
日本の株価は国内の経済状況だけでは決まらない、米国やグローバル株式に大きく影響を受ける。
でも、国内の状況、特に日銀の動きが重要な転換期に入ってきている。
それは「アベノミクスの出口」を本気で進める気が見え隠れするからだ。
日銀はすでに「ゼロ金利」を解除し利上げ、ETFの売却で「量的緩和」の後処理も開始した。
そもそもアベノミクスはデフレからの脱出を目指した政策だったが、インフレが定着しつつある現在、その出口に向かうのは当然だ。
その出口は二つある・・・
①実質金利の正常化
インフレ率3%に対して政策金利0.5%の現状は、日銀がインフレ加速政策を取っているに等しい。
インフレ率は今が高すぎで今後安定化するだろうが、インフレが2%で落ち着くにしても日銀は政策金利を2%に引き上げる必要がある。
実質金利の正常化はかなりの苦難の道になる。
②量的緩和の後始末
黒田日銀は無理やりの量的緩和を行い、日銀のバランスシートは現在でも724兆円と肥大化している。
下の表にある通り、債券569兆円、株式(ETF)37兆円(簿価)、REIT6.5兆円の量的緩和の処理が最大の問題だ。
債券は償還があるので、買い換えをしなければ自然に減少する。
でも株式は意図して売らないと減少しない。
アベノミクス自体が「やりすぎ」だったので、その後始末も難しい。
政策金利をインフレ並みの2%に引き上げると、変動型が多い住宅ローンの返済が厳しくなる。
さらにETFの売りを本格的すれば、株式需給の緩和要因になり市場を混乱させかねない。
日銀には市場と正直に対話することが重要で、売却に130年なんて時間かけるという「おバカな話」は即刻やめるべきだ。
実質金利の正常化についてどのような経路で金利を引き上げていくのか、量的緩和の後始末についてもどのような時間軸で保有ETFの売却を進めるのか、市場に説明すべきだろう。
日銀・決定会合の議論を透明化し、市場との対話を進めることだ。

