株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2019年11月

日銀ETF、出口はどうなる?

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日銀が今年9月末の財務諸表をHPで開示した・・・もちろん、注目は量的緩和で買った株式指数ETFやRIETのETFの残高等の数字だ。
株式指数ETFの残高(簿価)は27兆6213億円で、前年比+5兆8180億円と、大体、日銀の予定通りの買入れ額がだった。
そして、REITのETFの残高(簿価)は5293億円で,同じく前年比+374億円だった。

・・・損益状況も開示している。

  簿価 時価 損益
株式指数ETF 27兆6123億円 31兆6112億円 3兆9898億円
REIT・ETF 5293億円 7463億円 2112億円

日銀のETFは時価ベースでおよそ31.6兆円となっている。
株式市場が上昇基調である限り、これ以上の買入れはしないかもしれない・・・下がれば買うという方針になるだろう・・・ちなみに日経平均18000円程度が損益分岐点になるようだ。
ここまでは市場の下支え要因として日銀のETF買いを歓迎してきた投資家も、これ以上の日銀の買いを期待するより、その出口をめぐって不安感を増長させることにもなりかねない。

もし31兆円ものETFを市場売却したら、市場はパニックになる・・・でも逆に、永遠に日銀が買い続けたら市場の歪みも大きくなる。
日銀のETF買いによる歪みを簡単に列挙すると・・・
1)日銀の買いは市場の時価総額の5%に達しているので、多くの企業で5%以上の保有株主になってくる・・・モノを言わない日銀はコーポレート・ガバナンスを後退させてしまう懸念がある。
2)本来は市場を退出すべき悪い会社でもインデックス買いにより株価が支えられてしまい、市場の新陳代謝が疎外される・・・その結果、ボロ会社ばかりになり、市場としての魅力を大きく失ってしまう。
3)日経225に採用されているファストリなどの一部の値嵩株などに強い上昇バイアスがかかる・・・値嵩株やインデックスウェートの高い銘柄が割高になり、銘柄間の格差が拡大する。
・・・などなど、枚挙にいとまがない。

だから、日銀も永遠に株式指数ETFを買うわけにはいかない・・・では、量的緩和の出口では、この保有ETFをどうするのだろうか?
金額が大きいだけに選択肢は限られてくる。
考えられる線としては・・・
①放っておく・・・つまり、日銀の資産として永遠に保有する。
②GPIFなどの年金基金に買ってもらう。
③外為特別会計を国家ファンドに組織変更し、国家ファンドで日銀ETFを買う。

①の放置策だが・・・いつまでも日銀のバランスシートで保有すると、いつか来る株式暴落時に日銀に大きな損失が出る可能性があり、その場合日銀の信用を傷つけ信用不安を起こす可能性がある。
また、②について・・・年金基金の日本株パッシブ運用に組み入れるためには、日銀ETFを買い取ると同時に同金額の既存のパッシブ運用が解約されることになり、結局、株式市場にパニックを起こす。
一番市場に影響が少ないのは、③の外為特会をシンガポールのGICや中国のCICのように国家ファンドに衣替えをすることだろう。
外為特会は前年度末で146兆円の残高があり、大半は米国債で運用している・・・31兆円のETFを買う余力は十分にあるだろう。
しかし、米国債を売ることになり、トランプ大統領が何をツイートするかわからない・・・安倍さんはこれを怖がるかもしれない。


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意外だったアリババの急騰

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アリババが香港市場に上場し、大人気で急騰劇を演じている。
でも、これは新しい企業の上場=IPOではなく、NY市場に上場していた銘柄の重複上場=POなので、アリババ株を買いたい投資家はいつでもNY市場で買える状況での香港市場への上場だった。
なので、グローバル投資家にとっては強いて香港市場で買う必要がない・・・つまり、グローバル投資家が大挙して香港でアリババ株を買い漁るということは考えにくく、ワシはそんなに注目をしていなかった。
しかし、結果はPO(公募)での応札倍率が7倍となり、上場日にいきなり7.7%の上昇し、NY市場の換算価格を大きく上回った・・・しかも翌日のNY市場でアリババ株がさらに上昇し、次の日の香港市場でもアリババ株が一段と上昇した・・・正直、こんなに人気化するとはまるで読めでいなかった。
これはどういうことなのだろうか?

仮説としてはいくつか考えられる・・・
第一に、POの段階では香港での価格が176香港ドルでNY価格を2.9%下回る価格だったこと・・・これで割安な香港価格で買おうとする投資家が多く、公募の応札倍率の高さにつながり、上場後も人気化した。
第二に、将来の香港ー上海コネクトを通じて中国本土投資家が買ってくることを見越して香港や他の地域の投資家の買いが入った可能性だ・・・中国本土でもオフショア口座を香港に持っている富裕層は買いに入っているかもしれない。
第三に、アリババが調達した1.2兆円の公募資金が中国本土で投資されることで、北京政府がアリババ株を後押ししたかもしれにない。
第四に、アリババなどの海外上場の中国企業を中国市場へ戻す動きを加速化させるために北京政府が強いメッセージとしてアリババ株の急騰を意図した。

どれも推測にすぎない・・・でも、言えることは、投資理論や投資価値をあまり考える必要がない投資家が買ったということだ。
アリババ株は今回の急騰でPERが57.4倍にまで上昇した・・・同じ中国市場の巨大IT企業であるテンセント株はほとんど上昇していないのでPERは35.2倍にとどまっている・・・同じ業態のジャイアント企業なのにPERに大きな格差ができている。
また、世界のIT巨大企業であるグーグルのPERは28.1倍、アップルのPERは22.5倍とさらに低い。
アリババはNY上場だったのでGAFA企業のバリュエーションと比較されてきた・・・しかし、この香港上場によってGAFAとの比較感から自由になった・・・そして、ライバル企業と想定されたテンセントのPERを大きく上回ってしまった。
この大幅な割高感がありながら、ガンガン買われ急騰を続けるアリババ・・・投資価値をあまり考えない投資家が買っているのは間違いない・・・その背後に誰がいるのか?

アリババの収益構成を見ると・・・
中核リテール(Eコーマス、小売りや卸売りプラットフォームなど)は四半期の利益320億元と黒字だが、デジタル・メディア・エンターテイメント32億元の赤字、イノベーション事業30億元の赤字、クラウド事業19億元の赤字・・・中核リテールの利益が他の将来事業の赤字を支えている構図だ。
アマゾン(AWS)とマイクロソフトが牛耳っているクラウドベースのソフトウェア事業に照準を合わせ中国市場で事業を推進するとアリババは表明した・・・これはおそらく北京政府と一体的に推進されていく国家事業なっていくのではないだろうか・・・これを感じた中国の投資家が上場とともにアリババ株が買ったということも考えられる。
いずれにしてもアリババは北京政府と一体化していく・・・これを反映したのが今回の株高だったのではないだろうか?

アリババ株の議決権で30%保有するソフトバンクだが、孫さんの頭の中は複雑なのでフォワード契約などでヘッジしている可能性もある。


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内輪の論理じゃ済まないでしょ。

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ギルトは中世のヨーロッパで結成された職人の組合だが、家内制手工業時代の遺物で現代ではほとんど残っていない・・・しかし、不思議な事に、遠く離れた日本にはまだまだ職人組合が残っている。
お笑い芸人の巨大組織、吉本興業も個人事業主の集りという点では、会社というよりも組合なのだろう。
日本の伝統芸である歌舞伎や落語や相撲などでも師弟関係を中心として同業者が集り、大旦那やタニマチから支援が仰ぎ、そしてお互いの利益を守るためにカルテルを作っている。
ヨーロッパでは内輪の論理が全面に出すぎて商人ギルトや職人ギルトが対立、産業革命から資本家が成長する経済発展の段階で世の中に取り残されていく。
お笑いも内輪の論理が幅を利かせている組合であり、世間の常識との乖離が広がり変化の時を迎えているのかもしれない。

吉本興業には契約がなく、それぞれの芸人と吉本は阿吽の呼吸で仕事を割り当て芸人に分配してきたが、こんな不透明な中世ギルト的なやり方には大きな問題があり、この現代で続くわけがない。
きちんと契約を結び、芸人の反社会勢力を含めたコンプライアンス意識、パワハラ、セクハラなどのハラスメント意識を明確にしていかないと世間との乖離が広がる。
「さんま」氏が、反グレ連中のパーティに出たり、おカネを受け取った芸人(宮迫氏などなど)をテレビ番組活動を再開させようとしているが、これなんかも常識では「ありえない」。
芸人同士がお互いに支え合う(傷をなめ合う)という互助会みたいな「内輪の論理」そのものだ。
でもさすがに世間に敏感な「さんま」氏は宮迫の復帰を断念したようだ。
お笑い芸人の許せないところは、不倫問題での宮迫の「オフホワイト」発言や、千原せいじの「カレーライス」発言など、ネタにすれば許されるという芸人感覚だ。
こうしたネタ感覚で不倫・反社・パワハラ・暴力問題がチャラにされるという行動論理も甘えでしかない。


もともと大阪芸人はターゲットを決めてのイジリ倒しや名物「ハリセン」での殴打などのパワハラ行為を笑いネタにしてきた伝統がある・・・内輪でお互いの納得の上にやっているのだろうが、世間から見れば明らかにパワハラだ。
「さんま」氏も「さんま御殿」などで素人女性の中で精神的に耐えれそうな出演者をイジリ・イジメに近いパワハラ行為で笑いを取ってきた経歴がある。
芸人はテレビを通じて子供から年寄りまで多くの人に見らえる・・・小学生や中学生のイジメやハラスメント行為は、こうしたテレビのお笑い番組の影響が相当あるだろう・・・子供はテレビをすぐに真似るから。
もう、他の人をイジッたり、イジメたり、ドついて笑いを取る時代ではない。
お笑い芸人はお笑いだけでなくバラエティから情報番組、ドラマまで様々なテレビ番組に出演している・・・それだけに世間の常識とのギャップを考えて行動すべきだろう・・・中世の遺物になる前に・・・


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チャート分析の話(9陰陽線の解釈)

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二つのチャートを並べて「買うのはどっち?」という広告がある・・・これを見て気になった一般投資家をサイトに呼び込む・・・こんなサイトに騙されないようにしてほしい。
ほとんど100%インチキだ・・・チャート分析で相場の上げ下げを予測することはできない・・・「ウォール街のランダムウォーカー」という良い本があるので読んでみてほしい。

というわけで・・・今回は「陰陽線」の話だ。
このチャートにある、白い線(陽線)と黒い線(陰線)の並び方で株価の強さを判断するのが、陰陽線と呼ばれるチャート分析だ。
考え方はシンプルで、寄付き値から株価が上昇して高く引けると「陽線」となり、強い買い方がいるとされている・・・逆に寄付き値から株価が下落して引けると「陰線」となり、強い売り方がいるとされる。
この「陽線」と「陰線」の組合せで市場の強弱を判断するのが「陰陽線」だ。

でも、はっきり言って矛盾だらけなので解釈が難しい。
たとえば、「大陽線の丸坊主(寄付きから上げ続け高値引け)」というのがある・・・これは上昇相場の始まりで出現すると、「最も強い足」とされるが、上昇の後半に出ると「天井足」とされる。
「大陽線」が強い買い方がいることを示すが、高値引けとなると全員が強気になる最後の買いで持ち上げられた天井となる・・・ほとんど理解不能だ???

