
「酒田五法は風林火山」の中に、いくつか印象的な相場格言がある。
趣向を変えて「株式投資での精神的な格言」から酒田五法の「テクニック的な格言」をいくつか紹介していきたい。
その一つが「波高しは天底の兆し」という名言だ。
現代では①ヒストリカル・ボラティリティ(過去の株価から計算する)と、②オプション価格に内在するインプライド・ボラティリティという二つに分けられる。
ヒストリカル・ボラティリティは実際の過去株価の標準偏差で計算されるので、過去のボラティリティ、つまり、現在や将来のボラティリティを意味しているわけではない。
それに対してインプライド・ボラティリティは、ボラティリティで価値が決まるオプション価格に内在しているボラティリティなので現在の市場価格だ。
酒田五法でいう「波高し」とはおそらく「過去の波高し」ではなく、現在の「波高し」だろう。
その意味ではインプライド・ボラティリティの上昇と同義語だ。
ボラティリティ指数のピークが「天底の兆し」ということで、これは感覚的にも理解できる。
「株価はボラティリティのピークでボトムを打つ」のは真実で、筆者もボラティリティが高い時に「買い場」を探す。
しかし、天井圏ではどうだろうか?
ボラティリティ指数が「恐怖指数」と呼ばれる通り、株価が下落するとボラティリティが上昇し、株価が上昇するとボラティリティは低下する特性がある。
この非対称は投資家の心理で起こるものだ。
この弱点を克服しているのが「波高しは天底の兆し」という格言かもしれない。
この相場格言はザラ場の激しい値動きも含めているのがミソだ。
ボラティリティが低下する天井圏でもザラ場の値動きが荒くなり、大きな上ヒゲ(一日の高値ー寄付きまたは引け)を残したり、逆に大きな下ヒゲ(寄付きまたは引けー安値)を残したりする。
これが「波高し」の条件になる。
酒田五法の相場格言は単に「ボラティリティのピークは株価のボトム」という経験則だけでなく、ザラ場の激しい動きが天底に通じるというより普遍的な経験則になっている。
これを江戸時代の商人である本間宗久氏が元になったというのが面白い。
「天井」でも「底」でも使える、統計的に計算されるインプライド・ボラティリティよりも使い勝手の良い経験則だ。
恐るべし、酒田五法!
現在の相場でもだんだんと「波高し」の状態になってきている。
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