で高度な自治が認められたはずだった香港。
その香港はもう消滅してしまった。

筆者はアジア株の運用責任者だった時、毎月香港に出張し、自らリサーチし、アナリストやファンドマネジャーと議論をした。
この頃の香港はまだまだ英国の雰囲気を残していた。
オフィスのあった中環(セントラル)から湾仔(ワンチャイ)の方にブラブラ行くと、英国風のパブが並ぶ一角があり、パブでよくビールを飲んだ。
また銅ら湾(コーズウェイベイ)の海鮮レストランもよく行ったし、海を渡った反対側にある尖沙咀(チムサーツィ)の露天市も雰囲気が良くてよく行った。
その頃の香港はまだ英語が通じる場合もあった。

ここ5~6年香港に行っていないが、たぶん、女神を失った香港は大きく変貌していると思う。
本格的な「中国化」が始まっているだろう。
共産主義が幼児教育で叩き込まれ、マンダリン(中国標準語)を話すことを強いられているかもしれない。

香港ドルは米ドルとのペッグ制で運用されているが、香港ドルも人民元に飲み込まれてしまうだろう。
李嘉誠氏など香港の富豪たちはこの事態を予測し返還後どんどん資産を海外に移してきた。
でも中流階級の人たちは現在進行形で資産を海外移転しているのだろう。
その一部は東京の高級マンションや軽井沢の不動産に流れている可能性もある。

そして、香港ハンセン指数は・・・悲惨だ。
過去15日間、ほとんど毎日のように下落し、香港株だけが昨年秋のグローバル市場のボトムに接近している。
この15日間、ほとんど反発することもなく下落歩調・・・ということは毎日毎日香港株を売却し続けている投資家がいるということだ。
女神の亡命」は・・・香港という巨大な富を貯めこんだダムが決壊したような感じを覚える。



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第五次中東戦争の可能性

W杯カタール










中東では「普通に考えられない事」が起こっている。
今年4月には「サウジアラビアとイランの国交正常化」が突然発表された。
その発表は北京で行われ、関係正常化の仲介をしたのが中国・習近平だった。

シーア派の頭領のイラン、スンニ派の重鎮のサウジ、この両国は過去、中東地域のいたる所で代理紛争を行ってきた。
数年前にはイエメンのシーア派過激派の内戦に対してサウジが軍事攻撃を実施した時、そのイエメン過激派を背後で支援していたのがイランだった。
ドローン攻撃やミサイル襲撃でイエメンが大被害を受けたが、その後もくすぶっていた・・・そのイランとサウジが国交回復を合意、シーア派とスンニ派が手を結んだことで中東の力学が「大きな変化の波」に晒されている。

この合意の背後にいる中国は、何をもってサウジ・イランの正常化を行ったのだろう?
中東の「大変化の波」が動き始め、そして、その背後に中国・習近平がいるのは事実だ。
ここがなんとも不安感を増幅してしまう。

そんな情勢の中東でパレスチナで武力衝突が起こった。
ハマスがイスラエルに大規模攻撃を行い1000人以上の死亡者を出し、多くのイスラエル人や外国人を人質に取ったと報道されている。
部分的な一時的な衝突で終わるかもしれないがそうでない可能性もある。

ここからは筆者の想像で「アタマの体操」ではあるが・・・

サウジアラビアは「サウド家」を中心としたモハンマド・ビン・サルマン皇太子の独裁政権であり、ある意味完全に強権国家、人権も民主主義もない国だ。
イランにしてもシーア派のイスラム国家ですべてにイスラム教義が最優先され、女性の人権迫害が激しい民主主義も人権も何もない国だ。
そして、中国もアメリカに人権問題で叩かれ経済的にも対立し孤立化している、人権や民主主義のない国だ。

この三つの国家は「強権的な独裁国家」という共通点を持っている。
それが「サウド家」という血筋による独裁なのか、イスラム教シーア派の宗教的独裁なのか、共産党・習近平の個人崇拝による独裁なのか、の違いだけだ。
この三国は人権や民主主義を基盤に持つ米国や欧州各国とは基本的に相いれない。

この三か国を中心に当事者のハマス、自国民を大量殺りくしたアサド・シリア、シーア派過激組織ヒズボラの拠点であるレバノン、内戦が終結するかもしれないイエメンなどがこの国家連合に入ってくるかもしれない。
さらにはロシアや北朝鮮とも反人権・反民主主義で固まってくる可能性もゼロとはいえない。

となると、話が複雑になる。
シーア派過激組織・ハマスのイスラエル攻撃、民間人の拉致などもこの三カ国が背後にいるとしたら、中東アラブとイスラエルの本格的な戦争に発展する可能性がある。
「領土」に強烈な執着を持つある中国やサウジ・イランが「パレスチナ問題」に最終的な決着を付けようとしたら、米国主導で成立した国家イスラエルの排除、イスラムの聖地・エルサレムの完全支配を掲げて全面戦争に入るかもしれない。

サウジ・イランの和解の背後に「中国の密約」があるとしたら、強大な軍備を持つ中国がその膨大な武器を中東過激派勢力支援に使ったら・・・恐ろしい。
しばらくは小競り合いだろうが、どう戦線が拡大するかを注視しておきたい。




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中国を訪問するだけで緊張感

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中国が情報管理・外人管理を強化し、逮捕される外国人が急増している。
愛国を全面に出した習近平政権では、外国人の訪問時に言い知れない緊張感をもたらしているだろう。
愛国の旗印の下、外国人のスパイ管理を逮捕されれば、実刑を食らうのが見えているからだ。

昔、運用会社のCIOをしていた頃、中国に二人の顧客がいた、一つには中国のソブリンファンドであるCIC、もう一つは中国の外貨管理局(中銀である人民銀行に近い)であるSAFEだ。

CICを訪問する時は拉致されるリスクとかはあまり感じることはなかった。
レセプションも欧米の機関投資家によくあるタイプで、オープンな感じでカウンターがあり女性レセプションが応対してくれた。
何も感じずにCICの応接室に案内された。
CICは運用に特化した組織で、欧米で教育を受けた人たちが主流で「言葉の通じる」間柄とも
いえた。

でもSAFE、中国外貨管理局は全く違った。
もっとずっと官僚的で、訪問予定の時間が5分違えば入れない厳格な入退管理を行っていた。
交通渋滞で有名な天安門広場を横切り反対側の政府機関が多くある地域に行く。
遅れては問題になるし、早すぎると時間調整をしなければならない・・・ちとメンドくさい。

通された応接室には大きなテーブルに椅子が4つ配置され、会談メインの二者、その後に通訳が座る二つの椅子が置かれていた。
その他のメンバーはその両脇に配置されている椅子に座るのだが、当方は二人、社長がメインの椅子に座り、私はサイドにある椅子に座った。
部下の通訳担当は社長の後ろにある通訳椅子にいた。

不思議なのは、相手方も同じ配置で座っていることだ。
SAFEのメインはナンバー2の副議長だが、彼は国家公務員の相当上位にいる官僚だった。
通訳担当からも相当上位の官僚なので言動に気を付けるように言われた。
何かあれば逮捕される可能性もないとは言えないからだ。

運用に関する質問もなく、外交辞令的な会話で終わった。
中国ではこうした「外交辞令的な会話」が重要で、議論をしてはいけないルールがある。
その場は波風を立てず穏便に終わるが、実は穏便ではないかもしれない、というのが中国の難しいところだ。
運用については素晴らしいとはいえないパフォーマンスだったので、いろいろ指摘されるだろうと想定して質疑応答を考えていたが、全くそんな質問はなかった。

その場はそれで終わり。
でも、その後、メールでパフォーマンスには不満があると伝えられた。
メールで丁寧に回答したが・・・そんなんなら、何故、ミーティングの場で質問しなかったのか理解できない。
中国では外交辞令的なやりとりと、本音のやり取りは別々なのだろう。
この「二度手間なやり取り」だけで、時間がかかるし、やり取りのメンドくさい取引相手でもあった。

その中国がさらに愛国政策を強化している。
中国を訪問する日本人の緊張は当時よりも格段に増しているだろうと想像できる。
一段と「ヤバい」国になってしまい、もう行きたくないなあ・・・?



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中東はワイルドカード

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アラビア半島の国々は本来非常に「エコ」な国だ。
上の写真はドバイの旧市街だが、この土色の建物は中東の「エコ」そのものだ。
この建物はもちろん竹や材木で骨組みを作り、その骨組みに土を塗って建物を作る。
もともと存在した土で作られた建物は、壊せば再び大地に戻る。
ベドウィンなどは遊牧民生活で、砂漠を転々と移動することが普通だった。
その意味では中東の建物は「すぐに土に還る」=「エコ」だった。

その「エコ」アラビア半島、中東地域が世界の今後を左右する存在になるかもしれないと思う。
トライブ=部族で成立してきた国家で、歴史的に国境はあまり意味を持っていない。
部族は歴史的に近い関係だったために「兄弟は他人の始まり」的な諍いや紛争が絶えなかった。

イスラム教という宗教は同じコーランを基本としていながら、預言者モハンマドの後継者を巡る考え方の違いで「スンニ派=サウジアラビアを中心とする部族」と「シーア派=イランを中心とする部族」に分かれ対立してきた。
宗教的にも地域的にも対立が多かった、この構図が大きく変化し始めている。

ある意味、宗教的な対立は歴史的にも民族的にも根深いと思ってきた人たちには大きな驚きだった。
サウジのモハンマド皇太子(MBS氏)は中東の政治・宗教を大きく変えた。
イランとサウジが国交回復し、関係を修復、連合を組むなんて伝統的なアラブ社会を見てきた人たちのには信じられない事だった。

何がアラブ人を変化させているのだろうか?