たとえば、「赤三兵(陽線が三日続く)」というのがある・・・「短い陽線が三日続くと、上昇相場のスタートになる」とされるが、一方、「三日上昇で一休み」するとも言われている。

たとえば、「寄引同値(寄りと引けが同じで十字足になる)」というのがある・・・これは寄りと引値が同じで攻防の分岐点=売り買い勢力の拮抗を示す。
底値圏で出れば底入れ足となり、天井圏で出れば天井足となると言われる重要な足だが、一方で「十字足はつなぎ足」として上昇の途中で一服した状態とする見方もある。

要するに、どっちの解釈もできる・・・つまり、読み手次第なのである・・・こうなると、分析ではなく、直感の世界で、いわば、アートの世界だ。
天才的に直感が優れている人は、「陰陽線」で相場を判断し、大儲けできるかもしれない。
でも、我々一般の投資家にはとても無理な話だ。
一番上の「A B 買うのはどっち?」を何故インチキと言い切ったか、それは「陰陽線」がアートであり、それを一般投資家でも儲けられる手法だというのはありえない・・・とすれば、陰陽線で商売することはインチキとしか言えない。

「酒田五法は風林火山」という昔の本があるが(今、入手可能かは分からない)、興味のある人は呼んでいただきたい。
酒田の商人、本間宗久氏の投資手法だが、やっぱり、まさにアートの世界で才能がある人だけができる投資手法だろう。
才能に恵まれている人か、凡人かはこの本を読めば分かる。


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中間配当のアノマリー、評論家に騙されるな

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今年も中間配当を受け取る時期、今週から12月10日にかけて順次配当の支払いが起こる。
今年の中間配当は4兆3000億円にも上るということで、株式評論家はこの中間配当を受け取った投資家が再投資をしてくるので株価が上がると言う。
確かにこの時期は米国の感謝祭~ブラックフライデー~クリスマス商戦と話題が多く、過去「11月最終週は高い」というアノマリーがある・・・でも、配当の再投資の話はウソだろう?

まず、機関投資家だが・・・
プロの運用会社は、9月末に配当落ちした時に指数先物を買い建て、配当落ちにより組入れウェートが下がった分を先物でカバーする・・・パッシブでもアクティブ(注)でも同じだ。
そして、実際に配当を受け取ると、受け取った分だけ現物株式を買い、買い建てた先物を売っていく。
この現物買い/先物売りによって株式のエクスポージャーは維持され、パフォーマンスへの影響を中立化できる。
したがって、中間配当を受け取るから機関投資家が株式を買い増し、市場は上昇する・・・というのは都市伝説にすぎない。

注)アクティブ運用では先物買い建てのルールがあるわけではないが、多くのファンドマネジャーは配当落ち分を未収配当として計上し、その分の組み入れ率を維持するために先物を買い建てている・・・そうしないと、特に上昇局面ではインデックス(ベンチマーク)に負けてしまうからだ。

次に、大口の投資家(企業オーナーなど)、たとえば、SBGを保有する孫さん・・・etc。
彼らは株式を買い増しすると財務省に保有報告書を提出しなければならない・・・買い増ししたかどうかはすぐに分かる仕組みになっている。
しかし、過去分を見ても、大口投資家が配当を再投資して保有株を増やしたという記憶はない。

次に、一般の投資家だが・・・
一般投資家についてはいろいろだ・・・人によっては配当の再投資をする場合もあるだろう。
しかし、人によっては配当で自分の好きな物を買う、旅行をする、美味しいレストランに行くなど、様々だ・・・ちなみにワシは配当を生活費にしているが・・・

というわけで、中間配当を受け取るから株高になるという理屈は確認できない。
でも、いつまでたっても、証券マンや株式評論家はセールス・トークに「配当の再投資株高説」に固執している。
ある意味、「裁定売残がたまっているから株高になる」というのと同じかもしれない。
これも因果関係が逆で、先物が買われ現物価格を上回るから裁定買いが出る・・・その結果、裁定売り残が減少するのにすぎない。
裁定売残の踏み上げで株高につながるというわけではなく、株高で先物が上昇するから裁定買いが入り売残が減少する・・・全く、根拠のないのにこれに固執する評論家が多い。
それより、クリスマス商戦期待の方がありえる話だ。



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GSOMIA以後が韓国の正念場

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GSOMIA破棄の条件付き撤回を文在寅が認めた(実質的な敗北)。
10/21に「日韓関係は最悪期を脱する?」というブログを書いた。
・・・玉ねぎ男で失速し、金正恩にコケにされ、岩盤と言われた40%の支持率を割れた文在寅は、急速に求心力を失うだろう。その彼ができることは、今までの方針の変更、つまり、米国との関係改善ではGSOMIA破棄の見直しと軍事同盟の強化、日本との関係改善では徴用工の妥協点の探ることの二つだろう。現実を受け入れて政策変更できる文在寅の度量が試されているのだろう。」
もともとGSOMIAカードは筋違いで何の解決にもならないだけでなく、アメリカを激怒させただけだった。
この韓国・文在寅の「江戸のカタキを大阪で討つ」みたい無理筋な政策が大きな問題だ。

それでは、GSOMIAを撤回する代わりに、文在寅は何を得たのだろうか?
韓国側の報道では、「日本が輸出管理の厳格化を再検討する見返りにGSOMIA廃棄を撤回した」とか、「GSOMIAはいつでも廃棄できる」という・・・でもこれはありえない・・・日本の立場は変わらないし、アメリカも影響力も変わらない。
文在寅は何も得ずにGSOMIAを引っ込めたことになり、ポンペオ氏に恫喝され、何も得ずに撤回に追い込まれた「情けない大統領」として国内的な立場は一層悪くなる。

ここからが問題だろう。
韓国の国民感情は起伏が大きく爆発しかねない・・・朴槿恵の時のロウソク集会も、玉ねぎ男に対する集会もすごい数の民衆が集まったし、日本製品の不買運動や訪日観光の停止などの広がりも予想をはるかに越えた。
一人一人の韓国人は普通なのに、集団になると強烈な感情の爆発が起こる・・・これが何故なのかは正直分からない。
感情の起伏の激しさを見ると、この「無能」大統領に対しても何が起こるか予想つかない。
民衆の感情次第では、大きな政治変化が起こるかもしれない。

でも、この民衆の感情を強く反映した政治は一種の衆愚政治であり、韓国の政治・経済にとっては大きな災いになる。
民衆は感情がなによりも優先してしまうので、冷静な中長期の国益を考えた判断ができない・・・政治家も国益の冷徹な判断よりも国民感情を優先してしまう。
となると、文在寅以後も民衆感情に迎合するだけの「無能」大統領が続く公算が強く、日本にとっては難局が続くことになるのかもしれない。
いずれにしろ、厄介な隣国だ。


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ウィークリー雑感(11/24 6週連続の外人買い)

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海外投資家による現物と先物の両方買い越し(合計はなく現物と先物のそれぞれの買い越し)が6週連続したというニュースが流れている。
確かに10月に入ってから、海外投資家は東証でずっと買い越しで日本の株価も上昇してきた。
過去の海外投資家の連続買い越しには、「たいだい5~6週で3~4兆円を買い越すと一巡してくる」という経験則がある。
その経験則に照らすと、そろそろ買い越しが止まるかもしれない・・・でも6週以上続く可能性も否定できない・・・なんとも見方が分かれてくるところかもしれない。

当ブログでは、9/13に「巨大ファンドが動いているのは間違いない」を書き、海外のパッシブファンドの買いである可能性を指摘した・・・さらに9/22に「先週の株式需給を読む」でその海外投資家の動きが東証の需給表に表れたとして若干の分析を行った。
9月には海外投資家に大きな変化の兆しが出ていたというわけだ。
でも、その後、重要な変化も出てきているので、もう一回、海外投資家の動きを考えてみたい。

今回の海外投資家は、おそらく従来型の巨大ファンド・・・ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)や海外年金ファンドではないと考えられる。
原油価格も50~60ドルで安定し産油国のSWFが動いている感じはしない・・・サウジはアラムコを安い値段で国内上場させるぐらいであり財政状態が苦しいだろう。
海外年金ファンドは基本的にファンダメンタルズにそった運用をするので、現局面で大きなアロケーションの変更をしてくるとは考えにくい。
となると、以前に推測したように海外の巨大パッシブファンドのリバランスと考えるのが一番現実的だ。
・・・海外投資家について詳しく知りたい人は、拙著「株式需給の達人(投資家編)」を参考にしてください・・・買ってね。

一つの要因がパッシブ投信への急速な資金流入だ。
2019年は米国でパッシブ投信残高が4.27兆ドル(460兆円)と、アクティブ投信の残高4.24兆ドルを始めて上回った年となる・・・しかも、資金フローではアクティブ-1241億ドルと流出だったのに対し、パッシブは+889億ドルと流入超過で好対照となった。
このパッシブファンドへの資金集中とともに、日本株にも資金が配分されてきた可能性がある。
パッシブ投信では最大のベンチマークがMSCI-ACWI(オールカントリーワールド、アクウィと読む)であり、このベンチマークでは日本は7.5%のウェートがある。
パッシブ投信への資金流入が続くと、その一定割合で日本にも資金が入ってくる仕組みになっている。

もう一つ考えられる要因が、日本株のアウトパフォームだ。
9月末から11月20日のパフォーマンスを見ると、MSCI-ACWIが+4.43%、S&P500が+4.42%であるのに対して、ドル建て日経平均は+5.85%と、MSCI-ACWIやS&P500の上昇を上回っている・・・ちなみにNYダウは+3.37%にすぎない。
ドル建て日本株が相対的に強い(MSCI-ACWIの日本株ウェートが上がる)ので、パッシブ投信のファンドマネージャーにはその分追加で買う必要が出てくる。

もう一つ忘れてならないのがCTAなどのトレーディング会社だが、彼らが日本株のアンダーウェートやネットショートを買い戻したことも日本株上昇の大きな原動力になった。
しかし、彼らは先物中心に激しい売り買いをするものの、中長期ではポジションをスクエア(中立)にするトレーダーであり、中長期の需給にはあまり影響しない。
したがって、今後も海外投資家の買いを続くかどうかと判断するには、海外のパッシブ投信への資金流入と、日本株とMSCI-ACWIのパフォーマンス格差を見ていかなければならないだろう。


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サウジアラムコの国内上場とグローバル投資家

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サウジの皇太子、ムハンマド・ビン・サルマン(以下MBS)氏が方向転換し、世界最大の石油会社サウジアラムコのグローバルIPO予定を変更し、サウジ国内市場に上場する。
サウジアラムコの時価総額は当初2兆ドルと想定されていたが、より現実的に1..6~1.7兆ドルをややバリュエーションを引き下げた。
しかも、サウジ国内IPOで上場される株式数は、全株式のわずか1.5%にとどまると言う・・・当初のグローバルIPOでは5%程度の1000億ドル以上を想定していたので、250億ドルのIPO規模は当初グローバルIPOの四分の一以下の規模でしかない。
12月5日に最終条件が明らかになる・・・その後すぐに、おそらく12月上旬には上場するだろう。

