
2/6当ブログ「テスラのバイング・クライマックス」で「テスラの株価900ドル台は珍しいバイング・クライマックス」と書いた。
アイカーン氏を中心に空売り投資家が発行株の2割の空売りを仕掛けていたが、株価の上昇とともにショート・スクイーズが入り、買いパニック=バイング・クライマックスが起こった。
それから3か月近く経過した。
そして、テスラの株価は再び800ドル台まで上昇してきた。
昨日のトヨタの決算発表で社長が売上が2割減、営業利益が8割減、生産台数は890万台とした上で「リーマンを越える危機」と述べた。
一方、同じ環境にあるはずなのに、テスラ株は全く違った次元にいる。
・・・これをどう考えるべきなのだろうか?
世界の株式市場は新型コロナ禍で暴落し、特に自動車株は世界中で酷い目に合っている。
サプライチェーンが止まり生産が停滞しているだけでなく、外出規制や休業規制により自動車を買うどころの話ではなくなってしまったからだ。
トヨタの1-3月期に販売台数は前年比24%減少し、206万台にとどまった・・・4月も68万台と低水準が続いた。
株価は2月高値8026円から3月安値5771円まで28%下落し、現在6500円程度で高値から19%低い水準にいる。
これは新型コロナ・パンデミックによる世界全体の縮小であり、全世界の自動車会社は同じ環境にいるはずだったが・・・テスラ株だけ違う・・・生産や販売は減少しているのもかかわらず・・・。
株価を見ると、2月高値968ドルから3月安値361ドルまで62%の暴落を演じた・・・ここまではオーバーシュートした分だけ下落も大きくなった。
でもここからが違った。
現在の株価809ドルで2月高値から16%低い水準と大きく戻った。
戻り率は・・・トヨタが下げ幅の32%に対しテスラは下げ幅の75%と、トヨタの2倍の戻りだ。
この株価の違いは何を意味するのか・・・いくつか考えられる。
第一に、そもそもテスラ株は他の自動車株と比較できない。
トヨタ・グループが巨大な装置産業で多くの部品・組立・販売会社から成り立っていて、1-3月期に生産台数が200万台、そして時価総額は25兆円と自動車では世界最大だ。
それに対して、テスラは時価総額こそ15兆円だが、生産台数(1-3月期)8万8400台に過ぎない。
従来型の自動車会社とは比較できない唯一の存在となっている・・・だから、何にも縛られない。
第二に、そもそも赤字会社なのでバリュエーションも関係ない。
最近の日本でいえば、ワクチン開発のアンジェスみたいなものだ。
バリュエーションも関係なく割高も割安もない・・・同業他社比較もできない・・・一つの独立した存在として需給の空中戦のみで株価が決まる。
テスラの空中戦は現在の「不景気の株高」の最たるもので、株式市場の限界需要を示しているかもしれない。
前回、オーバーシュートで付けた900ドル台の高値は当時の需給の限界だったのだろうし、今回、もし900ドルまで上昇したら限界に達するかもしれない・・・900ドルを越えて行くようならば、まさに「バブルのバブル返し」となってしまう。
テスラはバブルのバロメーターのような存在だ。
トヨタの決算、テスラの決算、日本の製造業とアメリカの新興企業、いろいろなボタンの掛け違いがある感じがしてならない。

興味のある方は以下のURLからアクセスしてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0874QPNDG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_YO9LEbX6VWKB0

https://www.amazon.co.jp/dp/B07VW66RCN/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_5NdqDbDN159VD

https://www.amazon.co.jp/dp/B07TFM4GNL/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_2UadDbTW8SSZM

にほんブログ村