
公募増資には「ダイリューション」株式価値の希薄化という問題がある。
株式価値の希薄化とは、発行株数が増えると一株あたりの価値が低下してしまうという問題だ。
発行株数が増えてもそれ以上に利益が上がるならば、理論的には希薄化しない。
しかし、多くの企業では増資で得た資金を事業に投下しても売上げも利益もそれほど増えない。
日本企業の多くは成熟化し使われない資金である内部留保が溜まっている状況では、なおさらのこと、多少の投資しても売上げや利益に直結しない。
Jリートの場合は普通株とはちょっと違う。
公募で得た資金は不動産に投資され、リート運用会社が見込みの高い不動産を購入し、そのNOI(ネット・オペレーティング・インカム)が十分に高ければで収益を増やすことができる。
だから、公募増資とともに分配金の増額修正が起こる。
事例で確かめてみよう。
今年2月に公募増資を実施した産業ファンド(3249)の事例。
発行価格11万9047円で40万9609口を発行し、487億円を調達した。
その資金で北九州ロジパークなどに投資、そのNOIは5.1~6.2%だった。
公募増資時に24年7月の分配金を3225円/口から3390円/口に上方修正した。
その後の7月決算では公募後の予想3390円/口から、実績3510円/口に一段と増えた。
25年1月の予想も3390円/口から3450円/口に上方修正された。
というわけで、今後1年の分配金合計は6960円となり、公募価格ベースの利回りは5.84%とJリート各社の中でも最高水準に近い利回りになった。
産業ファンドのスポンサーであるKKRはグローバルな運用会社としては最高ランクに入る。
物流施設、データセンターや研究施設など産業施設に投資をする日本には他にない産業専門リートファンドだ。
という意味では運用のクオリティも高い。
ところが、リート価格がその後半年以上に渡って停滞した。
これは40万株の新規発行が需給悪化につながったわけだが、分配金が増額修正され、公募価格ベースで5.8%という高利回り水準に上昇したことを見ても「ダイリューション=希薄化」とはいえない。
希薄化していないのに株価だけが下がった。
これは「長い株式市場の歴史でも珍しい現象」といえるのではないだろうか?
次回は別の事例で確認してみたい。
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