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原油価格の上昇が止まり7月の米CPIは前年比∔8.5%を落ち着きを見せ、これでインフレ懸念が低下し株式も債券市場も急反発となった。
WTI先物が100ドル割れした7月、CPIの低下は予想されていたはずで、これはエネルギー価格が物価を引き上げてきた局面が終わったことを意味している。
しかし、それば将来のインフレが鎮静化するという意味ではない。

消費者物価CPIと、変動の激しいエネルギーと食品価格を除いたコアCPI,さらに時間あたり賃金、WTI原油の前年比を比べてみよう。

消費者物価指数 平均時給 原油価格
CPI コアCPI   差      前年比  前年比
2022年7月 8.50 5.90 2.60 5.20 37.80
2022年6月 9.10 5.90 3.20 5.10 60.54
2022年5月 8.60 6.00 2.60 5.20 68.15
2022年4月 8.30 6.20 2.10 5.50 64.93
2022年3月 8.50 6.50 2.00 5.60 74.00
2022年2月 7.90 6.40 1.50 5.10 55.33
2022年1月 7.50 6.00 1.50 5.70 59.54
前年比変化率、単位は%

上の表で見られる通りウクライナ危機が始まった3月から6月まで、CPIとコアCPIの差が拡大し、2%以上になった。
と同時に、ロシアの原油・LNGの供給不安でWTI原油の前年比は3月から6月まで前年比60%以上の急上昇を記録していた。
つまり、この期間(3月~6月)はエネルギー価格が消費者物価を引き上げ、CPIとコアCPIの差の拡大につながった・・・これは明白だ。
でも、原油価格の前年比上昇率は7月に+37%と急速に低下し、今後どんどん落ち着いていって来年1-3月期にはほぼゼロになるかもしれない。
その時、「インフレもゼロになる」というとそうとは言えない。

原油プッシュのインフレから内生的なインフレ(ホームメード・インフレ)に変わり始めているからだ。
米国の時間当たり賃金は5%台での伸びが年初からずっと続いているし、エネルギーと食品価格を除いたコアCPIの上昇率も安定して6%前後で推移している。
5%の賃金上昇がある限り5~6%上昇するコアCPIが整合的で、コアCPIの上昇は続いていく可能性が高い。

このコアCPIと賃金の関係は、ウクライナ危機で一時的に原油が急騰し物価に火が付いたわけではなく、「ホームメード・インフレ」が起こり始めている証拠と見るべきだ。
だとしたら、米FRBは簡単に金融引き締めの旗を下ろせない。
9月FOMCでも50bpか場合によっては75bpの引き上げが予想されている。

おそらく重要なことは、コアCPIが鎮静化するのかどうかだ。
そのためには労働需給が緩和し、時間当たり賃金が低下していくかどうがが重要になる。
これが今後の最大のポイントだ。

賃金インフレが続き、コアCPIが5%前後の伸びを続けるならば、FRBの引き締め姿勢は変わらないだろう。
その場合5%のコアインフレに対して、政策金利(FFレート)を5%まで引き上げる可能性もある。

逆に景気後退がはっきりしてきて労働需給が緩和に向えば、賃金上昇率が低下し、コアインフレが落ち着いてくるかもしれない。
その場合、FRBの引き締めは一段落するが、景気後退のリスクが株式市場を直撃するかもしれない。

原油価格やヘッドラインCPIを見るよりも、時間当たり賃金やコアCPIを注目していく必要がある。
重要な事は「ホームメードインフレ」、つまり米経済の内生的なインフレーションだろう。