サウジのモハンマド皇太子は石油枯渇後の中東地域を考えてきた。
地球温暖化は確実に化石燃料への需要を減らす、中東は「資源の枯渇」に対応してきたが、最大の問題は枯渇ではなく「エコ」だった。
歴史的に「エコ」で生活してきた中東民にとっては大きな転換期になるのだろう。

中東では多くのインド人が働いていて、出入国管理も瞳孔による生態認証を使うなど「インド流」のITシステムを使っている。
中東とインドは意外と親密な歴史的な関係があり、インドが「グローバルサウス」を主導していく中でアラブ世界との関係が大きな勢力になってくるかもしれない。
インドとサウジ・イランが組むと大きな影響力を持つ「第三極」が出来上がってくる。
しかもイランとの関係が悪いアメリカは口出しできない。

岸田首相がサウジ・ムハンマド皇太子と会談を行ったようだが、どこまで突っ込んだ話をおこなったのだろうか?


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「SAMA」から「PIF」へ

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サウジアラビアの通貨庁(SAMA)がお客さんで運用報告で毎年訪問した。
リヤドの空港はまさに砂漠のど真ん中にある、着陸するとコーランが流れていてイミグレ―ションを通過し、外に出ると高速道路の回りに街路樹が生えている程度であとは何もない砂漠。

リヤドの中心部は茶色の砂漠の砂のような色をした低層の建物が多く、SAMA本部はその中にある。
もう一つのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)は当時建設中のだったが、今ではリッパな高層ビルになっているだろう。
SAMAはサウジの中銀であり、外貨準備の管理機関であり、ソブリンファンドの運用機関であり、公務員年金の運用機関でもあった。
2010年代前半の当時、石油収入を安定的に運用するのが目標で70~80兆円を運用していた。

ところが、サルマン国王時代に入りMBS氏(ムハンマド・ビン・サルマン)が圧倒的な権力を持つと大きく変化し、安定運用のSAMAから積極運用のPIFへと急激な資金シフトが行われた。
PIFはシンガポールのGICに近い巨額な集中投資を行う皇太子の直轄機関だ。
先日、任天堂株の8%以上を買ったのもPIFだ。

運用資産を見ると、SAMAの運用資産は減少し現在60~70兆円、それに対してPIFの運用資産は60兆円に達していると見られ、ほぼ肩を並べたのかもしれない。
MBS氏はまだまだ若くリスクを取れる年代で、老いたSAMA長官とは一味もふた味に違うタイプだし、MBS氏に反対する人は誰もいない。

サウジを代表するソブリンファンドが「SAMA」から「PIF」に大きくシフトした。
リスクを分散したポートフォリオ運用から、尖った集中投資運用を行う方向に変化したように見える。
おそらく理由はインデックス運用のパフォーマンス期待が低下していることだろうし、そう考えると他のソブリンファンドも同様の傾向になってくるのではないだろうと思われる。

これが世界の株式市場の性格を変えてしまうかもしれない。
こうしたソブリンファンドの動きが、インデックス投資のリターンをさらに引き下げ、個別集中投資のリターンを引き上げていくことになる。
インデックス運用の全盛時代に何か変化を感じさせる出来事だった。

拙書「株式需給の達人(世界の巨大投資家編)」で世界のソブリンファンドの訪問記録、並びに運用規模・手法・株式市場への影響などを書いています。
よろしければ一読をお勧めします!!


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GPIFの3Q運用状況から見えること

GPIF











GPIFが2022年度第三四半期の運用状況を発表した。
ポートフォリオ全体では今年度は7兆3252億円の損失だった。
損失額自体はどうでもいいが、筆者はいくつかの点で非常に興味も持っていた。
その点を確認してみよう。

まず第一に信託銀行の継続売りがGPIFだったのかどうか

この1月に市場関係者の間での話題は、信託銀行の売り越しが11週間も続いてきたこと。
何人かの解説者は、パフォーマンスの良い日本株のウェートが高くなり、リバランスの売りが出ているという「GPIFのリバランス説」を指摘していた。

でも、四資産ウェートを見ると、円債26.07%、外債24.59%、内株25.07%、外株24.27%と各資産配分25%に対して大きく乖離している資産はなかった。
日本株についても12月末で25.07%とほぼベンチマーク通りだった。
この比率では「GPIFリバランス説」は当てはまらない。
それでは誰が信託銀行経由で売っているのだろうか?

第二に外株が10~12月で大きく上昇し、GPIFのリターンにどう影響していたか

米NYダウは28725⇒33147ドルへ15.3%上昇、独DAXは12114⇒13924ポイントへ14.9%の上昇となった。
にもかかわらず、GPIFの外株リターンは-0.01%とほぼ横ばいにとどまった。
これは為替の影響だが、株価の上昇分をきれいに為替のマイナスが相殺した。

海外投資は現地通貨建てのパフォーマンスよりも為替のパフォーマンスで決まることが再確認された。
為替はほぼ100~125円/ドルで極めて安定した動きを長期間続けてきたが、それは金融政策が各国とも超緩和スタンスで一致してきたからだ。
金融政策の方向がバラバラになると為替は不安定になる。
ほぼほぼ引き締めの最終局面に来た米国、まだまだ引き締め局面にある欧州、これから金利正常化に向かう日本。
為替のボラティリティが高い状況は続きそうだ。

第三に予想以上にGPIFのパフォーマンスが悪いこと

海外資産の4~12月リターンをベンチマーク(BM)と比べると・・・
外債-5.02%、BM-4.28%で、0.74%の劣後。
外株-6.04%、BM-5.87%と、0.17%の劣後。

この外債と外株の2資産だけでGPIFパフォーマンスを1%程度引き下げている。
多くの運用会社は絶対値ではなく、対BMで運用を行っているので、1%もBMリターンを劣後したら大問題になる。
GPIFは90%はインデックス運用なのにBMを劣後・・・ということはわずかなアクティブ運用会社が大きく負けたのかもしれない。
運用会社の選び方が難しくなっているといえる。
個人投資家の投信選びも同じだろう。


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W杯始まる、カタールってどんなとこ?

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カタールでワールドカップが始まった。
なんといっても国家を賭けて戦う、4年に一度の真剣勝負が楽しみだ。
でもカタールはイスラム教の小国で、開催前から女性やLGBTに対する人権問題、外国人労働者の差別問題などが指摘されている。
中東地域の投資家訪問で天然ガスを潤うQIA(カタール・インベストメント・オーソリティ)にも毎年のように通った。
50度を超える強烈な暑さだけでなく、タフなマーケティングで苦労したのを覚えている。
当時のドーハはW杯の施設建設で忙しく、多くのインパキ系の労働者が働いていた。

カタールはペルシャ湾に飛び出したアラビア半島の「出ベソ」みたいな国だ。
近くにあるバーレーンは「島」だが、カタールはアラビア半島と陸続きだ。
でもこのカタールはバーレーンと似てて、支配層はスンニ派だが対岸のイランの影響を受け、シーア派住民も多く住んでいる。
それだけにスンニ派の盟主サウジとは微妙な関係でもある。

Wカップの焦点の一つは「アルコール=酒」だろう。
イスラム教の国で表面的には「アルコール」を厳しく規制、でも裏では緩いという二面性を持つ。
日本からはカタールエアでおよそ9時間で近代的なドーハ空港に着く。
そのドーハ空港のラウンジでは「フランスワイン」「スコッチウィスキー」なんでも飲み放題だ。
一方、街中では禁酒でアルコール類の販売は禁止されている。

一番厳しいのがサウジで、宗教警察が監視していて外国人でも飲酒すれば逮捕される。
アブダビ・ドバイ(UAE)が一番緩く、ホテルや外国人向けレストランで飲酒ができる。
カタールはその中間ぐらいで、地元の人たちがいる場所は禁酒、外国人だけの場所ならOKという感じだった。

従ってワールドカップのスタジアムでも表立っては禁酒になる。
W杯にはフーリガンが付き物で、そのフーリガンは物凄い酒豪ぞろいだ。
多くのフーリガンは朝からガンガン飲み、真っ赤な顔をしてスタジアムに行くバスに乗り、スタジアムに到着すると、近所のパブで再びガンガン飲みスタジアムに入るというパターンだ。
そのフーリガンがカタールでどういう行動を取るのだろうか?
一抹の不安が残る。

もう一つは女性・LGBTに対する差別行為だ。
W杯の長い期間には多くの女性やLGBTの人たちが観戦のために集まってくるだろう。
彼らも街を歩き、食事をし、買い物をする、その時、地元のイスラム教徒とぶつかるかもしれない。
イスラム教では女性は男性の庇護を受けるもので、女性を守る=女性の権利を認めない。
一番厳格なサウジでは女性は黒づくめの服で顔や頭髪まで隠し、目しか出ていない服を強制的に着用させられる。
カタールではサウジほど厳格ではないが、髪の毛や肌の露出は禁じられている。

ワールドカップの開催期間中に宗教上の何かしらのトラブルが起こる不安はぬぐえない。
日本代表も「禁アルコール」「禁トンカツ(豚肉)」でがんばってほしい。
日本では酒を飲みながら観戦・・・ガンバレ、日本。



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ポートフォリオ・リバランスは続くか?

