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アメリカの長期金利が3%を越え、しかも今後も3%水準を継続的に上回るとみられている。
前回は長期金利3%水準が企業業績にどう影響するか考えてみた。
企業の事業利益率との比較や企業債務水準による影響だ。
アメリカ企業の事業利益率は10%前後とかなり高く、3%の長期金利は全体として問題にはならない。
また、企業債務はGDPの45%と高水準にあるが、金利の低い時期の借入でありすぐには問題にならない。
ということで今年中は長期金利がさらに上がっても企業のファンダメンタルへの影響は限定的と見る。

しかし、グローバル資金フローはさらに先の問題を織り込んで動いていくので注意が必要だ。
しかもリスク/リターンに敏感に動くので、必ず、何かしらの因果関係をもとに変化する。
何か理由があって資金を動かしていくわけで、理由もなく動かすことはない。
だからこの因果関係を読むことで先の資金フローを考え、市場の動きを想定できる。

まず、重要なことは今年の1-3月期に起こった株式市場の調整が変化の前兆である可能性が高いこと。
1)米企業業績
 ・トランプ減税によりEPSは二けた以上の増加期待。
 ・原油価格の上昇でエネルギー関係企業業績の向上期待。
 ・長期金利の上昇による利ザヤの拡大で銀行や金融機関の業績も順調に推移すること。
2)米中の貿易問題
 ・全面的な関税の掛け合いは避けられる見通し。
 ・先端技術のパクリ、知財権の保護は今後どうなるかわからない。
3)インフレ懸念
 ・来年以降の米財政赤字の拡大。
 ・米失業率はすでに3%台まで低下、雇用関係はタイトで奪い合いが起こること。
 ・原油価格が70ドル台への上昇と物価への影響。
4)IT技術企業の規制問題
 ・フェイスブックの個人データ大量売却問題の拡大。
 ・ビッグデータの規制の強化問題。

今後予想されるグローバル資金フローはこの4点の掛け算だろう。
1)来年の企業業績のピークアウトを織り込む形で株式から債券への資金フローが起きる。FRBの政策金利引き上げペースが緩やかだとしても、来年の企業業績は今年の反動で伸び率は低下する。

2)新興国は米金利の上昇によるマイナスを受け、資金流出の懸念がある。非産油の新興国は調達金利の上昇でドル資金のファイナンスが難しくなる。

3)物価上昇が現実化しFRBの引締めが本格化、逆イールドで株式から債券にシフトが進む。雇用の限界点に近づき、さすが賃金上昇でインフレ懸念が一段と強まる。

4)米IT企業の規制強化で将来成長がダウングレード、IT企業から資金が流出する。どのような規制が起こるかまだ分からないが、この可能性も考えておく必要があるだろう。

5)米中の経済問題の拡大で中国からの投資が引き上げられる可能性。すでにZTEが表面化したが、知財権の問題で中国企業が先進国市場から締め出される可能性も考えておく。
 
というのはワシの空想だが・・・・
起こるかもしれない将来の資金フローだと思うんじゃな。