株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

基礎編

トランプ関税、米国物価、企業収益の関係(3)

S&P500益回りと米10年金利
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トランプ関税が完全実施され、米国の関税収入が急増している。
月次の収入額を見ると、4月に相互関税が導入され、一時棚上げになったりトランプの交渉カードで使われてきたが、各国との交渉後に8月ほぼ実施された。
関税額を見ると、4月163億ドルから徐々に増え、9月には297億ドルと300億ドル(4兆円以上の規模)に膨れ上がった。

この関税は米国の通関時に課税される。
基本、米輸入業者が支払うのだが、その分の価格を下げて輸出したり、米子会社が輸入していたりと輸出業者が関税分を被っているケースも多い。
もし、関税分を全て米国内価格に反映させたら、米国物価は大きく上がってくるはずだ。

下の表は関税収入と米コアCPI、米小売売上げの関係を見たもの。
    米純関税収入 コアCPI  小売売上高
4月  163億ドル +2.8%  +5.1%
5月  228億ドル +2.8%  +3.2%
6月  272億ドル +2.9%  +3.9%
7月  280億ドル +3.1%  +3.9%
8月  295億ドル +3.1%  +5.0%
9月  297億ドル +3.0%  未発表

米CPI前年比は4月の+2.8%から8月の+3.0%まで若干に上昇。
これは関税の影響が一部時入っているが、フルには転嫁されていないということだと思う。
小売売上高は前年比プラスで推移し、関税の影響が小売りには出ていない、それどころか、米株高の資産効果で個人消費が堅調だったといえる。

では、企業業績はどうだろう?
下の表は1年先EPS予想だが、4月と比べるとNYダウで+3.6%、S&P500で+20.9%と堅調に伸びている。
米企業にとってトランプ関税がマイナスにはなっていない。
トランプ関税が価格転嫁されれば、米企業の輸入コストが上がり利益率を圧迫するはずだが、サービス産業のウェートが高い米国では大きな影響がなかったのかもしれない。

一番上のチャートはS &P500の益回り(EPS/株価)と10年債利回りの比較したものだが、株価が大きく上昇したが、S&P500益回りも上昇し「株式益回り>債券利回り」の状態を続けている。
現在のところソコソコの割高状態で「極まった」割高ではなさそう。
10−12月期の業績がどうなるかが注目だ。

NYダウQ/QS&P500Q/QNASDAQQ/QR2000Q/Q
2025年11月2103.271.8%306.9717.2%956.1225.8%109.8337.7%
2025年10月2094.911.5%302.9215.0%919.6919.3%100.3324.3%
2025年9月2075.94-1.4%268.390.8%805.883.9%79.78-2.7%
2025年8月2065.81-2.4%261.88-2.8%760.04-4.1%79.75-4.6%
2025年7月2064.451.7%263.423.7%770.833.7%80.72-2.6%
2025年6月2104.47-3.5%266.36-2.4%775.82-3.3%81.98-8.3%
2025年5月2116.67-1.9%269.510.3%792.381.7%83.63-9.2%
2025年4月2029.393.4%253.96-8.5%743.17-8.1%82.85-4.3%



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米国の景気循環は死んだ??

ISM製造業指数の長期トレンド
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米国景気が上を向いているのか、下向きなのか、いろんな人がいろんな事を言う。
発表されていないが雇用統計も弱く、FRBが利下げを連続して行なっている反面、強烈な株高で膨大な資産効果が出ている。

一体、アメリカはどっち向きなの?
こんな時は、余計な事を考えずに「景気指標を素直に見る」ことだと思う。

まず、「ISM製造業指数」を素直に見てみよう。
ISM製造業指数は、景気循環を反映して上がったり下がったりするのが常だが、この長期循環はなんか途切れて、中立水準である50ポイントを割り込んみ横ばいで推移している。

ISM指数が50ポイントを割り込んだのは2022年10月、それから4年間も中立水準である50ポイント前後で推移するのは異例な動きだ。
製造業は非製造業に比べて浮き沈みが激しく、リーマン危機後の景気悪化、新型コロナ禍の景気急変など、急激に低下して底入れとなる傾向があり、景気循環の指標でもあった。
それが異例とも言える4年間の横ばい。
米国から景気循環が失われたのではないか、と思えるような状況だ。

次は「労働市場統計」で確認してみよう。

ADP雇用統計と雇用統計
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雇用統計が政府閉鎖の影響で公表されていないので、民間のデータ、ADP統計を見てみよう。
雇用は徐々に悪化し、新規雇用者数はほぼ「ゼロ水準」まで下がってきている。
新型コロナ禍以降の人手不足で雇用がタイトだったが、新規雇用に関しては明らかに一巡感ができきた。

しかし、新規雇用が減っても失業率には影響していない。

米国失業率
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米失業率は2021年10月に5%水準を下回り、その後5年間に渡って5%以下の良い状態を続けている。
ADPや雇用統計で新規雇用が表面化した2025年に入っても、失業率がガンとして動かず、ほぼ完全雇用状態といえる4%前後で推移してきた。


なぜ、新規雇用が減っても失業率が上がらない「景気は良い状態」が続いているのだろう?
筆者の想像でしかないが、「米国では景気循環が失われている」という現実だ。

仮説の一つは、GAFAMを中心としたITサービス業の巨大化。
一般に景気循環の中にいる製造業を上回る経済を作り出し、景気循環をよく見えなくしている。
サービス業は元々景気循環が小さく、そのITサービスが巨大化した結果、米国経済の中で製造業のウェートが極小化したことが大きな要因だった。

もう一つは、企業規模が空前の水準に達していることかもしれない。
NVDAの時価総額が5兆ドルに達したと話題になったが、2023年の数字ではあるが、日本の名目GDPが4兆ドル、ドイツのGDP4.6兆ドルだった。
NVDA一社で日本やドイツのGDPを越えてしまった、一国の経済規模を越える企業が続出するアメリカは「カネの経済が急膨張」しているのは間違いない。
これが「モノの経済」にも影響し、景気循環を越えた影響をしているのかもしれない。

景気循環が永遠になくなったのかは分からない。
株価が天井を打ち、巨大企業の時価総額が減少に転じる時、景気循環が甦るのかもしれない。
その時は巨大IT企業の株価下落と景気悪化の両方が同時に来るかもしれない。



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高市トレードの行方(6)外交でポイントを上げたが、次の国会は?

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まるで「ノリノリ・ギャル」がお金持ちのおじさんに忖度しているかのようだった。
トランプは「これでこの女はオレの言いなりだな」と思っているかもしれないが、トランプの友人か手下に迎えられたのは事実だろう。
それでも外交的には大成功で、縁の下で支えた外務省職員の努力に敬意を表したい。

今回の日米首脳会談ー米韓首相会談ー米中首脳会談の連続した変化は、大きな時代の変化を映しているのかもしれない。

第一は、日米関係が個人関係をベースに展開されること。
トランプへのゴマスリ外交はアジアの各国に共通している。
日本はトランプに「金のゴルフボール」を贈り、韓国は「金の王冠」を贈った。
それでも誰もノリノリの高市さんには敵わない。
でも、習近平だけは別格かもしれない、平然とレアアースや小麦の購入などで米国に譲歩し、その分トランプ関税を10%引き下げを得た。

第二に、米中摩擦は1年間の休戦。
中国の思惑は1年経てば米国の中間選挙で「トランプ政権がどうなるかは分からない」ということだと思う。
この1年間をガマンすれば、トランプが失脚し米国政治が変わる可能性があると見ているかもしれない。
今後1年という期間は中国にとっても重要だった、だから譲歩した。
トランプに対して東南アジア・インド・中南米・アフリカなどで「反トランプ国」を組織化するのに十分な時間があるからだ。

第三に、日韓の歴史問題が形骸化しつつあること。
印象的だったのは、韓国李在明政権の変化だ。
この政権は文在寅政権に近い政治スタンスを持ち、日本に対して歴史問題を声高に叫ぶのかもしれないと思っていたが、歴史問題を韓国政権が棚上げした。
韓国にとっても歴史問題以上に日韓関係が重要になっているということを意味する。


でも、高市政権にとって第一の関門は臨時国会での「国会議員の定数削減」だろう。
維新は「定数削減が絶対条件」としたが、これはスンナリ通るとは考えづらい。
維新がどう出るかは分からないが、国会議員の定数削減がうまく行かない場合維新が連立から離れるのは間違いなさそう。

となると、今後のシナリオは・・・

①定数削減が通り、自民・維新の連立内閣が本格的にスタートする。
衆議院定数を10%削減、しかも比例枠の定数を削減するとしたら、多くの少数政党が反対に回る。
一方、選挙区の定員を削減するならば、自民党内からも反対が上がるだろう。
それを押し切る力が高市政権にあるのだろうか?
立民の野田氏は定数削減は本人の主張と合致するが、比例だけを削減することには反対するだろう。
選挙区での定数削減となると一気にハードルが高くなる。
その場合、定数削減は相当難しいイッシューになると思う。

②自民党は単独少数内閣になる。
この定数削減ができない場合、維新は絶対条件としているので言葉通りならば維新は連立から離れる。
その場合は高市政権にも大きな打撃となる。
選択肢は、①少数内閣のまま、他党との連携を模索して政権を維持する、②衆議院の解散し総選挙で過半数を狙う、の二つだろう。