株式需給の達人 (投資家編))


















今年は年初からドタバタと各投資家の動きが活発化している。
わずか数日しか経っていないが、マザーズ上場のグロース株、一部のファストリなどの値嵩株、レーザーテックなどの半導体株が急落し、一方、トヨタ・自動車株や三菱UFJ・銀行株などの低PBR銘柄が上昇した。

グロース株からバリュー株へのポートフォリオ・リバランシングが大規模に出ていると、日経CNBCコメンテーター岡村氏が説明している。
顧客のポートフォリオ・リバランスによる資金の移動は、運用会社のCIOをしている時いろいろ経験した。
いくつか誤解もありそうなので、世界の巨大投資家がどうやってポートフォリオ・リバランスをしているのかを確認してみたい。

世界の巨大年金基金は、グロース運用会社とバリュー運用会社のそれぞれに資金を運用委託している。
そのグロース系の委託資金とバリュー系の委託資金のバランスを変えるのがポートフォリオ・リバランスだ。
通常は四半期ごとに運用パフォーマンスやその他の条件を考慮し運用会社へ再配分を行う。
だから、リバランスには時間がかかる。
GPIFでも企業年金連合会でも地方公務員共済でも欧州や米国の海外年金でも理屈は同じで、じっくりと分析して判断して実行する。
一旦判断すると、大規模な売買が生じるので注意が必要だが、短期的に動くことはない。
これが原因とは思えない。

世界の巨大ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)はどうだろうか?
中東のSWFはほとんど年金基金と同じで、バリュー運用会社とグロース運用会社などに資金を配分しているので、年金基金と同じように動く傾向がある。
ただしノルウェー中銀やアブダビのADIA(アディア)は自社運用しているので、その自社運用分は大胆にスピードを持って動く。
彼らがリバランスしている可能性は否定できない。
でもサウジ・SAMAやクウェート・KIAなどの巨額SWFは慎重に判断するのでこんな短期では動けない。

ヘッジファンドは極めて大胆に迅速に動くので、ポートフォリオ・リバランスも大規模に瞬間的に実行できる。
年初からの激変はおそらくヘッジファンドが急激に動き、それをCTAなどの業者が追随したということろではないかと思う。

そう考えると、年初からの動きは短期で収束すると思っていた方がいいだろう。
もし、SWFや年金基金が動き出すとすると、しばらく時間が経ってからだろう。
その場合、3~5月頃のタイミングで大規模なポートフォリオ・リバランスが再度見られるかもしれない。
2001~3年のようなダイナミックはローテーションになる可能性もある。
詳しく知りたい方は「株式需給の達人(巨大投資家編)」を参考にしてください。


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絶好調のGPIFだが、死角がある

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GPIFが今年度第三四半期の運用実績を発表した。
大方の予想の通り、かなり順調なパフォーマンスとなった。
総資産額は177兆円と・・・少子高齢化で厳しい厚生年金制度をちょっとだけ長引かせることができる。
毎年55兆円の年金給付を行っているが、本来厚生年金は世代間扶養(若い人の納めた掛金を高齢者の給付に回すこと)が基本であり、給付額の90%は保険料収入と国庫負担分だ。
残り10%はGPIFの積立金の取り崩しなので、GPIFがパフォーマンスを上げれば、それだけ将来の給付に使える分が増える。

まず、数字で見てみよう。
全体は10-12月期∔6.29%、4ー12月期∔18.49%と極めて順調な実績となった。

4-12月期の4資産のパフォーマンスとベンチマークの比較は以下の通り。
    構成比   4-12月実績  ベンチマーク実績 超過収益   ベンチマーク
円債 23.6%  ー 0.25%  ‐ 0.32%  +0.07%  NOURAーBPI
外債 25.7%  ∔ 5.37%  ∔ 4.12%  +1.25%  FTSE国債IDX
内株 25.4%  ∔29.54%  ∔30.09%  ー0.55%  TOPIX配当込
外株 25.3%  ∔42.29%  ∔42.70%  ー0.41%  MSCI-ACWI

この結果にはいくつかのポイントがある。

(1)内株と外株の株式運用はともにベンチマークを下回っていること。
これは委託先のアクティブ運用会社の劣後が理由だろうが、運用会社別には開示されていない。
運用資金の90%はパッシブであり、わずか10%しか運用していないアクティブがベンチマークに劣後した。
アクティブ運用の中には大幅にアンダーパフォームした会社があるはずだ・・・これが第一のポイントだ。

(2)株式運用のリスクが拡大していることだ。
内株のウェートは目標25%を0.4%上回り、外株のウェートは目標25%を0.3%上回った。
当然のことだが、資産のパフォーマンスが良ければウェートは自然に引き上がる。
日本株や米国株が好調に推移したため、自然にウェートが上昇したということだが・・・

問題は株式のリスクが高まっていることだ。
一例として、TPOIXのリスク(標準偏差)を確認してみよう。
日興アセットが計算したものだが・・・
          1年      3年      5年
リターン      9.28%   1.19%   6.47%
リスク      20.50%  16.92%  15.65%
シャープレシオ   0.45%   0.07%   0.42%
注)リターンはTOPIX(配当込み)収益率、リスクは標準偏差、シャープレシオはリターン/リスクで、標準偏差当たりの収益率を示す。

リスクの数字を5年、3年、1年で見てみよう。
3年から5年は15~16%で安定している・・・つまり、だいたい、1年で15%程度の収益率のブレが予想されていることを示している。
しかし、1年のリスクは20.5%と急激に上昇している・・・これは新型コロナ騒動で株価の変動率が高まっている状況を示している。
この株式のリスクの高まりが第二のポイントだ。

(3)オルタナティブ資産ウェートが0.67%と、遅々として増えていないことだ。
内外債券、内外株という伝統4資産だけでは資産間の連動性が高く、リスク管理の点からも連動しない不動産やプライベートエクイティというオルナタティブ資産の組入れが必要になる。
将来、金融資本市場が大荒れになった時、伝統4資産だけでは逃げ場がない。
このオルナタティブ資産ウェートの低さが第三のポイントだ。

このことから言えることは・・・
アクティブ運用を再考し、内株と外株のウェートとリスクの上昇でウェートを見直し、オルタナティブ資産、特に市場規模の大きい不動産私募ファンドや、PEファンドの組入れを進めるべきだろう。

国民の大切な積立金を運用しているGPIFであり、リスクが高まっている市場では慎重なリバランスをすべきだ。


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原油戦争を仕掛けるサウジの思惑

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OPECとOPECプラスの減産合意の失敗から、サウジが1200万バレル/日への増産を発表した。
世界はサウジが仕掛けた原油戦争に動揺している。

原油暴落がサウジ財政を直撃すると解説する評論家もいるが、サウジの財政は評論家が見ているより余裕がある。
昨年、アラムコの上場でおよそ10兆円程度を手に入れ、おそらく、ソフトバンクのビジョンファンド1号の出資分(3兆円程度)の現金化も交渉しているはずだ。
こうした資金流入により、サウジの当面の財政は十分に余裕キャッシュがある状態と想像できる。
つまり、今回の増産は、原油価格30~40ドルのレベルで当面推移させても問題ないという意志表示のように見える・・・そしてムハンマド・ビン・サルマン皇太子が懸案であったサウジの言う事を聞かないロシアや米シェール企業を叩いておく戦略に転換したように思われる。

原油の採掘コストはサウジが圧倒的に低いとはいえ、おそらく20~40ドル/バレル程度と思われる。
ということは30ドル台/バレルでの増産は採掘コストの低いサウジでさえ利益を生まないかもしれない・・・財政が厳しい時だったら、財政が持たない価格水準なのは間違いない。
他の中東産油国、クウェートやUAEも採掘コストぎりぎりの水準だろうし、ロシアや非加盟国は採算割れだろう。
米シェールオイルはずっと技術開発により生産の効率化を行ってきていて採算は上がっているかもしれないが、以前から50ドル/バレル以下では採算が取れないと言われてきた。

さらに強烈なニュースが入ってきた・・・欧州市場でロシア産原油の大手精製業者に対抗し、サウジ産を25ドル/バレルで供給すると通知したという。
欧州の石油大手はこれを歓迎、TOTALやBPなどがこのサウジ産の供給を受けると表明している。
まさにアラムコ、その背後にいるサルマン皇太子がロシアをターゲットにしたといえる。

当面の間、この30~40ドルの価格水準が続くだろう・・・でも、これで原油シェアの地図が変わる。
これは我慢比べではない・・・ロシアも米シェールも勝てるわけがないからだ。
この30ドルの原油価格が続くと、数か月から半年で米シェール企業の破たんが起こり、ロシアがOPECにすり寄ってくると、サウジのサルマン皇太子は読んでいるということだと思う。
でも問題もある・・・アラムコ株を買ったサウジ王族の金持ち連中の不満をどう抑えるかだ。

でも、原油の輸入国である日本や中国のアジア勢には大きなプレゼントになる。


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巨大ファンドが動いているのは間違いない

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日経平均が8日連騰し、話題となっている。
東証一部の売買代金は、長い間、2兆円にも達しない状態が続いてきたが、9/5に2兆4800億円と増加し、その後、2兆円以上の売買代金を続けている。
そして、東証の立会外(TOSTNET市場)の売買もそれに呼応するように急増してきた。
一日5000億円レベルから、9/11には1兆円に拡大した。
これは何を意味しているのだろうか?