この大型上場に対してグローバル投資家がどう反応するかは、12月の市場需給に大きく影響する。
なにせ、世界最大のオイル企業であり、想定より低いとはいえ時価総額はアップルを大幅に抜く・・・しかも、IPO規模としても250億ドルとアリババ並みの大型上場だ。
インデックス投資が主流のグローバル投資家にとっては、無視できない存在となるのは間違いない。
しかし、サウジ国内上場で通貨はリアル、しかも取引の難易度が高い・・・となると、MSCIに組み入れられるには時間がかかるかもしれない・・・組入れのタイミングを見て、サウジアラムコ買い/エクソンなど石油大手売りを仕掛けてくる。
そのインデックス組入れのタイミングが問題だが、サウジ市場のローカル上場でありしかも市場での流通株式が発行株数の1.5%しかないのでしばらく時間がかかると想定できる。
大きな需給イベントにはなりにくいかもしれない。

また、MBSは、何故、このタイミングでサウジの「虎の子」であるアラムコの国内上場に踏み切ったのだろうか・・・しかも当初よりも低い価格で流動性の低いサウジ国内上場を選んだのだろうか?
まず、考えられるのはサウジ財政が悪化している可能性だ。
原油価格はなんとか50~60ドル/バレルを維持し、サウジにとっては採算に見合うレベルだ。
しかし、ここ数年、ずっと減産してきているため石油収入が伸び悩んでいるかもしれない。
第二に、特にイランを中心に不安定化する中東アラビア半島で、軍備増強が財政を圧迫していることだ・・・2か月前にもドローン爆撃でサウジアラムコの施設が攻撃され炎上したが、この地域は極めて不安定で、サウジ政府も軍事的プレゼンスの確保が最重要課題になっているはずだ。

おそらくMBS氏は、このサウジアラムコの資金250億ドル(約3兆円)が「喉から手が出るほど」欲しかった・・・そういう意味では、MBS氏は傘下のPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)を通じて430億ドルをソフトバンクのビジョンファンドに投資しているが、この資金も早めに回収に入る可能性もある。
ここは注意を要する・・・サウジの財政状態とグローバルな資産ポジションには注意しておきたい。
MBS氏はあらゆる手段を通じて軍事増強と対イラン戦略を進めており、その過程でサウジの財政ポジションが悪化する・・・さらなる資産の現金化が必要になってくると予想される。
だとしたら、サウジの動きに注意が必要とともに、中東アラビア半島は来年もキナ臭い状態が続くのかもしれない。

原油トレーダーの一部には、今回のアラムコ上場で原油価格が上昇すると予想している筋がいる・・・アラムコ上場で資金を手にしたサウジが減産を強化するという思惑で原油先物が上昇すると見ているわけだ。
でも、やや思惑先行かもしれない。


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心配なのはアメリカじゃなく国内景気

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ほとんどの評論家や投資家の眼がアメリカに向かっている。
米国景気がいいとか悪いとか、トランプが何をツイートしたか、NY株式が新値を取ったとか・・・etc。
確かに日本の株価はNY株が上昇すれば上がるし、下落すれば下がる・・・でも、そんな表面的な事柄だけでなく、経済指標を見ると日本の国内景気が一番心配になる。
最近の経済指標から確認してみよう。

まずは、7-9月期のGDP.。
全体は前期比年率で+0.2%・・・微妙な数字だが、消費税前の駆け込みを考えると弱めだ。
内訳の個人消費+0.4%・・・9月の家電販売などの数字を見るとかなり駆け込み買いが入っていたので、それを差引いて考えるとかなり弱い数字ではないか・・・10-12月期の個人消費で確認すべきだが感覚的には弱い。
設備投資+0.9%・・・製造業の業績悪化の反面、非製造業は好調で設備投資全体を引っ張った。
純輸出ー0.2%・・・輸出ー0.7%に対して輸入+0.2%、韓国向けや中国向けなどの輸出環境が悪化しているため、GDP全体にはマイナス寄与となった。

次に10月の貿易統計。
貿易収支は4か月ぶりの黒字だが・・・問題は輸出ー9.2%ではなく、輸入ー14.8%と大きく減少したことだ・・・これは内需の失速を示しているかもしれない・・・7-9月期の輸入はまだプラスだったが、10月に入り急減速した。

そして、日本の製造業PMI。
世界でセンチメントの回復が見られるが、日本は6月の49.3から一貫して低下、10月は48.4まで下がってきた・・・11月の暫定値は48.6とやや反発した。
一方、世界のPMIを見ると株価の反転とNYやフランスの新高値更新でセンチメントが改善してきている・・・だのに、日本の製造業では全く改善していない。

これらの数字から何を考えるか?
まず、個人消費だが10-12月期はかなり減速してくる可能性がある。
(1)消費税の引き上げが、キャッシュレス・ポイント還元の恩恵を受けない高齢者世帯には大きなマイナスになる。
(2)企業業績の悪化で冬のボーナスがマイナスになる・・・上期の業績で冬のボーナスが決まる会社はかなり厳しいボーナスになる。
(3)消費税前の駆け込みの反動だが、9月の小売り販売から推測すればそこそこの反動減が出てくる可能性がありそう。

そして、設備投資も経営者の景気判断から先送りされてくる可能性がある。
日本のサラリーマン社長にとっては、業績が悪い中での設備投資、フリーキャッシュフローの減少は難しい判断になる・・・業績悪化の最中に果敢に設備投資をして数年後に大きな売上成長をするという判断をしにくい。(目先の業績悪化は自分の責任で、成果が出る数年後には退任しているかもしれないから)
日本企業は内部留保が大きく、それを使って設備投資をすればいいのだが、内部留保は過去の社長の実績であり、なかなか取り崩すという判断ができない。
比較的業績の良い非製造業が設備投資を引っ張っているが、下期はやや慎重になるかもしれない。
というわけで、下期の設備投資にはあまり期待できないかもしれない。

それでは輸出はどうか?
輸出環境は全く変わっていない・・・韓国への輸出は抑えられるだろうし、中国も米中問題の前に中期的減速が明確になっているからだ。
対米輸出もそれほど大きく増加するとは考えにくい。

・・・となると、個人消費、設備投資、輸出と、国内景気はけっこう厳しいかもしれない。


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個人投資家の最強運用(7運用コストを考える)

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運用コストは税金と並んで個人投資家の運用には避けて通れない重要な負担項目だ・・・しかも組入れ商品によって大きく変わるので細心の注意が必要なだ。
個人投資家の運用コストには、株式の売買手数料、信用取引の金利や品貸し料、投信の販売手数料や運用報酬、外国債券の販売手数料や為替手数料、口座管理料(ない場合もある)などが含まれる。

運用コストが最も透明で分かりやすく、しかも、相対的に安いのが生株(ナマ株)、生REIT、金延べ棒・・・なんでも生(ナマ)の金融商品はコストからみれば「お得」だ。
でも、選ぶのが難しいという投資家もいるだろう。
その場合、ファーストチョイスとして、株価指数ETF、REIT指数ETF、金ETFなど、各種ETFを買うことを勧める・・・ETFの運用報酬は価格に含まれているので、ETF投資家が払うコストは売買手数料だけだからだ。
生(ナマ)商品と同じく市場で売買でき、簡単でコストも安いのが各種のETFだ。
ただ、単なるインデックス運用なので「大儲け」の期待は低い。

注意を要するのが投資信託、外国債券(外貨預金を含む)、外国株式など公募投信や海外商品だ。
公募投信を買うと、まず証券会社に3%近い売買手数料を取られる(最近は下がっているかも)、そして、運用報酬が1~2%(運用会社と証券会社に半々で支払う)・・・つまり、最初に1年で5%近い手数料や運用報酬を取られてしまう。
この運用コスト(手数料と運用報酬)以上のリターンが取れる投信なのか?・・・ここを考えなければならない。
外国株投信の中には、運用を再委託している仕組みの投信もある・・・この場合、運用報酬をまず販売会社(通常、証券会社)、委託会社(通常、国内運用会社)、さらに委託先(通常、海外の運用会社)に支払う・・・その分だけ運用報酬が高くなる傾向があるので、目論見書などできちんとチェックすることを勧める。

そして、外債は多大な運用コストがかかるので要注意だ。
外債は取り扱う証券会社に「抜き」がある・・・これは証券会社が現地で外債を仕込む(この時に1%程度抜く)、さらに国内で販売する時にまた1%程度抜く、さらに為替手数料で1%以上抜く・・・つまり、顧客には3%程度の「抜き」がコストとして重くのしかかってくる。
現在のような低金利の時はこの「抜き」も小さくなっているだろうが、投資家は気をつけるべきだ。
また、仕組債なども同じように「抜き」があるので要注意だ・・・聞いた話では仕組債で10%も「抜いた」というのも聞いたことがある。
複雑な金融商品ほど、この「抜き」が多いと考えておくべきだろう。

外貨預金も要注意だ。
「1か月で金利5%」などの金利優遇キャンペーンがあるが、この金利5%は年率で1か月だけだとほとんど0.3~0.4%程度しかない。
しかも出し入れする時に為替手数料が1%以上かかるので、1か月程度では「コスト負け」してしまう・・・したがって、外債や外貨預金をするなら別口座の外貨ポジションを保有し、そこで慎重に長期運用することが大切だ。
短期で出し入れすればするほど、為替コストがかかり「コスト負け」する可能性が髙い。

証券会社の看板商品となったファンド・ラップにも注意が必要だ。
一定の手数料を払えば、投信の入れ替え時の売買手数料がかからないラップ(包括)口座だが、組み入れる投信の運用手数料は別途かかる。
たとえば、ラップ口座の口座管理料が2%だとしても、アクティブ投信(運用手数料1~2%)を組み入れれば合計で3~4%のコストがかかることになる。
しかも販売手数料と異なり、毎年口座管理料がかかる・・・パフォーマンスがマイナスでも2%は取られることになる。

いずれにしろ運用コストが確実にマイナス要因となる反面、運用リターンは運に左右される。
確実なマイナスである運用コストを管理していくことが個人投資家の最強運用の胆であることは間違いない。


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自己流運用、当面の考え方

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自己資金の運用で生計を立てている定年投資家だが、自己流の運用を「個人投資家の最強運用」というシリーズで公開している。
これはまだ完結していないが、一個人投資家としての実際の運用であり、参考になることもあるかもしれないと思い書き続けている。
また、9/15には「ウィークリー雑感」で今年の運用状況を取り上げ、反省と評価をした。
その時・・・
期初ポジションを100とすると、現在は118.8となっているので、キャッシュ込みで18.8%のリターンだ。キャッシュ比率(キャッシュ/ポジション)は徐々に高めできて現在33%。
今年の売買動向・・・3~4月の当時、NY市場のトリプルトップの可能性を見ていたので、保有していた株式をほとんど売却しREITに乗り換えを行った・・・そして、7~8月以降、上昇したREITを順次売却していった・・・REITがピークを打ったかはまだ不明だが、ピークに達するまでに半分を売却する予定。」

・・・と書いた。

その後、東証REIT指数は上昇を続け、10月には2254ポイントの高値を付けたが・・・その時点まで売り上り戦略を実行し、ポジションのキャッシュ比率を50%までに高めた。
今年のパフォーマンスは9月末で+19.8%、10月末で+23.5%まで伸びた・・・そして11月に下落したが、現在でも+21.5%のリターン・・・11月の下落で2%やられたことになる。
一方、東証REIT指数は11月の安値までー6.5%、直近まで4%の下落・・・つまり、キャッシュ比率を50%にまで引き上げたことで、東証REIT指数が4%下落したのに、ポジションは2%のマイナスで済んだ・・・キャッシュ比率を上げた意味があった。

