公募増資






Jリート市場で公募価格を割り込む銘柄が増えている。
これがJリート市場の需給の緩さを反映しているだろうし、一段と需給悪化に拍車をかけているのかもしれない。

一方、普通株の公募増資とJリートの増資は「希薄化」という点で異なっている。
ダイリューション=希薄化とは、発行株数が増えることで一株当たりの価値が低下することを言う。
しかし、Jリートの公募増資の場合、その後一株当たり分配金やNAVが増加しているので基本的に「希薄化」とはいえない。
それでも発行株数が増えたことで市場内の需給が緩和し、価格には下落圧力が加わる。

前回は産業ファンドで公募増資後、企業価値がどう変化したかを見てみた。
今回はもう1社、平和不リート(8986)で確かめてみたい。
平和不リートは、半分が都心型の中規模オフィス、半分がマンションと構成。

公募増資日は6/3だったが、この増資後の一株当たり分配金が24/11期3360円/口から3400円/口に増額修正された。
54億円公募資金でNOI4.2~4.7%のオフィスビル(大阪と札幌)を取得するという。
この投資の結果、分配金が増えるというわけ。

さらに5月決算期で11月期の分配金を3400円/口から3440円/口にさらに増額修正。
来年5月期の分配金も3425円/口から3450円/口に増額修正した。
この結果、公募価格ベースの分配金利回りは5.37%と上昇した。

企業価値は公募増資後一段と分配金が増加しているので「希薄化」は当てはまらない。
しかしながら、株価は低調で現在12.5万円と公募価格を割り込んでいる。

株価が公募価格を割り込むと、公募増資で購入した投資家はすべて損失になり、しかもオーバーアロットメント(追加)と第三者割当で購入した幹事証券にもマイナスが生じる。
長期投資家は公募割れで投げ売りすることはないだろうが、証券会社の自己勘定などで保有する株式は場合によっては強制的に売りに出す。

今年の「公募割れ」問題は一部のリートの特殊なものではなく、公募増資を実施した銘柄全体で「公募割れ」が生じていることだ。
Jリートは毎年多くの銘柄が公募増資しこれだけ「公募割れ」が増えると、Jリート市場全体の需給の問題になってくる。
リート運用会社にも投資家目線で考えてほしいと思おう

長期投資家には高い分配金利回りで購入するチャンスでもあるが、Jリート価格が反転するのは「公募価格」を上回っていくことがポイントになるだろう。
次回、公募増資の問題を掘り下げてみたい。



相場テクニックとして「酒田五法」格言をはじめ、相場格言の現代的活用や実戦のための本
株式需給の達人格言編


https://www.amazon.co.jp/dp/B0BBQM526Y


PER・PBRなどのバリュエーションを実戦でリターンを上げることを主題として解説した本
実戦的バリュエーション

https://www.amazon.co.jp/dp/B097MY83XZ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BMX1VST198R56XWPHT2S

過去の株価というだけのでチャート、これを市場心理の分析道具として実戦で使うことを目標に解説した本
チャートの達人

https://www.amazon.co.jp/dp/B08G8MD1YY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Uy5tFbPATARV5


正確なパフォーマンス計測から運用は進化する、自分の弱点の分析によって運用能力を引き上げる本
個人投資家の最強運用
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0



ソブリンファンドや年金ファンドなど海外の巨大運用機関の訪問記、市場を理解するのに役立つ本
株式需給の達人 (投資家編))

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD


需給はすべてに先行する、株式需給を分析するための基礎知識を中心に解説した本
株式需給の達人(基礎編)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM




にほんブログ村