立会外市場は、例えば、自社株買いをする場合、〇月〇日の寄付きで〇〇億円の自社株買いをすると公告して売り注文を集める、などと使われている。
また、機関投資家の大口売買にも使われる。
例えば、機関投資家がTOPIX型1000億円買いたい時、証券会社に〇月〇日のVWAP(加重平均株価)で買いたいと連絡し、証券会社は当日のVWAP以下で株式を買い集める・・・そして、立会外市場でクロス(相対売買)をして、その機関投資家は1000億円のTOPIX型を売却する。
というわけで、証券会社はVWAP以下で株式を買い集められるかが勝負になる。
だから、多くの場合、証券会社は引値近辺に大口買いを入れて価格を押し上げ、VWAPを引き上げようとする。
結果的に機関投資家の買いがある時は、引値近辺での売買が活発になり、立会外のクロスも増加する。

ここ数日の東証でも売買動向を見ると、明らかに機関投資家、巨大ファンドが日本株を買っている。
引け15分前からの売買高が急増し、連日4000~5000億円の売買が引値近辺で行われ、その後、立会外でのクロス取引がやはり5000億円から1兆円のレベルで実行されているからだ。
国内機関投資家だとすると、GPIFのリバランス(日本株の下落でウェートが低下した分を調整する)ということが考えられる。
ただ、7-9月期が終わっていない9月に動くかどうかは見方が分かれるだろう。
通常、四半期の数字が固まってからリバランスするのが普通だからだ。

もう一つは海外のパッシブファンドの可能性だ。
ブルームバーグによると、米投信残高で、ついにパッシブファンド(残高4.27兆ドル)がアクティブファンド(残高4.24兆ドル)を上回ったらしいが、相変わらず、パッシブファンドに資金流入(+889億ドル)し、アクティブファンドからは流出(-1241億ドル)しているという話だ。
このパッシブ資金がグローバルに再配分された可能性はある。
ホントのところは、なかなかつかめないが、いろいろ想像するのも楽しい。

東京市場の関係者は、金融株の急上昇を見てバリュー投資かグロース投資かで議論している。
しかし、TOPIX型のファンドが大口で買った場合、当然、トヨタやNTTや銀行株などの時価総額上位銘柄に買いが入り、見た目はバリューファンドが買っているような状態になることもある。
バリュー投資家が大口買いを入れたというより、TOPIX型のインデックス買いが中心ではないかと考えている。


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GPIF運用報告の注目点

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厚生年金を運用するGPIFが前年度の運用報告を公表した。
全体のパフォーマンスは+1.52%とカスカスのプラス・・・そのうち、国内債券+1.4%、国内株式-5.1%、外国債券+2.7%、外国株式+8.1%となっており、国内株式のマイナスを外国株式で埋めて、若干のプラスで着地という無難な運用報告になった。
この運用報告の中で、いくつか気になった事がある。

まず、第一に、国内株式のアクティブ運用がボロボロになっている事。
国内株式全体ではー5.1%だが、、TOPIXが-5%で東証指数の下落が最も大きな下落要因だ。
しかし、アクティブ運用を見ると、TOPIXを1.6%下回る、-6.6%とかなり悪い。
業種別比率を見ると、銀行や卸売り(総合商社など)が東証指数に比べオーバーウェートになっており、アクティブマネージャーはPBRの低い業種を狙ったバリュー投資で失敗したのかもしれない。
マネージャーの変更が行われるかもしれない・・・運用会社は戦々恐々となっているはずだ。

第二に、国内株式のパッシブ運用の特徴だ。
GPIFはパッシブのベンチマークを多様化してきたことで、面白い結果が出ている。
TOPIX-5%を基準にして、良かったベンチマークは、MSCIジャパンESGが-2.8%、S&PGIVIジャパンー3.9%などが注目される。
環境意識の高い欧州ではESG(環境・社会・ガバナンス)が有効でESG投資が流行してきたが、このGPIFの結果により、日本でもESG投資が広がってくるキッカケになるかもしれない。
もう一つのGIVIは、ベータ値(市場に対する感応度)の高い30%の銘柄を除いたベンチマークで、ボラティリティの低い銘柄が中心になっている。
つまり、市場の波乱の中で低ボラの銘柄が相対的に良かったというわけだ。
ESGや低ボラは個人投資家にも有効なスマートベータであり、利用しない手はない。

第三に、国内債券のパフォーマンスはこれから悪化することだ。
前期は米国金利がピークアウトし債券利回りが低下=債券価格の上昇となったため、債券のキャピタルゲインが増加、パフォーマンスを支えた。
しかし、すでに10年債の利回りはマイナスとなっていて、今期は苦しくなる。
しかも、事業債を16.7%(ベンチマークはわずか1.7%)も組入れており、クレジット・リスクを高く取っているため、株式市場が下落すると事業債でも損失が発生する可能性が高い。

第四に、外債や外株だが、米国依存が明確になったことだ。
外債では米ドル債を54%(BM44%)と大幅にオーバーウェート、逆にユーロ債を22%(BM40%)を大幅にアンダーウェートしたが、これで米金利の低下でプラスになった。
外株でも米国中心にソフトウェア/サービスを15%(BM10%)と大幅にオーバーウェートしている。

個人のiDeCoの運用比率と比べて参考にできるし、ESGや低ボラなどのETFも利用できる。
GPIFの知恵を使うと、個人の運用ももっと面白くなる。


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GPIFは14兆円損したが・・・真の問題は?

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昨年10-12月期の運用結果が開示された・・・2018年4-12月の総合パフォーマンスは-4.3%で、6兆7668億円の損失となった。
おそらく、この結果に対して「なぜ、10-12月期に14兆8082億円も大損しているのか?」とか、「国民の大切な年金資産を減らした大罪だ」とか、マスコミは大騒ぎをするかもしれない。
しかし、問題はそんな所にあるわけではない。

GPIFは慎重な投資家で運用資産の8割から9割をインデックス運用をしている。
だから、その結果もインデックス(ベンチマーク)のパフォーマンスから大きく離れることはない。
日本株式はベンチマークのTOPIX配当込み指数で4-12月のリターンは-11.86%だが、実際は-11.82%で、ベンチマークより0.04%低い。
外国株式もベンチマークのMSCI-ACWI(除く日本)で4-12月のリターンは-4.88%で、実際は-5.08%とベンチマークより0.2%低い。
機関投資家の運用ではベンチマークより良いパフォーマンスが期待されるが、GPIFは日本株でも外国株でもベンチマークを下回った・・・実はわずかとはいえ、これが問題なのだ。
この結果の意味は、8~9割の部分はインデックス運用でパフォーマンスがインデックス並みだ。
ということはアクティブ運用比率を20%とすると、日本株アクティブ運用はベンチマーク比0.2%程度負けていることになり、10%だとするとアクティブ運用は0.36%インデックスに負けている計算になる。
また、外国株アクティブ比率が20%とすると1%の負け、同様に10%とすると2%の負けということになる・・・外国株のアクティブの負けが1%~2%という計算になる。
これはおそらくアップルやグーグルなどのITハイテク関連株でのやられだろう。

実は問題はここにあると思う。
ポートフォリオのわすか20%以下のアクティブ運用がベンチマークを下回るリターンに甘んじているということだ。
その原因の一つはGPIFの支払い運用報酬が超低いことかもしれない。
昨年の数字だが、運用資産平残155.7兆円に対して、支払い運用報酬は487億円で、手数料率はわずか0.03%(3ベーシス)だ・・・通常、年金基金のアクティブ運用報酬は20~30ベーシスであり、GPIFの運用報酬は極めて低い。
おそらくインデックス運用はほとんど運用報酬ゼロに近いだろうし、アクティブ運用でも0.1%(10ベーシス)以下で運用していると思われる。
運用会社から見れば、この低い運用報酬ではリスクを取って高いリターンを上げようという意欲は全くなくなる。
むしろ、インデックスに負けない程度の運用をしていれば十分で、余計なことをやってインデックスに負けたらむしろ問題になってしまう・・・という意識が強いだろう。
もちろん、GPIFからすれば国民の年金資産を守るために運用報酬を低くしているという理屈だろう・・「運用収益-運用報酬=ネット収益」だから、報酬が低ければネット収益が上がると考えているかもしれない。
でも、現実はは逆で、こんな低い報酬ならば高い運用パフォーマンスなんて出るわけがないのだ。

また、実現損と評価損を分けて開示しろというマスコミが増えるかもしれない。
個人投資家と違い、実現益/損で税金を払うわけではなく、機関投資家にとっては実現損も評価損も全く意味は同じだ。
企業は時価会計で決算をしているから当然理解しているだろうが、日産のゴーン氏の為替デリバティブでの損失を実現損でないから会社に損害を与えていないとかいうマスコミが多すぎる。
時価会計では評価損も実現損も同じに扱われる・・・これはGPIFも同じだ。
運用会社のパフォーマンス報告もすべて時価ベースで行われる。



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カザフスタンのNBK


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カザフスタンのスケート選手、デニス・テン選手が強盗に襲われて亡くなった。
冥福を祈りたいとともに、巨大投資家のコーナーでナショナル・バンク・オブ・カザフスタン(NBK)を取りあげたいと思うんじゃ。
カザフスタンは、旧ソ連の共和国だったがソ連崩壊とともに独立した、まだまだ若い国だ。
でも、ワシの訪問したアルマトィは旧ソ連時代の首都であり、古く、いかつい建物が並ぶ。旧ソ連からの歴史が感じられる市街地だ。
首都は1997年にアスタナに遷都され、日本の黒川紀章の都市計画にそって開発された近代都市だ。
アスタナには行ったことがないので分からないが、おそらく、近代的な建物が建ち並ぶ、旧ソ連の印象の全くない近代都市になっていると想像できる。

でも、ここアルマトィの最初の印象は旧ソ連そのものだった。
まず、ワシの共産圏のイメージじゃが、必ず広場があり、その広場に沿っていかつい議会や公会堂が建てられているというものだ。
モスクワの赤の広場、北京の天安門広場・・・・どれも同じ構図で、一種の威厳を示そうとしているような重たい感じなのだ。
アルマトィも赤の広場とは規模が違うが、同じような構図を持っていて、カザフスタンが旧ソ連の一共和国だったことを示している。
もう一つがその色彩だ。
普通の商業都市ならばカラフルな色彩の看板やお店が立ち並び、華やかにして客を喜ばせるが、ここ共産圏では違う。
市民を、あるいは、観光客を喜ばせるという発想そのものがないので、街並みの色調は黒やグレーが中心になり、暗く重厚な雰囲気を作り出す。
まだまだ、カラフルな客を誘うようなお店やレストランも少ない。

現地料理のレストランに入ったが、やはり、珍しいものがたくさんあった。
砂漠とステップの国なので、ヤギや馬のミルク、馬肉やヤギ・羊肉の料理などが中心だ。
でも、この馬のミルクはとても臭く飲めた代物ではなかった。
次の日は地元料理をあきらめて普通のステーキレストランで食事したが、こっちは普通に美味しかった。
まあ、一度は地元料理を食べてみるべきであろうな。

