バブル時代「株価は夜つくられる」と言われ、夜の宴会接待で大口売買が決まり、翌日大口注文が執行され株価が暴騰するなんてよくある事じゃった。
市場売買は、多くの市場外での需給に基づいて執行される。
市場外での売買の一部(市場で執行された部分)しか一般人の眼には見えていない。
でも、この市場売買は統計数字として出てくるので、利用できるしその価値は高い。

この市場売買は東証が毎週、投資主体別売買状況として公表している。
2018年3月のデータを見てみよう。
投資部門別株式売買状況 東証一部 金額 全51社・・・とある。
東証のデータは、東証会員51証券会社からの報告に基づいているから、こういうタイトルになる。
後ほど詳細を見てみたいが、要は証券会社の自己申告であり、ホントに外人なのか自己なのかやや疑わしい場合もでてくる。
そして、自己計差引+3407億円、委託計差引-3529億円、総計-121億円・・・とある。
自己とは証券会社の自己売買部門で、委託とは証券会社に委託された売買である。
さらに、委託内訳として、法人+1964億円、個人+4055億円、海外投資家-9813億円、証券会社+264億円・・・とある。
この月は、外人の売りに対して、国内の法人、個人が買い向かう形だった。
証券会社とは東証の会員でない証券会社が会員に委託して売買した分である。

さらに細かくなり、法人内訳として、投資信託+1833億円、事業法人+452億円、その他法人+255億円、金融機関計-577億円・・・とある。
事業法人は2000年以降、法人間の株式持ち合いを解消してきたためずっと売越し主体だったが、ここ数年は自社株買いが増えてきたので買越し主体に転じてきた。
その他法人とは宗教法人だったり、団体や協会のような組織が含まれる。
さらに細かく、金融機関内訳があり、生損保-338億円、銀行-716億円、信託銀行+292億円、その他金融機関+185億円・・・とある。
特に注意が必要なのは信託銀行で、その背後に国内の年金がいたり、特金やファントラがいたりするので中身の分析は少し難しい。

これが東証の投資主体別売買動向の数字で、毎週、毎月、集計されて公表される。
数字の読み方として説明が必要になるのは、海外投資家と信託銀行だろう。
その他の投資主体は比較的単純なので、たとえば、投信は国内公募投信の売買だし、生損保や銀行はそのままだし、事業法人は先ほど説明したぐらいで理解できるじゃろ。
個人はIPOで個別銘柄を買っているし、オーナーの売りは個人にカウントされるから、基本的に売越しになりやすい。
次回以降、この二つの投資家、海外、信託についてもう少し考えてみたい。