
「重箱の隅をつつく」という慣用句がある・・・これは相場格言ではないが・・・
本来は「どうでもいい枝葉末節をうるさく言う」というネガティブな意味だが、株式投資を考える上では「ディテールにこだわる=重箱の隅をつつく」事も大切だ。
さて、ソフトバンクの決算だが、主要項目は事前に出ていた通りだし、孫社長の説明会も特に興味を引いたものはなかった。
ただ、一か所気になった「重箱の隅」があった。
それはバランスシートの中の資産項目にある「売却目的保有に分類された資産」で、前期の2242億円から一気に増えて9兆2360億円になっていた。
これは孫社長が以前にアナウンスしていた「資産売却4兆5000億円、自社株買い2兆円、2.5兆円の借金返済」を実現するための措置だろう。
決算短信で「Tモバイル株(スプリントと合併)を売却予定に加えた」という記述があった。
でも、保有しているTモバイル株は3046万株、さらに一定条件で取得できる487万株と合わせて3533万株になり、時価101.89ドルで保有株の時価は約360億ドルになる・・・円ベースでは3兆8517億円。
売却目的資産を9兆円増やしたが、そのうちTモバイル株は3.8兆円にすぎない。
(1)まず疑問になるのは、4.5兆円の資産売却を含めて9.2兆円が売却予定に入っていること。
孫さんはこの4.5兆円資産売却を4四半期で行うとしているが、その後、さらに4.5兆円の売却を予定しているのかもしれない。
気を付けたいのは、外貨建て資産を売却して円建ての自社株を買うと為替市場では円高要因になることだ。
(2)売却資産のTモバイル株3.8兆円だが、すでにドイツテレコムと交渉に入っている。
これは実現可能性が高いが、他の資産はどうなのだろうか・・・ジャック・マーが役員退任したのが関係しているかは分からないが、本気でアリババ株を売却するつもりなのかもしれない。
ビジョンファンドは現金化が難しい資産が多いかもしれない。
(3)バランスシートには売却予定9.2兆円とその資産に対応する負債6.4兆円が記載されている。
ということは、この9.2兆円を売却したら、6.4兆円は債務返済に回さなければならない・・・となると、自社株買いに使えるのは2.8兆円ということになる。
もし、この1年で2兆円の自社株買いをしたら、2回目の資産売却では8000億円しか自社株買いに回せないことになる。
自社株買いで株価は上昇するだろうが、ソフトバンクは追い詰められているように見える。
この9.2兆円の売却を実施後、バランスシートは資産28兆円、負債23.4兆円、自己資本4.5兆円・・・自己資本比率が16%と極めて低く、とても経営が安定するとは思えない・・・資本不足状態といえる。
バランスシート上で単純計算すると・・・
資産合計37.2兆円・・・9.2兆円の売却後・・・28兆円
負債合計29.8兆円・・・6.4兆円の返済後・・・23.4兆円
資本合計 7.3兆円・・・2.8兆円の自社株買いと消却後・・・4.5兆円・・・となる。

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