
「スパイラル社」という新興IT企業の買収をめぐる戦いが描かれているのが今回の「半沢直樹」だ。
スパイラル社はネット検索エンジンで成長した会社という前提だ。
その社長は歌舞伎の尾上松也さんが演じているが、IT社長というオタクな感じではなく、存在感が強すぎる感じだ。
ストーリーは・・・電脳雑技集団(なんか中国企業みたいな感じ)がスパイラル社の敵対的買収を計画するが、新株の発行による買収防衛=ホワイトナイトとなるフォックス社(IT企業)が登場し買収合戦になる。
しかし実は、フォックス社も電脳雑技集団と同じく東京中央銀行に融資を受けていたという「裏の裏は表」みたいな感じだった。
現実の世界では???が付くストーリーで、株式を勉強する人にはもってこいの材料だろう。
まずは敵対的買収を仕掛けた電脳雑技集団のアドバイザー銀行が、ホワイトナイトの立場になったフォックス社のアドバイザーになり、1000億円の融資をすることはありえない。
「利益相反」という問題が生じるからだ。
銀行は電脳雑技集団のアドバイザーとして忠実に業務を行わなければならないから、相手側のホワイトナイトに融資などの支援をすることはできない。
もう一つ問題なのが、買収防衛のための新株発行だ。
おそらく、ホワイトナイトであるフォックス社に向けた第三者割当で新株発行することが想定されているのだろうが、これでは既存株主の権利を大きく棄損してしまう・・・希薄化が問題だ。
敵対的買収に対する防衛策ならば、あらかじめ、取締役会で買収防衛策の詳細を決定し、株主総会にかけて議決しておく必要がある。
株主の承認を受けていれば、敵対的買収が発生した時に新株を発行できる。
スパイラル社の場合、既存株主を無視した新株発行であり、経営者は株主から訴えられる可能性がある。
さらに銀行の取締役会で頭取が決済した融資案件であれば、取締役会が善管注意義務の違反に取られかねない。
銀行としてのコーポレートガバナンスの問題となる・・・そして取締役がその責任を追及される可能性があるし、その結果、銀行に損失が発生する場合はさらに株主代表訴訟という可能性もある。
もし、普通に、電脳雑技集団の買収アドバイザーなら・・・
まず、スパイラル社の役員2名が退社した時に、これを公表する・・・当然、株価は暴落する。
そして、暴落した株式を買い集める・・・10%程度集められれば成功だ。
次に、この保有株を基に株主としてスパイラル社長に面会し、電脳雑技集団の買収に対する戦略を説明し、納得してもらえば友好的な買収になる。
もし、納得してもらえなければ敵対的買収=TOBに入る・・・株価は急上昇する。
そこで旧役員と交渉して30%の株式を応募してもらう。
その後は「プロキシー・ファイト」となり、既存株主に応募しやすいように買収価格を引き上げるなどの措置を柔軟に取ることになる。
これが普通のやり方だ・・・テレビドラマとはいえ、ちょっと問題の多いかもしれない。

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