米非農業雇用者数とADP雇用統計
米雇用とADP202508

















8月1日に公表された雇用統計の数字はショッキングなもので金融市場を直撃した。
7月の非農業雇用者数が7.3万人と10万人割れもショッキングだが、それ以上に過去2か月分を25.8万人も下方修正したことが市場にショックを与えた。

上のグラフで非農業雇用者とADP雇用統計を比べたものだが、両者は多少のズレがあるものの大きなトレンドは一致してきた。
ところが、今年の5月と6月の数字では10万人以上の乖離が起こっていた。
給与支払いの統計から計算されるADPと労働省の雇用統計がこれほど乖離したのは経験がない。

どちらに問題があったのだろう?
下の表は非農業雇用者数と、その3か月移動平均、さらにADP雇用統計の数字を比較したものだ。

   非農業雇用   3か月MA   ADP統計
7月 + 7.3万人 + 3.5万人 +10.4万人
6月 + 1.4万人 + 6.4万人 - 2.3万人
5月 + 1.9万人 + 9.9万人 + 2.9万人
4月 +15.8万人 +12.7万人 + 6.0万人
3月 +12.0万人 +11.1万人 +14.7万人

この表を見て分かるのは、ADP雇用統計ではトランプ相互関税が始動した4月から急速に雇用が減少を始めている。
実際、雇用調整に乗り出す米企業のニュースが増えてきたのもこの頃だった。
でも、労働省統計ではその後も10~15万人の雇用増加を示してきた、そして、「多くの評論家が雇用は堅調だ」とコメントしてきた。

この間、ADP雇用統計では3月までの10万人台から減少が明確になり、5月にはわずか2.9万人、6月は2.3万人の減少となった。
それでも労働省統計を中心にしてきた多くのメディア・評論家は雇用は底堅いを言い続けた。

なぜ、これほどの大規模な修正になり、金融市場を混乱させたのだろう?
これはきちんと説明されるべきだろう。
その理由によっては「米国景気の後退」を示唆することになるかもしれないからだ。


現在は米企業の4-6月期業績の発表が続いているが、各株価指数の1年先予想EPSは鈍化がみられる。
NYダウの直近予想EPSは2065ドルで、トランプ関税前3月の2181ドルから徐々に低下してきている。
GAFAMが好調な決算を発表しているNASDAQでも、直近予想EPSは760ポイントで、ピークの3月802ポイントから5%程度の減少している。
トランプ相互関税が導入された4月以降の変化が米景気の失速につながる可能性を示唆している気がする。

今後の決算発表と予想EPSの動きは注視していきたい。

NYダウ Q/Q S&P500 Q/Q NASDAQ Q/Q R2000 Q/Q
2025年8月 2065.81 -2.4% 261.88 -2.8% 760.04 -4.1% 79.75 -4.6%
2025年7月 2064.45 1.7% 263.42 3.7% 770.83 3.7% 80.72 -2.6%
2025年6月 2104.47 -3.5% 266.36 -2.4% 775.82 -3.3% 81.98 -8.3%
2025年5月 2116.67 -1.9% 269.51 0.3% 792.38 1.7% 83.63 -9.2%
2025年4月 2029.39 3.4% 253.96 -8.5% 743.17 -8.1% 82.85 -4.3%
2025年3月 2181.54 12.0% 272.82 1.0% 802.6 4.9% 89.38 13.7%
2025年2月 2156.93 9.3% 268.66 11.4% 778.95 15.2% 92.11 35.2%
2025年1月 1961.99 -2.8% 277.43 13.5% 808.73 20.3% 86.55 23.1%
2024年12月 1948.6 -3.9% 270.2 12.8% 764.85 19.4% 78.6 13.2%
2024年11月 1973.35 -1.9% 241.21 0.0% 676.11 2.4% 68.11 -5.9%
2024年10月 2017.76 -1.9% 244.52 -0.5% 672.4 -2.7% 70.31 -10.7%
各株価指数の1年先予想、Q/Qは3カ月前との比較。



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