株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

実践編

証券セールスとファンドマネージャーの会話(35)25年前半戦

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証券セールス(以下、S): 25年前半相場は簡単そうで難しく、難しそうで簡単な相場だったという気がする。トランプ関税相場の上下で慌てて売買した投資家にはとても難しい相場だったといえるし、ジッと長期投資にこだわった投資家には簡単な相場だったともいえる。

ファンドマネージャー(以下、F): 年初来リターンで見ると、世界の株式市場はハッキリ言ってカオスの状況だ。韓国が+21%に対して台湾-2%、サムスンとTSMCという半導体の代表銘柄がある国だが、これだけの差がなんで生じたのか? 
香港ハンセン+21%に対して上海総合+2%、この差もなかなか説明できない。欧州では独DAX+20%に対してユーロストックス50は+8%、欧州株もかなり差がついた。

S: 確かに、米国ではS&P500もNASDAQも+5%と同じだったが、MAG7の銘柄間格差は大きかった。日本ではTOPIX+2%、日経平均+0.6%と差は限定的で安定した「平和の国」。

F: この半年のトランプ相場で、ファンダメンタルというよりも需給の差が株価の差につながったような気がする。グローバル投資家に無視されてきたような市場・ドイツや香港が上昇した。日本でも散々売られてきた東証Jリートが上昇したのと同じなのかもしれない。 

需給で付いた株価差は年後半に修正される可能性、リターンリバーサルが起こる可能性があるので気を付けたい。ファンダメンタルを見て投資する方がいいだろう。

S: ところでこの半年のパフォーマンスは?

F: 株式ウェートを下げ、リートウェート引き上げたのが奏功した。自分のポートフォリオは年初来で+11%だった。そのうち配当が2.7%のプラスだった。まあ予定通りだったかな。年後半は慎重にいきたいと考えている。

S: 米景気の鈍化ペースが拡大するのか、いつFRBが利下げに踏み切るのか、トランプが余計なことをしないか、盛りだくさんだ。さらに関税で読みが難しい企業業績、半導体のように投資家の期待で大きくブレるPERなど、じっくりと考えたい。

F: 個人投資家は「売り・買い・休む」ができる。フルインベストの機関投資家は大変だけど、個人投資家は自分のタイミングで投資するればいい。無理しないことが大切だろう。





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イスラエルの「大阪冬の陣?」(2)イスラエルの満足

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バーレーンはペルシャ湾に浮かぶ小さな島だが、橋でアラビア半島(サウジアラビア)につながる。
バーレーンは王族がスンニ派で国民の多数がシーア派という珍しい国だが、むかし、ここのモスクでコーランの講義を受けたことがある。
イスラム教は攻撃的な宗教ではなく、平和な日常生活のための宗教だと説明された。
コーランの中身は普段の生活で対立を避け、お互いを尊重するための知恵が満載だった。

この平和的なイスラム教がなぜ、イスラエルやアメリカから攻撃を受けるのだろうか?
イスラム教のコーランではなく、キリスト教の新約聖書も、ユダヤ教の旧約聖書も同じように対立を避け平和を説いている。それでも宗教間では争いが終わらない。
不思議なことだが、平和な宗教が複数あると戦いに発展する、一神教自体に排他的な倫理観があるのかもしれない。
とにかく、宗教戦争は永遠に続く。


イランの実際を見てみよう。
テヘランは、他の中東の大都市、アブダビ、ドーハ、ドバイなどとは大きく異なった首都だ。
まずは気温が違う。
アラビア半島の大都市はとにかく暑く40℃越えは当たり前、50℃になることさえある。
対してテヘランは一山超えればカスピ海という地理で、北部の山岳地帯は冬には雪が降るし夏でも低温地域だ。

次に住んでいる人たちも違う。
アラビア半島とは全く違う気候、その住んでいる人たちもアラブ人ではなく、ペルシャ人。
男は髭ボーボーで顔立ちは不明だが、アーリア系のイラン女性は色白で眼鼻立ちの整った美人が多い。
言語も習慣もアラブ人とは異なる。

テヘラン市内に行けばさらに異質な感じになる。
長期にわたる経済制裁で国民は新しいビルを建てることも、ビルをリノベして現代的にするなどは全くできなかったかのようで、古ぼけたビルが建ち並ぶ異様な風景。
原油の輸出も制限されそもそも資金が不足しているのに加え、イラン革命で宗教至上主義、宗教指導者が国を運営し、イスラムの教義で金利や利潤を否定する、資本主義を否定していることも影響しているのかもしれない。

こんなイスラムの宗教独裁国にイスラエルは空爆を繰り返し、米軍が原子力施設やウラン濃縮施設を破壊した。
しかし、ヒズボラやハマス・フーシ派まで含めたシーア派の宗教的な結びつきは強く、おそらく欧米人が考えるような「合理的」な判断は期待できない。
アメリカ軍事介入にも休戦はしても、絶対に無条件降伏はしない。

イスラエルもアメリカも空爆でイランを屈服できないとしたら、最後はどこかの国が仲介をして、イランの核開発に一定の制限を掛けるような案で一時停戦になるだろう。
実際、イランがカタールの米軍をちょっとだけミサイル攻撃をしただけで停戦に向っている。

空爆、ミサイルだけの攻撃ではイランレジームを破壊できず、紛争はイランと米国の交渉で一旦は停戦になった。
でもイスラエルは満足しない。
今回の爆撃でイランのミサイルも枯渇し、核兵器も使えるレベルにできないなら、イスラエルは次にもう一回仕掛ける可能性が高いと思う。
次の「大阪夏の陣」ではイランのシーア派宗教支配、ヒズボラやフーシ派・ハマスまで含めた過激派組織をすべてせん滅するということが目標になるだろう。

一番怖いのは「大阪夏の陣」の後、中東地域、その地政学がどう変わっていくかが分からないことだろう。



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都議選大敗・・・石破政権の「三大ガックシ」

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自民党は都議選で大敗した・・・石破政権の「三大ガックシ」が大きく影響したと思う。

石破さんの魅力的なところは、自民党内にいる野党的な役割だった。
しかも論理的に正しい事を自民党保守層に迎合せずに物事を判断し主張する、ここが魅力的だった。
しかし何か狂ってきたように見える。


第一のガックシは・・・ガソリン暫定税率

この暫定税率はまだ日本の高速道路網が未整備だった頃、道路整備のために通常のガソリン税に加え、暫定税率を徴収したものだ。
すでに全国高速道路網がほぼ完成した現在、ガソリン暫定税率の役割が終わっている。

役割を終えたのにそのまま課税する理屈はない。
そういう意味で三党で「ガソリン暫定税率の廃止」は合意された。
この合意に石破さんは関わっていたはずだし、賛成したはずだった。

でも急に手のひら返し・・・法案を廃案にさせた。


第二のガックシは・・・一人2万円のバラマキ

党内野党だった頃の石破さんは自民党の得意とする「給付金バラマキ」を批判していたはずだ。
前年比3%を越える物価高、その中で特に食料品は大幅な上昇となった。
一番の問題は食品、コメの高騰、そして、物価に比例して増税となる消費税だ。
スジから言えば、取り過ぎた消費税を国民に返還するとしたら、消費税、特に食品消費税の引き下げだったはずだ。

しかし、石破さんは2万円の給付金バラマキが一番良いと発言。
誰も理解できない、あの論理的な石破氏はどこかに飛んで行ってしまった。


第三のガックシは・・・トランプ関税

交渉は赤沢さんだが、5回も訪米会談「合意に向けた交渉が進展していることを確認した」と言いながら、実は何も進展していなかった。
G7でトランプ氏と会談しても何も進展せず、トランプは「タフだ」と発言した。
そして、一段と圧力を強めることになる。
自動車関税の上乗せ、防衛費の上積み、コメなどのの産物市場の開放・・・

赤沢さんはウソばかりだった、石破さんもトランプに翻弄されているだけだった。
日本はトランプに譲歩し続けるだけみたいだ。


この石破さんの「三大ガックシ」がある限り、石破さんでは参議院選挙には勝てないだろう。
小泉農水相が「コメを3000円台にする」というのは勇ましいが、今年の新米で3000円を実現できるのか問われる。
これが4つ目の「ガックシ」になるようならば自民党政治の終わりが見えてくる。




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イスラエルの「大阪冬の陣?」(1)

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6月13日金曜日、イスラエルのイラン空爆、世界中の投資家はこの地政学リスクに身構えた。
金曜日というイスラム教の安息日に主要人物が家族と団らんを過ごしているところに、イスラエルが複数の空爆を実施、世界が地政学リスクを意識した。
イランの核施設や放送局などで大きな犠牲が出た。

さらにトランプは2週間以内に決めると言っていたのにかかわらず、6月21日に2機のB2爆撃機を飛ばしイラン核施設3拠点を攻撃した。
トランプがイランの強硬な姿勢を感じたのかもしれないが、前倒しで攻撃を仕掛けたことは中東地域でトランプの存在感を高める。


これだけ武力圧力を掛けられ施設を破壊されれば、イランは核開発を事実上停止せざるをえない。
しかし長期的には空爆だけで終わるとは思えないが、今は地上戦を含めた全面戦争は避けたいところ。
という意味では、一旦は小康状態に向かう可能性が高い。
でも筆者には今回の紛争が、日本史でいえば、関ケ原で政権を奪t取した徳川が徹底的に豊臣側の外堀を埋めさせた「大阪冬の陣」ではないかと思われる。
今回のイスラエル・米軍の攻撃でイランの核開発や反撃能力を相当破壊したからだ。


イランがどう出るかによっては、次は「夏の陣」でハメネイ師を頂点とするイラン・レジームを破壊するのを目的とした地上部隊の攻撃が行われるような気がする。
ユダヤ教とイスラム教の歴史的な宗教対立、アラブ世界でも異質なイランの宗教独裁体制、イランの聖戦ジハードに呼応するテロ組織の規模と広がり・・・
これらの長期的なリスクを考えた場合、イスラエルは徹底的なイラン・レジームの破壊を意図しているように思われるからだ。

反撃能力を棄損したイランは、シーア派テロ組織を使って地下に潜ったテロ行為を頻発させるかもしれないし、ホルムズ海峡のタンカー攻撃を激化させるかもしれない。
これらは原油先物市場や金市場がどのぐらい動揺するかで影響を計れる。
次は原先物市場から見た動きを見てみたい。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(34)イスラエル・リスク

原油先物、投機筋ネットポジション
原油先物ネットポジション202506
















証券セールス(以下、S): 中東でイスラエルがイランの核施設を大規模攻撃。原油が急騰し世界中の株価が下落したけど、どう?