今後はどう運用するか?
米長期金利が2%を越えてくると世界のREIT市場は調整に入ると想定している・・・しかし、当面は1.8%を中心にした動きなっており、しばらく時間がありそうだ・・・この時間を使ってポートフォリオの銘柄入れ替えを行っている。
特に3%以下や3%前後まで買われた割高REITを順次売却し、11月の下落で割安になったクオリティ対比分配金利回りが高くなったREITへの入れ替えだ・・・先に10%の組入れを増やしキャッシュ40%なっているので、ここからは売り上がりが中心となる。

割安になったクオリティ銘柄とは、たとえば・・・
星野リゾート・・・クオリティは抜群だし、スポンサーの星のリゾートが強力な集客力を持つリゾート開発会社だ。そのクオリティのREITが4.8%の利回りで買えた。

サンケイリアルエステート・・・上場間もない成長型のオフィスREITだが、サンケイのスポンサーも協力もあり、数年後には代表的なオフィスREITの一つに資産成長するとみられる。そのクオリティで4.3%の利回りで買えた。

エスコンジャパン・・・ここのポートフォリオは半分が底地投資で、商業施設やその他の50年定期借地権に投資している。つまり、土地は減価しにくく、資産が維持されやすい、しかも長期契約であり、安定した借地権収入が期待できるREITだ。このクオリティで5.8%の利回りで買えた。
・・・平均利回り5%でポートフォリオの10%の組入れができた。

その後のREIT相場の反発で、今度は今まで保有していた分配金利回りが3%前後にまで低下した割高銘柄の売り上り戦略を継続している。
ECBが政策変更して、ドイツ10年債がゼロ水準を上回っていく可能性(10/30「ドラギからラガルドへECB政策転嫁の予感」を参照)や、景気センチメントの改善で米10年債が2%水準を越えて行く可能性・・・これが起こると、再び、債券バブルの破裂懸念でREITや債券代替商品が売られる。
そのタイミングは不明だが、それまでにキャッシュ比率を50%以上への引上げ、割高REITの売り、クオリティ対比割安REITへと銘柄を変更する・・・これが当面の自己流運用戦略だ。


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住宅買うなら一戸建てか? マンションか?

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もう20年も前に自宅を建築して以来一戸建て派だったが、最近マンションの方が入退出のセキュリティもしっかりしているし・・・安心かな・・・と思う。
家族などの条件によってはマンション派に転じるかもしれない。
一戸建てか、マンションかというと、個人の趣味の問題かもしれないし、家族構成の問題かもしれないし、経済的な理由があるかもしれない・・・何より人生の大半を過す自宅をより満足感の高い住空間にするのにどちらが適しているのだろう?
もっとも重要なのは、自宅を買うということは40年~50年の長期間で考えなければならないことだ・・・つまり、中古住宅としての価値が維持されているか、中古住宅として価格が付くかが重要になると思う。

もっとも大きな違いは、マンションだと毎月駐車場代や修繕積立金や管理費などを支払わなければならない・・・一戸建て住宅には駐車場はあるし、修繕積立金も管理費もない。
でも、経験的にはマンションも一戸建て住宅も経年劣化するので、けっこうな費用がかかる。
たとえば、毎年かかるのは庭師代、浄水器などの消耗品の取り換え・・・数年に一度かかるのはシロアリ対策(5年に一度)、エアコンクリーニング、家具修繕やメンテナンス、畳の交換・・・10年~15年に一度かかるのは外壁の塗り替え、家電や家具の買い替え、キッチンやトイレ・風呂などの住設機器の買い替え・・・15~20年に一度かかるのは内装の刷新、床の張替え、屋根の修理や張替え・・・

これらの中には、家電や家具や住設機器に関する費用などマンションでも同じようにかかる費用もある。
しかし外壁の塗り替え、内装(室内壁や床の張替え)、屋根の張替えなどは、会計的には資本的支出であり、マンションでは修繕費に含まれるだろう。
この費用はマンションよりも一戸建て住宅の方が高くつく・・・たとえば、外壁の塗り替えは200~400万円程度、内装も300~400万円、屋根の張替えも数百万円・・・と合計すれば数百万円~1000万円に上る。
マンションならば、一時金数十万円+月1~3万円の積立金程度だろうから、20年で600~800万円程度の費用と想定できる・・・おそらく一戸建て住宅はそれを上回る。

さらに一戸建て住宅の場合、資産価値の維持がけっこう難しい。
良質な土地に信頼できるメーカーで建てられた場合はいいが、建売りの矮小住宅などは必要なメンテナンスを定期的に行っていないケースも多いし、シロアリ対策でさえスルーしている住宅も多い。
そうなると、建物の資産価格は20年でゼロ、土地の価値だけが残る。
たとえば、6000万円(土地3000万円、建物3000万円)なら、20年間で建物3000万円の評価がゼロになるので、1年あたり150万円の価値を失う。
その他、固定資産税やローンの金利などを考えたら経済性は低いし、居住の満足度も低いだろう。

もちろん、一戸建て住宅は増改築もできるし、室内の間取りの変更も自由だから、満足度の高い居住空間を作ることができる・・・これは大きなメリットだ。
しかし、マンションでもリフォームができるし、何より定期的な大規模修繕を建物全体で行うので資産価値が維持しやすい。
良質なマンションは高い資産価値があるし、中古でこれらを買うメリットが大きい。
一方、一戸建て住宅は良質な土地にきちんとメンテされた住宅ならば中古で買う価値もあるが、安くメンテの悪い矮小住宅は、新築はまだしも中古で買う価値がないだろう。
新築のマンションや一戸建て住宅を買う時も、中古価格を意識して資産価値が維持できるかを考え方の一つに加えるといいと思う。


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「レノン・ウォール」が米中関係を変える

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レノンウォールはチェコのプラハにある、ジョン・レノンを偲んで建てられた壁で、自由と平和へのジョン・レノンの強いメッセージが込められている。
共産主義に対する強いメッセージ性を持つプラハの「レノン・ウォール」が、香港の学生を支援するネットサイト「レノン・ウォール」に発展した。
香港の大学生たちを中心に開設された中国語サイトだが、11日香港警察が中文大学や城市大学のキャンパスで数千発にもおよぶ催涙弾を発射したことで流れが変わった。
この警察の蛮行に対して夜を徹して抵抗した学生たちに大きな励ましの書き込みが世界中の学生たちから「レノンウォール」に寄せられた。
警察の行為を非難し香港の学生たちだけでなく、北京大学、四川大学、復旦大学、哈爾工業大学、海南大学などの中国本土の大学生が「レノンウォール」に「香港、ガンバレ」「共産党は滅亡する」などの書き込みを行った・・・さらに、日本でも東大や京大、米国でもハーバード大やジョージタウン大などからも中国語での書き込みが寄せられている。

これをどう見るのか?
「香港人権法」を通過させた下院に対して、上院では採決が遅れている・・・これはトランプ大統領が邪魔しているからだという見方がある。
当然のことながら、この「香港人権法」をめぐる米国の人権擁護派の動きを中国は快く思っていない・・・中国外務省はこの「香港人権法」が米議会を通過すれば(米国に)報復すると警告している。
しかし、この「レノンウォール」の動きが全世界の学生に広がっていくようならば、トランプといえどもいつまでも「香港人権法案」の上院通過を遅らせることはできないだろう。
その意味では、この「レノンウォール」が米中関係の新たな火種となる可能性が髙い。

米中貿易交渉でも合意できるのは、米農産物の輸入規模とそれに見合う関税の引下げという部分だけだろう。
その先にある中国政府の産業補助金などの企業優遇政策や官民による技術情報不正などの国家資本主義の根本的な問題は中国の共産党独裁体制そのものに関わる・・・そして、香港で起こっている民主化と人権問題はこの共産党体制の根幹に関わる問題でもある。
アメリカを中心とする自由・民主主義をベースにした資本主義と、中国の国家が全面に出た国家資本主義との戦いになる。
そして、この「レノン・ウォール」によって、米中の通商問題という経済問題と、中国共産党の持つ非民主的・反人権的な問題がリンクしていく。
そうなると、米中摩擦は単なる通商問題から拡大し、国家の存在理由を問われる、イデオロギーの摩擦になっていくだろう。


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ウィークリー雑感(11/17 相場はグローバル市場に聞け)

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昔からの相場格言に「相場は相場に聞け」というのがある。
知恵者がいろいろな相場講釈をしては、それに乗った周りの素人投資家たちが損をする・・・これを見て相場のことは知恵者に聞くより、相場=価格の動きを見る方がよっぽどマシだということになった。
これを拡大解釈して、日本の評論家たちも株価が上昇していれば、「相場は先行きの景気回復を読んでいる」とか、「相場が常に正しいので、足元の悪い経済指標は見てもしょうがない」とか言う声が聞こえてくる。
「相場は相場に聞け」というわけで、株価が上昇している限り「景気底入れ説」が声高に主張されることになる。
でも、評論家は論理的な説明を放棄して「株価に聞け」と言っているのかもしれない。
それでは、グローバル市場に聞いてみたら、どんな答えが出てくるのだろうか?
主要株式市場の年初来の上昇率をランキングしてみたのが、下の一覧表だ。

    株式指数 年初来上昇率(%)
1 RTS指数 34.46
2 イタリア40 28.15
3 NASDAQ総合 27.79
4 DAX 24.83
5 CAC40 24.75
6 S&P500 23.53
7 オランダ25 22.01
8 ブラジル ボぺスパ 21.24
9 NYダウ 19.1
10 台湾 加権指数 18.54
11 中国 上海総合指数 16.72
12 日経平均 16.4
13 TOPIX 13.57
14 SENSEX 12.23
15 FTSE100 8.39
16 韓国総合指数 5.95
17 香港 ハンセン指数 2.08

この株価指数上昇率を見て、二つの特徴に気づく。
(1)中央銀行の利下げドミノが起こった国の株価は高い。
米FRBが景気が悪くもないのに3回連続で利下げをしたが、FRBに追随して、欧州、豪州、メキシコ、ブラジル、インドなどが利下げに踏み切った・・・これらの利下げドミノ国は、いずれも株高につながった。

(2)政治的な要因が大きな重しになった。
三大政治要因は「米中摩擦」「ブレグジット」「香港の民主化運動」だが・・・
米国株は政治に関係なく上昇し、一方、中国株も上昇率でこそ下位だが、一応、上海総合指数も16%上昇した。
しかし、英国はEU離脱のゴタゴタが続き株価は低調だったし、最下位の香港は、政治ゴタゴタの張本人でもあり株価が不調を続けた。
中国経済の悪影響を受けているドイツや欧州諸国は景気は悪化したが、金融緩和期待により株価は強かった。

この一覧表を見て明らかだが、中銀が利下げを行った国・地域と政治的混乱の影響が少なかった国・地域が株価上昇率の上位になった。
これは今年の相場が景気回復を買った相場ではなく、金融緩和と政治的安定度を買った、いわば、金融相場=需給相場だったということだ。
そして、株価が上昇しているので、その地域や国の景気先行指標は好転する(株価指数が先行指標の一つの構成要素だからだ)。
来年は、センチメントの好転だけでなく市場が期待する通りの実質的な景気回復があるかどうか、そして現状の株価が織り込んでいる以上の景気回復があるかどうかが、最大のポイントになってくるだろう。


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孫さん、後手を踏んでいないかい?