③解散ー総選挙になる。
定数削減が大義になるかどうかは分からないが、解散の可能性は高いと思っている。
公明党が離れ創価学会という組織票を失い、純粋に「高市応援」による選挙になる。
この選挙で勝てば、本格的な「高市保守政権」のスタートとなる。
これは自民党の変革につながる、これが最大に政治期待だろう。



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高市トレードの行方(5)株高・インフレ下の金融緩和

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日米の金融政策を見てちょっと気になっていることが、「こんな強烈な株高局面でさらに金融緩和するの?」という疑問だ。

通常の経済サイクルでは、こうした株高は好景気の最後に現れ、景気の行き過ぎを懸念する当局が引き締めを開始して終わることになっている。
でも、現実はそうではない。
景気は鈍化しているのだろうが、それ以上に株高とその資産効果が大きく、あたかも好景気にいるような雰囲気だ。
その結果、実態景気を見て当局は利下げと視野に入れ、株式市場はこの緩和期待で一段と上がる。

FRBは連続利下げを決めたが、12月の利下げは約束しなかった。
それでも市場は12月の利下げを期待し、さらに来年も2回の利下げを織り込んでいる。
日本でも高市政権の圧力で日銀も利上げを先送りするかもと期待されている。
これがどのような結果をもたらすのか?
株高局面での金融緩和、バブルを作り出すリスクもある。

バブルって楽しい?

昔の映画「バブルへGO」で印象的なセリフは広末さんの「バブルって楽しい!」という一言だった。
確かにバブル時代、おカネをジャブジャブ使い豪遊する人たち、新規上場したNTT株に熱狂する人たち、田舎の土地を買い占めて巨利を得る人たち、暴騰するゴルフ会員権で一儲けを企む人たち・・・
その瞬間は「バブルって楽しい!」だった。

でも株式がバブル化している現在、多くの日本人は「楽しい!」と思うのだろうか?

都心のマンション価格が平均1億3000万円に急騰し、中古マンションでさえ1億円を超えるという。
普通のサラリーマンには手が届かない値段になってしまっている。

インバウンドが3000万人に達し、日本の美味しい寿司、おにぎり、鰻丼やカツ丼を食す。
日本人の主食であるコメ需要が急速に伸びてコメ価格が2倍になってしまった。
高いコメ価格で生活が圧迫されている家庭が続出している。

株価の上昇は新NISAでフルに株を買った人には嬉しい が、その一方、株を持つ人と持たない人の格差を大きく広げる。
日本人の間で格差が一層拡大するのは間違いないだろう。
総じて今バブルが起こっても楽しめる日本人は少ないかもしれない。

高市さんの金融政策はどうなる?

植田日銀が進める「金融政策の正常化」は必要なステップだと思う。
アベノミクスで日銀が大量の国債やETFを買い、世の中におカネをバラ撒いてきた。
このあぶく銭をそのままにしておけば、一段の円安とバブル的な物価上昇を招いてしまう。
余剰資金をどう吸収して経済を軟着陸させるかは重要。

しかし、高市さんは日銀に金利の引き上げに圧力をかけるだろう。
最終的に金融政策の責任を取るのは日銀ではなく政府だと発言、これは日銀に責任回避するから自分の言うことを聞けと言っているのに等しい。

トランプのFRB人事

さらにトランプ氏もFRBのパウエル氏に圧力をかけるだけではなく、次のFRB人事を準備してパウエル氏のレイムダック化を進める。

FRBがこの流れに対抗するのは困難で、利下げに追い込まれるのは避けられない。
2026年はパウエルFRBの終わりと共に、トランプが牛耳るFRBが実現する。
となれば「株高下の金融緩和」「インフレ下の金融緩和」が続くことになるかもしれない。
これがバブルを作り出さないとは誰も言えない。



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ユーロ円、ユーロ高の違和感(2)受け身のユーロ円

ドルインデックス
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円インデックス
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ユーロインデックス
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ユーロ円が大きく上昇し、1ユーロ=176円、記憶にない水準までユーロ高が進んでいる。
なんか信じられないことが起こっている。
前回、ユーロ円のファンダメンタル、金利差、物価差、成長率格差を簡単に見てみたが、どうみてもファンダメンタルでは納得できない。

どこかに間違いがあったのだろうか?
筆者の仮説ではあるが、「ドルとユーロ、ドルと円という対ドル評価はきちんと市場で決まるが、クロスレートは主体的に決まらない」と思う。
ユーロ円は受動的に、受け身に決まるという仮説だ。


そこでドルインデックス、円インデックス、ユーロインデックス、それぞれの通貨の過重平均レートの動きで確認してみよう。

一番上のチャート、ドルインデックスだが、2025年1月ごろから一貫してドル安を続け、一番下のチャート、ユーロインデックスは、ドルとは全く逆にユーロ高を続けている。
ドルとユーロは一番取引量の多い通貨ペアなので、ドルインデックスが上昇すればユーロインデックスが低下する、その逆も起こる。
円の実力である円インデックス(真ん中のチャート)もドルインデックスと同じように低下トレンドを辿っている。
ドルも円も低下傾向で、円はドルに対してさらに弱い、最弱通貨となっている。

つまり、ユーロ円はユーロ>ドル>円という序列の中で、急速な対ユーロの円安が起こった。
あくまで受け身で円安が極端に出てしまった。
とすれば、「ユーロ円のファンダメンタルと関係ないユーロ高・円安」になっているといえる。


ユーロの先物投機ポジションを見ると、ユーロ・ロングが急速に拡大している。
これを見ると、一旦ロングの解消場面も考えられ、その場合、ユーロ円も投機の限界点を迎える可能性もあるだろう。

弱すぎるユーロ円が反転する時、何が起こるのだろうか?
これが大きな疑問として残る。

ユーロドルの先物投機ポジション
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高市トレードの行方(4)官僚出身者の扱い方

裏金議員2024

















安倍晋三の継承を公言する高市氏だが、当面、牙を剥き出しにしてきた。
裏金議員の萩生田氏を幹事長代行に登用したと思ったら、副大臣クラスとはいえ、7人の安倍派・裏金議員を引き上げた。
裏金議員は要職に就く資格がないとは言わない。
でも、不透明なパーティ資金をしかも着服し、何に使ったのかも問われないとしたら「政治家のモラルハザード」であることは間違いない。

税金から出ている政治資金で高級料亭の飲み食いし、企業にばら撒き得たパーティ収入を着服し自分勝手に使える「財布」にする、さらに献金した企業の利益になるように政策を組み立てるとしたら、政治の弊害が大きい。
政治家が自分の利益のために動き、献金した企業に有利な政策を打ち、国民全体の利益を無視するとしたら政治家失格といえる。
政治家の個人的な責任というよりもパーティ資金を含めて企業献金を規制するルールが必要だろう。


その他だと、高市政権、官僚出身者の扱い方が気になる。

官僚出身者は多く政治家に転身し、活躍している人が多い。
歴代の内閣にも官僚出身者は多く、高市内閣でも財務大臣・片山さつき氏、法務大臣・平口洋氏、厚生大臣上野健一郎氏、農水大臣・鈴木憲和氏などがいる。

しかし、出身官庁のトップに起用されたのは二人、財務省の片山さつき氏、農水省の鈴木憲和氏だけだ。
この二人に注目してみよう。

片山さつき氏は、財務省出身ながら財政健全派ではない、「高市政権の方針通り、責任ある積極財政を進める」と明言している。
役所では主計官まで務めたので、内部事情にも相当詳しいし財務官僚も警戒しているという。
特に無駄があるかもしれない租税特別措置をスリム化し、ガソリン暫定措置の廃止などの物価対策、税控除の拡大や減税に邁進するとしている。
大いに期待できそうだ。

一方、鈴木氏は農水省の官僚丸出し。
いきなり「備蓄米の放出は間違い、米の生産量を制限し、コメ増産(小泉氏の政策)を全否定」
これって農水省の本音、そのものだ。
そしてコメ価格が高いなら、「お米券」を配るって勘違いも甚だしい。
「お米券」を配っても、一過性のレベルの低い「バラ撒き」でしかなく、根本的な解決にはほど遠い。

コメ価格が市場で決まるもので政府は関知しない、と言いながら、生産を調整して需給を管理する???
生産者の自由な生産を前提に「市場でマッチした価格」には介入しない、これなら理解できるが、そうではない。
生産調整をすると言いながら「市場価格を放置する」って大きな矛盾でしかない。
まさに農水省の回し者って感じだ。

この例でもいえるが、官僚の扱い方は一歩間違えると「昔ながらの官僚主導政治」に転落しかねない。
各省庁に大きな圧力を加えるレベルの政治家を選ばないと、国民の期待に応えるような政策はできない。




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ユーロ円、ユーロ高の違和感(1)ファンダメンタル比較

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昔、運用会社のCIOに就任した時、ユーロ紙幣をおよそ20万円分買ったことがあった。
当時、欧州の年金や機関投資家の顧客が多かったので、年数回は欧州への出張があったのでそのためにユーロ紙幣を買っておいた。
当時のレートで1ユーロ=100円ちょっとだったので、ユーロが割安だと思っていたのも理由だった。