さて、カザフスタンの中央銀行であるNBKを訪問したが、まず、驚いたのは若い人ばかりだということだ。
旧ソ連から独立後、支配者であったロシア人が帰国し人材がまるっきり入れ替わった感じで、新しい役人層が出来上がったのだろう。
つまり、2000年前後に欧米の大学や大学院を卒業し、自国に戻り国家建設の仕事に就いた若者たちがこの国の実務部隊を作り上げたいる。
だから皆とても英語が堪能で、旧共産圏とは思えないコミュニケーション能力を持っている。
その彼らが10数年のキャリアを持ち仕事の中心を担い、若く柔軟な頭脳で天然資源が中心を経済を切り回している感じだ。

中央銀行であるNBKは、本来の金融政策や為替政策の中心を担う組織だが、天然資源ビジネスの利益を国家ファンドとして運用し、国民の将来資産を増やしていく役割も持つ。
運用規模は秘密だが、ここ数年のカザフスタンのGDPの伸びから考えると、資産規模は着実に増加していると推定される。
訪問後、グローバル・クレジットのマンデート・サーチ(運用商品の募集)があった。
グローバルな債券運用が現在のところ中心で、エクイティの運用はまだ今後の課題といったところかもしれない。


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バーレーンの国家ファンド、オスール

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今回は再び中東に戻り、アラビア半島に橋で繋がっている島国、バーレーンを取りあげてみたい。
バーレーンはその昔、天然真珠の一大産地として有名で、博物館に入ると当時の漁民の生活とともに天然真珠が数多く展示されている。
日本の御木本幸吉氏が真珠の完全養殖を完成させ、なおその真珠は天然真珠より粒がそろった高品質だったことで、バーレーンの天然真珠ビジネスは衰退してしまった。
かといって反日的な感じは全くなく、逆に完全養殖を完成させた日本に対して尊敬の念を持っているという印象がある。
その後は油田が発見され産油国として成長し、また中東の金融センターとして発展してきた。
しかし、一時、原油が枯渇に直面し金融センターとしてもドバイに抜かれたが、再び海底油田が発見されたり、サウジとの関係を強化して生き抜いてきた。

バーレーンに行ったら、グランド・モスクを訪問するのがおすすめだ。
予約が必要で、靴を脱いで中に上がるのだが、日本語が堪能な、見事なあご髭のアラブ人が丁寧にモスクの中を案内してくれる。
しかも、イスラム教の教義、コーランを詳しく教えてくれるし、どんな質問でも答えてくれる。
イスラム教というとISの過激派などの紛争が絶えない印象を持つが、宗教そのものは真に平和的なもので、ちっとも危険なものではないことを理解させてくれる。
非常に勉強になった場所だ。
是非、イスラム教の正しい理解のためもグランド・モスクに行っていただきたいと思う。
バーレーンの人々は日本好きが多いので、日本人には居心地が良い国だ。

オスール(OSOOL)はそのバーレーンの社会保険と年金の運用会社SIO(ソーシャル・インシュアランス・オーガナイゼイション)から発展した運用会社だ。
もともとバーレーンは産油国とはいえ石油輸出量は小さく、さらに枯渇に直面し産油量は減少してきた。
イスラム」の比較的規制の緩い国であり、厳しい規制のあるサウジアラビアから週末に遊びにくるリゾート的な場所でもある。
酒も一部の店ではオーケーで、サービス業や観光事業が発展してきた。
そのため、資源系の国家資産の運用というより、公務員の社会保険や年金の運用ニーズが高い。
だから、OSOOLの運用方針もリスクを抑えた分散投資でオーソドックスな投資スタイルだ。
ここの運用ヘッドとは何回かミーティングしたが、日本株への長い投資経験を持っていた。
海外の投資会社では、長い経験を持つ人ほど日本株のパフォーマンスに不満も大きいという傾向があるが、まさにそうした典型的はタイプの運用ヘッドだった。
長い経験を持つだけになかなか頑強なアンチ日本株にもかかわらず、日本株の運用は続けているという、なんというか、憎しみと愛情のはざまにいるような担当者だ。
日本の関して、安倍政権に関して、日本企業に関して、いろんな議論、いろんな意見があるのが面白かったな。
アベノミクス以降、日本株のパフォーマンスも盛り返しやや不満も落ち着いてきた感じもあるが、どうしているのだろうか?




アゼルバイジャンのステート・オイル・ファンド

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バクー油田を有するアゼルバイジャンの国家ファンド、ステート・オイル・ファンドを今回は取りあげた。
ワシがアゼルバイジャンに入ったのはカスピ海の対岸にあるカザフスタンのアクタウからで、ローカルな飛行機で行った。
アクタウの空港は超田舎な感じで、ほとんど外人がいないローカル度がMAXな空港だ。
その待合室で妙な被り物をしたご婦人たち、浅黒い目のキョロキョロした子供たち、膨大な顎ひげを蓄えたちょっとこ汚い感じのオッサンたちに囲まれながら・・・この人たちと狭い飛行機に乗ったら臭いがたまらんだろうなと思っておった。
アクタウからバクーまではわずか30分だが、やっぱり臭いには閉口した。
ガマンしてやっと到着したのが、アゼルバイジャンの首都バクーだった。

バクーの市街地はびっくりするほど近代的で、第二のドバイと呼ばれるのもうなづける。
カスピ海に面した市街地は、湖畔にそって幅の広い遊歩道が整備されてて、非常に美しい景観を堪能できる。
わざと傾けた超高層ビル、三日月のような形の高層ビルなどが立ち並ぶ新市街とともに、旧市街がきちんと保全されているのが素晴らしい。
旧市街は街並みが古くて伝統的な感じで小店が立ち並び、絨毯や調度品、服や装飾品などが売られている。
英語が通じるので店の人たちとのやり取りも楽しい。
丸い屋根が地面から突き出ているので、何だ?と尋ねたら、なんとモスクだった。
たしかに狭い入口から降りていくと、祈りを捧げる小部屋があった。
文化的にも異質な感じが強く、旧市街の散策はおすすめだ。

さらにおすすめなのが燃える地面で、バクー郊外、油田地帯のあるカスピ海沿岸近くにある。
実際に地面から原油が噴出し、それに引火して地面が燃えている。
風が吹くと炎が急に大きくなったり、近くにいると炎の熱を感じるぐらいだ。
たしか、塩野七生のギリシャ人の物語にもアレキサンダー大王の東征のくだりで燃える地面の話がでてきたと思うが、それはこのバクーのことだったかもしれない。

ステート・オイル・ファンドはバクーの新市街の中心にある。
バクー油田は古い油田で枯渇の可能性も指摘されてきたが、その原油や天然ガスは広大なカスピ海の海底に広がっている。
しかし、ソ連崩壊後の独立によりカスピ海周辺国は5か国に増えていて、その利害調整も難しくなっているおり、海底油田の開発にはまだまだ問題が山積している状態だ。
石油収入を将来に向けて運用するステート・オイル・ファンドがアゼルバイジャン人の生活に大きな影響を持つようになるだろう。
現状では3-4兆円の資産規模で毎年の原油売却収益からファンドを拡大しようとしている。
ただ、中東の国家ファンドに比べ規模も小さく、運用手法もグローバル債券を中心とした保守的だった。
しかし、最近は東京のオフィスビルなど不動産に直接投資したり、積極的な方針に変わってきているようだ。
これは不動産への直接投資ができる組織に成熟してきたという意味であり、リスク許容度を徐々に引き上げに入っているということだ。
グローバル株式ポートフォリオから、個別銘柄への集中投資に向かうタイミングも近いのではないかと思うんじゃ。






オマーンの国家ファンド SGRF

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オマーンはペルシャ湾の出口と言うよりインド洋に開かれたと言った方がいい、アラビア半島の先っぽにある国だ。
アラビア半島の国というと広大な砂漠と砂嵐という印象だが、オマーンは他のアラビア半島の国と大きな違いがある。
それは山があるということだ。
だだっ広い砂漠の国ではなく、険しい山でサウジアラビアと区切られ、反対側はインド洋という大海原で自然の要塞のように守られている。
そのせいかオマーン人はおっとりした感じで、普通のイスラムとはちょっと違う独自の文化を持っている。

マスカット空港に着くと、まず眼に入るのがオマーン人の円筒形の帽子だ。
多くの中東国でみられる、頭に布をかぶり黒い輪で頭に固定するというスタイルとは明らかに異なる。
リャド空港やクウェート空港のような緊張感のある空気はなく、南国のリゾートに来たような妙な感覚にとらわれる。
なんか、おっとりした人々とリゾート感覚でホッとするのがマスカット空港だ。
入国ビザが必要だが、ドルやユーロで3000円ぐらいを現地で払えばそれで終わり、誰でも簡単に入国できる。

いつもホテルはグランドハイヤットだが、このホテルは古い伝統的な低層の建物でインド洋に面しているので、さらに浜辺のリゾート感覚が増してくる。
朝食は屋外のテラスでのブッフェスタイルだが、インド洋の大海原を見ながらゆっくり朝のコーヒーを飲むと仕事で来ていることさえ忘れてしまいそうになる。
それほどリラックスできる場所は、常に緊張感のある中東ではめずらしい。
カーブース国王のもとで政治はきわめて安定しており、治安も他の中東の国よりずっと良い。

そのオマーンの国家ファンドがSGRF(ステート・ジェネラル・リザーブ・ファンド)で、オマーン財務省直轄の運用機関だ。
原油や天然ガスは産出されているが規模は小さくGDPはおよそ600億ドルと世界70位水準で、当然国家ファンドの規模も2-3兆円ぐらいと推定される。
いつもダイレクター氏がミーティングに出てきて、マーケット状況から日本の投資家動向、市場見通し、推奨運用プロダクトなどの説明をすると、非常に熱心に聞いてくれる。
質問も多く議論は活発だが、ADIAやKIAなどと比べ洗練された投資家という印象はない。
でも、非常に感じの良い人で知識をどん欲に吸収したいという意欲がいつも感じられる。
現在の運用は株式よりも債券中心で安全指向、株式についてもグローバルインデックス運用が中心でリスクを抑制する運用方針なのだろう。
グローバルな新興国ファンドや社債を含めむグローバル債券ファンドが議論になった。
アクティブ運用は当時やっていない様子だったが、リターン水準を引き上げたいという考えもあって検討をしているというレベル。
オマーンだけあって安定的なグローバル運用を中心に着実な運用をしているという印象だった。