ファンドマネージャー(以下、F): イスラエルとイランの間では小競り合いのミサイル攻撃が、過去何回も繰り返されてきた。そんなに驚く人は少ないかもしれないけど、今回と今までとちょっと違うのかもしれない。

S: 米トランプ政権がどう仲介に入るか、それによっては戦火の拡大は抑えられる。一時的な調整と見ていいと思うけど・・・?

F: イスラエルは碁盤上の布石のように周到に準備してきた。 ガザではハマスを徹底的に叩いて民族をせん滅する勢い、レバノンでもヒズボラに壊滅的な攻撃を行い、イスラム・シーア派の過激組織に決定的な打撃を与えてきた。そして、今回は、その総本山イランを叩いた。

S: 中東全体を巻き込んだ戦争に発展する?

F: そうは思わないけど。トランプが湾岸各国を訪問し、サウジもアブダビも米国への大幅な経済協力を約束した。おそらく、その裏にはイスラエル―イランに何が起ってもサウジやUAE・カタールなど湾岸諸国は米国寄りのポジションを取ると合意しているのではないだろうか?

S: そうなると、イスラエルがイランを叩くのに躊躇はしない。湾岸諸国がトランプ寄りならば、少なくともアラブ世界の半分は、味方とはいえないまでも敵ではない。

F: アラブ世界のうち、シーア派はより宗教色が強く教条的なのに対し、スンニ派は世俗的な経済中心主義だ。より難解なイスラム教イランをターゲットに限定すれば、イランから派生するシーア派過激組織を壊滅させるという目標が可能になる。イスラエルはこのタイミングで徹底攻撃を行い、イランの核を含めた反撃能力をつぶすつもりだろう。

S: そう考えると、期間的に長く、攻撃規模も大きくなる。トランプがストップをかけるまで続くのかもしれないな?

F: 原油先物市場も70ドル/バレル台まで上昇したが、投機筋のポジションは大きな変動は見られていない(上のグラフ)。ネット買い越しは昨年末の25.4万枚から19万枚に減少。投機筋にとってはイスラエルの軍事攻撃は想定の範囲外だった。と言う意味では今後の投機筋の動きが原油ラリーの大きさを決める。 今週の投機筋のポジションに注目したい。

S: ちょっと不気味だが、ニュースをよく見て行かないと・・・




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トランプはタコなのか? 本気なのか?

天邪鬼














TACO「トランプはいつでも最後はチキン!」という言葉が流行している。
確かに今までのトランプの言動を追う時、最初が勇ましく「高めの直球」を投げ、ディールと称して落としどころを探ることが多い。
そういう意味では、TACOは正しいのかもしれない。
でも重要なことは、トランプが最後に目指すものによって今後は違いが出てくること。

「トランプは減税のための原資として関税の引き上げている」説。

ある評論家は言う、「トランプ関税で得た税金を元に減税をする」つまりトランプの最終目標は「減税」のための原資にある。
だから、いろいろ紆余曲折があっても、最後は米国経済にプラスになり株価が上昇する要因だ。
しかし、関税の現金収支を重要視する人は少ない。
減税が強化されその財源がトランプ関税で賄えるとしたら、トランプは関税で譲歩しないはずだ。
実際にはディールと称して譲歩している。

「トランプの最終目標は貿易収支の均衡」説。

ある評論家は言う、「トランプの最終目標は、貿易赤字の削減」つまり対米で貿易黒字を持つ国は関税を払い、対米輸出を抑制する。
これも貿易収支の改善につながり本来ドル高になるはずだが、現実にドル安が進んでいる。
関税を掛けたからって貿易収支が均衡する?誰も信じちゃいない。

「トランプは対中国軍事力の優位を確保するために関税を使っている」説。

最終目標が「安全保障」だとしたら、タダでは済まない。
トランプは「習近平とのディール」としているが、レアアースの禁輸を解き、関税率がその分55%まで譲歩(?)した。
でもトランプの最終目標が「安全保障」ならば、武器を長期的に国内生産できる「鉄鋼など」、戦闘機・輸送機・ミサイルの生産に必要な「アルミなど基礎素材」、軍艦や空母の生産に直接関係する「造船技術}を重視したのがよく理解できる。

USスティールの完全子会社化にしても、米政府が黄金株を持ち経営の拒否権を持つ、日本製鉄はさらに1兆6000億円の対米投資をしなければならない。
トランプの思惑、米国内での鉄鋼生産を引き上げる、中国との長期的な軍拡競争を勝ち抜く計算があるのだろう。


ホントの事はトランプの頭の中にある。
トランプは相当に「天邪鬼」だと思う、なかなか本音が分からない。
最終的に重要な事は対中国で圧倒的な「軍事力」を米国内で確保することではないかと思う。
太平洋戦争で米国が旧日本軍を圧倒したのは、「軍事力」もっと言えば「軍事的な再生能力」だ。

だとしたら、トランプが習近平に対して使う「甘言」は一つのテクニックにも見える。
中国とは徹底的に軍事力で対抗するつもりじゃないか、そのために着々と準備しているように見える。



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超長期債利回りの急上昇、その意味(3)10年債への影響

日本国債利回り202505
















30年債利回りが突出して上昇したが、10年債利回りもソコソコ上昇した。
10年債市場は最も取引の多い国債市場で、グローバルに各国の長期債市場の動きと連動する。

10年債利回りが1.5%まで利回り上昇したが、これは米国10年債利回りの4.5%への上昇に連動したものだろう。
それにしても日本国債市場では、2年利回りと10年利回りの差、長短金利差が過去の最大水準に使いところまで拡大している。
ここが大きなポイントになってくる。


下のグラフは日本2年国債利回りと10年利回りの金利差だ。

2年ー10年国債利回り格差
日本国債2年―10年202505
















2年国債となると日銀の金利操作に大きな影響を受ける、長期債が景気などの経済指標に影響されるのとは違う。

現在2年国債金利は0.75%で、日銀の政策金利0.5%+0.25%でほぼ横ばい。
もちろん次の利上げで政策金利が0.75%になれば2年金利も1%程度まで上昇する。
これに対して10年国債金利はすでに1.5%を越え、2年債金利との差は0.75%以上に広がっている。

2年金利-10年金利差が過去大きく広がった時期は23年10月0.8%、24年7月0.75%、およそ0.8%前後の金利差がピーク水準になる。
0.8%が最大値を想定すると、2年金利0.75%+金利差0.8%で10年金利は1.55%で、現在上限に近づいている。

10年債市場はすでに日銀の利上げ(1回)を織り込んできた。
日銀が0.25%利上げをすれば、2年債金利が0.75%⇒1%程度に上がってくると予想されるが、その時10年債金利は金利差が通常の0.5~0.6%に戻る。
となれば10年債の1.5%の水準は、次の日銀利上げを織り込んで上昇した結果ともいえる。


しかしながら、日銀の利上げがさらに続き政策金利が1%を越える(2回の利上げ)とすれば、10年債金利も2%に向かう。
2%の10年金利は住宅ローン金利を大きく上昇させ、国民生活を圧迫してしまう。
経済がそれほど強くない日本では大きな10年債利回りの上昇はリスクが高い。

問題は債券市場の需給で、30年債利回りが超長期の財政赤字を反映して3%台に乗せたのも需給要因が大きい。
もし景況感や10年債の動きに関係なく、10年から40年の超長期債市場の需給が弱めに推移するとしたら株式市場にはネガティブな要因となるが・・・考えすぎかもしれない。



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超長期債利回りの急上昇、その意味(2)世界を見ると・・・

米国債利回り比較
米国債利回り
















上のグラフは米国債2年、10年、30年利回りを比べたものだ。
今年に入ってからFRBの利下げ政策で2年債が4%前後で推移したのに対し、10年債はジリジリ上昇し4.6%まで、30年債もジリジリ上昇し5%を上回ってきた。

ここ1か月の超長期債券利回りの上昇を見ると、米国30年+21bp、英国30年+15bp、ドイツ30年+30bp、と各主要国30年債は同じようなペースで上昇している。
これに対して日本国債30年だけ+43bpと上昇ペースが圧倒的に高い。


米国でも長期債の需要が低迷し、20年債入札では需要不足で長期金利全般が上昇した。
日本でも20年債入札の不調から長期金利が急上昇したが超長期債の売りが世界的なレベルで起こっているように見える。

なぜ、この局面で世界的に超長期債の売却が起こっているのだろうか?
下の一覧表は主要国の国債2年・10年・30年金利と、2-10年金利差、2-30年金利差を比較したものだ。


2年金利  10年金利 30年金利 2-10年差 2-30年差
イタリア 2.09 3.63 4.49 1.54 2.4
メキシコ 8.36 9.79 10.33 1.43 1.97
フランス 2.02 3.3 4.06 1.28 2.04
スペイン 2.04 3.26 4.14 1.22 2.1
オーストラリア 3.44 4.52 5.21 1.08 1.77
オランダ 1.93 2.85 3.23 0.92 1.3
日本 0.72 1.53 2.97 0.81 2.25
ドイツ 1.86 2.64 3.14 0.78 1.28
イギリス 4.07 4.75 5.51 0.68 1.44
カナダ 2.7 3.38 3.69 0.68 0.99
アメリカ 4 4.59 5.08 0.59 1.08
韓国 2.35 2.79 2.65 0.44 0.3
中国 1.46 1.68 1.89 0.22 0.43
利回り%、2-10年金利差%、2-30年金利差%

2-10年金利差でランキングしたが、政策金利水準に準じている2年債と、景気や財政などの条件が反映される10年債の金利差は各国の政府予算事情や景気判断によって決まっているように見える。
でも、2-30年金利差はなんか違う気がする。

2-30年金利差が大きい国は、イタリア2.4%、日本2.25%、スペイン2.1%、フランス2.04%・・・
この国名を見るとどうしても政府純債務(対GDP)の高い国ランキングを思い出す。
日本134%、イタリア125%、フランス105%、スペイン95%・・・と、100%程度の政府純債務がGDPを越えている国だ。

政府の借金の大きさが2-30年金利差に影響しているのかもしれない。
日本では長期累積的な財政赤字があるが、ゼロ金利であったのも奏功し大きな問題にはならなかた。
しかし、金利がある時代に入った日本は、財政赤字の増加と政府債務の大きさ、発行量の増えた長期債市場の需給懸念から逃れられない。

この意味では日本の超長期債利回りは長期的に高止まりする可能性も否定できない。
超長期債の買い手である生命保険会社や年金基金などは、超長期の債券価格の下落が気になるだろう。



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超長期国債の利回り急上昇、その意味(1)

日本国債年限別利回り
日本国債利回り202505















超長期国債の利回りが急上昇している、市場でも大きな話題だ。
上のグラフは2年、5年、10年、30年の国債利回りの推移だが、青線の30年債利回りが突出して上昇しているのが分かる。
当ブログでは超長期国債の利回り上昇については何回か取り上げてきたが、想定を大きく上回ってついに3%に乗ってしまった。