それから10年近く経ってユーロがどんどん高くなった、その時ふっと気がついた「ユーロ紙幣がたくさん残っていた」と。
それが1年前の7月、1ユーロ=173円だった。
余ったユーロ紙幣を持って両替屋に行き、円紙幣に変えてもらうと20万円になった。
20万円をユーロに変えて、出張時に小遣いとして使い、残ったユーロ紙幣を円紙幣に戻したら、マルマル当初の円紙幣が戻ってきた。

出張時に家族へのお土産で欧州のブランド品などを買ったが、これらがタダで買えたことになった。
ところが、最近のユーロが上がり、その時の1ユーロ=173円を超えてきてしまった。
ユーロって高すぎるのではないか・・・と思った。


為替相場の決定要因は、①金利差、②物価差、③成長率格差の三つで、円とユーロを比べてみたい。

①金利差・・・
10年金利で見ると、独2.25%、仏3.34%、伊3.34%などと平均では3%弱というところ。
日本10年1.65%なので、特に独ー日の金利差は0.5%しかない。
金利が高い方にお金が流れるのが理屈だが、これほどのユーロ高・円安は説明つかない。

②物価差・・・
ユーロ圏の消費者物価(前年同月比)は9月で+2.2%に対して、日本の生鮮食品を除く消費者物価は同じく9月で+2.4%。
物価上昇が高いと為替の購買力が低下し為替は安くなるはずだが、この物価差の点からも日欧はほぼほぼ同水準で遜色がない。

③成長率格差・・・
米国には圧倒的な大型成長企業GAFAMがあり、さらに AI関連の投資が巨額化しグローバルな資金を惹きつけている。
でも欧州にはそれほどの巨大投資はなく、欧州の成長期待はなさそう。
IMFの予測では2025年ユーロ圏は+1.2%、対して日本は+0.7%で、欧州の方がちょっと高いがそれほど大きな成長率格差ではない。

というわけで、日本とユーロ圏のファンダメンタルには大きな差がない。
それでも為替は大きくユーロ高が進んでいる。

これはなぜ???
クロス円はファンダメンタルを反映しにくいのかもしれない。
次回考えてみたい。




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高市トレードの行方(3)議員定数削減


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「頭がついていかない」山本投手の発言だが・・・

「頭がついていかない」「10奪三振の直後、デカい3ホームランって?」と語ったのはPSで完投した山本投手。
限界突破した日経平均の上げっぷりに、オールド投資家も「頭がついていかない」
89年の日本バブル、99年のITバブル以来の感覚だ。
しかも行使価格5万円コールオプションに8000枚以上の大きな塊りがあり、日経平均5万円をヒットすれば、再びコールの売り手の踏み上げが起こる可能性もある。


吉村氏の絶対条件「議員定数の削減」

人口減少社会の日本では当然ながら議員定数を引き下げていくべきだが、吉村氏の言いたかったことは「国会議員は身を切る改革をすべき」ということだ。
しかし、同じ身を切る改革ならば、政治とカネに汚い自民党の「企業献金の禁止」を優先すべきじゃないだろうか。
自民党の政治家は、政治資金(税金)で高級料亭で飲み食いし、企業献金を不正使用したり着服したり、好き勝手な振る舞いが大問題だ。


定数削減=比例代表の削減は小政党潰し

維新の絶対条件に対して、自民党は比例の定数を1割50人程度の削減、これには「小政党潰しの裏」がありそうだ。
比例議席は公明(20議席)、国民民主(17議席)れいわ(9議席)などの政党が多い。
比例定数が減ると、これらの比例に頼った政党に大きな影響が出る。

衆議院の選挙区289+比例129だが、比例を50議席減らすと、選挙区289、比例79となる。
比例議席数は衆院全体の2割以下となり、明らかに自民党や立民党など大政党が有利になる。
小政党の議員数は大きく減少する。
比例代表制は多党制=連立内閣制を進め、小選挙区は二大政党制を進めるからだ。
この点で国会で大きな争点になるのは間違いない。


比例復活のゾンビ議員を排除すべき

それ以上に期待したいのは「選挙区と比例の重複を禁止」
選挙区で有権者にノー!言われたのに比例で拾われる、こんなゾンビ議員が多いのは大きな問題だ。
有権者にノー言われたのに議員バッヂを付ける、これほど国民をバカにしている話はない。


高市さんの臨時国会は荒れそう?

この定数削減だけでも簡単には国会を通らない。
公明、国民、参政が反対するのは見えている。
立民は二大政党を目指している部分もあるが、他の野党と足並みを揃えて反対するかもしれない。
となると、キャスティングボートは無所属議員になるのかもしれない。
無所属は全員選挙区で選ばれた議員たちなので自分には関係ないと賛成にまわれば国会は通る。



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Open AIを中心とした循環取引の疑惑?

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なんか嫌〜な感じ。
よく分かっていないが、巨額な資金が動き過ぎているという印象は確かにある。

循環取引は、少数の関係企業の間で出資や製品の購入を契約し、その範囲の企業間だけで出資された資金で製品を販売し売上げを計上する、資金を「グルグル回し」にして各社が売上げを膨らませるもの。
スターゲートの5000億ドルの投資計画、オープン AIやNVDAを中心とした投資契約やチップの巨額購入契約がこの「グルグル回し」の循環取引の疑惑を受けているという。

このニュースを読んで・・・ちょっとビックリ!!


オープン AIはソフトバンクから30億ドル、NVDAから1000億ドル、Core Weaveから120億ドル、AMDから株式の10%、オラクルと3000億ドルのクラウドサービス契約・・・と次々と巨額契約に成功し、巨額の投資を受け入れ、巨額のチップをNVDAから購入し、巨額のクラウドサービスをオラクルから受け入れる。
その元にある巨額資金はスターゲート(ソフトバンクやアブダビが出資)が計画する5000億ドルの AIインフレ投資計画なのかもしれない。


このニュースによると、1兆ドルを超える AIブームが(少数企業間の)相互接続されたビジネス関係に支えられている、という不安感を持つアナリストもいるらしい。

これ自体はストラテジック・パートナー契約によるビジネス展開であり、契約に問題なければ違法とは言えない。
もちろん、売上げの水増しなどの不正会計が確認されれば別だけど、筆者にはとても判断できない。
しかも今後3年とか5年での投資話であり、すぐに財務諸表に反映されることはない。
米国のアナリストが各社の決算数字を分析していくのだろうが、結果が出てくるのは数年の時間がかかることになる。

しかし、投資家にとってはこれらの企業の財務指標や経営指標を信用できるのかという問題が生じる。
NVDAは急速な売上成長を実現してきた企業だが、相対の売上げ増加が影響しているとすると今後の決算数字はより深くチェックされることになる。
ちょっと前、オラクルが突然急激な売上成長を予想したが、こうした突然の大幅な見通しの修正がこうした循環取引によるものだとしたら・・・?

さらに投資家にとっての懸念は市場の反応だ。
一つの企業が行き詰まったら、たとえばオープン AIの経営に何か問題が起こったら、この循環取引によって多くの関連する企業の株価が同時に大きく下落することになる。
一種のシステマチック・リスクとして考えるべきなのかもしれない。
投資家は AI関連ビジネスのどこかで起こる小さな目詰まりまで気をつけて行かなければならない。
これは投資家の負担が大きい。



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グロース・半導体株集中物色、その限界は?

米国グロース/バリュー相対株価
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AI関連株・半導体関連株の集中物色がグローバルに進んでいる。
その背景にあるのは「世界景気の鈍化の中、成長を期待できる分野に資金が集中している」ことが挙げられる。
マクロを重視して投資するタイプは相場に乗れないが、イケイケのモメンタム投資家が絶好調だ。

米国のGV相対株価(グロース➗バリュー)で見ると、G/V値が1.1と新型コロナ禍でのハイテク物色時を越えてきた。
新型コロナ禍で在宅勤務などの労働環境の変化でITサービス企業が買われた時のレベルをすでに上回り、グロース物色が進んでいる。
どこまで行くのか誰も分からない青天井、これがモメンタム投資家を惹きつけているのかもしれない。
それでも限界はどこかにあるだろう。


グロース物色は、日本市場ではNT倍率の上昇となって現れる。
グロース株というと旧マザーズのグロース250指数が代表的かもしれないが、小型成長株なので大型IT株のGAFAMとは連動していない。
なので、グロース株の代表は半導体関連、半導体製造装置、半導体素材などのプライム市場、特に日経平均の採用されている値嵩株などになってしまう。

ということで、グロースとしての日経平均、バリューとは言えないものの加重平均で大型株にウェートがかかったTOP IXを比較することで代替できる。
下のグラフがその比率、NT倍率(日経平均➗TOPIX)だ。

日本のNT倍率も10/11現在15.04倍と、15倍台のレンジに入ってきている。
特に4月のトランプ関税ショック以降は、TOPIXに対して日経平均の上昇が目立っている。
過去のレンジは13倍台から15倍台なので、もう少し上昇するかもしれない。
それにしてもこ15倍台はNT倍率の限界水準に近い。

