
一般的には一国のトリプル安、通貨安、株安、債券安(金利上昇)がそろうと、その国から資金が逃げ出している証拠とされる。
今週は米国でその「トリプル安」が起こった。
米国株が売られ、米長期債だけでなくハイイールド債も売られ、さらにドルが人民元を除く主要通貨に対して売られた。
これをもって単純に米国から資金が逃げている、米国資産は売りだという意見も見られる。
あるいは、このトリプル安の危険性を見ているベッセント財務長官がトランプに進言して相互関税の実施を90日延期したとか言う観測をする評論家もいた。
でも、天邪鬼の投資家は自分で確かめないと納得しない。
①まずは為替・・・
ドルインデックスと投機ポジション

ここ数日は確かにドル安になっている。
だけど、ドルインデックス(ドルの主要通貨バスケット指数)はまだまだ過去のトレード・レンジ内にあるし、投機筋の先物売り仕掛けも特に見られていない。
ドル安といってもそれほど強いモメンタムは感じられない。
しかし、ドル円は違う。
日本当局はトランプ関税を回避するために「円安修正」を条件に出すかもしれないからだ。
過去2年の大幅な円安が非関税障壁だと考えれば、関税の代わりに「円安修正=円切り上げ」をするのは十分にありえる。
自動車関税も相互関税もなしにする、代わりに関税率と同じ20%程度の大幅な円高介入をする、考えられるシナリオだ。
交渉次第とはいえ、大幅な円切り上げで合意する可能性もゼロではない。
②次に米国株・・・
S&P500

米国のM7の株価下落は楽観過ぎた投資家の逆流、米国一強体制の終わりといえるのかもしれない。
しかし、米国株全体は簡単に終わらないだろう。
投機筋は確かに先物ネットショートに転換したが、それが20%下落した理由という規模ではない。
米国経済の終わりを見て投機筋が巨大な売り仕掛けをしたというわけではない。
投資家はまだ様子を見ているところで、米景気のリセッションが起こるかどうかをジッと見ている。
③長期債の下落(長期金利の上昇)
米10年債利回りと投機筋先物ポジション

株価下落の途中から長期金利は反転、現在4.5%付近に上昇した。
ここはトランプ政権も容認できないところだろう。
しかし、投機筋の先物ポジションも先週再びショートが急拡大、投機筋の勢いが増している。
その根幹にあるのが懸念される中国の米債売りで、これをネタに売り仕掛けしている可能性がある。
米長期金利が当面の最大の焦点になる。
④米ハイイールド債の売り
ハイイールド債利回り

格付けの低い企業が発行するハイイールド債は、景気が悪化すると信用リスクが高まり(借金返済が滞る)下落する、この点で景気変動を映す株価と連動する。
このところの株価下落でハイイールド債の下落(利回りは上昇)したが、期間的に短くトレンドが続くかは判断できない。
しかし、米10年国債が大幅に下落し利回りが5%に達するようならば、米国株は下落の第三幕に入り、ハイイールド債に一段と売られる、注意が必要だ。
中国が本気で外貨準備の長期債を売れば米金融市場は大きな混乱に陥るが、中国もただでは済まない。
不動産不況を克服できず、国内の過剰債務も処理できず、国内需要が弱く輸出ドライブを掛けるしか策はないだろう。
トランプ関税で輸出ドライブを抑え込まれたら、中国経済も相当ヤバい。
それを考えると、米中貿易摩擦だからといって中国は米長期債を無制限に売ることもできないし、人民元安を誘導するのも中国からの資金逃避を加速させるリスクがある。
一番リスクがあるのが米国債の売り崩しだが、限界があるのではないかと思う。
確率が高いのは「円切り上げ」で、投資家は注意する必要がありそうだ。
結局のところ、トランプ関税政策の出口はまだ不透明、米国株価はパニック売りの初期局面は終わったものの安心はできない。
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金と銀が上昇するのは米国から資金がながれているからだと思っているのですが、投稿者様もおっしゃているように銅は景気敏感と私も思っているので何故上昇しているのかが分かりません。
もしかしたらこれから銅も安全資産になっていくのかと思いました。