これをどう考えたらいいのだろう?
いくつかの「長期債が売られる理由」を検討してみたい。

第一に考えられるのが「需給」
30年、40年という長い期間になると、終身保険、火災保険、地震保険などの超長期の負債(30年後の支払いが起こる)も持つ投資家にはピッタリの金融商品になる。
これらの超長期投資家からの長期債需要は毎年一定量はある。

20年国債の入札で需要が弱いと言われたことで超長期債市場の需給懸念が生じたが、生命保険や年金基金などの長期投資家が慎重になっている。
何か理由があるのか、または、債券価格の下落で弱気になっているのか、もう少し検討が必要だろう。


第二に考えられるのが「財政赤字の拡大」
政府のバラマキ政策で財政赤字が拡大し、それが長期債の発行量を増やし需給が弱くなる、というわけだが、日本の場合「失われた30年」、ずっとこの状態が続いていた。

植田日銀の金利正常化で「金利のある日本」になると、国債発行を簡単に増やせない、増やせば増やすほど需給が悪化し国債消化が不安定になるからだ。
金利上昇時に財政赤字を放置すれば金利支払いで一段と財政赤字が増えてしまうからだ。
ゼロ金利時の日本と違い、やっと財政赤字を管理する意味が出てきたといえる。


第三に考えられるのが「長期の人口減少」
30年後となると2050年代で、筆者はとても生きられない時代になる。
その時の日本の人口は今の1億2000万人から8000万人ぐらいに激減しているはずだ。
この一人当たりの財政負担が大きくなり、今発行された30年債が2055年にちゃんと償還されるのか、多少とも不安を感じるところもあるかもしれない。


しかしながら、日本の利回り金融商品で3%以上で運用できるものは、高配当株式、Jリートなど限られ、低リスクで3%の利回りのある超長期債は魅力的なのも事実だ。
状況が落ち着けば、年金基金や機関投資家の安定した需要が出てくるだろう。

ただ、日経CNBCの岡崎さんが指摘しているが、現在の超長期債利回りの急上昇は米国でもカナダでもメキシコでもオーストラリアでもイギリスでも起こっていることだ。
これが何を意味しているのか、もう少し考えてみたい。




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プーチン言い回しのデジャヴ感

プーチンー安倍








ウクライナとロシアの停戦交渉が進まず、トランプが乗り出したらしい。
米国はとにかくシーズファイア=戦いの終結だけを目指している、全体的な和平条約を目指しているわけではない。
それだけ領土問題は複雑だからだ。

最近のプーチン発言を見ると、筆者には2018年の「安倍ープーチンの平和条約交渉」のデジャヴを感じてしまう。
プーチンの言葉使いが全く同じだからだ。

安倍—プーチンの平和条約締結交渉は外務省のHPに記載されている通り・・・
  • プーチン大統領の訪日(2016年12月)
    プーチン大統領が訪日した際の山口における首脳会談では、両首脳二人だけで、長時間にわたり、 平和条約問題について率直かつ非常に突っ込んだ議論が行われた結果、この問題を解決するとの両首脳自身の真摯な決意が示された。
    その上で、北方四島において特別な制度の下で共同経済活動を行うための協議の開始に合意するとともに、 元島民の方々による墓参等のための手続きを改善することで一致した。
  • シンガポールでの首脳会談(2018年11月)
    安倍総理とプーチン大統領は、2016年12月の首脳会談以降、新しいアプローチの下での協力の積み重ねにより培われた信頼の上に、 「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」ことで合意した。
  • プーチン大統領の訪日(2019年6月)
    安倍総理とプーチン大統領は、G20大阪サミットの機会に実施した首脳会談において、 2018年11月のシンガポールでの首脳会談以降に、交渉責任者と交渉担当者の間で頻繁に行われた交渉の経過や今後の展望を含め、率直に議論した。
  • 日露首脳電話会談(2020年9月)
    菅総理とプーチン大統領は、2018年11月のシンガポールでの首脳会談で安倍総理とプーチン大統領が「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」ことで合意したことを改めて確認した。
  • 日露首脳電話会談(2021年10月)
    岸田総理とプーチン大統領は、2018年のシンガポールでの合意を含め、これまでの両国間の諸合意を踏まえて、しっかりと平和条約交渉に取り組んでいくことを確認した。
「北方領土・四島返還」は日本人の夢だったが、長年の日ソ交渉は全く進まずにソ連が崩壊、空中分解してしまったように見えた。
その交渉が突然スタートしたかのように見えたのが、2016年の安倍・プーチン会談だ。
北方四島の経済開発を共同で行うなどの進展が見られた。

でもビックリしたのが、2018年の両者会談でプーチンは「前提条件なしに交渉しよう、我々の間で決定しよう」と呼びかけた。
この言葉に日本中が沸いた、四島返還は無理でも1956年の日ソ共同宣言に戻り「二島返還」では合意できるのではないか、と多くの日本人は思ったからだ。

でも「全くのウソ」だった。

第一に「我々の間で解決しよう」
この発言は安倍氏を持ち上げて、自分たちが政権の座にある間に解決、つまり、二人の個人的な関係で北方四島の経済開発をやろうと言ったに過ぎなかった。

そして現在のプーチンの「我々の間でやろう」という発想は、欧州首脳もゼレンスキー大統領も不要で、トランプの二人の間で停戦を決めようと言うのと同じだ。

第二に「前提条件なしで話し合おう」
この「前提条件なし」はプーチンの得意の言い回しのような気がする。
プーチンの「前提条件なし」は「ロシアの条件を丸呑みしろ」と言うのと同じ意味だ。

ウクライナ問題でもプーチンは「前提条件なし」にトランプに呼び掛けた。
これは「領土問題では一切妥協はしない」「領土を交渉材料にしない」という意味だ。


これでウクライナの南部4州、さらにクリミア半島はロシアのものだと宣言したつもりだろう。
ウクライナ国民にはこれらの領土をあきらめて停戦するか、戦争を継続するかという選択肢しかない。
これじゃ、交渉にもならない。

トランプは戦いをやめされることが最優先、プーチンは領土の拡張が最優先、ウクライナは何を優先させるのだろうか?
ゼレンスキー大統領には厳しい判断となる。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(34)需給がすべて

日経VIとVIX指数
日経VIとVIX202505
















証券セールス(以下、S): 株価は順調に戻り、1カ月前には総弱気だった評論家たちも強気が増えている。上がれば上がるほど「反落」の可能性が上がるのに、上がればあがるほど「強気」になる評論家たちって???

ファンドマネージャー(以下、F): 世の常だな。所詮評論家は自分のカネで勝負しないから。目立つ言葉でPVを取れれば儲かる商売だ。

S: それはそうと、トランプの「解放の日」の前の株価水準に戻り、株価だけを見ればトランプ関税はなかったことになる。でもホントにそれでいいのかな??

F: この1か月の戻り相場はほとんどファンダメンタルは関係なかった。トランプ関税でどうなるか、必死に考えていた自分がバカに見える。

S: この間、海外投資家が米国から逃げているとか、米株・米債・米ドルのトリプル安だとか、アジア通貨の急騰、いろいろあったが、結局のところ、それほどの明確な需給の変化は見えていない。

F: そうだね。ステイ・オン・ザ・サイドライン。巨大投資家の多くは基本・様子見だったと思う。でも東京市場を見ていると、日経が3万5000円までは自律反発の雰囲気だったけど、3万5000円を越えてくると何か不思議にジリジリと上昇を続けTOPIXが12連騰。おそらく何かしらの需給要因が株価を持ち上げたと考えている。

S: 確かに大口買いが入ってガツンと上昇というよりも、小口の買いがジリジリと続いた感じだった。何が起っているのだろうか?

F: 推測に過ぎないが、日経VIの動き、コールオプションの建玉推移、大台替えからの急上昇、これらを見ていると、コール売りの買い戻し=ガンマスクイーズが連続的に起こっている。

F: 上のグラフは日経VIだが、4/9の56.6から低下したが5/9でも24.5と高止まりしている。昨年7月の急落時は8/5の70.6から1か月後9/3に20.8まで低下した。今回の戻りでは日経VIが高止まりしたのが明らかだった。これはオプションに買いが入りインプライド・ボラティリティが高く維持されたことを示している。

S: 先週でもSQ日に3万7000円を越すと引けの3万7503円までジリジリと500円も上昇した。でもこれでSQを通過し、オプション取引は時間的余裕も持ってポジション取りができる。オプションの買戻しも一巡してくるかもしれないな。

F: そうだな。なんか一つの局面が終わった感じがする。米中交渉の始まりも一つの象徴的な出来事かもしれない。トランプが混乱させた世界も収束に向っている。でも株価水準が元に戻り、割安感がなこうなった。今後は少し時間をかけてファンダメンタルの変化を持つのだと思う。

S: 下がれば下がったで買えない、戻れば戻ったで買いにくくなる。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(33)バフェットは買わない?

buffet casino








証券セールス(以下、S): ウォーレンバフェット氏が市場で起債し、900億円の円資金を調達したのだけど、商社株を買ったというニュースはない。

ファンドマネージャー(以下、F): トランプ相互関税の混乱の最中、日本株に追加投資かと多くの市場関係者が期待したようだけど・・・空振りだったようだ。

S: でも情けないのが、バフェット!バフェット!とおお騒ぎした証券会社だな。バフェット氏がまた商社株を買うとはやし立て株価が上昇したのはいいけど、結局、ダマされたのは個人投資家だった。

F: 相場格言に「当たり屋につけ」というのがあるけど、相場の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットだけに「神様に付け!!」とでも言いたいのだろう。それにしても円債を起債して900億円調達したのに何もしないというのはありえないな。

S:でも本国株ポートフォリオではアップル株をバンバン売ったが、それでも28%も保有している。その他、アメリカンエクスプレス16%、バンカメ11%、コカ・コーラ7%、シェブロン6%、オクシデンタルペトロ5%・・・と続く。

F: バフェット氏のポートフォリオの特徴は金融株とエネルギーだろう。これが商社株の保有に繋がっているような気がする。世界は長期的にカネ余り、つまり、名目経済に対して金融経済が過大、世界人口の爆発でエネルギー不足が続く

S: 昔バフェット指数(株式時価総額÷名目GDP)というのがあったけど、名目経済に対して株式時価総額がどんどん増えてバフェット指数が急上昇している(下のグラフの青線)

バフェット指数202505
















F: そう。バフェット指数は200ポイント、つまり株式時価総額が名目GDPの2倍で2回ピークを打っている。バフェット流に解釈すれば「株式時価総額が肥大化し過ぎ」ということでキャッシュポジションを2倍に引き上げている。この指数にそった投資行動(キャッシュの増加)を取っている。