日本NT倍率
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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(4)ファイナンシャルプランナー

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金融理論に精通したファイナンシャル・プランナーは個人投資家の運用に大きな役割がある。
とてつもない金持ちがいる欧州では、富裕層専門のプラーベート・バンカーが昔から活躍してきた。
スイスのプライベートバンクが有名だが、お城やマナーハウスに住んでいる資産家に対して、不動産管理、金融資産の運用、家族の収支管理、子供の教育や進学などお金が関わる全ての助言アドバイスを行う。

日本でもFP試験が行われ、CFP資格を持つファイナンシャルプランナーが多くいる。
家計の無駄を省く家計管理、住宅ローンなど借入金の管理、生命保険や自動車保険などの保険管理、金融投資の管理などに多くの助言をしているのだろう。
でも、日本のFPは欧州のプライベートバンカーとはちょっと違う。


それは「セルサイド」の証券会社や金融機関に多くのFPが所属していることだろう。
そうなると、FPとしての助言自体ではなく証券を売買させて証券会社に取り次ぐことで手数料を得るというビジネスモデルになる。
これに対して欧州のプライベートバンカーは証券会社や金融機関から独立し、独立して顧客に役立つ助言をする。

日本でも独立したFPがいないわけではない。
筆者が退職後に接触したFP会社は、個人投資家に情報や分析を提供し投資家の保有する口座で売買をする、するとその手数料の一部がFP会社にキックバックされるというビジネスモデルだった。
投資家は自分の持っている口座でいつもの通り売買するだけだが、その証券や銀行からキックバックされFP会社の収益になる。
これならば特定の金融機関との癒着がなく、より中立的な助言ができる。


でもこのビジネスモデルがうまくいったのかはよくわからない。
この会社には高齢の経験豊かなセールスマン経験者、個人顧客と親密な関係を作ってきた個人営業関係などが多くいたような気がする。
ただ、助言が証券投資に関するものが多く、不動産などの助言はできない。

独立系のFPといっても、純粋に助言やアドバイスのフィーだけで経営が成り立つというのは多くないもしれない。
個人投資家の中で証券売買手数料に加えて助言手数料を払う人は少ないのじゃないかと思うからだ。
日本語の「サービス」という言葉には「ただ=無料=サービス」という意味が含まれている。
英語のサービスは有料を意味しているのと、サービスの意味が大きく違う。

「サービスしますよ」と言えば、無料や割引の意味になる。



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高市トレードの行方(2)熟年離婚みたい

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高市さんの自民党内人事が公表されるにつれて、変わらない自民党の体質が見えてきて辟易してしまう。
昨年石破政権に反対に回った麻生氏、今回は高市支持に向かい政権誕生に寄与したということで麻生氏もその義弟・鈴木氏も主要ポストをゲット。
それだけでなく、決選投票で高市氏を支持した議員への論功行賞、裏金議員の登用と・・・今のところ、ガックシの連続だ。

すでに高市政権というよりは「麻生政権」になってしまう予感がする。
臨時国会では首班指名される可能性はまだ高いけど、前途多難な船出となりそうだ。
再び少数与党が続く可能性も十分にある。


①自民党と公明党の関係。
「政治とカネ」高市氏はミソギが済んだとして、裏金議員の萩生田氏を幹事長代理に登用。
しかし問題となったのは政治とカネの全容解明、企業献金の禁止を無視してきた自民党の姿勢だ。
高市さんは結局公明党に妥協せず、公明党が連立を離脱した。

公明側と自民側は「熟年離婚」のような感じだった。
「政治とカネ」問題を自民党に要求してきた公明党の積年の努力、これに対して高市氏は突然要求されても自民党の意思決定手順からして無理、という。
長年の不満が積もり積もって爆発した妻(公明党)に対して、突然離婚宣言されても意味不明だとする夫(自民党)、まるで熟年離婚の夫婦のようだった。
だとしたら再び連立することはない。


②自民党と国民民主の関係。
国民民主の支持母体である連合と自民党は水と油。
高市氏は課税最低限を引き上げ、国民との妥協を図るしかない。
しかしこれは財務省に近い(財務大臣経験者)の麻生氏や鈴木氏が反対するのは見えている。

国民のタマキン氏も連合との関係をリスクに晒して自民党と連立するのか、あるいは、国民を支持した反自民の若い支持層が自民との連携をどう考えるのか、様々なハードルが残る。


③自民党と維新の関係。
公明党の離脱は、大阪での公明対維新の争いを演じてきた維新にはプラスだ。
大阪の地域政党から脱皮できない維新にとっては、自民との連立は政権への影響を強めるになる。
しかし、世間から見れば、数合わせの連立として批判されるのは間違いない。


高市さんは比較第一党として2回目で勝つだろうけど、少数与党から脱するのはかなり難しい。
となれば、石破政権と同じで、論点ごとに多数派工作をする必要があり、高市さんの政策は簡単には通らないことになる。
高市トレードに期待しすぎるのは危険だろう。

解党的出直しと言いながらもこれだけ変われない政党だと、むしろ、自民党の終焉が始まっているような感じもする。



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株式市場の高齢化問題

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市場関係者は買い越しの投資主体には非常に関心が高く、海外投資家や事業法人の買越しばかりが話題になる。
確かに海外投資家でもヘッジファンドやCTAは上値をガンガン買うので、株価インパクトが大きく無視できない存在ではある。
また事業法人も自社株買いを取締役会で決定すると、きちんと完了するまで買うので基本的な需給関係を改善する主体として重要になってきた。


しかし、売り主体を見てみると、日本の社会構造を反映しているのがわかる。

上のグラフは年間の投資主体別売買動向だが、紫ラインの信託銀行が23年以降3年連続で売越しを続けている。
25年はまだ決まっていないが、年間での売越しはほぼ確定的だと思う。
信託銀行の売越しの最大の要因は、おそらく年金基金の株売りだと考えている。
今年以降はそれに日銀のETF売り、これはETFがバラバラにされて現物株として市場売却される。
日銀のET F売りは今後の問題だとしても、年金基金の売りは高齢化社会の基本的な需給構造になると考えておいた方がいい。


下のチャートは、ちょっと古いが、令和元年の年金財政の構造を示している。

基礎年金から年間24.1兆円、サラリーマンと公務員の厚生年金から28.7兆円が年金受給者に支出される。
合計で52.8兆円もの巨額な年金給付だ。
ここ数年で高齢化が一段と進んでいるので、おそらく年50兆円を大きく越える金額が毎年毎年給付されていると推測できる。

年金収入の方は国民が拠出する年金保険料で、1号保険者(自営業など)が1.3兆円、2号保険者(サラリーマンや公務員)が37.7兆円となっている。
ザックリ、年間保険料合計で39兆円、それに対して年金受給者は52兆円強を受け取っている。
国庫負担も年1.8兆円(税金から払っている)あるので、実際の不足額は10兆円強になる。

この不足分は厚生年金を運用するGPIF、公務員年金を運用する国共済や地共連・全国市町村などが運用資金を取り崩しているというわけだ。
年金資産取り崩し、その一部(GPIFは日本株比率25%)が株式市場での信託銀行売りになって出ている。

この信託銀行売りは高齢化社会の構造的な要因だ。
さらに日銀のETF売りが年3300億円(時価では5000億円ぐらいにはなる)あるが、これも信託銀行売りとして出てくるだろう。
もし日銀がETF売りを加速化するなら、もっと大きい金額が売られることになる。
これらの売りに対して事業法人の自社株買い、個人NISA投資やiDeCo投資がどうなるか、さらに海外投資家が買うのかどうか、これらが基本的な株式需給を決める。


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高市トレードの行方(1)限界突破は?

①日経平均のPERレンジ
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高市氏が自民党総裁に選出され、株式市場はぶっ飛び、積極財政を警戒した長期債は下落し、逆に日銀の利上げの延期を期待した為替市場は円安に動いた。
先物ショート、コールオプションの売り、現物株ショート・・・全てのヘッジポジションが一気に解消に向かったようなパワーだった。

この高市トレードは、筆者のようなオールド投資家から見ると一言で「限界突破」と見える。
株価の変動には①通常の変動、②極端な変動がある。
通常の変動範囲は、PER12倍〜17倍、NT倍率13倍〜15倍、200日移動平均乖離率で+7%〜−7%であり、この範囲になるならば市場はごく普通の状態だと言える。
この範囲を超えるのが極端な変動で「限界突破」と言えるだろう。

上の①のチャートは日経平均のPERレンジだが、高市トレードでPERは18,6倍と通常の範囲を超えてしまっている。
新型コロナ禍の21〜22年もこの範囲を大きく越えたが、この時は新型コロナ蔓延で経済活動が停止しEPSが急減、これによってPERが急上昇した、現在とはちょっと違う。
現在の高PERが示すのは、単に「強烈に割高」なのか、「26年EPSの急増」を織り込んでいるのか、どちらかだ。


②移動平均乖離率
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200日移動平均乖離率は現在+22・05%と、問題になるのは+20%〜−20%の通常範囲を超えてきたことだ。
200日移動平均は、既存の投資家にとってはおよそ1年間の平均買いコストの近似値であり、20%の乖離は大きく儲かっている状態といえる。
一方、新規に買う投資家にとっては「他の投資家コストを20%も上回る価格で新規買いができるか」と、新規に不利な2割高い価格で買えるかという厳しい選択になるだろう。
それだけ強く買いたいという覚悟が必要になる。

③NT倍率
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三つ目の限界突破はNT倍率だ。
NT倍率は長期的に13倍から15倍で、ここ数年は14倍が上限で推移してきた。
これは、値嵩株・ハイテク株のウェートが高い日経平均を、市場全体の指標であるTOPIXで割った比率で、市場全体に対して値嵩株・ハイテク株が買われているかを示している。
最近のAIブームで半導体関連株が集中的に買われたため、上限突破してきた。

現在14.86倍、21年以降のレンジ上限14.5倍を突破してきた。
AI関連、ハイテク値嵩株のラリーが限界突破してきたとも言える。
限界突破後の市場はどうなるのか?
「理外の理」のバブル相場に向かうのか?、それとも上限突破で打ち返されるのか? そこが見ものだ!



