
証券セールス(以下、S): 韓国のSKハイニクスがNASDAQでADR上場したな。なんかすごい人気で149ドルの売り出し価格を大幅に上回る170ドルで取引が始まったらしい。来週の日本株もこれでぶっ飛ぶのかな?
ファンドマネージャー(以下、F): そうだな。まずは基本的なデータ。ADRの売り出しで4兆円(発行株の2.5%)の新株を発行した。そのADRを149ドルで売り出した。
S: ADRだから韓国ウォン建ての原株を元に、業者がドル建ての預託証券を発行した。そのドル建ての証券が170ドルまで上昇した。これがウォン建ての原株にどう影響するかだな。
F: ヘッジファンドの連中はこれをどう使ってアービトラージ取引をするか、色々知恵を絞っているだろうな。取引スキームとしては二つが考えられる。一つはシンプルなアービトラージで、割高なADRを売り、割安な韓国市場の原株を買う。 もう一つはロングバイアスを掛けて、ADR売りと韓国市場のレバETFを買う。
S: どう違う?
F: シンプルなアーブはトレンドがないニュートラルだが、レバETFを使うとレバレッジが掛かる分、株価上昇時に大きく儲かるロングバイアスになる。レバETFの半分以上はサムスンとSKハイニクスなので、両方同じように動くからアービトラージの対象として有効だ。
S: それにしても、ADR上場初日に12.7%もぶっ飛んだ。これはADRと韓国の原株で価格差が大きく付いた。10%以上の価格差があれば、色々なコストを考えても十分な利益を得られるんじゃない?
F: シンプルなアーブを考えた場合、確かにウォン建てもドル建ても同じ会社で同じ価値があるので、一物一価の原則で同じ価格に収斂しそうだが・・・ 実はちょっと違う。
S: 同じ価格にならない場合もあるってこと?
F: 現物と先物のアーブの場合エンド(決済日)が決まっていて、その日にSQ値が決まり決済される。しかし、ADRには決済日のようなエンドがない。なので、ドル建てのADRとウォン建ての原株が同一価格になる保証は全くない。
S: 価格差が付いたまま、取引が続く可能性があると?
F: それがリスクだ。でもこれだけ人気の会社なので、いろんな投資家の大きな売買が集中する。取引が多い分を価格差の修正は起こりやすいのは間違いない。だから、ファンド筋が虎視眈々と狙うだろう。
S: 来週の韓国市場は見ものだな。どう見ている?
F: ウォン建て価格が上昇してADRに追いつこうとするならば、半導体株全般に「お祭り」が再現されるかもしれない。投資家はそれを期待しているだろう。でも、韓国にはレバETFに巨額資金を投じた個人投資家がワンサといる。彼らが株価上昇を見て一斉に利食ってくるかもしれない。いずれにしても、相当ボラタイルな市場になるのだろうな。
S: 興味津々。
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