S: 株式時価総額は過大評価だが、実態経済に対して金融経済も肥大化している。これを考えれば金融やエネルギーというところに目が向く。その延長戦にあるのがバフェット流に見れば商社株なのかもしれない。

F: それはいえるかも。トランプが関税で大暴れしても、この世界の基本は変わらないかもね。長期的に金融経済の成長率が名目成長率よりも高く、世界人口の増加でエネルギー需要も拡大する。だとしたら、商社株が現在の業績悪化を織り込んでから、再び買うタイミングが来るのかもしれない。

S: バフェット氏はバークシャーのCEOを退任するらしいけど、どうなるかは今後次第だな。




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ベッセント氏が「為替目標圏」を否定するのは当然

ユーロシンボル










米財務長官のベッセント氏の「通貨目標や通貨制度の枠組み」に言及がなかったとして加藤氏や赤沢氏は安どしたようで、日本株市場も安心した。
だがこれは現代の国際金融・通貨制度では常識で、これをもって安心できる話では全くない。
為替目標レンジの設定も、当局の市場介入も為替を安定化させることはできない。


金ドル本位制が限界に達した1971年、金ドル交換停止で固定通貨制度は終わり、1971年のスミソニアン協定で為替レート変更もしたものの失敗、1973年にフリーフロート(変動相場制)に移行せざるをえなかった。
その後も為替レートは不安定化で、欧州ではスネークと呼ばれた変動レンジを維持する欧州通貨システム(EMS)を採用したが、これも失敗した。
1992年、EMSのスネーク(変動レンジ)をジョージソロスが攻撃、強烈なポンド売りを仕掛け、英中央銀行を降参に追い込んだ
この時、ポンド・ドル相場は結局25%もの強烈なポンド安を記録した。

通貨制度の歴史を見れば、為替レートの固定化、変動レンジに抑え込む制度が失敗したのは明らかだ。
これは国際金融のトリレンマと呼ばれたが、「資本の自由」と「為替の安定」と「金融政策の独立」は同時に成立しないという冷徹な原則だ。

そのため主要国の多くは「為替の安定」をあきらめ、「資本の自由」と「金融政策の独立」を目標に政策運営をしてきた。
いくつかの例外の国もあった。
香港は米ドルと香港ドルを固定した代わりに金融政策の自由を失い米国の金利政策を合わせた。
その結果、米国が引き締めに転換すると香港も引き締めせざるを得ないというヘンテコ状況になった。
中国は、資本の移動を規制することで通貨を管理し金融政策の独自性を維持した。


というわけで、国際金融に詳しいベッセント氏が為替の目標誘導やターゲットレンジを言い出すはずがない。
しかし、これをもって日米交渉では通貨は議論されないと考えると大間違いだ。

今回のトランプは貿易収支の均衡を目指しているわけで、相互関税で国境を高くしてモノの動きを制限すると同時に、為替レートをドル安にして主要国の輸出採算を悪化させることは十分にありえる話だ。
おそらく、金融政策で米国の利下げによって資本の米国集中を逆転させ、さらに関税によって貿易収支を変化させる。
資本と貿易という国際収支を改善させることで、長期的にドル安/円高傾向を作り出そうとしている。
2回目の赤沢ーベッセント会談はどうなるか?

ベッセント氏は決して無理やり強引に円高を作り出そうとしないだろう。
でもこっちの方が日本の新NISA投資家には逆に厳しい。
国際収支の構造を長期に変化させることで円高トレンドを作り出す、となると、長期的に円高が続く可能性が出てくる。
その場合、長期に渡ってドル建てのオルカンのパフォーマンスが低下するかもしれない。



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投機筋が逃げる金相場

金価格とドルインデックス
金とドルインデックス202504
















トランプ氏が大統領就任した1月から、金価格が急激に上昇してきている。
「トランプ関税で米経済が混乱するから金へ資金が流入する」、「米中対立の地政学リスクで金が安全資産として注目されている」、「トランプ懸念で米国から資金が逃げ金に流入している」・・・いろんな見方や噂が出てきている。

金価格の基本を確認しておくと、金価格の上昇は次の三つの要因がある。
①インフレ局面で金価格は上昇する(インフレヘッジ)
②ドル安局面で金価格が上昇する(ドル高ヘッジ)
③金利低下局面で金価格が上昇する(金融緩和効果)

今回の金上昇の背景を確認すると・・・
①が当てはまるがどうかは微妙。
確かにトランプ関税によって物価上昇は懸念されてるが、実際の物価指標には表れていない。
③は当てはまらないだろう。
金利はピークアウトしたものの、今後の利下げがあるかどうかも不透明だからだ。

というわけで、今回の金上昇の原動力は②ドル安だったといえる(上のグラフ参照)。
ドルインデックスは1/9に109でピークを付け、4/22まで約10%下落している。
その一方、金価格はというと、1/9の2690ドル~ピークは4/21の3425ドルで、ナント、短期間に27%も上昇した。

ドル安が原動力だったのは事実だが、10%のドル安に対して金は27%の上昇、金価格の上昇がスゴ過ぎる。
この金価格上昇は投機的な感じが否めない。


投機筋の動きを見るために、COMEXの金先物ポジションを見てみよう。
下のグラフは金先物の投機筋のネットポジション(買い建て―売り建て)だ。

金先物投機筋ポジション
金先物投機ネット202504
















トランプ就任後ネットポジションは2/4までは増加し、ドル安による金高に投機筋も賭けていた。
しかしその後は、2/4の30.0万枚から4/22の17.5万枚まで42%のポジションが減少した。
買い建てが10万枚近く減少し、売り建てが3万枚増加、ネットポジションが13万枚も急減につながった。

重要なのはヘッジファンドや商品ファンドが、なぜ、持ち高を急速に売却したか?

2月~4月のトランプ相場で金価格を買い煽ったのは、ヘッジファンドなどの投機筋ではなかった。
トランプを警戒した世界中の個人投機家の金買いだったのではないだろうか?
これは仮説に過ぎないが、金相場はかなりの過熱感があり投機的な行き過ぎ局面だと判断したヘッジファンドや商品ファンドが建玉を急縮小させ空売りを急増させたと考えられる。

ファンド筋が正しいのか、個人投機家が正しいのか、いずれ結論が出るだろうが、相場の佳境場面では個人投資家が乱舞するのは経験則だ。
相場の過熱や行き過ぎには注意が必要かもしれない。


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Mr. too Late、5月利下げはどうする?

トランプ










トランプはムチャクチャな事を言う時もあるが、ごくたまにまともな事を言っている時もある。
それは米国経済にとっては利下げが必要かどうか・・・だ。
FRBはトランプ関税など様子見姿勢を続けているが、一方ECBは6回連続に金利を引き下げている。
現状の環境でさえ、FRBのスタンスは圧倒的に保守的だ。
トランプはパウエル氏を解任はしなかったが、「ミスターツーレート」と呼び不満を表明している。


トランプ劇場では、経済指標についても確かに判断が二分化している。

①PMIなどセンチメント指標と、ハードデータの二分化

ISM製造業指数などのセンチメントを映す指標と、小売売上高や雇用統計などのように現実の経済活動を示すハードデータに乖離が生じている。
ISM製造業が3月は49.0と50割れ2月の50.3から低下、ISM非製造業も53.5から50.8へと低下した。
その一方で、小売売上高は前年比+4.6%と2月3.54%から加速し、非農業雇用者数も209kと2月116kから伸びが拡大した。

このトランプ就任式以降のハードデータは、トランプ関税前の駆け込みが含まれているために高めに出ているが、この駆け込みが終わるとデータが悪化する懸念もある。


②IMFによる米成長率の下方修正と、FRBのインフレ加速予想の二分化

IMFだけでなく国際機関は世界成長率を下方修正してくる。
IMFは今年の世界成長率が3.3%から2.8%に下方修正し、米国も0.9%の下方修正した。
一方、FRBはトランプ関税から「不確実性が高い」として様子見姿勢を強めている。

調査機関のGDP下方修正とFRBの様子見姿勢も二分化しているような気がする。
景気が悪化すると言う予想ならば、ECBのように連続利下げするべきなのではないだろうか?


と考えると、トランプがパウエル氏に利下げを迫っているが、一定の理があるといえる。
5月のFOMCではトランプ関税による悪影響を和らげる意味でもFRBは利下げをするかもしれない。
昨日のNY市場では、短い年限12か月国債から5年国債まで10~20bp金利が下がり、この年限の国債利回りはすべて4%を割れた。
金融市場はFRBの利下げを期待する動きになってきている。
これが株の反発局面に効いてくるかもしれない。



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米国トリプル安は危険な香り?

天邪鬼














一般的には一国のトリプル安、通貨安、株安、債券安(金利上昇)がそろうと、その国から資金が逃げ出している証拠とされる。
今週は米国でその「トリプル安」が起こった。
米国株が売られ、米長期債だけでなくハイイールド債も売られ、さらにドルが人民元を除く主要通貨に対して売られた。

これをもって単純に米国から資金が逃げている、米国資産は売りだという意見も見られる。
あるいは、このトリプル安の危険性を見ているベッセント財務長官がトランプに進言して相互関税の実施を90日延期したとか言う観測をする評論家もいた。


でも、天邪鬼の投資家は自分で確かめないと納得しない。

①まずは為替・・・

ドルインデックスと投機ポジション
ドルインデックスと投機ポジション202504
















ここ数日は確かにドル安になっている。
だけど、ドルインデックス(ドルの主要通貨バスケット指数)はまだまだ過去のトレード・レンジ内にあるし、投機筋の先物売り仕掛けも特に見られていない。
ドル安といってもそれほど強いモメンタムは感じられない。

しかし、ドル円は違う。
日本当局はトランプ関税を回避するために「円安修正」を条件に出すかもしれないからだ。
過去2年の大幅な円安が非関税障壁だと考えれば、関税の代わりに「円安修正=円切り上げ」をするのは十分にありえる。
自動車関税も相互関税もなしにする、代わりに関税率と同じ20%程度の大幅な円高介入をする、考えられるシナリオだ。
交渉次第とはいえ、大幅な円切り上げで合意する可能性もゼロではない。


②次に米国株・・・

S&P500
S&P500と投機ポジション202504
















米国のM7の株価下落は楽観過ぎた投資家の逆流、米国一強体制の終わりといえるのかもしれない。
しかし、米国株全体は簡単に終わらないだろう。

投機筋は確かに先物ネットショートに転換したが、それが20%下落した理由という規模ではない。
米国経済の終わりを見て投機筋が巨大な売り仕掛けをしたというわけではない。
投資家はまだ様子を見ているところで、米景気のリセッションが起こるかどうかをジッと見ている。