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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(3)債券から株式を考える

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日本では投資といえば株式投資を示していることが多いような気がする。
実際NISAでは債券を投資対象としていない。
債券は機関投資家が行うもの、株式は大儲けしたい個人がやるものとでも考えているのかもしれない。

しかし、金融理論、例えば、シャープの証券市場分析では無リスク資産のリターン(例えば、信用の高い国債利回り)が使われる。
リスクとはリターンのブレ具合で、リスクの高い資産は大きく儲かったり損したりするが、リスクの小さい資産は大儲けも大損もしない。
そのリスクを小さい資産から大きい資産まで並べ、過去のリターンと比べたのが証券市場線で、投資家は自分の取れるリスクの範囲内で資産の組み合わせを選ぶことができる。


投資家のポートフォリオの原点は無リスク資産のリターン、一般には国債利回りだ。
債券投資を考えない投資家はそのポートフォリオ運用の原点にある無リスク資産を考えていないということになる。
ポートフォリオの原点を全く考えずに、株式だけでポートフォリオを作るってなんかおかしくない?

金融理論、金融リテラシーを学んでいけば、すべての資産のリターンは国債利回りと比べて分析されることに気が付く。
そうなると、今のNISAって何のだろう?と不思議な感じがしてくる。


筆者は株式のバリュエーション(価値を見る)を測るのに、株式益回りと債券利回りを比較することが多い。
これはリスクの低い国債利回りと、リスクの高い株式益回りを比較して、株式が割高なのか割安なのかを示す指標になるからだ。

簡単にいえば、リスクの高い資産のリターンはリスクの低い資産のリターンよりも高くあるべきだということ。
もちろん、債券にも様々な種類があり、リスクの低い国債からリスクが比較的高い事業債まである。
債券市場は株式市場よりも効率的で、事業債は信用格付けによってリターンが決まる。
リスクのより高い低格付けの事業債はより高いリターンが求められる。

こうしたリスクの低い国債、ちょっとリスクの高い事業債、さらにリスクの高い株式に資産を分散することでリスク対リターンが高い、自身のリスク許容度に合わせたポートフォリオが作られる。
でもNISAの場合、株式を買うか、投信を買うか、ETFを買うかしかできない。
これじゃ、金融理論、金融リテラシーを学んでも片手落ち?



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日銀、Jリート売却の影響

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日銀が量的緩和の一環としてETFやJリートをオペの対象にして、簿価でETFを37兆円、Jリートを6.5兆円を保有している。
この保有ETFとJリートの売却が始まる。

ETFは最初の頃は日経平均型だったが、中盤以降はTOPIX型に集中していたと思う。
日経平均型を売却する時はまず日経平均の先物を売却し、その後先物売りを現物売りに置き換えるEFP(エクスチェンジ・フォー・フィジカル)が行われるだろう。
225銘柄しかないし、大型株ばかりなので比較的売買は簡単だ。

TOPIX型の方がちょっと難易度が高いかもしれない。
銘柄数が圧倒的に多いからで、その分、相対売買をする証券会社に負担が生じるかもしれない。


でもさらに厄介なのがJリートだろう。
それはJリートが個別銘柄で保有されているからだ。
5%以上保有すると大量保有報告を提出するが、その大量報告から取った数字が上の表だ。
なので、発行株に対して5%以上の保有があるJリート銘柄は一覧表の通り23銘柄だ(5%以下は不明)。

今回の発表では年間50億円の売却に過ぎないので金額的には需給に全く影響しない。

しかし、個別Jリートでは発行株の9%以上の銘柄が7銘柄ある。
福岡リート(8968)、ジャパンエクセレント(8987)、ジャパンリアルエステート(8952)、日本アコモデーション(3226)、ユナイテッドアーバン(8960)、東急リアル(8957)、日本ロジスティックス(8967)の7銘柄だ。

当面は問題ないにしても、日銀が売却を加速させると個別銘柄の売りとして信託銀行から直接発注されることになる。
将来の売却加速リスクを考えた場合、7銘柄のうち流動性が少ない銘柄は需給に影響する可能性もある。大きな問題ではないが、ちょっと頭の隅に入れておきたい。




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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(2)マルコビッツに会う

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金融リテラシーという言葉を聞くと、証券投資理論と現実の仕事の間で悩んだ若い頃を思い出す。
「金融リテラシーを学ぶ」というのは、多くの人にとって「株式投資で大儲けしようというのは無理だ」ということを学ぶことに等しい。
一方、証券会社は「投資は儲かる」と言わんばかりだ。

30歳の時英国へ転勤し、マーチャントバンカー系運用会社のファンドマネージャーたちといろいろ話をし、投資を議論した。

当時、会社がノーベル経済学賞を取った有名なハリー・マルコビッツ氏と新しい投信を作った。
その関係でマルコビッツ氏が英国に出張してきて、顧客周りをしてくれることになった。
ある日、伝統あるマーチャントバンカー・ロバートフレミングに氏を連れていった。

今でも忘れられないのが、英国有数のファンドマネージャーとマルコビッツ氏のミーティングだ。
マルコビッツ氏が白板にあの有名な「有効フロンティア」を描いてプレゼンテーションをした。
ファンドマネージャーは「オー!!!」絶句した感じ、学生時代に学んだ有効フロンティアをここで見るとは・・・たいへん感激していた。

ミーティング後に電話でファンドマネージャーと「どうだった?」と話した。
有効フロンティアは理論として面白い、でも現実は違うよね・・・ということになった。
実際に有効フロンティアから分析して投資するファンドは失敗した。

進歩したコンピュータでは多くの銘柄のリスクとリターンを簡単に計算できる、その数字から有効フロンティアも簡単に計算できる、その有効フロンティアから最適ポートフォリオを作れる。
でも期待したようなパフォーマンスが出なかった。


結局一番の経験になったのは、「理論は学んで忘れろ」ということだった。
現実の世界では市場は歪んでいて、個別銘柄の数字も歪んでいて、理論上の超過収益を出ない。
でもその市場を熟知しているファンドマネージャーは市場の歪みからリターンを上げることができる。

「市場が歪んでいるから投資で超過収益を上げられる」
が結論だった。



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金融リテラシーは「儲け話」じゃない(1)

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金融リテラシー、投資教育がブームのように感じる。
政府は年金基金の厳しい財政を心配して「個人は自己責任で稼げ」とばかり、これによって年金の不足を補おうとしているとしか思えない。
年金が不足するから「70歳まで働け」「自分で稼げ」と言い続ける、その流れで「税金だけは免除してやる」というのが新NISAだ。 

この政府方針で乗っかるように証券業界も「金融リテラシー」「投資教育」を旗頭に挙げる。
これってどうなんだろう?と思う。

そもそも「金融リテラシー」って年金不足を解消できるようなシロモンじゃない。
投資教育を受ければ株で儲けることができるようになる、金融リテラシーを身につければ老後も安心、新NISAで投信に投資すれば大儲けできる・・・残念ながら、物事はそう簡単ではない。 


大学の政経学部を卒業して証券会社に入社し、初めて投資情報部で投資理論を勉強した。
上の写真は1980年代に刊行されたシャープの「現代証券投資理論」で当時の教科書だったが、これだけでなく様々な理論も学んだ。
ハリー・マルコビッツのポートフォリオ理論、ウィリアム・シャープの証券市場理論、モダンポートフォリオ理論(MPT)、キャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM)・・・・
しかし、勉強すればするほど、「株って儲かるものじゃない」と理解するようになる。

これらの理論が語っていることは、
①効率市場論: 情報は株価に織り込まれていて、誰も市場を出し抜くことはできない。
②投資リスク: リターンはどうにもならない、管理できるのはリスクだけだ。
③分散投資: 価格がどう変化するか、何が起こるか予測不可能、いろんな投資先に分散するべきだ。

良いニュースを読んでもその瞬間に株価がニュースを織り込んでしまうので、それから投資しても期待するリターンは得られない、これは当時の筆者にはショックだった。
毎日毎日情報を得るために歩き回っても情報で儲けることはできないって、なんか情報集めしている自分が否定されているような感じがした。

でも実際の仕事は、企業決算を見て、マクロの経済情報を読み、チャートで株価のトレンドを見ることだった。
投資の大先生たちが「情報をどう分析しても超過収益を得られない」と語っているのに、証券会社の現場では一生懸命に情報を分析して、顧客にレポートを配り、株式投資を推奨している。
この理論と現場の違いに悩んだこともあった。

そして30歳の頃、ロンドンで英国機関投資家と商売をすることになった。
これが大きな転機になった。




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オルカンと日経平均、どっちがいい?