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孫さんの投資判断がどうも全くズレてきている感じがしてならない。
今年1月行ったWeWorkへの追加投資がほぼ高値つかみだったし、その後、WeWorkが大幅な赤字で保有株式の大幅な減損を強いられた・・・そして、さらに追加投資するという。
子会社のYAHOOがZOZOを買収すると発表されたが、前沢氏から売却を孫さんが受けた・・・おそらく前沢氏はZOZOの成長限界を感じていたのかもしれない・・・となるとWeWorkを買った時のように、完全に後手を踏んでいるかもしれない。
そして、今回はLINEとYAHOOの経営統合だが・・・狙いはキャッシュレス・サービスでのドミナント戦略・・・楽天やメルカリ株は急落した・・・キャッシュレスを制することでSBG経済圏プラットフォームをネット上に作るというわけだが・・・といっても、まだまだ不透明なところが多い。
なんか、成長の旬を過ぎた停滞期にある会社ばかりを買っているような感じだ。
「孫さん、後手を踏んでいないかい?」と問いたい。

センセーショナルに打ち出すのは孫さん一流のパフォーマンスだが、やや雲行きが怪しい。
第一に、日本のネット・ビジネスは十分に成熟化してしまったことだ。
すでに50代、60代のオジサン・オバサンまでスマホが普及し、さらに日本の人口減少社会ではネットユーザー数の限界がある・・・伸びるとすればグローバル市場を相手にGAFAと競争しながら成長できるレベルの企業だろうが・・・現実的にはなかなかない。
一方、弁護士ドットコムのようなネット化されていなかった専門職分野、セールスフォースのような効率化が難しい営業サポート、電子契約アプリ、ソーシャル・ログインのようなニッチなネット・サービスなどは伸びる余地が大きそうだが、プラットフォームというだけでは難しい。

第二に、日本のキャッシュレスは中国型ではなく、欧米型になるかもしれないことだ。
中国社会には(1)現金が使いにくい、(2)クレジットが普及していない、(3)不正に対して寛容、という特徴があり、アリペイ(アリババ)とウェーチャットペイ(テンセント)のQRコード決済が一気に普及した・・・アリペイのシェア74%、取扱高166兆円と急成長した。
一方、欧米では早くから小切手によるキャッシュレス決済が富裕層を中心に広がっていたので、これを受けてクレジットカードが普及、国民の50~60%はクレジットカードを保有し、キャッシュレス決済比率は50~60%に達している。
では、日本はまだキャッシュレス決済は20%と低い・・・ドイツと並んで現金信奉が強い国だ・・・これがどう変わっていくのだろうか?

慎重な国民性と不正に対して厳しい態度から見ると、中国型のQRコード決済は普及しにくいだろう・・・キャッシュレスはクレジットやSUICAのようなプリペイドになる可能性が髙いと思う。
実際、アップルペイにクレジットカードやSUICAを取り込んで使えば、簡単にスマホ決済ができる・・・しかもクレジットカードは安全性が担保されている。
ペイペイやLINEペイもクレジットカードを保有していない層には普及すると思われるが、安全性から見てもミドル層以上ではクレジットやプリペイドが主流になると思われる。

そういう意味では、孫さんの国内プラットフォーマー戦略はどうもズレている感じがする。
ZOZOの買収もLINEとの経営統合も効果は???・・・結局高値づかみしただけのような気がする。



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チャート分析の話(8チャートパターンは何も語らず)

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テクニカルな説明でよく出てくるのが、チャートパターンだ。
「これは三角保合いだから、将来上昇する」とか、「これは逆三尊だから底入れを暗示する」とか、評論家が相場の説明にチャートパターンを使うことが多い。
聞いた方がなんとなく、三角保合いだから上昇するのか・・?などと半信半疑ながらなんとなく納得してしまう。
しかし、株式の運用で生活をする人=プロ投資家は、三角保合いだろうが、ボックス相場だろうが、三尊天井だろうが、あまり気にしない。
特に現代の株式市場では市場取引の大半がインデックス売買であり、チャートパターンはほとんど意味を持たなくなっているからだ。

たとえば、代表的な「三角保合い」を考えてみよう。
売り方は「強い根拠と意思」を持ってその銘柄を売り、買い方が「強い根拠と意思」を持って買う・・・その結果、売り方が上値を抑え、買い方が下値をサポートする、そして、三角形のチャートができる・・・買い方の勢力が強ければ上放れ、そこから上昇相場に入る。
これが欲に言う「三角保合い」だが、昔の仕手筋が暗躍していた市場とは違い、現代の市場では売り方と買い方がガッチリ四つに組むなんて銘柄はほとんど存在しない。
ヘッジファンドには空売りを得意とする連中もいるので、彼らが売り崩しを狙った銘柄ではこうした場面もあるだろう・・・極々少数の銘柄では「三角保合い」というチャートパターンが作られる可能性はある。
しかし、極々、稀にできる程度であり、あまりパータンを信用しない方がいい。

それよりもインデックス売買が席巻する現代の市場では、個別銘柄が「強い根拠と意思」を持って売買されることがそもそも少ない・・・というかほとんどない。
大半の売買はインデックス売買で、その銘柄に対する「強い根拠と意思」はなく売買されている。
その結果、チャートの形が「三角保合い」のような形をしていても、本当の意味では「三角保合い」ではなく、たまたま似たような形になっただけなのだ。
そんな形に騙されてはいけない。
現代の市場ではほとんどのチャートパターンは意味を失ってしまったのかもしれない。

個別銘柄のチャートではチャートパターンは意味がなくなったかもしれないが、市場全体では参加者の心理が影響するので、チャートパターンは一定の意味を持つかもしれない。
その意味で、株価指数などのインデックスでは、ダブル・トップ(ボトム)、トリプル・トップ(ボトム)、アセンディング・トライアングルやディセンディング・トライアングル(三角保合い)などは多少の意味を持つかもしれない。
でも、個別銘柄では「チャートパターンは何も語らない」と考える方が現実的だ。



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シェイキー(揺れ動く)な相場

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シェイキーな相場というのは、大崩れというわけではないが、その前兆みたいな激しい揺れが続く市場のことだ。
11/12の午後、突然、日経平均が急速に買われ188円高、逆に東証REIT指数が2%という急落を演じた。
この現象に対して、評論家たちは「弱気筋の買い戻しだ」とか、「売り方の踏み上げ相場が始まった」と解説していた。
そして、日経平均がじり高を続けていることについても「強い、しっかりした相場」という評価が大半だった・・・しかし、それだけでは説明できないほどの揺れ動いた(シェイキーな)相場だったといえる

11/12午後の急変は明らかにシェイキーな感じだった。
30年債の入札が不調だったことから、大口トレーダーがそれまで保有していた国債先物のロングを大量に売ったと見られている(ブルームバーグ)・・・そして、10年国債利回りはー0.055とほぼゼロ金利近辺にまで急速に上昇(価格は下落)した。
同じくロングを持っていたREIT指数や金先物も同時に売却し、逆にショートを持っていた株式先物を買い戻したという。
ファンダメンタルに基づくトレーディングではなかったので、株式も業績に関係なく買われたし、REITもファンダメンタルの関係なく売られた。

日経平均がジリジリと上昇(日経平均だけでなく、NYダウもドイツDAXも同じだけだ)しているので、株式評論家たちは安心しきっている。
でも、日本株以外の市場ではかなりのシェイキーな相場展開になっている・・・日本株だけ見ていてもこの感覚はわからない。
債券や金価格、REITなど様々な市場を俯瞰して見ていると・・・膨大なポジションの入れ替えているトレーダーが多く存在しているということは想像できる・・・さらに、そのポジションで大きな損失を抱えるかもしれないことも想像できる。
大口トレーダーのポジション調整が終われば、一旦、相場が安定してくるかもしれない。
しかし、シェイキーな相場が続く場合、大損したファンドでパフォーマンスの悪化による解約が殺到する可能性もあるし、大口トレーディング会社が資金流出で破たんする可能性もある・・・???

日経平均のEPSが7月の1795円から11月には1668円と7%低下しているにもかかわらず、日経平均は上昇し、その結果、PERは14倍を越えた。
この株価上昇は景気回復への期待とか米中摩擦緩和への期待と説明されているが、実は、ファンダメンタルに関係なく動いている大口トレーダーたちのポジション調整が大きく影響しているのかもしれない。
シェイキーな相場が少し落ち着いてくれないと、どこかで株価の下落とともにボラティリティが上昇し始め、VIX先物の過去最大のネット・ショートポジション20万枚に影響するかもしれない。
ファンダメンタル要因に支えられている相場ではないだけに、よく見ていかなければならないと思う。


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香港警察の中身は中国人民軍?

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香港からの映像はショッキングそのものだった。
警察官が学生に銃口を向け、狙いを定めて発砲した・・・明らかに殺害を意図したものだったからだ。
当ブログでも1か月ほど前、10/3に「民主国家が市民に発砲する意味」を書いた。

その中で・・・・「でも、その国家と国民の契約を破棄して、警察が善良な高校生に実弾を発砲した。
これの意味するところは、もはや、香港政府は北京の傀儡政府になり下がったということだろう。
独裁国家では、国家は国民を殺害する・・・かつての天安門事件でも、かつてのサダムフセインのイラクでも、今なお殺害が続いているシリアのサダト政権でも、どの独裁国家も国民に向けて銃弾を撃ち殺害した。
これは独裁国家が国民より上にある存在で、国民を犠牲にして国家が成り立っているからだ。
中国では新疆ウィグルでも多くの少数民族が北京政府に殺されている・・・このままでは香港も新疆ウィグルと同じになる。
北京政府には香港市民を殺害することに何の罪悪感もないのだろうし、香港政府は情けないことに北京政府の意のままに動くだけだ。
香港政府には一国二制度の民主政府として覚醒してほしい。
このままでは一国二制度は死んでいしまう。」・・・と書いた。

それから1か月、おそらく、レイムダック化したキャリーラム行政長官にはもう何の力もなく、北京政府の100%介入を、事実上、容認しているということだろう。
北京政府は自己防衛のためなら、何の罪もない少数民族を平気で殺害する・・・新疆ウィグルでもチベット族でも同じように殺戮が行われてきた。
同じことが香港市民に対して起こる可能性がある・・・ウィグル族やチベット族と全く同様、すでに殺害対象となったかもしれない。

2か月前、中国軍が香港島の反対側の深センに大集合し軍事訓練を実行したというニュースが流れた
・・・香港や香港市民に軍事的圧力をかけたわけだ。
そして、それからの2か月間に、中国軍人は次々と香港警察に送り込まれていると想像する。
明らかに、香港市民、しかもまだ若いこれから人生のある若者に、何の感情もなく銃口を狙い定めて発砲できるというのは異常だ・・・とても香港人の警察官なら無感情にできる仕業じゃない・・・中国人民軍がやったとしか考えられない。
香港警察の中身は、中国軍人に入れ替わっているのではないだろうか?
すでに「一国二制度」は死んでいる・・・今後、徹底的な北京政府の弾圧が始まると見る。
香港市民に多くの犠牲が出ることになるかもしれないと思う。
世界の世論が盛り上がり、北京政府をけん制すること・・・を期待したい。

そうでないと、香港の内需経済は非常に大きい影響を受ける可能性がある・・・香港市場上場の会社でもテンセントなどの本土で稼ぐIT企業はいいだろうが、香港内の周大福などの宝石やブランド・ショップ、ホテル業者、高級レストラン、さらに不動産価格も大きな下落の可能性が出てくる。
香港のハンセン指数は今のところ保合いの中にあるだが、今後、さらに混乱が拡大すれば、下放れの可能性も否定できない。


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嵐、「大丈夫、水は流れている」って?

