
現在の世界的なインフレ傾向は先進国共通の大問題になっているような気がする。
単なるエネルギー不足やその価格上昇、一次産品の供給不安などという問題ではなく、先進国全体の構造的な問題が含まれてきたと感じるからだ。
インフレの第一段階は、ロシアによるウクライナ侵攻に始まった原油や天然ガスの高騰、小麦や食品価格の上昇、さらにそれらを運ぶ海運市況の高騰で始まった。
しかし、この段階のインフレはすでに収束している。
インフレの第二段階は、コロナ禍からの経済立ち直り場面で人出不足が表面化し、労働者確保のために賃金を引き上げざるをえなくなったこと。
賃金が物価全体を押し上げる形になってきた。
この賃金―インフレのスパイラルは簡単に収まりそうもない。
下の表はいつも使っている、米CPI、米CPIコア、時間当たり賃金、原油価格(WTI)をそれぞれ前年比で示したものだ。
| 消費者物価指数 | 平均時給 | 原油価格 | ||||
| CPI | コアCPI | CPI-コア | 前年比 | 前年比 | ||
| Jul-23 | 3.20 | 4.70 | -1.50 | 4.40 | -23.50 | 76.39 |
| Jun-23 | 3.00 | 4.80 | -1.80 | 4.40 | -38.71 | 70.23 |
| May-23 | 4.00 | 5.30 | -1.30 | 4.30 | -34.68 | 71.59 |
| Apr-23 | 4.90 | 5.50 | -0.60 | 4.40 | -21.95 | 79.44 |
| Mar-23 | 5.00 | 5.60 | -0.60 | 4.20 | -32.36 | 73.37 |
| Feb-23 | 6.00 | 5.50 | 0.50 | 4.60 | -16.24 | 76.84 |
| Jan-23 | 6.40 | 5.60 | 0.80 | 4.40 | -6.03 | 78.11 |
| Dec-22 | 6.50 | 5.70 | 0.80 | 4.60 | 6.98 | 76.52 |
| Nov-22 | 7.10 | 6.00 | 1.10 | 5.10 | 7.1% | 84.78 |
| Oct-22 | 7.70 | 6.30 | 1.40 | 4.70 | 7.3% | 87.26 |
| Sep-22 | 8.20 | 6.60 | 1.60 | 5.00 | 17.2% | 83.87 |
原油価格が前年比で20~30%下落している状況でCPI全般の低下トレンドを辿っているが、賃金は3月以降+4.4%以下で横ばい状態になっている。
ヘッドラインCPIの伸び率は∔3%まで順調に低下してきた一方で、コアCPIは低下幅が小さく高止まり、賃金+4%上昇がコアCPIの伸び率を下支えしているようにも見える。
先進国の人出不足は少子化高齢化に進む社会の構造的な問題ともいえ、金利を引き上げても構造的な賃金上昇を抑えることはできない。
移民大国アメリカは人口が増加しているが、欧州もアジアも先進国は多かれ少なかれ高齢化し、人出不足が構造問題になっているからだ。
となれば、3~4%の賃金上昇とインフレ、FRBの目標よりちょっと高めで定着するのかもしれない。
4%台の賃金上昇とインフレ率と仮定すると、これ以上の利上げは実質金利を引き上げる。
短期金利も長期金利もすでに4%以上に上昇しているので、FRBが一段の利上げすれば、短期金利は大きくインフレ率を上回り、長期金利もインフレ率以上になってしまう。
この「インフレ<金利」という世界は実質金利高を通じて経済を停滞させてしまう。
この実質金利の引き上げは借金して事業を継続する企業には厳しい、FRBのこれ以上の利上げはリスクが高いと考えている。
FRBはそろそろ利上げ終了宣言をすべき時だと考えている。
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