日経平均とオルカン
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新NISAで人気なのがオルカン、ベンチマークはMSCI ACWI(アクウィ)だ。
このインデックスは世界景気に連動する安定した株価指数だが、一方、パフォーマンスは先進国株価指数に劣後している。
上のチャートは2004年からのACWIと日経平均を比べたものだが、新型コロナ禍の2020年以降、二つのチャートの格差が大きくなっている。

特に2024年から直近までの期間に大きな格差が生じている。
この24〜25年はAI関連に技術が急速に進展し関連投資が急拡大した時期だが、これらの投資は米国をはじめとして欧州や中国などを中心として急増しているため、新興国が出遅れている。


これを示しているのが、下のチャート。
MSCI新興国指数と日経平均を比べたもので、新興国株式指数は長期的なレンジ範囲で動いている。
リーマン危機の前につけた1400ポイント近い高値が長期レンジの上限になってしまっている。
2015年ぐらいまでは新興国のパフォーマンスが良かったが、その後新興国のパフォーマンスが横ばいで冴えない。
日経平均のチャートが新興国を大きく上回った。
これが日経平均がオルカンを上回った原因だろうと思う。
オルカンのパフォーマンスが良くなるには新興国株の上昇が必要だろう。

日経平均と新興国株
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世界全体の名目成長率は以下の通りだが、およそ5%前後で長期的に推移している。
これは実質成長率3%に加えて、インフレ率2%で合計5%の名目成長というところだろう。
もちろん、オルカンへ投資することで長期的5%程度の成長は期待できる。

今後のオルカン投資は、先進国よりも新興国がパフォーマンスを決めるだろう。
日経平均は値嵩株、ハイテク株、半導体株の動きに大きく影響され、米NASDAQ指数と連動する。
米国が強く為替がドル高・金利が上昇となると、新興国から米国への資金が流出し、新興国株は相対的に劣後してしまう。
米国の金利が低下し、為替市場でドル安が進むのなら、新興国株は回復する。

ここがポイントだろうと思う。
そろそろ新興国やオルカンを投資対象としてもいいかもしれない。
来年の新NISA枠では考えるべきなのかもしれない。

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ドル円先物、攻防の分岐点?

円先物のロングポジション
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円先物のショートポジション
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ファンダメンタルを重視する投資家には、長期トレンドが円高に転換しているように感じるだろう。
短期的にはファンド筋の仕掛けや需給で決まる為替相場だが、長期的にはインフレ、金利、成長という要素で決まる。

第一にインフレ。
インフレ率が高い国(A)の通貨はそれだけ購買力が損なわれ、通貨の価値が減る。
インフレ率の低い国(B)は、通貨の購買力が強く通貨の価値が維持される。
したがって、為替レートはBの国の通貨が上昇し、Aの国の通貨は相対的に低下する。

第二に金利。
金利の高い国(A)の通貨は高いリターンが期待され買われる、その一方、金利の低い国(B)の通貨はリターンが低く保有する動機が薄れる。
というわけで金利の高い国(A)の通貨が好まれ、金利の低い国(B)のレートは相対的に安くなる。

第三に経済成長。
成長率の高い国(A)には投資機会が多くあり投資資金が流入する、その一方、成長率の低い国(B)は投資機会が少なく投資資金が流出する。
為替が国力で決まるというのはこの成長率の話だろう。


日米のファンダメンタルの結論は・・・
・インフレ率は日本の方が高く円はドルに対して減価しやすい状況だったが、ここに来て米国のインフレが若干ながら上昇に転じ日米のインフレは米国>日本になった。
・金利差がこれまで5%程度に拡大し円安要因だったが、金利差は2%台まで縮小し円安要因も縮小している。
・成長率では米国の方が高く、特にAI関連のグローバル投資が米国に向かっている、これは長期的なドル高要因だ。

インフレ、金利差の面では円高傾向に見えるが、長期の成長率という面では投資資金がドルに向かいやすい環境だ。
1〜2年の短期ではインフレ率の逆転、金利差の縮小が効いてファンダメンタル的には円安修正が続く、今後3年という長期では米国のAI技術の進展、AIインフラの投資がどのような規模になるのかによってはドル高要因になるだろう。


しかし、投機という面から考えると、現在は「攻防の分岐点」だ。

上のグラフはIMM円先物投機ポジション、一番上がロングポジション、次がショートポジションだ。
8月以降ドル円相場は148円/ドルでこう着状態に入り、ロングポジションは金利差の負担が蓄積していくので徐々に解消されてきた。
それでも円ロングポジションは高水準にあり、円高期待が大きいと言える。

一方、円ショートポジションも徐々に増えている。
その結果、ネットポジションの買い超過が減少してきている。

「円強気派」の根拠は日米金利差の縮小で、現在でも米利下げと日銀の利上げを想定しているのだろう。
逆に「円弱気派」は米景気の強さ、景気指標の好調さを基本にしている。
米景気指標が強ければ金利が上がりドル高に動き、景気指標が弱ければ利下げ期待でドル安に動く。
投機筋も強弱感が対立し、相場が「攻防の分岐点」を迎えているようだ。

動き出すと、大きく動く可能性もある・・・さてどうなるか?



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日米のボラティリティの意味は?

日経ボラティリティ・インデックス(VI)
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ボラティリティ(=値動きの激しさ)は株高時に低下し株安時に上昇する。
株安は投資家心理に大きく働くが、株高は投資家に歓迎され心理的な圧迫がないからだ。
日経平均が上昇している現在、ボラティリティ、日経VIは低下していくのだが、今回は25%前後で高止まりしている。
上のチャートの点線は20%と30%水準を示しているが、今回の株高局面では過去水準に比べ20%点線を上回って横ばいになっている。
これは上昇相場にありながら投資家は一定の警戒感を持っていることを意味している。


米国VIX指数の先物ショート
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逆に米国のVIX(ボラティリティ・インデックス)は20%を下回り、相場上昇に合わせて低下してきている。
これはセオリー通りの動きで、投資家心理が落ち着いていることを示している。
そしてVIXの先物ポジションを見ると先物ショートが急増している。
上のグラフの緑色チャートだが、先物枚数で20万枚前後、新型コロナ前の2019年の水準にまで増加してきた。
VIX先物をショートするのは相場変動が小さい(=安定した上昇が続く)ということに賭けている投資家が増えていることを意味している。



日本ではボラティリティが高止まり=相場変動に身構える投資家が増えている反面、米国ではボラティリティが上がらない=安定した上昇相場と考える投資家が増えている。
日米市場で投資家心理が異なる、ここに付け込み、ショートカバーを誘って上昇に弾みをつけてきたのが海外の投機筋だったといえるだろう。

でもボラティリティは突然変化するので、実際、予測はできない。
2018年1月VIXショートが32万枚に達し、2月にVIXショックで瞬間的に株価急落した。
2019年11月VIXショートが30万枚に達し、20年には新型コロナ禍で急落した。

当時のようなVIXショックや新型コロナ禍を予想しているわけではない。
これらは予想できない。
でもボラティリティのショートが溜まっていくと、何か起こる場合に予想できない大きな反応になる可能性は示唆される。
今後のVIX先物ポジションをチェックしていきたい。



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トランプ関税、米国物価、企業収益の関係(2)

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トランプ関税が大きく増加してきている。
下の表は米財務省の公表している純関税収入(月次)だが、トランプ関税が始まった4月以降、着実に増加してきている。
4月163億ドルから8月295億ドル(約4兆3000億円)まで増加、5ヶ月間で1238億ドル(約18兆3000億円)と巨額になっている。

    米純関税収入 コアCPI  小売売上高
4月  163億ドル +2.8%  +5.1%
5月  228億ドル +2.8%  +3.2%
6月  272億ドル +2.9%  +3.9%
7月  280億ドル +3.1%  +3.9%
8月  295億ドル +3.1%  +5.0%

合計 1238億ドル
(消費者物価、小売り売上高は前月同月比%)

米関税収入は生産者・輸入業者・消費者の誰かが負担しているわけで、この分、海外の生産者の利益が減り、輸入業者が一部を小売価格に転嫁し、消費者が高い小売価格で商品を買うことになる。
関税自体は通関時に輸入業者が支払うが、実際の負担は三者で分担している。
それにしても毎月4兆円以上の負担になり、欧州、日本を含むアジア企業(生産者、サプライヤー)の大きな負担になっていると思われる。

現在のところ、輸出業者=生産者が輸出価格を引き下げて負担していると推測される。
米国内の小売価格がそれほど上昇していないからだ。
自動車大手などの大企業は米国内に自社の販売ネットワークを持っているので、生産者であると同時に輸入業者でもある。
誰が負担するかの問題ではなく、連結決算では関税分がそのまま負担増につながる。