ちなみに首都マスカットで葡萄のマスカットが取れるわけではない。




イランの国家ファンドNDF

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2016年オバマ政権下でイラン核合意の履行が確認され、国際社会はイランに対する経済制裁を解除した。
イランは石油を国際市場で売り、その代金を国内の開発や将来世代の貯蓄にまわすことができるようになった。
そんなタイミングで、ワシはイランの首都テヘランに向かった。

テヘラン市内のインフラや建物はひどく、この国の厳しい財政状態を見るような感じだった。
道路から建物、さらにビル内装を10年ぐらいそのまま放置するとこうなるだろうと思う風景が目の前にそのまま広がっている。
道路も舗装が痛んでいて、走っているバスや車も旧式で排ガスをまき散らしている。
交通ルールなんてあってないような感じで、40キロで走る車のすぐ前を歩行者が横切る、車線変更も強引でこれでよく事故を起こさないなと感心させられる。
テヘラン市内にはイスラム革命前のパーレビ国王の広大な屋敷が公園として残されていた。
広大な土地に大きな屋敷の他、いざという時の軍事拠点となる建物、武器・弾薬庫などが点在していて、往時の国王の生活を垣間見ることができる。
でも、これらの歴史的な建物や内装もそのまま放置しているだけなので、決して保存状態がいいとはいえない。
長期にわたった経済制裁下、財政に全く余裕なかった国というのが第一印象だ。
イスラム教シーア派の国だが、男性は普通の服を着ているし、女性は頭髪を隠す程度でアラブの保守的な国とは雰囲気が全く異なる。
でもスタバもないし、マックもないところはやっぱり中東だなと思った。

NDF(ナショナル・ディベロープメント・ファンド)はイランの国家財政を担うソブリンファンドだ。
やっと国際社会に復帰できるという状況の中で、NDFのダイレクターは強気に語った。
この5年計画でNDFは政府から独立した機関として、国民の将来を担うことになった・・・初年度から国家の石油収入の30%をファンドに入れて運用を行う・・・ファンドへの入金は毎年3%づつ増額され、国家資産を増やしていく・・・
でも、米国大統領がオバマからトランプに代わり一気に逆風が吹き始めた。
この5月にも制裁解除の見直しが行われる予定になっている。
このNDFはどうなっていくのだろうか?
再び、経済制裁に戻っていくと国家ファンドも全く活躍の機会がなくなる。
明らかにこの投資不足の国、きちんと計画的にインフラを整備し、産業を立て直していけば、経済成長の可能性が高いと思ったんじゃが。
テヘランの北は山岳地帯で、冬は山に雪が積もる。その先はカスピ海で素晴らしい風景が広がる・・・観光資源としての価値は高い。
このあたりは砂漠ばかりのアラブの国々とは違い、いろんな観光開発もできるだろう。
ちなみにイラン女性はアーリア系で色白、目鼻立ちがすっきりとした美人ぞろいだし・・・イランはホントにいろんな可能性を感じさせる国だった。

再び、イラン原油が国際市場から締め出されるのを予想して、昨日、原油価格が70ドルを越えた。






カタール投資庁

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「世界の巨大投資家」のコーナーだが、再び、中東に戻ってみた。
ということで、今回はカタール投資庁を取り上げてみたい。
カタールはアラビア半島の出べそのようにペルシャ湾につき出ているところにある小国だ。
でもカタールエアのハブであるドーハ空港は超近代的でラウンジが最高だ。
東京から中東に行くには、ドバイをハブとするエミレーツ、アブダビをハブとするエティハド、ドーハをハブとするカタールエアのいずれかを使うか、あるいは、香港経由でキャセイという手もある。
エミレーツのラウンジも良いが、やっぱり最高なのはドーハじゃ。
このラウンジではステーキからパスタまで注文サービス(ブッフェスタイルではない)してくれるし、高級フランスワインも飲み放題だ。
乗り継ぎにドーハを使えば、禁酒の国々での疲れをラウンジでワインと食事でゆっくりと癒すことができる。

さて、そのカタールじゃが、他の中東の国々との違いは人口構成だ。
人口約200万人でクウェートより少し少ない程度だが、問題は人口200万人のうち、純粋のカタール人はわずか13%しかいないことだ。
インド・パキスタン等からの移民が大半を占めていて、ドーハにいてもカタール人と遭遇することは少ない。
逆に人口が少ないことで、石油と天然ガスの輸出で大儲けしているこの国の一人当たりGDPは8万5000ドル、世界第二位と超リッチな国だ。

でもこれがカタールの限界でもある。
つまり、人口が少ないので兵力はわずか1万2000人、軍事力が弱いことのがこの国のアキレス腱になってきた。
米軍の基地を誘致し、中国と軍事協力関係を持ち、トルコ、エジプト、サウジ等中東の強国やムスリム同胞団や新興勢力と玉虫色の関係をもって自国を守ろうとしてきた歴史がある。
これが中東のコウモリのような国になってしまい、最近では新興勢力を支援しているとしてサウジやバーレーンなどの隣国から経済制裁を受けた。
トルコの支援でなんとか生き延びたが、そういう意味で微妙な国家関係を生き抜いてきた小国じゃ。

今回取り上げたカタール投資庁(QIA)だが・・・
ドーハはワールドカップの開催が決定しており、広大な砂漠にサッカースタジアムを建設している。
この建設地を抜けてペルシャ湾沿いの反対側にQIAのビルが建っている。
ワシが訪ねたのは5月で、気温が50度を超えギラギラした太陽が照り付けた日だった。
戸外には3分といられない状況でしばらく待たされた。
ここの外部委託担当者はラジャ・スリという印パキ系でいつもの面談相手だが、QIAの会議室で本筋のカタール人にはお目にかかったことがない。
これだけのリッチな国でリスクを取った直接投資をガンガンやっている投資家だ。
欧米のサッカーチームやホテル、老舗百貨店、その他の不動産を買いまくり、ワールドカップでさえカネで買収した疑惑がささやかれた。
少数のカタール人がトップダウンで決めていると想像できる。
このあたりが日本の運用会社では難しいところで、むしろ投資銀行の美味しい客じゃろ。


世界最大の年金ファンドGPIF

この「世界の巨大投資家」のコーナーでは海外の巨大政府ファンドを主に取り上げてきた。
日本にも世界最大の年金ファンドがあるので、国内に目を向けてみよう。
サラリーマンの年金である厚生年金の運用を手掛けている年金ファンドだ。
ガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドの頭文字を取ってGPIF(ジーピフ)と呼ばれている。
運用資産が140兆円以上あり、年金運用機関としては世界最大である。

日本の年金制度は国民全員が入っている基礎年金(国民年金)とサラリーマンが主として入る厚生年金、企業年金(規約型)や厚生年金基金、確定拠出年金、さらに公務員が入る共済年金に大別される。
基礎年金(国民年金)が一階部分で、その上に厚生年金(サラリーマン)と共済年金(公務員)の二階建て部分があり、これが年金制度の根幹である。
そのうえ(三階建て部分)に企業年金や厚生年金基金があり、それとは別に確定拠出年金(企業型と個人型)があるというやや複雑な制度である。

厚生年金を運用するのがGPIFで、共済年金を運用するのは国共済(国家公務員)、地共連と全国市町村(地方公務員)、警察共済(警察官)などである。
基本的に日本の年金運用は人口の高齢化で年金支払いが急増してするため運用残高が伸びないが、GPIFは10年以上前から厚生年金基金の代行返上を受け運用規模を拡大していきた。
代行返上とは厚生年金基金が一緒に運用してきた厚生年金の資金をGPIFに返すことで、改正厚生年金保険法のもと、多くの基金が解散し代行返上した。
この結果、GPIFの資金がどんどん増加し、GPIFが世界最大の年金に成長した理由じゃ。

アベノミクスの政治的な判断だが、債券運用の構成比を60%から40%に圧縮し、日本株を12%から25%に、外国株を同じく12%から25%に引き上げ、GPIFが積極的に株を買い出したんじゃ。
同じく黒田日銀総裁が異次元の量的緩和を開始し日銀がETFを買い出した。
アベノミクス相場ではこのGPIFと日銀が日本の株式市場を大きく上昇させた最大の買い手であった。
したがってこのGPIFと日銀の買いがどうなるかは、海外投資家も含めての最大の関心事だ

GPIFの株式運用の八割は手数料の安いインデックスファンドで固められているので、運用成果はTOPIXなどのインデックスの動きで決まる。
一応、オルタナティブ、スマートベータ、ESGなど新しい運用手法や考え方を積極的に取り入れているが、それらのウェートが小さくパフォーマンスに大きな影響はない。
アクティブ運用を委託された運用会社は、ちょっとパフォーマンスが悪化するたびにGPIFのオフィスに呼び出され言い訳をしなければならない。
そんな状況下でインデックスを大きく上回る成果なんて上がらない。
市場全体が下がればGPIFのパフォーマンスは大きく悪化し、マスコミが大騒ぎし矢面に立つことになるのは明らかじゃな。
アベノミクスが逆回転し始めたら、市場にも大きなマイナス要因をなるので注意が必要だろう。
GPIFに過度の期待は禁物じゃ。









中国の巨大投資家(3)

同じように呼ばれているソブリンウェルスファンドでも、石油や天然ガスなど資源をもとにしたファンドと積み上がった外貨準備をもとにしたファンドでは大きな違いがある。
最大の違いは、資源型のファンドが石油や天然ガスの売却収入=国家の利益であるのに対して、外貨準備型のファンドは積み上がった外貨準備=国家の負債であることじゃ。

