
前回指摘した通り、公募ラッシュの需給失調の影響は二つの経路で市場に出てくる。
一つは機関投資家が公募増資を引き受けるために保有銘柄を売却し、公募に参加するケースだ。
8月の公募増資は合計で1200億円近い金額になったが、基本的には1200億円の手持ち銘柄を売却しで公募株を1200億円買うことになる(個人投資家等を除く)。
その1200億円の売却は、バスケット取引で証券会社の自己勘定との間で行われる。
VWAPで売却する場合は、朝の寄り付きから午後3時の引け値までダラダラとした売りが出る。
引け値で売却する場合は、午後2時過ぎから断続的に売りが出て午後3時の引け値が急落する。
普通の一任運用の場合はVWAPでの売却が多いと思うが、投信やファンドの場合は基準価額の計算上、引け値で売却する場合が多いだろう。
こうして3時の引け値でビックリするほど売られるケースが出てくる。
公募増資の払い込み日までにこうした市場売却は終了するのが普通だ。
この8月のように次から次へと公募増資が発表されるような場合、その影響が次から次に出てくるために1か月通じて売られるという極端な需給関係になることもありえる。
最後の公募増資の払い込みが終わるのは9月初だ。
ということは9月初が東証REIT指数の需給が正常化し、全般的な自律反発に入るタイミングだろう。
もう一つは公募増資した銘柄への直接の影響だ。
Jリートの場合、公募で獲得した資金の使い道が明確で、その投資のキャップレートが確定している確実な投資だ。
だから、公募資金を使ってどれだけ利益が上がり、それだけ分配金が上がるのかが明確だ。
その意味で、いわゆる希薄化(ダイリューション)は起きない・・・発行口数が増えるのでその分の需給には影響するわけだが・・・
まず、価格決定日(値決め日)の引け値への影響だ。
ファンドマネージャーは値決めに向かって保有株式を売却し価格を引き下げる。
公募価格はおよそ5%下なので、公募で買い戻せば自動的に5%の収益を得られる。
次に払い込み日への影響だが・・・公募の応募状況しだいだ。
人気のある場合公募の配分が少なくなり、結局、ファンドマネージャーは市場での買戻しを強いられる場合もある。
人気がない公募の場合、予定以上に配分が多く、払い込み後オーバーした分を市場で処分しなければならない場合もある。
つまり、人気のある公募の場合は払い込みから価格が上昇し、人気のない公募は価格が下落する。
この8月公募ラッシュは、個別銘柄への影響が大きく出た。
値決め日に大幅に売られる銘柄が散見され、払い込み日にかけても一段と下落する銘柄もあった。
しかし、基本的にJリートの公募は分配金が増加するので、価格の下落とともに分配金利回りが大きく上昇する。
つまり、インカムを重視する投資家には「絶好の買い場」が提供される。
価格変動をうまく利用して「おいしい投資」を実行したい。
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