③長期債の下落(長期金利の上昇)

米10年債利回りと投機筋先物ポジション
米10年債投機筋ポジション202504
















株価下落の途中から長期金利は反転、現在4.5%付近に上昇した。
ここはトランプ政権も容認できないところだろう。

しかし、投機筋の先物ポジションも先週再びショートが急拡大、投機筋の勢いが増している。
その根幹にあるのが懸念される中国の米債売りで、これをネタに売り仕掛けしている可能性がある。
米長期金利が当面の最大の焦点になる。


④米ハイイールド債の売り

ハイイールド債利回り
米ハイイールド債利回り202504
















格付けの低い企業が発行するハイイールド債は、景気が悪化すると信用リスクが高まり(借金返済が滞る)下落する、この点で景気変動を映す株価と連動する。
このところの株価下落でハイイールド債の下落(利回りは上昇)したが、期間的に短くトレンドが続くかは判断できない。
しかし、米10年国債が大幅に下落し利回りが5%に達するようならば、米国株は下落の第三幕に入り、ハイイールド債に一段と売られる、注意が必要だ。



中国が本気で外貨準備の長期債を売れば米金融市場は大きな混乱に陥るが、中国もただでは済まない。
不動産不況を克服できず、国内の過剰債務も処理できず、国内需要が弱く輸出ドライブを掛けるしか策はないだろう。
トランプ関税で輸出ドライブを抑え込まれたら、中国経済も相当ヤバい。
それを考えると、米中貿易摩擦だからといって中国は米長期債を無制限に売ることもできないし、人民元安を誘導するのも中国からの資金逃避を加速させるリスクがある。

一番リスクがあるのが米国債の売り崩しだが、限界があるのではないかと思う。
確率が高いのは「円切り上げ」で、投資家は注意する必要がありそうだ。
結局のところ、トランプ関税政策の出口はまだ不透明、米国株価はパニック売りの初期局面は終わったものの安心はできない。




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仮説:中国の反撃開始

人民元インデックスと、対ドル人民元相場
ドル人民元202504

















トランプの「相互関税」の最終的なターゲットは中国だと考えている。
以前ブログにも書いたが、トランプ政権の狙いは①対中国の軍事力で優位に立つこと、これには軍艦・航空母艦や戦闘機・爆撃機の国内製造能力を増強すること、②第三国輸出を含めて中国の対米輸出品への高関税を掛けて大きく削減すること、この二つにあると見ている。

相互関税の上乗せ分を90日間延期したが、リセッション懸念が低くなったとして株価は大反発した。しかし中国に対しては報復策を取った(トランプに逆らった)ことを理由に除外、むしろ関税を125%に引き上げた。
これに対してプライドの高い習近平政権は平身低頭トランプにすり寄るか、あるいは徹底的に対抗していくか、どっちだろう。

いずれにしても習近平は秘策を考えているはずだ。
ここから何が起るのだろうか?

考えられる対抗策は・・・

①中国は3兆ドルの外貨準備を持つ国であり、そのパワーを有効に使う。
ここ数年中国は外貨準備のうち金保有を増やし、昨年も32トンの金を購入し、合計2289トンの金を保有している。
外貨準備の中で、金保有を増やし米国債を減らすリバランスを一段と増やす可能性がある。
この米国債を売却するオプションは、トランプの脅しに対抗する策として効果がある。

4/8のNY市場では米中摩擦の深刻化を受けて株価が急落したが、逆に米10年債は急速に売られた。
通常なら株式暴落では安全な債券へ資金シフトで長期金利が低下するはずだが、その日に起こったのは全く逆に動きだった。
一つの仮説に過ぎないが、中国が対抗策として米国債を大量売却する、あるいは大量売却の懸念が債券市場に影響し始めたといえる。
米債の大量売却は、対米国の対抗策としては非常に有効だと証明したといえる。


②トランプの100%高関税を中和するために人民元を対ドルで安くする。
関税を掛けられても通貨安へ誘導すれば、その痛みを中和できる。
100%関税で中国製品の値段が2倍に上がっても、ドル人民元を半分にすれば影響はチャラになる。
さすがに半分はちょっと現実離れしているが、仮に通貨を対ドルで10%~20%動かせば影響の一部は相殺される。

しかも中国は為替管理国で、人民元相場は毎日外貨管理局が決めて発表する。
為替フリー・フロートの多くの国に比べれば人民元レートを動かすのは簡単だ。
上のグラフで赤線がドル人民元だが、人民元インデックスが往来圏で動いているのに対し、ドル人民元は通貨安方向で動いている。
今後、一段と通貨安政策を取ってくる可能性が高い。


報復関税は表向きの対抗策で、中国の本心は米債の売り崩し(金利上昇)と人民元の安値誘導にあるのではないかと思う。
おそらくトランプ政権は長期金利の上昇も対ドルでの通貨安も容認しない。
でも、この策はトランプ政権にはどうしょうもない、米債券売りも人民元安誘導もトランプ政権がコントロールできるものではないからだ。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(32)国債評価損

日本国債利回り比較
日本国債金利202504















証券セールス(以下、S): トランプ関税で世界の投資家がドタバタしているな。どう、パフォーマンスは?

ファンドマネージャー(以下、F): 株式ウェートを年初から大きく引き下げ、Jリートや高配当商品のウェートを上げてきたのでパフォーマンスへの影響はほとんどなかった。

S: トランプ解放の日は予告されていたのに、これは譲歩をせまるディールで実際には高関税は出さないと、評論家たちは甘々な見通しに終始した。ホントに無責任な奴ばかりだ。

F: 兆候は多くあった。「解放の日」前にシカゴの日経先物やS&P先物では投機ポジションが売り転換していたし、ドル円先物でも円ロングが過去最大に増えていた。多くの評論家はデータを無視して楽観的な見方ばかりを論じていた。

S: 解放の日で株価下落すると同時に、その際に資金の逃げ場は日本円になる、これをヘッジファンドは見抜いていた。だから巨額の株式ショートとともに円ロングを積み上げたというわけだ。さすがヘッジファンドだね。

F: 3月は日本債券市場でも注目すべき動きがあった。日本生命の債券売りだ。日生の有価証券投資は全部で70兆4000億円と巨額だ。そのうち日本国債は30兆7000億円と半分近い。金利上昇で国債価格が下がり、2兆5311億円の含み損を抱えているという。これを売却して損出し、さらに利回りの高い国債へとシフトするポートフォリオリバランスを行った。

S: 日生の体力があれば1兆3000億円もの損失処理ができるけど、他の金融機関、地銀などはどうするのかな? この3月期決算で損失が表面化するかもしれない。

F: 株式市場は金利上昇で貸出利ザヤが改善するとハヤして銀行株が株価上昇したけど、決算は注意が必要かもしれない。

S: 3月に日銀が金利据え置きだったのに国債利回りが総じて上がり、10年債利回りが1.58%まで上昇した。期末接近で金融機関の投げ売りで利回りが上昇(価格が下落)した。

F: 10年金利はちょっと上がり過ぎた。新年度に入りこうした損切りが一巡してくるので10年金利もピークアウトしてくる。長期金利の低下が株式にはプラスになってくる可能性もありそう。



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投機筋円買いポジションの読み方

IMM円投機ロングポジション
IMM円投機買いポジション202503















1カ月ほど前、米国のIMM円投機ポジションが急速にロングに傾いたとブログに書いた。
その後、複数の評論家がこの「円投機売り」についてコメントしていたが、その言い分は「IMMで円投機買いが過去最高水準まで増加した、投機買いがたまると将来の円売り要因になる、だから、為替は円安になる」ということだった。

ちょっと違和感を感じた。

第一に過去最高水準の円ロングが何を意味するのかということ。
IMMポジションが実際の為替市場の規模からすればわずかでIMMポジションが為替水準を決定するわけではないが、ヘッジファンドなど投機筋が何を考えているを知るには需要な数字だ。
この過去最高水準の円ロング、筆者には過去ないぐらいの「強い意志」を感じている。
投機筋が本気で円ロング戦略を取り始めたと見ている。

第二に急激に円ロングを積み上げたため、円買い期間がまだまだ短いこと。
ヘッジファンドとはいえ、そんなに売り買いポジションを細かく切り替えることはしない。
経済環境を顧慮しリターンの期待値を考えてポジションを取るので、通常、数か月以上の期間で為替トレンドを読んで動く。
円ロングポジションが激増したのが2月後半なので少なくとも5月ぐらいまでの期間でトレンドを読んでいるはずだ。

とうわけで、今回の投機筋の円ロングは腰の入ったポジション取りのように見える。
一部評論家のように、ポジションが溜まったからといってすぐに反対売買を期待したポジションを取るのはリスクが高いと思う。

IMM投機筋ポジションをもう少し分析してみたい。

IMM円投機ネットポジション
IMM円投機ネットポジション202503















上のグラフはIMM円投機のネット(差引)ポジションだが、ポジションの振れ幅を過去の標準偏差で示した。
ネットポジション平均値と、それに∔標準偏差を加えた上限値として、-標準偏差を引いた下限値として線を引いている。

現在のネットポジションは12.2万枚のロングで上限値を大きく上回っている。
これはロングが増えたのと同時に、円ショートが1/14の12万枚から大きく減少し、3/18直近値では4.1万枚まで減少したことも多くに影響している。
これは投機筋は円売りに興味がなくなったことを意味している。

日本の評論家は「円安、円安」と声を大きくして言う。
「円安でないと株が上がらないから円安」と念仏のように唱えれば株が上がるとでも思っているようだ。

数字を冷静に慎重に呼んで行くと、ヘッジファンドが用意周到に円ロング戦略を実行しようとしているように感じる。
ロングポジションが過大だからと言って、すぐに反対売買を期待して円安に賭けるのはやめた方が良いと思う。



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中国不動産不況は終わったのか?