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日本中の注目が天皇・皇后両陛下の即位パレードにそそがれた週末だった。
こころなしか、車で遠出をする人も少なかったようで、清里からの帰り道もスイスイ行けた。
いつもなら10Kmや15Kmの渋滞が当たり前の中央道小仏トンネルでも、渋滞は3Km程度で問題もなく通過できた。
中央道の上野原~小仏間にはまだまだ台風の爪痕が残っている。
今年の台風や風雨は非常に激しく、中央道だけでなく、千葉県、茨城県、福島県では水害のダメージが大きい。
中央道を一人と一匹で走りながら、災害の爪痕の大きさを考えていた。

天皇陛下の即位パレードもこの災害で11月10日に延期された。
天皇・皇后両陛下の、災害に苦しむ国民に対する思いが、このパレードの延期を決めたのだろうと思う。
しかし、嵐の歌った「奉祝歌」の歌詞には一瞬ギョッとした。

・・・「大丈夫鳥は歌っている 大丈夫空は輝いてる 大丈夫水は流れている 大丈夫海は光っている 大丈夫君と笑ってゆく 大丈夫君と歩いてゆこう」

「大丈夫、水は流れている」って・・・水が流れ過ぎたから災害になったわけだ。
ちょっと天皇・皇后両陛下がパレードを延期した思い、それに対してこの歌詞はどうなんだろうと思った。

「国民に寄り添う」と宣言した天皇陛下が、今、寄り添う国民は災害で苦しむ人たちであることは間違いないし、被災地のお見舞いなど、両陛下の活動が今後広がっていくだろう。
その即位の「奉祝歌」でやや微妙な歌詞が入っていた・・・両陛下はどう思われたのだろうか? それとも考えすぎなのだろうか?

でもよく聞いていると、「大丈夫、(もう普通に)水が流れている」・・・「普通の日常を取り戻してほしい」という被災地への応援歌のようにも聞こえる。
曲の最後で雅子さまが涙したのは、被災地を思ってではないかと思う。


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マンションは賃貸がいいか? 所有がいいか?(2)

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マンションは賃貸で借りるのがいいのか? ローンで苦しんでも所有する方がいいのか? という問題を考えてみた。
前回は家計をPLに見立ててマンション賃貸は変動費、マンションの所有は固定費と考えると、安定した将来設計のできる人には所有がいいだろうし、そうでない人にはできるだけ変動費化した方がいい(賃貸の方がいい)というのが結論だ。
それでは視点を変えて家計のBS(バランスシート)から考えてみよう。

よく言われることで、木造で22年の耐用年数を越えると家の建物としての価値がなくなる、コンクリート建物でも八王子団地のように47年以上経過した価値がない団地がいくらでもある・・・日本では建物に資産価値がない・・・。
しかし、税法上の耐用年数と実際の経済的な価値とは異なる・・・これを常識のように広め、自宅やマンションの建て替えを増やして建築会社が稼ごうとするセールストークじゃないかと思ってしまう。
耐震・免震構造や強固なリノベが行われた建物はかなり頑丈で法定耐用年数を越えても経済価値が維持されている。
たとえば、日本で最初の超高層ビルであった霞が関ビルは何回かのリノベーションを行い、法定耐用年数を越えて、築50年以上でも十分に現役のオフィスビルとして使われている。
2000年前後以降の新しい建築基準で建てられたマンションなどは、資産価値として高く維持されていく可能性が髙いのではないだろう。

マンションを選ぶ場合、多くの人はその立地の良さ、交通の利便性、商業施設などの生活の便利さ、あるいは学校などの距離などの条件がまず上げられる。
でも、もちろんこうした条件は重要だが、基本的に敷地の地質、自然災害に対する地理的強さ、耐震・免震構造などの条件がより重要になってきている感じがする。
特に武蔵小杉の高層マンションが水害に合うなど、自然災害が急増している現在ではこうした基礎的な構造的な条件が資産価値に大きく影響してくることになると思う。

建物は放置されると、あっという間に劣化してしまう・・・建物に対するリノベーションや大規模修繕などが定期的に実施されているかも重要な項目だろう。
こうした投資は資本的支出と呼ばれるが、資本的支出は建物の資産価値を引き上げる。
また、多少割高になっても管理費が高くしっかりした管理組合があり、積立金もしっかり徴収され管理されている、などの条件も資産価値には影響するだろう。

立地の良さ、強固な地盤、災害に対する強さ、強固な構造、しっかりした管理、定期的なリノベーション・・・のマンションを所有すれば100年以上に渡って資産価値を維持することも可能だろう。
そうなれば、毎月毎月、数十年という長い間マンションの賃貸料を払い続けるより、クオリティの高いマンションを所有する方がずっと良い。
割安なマンションを買うより、多少割高であってもしっかり管理されているマンションを買うべきだと思う・・・そうしたマンションなら親子三代=100年にわたる資産となるかもしれない。

・・・結論としては・・・
(1)クオリティの低い割安マンションを買うなら賃貸の方がいい。
(2)クオリティの高いマンションなら割高でも買う価値がある、長期の優良資産になるからだ。
「安物買いの銭失い」は不動産でもいえるのだろう。


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ウィークリー雑感(11/10 債券バブルの破裂?)

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ファンダメンタルの良好な米国株だけでなく、景気悪化の欧州株もアジア株も買われている反面、世界の債券利回りが急速に上昇に転じている。
数か月前には世界の国債の3分の2以上がマイナス金利だったが、それでも債券が買い進まれた・・・当ブログでも3か月前の8/16から3回にわたり「マイナス利回り債券は買えるか?」をテーマに取り上げた。
要約すると、マイナス利回りの債券を買う理由は
(1)さらに高い価格(低い利回り)で買ってくれる投資家がいると考えていること、
(2)マイナス利回りでも債券を組み入れることでポートフォリオ全体のリスクを引き下げられること、
(3)イールドカーブが立っていれば、ロールダウン効果からリターンが得られること、
の3点を上げた。
こんな債券買いは普通ではないが、米国10年債が1.4%まで買われ、ドイツ国債がー0.7%、フランス国債がー0.4%、オランダ国債がー0.5%、日本国債がー0.24%まで買われた現象をこの3点で説明できる。

しかし、このところの米中摩擦改善期待や景気回復期待による株高で、この債券相場がひっくり返ってしまった。
そうなると、考えておかなければならないのは、債券バブルの破裂だ。
マイナス利回りの債券を買う理由の(1)を振り返ってみよう。
自分がー0.2%の国債を買ったとしても、ー0.5%で買ってくれる投資家がいれば、価格上昇(利回り低下)で利食うことができる。
マイナス利回りといってもクーポン(表面利率)は0.1%なので、マイナス金利で買った(=100以上の高価格で買った)投資家も償還時までに売却してしまえば損はしない・・・でも、満期に100で償還されるため満期保有すると損失が出る。
したがって、債券投資家は、もし中銀が政策金利を引き下げないとしたら、高値で買ってくれる投資家を見込めなくなり、損失を回避するために、保有しているマイナス利回りで買った債券を売るかもしれない。
彼らは元々、満期保有する気がない投資家でトレーディングには慣れているだろうから、動きは迅速だろう。

こうした投資家行動が債券市場に出てくるかが最も注目だ。
その分岐点は米国10年債の2%を越えること、欧州10年債や日本10年国債がプラス利回りに転じてくることだろう・・・もし、そんな事が起これば、債券投資家たちは一斉に損失回避の行動に出るかもしれない。
しかし、一方、高い利回りで新規に買うチャンスでもあるので、市場では高い価格で買った既存投資家の投げと、新規の債券買いがぶつかることになる。
この攻防の結果、売り方(既存投資家)が強かれば、債券市場の混乱につながる・・・一方、買い方(新規の債券買い)が強ければ、一旦、底打ちとなるかもしれない・・・いずれにしてもここが最大の注目点だ。
現在、米国10年国債は1.94%、ドイツ10年国債はー0.26%、フランス10年国債は0.02%とプラ転、オランダ10年国債はー0.14%、日本10年債はー0.07%と上昇してきている。


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相場の上げ下げを米中のせいにするな!!

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最近、株式番組を見ていて本当に呆れるのが、株式解説者のコメントだ。
相場が上昇すると「米中摩擦の緩和期待」と説明し、相場が下落すると「米中摩擦の懸念」となる。
ちょっと前までは、これらの評論家氏は「円安で株価が上昇」あるいは、「円高で株価が下落した」という説明ばかりしていた・・・為替が動かないものだから、米中に宗旨替えしたわけだ。
でも、こんなインチキなコメントがありえるのだろうか?
相場の上げ下げを為替にせいにしたり、米中摩擦のせいにしているだけなら、高給取りの解説者はいらない、誰でもできる。
もういい加減にしてほしい。

でも、ほとんどの解説者とは違い、独自の見方を提示する評論家もいる。
山口真弘氏、SMBC信託プレスティア。
言っていることは至極まともだ。
中国の3か月物金利の上昇と人民元安からの変化を見て、米中協議の進展を市場が期待しているが、その期待に反して12月の第4次関税引き上げが延期される可能性を見ている。
VIX先物の低下とネット売りポジションの増加で、市場の低ボラ戦略が急拡大している・・・市場はじり高を織り込んでいるわけだが・・・市場のボラが上昇してこのネット売りが逆転する時、相場は急落する可能性を指摘している。

江守哲氏、エモリキャピタル。
やや精神分裂的で強気なのか弱気なのか分からないが、ユニークな指摘をする。
2015年からの世界のPMIが1.5年のサイクルで動いた来たので(わずか4年間の検証で1.5年のサイクルろ言うのは短すぎる)、今年夏にボトム、来年にかけて循環的な回復に入ると言う。
その反面・・・VIXの低水準と売りポジションの大きさから急落もする(これは上の山口氏と同様)とも言う。
日本株に関しては、NT倍率(日経平均/TOPIX)の上昇の行きすぎから反転すれば日経平均が下落し、日本株が売られる・・さらにドル建て日経平均が200ドルを越えたため外人売りが出やすく、日本株は下落するとしている。
強気なのか弱気なのか不明なところがイマイチかな。

エミン・ユルマズ氏、複眼経済塾。
世界のGDP予測は7月から10月にかけて一段と悪化していている・・・世界全体で0.2%の下方修正、米国と日本はー0.1%だが、ドイツはー0.6%、インド・ブラジルー0.3%と大きい下方修正だ。
以前として、米国が最も強く世界の資金を引き付けているが、先進国ー米国ー大型株という流れで、逆に新興国ー小型株は低迷・・・これは景気の停滞を示す。
まだまだ、株式市場は警戒すべきだと指摘している。
ところが、「日経平均は30万円になる」という本を出版したと宣伝していた・・・これまた神出鬼没な評論家だ。

