
米長期金利が3%以上の水準で定着しそうだ。
この金利水準が経済ファンダメンタルに、また、グローバル資金フローにどう影響するかを前回、前々回で考えてみた。
ただ、いろいろな可能性を列挙しただけなので、「結局、何が言いたいの?」よく分からんと指摘されそうだ。
そこで今回はワシの見方を中心に書いてみたい。
ワシの基本的な見方は、今の状況、つまり、タイトな米雇用、トランプ減税による景気上昇、賃金や物価の安定という3点が続くかぎり、株式への資金流入は続いていくということ。
問題は3%台の歴史的低水準にある失業率と極めてタイトな労働需給の中、賃金上昇が抑えられ物価も比較的安定しているという状況はやはり継続的ではないのではないかということだ。
今年はないと思うが、来年あたりには物価上昇ペースが加速していく可能性が高いとみている。
したがって、来年の可能性は、1.賃金上昇に拍車がかかりインフレ懸念が増していく、2.米財政赤字が拡大ペースを速めドル安が加速していく、3.米長期金利は4%以上に上昇していく、という3点だ。
そういう見方にたって、今年、来年の株価がどうなっていくのだろうか?
基礎編の中で3/25に「急落相場の読み方」を書いたが、その中で急落相場の3つのパターンを説明した。
1つは通常の需給調整型で下落率はおよそ10%以内だ。
これは買われすぎによる反動の調整で、経済ファンダメンタルには変化がなく比較的短期で終わるケースが多い。
今年の1-3月の調整はまだこの範囲であったわけで、需給調整から徐々に安定し始めている。
2つ目は景気循環による調整で、大体40%以内の下落率が想定される。
数年に1回はこうした景気調整型の株価下落が起こっているが、景気の悪化を伴うため1年を越える調整期間になるケースも多くある
3つ目はクレジットクランチ型の調整で、これは厳しい下落が考えられる。
単に景気が悪化するだけでなく、企業の信用不安が起こり信用収縮を招くケースだ。
リーマンショック後の調整はこの典型的なパターンといえるだろう。
ワシは個人的にこのパターンの調整を半値八掛け型を読んでいるが、これは10年に一度ぐらいのペースで起こる、株価が半値・八掛け・二割引きという大幅な下落になる。
来年想定されることを前提として考えると、クレジットクランチまでは想定できないが、金融引き締めの強化で循環的な景気調整は起こる可能性はある。
そのカギとなるのは、インフレが加速するかどうかだろう。
また、米長期金利の上昇とともに非産油の新興国の資金調達には注意しておく必要があろう。
次の大きな株価下落はFUNGなど米IT関連株が大きく下落する可能性も考慮に入れておきたい。
個人データに関連する規制がどうなっていくか不明だが、規制によりIT関連の将来収益予想が大きく引き下げられ、バリュエーションが大きく低下する事態も予想されるからだ。
ワシ個人的には、今年はともかく、来年は波乱を覚悟している。