
Jリート市場には大きな弱点があった。
それは公募増資が毎月のように実施されてきた事だ。
東証プライム市場では公募増資はほとんどなく、逆に自社株買いが10兆円レベルで過去最高と報道されている。
公募増資は発行株数を増やし需給を悪化される、その反面、自社株買いは発行株数を減らし需給をタイトにする。
東証では自社株買いが多く、これが大型株の需給を好転させる。
その反面、Jリート市場では公募増資が次々を行われ、需給を緩和させている。
全く、対照的な資本政策をしている。
この新株発行による需給緩和がJリート市場に大きく影響しているのではないかと思う。
下の表は、筆者が勝手に選んだ、今年の公募増資をしたJリート銘柄だ。
ほぼ毎月のように公募増資を実施する銘柄があった。
| 銘柄名 | 発行価格 | 発行口数 | 払込日 | 10月8日 | |
| 3249 | 産業ファンド | 119047 | 409609 | 2月28日 | 117100 |
| 8906 | 平和不リート | 128271 | 42800 | 6月3日 | 125706 |
| 8985 | ジャパンホテル | 73167 | 418182 | 7月3日 | 70500 |
| 3498 | スターアジア | 52342 | 315000 | 8月28日 | 51900 |
| 3492 | タカラレーベン | 87067 | 123810 | 9月11日 | 85800 |
| 3249 | 都市ファンド | 94668 | 204100 | 10月4日 | 94900 |
ざっと見て言えることは、今年2月の産業ファンドから始まって多くの銘柄で直近時価が公募価格(発行価格)を下回っている。
直近の公募増資の都市ファンドはかろうじて公募価格を上回っているが、なんとも心もとない状況だ。
これはどういうことなのだろうか?
公募増資のメカニズムを簡単におさらいすると・・・
公募増資を発表すると、イベントドリブンファンドなどがまず空売りし価格を引き下げる。
そして、値決め日に引け値で大口売りをぶつけ、一段と価格を引き下げる。
公募価格は引け値の数%下で決まるのでさらに安くなる。
イベントドリブンはその引き下げた公募価格で株を入手し空売りを現渡して決済する。
この平均空売り価格と公募価格の差が、イベントドリブンの利益になるわけ。
従って、公募価格が決まるまではファンド筋の空売りで価格が下落し、公募が決済されれば市場は落ち着くというのが一般的な動きになる。
しかし、Jリートの場合は、ちょっと違うようだ。
おそらく公募に応募した投資家が長期保有目的ではなく、短期のトレーディングを目的にした投資家だったのだろう。
そのため、公募で入手した株が公募価格を上回ればどんどん利食ってくる。
こうした売り圧力で、一旦時価が公募価格を下回ると・・・さらに問題が出てくる。
それが第三者割当てやオーバーアロットメントで株を入手した幹事金融機関だ。
このオーバーアロット株はおそらく金融機関の自己勘定で保有されるはず(顧客に転売されている場合もある)だが、時価が公募割れを起こすと保有株に損失が生じる。
金融機関は損失の拡大を避けるために売らざるを得ない。
こうした強制売りがJリート市場に幅広く出て、多くの銘柄が公募価格割れを引き起こしているのではないかと考えている。
・・・次回は公募増資で、投資価値がどう変化しているのか、投資価値の希薄化が起こったのか、考えてみたい。
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