中国不動産価格指数
中国不動産指数202503
















今年は年初から中国企業が活躍してきた。
世界にショックを与えたディープシークの低コスト生成AI、テスラを一気に抜き去ったBYD、ジャックマーと習近平の再会、昔なつかしいアリババやテンセントの急反発・・・多くの中国発ニュース株式市場を賑わせた。

中国政府はいろいろ政策を発動して景気刺激を図っているが、根本にある日本の90年代のような「不動産デフレ」は終わったのだろうか?
データで確認してみたい。

まずは、中国の不動産価格指数。
残念ながら昨年9月までのデータだが、2021年の112ポイントでピークアウトして、24/9に93ポイントまで17%下落している。
まだまだ底値に達したとはいえない。



中国不動産価格指数、前年比
中国不動産指数前年比202503
















この不動産価格指数を前年比で見ても、下落率が現在-9%と、前年比の下落率も未だに加速化している状況だ。
これを見ると何も変わっていない。
データは昨年9月までとちょっと古いので、最新データが公表されるのを待ちたいが、大きな変化は期待できない。



中国政策金利
中国政策金利202503
















次に中国の政策金利だが、これも徐々に引き下げられている状況が変わってない。
政策金利を引き下げて過剰債務を持つ不動産企業を支援しているつもりなのだろうが、不良不動産の最終処理が終わらない限り、「不動産デフレ」は変わらないのだろう。



中国クレジットインパルスと製造業PMI
中国クレジットインパルス202503
















さらに、中国クレジットインパルス指標。
これは貸し出しの増加(=クレジット・信用供与)とGDPの伸びを比較した指標で、中国銀行が融資を積極化させているか慎重になっているかを示している。
新型コロナ後、一瞬融資が伸びてクレジットが増加したが、それも一時的に終わり、その後2022年から25年まで継続的にクレジットの伸びがGDPに比べて低い状態が続いている。

これは「不動産の最終処理」が終わっていないので、金利を引き下げ景気刺激をしようとしてもクレジットが伸びない、新規投資が増えないという「不動産デフレ」が続いていると判断できる。

必要なことは「不動産の最終処理」で、不良不動産を損切りして売却損失を計上する、損失で棄損した自己資本を政府が代わりに注入してバランスシートを維持する、そして新たなビジネスプランを策定し企業再生に進むことだ。
企業破綻を回避するために処理を小出しにすると、いつまで経っても解決しないのは日本の経験だ。



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Gゼロ世界の株式投資(7) ウクライナ後の地政学

華夷思想













トランプ―プーチン電話会談はインフラ施設への攻撃停止だけで、本質的な領土や平和維持については何も決まらなかった。
それでも欧州各国はウクライナ戦争後をにらんで動き出している。
欧州特にドイツは財政規律を越えて防衛費の増額に動き、新たなウクライナ支援を議論し、英・仏・独で平和維持軍のウクライナ派遣が検討されている。

その後の世界では何が起るのだろうか?

トランプがディスってきた国をもう一回眺めてみよう。

①カナダ: 「アメリカの51番目の州」と発言し25%という高関税で脅かす。
②グリーンランド: 米国の所有にすべきと固執。
③中国: 追加関税10%を二回実施、パナマ運河管理会社を香港企業から取り返した。
④メキシコ: トランプ1.0で「壁」を作ったが、今回は25%の関税、メキシコ湾をアメリカ湾にする。
⑤EU:関税と安保・NATOで揺さぶりを掛ける。

欧州の安全保障は欧州各国が行い、米国は拠出を引き下げる、対ロシアの最前線はウクライナからそれを含めたNATOになってくる。
トランプは欧州の安全保障は欧州自身にやらせよう、その分米国の負担を大幅に減らす。

さらにトランプは北米大陸全体、カナダ(グリーンランド含む)とメキシコ(中米、パナマ運河まで)を一気通貫で牛耳ろうとしているように見える。
これで欧州から北米大陸に関してはトランプの思い通りに進んでいる、となるウクライナ後はアジア地域特に対中国にフォーカスしていく気なのだろうと思う。


日本は対中国の前線になる。

日本は中国と米国の中間にあるので、日本を対中国のフロントラインにするのが自然だ。
中国の主張する第一列島線の内側に中国を封じ込めるためには日本列島、沖縄諸島、八重山諸島、そこから続く台湾までのラインが重要になる。
トランプ政権は盛んに日本はGDPの3%を防衛費に当てろと主張しているが、これは一時的な話ではない、「本気で日本にやらせようとしている」と考えた方がいい。

ただし、台湾をどうするのかは明確じゃないかもしれない。

台湾には台湾セミコン(TSMC)と鴻海(フォックスコン)という重要な戦略企業があり、簡単に中国化を認めることはないだろう。
しかし、面と向かって「台湾防衛」を口にすることもできないという矛盾した状態が続く可能性が高いと思う。
したがって第一のオプションは「現状維持」、でも中国が台湾に侵攻したらどうするのかだろうか?
そうなればやらざるをえない。

中東地域の中核がイスラエルーサウジアラビア・ラインになる。

イスラエルはパレスティナを完全に破壊し、ハマスーヒズボラーフーシ派ーイランの枢軸を木っ端みじんに破壊しようとしている。
数年前、中国の仲介でサウジはイランと和解したが、再び米国の対イラン包囲に参加しているように見える。
やっぱりスンニ派とシーア派の歴史対立は根深かったのかもしれない。
人権・環境・多様性のバイデン政権はダメでも、DEIやWOKEを排除するトランプ政権とは組めるというのがサウジMBS氏の本音だろう。


欧州から北米はトランプの威圧感で抑え、中東地域(対イラン)はイスラエルとサウジを前線にし、アジア地域(対中国)は日本を中心に対立軸を作る。
これがトランプ政権の考え方のように感じる。

大きなリスクは「トランプの高年齢」と「政権内の分裂」だと思う。
トランプ1.0でのボルトン氏やペンス副大統領との不和が伝えられたが、トランプ2.0でも過度にトランプを持ち上げるバンス、テスラ暴落からのイーロンマスク、彼らのリスクが政権分裂につながるかもしれない。

まさに不確実なトランプ2.0時代という感じを持っている。



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欧州の将来はバラ色か?

ドイツ国債利回り
ドイツ国債利回り202503

















ある評論家は日経SNBCの番組内で「欧州は8000億ユーロの再軍備計画を発表し、財政規律に厳しかったドイツも規律を緩め財政出動する、これでドイツ経済を復活する、だからドイツ株は買いだ!」と言う。

・・・マジか? 

ドイツDAX指数が急上昇したのは事実だが、このロジックにはちょっと違和感がある。
トランプの基本姿勢で見られるのはアメリカが欧州の安全保障から手を引く、なので欧州は自分で自分の地域を守らなければならない。
そして巨額の防衛支出計画を出してきたわけだが、これは欧州経済には実質的にプラスにならないと考えている。


①財政負担が拡大し、欧州各国の資金調達が困難になる。

上のグラフのドイツ国債利回りを見ると10年債利回り(上のグラフの赤線)が一気に3%水準まで上昇し、過去のピーク圏に入ってきた。
政策金利は引き下げ方向なので2年債(青線)は動きがない。
にもかかわらず長期金利だけ上昇し、長短金利差(グリーン線)が急速に拡大している。

景気良好で長期金利が上がる、または、財政ポジションの悪化で上がるどちらかだが、景気鈍化の欧州では明らかに財政ポジションの悪化懸念で長期金利が上昇していると見るべきだろう。

25%というトランプ関税が検討されている欧州地域で、景気が簡単に回復していくとは思えない。
というわけで、欧州の財政悪化によって国債の信用不安が起きる可能性を債券市場は見ている。


②軍備増強は経済にプラスにはならない。

1990年ベルリンの壁が壊れ東西ドイツが統一された時、「平和の配当」が欧州株式市場を大きく上昇させた。
軍備にかけてきたおカネを民間経済に使える、「平和の配当」が期待された。
欧州の再軍備は経済活性化ではなく「逆・平和の配当」として経済には重荷になる。

インフラに投資すれば道路が拡張され港湾が整備され、物流が活発化し交易量が増え経済は拡大する。
しかしいくら武器や弾薬に投資してもこれらは在庫であって、在庫を増やすだけでは経済効果が波及して行かない。

防衛費の増加は防衛関連会社の売上げに貢献するが、最大の防衛産業は米国にあり、多くは米国企業を潤すことになるだろう。
欧州や日本の防衛関連会社には限定的な発注になるだろう。


さらに欧州政治も岐路にあるような気がする。
フランスでもドイツでも自国ファーストな右派が台頭し、「欧州統合の理想」よりも「移民問題」などの現実的な国民の利益を重視する勢力が増加している。
こうした政治の変化はトランプに似ている感じもするが、政治の不安定は続きそうだ。


それじゃ、なんでドイツ株が上昇したのか?

ここ2年ぐらい世界の投機資金が米国株に集中し、GAFAM、NVDAなどを爆買いしたが、その一方で欧州株や中国株は資金流出に見舞われた。
この状況下、多くのグローバルファンドが欧州や中国をアンダーウェートし米国株をオーバーウェートにしていたはずだ。
そして、ユーロが底入れしドイツ株が反発に入り、中国でディープシークが開発された時、このポジションが大きくアンワインドにむかった。
その結果、ドイツ株が急上昇し、ドイツ国債が強烈に売られ、ユーロが急速に買い戻された。
また中国株も急上昇した。

このドイツのトリプル高(株高、金利高、通貨高)は需給の逆流によるものだと考えている。
ファンダメンタルを素直に見てドイツ株は買えるかを判断すべきだろう。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(31)株価調整の見方

SOX指数202503
















証券セールス(以下、S): 米国市場が波乱展開だけど、これってトランプのせい?

ファンドマネージャー(以下、F): トランプの政策やその意図はいろいろ考えてきたけど、一番の懸念は米国よりも世界経済全体を縮小させるかもしれないという懸念だろ。

S: まぁね。関税を掛け合って世界全体の貿易が縮小すれば、確かにヤバい!!

F: 記憶では米・加・墨の間では「北米自由貿易協定」を元にした「米国・メキシコ・カナダ協定」が生きているはずなのに、トランプが勝手に両国からの輸入に25%の関税を掛けるという。メキシコはそれを避けるために中国からの輸入品に同程度の関税を課すかもしれない。一体どうなっているのか? 協定って無視してもいいの?

S: 昔、韓国がゴチャゴチャ言って日本海を「東海」にしようとしたが、国際機関に訴えても結局変更できなかった。それ以来、公式名称は分裂し、日本は「日本海」と呼び、韓国人はしつこく「東海」と呼んでいるのかもしれない。メキシコ湾も米国は「アメリカ湾」と呼び、メキシコは「メキシコ湾」と呼ぶだけかな?

F: それにしても長い時間を掛けて合意した多国間の自由貿易協定を簡単に無視するって問題だね。日本が主導したTPP(環太平洋パートナーシップ)もトランプ1.0で米国が勝手に抜けた。日本は残りの国との自由貿易を維持・拡大させることに一層注力し、アジアパシフィック地域の自由貿易を主導すべきだろう。

S: ここまでくるとトランプ政権というよりも「トラップ政権」と呼ぶ方がいい。でも、株式市場の波乱はトランプのせいもあるけど、株式のバリュエーションが高すぎたからじゃない?

