
いつも不思議だなと思うのは、頭の良い知識人が「平和憲法があったから、戦後の日本は平和だった」と平気で言い、「原爆の被爆国として国連の核廃棄合意に署名すれば、核のない世界が作れる」とも言うことだ。
朝鮮戦争やベトナム戦争で米ソ対立が明確になったが、その後20年に渡って続いた米ソ冷戦時代にはアフガニスタンぐらいで大きな戦争は起こらなかった。
そして旧ソ連は崩壊した1990年代以降、コソボ、ボスニアヘルツェゴビナ、イラク、シリア、アフガニスタン、様々な地域で紛争が起こっている。
逆説的だが、世界が戦争のない平和な時代を作れたのは米ソ冷戦=バランス・オブ・パワーが成立していた時代だけだ。
平和を求めたわけではなく、軍事力の拡大と均衡で戦争に米ソともに踏み切れなかっただけだ。
北大教授だった内村剛介氏はソ連の本質を見抜き、徹底的に反ソ連を主張した。
ロシア語専攻だった氏は満州の日本軍で働き、戦後はシベリア抑留を経験した。
その体験が大きかったのだろうと思うが、共産主義が理想化され「平等・公平な社会」を作ると宣伝されていた時代にあって、ソ連の本質、その専制強権、その残虐性、その人権無視、その権力至上主義などを見抜き、その危険性を理解していた。
それから30年、ウクライナ戦争で見せたロシアの本質は旧ソ連時代と全く変化がなかったことが証明された。
プーチンの個人的犯罪と言う人がいるが、ロシア国民がプーチンを選び、現在でも80%の支持率が維持されていることを考えた方がいい。
ロシアそのものが旧ソ連から全く進歩していなかったことを示している。
こうした専制国家、人権無視国家、軍事至上主義国家が世界には多く存在しているのも事実だ。
日本の平和憲法がこうした専制国家から日本を守ってくれるのか?
専制国家は日本の平和憲法を尊重して攻めてこないとでもいうのだろうか?
核のない世界は理想だが、日本が核廃棄条約に入れば核がなくなるのか?
核を廃棄したウクライナがロシアに攻め込まれたことをどう考えるのか?
21世紀になり情報通信技術が急速に進歩した世界であっても、結局、ロシア、中国、北朝鮮などの専制国家の本質は何も変わっていない。
だとしたら、核・通常兵器を含めた「バランス・オブ・パワー」を成立させることが世界の戦争をなくすことにつながるはずだ。
おそらく頭の良い知識人たちから見れば「昭和の発想」だが、人間は本質的には進歩していない。
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