
さすがに元日銀審議委員で「市場とは何か?」をよく理解されているという印象の記者会見だった。
YCC修正の一番のカギは「将来の不確実性に合わせて予め日銀の対応幅を広げておく」ことだ。
重要なのは「事が起こってからではなく、事が起こる前にその対応をしていく」というリスク管理だろう。
従来のYCCバンド、10年金利の範囲±0.5%を維持した上で10年金利1%までを容認する。
インフレ率が上昇して10年金利が0.5%を越えても容認し、10年金利が1%に達して初めて国債買いオペをする。
そんな状況では1%10年金利のさらなる引き上げが議論されるだろうし、従来のYCC枠は当然のことのように「廃止された」と同義語になる。
実勢金利が1%で推移しているなら、±0.5%のYCC枠は全く意味をなさないからだ。
その時点でYCCは自動的に撤廃される。
植田さんはこの「YCCの自動撤廃」を見ているだろう。
もし、現時点で「YCC撤廃」を宣言すれば、市場はビックリして暴落し、市場のボラティリティが急拡大してしまう。
だから、今は「YCCは継続」と言う。
さらに「柔軟な運用で1%までの金利上昇を容認する」と言う。
市場は「しかたがない」と反応する、でも事実は「YCC撤廃」と同じ意味を持つ。
つまり、植田さんは市場にサプライズを起こさずに「YCCの自動撤廃条項」を組み込んだ。
見事な手腕だ。
実勢金利1%の状況では「賃金と物価の好循環」が達成されているだろうし、その時点で「金利の正常化」を宣言しても誰からも文句は来ない、市場も冷静に織り込んでいくはずだ。
これで日銀の懸案は十分に処理された。
あとは保有する国債の償還に合わせてバランスシートを縮小させる、さらに保有するETFは株式市場の上昇に合わせて徐々に売却することだ。
外貨準備で保有する米国債もついでに部分売却し、円安修正を進める。
これで植田日銀の出口政策は「完璧」だ。
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