石油や天然ガスは地下から採掘するのにコストがかかるが、売却収入から採掘・販売コストを差し引いた巨額な利益が毎年毎年積み上がっていく。
だから、その利益をもとにしたファンドは安定的に着実に運用して国家の財産を増やしていくのが目的となる。
一部、サウジやノルウェーでは年間の国家予算に繰り入れられている場合もあるが、基本的には利益を積み上げたファンドであるので減ることはない。
原油価格が下がれば石油収入は減少するが、それは国家財産の伸びが鈍化するだけで減少するわけではないからだ。
サウジについては他の国と違い、SAMAが中央銀行であり国家財政とつながっているため、原油価格というより国家財政が赤字となるとその補填にSAMAの資金が使われる。

ところが、外貨準備となると話が全く違ってくる。
為替管理をしている、あるいはドルと自国通貨をペグ(対ドルレートをだいたい一定に維持する)しているアジアの国々に外貨準備がたまりやすい。
そのメカニズムは以前の書いたとおり、各国中央銀行は自国通貨を発行したり、政府証券を発行して自国通貨を調達し、為替市場でドル買い/自国通貨売りの介入をする。
したがって自国通貨や政府証券の発行という国家の負債があってこそ、外貨準備という国家の資産ができ上がるわけだ。
だから外貨準備をもとにした国家ファンドは国家の負債そのものなのだ。
特に中国は国家政策でいくらでも人民元レートを操作してくるので、外貨準備そのものに安定性はない。

習近平は世界第二位の経済大国として、一帯一路(中国中心の経済圏を拡大していく)、人民元の国際化(特にアジア地域での人民元の流通を促進する)、国内の市場開放(実質的に先進国を目指す)という経済的影響力の拡大を目指している。
規制が強い中国企業の海外投資をどうするのかはSAFEやCICにも大きく影響する。
2年ほど前、国内からの資本流出で中国の外貨準備が4兆ドルから3兆ドルに急減したことがあったが、外国企業の資本引き上げや中国企業の海外投資によって大きな変化はいつでも起こる可能性があるのじゃ。
そうした意味で、中国のSAFEやCICがグローバル市場で売り手になる時がくるかもしれない。




中国の巨大投資家(2)

ソブリンウェルスファンド(国家ファンド)には、石油・天然ガスなどの資源の売却収入をもとにしたファンドと、もう一つ、積みあがる外貨準備をもとにしたファンドがある。

中東の産油国はだいたい、こうした国家ファンドを持っている。
代表的な国家ファンドとして、サウジのSAMAとPIF、クウェートのKIA、アブダビのADIAとADICなどをすでに取り上げたが・・・
それ以外でもカタールのカタール投資庁(QIA)、バハレーンのオスール、オマーンのGSRF、アゼルバイジャンのステート・オイル・ファンドなどなど、規模は小さくなるが、有限な石油収入を国家の将来につなげる重要なファンドであることには変わりない。
さらに欧州でもノルウェーの国家ファンドは北海油田の石油収入をもとにした世界最大のファンドで、年金運用も一緒にやっているし、国家財政の補助的なファンドでもある。

一方の長期の経常収支の黒字を積み上げた外貨準備をもとにした国家ファンドでは、シンガポールのGICが典型例だが、ここ10年で急成長してきたのが今回取り上げた中国の外貨管理局(SAFE)と中国投資公社(CIC)じゃ。

ただ、中国の場合は他の国と異なり為替市場は国家の管理下にあり、その増減は国家政策に直結している。
たとえば、外国資本政策。
中国政府は合弁会社の設立を条件に外国資本を受け入れてきた。
巨大な13億人の中国市場に参入したい外国企業は中国企業と合弁会社を作り中国の投資してきた。
この資本流入が為替市場で巨大な人民元買い/ドル売りとなり、同時かつ反対に為替管理をする人民銀行が巨額な人民元売り/ドル買いを行う。
その結果、外貨準備が積み上がっていくという仕組みじゃ。
また、経常収支の黒字も同様。
中国企業(合弁企業を含む)は経常収支の黒字を国内に戻すために為替市場でドルを人民元に替える。
そうすると人民銀行はドル買い/人民元売りをして為替レートの変動を吸収する。
これも中国の外貨準備を増やす大きな要因だ。

こうして積みあがった外貨準備がピークで4兆ドル、現在3兆ドル以上の規模になっている。
この外貨準備の中心は米国債券だが、中国の保有する米国債券は外貨準備の三分の一程度にすぎない。
もちろん、債券保有は各通貨に分散されているわけで、その分を合わせても半分までいかないと思われる。
つまり、1.5兆ドル程度はSAFEとCICに回されているとワシャ、思っておる。

SAFEは外貨準備の運用のための組織で元締め的な存在だ。
日本でいえば、人民銀行=日銀、SAFE=外為特別会計という感じだが、日本の外為会計が外貨準備(1.2兆ドル)のうち1兆ドル以上を米国債券で運用しているのに対し、SAFEは米国依存を避け多通貨でしかも多資産で運用している。
SAFEの株式投資は極めて保守的で各ベンチマーク(運用指標)に分散され、しかもベンチマークから離れないように運用している。
当然、日本株にも投資しているが、個別企業に集中投資するというより分散されたポートフォリオに投資する。
逆にCICはブラックストーンなど米国企業に直接投資し、大きな影響力を持っている。
CICはリスクを取った運用に特徴があり、保守的な運用のSAFEとうまくバランスを取っているようだ。
ちょうど、シンガポールのGIC(ポートフォリオ投資中心)とテマセック(直接投資中心)と同じような関係じゃな。

中国は一党独裁政権であり国家政策と国家ファンドはつながり、普通の国家ファンドとは異なるリスクを持っている。それが世界の株式市場にも影響するわけで、次回、もう少し掘り下げて考えてみたい。




中国の巨大投資家(1)

今回はちょっと飛んで中国の巨大投資家、外貨管理局(SAFE)や中国投資公社(CIC)を取り上げたい。
中国は3兆ドル以上の外貨準備を保有する国家で、外貨準備の運用についても米国債中心から多様化しリスクを取る積極的な運用を指向し始めた。
その中心となるのが、外貨管理局(SAFE)と中国投資公社(CIC)じゃ。

いつも混雑している北京国際空港から北京市内へ向かう。
常宿にしているケリーホテルは北京市内でも空港よりの地域にあり交通の便が良い。
なぜかというと、北京市の中心に天安門広場と故宮や人民大会堂があるため、中心部の通り抜けに一苦労するからだ。
警官・軍隊が出動した非常警戒態勢時、4レーンもある通りの単純にものすごい大渋滞時など、天安門広場の反対側に行くのに1時間や2時間かかることもあるぐらいだ。

ケリーホテルは空港からの便がよくしかもCICも近くロケーションとしては最高。
でも、SAFEは反対側で渋滞がなければ30~40分で着くところを用心のため1時間半ぐらい早めに出発するときもある。
困るのは渋滞なしにすぐについてしまう時だ。
アポ時間までのヒマつぶしが問題で、ちょうどよいスタバもないしコーヒー店もない。
周辺をブラブラ歩いていると、警官が寄ってきて職質をかけられてしまう。
すぐに中国語のできる社員を呼んできちんと対応しないと、最悪、逮捕されてしまうので要注意じゃ。

SAFEは社会主義国の役所の典型なのだろうが、重厚なやや古びれた建物の中にある。
重厚な石造りのエントランスを通り、会議室に案内される。
そこは大きな部屋で、壁際に大きな椅子とその間にお茶を飲むための小テーブルが並んで配置されている。
上座にテーブルをはさんで大きな椅子が二脚あり、来客者のトップとSAFEの高官が会談するためのものだ。
その奥に小さめの椅子が二脚、通訳が後ろに座る椅子だ。
この配置、よくテレビでみる中国首脳会談とそっくり同じだ。

だいたい、事前に提出した話題にそって形式的にミーティングが行われる場合が多い。
ほとんどトップ二人が会話をし、下っ端は上司から意見を求められた時のみ発言できる。
しかし重要なのはその下っ端の役人たちで、あとから膨大な質問が送付されその回答に多くの時間とたいへんな労力を使うことになる。
会談が順調にいったかどうかは、質問の内容をみて初めてわかるんじゃ。
形式的で官僚的なミーティングは疲れる・・・・


アブダビ投資庁

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アブダビ、ドバイ、ドーハの三都市はよく似ている。
まずアブダビはエティハッド航空の、ドバイはエミレーツ航空の、ドーハはカタールエアーのそれぞれのハブ空港であること。
巨大で近代的で航空路が放射線状に世界各地域、アジア、中近東、アフリカ、欧州、北米、南米とつながっている。
日本からこれらの空港を中継してアフリカや欧州へ旅行する人も多い。
第二に街の印象が似ていて、パイナップル型やトーチ型など奇妙な形の超高層ビルが遠目からも目立つ。
ショッピングセンターは非常に大きく、欧米の高級ブランドが並び、金ぴかな店がひしめいている。
この点がイスラム伝統的なサウジやクウェートとは大違いだし、他の地域オマーンやバーレーン、イランなどとも大きく異なっている。

サウジやクウェートから飛んで、アブダビのホテルにチェックインすると正直ほっとする。
アラブの古いホテルでは、トイレが昔の日本のように床に直接設置されていてシャワーが脇についている。
どうやって使うのか迷ってしまうような代物だ。
想像するにアラブ人は白いアラブ服をまくって用を足し、その後、シャワーで洗う??
とすると、この床の水びだしはアラブ人が尻を洗ったあとの水???
もう水を踏んでしまったし、汚ったねーな・・・という感じ。
アブダビやドバイのホテルは普通のホテルで普通のトイレでほっとするんじゃな。

