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サルでも反省する。
ワシも反省する。





友人から「楽天は一体どこまで下がるのでしょうか?そんなに悪い会社ですか?人気が無さですか?」というメールが来たので、ブログ上で一緒に考えてみたい。

まず、楽天の1-3月期の決算、5/10に発表された説明会資料を見る。
売上は14%増加、IFRS営業利益は30%減少・・・部門別にみると・・・・
1)国内ECを含むITセグメント: 売上+14%、 営業利益-44%
2)FINTECHセグメント: 売上+15%、 営業利益+20%

Eコマース売上の伸びも世界のEコマース企業は売上を30-40%伸ばしているのに比べやや低い。
日本全体(アマゾンを除く)のEコマースも前年同期比で+11%となり、やや飽和状態、あるいは、対アマゾンで競争激化が起こっていると思われる数字だ。
Eコマースは潜在顧客数の大きさが将来の伸びを決めるので、日本国内のみでやっていても所詮、最大1億2000万人の市場しかいない。
一方、中国の微博やアリババなどの潜在顧客数は国内だけでも膨大、なにせ、中国は14億人の人口の国だ。
アマゾンなど米国企業は3億人の国内市場でスタートし、70億人のグローバル市場で勝負する。
この点、日本の国内Eコマースは潜在市場が小さく、競争激化を招きやすい。
楽天もアジアに本格的に進出するとかしないと、成長の限界がある。

FINTECH部門は好調で、
楽天カードが売上+15%、営業利益+6%と伸び、
楽天証券が売上+33%、営業利益+62%と大幅な伸び、
楽天銀行も売上+10%、営業利益+20%。

楽天カードマンのテレビ広告をよく見かけるが、クレジットカードを成長のカギと見ているのだろう。
ショッピング取り扱いも+21%と伸び、リボ残高も+16%で好調だ。
さらに楽天銀行も住宅ローンや楽天スーパーローンで好調で、クレジットカードと貸し出しの金融部門が収益を引っ張ったといえる。

しかし、中身をよく見ると、楽天銀行の預金総額は2兆円に対して住宅ローンとスーパーローンの合計は8000億円で預貸比率は40%と低い。
つまり、差し引き1兆2000億円は貸出先が見つからず、有価証券での運用をしているはずで低金利の有価証券では儲けがない。
さらに貸し倒れ関連費用を80億円計上したが・・・カードの延滞債権が690億円、銀行の延滞債権が360億円で合計1050億円計上されている。
一方、貸し倒れ引当金は865億円と延滞債権の8割は引き当てされている。
しかし、毎四半期ごとに延滞債権が増加してきており、ここが金融事業のポイントになってきそうだ。

楽天証券は国内の株式売買高の増加とFX売買高の増加が大幅な増益の理由としている。
しかし、証券は変動が激しく、このまま増加するわけではないし、逆に減益要因となる場合も将来的には十分に想定される。

というわけで株価は下落歩調になっているのだろう。
しかし、PER13倍、PBR1.6倍はEコマース企業のバリュエーションとして割安だし、ネット証券と比べてもSBI証券と同レベルで割高感はない。
おそらく、700円か700円以下は株価のボトム圏になるかもしれない。
その後の展開は、Eコマースではアジアやグローバル市場への本格進出が重要だと思うし、FINTECHではマネックス証券のように暗号通貨ビジネスをどう楽天の金融部門に取り入れていくか・・・だとワシャ思う。
最後に、リスクは三木谷さんが金融界出身だけに金融にどっぷり浸かりすぎたら成長は止まることだ。
金融は競争が激しくさらに大きく環境変化する業界なので、そのスピードについていけるとは思えない。