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金融リテラシー、投資教育がブームのように感じる。
政府は年金基金の厳しい財政を心配して「個人は自己責任で稼げ」とばかり、これによって年金の不足を補おうとしているとしか思えない。
年金が不足するから「70歳まで働け」「自分で稼げ」と言い続ける、その流れで「税金だけは免除してやる」というのが新NISAだ。 

この政府方針で乗っかるように証券業界も「金融リテラシー」「投資教育」を旗頭に挙げる。
これってどうなんだろう?と思う。

そもそも「金融リテラシー」って年金不足を解消できるようなシロモンじゃない。
投資教育を受ければ株で儲けることができるようになる、金融リテラシーを身につければ老後も安心、新NISAで投信に投資すれば大儲けできる・・・残念ながら、物事はそう簡単ではない。 


大学の政経学部を卒業して証券会社に入社し、初めて投資情報部で投資理論を勉強した。
上の写真は1980年代に刊行されたシャープの「現代証券投資理論」で当時の教科書だったが、これだけでなく様々な理論も学んだ。
ハリー・マルコビッツのポートフォリオ理論、ウィリアム・シャープの証券市場理論、モダンポートフォリオ理論(MPT)、キャピタル・アセット・プライシング・モデル(CAPM)・・・・
しかし、勉強すればするほど、「株って儲かるものじゃない」と理解するようになる。

これらの理論が語っていることは、
①効率市場論: 情報は株価に織り込まれていて、誰も市場を出し抜くことはできない。
②投資リスク: リターンはどうにもならない、管理できるのはリスクだけだ。
③分散投資: 価格がどう変化するか、何が起こるか予測不可能、いろんな投資先に分散するべきだ。

良いニュースを読んでもその瞬間に株価がニュースを織り込んでしまうので、それから投資しても期待するリターンは得られない、これは当時の筆者にはショックだった。
毎日毎日情報を得るために歩き回っても情報で儲けることはできないって、なんか情報集めしている自分が否定されているような感じがした。

でも実際の仕事は、企業決算を見て、マクロの経済情報を読み、チャートで株価のトレンドを見ることだった。
投資の大先生たちが「情報をどう分析しても超過収益を得られない」と語っているのに、証券会社の現場では一生懸命に情報を分析して、顧客にレポートを配り、株式投資を推奨している。
この理論と現場の違いに悩んだこともあった。

そして30歳の頃、ロンドンで英国機関投資家と商売をすることになった。
これが大きな転機になった。




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