さて、アブダビ投資庁(ADIA)だが、これまた世界最大級のソブリンウェルスファンド(国家ファンド)だ。
ADIAビルのセキュリティを通過し待合室に入ると、まずびっくりする。
巨大待合室に普通のコーヒー・ティー・アラビックコーヒーから、サンドイッチ・ハンバーガーなどの軽食まで完備され、ウェーターがサービスしてくれる。
世界中の有名運用会社が日参しているのが現状で、待合室ではいつも数組のマーケティング担当がたむろしている。
そして、ミーティングルームに通される。
現地人が主体のSAMAやKIAと違い、ADIAでは多くの欧米人が働いている。
外部運用委託の担当部署も、トップはアブダビ人だがその部下はイギリス人だったりオランダ人だったりする。
だから普通に欧州顧客を訪問したような感じで、特にアラブ独特の雰囲気がない。

運用資産が90兆円もある巨大国家ファンドだが、巨大すぎるせいかグローバル・インデックスで運用する資産が大半のようだ。
アクティブ運用はADIA内部で自社運用している部分と外部委託している部分に分かれる。
日本株の自社運用では、日本人のファンドマネージャーが数千億規模で資金運用しているようだ。
パフォーマンスはどうかよく分からないが、バイ・アンド・ホールドでほとんど売買していないらしいと現地ブローカーはつまらなそうに言っていた。
外部運用は競争が激しく日参したりワイロを使ったり、運用会社泣かせの巨大ファンドでもある。
ADIAにはADICという兄弟ファンドがあるが、こっちも何度か訪問したがベールにつつまれたファンドという印象だった。




クウェート投資庁

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クウェートはサウジと同じイスラム教スンニ派の国だが、他の湾岸諸国とはずいぶん違った印象を持つ。
人口300万人程度の湾岸の小国だが、一人当たりの国民所得は4万ドル、ソブリンファンドの規模が60兆円と、湾岸の中でもトップクラスの超お金持ちの国じゃ。
でも、金持ちを見せびらかすわけでもなく、非常に質素な感じがするのがクウェート人だ。

まず、狭く、古く、汚く、ゴタゴタしているクウェート空港。
ドバイ、ドーハなどの近代的な美しい空港と比較したらまるでアラブ田舎の雰囲気じゃ。
空港からクウェートシティの中心部までは車で30分程度だが、シティセンターに近づくにつれて渋滞がひどくなり、側道を含めて交通カオス状態になる。
なんとかシティセンターにくると、PANASONICと大きく縦に書かれて高層ビル、クウェートタワーなど、いくつかの高層ビルが見えてくる。
しかし、全体としては廃墟のような古いビルが数多く残っていたり、伝統的な独特の雰囲気を形作っている。
クウェート人の話では廃墟ビルは1990年の湾岸戦争当時、イラクのミサイル攻撃で破壊されたビルで、その記憶を忘れないためにそのまま放置しているらしい。
ショッピングセンターはよくありがちな欧米ブランド品が並んでいる贅沢な感じではなく、個人住宅も一つ一つ大きいが土でできた伝統的な作りだ。
クウェート人は慎重で浮ついたところがなく、お金持ちなのに質素で倹約家なのだろう。

クウェート投資庁(KIA)はシティセンターの政府複合ビルの一角にある。
厳密にはクウェート財務省のオフィスの一部だ。
セキュリティは厳しいがけっこう古いオフィスで、やはり中はゴタゴタしている。
人口が少ないためだろうが女性官僚も多く働いているし、若手官僚も忙しそうに行き来している。
伝統的なスンニ・イスラムなのに女性登用が進んでいたり服装も髪を隠しているだけなので、女性に参政権も運転免許もなく目だけが出ている服を着ているサウジとはずいぶんと違う。

KIAは60兆円を有する巨大な機関で、財務省直轄で国家財産を管理運用している。
確認はしていないが、国家予算と分けてKIA資金は管理されているようだ。
原油価格が暴落したときサウジは予算をSAMA資金で穴埋めしたが、クウェートにはそうした動きが感じられない。
KIA資金は原油価格と関係なく、安定してずっと増えてきているようだ。
なのでグローバル市場への影響も安定していると思うんじゃな。

しかし、少人数の国民の将来を賭けているだけに、パフォーマンスには超厳しい投資家だ。
四半期ごとにパフォーマンスを精査して、運用結果が悪い場合によってはウォーニングレターという改善命令を出してくる。
資金を受託している運用会社、そして、ファンドマネージャーもKIAという名を聞くとピクリと緊張するような投資家じゃな。

一方、非常にオープンに常に優良なファンドを探しているし、良いものならきちんと精査して投資する合理性を持っている。
昨年大きな人事異動があり、オルタナ運用部門の責任者が運用最終責任者であるMDに昇格した。
これにつれて伝統運用部門も変更があったが、おそらく、KIAはより積極的なリターン追求に向けて組織を変えたのだろうと思うな。
今後、グローバル市場により大きな影響力を持つかもしれない、注目の投資家じゃな。





サウジアラビア通貨庁(2)

サウジアラビア通貨庁(SAMA)は、サウジの中央銀行であり、公務員年金機構であり、国家資金を運用するソブリン・ウェルス・ファンドじゃ。
その特徴を簡単に言えば・・・
厳しいイスラム法(利子をタブー視する)を順守する国の中央銀行で金利政策のない珍しい中央銀行であり・・・
人口3000万人の国だが、70%がサウジ人、同じく、70%が公務員ということで、計算すればサウジ人のほとんど全員が公務員という、人口の割に大きい年金規模を持つ年金機構であり・・・
以前資産が80兆円ぐらいあったが、原油の急落、イエメン空爆など軍事支出の増加、新サルマン国王即位に伴うバラマキなどで60兆円ぐらいまで急減しているソブリン・ウェルス・ファンド。

石油が枯渇する将来に向けて石油収入による国富の蓄積を着実に運用し、将来にわたって王族全体の繁栄を保証するのがSAMAの大きな役割じゃ。
そのため、運用はきわめて保守的で失敗は許されない。
だから厳格に各資産に分散投資され、ベンチマークにそったリスクを抑えたものになる。
弱点は、基本的に運用資産規模が原油価格に連動することじゃ。
数年前の原油価格の下落でSAMAは一方的に資産売却を続け、世界の市場で売り手として警戒されてきた存在だった。

しかし、ムハンマド・ビン・サルマン(MBS)氏がクラウン・プリンス(皇太子)となり、矢継ぎ早の経済改革と腐敗撲滅運動を展開し、大きな流れの変化が出てきている。
その中で運用に関係するところを考えてみよう。

まずは最大級の石油会社であるサウジ・アラムコの株式上場。
その上場時に発行済株式の5%を10兆円で売り出し、その資金をもとにパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)で運用し経済改革をするという。
しかし、2018年にも予定されているこの巨大石油会社の上場は、大きな波乱要因になるだろう。
その原油と天然ガスの埋蔵量から当然巨額な時価総額が想定されているわけじゃが、その上場は巨額資金をグローバル市場から吸い上げ、成長性の低い巨大石油会社にぶち込むことになる。
しかもサウジはその調達資金をサウジの経済改革に使うので、グローバル市場にどう還流されてくるか全く不明じゃ。
結局、巨額資金が吸い上げられた時のマイナス要因をその後の資金還流のプラス要因で相殺できるかは全くわからん。

もう一つはパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)がどうなっていくかじゃ。
昨年ワシャ、やはりリャドにあるPIFを訪問したことがある。
高層オフィスビルを建設途中だったが、その一室でPIFのアドバイザーと会った。
意外だったのは、てっきりサウジアラムコの売り出しが資金源と思ってたが、上場前でもすでに数兆円規模にまでファンドが拡大してきていることだった。
おそらく、すでにSAMAとか他の政府資金を徐々にPIFに移し始めていたのだろう。
そして、昨年、孫さんと会ったMBS氏はソフトバンクのビジョンファンドへの数兆円規模の出資を決めた。
すでにPIFによるリスクの高い運用は始まっているのじゃな。
と同時にSAMAの資金は徐々にPIFに移されるとも想定できる。
SAMA資金の減少はグローバル市場の不安要因になるじゃろ。

まだまだ、サウジの改革がどうグローバル市場に影響するかはわからん部分が大きい。


サウジアラビア通貨庁(1)

ワシが今まで訪問したり話を聞いたりした世界の巨大投資家について書き残しておきたいと思うのじゃ。
まず最初にサウジアラビア通貨庁(SAMA)じゃ。

SAMAのあるリャドはアラビア半島の砂漠の真ん中にある。
砂漠といっても鳥取砂丘のようなサラサラの砂でなく、ゴツゴツした土の塊が乱雑に置かれているような荒れ果てた土地じゃ。
ギリシャ人の物語(塩野七生)の第三巻でアレクサンドロスの東征が描かれているが・・・トルコから始まり、シリア、レバノン、エジプト、イラン、パキスタン、インドまで地域を制圧したが、アラビア半島には入っていない。
気温が50度以上にもなる過酷な砂漠で困難な水の確保、移動の馬が倒れるリスク、いろんな理由が考えられるが、アラビア半島の砂漠地域は避けたんじゃ。
リャドはそれほどの環境の土地に建設された人工的な街じゃ。

砂漠を見ながらリャドに空港にランディングする。
飛行機を降りて入国審査に行くとよく長蛇の列ができている。
サウジ人は冷房が超効いているオフィスで働くけど、いわゆる肉体労働をしない。
労働者はたいていインド・パキスタンあたりの地域から来る。
その彼らが空港の入国審査で長蛇の列を作る。
空港を出て街中まで高速道路で40分ほど。
道路の両側は当然砂漠じゃが、人工的に樹木が植えられ、スプリンクラーが水まきをしている。
リャドの街に着く。
中東の都市にありがちな超高層ビルが林立するような印象とは違い、土色の低層の建物が並んでいる。
ショッピングセンターなどで一部高層ビルもあるが、低層建物が多いのが街全体に伝統的な印象を与えている。

SAMAはその街の中心地域にある。

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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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