
WTI原油先物5月物で、見たこともない「スクィーズ(締め上げ)」が起こった・・・5月限月価格が急落し、なんと、マイナス価格に突っ込んだ。
しかし6月物は20ドル前後で取引されているので、どちらかといえば平穏な取引だった。
なぜ、こんな異常な事が起こるのか?
商品先物は株式指数先物と、決済の仕組みが決定的に違う。
株式指数先物は差金決済・・・つまり、SQ値で売り方も買い方も決済し、差し引きの損失金額をプラスの人に渡す。
一方、商品先物は現物決済・・・つまり、売り方が現物を調達して買い方に現物を渡して決済が行われる。
もし、差金決済をしたいなら、決済日の前に反対売買をして損益を確定する必要がある。
1990年頃だと思う・・・当時ワシは証券会社のアナリストをしていたが、金先物をトレードしていた。
その時、金先物が急落しそのままにしていたら決済で金現物(1キロの延べ板を2枚)を受け取ったことがあった。
金の小さい板だが、これがずっしりと重い・・・やはり小さくても1キロは1キロだった。
この延べ板2枚を机の引き出しに入れ放しのままでいたが、金2キロは当時でも200万円以上の価値があったので心配だった・・・そして実家で保管してもらった記憶がある。
その後、18年間保有し、金価格が急騰した2008年に銀座の田中貴金属の店頭で売却した。
商品先物取引をしたのはそれが最後だが、よく仕組みが理解できた。
この決済の仕組みで、稀に起こるのが「ショート・スクィーズ」だ。
売り方は決済のために現物を手当てしなければならない・・・しかし、現物が品薄で手に入らない状態になると、売り方は値段に関係なく決済前日までに買い戻しをしなければならない。
この強制的な買い戻しが先物相場を急進させる・・・これが「ショート・スクィーズ」だ。
今回の原油先物市場では、原油を貯めておく貯蔵タンクが満杯で空きがなく、買い方は決済で原油を受け渡されても貯蔵できない状態になった。
モノが原油だけにその辺にほったらかしという訳にはいかない・・・現受けができない、だから、強制的に先物を売らざるを得ない・・・こうした売りがマイナスの原油価格という異常な状態を作り出した。
この強制的な先物手じまいが、世にも珍しい「ロング・スクィーズ」となった。
考えておく必要があるのは、こうした「スクィーズ」は特殊な事情の下で起こる需給の現象だということ・・・つまり、根本的にファンダメンタルの話ではない。
しかし、問題はその損失が巨額なことだ。
20ドル/バレル台での建玉を-20ドル以下で投げ売ると、建玉の2倍以上の損失が出る・・・さらにマージンを5倍とすれば、当初の証拠金に対して10倍の巨額損失となってしまう。
巨額の損失を被った取引業者、おそらくどこかのファンドが損失をカバーするために利が乗っている米ハイテク株を売ると市場は身構えた・・・それが昨晩のNY市場で米ハイテク株が売られたことにつながったのではないかと思う。
NY州のロックダウンが段階的な緩和に向かうならば、NY株も一時的な割高の調整という感じかもしれない。
しかし、6月物でも原油の貯蔵タンクが満杯という状態が続くならば、WTI先物の買い手は早めに建玉を閉じようとするだろう・・・その場合、先物市場での買い手がいなくなり、シェールなど原油採掘業者の先物ヘッジが困難になってしまう。
そうなると、原油生産を縮小せざるをえない・・・原油市場は底入れかもしれないが、原油採掘業者の経営が厳しい状態に追い込まれる。
最悪の場合、原油業者の倒産という事態が起きると、クレジット市場が混乱し、NY株も二番底に向かうかもしれない。
ここは立ち止まって考えるところだろう。

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