F: 長期金利4.3%に対してS&P500の益回りが4.4%と、本来の長期金利<益回りという関係がくずれ、長期金利=益回りになっている。つまり、現在のS&P500のPER22.5倍は割高だということ。EPSの高成長期待が高いバリュエーションの根拠だが、このEPS高成長期待に疑問符が付くとバリュエーション調整が起こる。

S: 株価の下落がバリュエーション調整だけなら、高値から10%も下げれば十分なんじゃない?EPSが数%でも伸びるかぎり、S&P500PERで20倍割れぐらいで相場は相当安定してくる。

F: トランプが「マールアラーゴの合意」のように国際秩序自体を変えようとしていると見ると、かなり長期に渡って構造変化が起こる。その場合、株式市場も単なるバリュエーション調整ではなく、構造的な変化が起こる可能性がある。よく見て行かないと・・・

S: それってどうなるの?

F: たとえば、アップル。トランプにスリスリして75兆円の国内投資を決めたが、ホンネを言えば、中国FOXCONで作っているiPhoneの輸入関税を回避したいだけだ。それが認められるかがアップルの経営にとっては非常に大きい。NVDAにしても台湾のTSMCでGPUなど半導体を製造しているわけで、あわてて米国内に1000億ドル投資すると発表したが、その関税を回避できるかは分からない。

S: ということは今後中国からのiPhoneの輸入、台湾からのNVDA半導体の輸入が関税回避できるならば、米国株は買いになるっていうこと?

F: そうだな。トランプは米国企業をつぶしたいとは思っていないだろうから、このスタンスが明確になれば、米国株だけでなく、日本株も台湾株に対しても投資家は安心してくるだろうね。




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Gゼロ世界の株式投資(6)一寸の虫にも五分の魂

ウクライナ









「虫」という言葉を使うのは一国の大統領に対して失礼極まりないが、ゼレンスキー・トランプ会談を見てこの言葉を感じた。
進行するGゼロ世界の主役の一人が米国トランプ大統領であることは間違いない。
多国間の交渉を無視し、各国首脳との1対1のタイマン勝負をする。

ゼレンスキー・トランプ会談は決裂し、トランプは「出直してこい!」と言った。
ゼレンスキー氏は、多くの有力リーダーは「スリスリ」して媚びへつらうトランプに対して、自分の主張を展開した。
言うべき事は言うというゼレンスキー氏に「一寸の虫にも五分の魂」を感じた。


このロシアのウクライナ軍事侵攻を「ロシアの戦争犯罪」と位置付けるか「スラブ民族内のケンカ」と見るかに両者の大きな相違がある。

「ロシアの戦争犯罪」ならば、ロシアが絶対的悪で取引できるような相手ではないということになる。
一方、「スラブ民族国家内のケンカ」ならばケンカ両成敗を原則としてお互いに譲歩すること(=取引)で停戦できるかもしれない。
しかし、ゼレンスキー氏にとっては「ロシアの戦争犯罪」であり犯罪者を利するような停戦はできないとうことだろう。
一方、トランプ氏はディールメーカーでありゼレンスキー氏に譲歩を求める、妥協がなければ交渉はできないからだ。

ゼレンシスキー氏を「選挙のない独裁者」と呼び圧力を強めるトランプ氏は、交渉のテーブルにウクライナとロシアを引きずり出すことを最優先にしたのだろう。
ゼレンスキー氏には「脅し」をプーチン氏には「甘い誘い」をした。
すべてトランプ氏の計算だったように思える。

この会談の決裂は欧州に大きく影響するのではないかと思う。
欧州首脳は「ロシアの戦争犯罪」と主張するだろうし、その点ではゼレンスキー氏と同じ考え方だ。
ロシアの戦争犯罪を止めない限り次はポーランドかもしれないし、フィンランドかもしれない、またバルト三国かもしれない。
ロシアの脅威に直面する欧州はウクライナを放り出すことはできない。


でもトランプ政権が望むように「欧州の安全保障は欧州でやる」という決意が示されるとしたら、米国はNATO、北大西洋地域の安全保障から一歩引くだろう。
欧州から平和維持軍を派遣したり、戦争終結後のNATO加盟を認める発言が出てくると・・・ちょっとヤバいことになるかもしれない。
いずれにしても欧州首脳、EU首脳、あるいはNATO首脳がウクライナと米国の間をどう仲裁するかが安全保障のカギだろう。

And trust me, I say this with all humor—if American democracy can survive 10 years of Greta Thunberg’s scolding, you guys can survive a few months of Elon Musk. 

バンス副大統領のミュンヘン会議での演説・・・米国民主主義がグレタ・トゥンベリのお叱りに10年も耐えたなら、お前らもイーロンマスクに数か月は生き残れるだろう。
環境やら移民やらの硬直した欧州の民主主義を暗に非難し、ロシア・中国からではなく、自分ちの内部から壊れると主張した。
これがトランプのホンネなのだろう。

何か重大なことが起これば、必ず欧州株価が反応する。
現在、トランプの停戦が進む可能性を見て欧州株は上昇しているが、もし、「欧州の安全保障は欧州で」ということになれば欧州株価が下落するだろう。
当面、欧州株、ドイツDAX、フランスCAC40、イギリスFT100の動きからは目が離せない。



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Gゼロ世界の株式投資(6)マール・ア・ラーゴの合意

Gzero














ブルームバーグが伝えるところでは、ウォール街では「マール・ア・ラーゴの合意」に備えるべきだという見方があるそうだ。
トランプ政権の内部で合意した戦略を「マール・ア・ラーゴの合意」と呼んでいるらしい。

ブルームバーグは伝える・・・

大統領経済諮問委員会(CEA)委員長スティーブン・ミラン氏は、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。
さらにミラン氏と財務長官ベッセント氏はドルの価値を下げ、金利の価値を下げ、国の負債負担を減らそうとしている。
米国の債務負担の再編するのに、関税を用いて国際貿易を刷新し、ドル安を誘導し最終的に借り入れコストを引き下げるというがトランプ政権チームのアジェンダだ。


簡単に言うと、マールアラーゴの合意は「関税を重視して国際貿易の構造を根本的に変える、ドルを継続的に下落させて米国の競争力を引き上げ、金利を引き下げて債務負担を軽減する」というアメリカ重視の長期ビジョンなのだろう。

トランプは今までの常識をぶっ壊し、Gゼロ世界で別の秩序を作り出そうとしている、少なくともその意図は見える。

その意図は・・・
①関税を大きく引き上げ、友好国には米国内に生産を移せという政策は米国を中心としたサプライチェーンの構築であり、中国などの非友好国を完全に排除する。
②ドル価値を下落させることで米国の国際競争力が拡大すると同時に、ドル経済圏を拡大させて中国人民元の流通圏の広がりを制限するという意図もあるかもしれない。


でもそう簡単にマールアラーゴの合意を実行できるかは不明な点も多い。

①トランプ1.0でやったようにトランプがパウエルFRBを恫喝して利下げすることはできるかもしれない。
でも関税でインフレ率が上がっているところで利下げも不自然に見える。

②トランプの「関税をかけるぞ」という脅しで米国への投資を増加させることは可能かもしれない。
しかし投資の増加はドル買い要因で、投資が増えるほどドル安誘導が難しくなる。

③米政府債務を軽減させるならば、イーロンマスクの無駄削減を徹底的に行うことかもしれない。
人員削減で雇用環境が悪化すれば、景気回復させる減税が大幅になり政府債務が増えてしまう。

というわけで「マールアラーゴの合意」がどう実現するのか、けっこう難しいところもありそうな気がする。
ただし従来の世界の枠組みが大きく変化していくことだけは間違いなさそうだ。




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Gゼロ世界の株式投資(5)自由貿易は死んだ?

自由貿易











トランプが進めるGゼロ世界、世界を引っ張るリーダーが不在で、強国がエゴ丸出しで自国の利益を追求する世界。
世界を支えてきた自由・平等・人権などの理念が「ウソ」とされ、強国同士のディールですべてが決まる世界だ。

トランプは自由貿易を否定し、保護主義的な関税を好き勝手にバンバン掛けている。
しかし、自由貿易自体は相当怪しい理念だ。

昔々、高校3年の授業「経済学の基礎」で「リカードの比較生産費説」を習った頃を思い出す。
肥沃な国土を持ち農業に強い(農業国)=A、技術が発達し工業に強い(工業国)=Bを想定する。
A国は農業でBは工業で比較優位を持つので、A国は一段と得意な農業生産を伸ばし、B国はより良い工業品を生産する。
そして、A国は農産品をB国に輸出し、B国は工業品をA国に輸出する。
そうすればお互いにメリットが大きく、貿易で両国民は豊になれるという理屈だが・・・

・・・ってなんか違和感!と思った事を思い出した。

A国は利益率の低い農業を押し付けられ、B国は利益率の高い工業に特化するって、これじゃ、B国はどんどん豊かになり、A国はどんどん貧乏になるだけだ。
自由貿易の理論は強者が弱者を搾取するという、強国優位の考え方だと思ったからだ
もしA国がB国の工業品に関税を掛けたら、A国内の会社も競争できるかもしれないし、政府が受け取る関税を技術開発に回せば、B国に対抗できるかもしれない。
技術開発し低いA国の生産性を引き上げることができるかもしれないからだ。

多くのコメンテーターは「自由貿易こそ正しい」と念仏のように唱える人たちで、関税を掛けても物価を上昇させるだけだという。
確かに関税は輸入業者が払い国内物価に転化する、関税分だけ国内物価が上がることになる。
しかしその関税は国家の収入であり、それを国民に還元することができる。
つまり、国民にとっては輸入品の物価高を負担することになるが、政府がその関税収入を国民に正しく還元すれば影響はチャラにできる。

自由貿易をドンドン推進していくことで地球レベルの貧富の差が一段と拡大したのかもしれない。
という意味で自由貿易は絶対ではないし、トランプは違う世界を目指しているのかもしれない。

ただ、話はそう単純ではない。
アップルのようなグローバルサプライチェーンを持つ企業はサプライヤー間で関税が発生し複雑な影響を受ける、サプライチェーンをどう変更するのかが大きな課題になるだろう。
一方、自由貿易が基盤の日本はどうする?
地域内の自由貿易協定であるTPP(環太平洋協定)を再び掲げて域内の自由貿易をリードすべきだろうと思う。



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証券セールスとファンドマネージャーの会話(30)需給相場

米国マネーサプライ、M1、M2
マネーストック202412
















証券セールス(以下、S): トランプが選挙で勝ってから、相場はファンダメンタルから離れ、市場心理や需給で決まるようになった気がする。

ファンドマネージャー(以下、F): 確かに、あれほど騒がれたフジメディアHDの株価が爆謄しているが、これが典型的な例かもしれない。中居スキャンダルで騒がれ出してから5割の株高となったが、その原動力はファンダメンタルではなく、信用取り組みだった。

S: そうだな。信用売残が1/17の135万株から一気に急増、2週間後1/31には1103万株になった。信用買残は550万株なので売残が1.5倍だ。これが売り方の踏み上げ期待を高めている。

F: なんか仕手筋が活躍した頃、まるで昭和30年代の株式市場のようだが、これは買い方と売り方のガチンコ勝負、まさに需給で勝負する市場みたいだな。

S: 世界の株価もファンダメンタルに関係なく動いている感じだ。トランプが「関税かける」といえば急落し、「関税を延期する」といえば急速に戻る。これって何かを暗示しているじゃないの?

