
トランプの相互関税が8月から始まる、交渉余地はあるものの、大方の予想通り導入されるだろう。
日本にとっては厳しい関税となるが、関税に対抗できる各企業の競争力が試されることになる。
同様に、NYダウに採用されている伝統的優良企業も部品などの海外輸入が多く、米国企業とはいえ採算が脅かされる。
下の一覧表にNYダウの1年先予想EPSを示した。
予想EPSのピークは3月2181ドルだが、7月初には2064ドルまで5.3%低下した。
NASDAQやS&P500のEPSの低下は3%に留まっているので、NYダウに採用される伝統的優良株の方がトランプ関税にマイナス要素が大きいと予想されているわけだ。
各株価指数の1年先予想EPSの推移と3カ月変化率
NYダウ | Q/Q | S&P500 | Q/Q | NASDAQ | Q/Q | R2000 | Q/Q | |
2025年7月 | 2064.45 | 1.7% | 263.42 | 3.7% | 770.83 | 3.7% | 80.72 | -2.6% |
2025年6月 | 2104.47 | -3.5% | 266.36 | -2.4% | 775.82 | -3.3% | 81.98 | -8.3% |
2025年5月 | 2116.67 | -1.9% | 269.51 | 0.3% | 792.38 | 1.7% | 83.63 | -9.2% |
2025年4月 | 2029.39 | 3.4% | 253.96 | -8.5% | 743.17 | -8.1% | 82.85 | -4.3% |
2025年3月 | 2181.54 | 12.0% | 272.82 | 1.0% | 802.6 | 4.9% | 89.38 | 13.7% |
2025年2月 | 2156.93 | 9.3% | 268.66 | 11.4% | 778.95 | 15.2% | 92.11 | 35.2% |
2025年1月 | 1961.99 | -2.8% | 277.43 | 13.5% | 808.73 | 20.3% | 86.55 | 23.1% |
2024年12月 | 1948.6 | -3.9% | 270.2 | 12.8% | 764.85 | 19.4% | 78.6 | 13.2% |
2024年11月 | 1973.35 | -1.9% | 241.21 | 0.0% | 676.11 | 2.4% | 68.11 | -5.9% |
2024年10月 | 2017.76 | -1.9% | 244.52 | -0.5% | 672.4 | -2.7% | 70.31 | -10.7% |
一番上のチャートはNYダウの益回りと長期金利の動きを示したものだ。
米株の戻りが強く、NYダウのバリュエーションも切り上がり、益回りでは5月初の5.1%から低下し7月初現在4.64%と、長期金利4.49%に近づいてきた。
伝統的な優良企業のバリュエーションがここまで割高になったことはない、大型割安株を含んだ指標としては例外的な割高感になっている。
もちろん、米国株市場全体がバブル化すればNYダウ益回りが長期金利の水準を突破していく可能性もゼロではないが、バリュエーションの限界はあるだろう。
ポイントは二つある。
①トランプ相互関税が実施され実際の影響が予想EPSに織り込まれた時、EPSがどうなるか?
ITサービス系の企業はあまり関税の影響を受けないだろうが、伝統的企業は多かれ少なかれ海外依存度が高く影響を受ける。
四半期決算が本格化する7月後半からの予想EPS変化を注目したい。
②7月末のFOMC、8月のジャクソンホール会議、9月のFOMCで利下げの方向性が明確になるか?
今のところ、パウエル氏はトランプの恫喝に対して知らぬ顔をしているが、この夏に関税の影響が明確になってくれば利下げに踏み切る可能性も残っている。
NYダウの益回りが低下に対して長期金利が低下するかは重要な視点だろう。
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