一般的な評論家、特に証券会社の市場部長などはほとんど役に立たないが、一部の独立系のコメンテーターはユニークな見方は面白い。


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千畳敷カールの秋


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北杜市の地元の人たちは「北杜市は中部甲信地方の中心」だという。
でも、政治や経済・文化の中心という意味ではなく、北杜市から主要な観光地へは車で短時間で行ける「地理的な真ん中」という意味だ。
北杜市に住んでいると、その地理的な距離に近さを実感する。
たとえば、軽井沢には中部自動車道が建設され伸びてきているのでほぼ1時間で行ける。
松本市や安曇野へも高速道路を使ってやはり1時間程度で行ける。
河口湖や山中湖も1時間程度の距離だ。
そして、千畳敷カールのある駒ケ根市にもちょうど1時間で行ける。
さらに2時間かければ、長野市にも白馬や北アルプスにも東京にも横浜にも行ける。
というわけで、中部・甲信地方の中心と言った地元の人たちは正しい。

上の写真は千畳敷カールだが、北杜市から1時間というので行ってみた。

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駒ケ根ICを出て車で10分もかからないところに、駒ケ根ロープウェイに行くバス亭(菅の台)があり、そこの駐車場で800円を払い車を停める。
ここから千畳敷カールまではバスのみの通行になり、車からバスに乗り換えなければならない。
そこで駒ケ根ロープウェイのチケットを買うのだが、駒ケ根ロープウェイのLINE会員になっていると30%の割引(ロープウェイだけだが)がある・・・通常ところ4200円(バス+ロープウェイの往復)のところを3440円になる。

上の写真はバスで上がったロープウェイのしらび平駅の写真だ・・・実に紅葉が美しい。

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そして、ロープウェイで上がったところに千畳敷カール駅がある。
この駅を出ると、いきなり、この雲海が見られる。
これは、駅を出たところから、南アルプス方向を撮った写真だ。
雲海に浮かび上がるように北岳を始め、多くの南アルプスの山々が見える。

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千畳敷カールを一周できる遊歩道で散策を楽しむこともできる。
また、遊歩道から登山道に入り、急な千畳敷カールの斜面を数十分上ると乗越浄土に行くこともできる。
この写真は登り道の途中から千畳敷カールとロープウェイ駅を撮ったものだ。
しばらくすると、雪が千畳敷カールを覆い尽くし、真っ白になるだろう・・・それはそれで美しいと思う。
この急な登りを越えて乗越浄土に着くと、そこに宝剣山荘という山小屋がある。
休憩には300円かかるが、中はストーブで暖かい・・・カレーやうどんなどの食事もできる。
この宝剣山荘から宝剣岳にも登れるし、高さにして100mほど登れば木曽駒ヶ岳にも行ける。
そして、帰りには早太郎温泉郷「こまくさの湯」でひと風呂浴びるも良し、名物のソースカツ丼を食するも良しだ。
千畳敷カールは素晴らしい場所だった・・・もうちょっと早い時期(10月)だったら、千畳敷カールの紅葉が見られたが、残念、紅葉は終わっていた。
夏は高山植物の宝庫でもある。


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金利が上昇を始める時、REITは天井を付ける

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NY市場が新高値を付け、景気が悪化している欧州株も上昇しフランスCACが新高値を取り、ドイツDAXも高値に接近してきている。
出遅れてきたアジア市場も新高値は取っていないものの、日本株、上海株、台湾株も上昇し、投資家にネグられてきた韓国株も上昇に転じている。
一方、米国10年債が静かに売られ、利回りが1.86%まで上昇してきた・・・米中摩擦の混乱の中で買われてきた金価格も8月の高値1551ドルを付けた後、下落に転じ現在1483ドルと軟化してきた。
世界の各地域で各資産クラスで、局面の変化が感じられる。
そんな局面変化でおそらく一番問題となるのが、米国の金利上昇と不動産・REITの天井形成だろう。

第一に、REITの分配金利回りがこの半年で大きく低下し、4%台から現在3.4%まで低下してきたことだ。
分配金利回りが3%を割り込むREITも、日本ビルファンドの2.61%、ジャパンリアルエステートの2.69%をはじめ、オリックス不動産2.99%まで8銘柄に増加している。
この利回りの低下で、さらに上昇する長期金利との差が急速に縮小している・・・もし、米10年債が2%を越えるようならば、両者の利回り格差は一気に縮まり、資金の流れが一気に変化し、グローバルにREITが暴落する状態も考えられる。

第二に、主要国のREIT価格が上昇し、米REIT指数は年初の1160ポイントから10月1524ポイントまで+31%、日本のJREIT指数も年初の1750ポイントから10月2254ポイントまで∔29%と大幅な上昇を記録したことだ。
ここまでの上昇でグローバル投資家は大きなリターンを手にしている・・・いつ売りに転じてもおかしくないほど儲かっているといえる。
大口の売りがいつ出てきてもおかしくないという市場心理、これがREIT市場を不安定化させるだろう。

そもそも、REIT指数が大幅な上昇した理由は大きく分けて二つだ。
(1)不動産景気が堅調で、オフィスの空室率が低く、賃料も増加基調をたどったというファンダメンタルの好調。
(2)昨年12月のFRBの政策変更とともに米長期金利が3%台から1.4%にまで急低下してきたという金融緩和。
この理由のうち、(1)のファンダメンタルはまだまだ堅調を維持している・・・オフィス空室率は東京や大阪だけでなく、名古屋も福岡も仙台も非常に低い状態が続いているし、オフィス賃料も安定して上昇基調だ。
しかし、(2)の金融環境は変化の兆しがある・・・そこに注意が必要になる。
10月のFOMCでFRBが利下げ打ち止めを暗示し、想定された範囲にしろ米中摩擦は一時休戦の可能性が出てきて、企業業績の底入れ期待が一気に拡大した市場・・・市場心理が一気に好転し、NY株価が新高値に進むと同時に、米長期債が売られ、金価格が売られ、REITが売られ始めていることには注目を要する。

今後、米10年債がさらに売られ、利回りが2%を越えてくると、おそらく、2%台の分配金利回りのREITはもたない。
ファンダメンタルの良さが救いだけど、REIT市場の調整はありえる・・・そうなれば、REIT価格の下落が実物不動産市場にどういう影響を与え、さらに不動産担保の融資やクレジット市場にどう影響するのかが次のポイントになる。
こうした連鎖は懸念に過ぎないが、チラッと気になる。


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マンションは賃貸がいいか? 所有がいいか?(1)

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マンションは賃貸がいいのか? 所有がいいのか? という問題はけっこう難しい。
それぞれの人生において、所有権を重視するのか? 所有せずに使用権を重視するのか? という個人の哲学の領域に入ってしまうからだ。
人生を効率的に過ごすには余計な所有は無駄になる・・・だから所有せずに使用権を確保して生活することはミニマルな生活につながる・・・と思う人もいる。
また、人生においては所有がすべてで自分にとって価値ある物に囲まれて過ごすことがすべてだ・・・と考える人もいる。

人生哲学の論争はさておき、現実的にはどうなのだろうか?
家計の管理を企業経営として考えた場合、いくつかの観点が出てくる。
企業は毎年決算を行って、その年の売上、費用から利益を計算し、そこから税金を払い、最終利益を内部留保として資本に組み入れる・・・PL(損益計算書)だ。
もう一つは、企業の資本金と借入金を使って投資を行い、経済活動を行う・・・この資本と負債、さらにその事業成果である内部留保を資本に加えて、BS(バランスシート)を作る。
このPLとBSから、マンションは賃貸すべきか、所有するかを考えてみたい。

まず、PL(損益計算書)から考えてみる・・・
個人の家計PLだが、夫婦合計の年収が売上に相当する・・・そして、生活費、住居費、娯楽費、教育費、所得税や地方税その他の税金、さらに保険やその他の費用を差引き、その年の家計PLが出来上がる・・・企業の利益にあたるのが家計貯蓄になる。
企業経営は利益を上げることが唯一の目的だが、家計の場合は生活を楽しむなどの娯楽教養が目的の場合もあるこことに留意する必要があるが・・・。
そして、マンションを買った場合のローン返済やマンションの賃貸料もこの住居費に含まれる。
つまり、この問題は住居費という項目の中で話であり、この費用をどう考えるかで決まる。

では住居費を最適に管理するにはどうすべきなのか?
マンションを買ってローンを組むと、たとえば、30年という長期ローンを組んで毎月20万円程度の返済、可処分所得の3割から4割の返済をすることになる。
このローンの元利支払いを費用とすると(企業PLでは金利だけがコストになる)、この3割から4割にもなる元利返済は大きな固定費となる。
一方、マンションを借りて賃貸料を支払う場合、その賃貸料は変動費に近い性格になる・・・固定費が長期にわたって支払うコストであるのに対し、賃貸では安いマンションに引っ越すなどの賃貸料を引き下げる選択肢があるため変動費に近い。

そして固定費比率が高くなると、もし売上=年収が減ったら、その固定費を削ることができないので赤字になりやすくなる。
一方、賃貸ならば、もし年収が減っても、賃料の安いマンションに引っ越せばいいだけなので比較的簡単に対応できる。
今の企業経営では固定費を削減し、変動費化していくのがトレンドだ。
本社ビルを売却して、まるまるビル一棟を賃貸するケースも多いし、社用車も所有せずにハイヤー会社から運転手毎のレンタルをする・・・などなど。
固定費を変動費化すれば、売上(年収)の変動に対してコストを抑えやすいというメリットがる。
同じように家計PLでも変動費化する方が効率的だ。

それではマンションの所有は不利なのかというとそうでもない・・・年収が安定している人たちや年功序列の会社に勤めている人たちには有利な選択だからだ。
当面の生活ではローン返済がキツイが、年功序列で給料がどんどん上がっていき、10年、20年後には楽に返済できるようになる。
しかしながら、問題は年功序列賃金を維持している会社はどんどん減っている・・・年功序列賃金の崩壊とともに、生涯収入に占める住居費・・・住宅取得費(ローンを含む)、住宅賃貸料合計を管理することが重要になっている。
そうなると、マンション賃貸が生涯賃金に占める住居費を減らせる重要なやり方だ。

ところが、PLだけでなく、BSを考えると事情が変わってくる。
以降、次回に続く・・・


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チャート分析の話(7 窓ギャップ)

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チャート分析でいう窓(ギャップ)とは、買い気配や売り気配で株価が大きく動き、取引がない価格帯ができることで、その価格帯を窓(ギャップ)と呼ぶ。
ある日突然、業績の上方修正や新製品の開発など何かしら好材料が出て、投資家の心理が一変する・・・すると、翌日の朝、大量の買い注文が集り、買い気配を上げて寄り付く。
ここでできるのがギャップで、その意味は、全く違う大きな変化が起こったということだ。

窓(ギャップ)には大きく分けて三つの種類がある。
大きな株価材料で会社が大きく変わるという時に窓(ギャップ)を開けるわけで、こうしたギャップをブレークアウェイ・ギャップと呼ぶ。
このブレークアウェイ・ギャップを会社の大きな変化を示しているわけで、通常、窓埋めをしない。
窓埋めとは一度窓が開いた後、株価が下落して元の水準に戻ること・・・元の木阿弥になってしまったということだ。