今後のポイントは生産者や輸入業者が負担を耐えきれず、いつ、どの程度小売価格に転嫁するのかということだろう。

米国の消費環境は、このところの株高の資産効果が大きく個人消費が拡大している。
8月の小売売上高でも前年比5%の増加と順調だった。
コアCPIはトランプ関税が始まった4月+2.8%から8月+3.1%まで若干の上昇にとどまっている。
小売価格への転嫁が一段と進むと、コアCPIが一段と上昇してくるだろう。

小売売上高は名目なので、コアCPIが上昇してくれば小売売上高も高くなる。
関税の小売価格への転嫁が進んだ時コアCPIが上昇するが、それ以上に小売売上高が増えるかどうかを見ている。
コアCPI以上に売上が増えれば景気は順調といえるし、売上の伸びがコアCPIを下回れば景気の悪化を気にするべきだろう。
なので、この関税、物価、企業収益の関係に筆者は注目している。
小売価格の上昇と売上げ高の増加が同時進行すれば、日本企業にとってはプラス要因。
利益率の向上とともに売上の増加も期待できるからだ。




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日銀、アベノミクスの後始末

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日本の株価は国内の経済状況だけでは決まらない、米国やグローバル株式に大きく影響を受ける。
でも、国内の状況、特に日銀の動きが重要な転換期に入ってきている。
それは「アベノミクスの出口」を本気で進める気が見え隠れするからだ。

日銀はすでに「ゼロ金利」を解除し利上げ、ETFの売却で「量的緩和」の後処理も開始した。
そもそもアベノミクスはデフレからの脱出を目指した政策だったが、インフレが定着しつつある現在、その出口に向かうのは当然だ。
その出口は二つある・・・

①実質金利の正常化
インフレ率3%に対して政策金利0.5%の現状は、日銀がインフレ加速政策を取っているに等しい。
インフレ率は今が高すぎで今後安定化するだろうが、インフレが2%で落ち着くにしても日銀は政策金利を2%に引き上げる必要がある。
実質金利の正常化はかなりの苦難の道になる。

②量的緩和の後始末
黒田日銀は無理やりの量的緩和を行い、日銀のバランスシートは現在でも724兆円と肥大化している。
下の表にある通り、債券569兆円、株式(ETF)37兆円(簿価)、REIT6.5兆円の量的緩和の処理が最大の問題だ。
債券は償還があるので、買い換えをしなければ自然に減少する。
でも株式は意図して売らないと減少しない。

アベノミクス自体が「やりすぎ」だったので、その後始末も難しい。
政策金利をインフレ並みの2%に引き上げると、変動型が多い住宅ローンの返済が厳しくなる。
さらにETFの売りを本格的すれば、株式需給の緩和要因になり市場を混乱させかねない。

日銀には市場と正直に対話することが重要で、売却に130年なんて時間かけるという「おバカな話」は即刻やめるべきだ。
実質金利の正常化についてどのような経路で金利を引き上げていくのか、量的緩和の後始末についてもどのような時間軸で保有ETFの売却を進めるのか、市場に説明すべきだろう。
日銀・決定会合の議論を透明化し、市場との対話を進めることだ。


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米国株の「バリュエーションの壁」(3)NYダウは突破できる?

NYダウ益回りと米10年金利
スクリーンショット 2025-09-20 15.07.03

















NASDAQ100は「バリュエーションの壁」をすでに突破している。
主要大型株500銘柄で構成されるS&P500は「バリュエーションの壁」を突破してはいないが、EPSを伸ばし、9月FOMC前で長期金利が低下したので上値余地が広がっている。
しかし、伝統的優良企業中心のNYダウは、AI関連株や巨大ITサービス株のような長期成長力に欠けているので「バリュエーションの壁」を抜けていない。

上のグラフは、NYダウの益回りと米10年債利回りを比較したものだ。
新型コロナ禍から経済が正常化する中で、FRBが急激に金利を引き上げ、しかも株式が上昇(=益回りは低下)したので、益回りと利回りが急接近してきた。
NYダウは伝統的な米国を代表する優良株が中心なので、成長性が高いNASDAQのように「バリュエーションの壁」を突破するのは簡単なではない。


9月FOMCの25bp利下げはNYダウのバリュエーションにもポジティブだ。
しかし、1年先EPSの伸び率を見ていると、9月中旬にジャンプアップしたNASDAQとS&P500に比べて伸びていない(下のグラフ参照)。

NYダウと予想EPS
スクリーンショット 2025-09-21 7.00.27

















9月19日の1年先予想EPSは2092ドルで、4月に相互関税が実施された時の予想EPS2116ドルから若干ながら減少している。
9月のEPSが大きく上方修正されたNASDAQやS&P500に比べて大きく見劣りする。
成長性の高いGAFAMなどに比べて相互関税によるコスト高が効いているのかもしれない。
利下げはポジティブなもののEPSの伸びが弱い、これをNYダウがどう織り込むかだろう。


NYダウの益回りは4.62%とが米10年債利回り4.13%ともう少し余裕がある。
益回り4.62%はPERで22.1倍で割高圏にあるが、現在PER24倍程度が「バリュエーションの天井」と見ている。
NYダウがPER24倍以上に上昇するには、「一段の長期金利の低下が必要条件」だろう。



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為替と金利差の「ワニの口」が閉じられるか?

日米2年金利差長期202509
















金利差は、物語ではなく、リアルが投資採算だ。
為替をトレードする人には金利差は常に大きなリターンを生む重要な要素となる。
日米2年金利差はピークの2023年には5%あったので、2年米債を買い円債を売ると年5%というリターンが得られた。
しかし、現在の2年金利差は2.6%、米債買い/円債売りのリターンは半減してしまった。
それでも、米債買い/円債売りが2.6%とわずかにしてもリターンを上げるポジションであることは変わらない。

為替の変動が1年間全くないとしたら、投機筋は米債買い/円債売りを選ぶはずだ。
しかし、為替は常に大きく変動する可能性を秘めている。
金利差が縮小してきている現在、相場の変動性をどう見るかが為替の決定要因になる。


過去の金利差と為替レートの動きを見ると、金利差が縮小している局面、2008〜09年は120円/ドルから80円/ドルへと大きく円高に、2019〜20年は115円/ドルから10円程度の小幅な円高になった。
いずれにしても、金利差が縮小する時、変動期待が生じると大きく円高に振れ、そうでないと小幅ながらも円高になる。

今回、9月のFOMCで利下げが確実視され、10月の決定会合で日銀の利上げも視野に入っている。
そうなると、金利差が縮小する、問題は為替の変動期待がどの程度生じるか?

投機筋は円ロングへと賭けたが、ここ1ヶ月の140円/ドル台後半の膠着相場に耐えきれず、徐々に円ロングを修正してきた。
円ロングが半減している時であり、再び円高を仕掛ける可能性もある。
中銀ウィークとなる今週は為替から目を離せない。


日米2年金利差202509



















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米国株の「バリュエーションの壁」(2)S&P500

USA














株式益回りは会社の買収をイメージするとわかりやすい。
会社を丸ごと買収するには時価総額を全部買う、そして、1年後に税引き後の純利益を受け取ることができる、これが益回り(EPS➗株価)。
長期債利回りは投資元本に対する利息であり、安全資産である債券に投資した場合の利回り。
というわけで、リスクのある益回りは、安全資産の債券利回りよりも高いのが常識だ。

このところ、大型米国株のS&P500益回りが10年債利回りに接近し、株式の割高感が強まってきた。
成長性の高いNASDAQはすでにこの「バリュエーションの壁」を突破しているが、S&P500のような大型株500銘柄の指数でNASDAQのような成長性は難しく簡単ではない。

下のグラフはS&P500益回りと10年債利回りを比べたものだ。
2本のグラフが2024年以降接近しているのがわかる。
S&P500は「バリュエーションの壁」にあたりながら、EPSの成長を織り込み上昇してきた。

SP500益回り202509
















ここ数ヶ月の動きを見てもS&P500の益回りが長期金利に抑えられてきたのがわかる。
しかし、9月利下げの確率が上がり長期金利が4%近辺まで低下し、しかも、9月中旬にEPSが急に増加して、現在は益利回り>債券利回りの状態と安定してきた。

下のグラフがS&P500のEPS(青ライン)と株価指数(赤ライン)の動きだが、株価が先行して上昇してきたので割高感が強まっていたがEPSが突然増加し割高感を緩和させた。
このEPSの伸びの理由はよくわからない、オラクルの決算なのか、それとも半導体株の決算なのか。
それでも、益回りと債券利回りが接近した状況で、長期金利の低下とEPSの増加でS&P500の上値余地を広げた。

今後のS&P500のパフォーマンスもEPSと長期金利が決める。
もしそうでなければ「バリュエーションの壁」を抜けられない。

SP500EPS202509



















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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(4)長期リバーサル

シマノ10年月足(2016~2025年)
シマノ202509











長期リバーサルを考えると、どうしてもファンダメンタルの理解が必要になる。
筆者が注目している長期リバーサルは、10年安値、過去10年間の株価レンジの下限まで売られた株、そのリターンリバーサルを収益化しようという運用だ。
徹底的に売られたまま倒産するケースもありえる、しかし、実力のある会社はそこから不死鳥のごとく復活するケースも多い。
7000円以上に上昇した良品計画も数年前には1000円まで売られたことがあった。
その時買えば株価7倍になったというわけだ。
これも壮大な長期リバーサルといえる。


