ドイツ国債利回り

ある評論家は日経SNBCの番組内で「欧州は8000億ユーロの再軍備計画を発表し、財政規律に厳しかったドイツも規律を緩め財政出動する、これでドイツ経済を復活する、だからドイツ株は買いだ!」と言う。
・・・マジか?
ドイツDAX指数が急上昇したのは事実だが、このロジックにはちょっと違和感がある。
トランプの基本姿勢で見られるのはアメリカが欧州の安全保障から手を引く、なので欧州は自分で自分の地域を守らなければならない。
そして巨額の防衛支出計画を出してきたわけだが、これは欧州経済には実質的にプラスにならないと考えている。
①財政負担が拡大し、欧州各国の資金調達が困難になる。
上のグラフのドイツ国債利回りを見ると10年債利回り(上のグラフの赤線)が一気に3%水準まで上昇し、過去のピーク圏に入ってきた。
政策金利は引き下げ方向なので2年債(青線)は動きがない。
にもかかわらず長期金利だけ上昇し、長短金利差(グリーン線)が急速に拡大している。
景気良好で長期金利が上がる、または、財政ポジションの悪化で上がるどちらかだが、景気鈍化の欧州では明らかに財政ポジションの悪化懸念で長期金利が上昇していると見るべきだろう。
25%というトランプ関税が検討されている欧州地域で、景気が簡単に回復していくとは思えない。
というわけで、欧州の財政悪化によって国債の信用不安が起きる可能性を債券市場は見ている。
②軍備増強は経済にプラスにはならない。
1990年ベルリンの壁が壊れ東西ドイツが統一された時、「平和の配当」が欧州株式市場を大きく上昇させた。
軍備にかけてきたおカネを民間経済に使える、「平和の配当」が期待された。
欧州の再軍備は経済活性化ではなく「逆・平和の配当」として経済には重荷になる。
インフラに投資すれば道路が拡張され港湾が整備され、物流が活発化し交易量が増え経済は拡大する。
しかしいくら武器や弾薬に投資してもこれらは在庫であって、在庫を増やすだけでは経済効果が波及して行かない。
防衛費の増加は防衛関連会社の売上げに貢献するが、最大の防衛産業は米国にあり、多くは米国企業を潤すことになるだろう。
欧州や日本の防衛関連会社には限定的な発注になるだろう。
さらに欧州政治も岐路にあるような気がする。
フランスでもドイツでも自国ファーストな右派が台頭し、「欧州統合の理想」よりも「移民問題」などの現実的な国民の利益を重視する勢力が増加している。
こうした政治の変化はトランプに似ている感じもするが、政治の不安定は続きそうだ。
それじゃ、なんでドイツ株が上昇したのか?
ここ2年ぐらい世界の投機資金が米国株に集中し、GAFAM、NVDAなどを爆買いしたが、その一方で欧州株や中国株は資金流出に見舞われた。
この状況下、多くのグローバルファンドが欧州や中国をアンダーウェートし米国株をオーバーウェートにしていたはずだ。
そして、ユーロが底入れしドイツ株が反発に入り、中国でディープシークが開発された時、このポジションが大きくアンワインドにむかった。
その結果、ドイツ株が急上昇し、ドイツ国債が強烈に売られ、ユーロが急速に買い戻された。
また中国株も急上昇した。
このドイツのトリプル高(株高、金利高、通貨高)は需給の逆流によるものだと考えている。
ファンダメンタルを素直に見てドイツ株は買えるかを判断すべきだろう。
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・・・マジか?
ドイツDAX指数が急上昇したのは事実だが、このロジックにはちょっと違和感がある。
トランプの基本姿勢で見られるのはアメリカが欧州の安全保障から手を引く、なので欧州は自分で自分の地域を守らなければならない。
そして巨額の防衛支出計画を出してきたわけだが、これは欧州経済には実質的にプラスにならないと考えている。
①財政負担が拡大し、欧州各国の資金調達が困難になる。
上のグラフのドイツ国債利回りを見ると10年債利回り(上のグラフの赤線)が一気に3%水準まで上昇し、過去のピーク圏に入ってきた。
政策金利は引き下げ方向なので2年債(青線)は動きがない。
にもかかわらず長期金利だけ上昇し、長短金利差(グリーン線)が急速に拡大している。
景気良好で長期金利が上がる、または、財政ポジションの悪化で上がるどちらかだが、景気鈍化の欧州では明らかに財政ポジションの悪化懸念で長期金利が上昇していると見るべきだろう。
25%というトランプ関税が検討されている欧州地域で、景気が簡単に回復していくとは思えない。
というわけで、欧州の財政悪化によって国債の信用不安が起きる可能性を債券市場は見ている。
②軍備増強は経済にプラスにはならない。
1990年ベルリンの壁が壊れ東西ドイツが統一された時、「平和の配当」が欧州株式市場を大きく上昇させた。
軍備にかけてきたおカネを民間経済に使える、「平和の配当」が期待された。
欧州の再軍備は経済活性化ではなく「逆・平和の配当」として経済には重荷になる。
インフラに投資すれば道路が拡張され港湾が整備され、物流が活発化し交易量が増え経済は拡大する。
しかしいくら武器や弾薬に投資してもこれらは在庫であって、在庫を増やすだけでは経済効果が波及して行かない。
防衛費の増加は防衛関連会社の売上げに貢献するが、最大の防衛産業は米国にあり、多くは米国企業を潤すことになるだろう。
欧州や日本の防衛関連会社には限定的な発注になるだろう。
さらに欧州政治も岐路にあるような気がする。
フランスでもドイツでも自国ファーストな右派が台頭し、「欧州統合の理想」よりも「移民問題」などの現実的な国民の利益を重視する勢力が増加している。
こうした政治の変化はトランプに似ている感じもするが、政治の不安定は続きそうだ。
それじゃ、なんでドイツ株が上昇したのか?
ここ2年ぐらい世界の投機資金が米国株に集中し、GAFAM、NVDAなどを爆買いしたが、その一方で欧州株や中国株は資金流出に見舞われた。
この状況下、多くのグローバルファンドが欧州や中国をアンダーウェートし米国株をオーバーウェートにしていたはずだ。
そして、ユーロが底入れしドイツ株が反発に入り、中国でディープシークが開発された時、このポジションが大きくアンワインドにむかった。
その結果、ドイツ株が急上昇し、ドイツ国債が強烈に売られ、ユーロが急速に買い戻された。
また中国株も急上昇した。
このドイツのトリプル高(株高、金利高、通貨高)は需給の逆流によるものだと考えている。
ファンダメンタルを素直に見てドイツ株は買えるかを判断すべきだろう。
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