F: 知っての通り、米FRBは量的緩和を解除しバランスシートの縮小を続けている。23年9月から直近までで1.2兆ドルの縮小、それだけ市場に供給されるマネーが減った。しかし、同じ期間のマネーサプライM1を見ると4000億ドル増加、さらにM2は8500億ドルも増えた。

S: このマネーサプライの増加が株式市場の需給に影響している?

F: なぜ、FRBが量的引き締めをしているのにマネーサプライが増えているのか? これが米株高のカギだ。すでに米国株はファンダメンタルよりも需給で決まる状況なのかと思う。

S: よく分からない。FRBの量的引き締めでなぜマネーサプライが増えるの?

F: FRBは保有する米国債の償還時に再投資しないことでバランスシートを縮小させたが、現金は必要に応じて金融市場に供給してきた。 起こっているのは債券保有額の減少と現金の増加だ。 M1は現金、要求払い預金、当座預金などの合計額なので市中の現金が増えたことでM1が増加した。

S: それじゃ、M2の増加は?

F: M2とM1の最大の違いはマネマーケットファンド(MMF)で、このMMFがこの期間で7000億ドルも増加したことがM2を増加させた。 MMFの増加は待機資金と言われるが、MMFの金利が高く、世界のあぶく銭=余剰資金を惹きつけた結果6兆ドルもの残高になのだろう。

S: つまり、FRBのコントロールできない資金だということ?

F: そうかもしれない。金利を一段と引き下げる時にMMFがどう流れるのか、株式市場に来るのか、金市場に入るのか、ビットコインや他のクリプト通貨に行くのか、すべては需給次第だろう。 一歩進んで言えば、ビットコインや金にはMMFの資金先として期待が強く価格上昇したとも考えられる。

S: あまりファンダメンタルから乖離すると危険な感じもするけど・・・

F: 市場の雰囲気がトランプ政策で右往左往しているうちに、ファンダメンタルと乖離してしまうと思わぬ調整が起こる可能性はあるだろうね。




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Gゼロ世界の株式投資(4)トランプの見る地政学

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トランプは多くの異論がありながらもGゼロ世界を進めてしまう。
パナマ運河の米返還、グリーンランドの買収、ガザ地区の米所有などなどだが、これらは唐突に見えるし実現が難しいが、その裏にトランプ米国の戦略が見えている。
これらのトランプが支配したい地域は米戦略の要衝として見ている場所だ。

①パナマ運河、それがある中米は中国が触手を伸ばしている地域。
2023年ロイターのニュースだが「中国は中南米で影響力を拡大。中央アメリカ議会の加盟国(グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ホンジュラス、パナマ、ドミニカ共和国)の中でグアテマラ以外ここ数年で台湾との外交関係を断ち切った」

メキシコ湾に接する地域であり、トランプはメキシコ湾をアメリカ湾にして米国のコミットメント(支配権)を強化したいという思惑だ。
さらにパナマ運河の返還でこの地域の物流を支配すると同時に、中国をこの地域から追い出すことにつながる。
となれば、中国は中東の不安定さをモロに被るスエズ運河しか欧州にアクセスできなくなる。


②グリーンランドは北極圏でロシアに対峙する要衝だ。
ロシアへのルートは、北海からバルト海を通ってロシア領に入るルート、地中海から黒海を通ってロシア領に入るルート、そして北海からグリーンランド海、北極海を通ってロシア領に入るルートの三つある。

そのうちバルト海はスウェーデンやノルウェーのNATO加盟で「NATOの海」になりつつあるし、黒海も戦争終結後にウクライナがNATOに参加すれば自由に使えなくなる。
となると、ロシアと大西洋を結ぶルート、「グリーンランドがより重要な要衝」になる。


③ガサ地区の米所有は、イスラエルの安全保障に直結する。
米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転しアラブ世界の反発を食らったが、トランプにとってイスラエル(米国内のユダヤ人)は特別な存在なのだろう。
ガサ地区を米企業が再開発し「中東の安全なリゾート」にして多くの欧米人観光客を呼び込む。
イスラエルはすでにこの地域では圧倒的な軍事力を持ち、米政権がガサ地区を所有すれば万全の安保体制になるという思惑だろう。

その背後にはアラブ社会の弱体化が始まっている、あるいは弱体化させていくという認識があるかもしれない。
シェール原油を増産して原油価格に下落圧力をかければ、イランやロシアを含めてOPEC産油国全体が弱体化していく。
多極化するGゼロ世界は、アラブ世界の存在感が低下し、アジアで強い存在感を持つ中国、超軍事国家のロシア、MAGA(メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン)の米国が核となると見ているようだ。

その流れの中で、アラブをつぶすには原油価格の下落が必要だし、戦争特需でなんとかなっているロシア経済を戦争終結で完全に終わらせる。
中国に対してはまずは一体一路をつぶすということかもしれない。

トランプがバカな事を言っている、事実そうだが甘く見ていると間違う。
現実を見た場合、Gゼロ世界をリードするトランプの言う事をじっくりと聞くべきだろう。
Gゼロ世界の多極化がどう進んでいくのかを示唆しているのかもしれないからだ。



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為替、日米金利差に再び注目

米長短金利差(2年ー10年)
米10年2年金利差202502















トランプがFRBに対して「原油価格を下げれば利下げ」と言い出した。
昨年11月大統領選からトランプラリー、金利上昇、ドル高、NY株高を演じてきた。
しかし、トランプ発言は主として市場心理に影響したが、その実のリアルな影響はこれからの話だ。

上のグラフは米国の長短金利差(2年―10年)だが、2022年夏から丸2年間長短金利がマイナス=逆イールド状態から変化を見せている。
この逆イールドは景気悪化を警戒した市場心だが、昨年秋以降、トランプ勝利も影響したかもしれないが、景気のソフトランディング期待が強まり順イールドへと債券市場は正常化した。
そこにトランプが正常化したイールドカーブを無視して利下げを要求した。


でも、トランプはパウエル氏に圧力をかけて利下げをさせられるか?

米CPIは低下が止まったとはいえ、コアでも総合でも3%前後の物価上昇が続いている。
米名目成長率も4~5%で安定し、10年債利回りの4~5%は理にかなっている。
順イールドで長短金利差が拡大したにしても、あくまで長期金利は景気や物価との見合いで動く。

円のネット投機ポジション
円のネット投機ポジション202502
















2022~2023年の強烈な円安トレンドは、海外投機筋の先物円売り、日米金利差の拡大でキャリートレードが急増した局面だった。
上のグラフは円のIMM投機ポジションだが、昨年7-9月期に大量の円ショートを積み上げこれが超円安の原動力になった。
しかし、現在はドル円先物の海外投機筋ポジションがほぼフラット(中立)、つまり、円売りもキャリートレードもフラット化している。
投機的な動きではない・・・といえる。

日米2年金利差
日米2年金利差202502
















同時に日米2年金利差も3%台半ばで安定的に推移している。
これではヘッジファンドも円キャリートレードに力が入らない。
ということで、現在の円安は米長期金利の上昇に合わせてドル買いがリードして起こっている。
米債券や米IT企業への資金の流れが拡大したことによる。


為替相場のポイントは再び日米金利差になりそう。

米国の金利水準が決めるのではなく、金利差に整合的な為替レートに収れんするのではないかと思う。
日米2年金利差を4%弱とすると、それに見合う為替水準は140円/ドル程度になる。
おそらく現在中立ポジションの投機筋が円高を仕掛ける時、大きな転換点になる。



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Gゼロ世界の株式投資(3)日本株は?

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トランプ就任後次々と大統領令にサインし、世界各国も賛否両論、様々な反応を見せるだろう。
明らかなのはGゼロ世界がより実現しそうになることだ。

トランプ政権はすでに「パリ協定ヵらの離脱」「WHOからの脱退」さらに「環境グリーンニューディール」の終了、多様性や公平性を重視する「DEIプログラムの廃止」などなど、多国間の約束事をことごとく破壊しようとしている。
次にはNATOからの脱退、国連からの脱退、さらに過激に多国間の約束を破るかもしれない。

これは米国民の民主的な選択だ。
欧州などの主要国でも自国第一の極端な政党が伸び、トランプ的な政治家が台頭していく。
これもまた、世界の民主主義の方向だ。
となれば、イアンブレマー氏の主張するGセロ世界の実現を進める。

日本の歴代政権は常に多国間での協議を重視し、国連、WTO、G7・G20などの国際機関を中心に外交を進めてきた。
日本にとっては外交の軸足を多国間から二国間に移すことが求められてくると思う。
その場合、日本は世界の大国である米国、中国、ロシア、インドなどと二国間交渉を中心に外交をすることになる。

日本にとっては一番重要なのは中国だ。
バイデン政権では日米安保を軸として日本と米国の同盟で、中国を抑え込もうとしてきた。
しかし、Gゼロ世界では日本の立場が決定的に変わる。
もう米国との同盟関係だけで対中国政策を進めるのは難しい、トランプが独自に習近平と交渉するからだ。
そうなると、彼らは日本の国益を重視することを期待できない。
日本は自分で(単独に)こうした大国と交渉し、自国の利益を守っていく必要がある。


日本の政治家も流暢な英語を操り、世界のどんな国、どんな指導者に対しても自国の利益や意見を堂々と主張できるレベルの人材が必要になる。
しかし、これは政治家のレベルの話で、民間では多くの経営者や経済人がグローバルに利益を追求し成功してきた。
こうした企業にとっては政治は政治で、自分は自分なのだからだ。

そう考えると、今後の日本の株式投資は二つの方向が考えられる。

一つはグローバルに自己主張できる企業に投資すること。
国家はダメでも企業は優秀、国家が衰退しても企業は繁栄する、という可能性もある。
グローバルに生き残れるレベルの企業は成長を継続できる・・・これらが投資に有力な候補だろう。
たとえば、ソニー、任天堂、ファストリのようなグローバルで独自の戦略を持つ企業。

もう一つは完全に国内市場で完結するビジネスモデルを持つ企業に投資すること。
完全にドメスティックなJR鉄道会社、電力会社、独占的な不動産大手や物流大手などなど。
消費関連企業でも候補があるが、競争が厳しいのはより選択眼が必要だろう。




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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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