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前回の論点はテーパリングのペースと、さらにクレジット債の買い入れ減額がクレジット市場に大きな影響を与えることの二つだった。
今回は一番疑問に思っている「イールドカーブのフラット化」について考えてみたい。

6月FOMC後の「イールドカーブのフラット化」によってテーパータントラムが避けられ、FRBがテーパリングを示唆したにも関わらずすぐに安定を取り戻した。
現在の効率市場のもとで、この「イールドカーブのフラット化」は何を織り込もうとしているのだろうか?

おそらく三つの視点がある。

一つは、FRB自身にあるのだろう。
パウエル氏が「テーパリングはしない」「インフレは一時的」とまるで念仏のように唱えてきたので、債券運用者に「パウエル教」がスリ込まれすぎていることだ。
現実に地方連銀からは早期のテーパリングや2022年の利上げ開始などを主張する声もあるが、FRBの中にはパウエル氏を始め慎重なハト派の理事もいる。
債券運用者にもハト派もいるし、ややタカ派もいるのだろう・・・そのせめぎ合いで長期金利が比較的低い水準に安定しているのではないだろうか。

もう一つは、雇用が伸びないことだ。
市場にショックを与えた4月の雇用統計、予想の100万人増加に対してわずか20万人の伸びにすぎなかった・・・さらに5月も予想67万人に届かず。
失業保険の上乗せがあるので働くより失業保険の方がいい・・・働かない生活でもなんとかなった・・・働く気が失せた・・・
専門家はいろんな分析をしているが、この経済正常化が進む米国で、突然の雇用不足。
これが債券市場に大きな影響を与え、長期金利の低下が続いたのかもしれない。

さらにもう一つは債券の需給だ。
1~2月は経済再開への期待が盛り上がり、株価は上昇、債券市場は売られた。
特に10年債利回りでは一気に1.7%台に上昇し、長期債を空売りした投資家も多かったようだ。
2月の債券空売り(利回りは上昇)をした投資家が買い戻しに入ったことで、債券需給がタイトになり、長期金利が低下したといえるかもしれない。

景気回復下でのイールドカーブのフラット化には特殊な要因が働いているような気がする。
しかし、8月のジャクソンホール、9月のFOMCあたりで、FRBの政策の方向性が見えてくる。
そして、経済の正常化が完了すれば、雇用者数も新型コロナ禍前の状態、2019年の水準に戻ると考えるのは普通だ。

という意味では、この特殊な条件は一時的だと考えるべきだろう。
8月から9月にかけては、雇用統計で100万人レベルの増加が確認され、FRBのスタンスも明らかになり、需給調整を終えた債券市場は再び、長期金利の上昇を織り込む展開になるのではないだろうか?
6月の雇用統計でどうなるかは分からないが、どんな数字が出るにしても、重要なのは8~9月の米国状況なのだろう。

すでに新型コロナ禍の政策総動員でFRBのバランスシートは8兆ドルに肥大化し、21年の財政赤字2兆3000億ドルと過去最大になっている
そろそろ出口政策が必要なのは間違いない・・・それを示すのがイールドカーブの変化なのかもしれない。


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