次にさらに会社の変化が進展したというニュースで株価上昇の途中に窓を開けることがある・・・これがランアウェイ・ギャップで、変化の進展による窓だ。
これは窓埋めしないとは限らない。
会社の変化が持続的に起こるのか、それとも途中で失速するのか、という問題で、途中で失速してしまえば窓埋めが起こる。

そして最後に買い方がすべての力を使い果たして開けるギャップ・・・これはエグゾースチョン(消耗)・ギャップと呼ぶ。
売り方の踏み上げや買い方の最後の全力買いで、窓を開けて上昇することがある。
でも、これはトリの花火のようなもので、派手だが長続きしない。
だから、このギャップは比較的短期で窓埋めをするというのが定石だ。

この三種類のギャップをどう見分けるかでパフォーマンスが違ってくる。
会社のファンダメンタルが大きな変化をして開けるブレークアウェイ・ギャップだとしたら、押し目買いを一貫しなければならないし、上昇途中のランナウェイ・ギャップならば、ここから上は短期勝負で臨まなければならない。
そして、一番危険なのはエグゾースチョン・ギャップで、これだと判断したら「即売り」が賢明だ。
企業のファンダメンタルの変化とギャップの性質を比較して判断するしかない。

俗に言う「三空、踏み上げ型」とか「三空、叩きこみ型」とか言われる三つのギャップを開けるパターンは、先に上げた三種類の窓(ギャップ)が連続して起こる型だ・・・ただし、三空とは限らない・・・ワシの経験では「孫悟空=損、五空」という形もありえる。

ただし、日経平均などでは窓はあまり意識しない方がいい。
というのは、NY株式が上昇すれば日経平均は上値に窓を開けるし、NY株式が下落すれば日経平均は下値に窓を開ける・・・ファンダメンタルな意味はほとんどないからだ。


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中国の不動産売却、逃げるが勝ち?


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中国の不動産開発の大手、SOHO中国が北京市と上海市に保有する不動産の大規模売却を行うと報じられ、株価が急騰を演じている。
8棟のオフィスタワーの売却計画で総額500~600億元(7000億円以上)となるという。
この計画の他にも北京市と上海市で20棟の不動産売却も検討していると報じられている。

業績の悪化が大きな理由で、今年上期の純利益の48%という大幅な減益だった。
ただ、それだけでなく、国内景気の停滞や米中貿易摩擦で外資系の撤退が続き、北京市全域の空室率が前年同期比40.9%上昇、さらにビジネス重点地区でも20%上昇、オフィスタワーの空室の増加が大きな理由になっているという。
しかし、これが好材料なのか悪材料なのかは微妙なところがあるが・・・同社株はこの売却計画の発表で1週間で26%と大暴騰した。

このニュースの意味は深く大きい。
一つには中国の不動産会社は資産売却を発表すると株価が急上昇することだ。
つまり、不動産市場がピークアウトしていると投資家がうすうす感じているのだろう・・・だから、オフィスタワーの売却で株価が上がるというわけだ。
もう一つは中国のマクロ統計では相変わらず、融資総量が二けたで伸びていることだ。
10/20のウィークリー雑感でも注目したが、中国の経済統計全般に停滞感が強くなってきている一方、社会融資総量が前年比10%以上で増加している。
不動産市況の悪化が融資の不良債権化につながる懸念もある。

SOHO中国は北京市や上海市の不動産の大量売却で「うまくやった」と思っているかもしれない。
でも、こうした「逃げるが勝ち」の不動産市場は先行きの混乱を暗示している。
さらに北京市郊外は大規模開発の真っ只中で、新しく官庁街を作り、ビジネス重点地域を造成中だ。
政府が鳴り物入りで進めている不動産開発計画で、オフィススペースが大量供給される・・・こうした新規開発が他のビジネス地域の空室率が高めてしまう可能性もある。
今回のSOHO中国のオフィスビルの大量売却は発表後の株価上昇もあって、それほどの懸念を呼んではいないようだが、今後の不動産関係のニュースには注意を怠れない。


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ウィークリー雑感(11/3バリュエーションの壁)


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FOMCで3回連続の利下げとなったが、パウエル議長のコメントでは「適切に行動する」という文言を削除し、現状のスタンスが適切で12月のFOMCでは利上げを見送ると示唆した。
利下げも利上げもないというFEDのスタンスをややハト派と解釈し、NY市場は上昇し新高値に接近した。
その結果、2018年には14~16倍のレンジで推移していたNYダウの予想PERが18倍を越えた・・・これ以上の株価上昇には、PER19倍~20倍というバリュエーションを正当化するには将来のEPSの大きな上昇が必要になるだろう。
この3か月間、景気回復の期待と金利低下の期待が同時に市場を席巻し株価を上昇させてきたが・・・PERの上昇には限界があるので、EPSが増加し今の株価上昇を正当化する局面が必要だ。
その意味では次の10-12月期決算でEPSの大きな増加が見られるかがポイントとなる。

金利とPERには明確な関係がある。
市場に金利低下の期待があれば、より高いバリュエーションを許容できるという経験則だ。
PERは株価/利益なので、ひっくり返せば、1/PER=益回り=利益/株価だ。
そして、金利は利息/元本であり、益回りも同じで元本に対する利益だ・・・つまり、金利が下がると、益回りも下がる・・・そして、その逆数のPERは上昇することになる。
市場の金利低下期待がある時は、より高いPERも許容され市場のPERは上がりやすい。
実際、FEDが予防的利下げを始めた7月から、NYダウのPERは16.5倍から18.2倍(10月末)まで上昇してきた。
FEDの予防的利下げが終了した現在、PERがどんどん上昇する状況ではない。

からNY市場には「20のルール(法則)」があった。
これはインフレ率と市場PERの数字の合計が20を上回らないという経験則だ。
インフレ率が5%の時は市場PERは15倍が限界で、現在のようにインフレが1%に低下すれば、市場PERは19倍が限界値になるとするルールだ。
インフレ率が低下するほど市場PERは上昇してもいいが、このルールでは現在の18倍~19倍のPERはそろそろ限界に近くなってくる。

強気の評論家はどんどん増えているが、投資家としてはここで一回立ち止まって考えるところだと思う。
下方修正したり減益決算を発表したり・・・それでも株価が上昇しているので、強気になっている投資家も多いと思うが、この状況が永遠に続くわけではない。
今後はリアルに業績が拡大してくる企業と、期待先行で業績回復が遅れる企業の選別が起こってくるのではないだろうか?
PERなどのバリュエーションとリアルな企業成長を比較して選別するというあたりまえの事が重要になってくるかもしれない。


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女性天皇はOKだけど、女系天皇はブーイング

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天皇・皇后両陛下の「即位の礼」が行われた。
男性皇族がたったの2名で、女性皇族の多さが目立った儀式だったが、今後、男系男子の天皇継承が変わってくるという感じを多くの国民が感じたと思う。
世論調査では女性天皇と女系天皇も容認派が多いが、女系天皇は大きな問題だ。

女性天皇を認める場合、女性皇族が結婚後も皇籍を維持する、つまり、女性宮家を創設することになる。
女性皇族も男性皇族も同じように海外留学を始め高度な教育を受けているし、マナーや気遣いなどを完璧にマスターしている。
そういう意味では、皇室流の教育を受けた女性皇族が天皇を継承しても全く問題はないと思う。
「即位の礼」や「饗宴の儀」で海外の国賓たちを接待する様子が報じられたが、天皇・皇后両陛下は堂々と接待できるレベルのこコミュニケーション能力(語学力を含む)や品位・気品、あるいは世界レベルの教養を持った日本の象徴だ。
女性天皇でも同じように職務をこなすことも可能だろうと思われる。

しかし、女系天皇には問題が多い。
女系となると、女性皇族とその配偶者の子供が皇位継承権を得ることになる。
たとえば、最近の女性皇族の結婚を見ると、昭和天皇の娘である池田厚子さん、島津貴子さん、平成天皇の娘である黒田清子さんなどの例がある。
女系の皇位継承となると彼女たちを皇籍に戻し宮家を創設するとともに、彼女たちの子供が皇位の継承権を持つ・・・つまり、民間人となった元皇族に育てられた民間の子供に天皇継承の可能性が生じることになる。
天皇継承権を持つ子供は一般国民の子供とは違い、皇室の伝統に沿って育てられ、皇族として教育され、世界標準の教養を身に付けていく必要がある。
その点、民間人の子供には難しいし、また、本人が希望しないケースも多いと思う。

女性天皇と女系天皇には大きな違いがある。
天皇継承権を持つ子供として教育されたか、民間人として教育されたかは、国民統合の象徴としての天皇の役割を考える時、大きなポイントになるだろう。
女性天皇まで認めて天皇陛下の娘の愛子さままでの皇位継承は多くの国民が納得すると思う。
女系天皇となると・・・簡単にいえば、秋篠宮家の長女と婚約相手(報道によると、小室さんだが)、その子供までの皇位継承(女系天皇)を納得するだろうか?


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日銀ETFの貸し付けで変わる市場

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日銀が量的緩和で購入してきた株価指数ETF・・・それを貸し付ける制度が始まる。
日銀の保有する株式指数ETFは30兆円にも達しそうなレベルで、これを利用して貸し株料をしっかり稼ぐことは国民資産の有効利用としても注目される。

基本的なETFの仕組みを振り返ってみよう。
巨大投資家がETFを買おうとして市場に大口買いを発注する・・・すると、マーケットメーカーが手持ちのETFを売却して顧客の買いに対当する・・・あるいは、マーケットメーカーがETFをショートして対当する・・・という二つの方法がある。
もちろん、手持ちのETFがあれば全く問題もなく、市場で売買が成立する・・・しかし、手持ちがなく、ショートして顧客の買いに対当する場合にはちょっと工夫がいる。

そのマーケットメーカーがETFをショートした場合だが、マーケットメーカーが株価指数の先物を買ってポジションを中立にする、あるいは、マーケットメーカーが現物株バスケットを買って、ETFを発行している投信会社にその現物株バスケットを持ち込み、株価指数ETFと交換し、ポジションのショートカバーをする・・・という二つの方法がある。
そして、今回の日銀のETF貸し付けだが、全部で30兆円にものぼる日銀保有のETFをすべて貸し付けに使えるとしたら、マーケットメーカーは簡単に、そしてほぼ無制限にショートを振れることになる。
つまり、ショートを振った後、市場で現物株バスケットを買い、ETFと交換する手間が省ける・・・マーケットメーカーには非常に便利なツールとなる。

でもよく考えれば・・・投資家のETF買いに対して、マーケットメーカーが市場で現物株バスケットを買う必要もなくなる。
つまり、日銀やその他の投資家のETF買いが巡り巡って市場での現物株の買いにつながっていたものが、今後はなくなるということだ。
マーケットメーカーは流動性の高い指数先物によってポジションを調整すればいいだけになる。
その結果、現物市場の流動性がその分減少するかもしれない。
もちろん、現物市場では多くのプレーヤーが多くのトレーディングを行っているので、日銀の買いがなくても高い流動性は維持できるだろう。
でも、株価が下落すると日銀のETF買いを期待する向きには期待外れになるかもしれない。


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「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
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PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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