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今回は低PERの不人気株への投資を考えてみたい。
個別企業のPERが低いのには、いくつかの理由が考えられる。
一つは業績の悪化局面で、この局面では利益の下方修正が遅れるのでその分見た目のPERは低くなる。
二つ目は地震や天災で被害を受けた場合など、何かしらの資産の減損可能性をかかえている場合などで、将来の損失を織り込んでPERは低下する。
三つ目は業種全体で成熟化し業績の伸び率低下が続いてる場合などで低いPERが続く。
これらは低PER銘柄の代表例だが、一番目、二番目のケースは実際に利益減少や資産の減損が起こり、株価が織り込めば、普通に将来の利益回復を見て株式を買うことができる。

しかし、三つ目のケース、構造的な低成長業種は、十分に投資価値がある場合もある。
もう十年以上たつので時効だと思うが、自分の不人気株の投資例があるので紹介したい。
それは日鉄ドラムという会社で、当時東証2部に上場していた。
ドラム缶という完全な成熟産業で、ライバルも少なく、成長性がないため、PERは10倍以下、PBRも1倍以下という不人気株だった。
しかし、業績は超安定していて景気に関係なく一定の利益を計上していたし、新日鉄の子会社の中でも経営の安定性はピカ一だった。
市場での出来高も少なく、誰にも注目されることもなく株価は400円前後でずっと横這いで動きがなかった。

当時、証券会社で自己勘定の運用部長だったワシは、400円台での株集めを始めた。
約20種類の運用戦略(裁定取引、オプション・先物、ロングショート、リターンリバーサル、クオンツ・・・などなど)を行っていたのでそっちが忙しく、日鉄ドラムの株を買い集めていたことを忘れていた。
半年以上たったある日、上司から突然呼ばれた。
事業法人部から問合せが来ているという話で、四季報の上位株主に当社が入っているがどうしたのかというものだった。
すぐに四季報をめくり日鉄ドラムのページを見たら、たしかに上位株主に当社の名前があった。
事業法人の顧客である親会社の新日鉄の役員が買収を心配しているという・・・そこで出向いて純投資であることを説明してその場を切り抜けた。
その後2007年に、新日鉄は子会社のガバナンス強化で日鉄ドラムを完全子会社化した。
文句をさんざん言われたが、子会社化の買戻し価格が900円台だったので投資としては成功だった。と同時にワシにとっては忘れられない不人気株投資の例となった。

成熟産業の高シェアを持つ銘柄はちゃんと調べると、多くの投資家が見逃している投資チャンスを見つけることもできる。
「人の行く裏の道あり、花の山」という格言があるが、不人気株への投資はこうした醍醐味がある。


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