過去の話をしてもつまらないので、現在、10年安値にある事例として三つの会社、シマノ、ヤクルト、資生堂を取り上げてみたい。
いずれも過去10年という長期間で、株価が10年安値に落ち込んだ銘柄群だ。
10年安値に沈んだことで長期逆転の可能性があり、長期リバーサルの対象となるかもしれない。
こうした10年安値の銘柄はいつも気になる。

まずは、上のチャート、シマノ(7309)

シマノは自転車部品、その中でもキーとなるコンポを作っている会社で、ロードバイクに乗ったことのある人には神のような部品だ。
ロードバイクは新型コロナ禍で世界的に人気になり、シマノの株価も大きくがったが、その後はブームが去り業績が悪化し株価も下落してきた。

経常利益もコロナ禍21年1525億円から低下し、今期予想は493億円で業績悪化で大きく下落。
自転車の愛好者は世界中に多くいる、日本でも愛好家が増えているだろう。
そのキーコンポーネント部品を作り圧倒的なシェアを持つシマノは長期リバーサルの候補となるだろう。
市場全体が下落した時に買うかどうか考える予定だ。


ヤクルト10年月足(2016~2025年)
ヤクルト202509











ヤクルトは売上げの2割を占めた中国販売の低調で、上海の閉鎖などのリストラを余儀なくされ、株価も2400円台と過去10年のボトム圏に沈んだ。

中国景気の悪化は自動車各社、工作機械各社、食品、化粧品、様々な分野に影響した。
しかし、ヤクルトは乳酸菌の技術での強みもあり、国内中心にヤクルト1000などで安定している。

過去5年間の経常利益では多少の振れがあっても年700億円前後で安定している。
一時ダノンに株を買い占めら株価が8000円台まで上昇したが、ダノンも撤退しその処理も一巡した。
配当利回り2.7%、連結PER15倍で特に凄みはないが、市場が急落すると下値の強さが出てくるように思う。


資生堂10年月足(2016~2025年)
資生堂202509












資生堂もヤクルトと同じく、中国市場での不振で業績低迷、株価も長期下落トレンドをたどった。
株価は2200円前後まで売り込まれ、過去10年のボトム圏に達している。
この点ではヤクルトと似たような感じだが・・・

化粧品の場合、ヤクルトの乳酸菌事業とは違い、中国・韓国のコスメが安値攻勢をかけているので市場が価格破壊に見舞われていることだ。
安い韓国コスメとどのように対抗できるのか、筆者には分からない。
というわけで、「バリュー・トラップ」にハマりやすい銘柄かもしれないので環境変化をよく見ていきたい。



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株価は需給が決める・・・SQはどうなる???

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日米株価ともに現物株だけでなくオプションや先物を含めた需給が大きく影響している。
今週末のメジャーSQが注目を集める。

第一に9月限オプションの建玉、そのいびつな状況だ。

コール420に8565枚、コール430に6938枚、ATMのコール440に7020枚、コール450に6534枚の建て残が残っている。
SQまで数日の段階で建て玉が多い、これらはSQで解消され、ヘッジを含めた先物ポジションを含めて反対売買やSQ決済が行われる。

コール買い手は先物売りでヘッジしている場合でも大方利食いで終わるだろう。
一方、時価より下のコール420〜430売り手は、先物でヘッジしたとしても大きな損失になっている可能性が高い。
この建て玉の大きさからSQを前にして踏み上げが起こりそうに見える。
大規模に踏み上げが起こる、あるいは現在進行形で起こっている。


第二に裁定取引の残高が急増している点だ。

裁定残高を見ると、参院選前の7月初の1兆2493億円から現在2兆1513億円まで9020億円急増した。
この間、証券自己が2兆994億円の現物買いをしているので、自己の買い越しの半分は自己部門の裁定取引だったと言える。

海外投資家が先物に買いを入れ株価が上昇し、先物売りー現物買いを自己勘定が行った。
その結果が裁定取引の急増につながった。
そして9月SQでは裁定取引の解消も行われる可能性があり、その場合、証券会社の自己部門はSQで現物株を売ることになる。
買い手の主役が裁定取引の自己勘定だったことが「空中戦」の原因だった。

8月オプションSQ後、先物・オプショントレーダーやヘッジファンドなどを巻き込んで空中戦が行われてきたが、その集大成が9月のメジャーSQになりそうな気がする。
一段と急騰することもあるだろうし、一転急落もありそうな不安感もある。
長期投資家はじっとホールドがいいのだろうと思う。



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米国株の「バリュエーションの壁」(1)NASDAQの突破

NASDAQ益回り202509
















株価指数の益回りは予想EPSを指数値で割り算したもので、株価指数が今後1年間に何%の純利益を上げるかを示す。
株式投資家が得られるのが益回り%であり、その中から配当に回される分が配当利回り%になる。

一方、10年債利回りはその債券投資家が1年間にもらう利息%だ。
高金利時は、株式に対しても高いリターンを求められ、益回りを引き上げるために株価が下落する。
逆に低金利時は、株式に対しても低い益回りで十分であり、株価が上昇する余地が生まれる。

こうして株式益回り=投資に対する利益と、債券利回り=元本に対する利息はゆるく連動する。
さらに債券投資家が決められた利息を得るのに対して株式投資家が受け取る益回りは不確かで、株式のリスクは債券よりも大きくなる。
そうなると、リスクが高い分高い益回りが要求されることになる。


この投資の常識が「バリュエーションの壁」

だが、すでにNASDAQ指数はこの「バリューションの壁」を突破している。
上のグラフにある通り、NASDAQ100の益回りは3.42%、10年債利回りは4.16%で、益回りが0.74%債券利回りを下回っている。

これは25年の利益ではNASDAQを買えないが、26年の利益が6%程度伸びれば債券利回りと並び、それ以上増益すれば益回り>利回りの状態になる。
投資家は26年の10%増益をイメージして債券より低い益回りのNASDAQを買っている。
この業績成長への確信がNASDAQの益回りを債券利回り以下へと低下させている。


でも本当にこの低い益回りで買えるほど、26年の業績成長に期待できるかは「AIの夢」しだいだ。
NASDAQの中心はAI技術の中核にいるエヌビディアやブロードコム、さらにデータセンター投資で突出するGAFAM各社で長期の成長期待は大きいのだろう。
NASDAQが2年先利益まで織り込むということは、2年先の利益変動で株価が大きく振れる。
足元の利益予想から2年後の成長が予想するので、足元のわずかな変動が2年後の利益を大きく振幅させる可能性がある。
これを映して株価の振幅も大きくなるだろう。

この成長企業のNASDAQに対してS&P500は代表的な大企業500社で構成されているので、米国景気全般、世界景気の動向に大きく影響される。
トランプ関税が実行される景気状況が大きな変動をもたらす、という意味で「バリュエーションの壁」を突破していくのは簡単ではない。

次回はS&P500を中心にして「バリュエーションの壁」を考えてみたい。



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順張り、逆張り、どっちが儲かる?(3) リターンリバーサル

天邪鬼














世の中、永遠に続くものは何もない、万物は流転する。
だとしたら、今みんなが良いと思っていることも次の瞬間に変わってしまうかもしれない。
切ないと言えば、全く切ない。
株価とはこうした世の中の流転を反映したもので、今までがずっと続くことはない。

世の中が流転することをいつも考えている「天邪鬼投資家」が運用するスタンスが逆張り投資だ。
頑固者の「天邪鬼投資家」になかなかなれない投資家もリターンリバーサルを利用することはできる。


リターンリバーサルは言葉の通り、リターン(収益率)のリバーサル(逆転)だ。
これには二種類あるだろう。
一つはファンダメンタルの変化を伴わない「株価リターンリバーサル」、もう一つはファンダメンタルの変化を伴う「トレンドの転換」だ。

株価リバーサルは、数日から数週間程度、企業のファンダメンタルの変化が起きない短期での株価変動を利用する。
企業のファンダメンタルが変わらないという前提なら、売られた株は戻るし、買われた株も戻る。
この株価の戻りを取るトレードが、株価リターンリバーサルだ。

この取引は頭脳を必要としない、ファンダメンタルの分析などは全く不要だからだ。
トレーダーは株価の変化をよく見て、移動平均や過去の高値・安値を見て逆張りをする。
でも、これが儲かるかどうかは運次第だ。
株価には上がるか下がるかしかない、という意味ではルーレットの赤・黒に賭けるのに似ている。

多くの短期トレーダーが、短期リバーサルを使って一日~数日の取引をするが、大きく儲かっているかどうかは分からない。
株価のみに注目して取引するだけに「株価に対する敏感度」「株価の見方の熟練」などのスキルを磨けば儲けられる可能性はある。


トレンド転換型のリターンリバーサルは企業のファンダメンタルの変化を見る分、大きなリターンを生む可能性がある。
次回、考えてみたい。



PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

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過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

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正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
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ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

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需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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