株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2019年06月

ウィークリー雑感(6/30 G20の勝者は習近平)

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G20は各国首脳同士の直接会談が多く、その全貌はなかなか一般人には分からない。
断片的な情報だけでだが、開催国日本の安倍首相、全体会議での奮闘、精力的な各国首脳との会談が報じられている。
トランプ大統領は相変わらず、得意の口先であれこれ話題を振りまいている。
でも、恐ろしいほど戦略的に動いたのは、習近平、中国主席だという気がする。

トランプ大統領との会談前にも、BRICS各国の首脳と、日本や欧州の首脳と相次いで会談している。
しかも戦略的に動き、BRICSの各国首脳との会談後は、「世界経済を混乱させる保護主義に反対する」とか、「単一国が勝手に行う制裁に反対する」とか、明らかにトランプ氏の包囲網ともいえる一連の会談内容をリークしてきた。
アメリカを名指ししてはいないが、明らかにアメリカの包囲網を作っているように見える。

G20の前に、習近平はロシアに行きプーチンに媚びを売り、北朝鮮を訪問し金正恩に熱烈ば歓迎を受けた・・・これらもトランプ大統領との米中トップ会談を意識した外交であったと思われる。
そして、G20ではもちろん先進国の首脳とも会っているが、新興国の首脳を精力的に会談したように見える。
習近平と中国はG20の前から周到に準備を行い、保護主義的な政策に反対する陣営を増やしてきた・・・そして、G20に入ってからも着実に新興国の首脳を味方につけ、トランプ大統領との首脳会談に向かったのだろう。

これだけ準備され、米国もトランプも一時、習近平の意見を取り入れたということだろう・・・中身がよく分からない会談結果を次々を発表した。
「追加関税は当面、課税しない」とか、「貿易交渉を再スタートする」などで、5月の追加関税以降、途切れていた貿易交渉を再開させ、ファーウェイへの米部品も安全保障に問題がないかぎり販売可能と公表された。
交渉の再開は両者の既定路線だったのだろうし、これで何か進展があるかは分からない。
ファーウェイへ輸出も、米半導体のマイクロンがすでに安全保障に抵触しない製品の輸出を始めるとのアナウンスがあった後で、これで従来の禁輸リストを全部解除するわけではないだろう・・・安全保障という規定をより厳格に管理するということだと思われる。
となると、実質的に何が変わったかというと不明確なので、米国の反中派も特に反対できない曖昧な会談結果となっている。

さらにトランプ大統領が韓国-北朝鮮の非武装地帯で金正恩に会うことも、おそらく、習近平がお膳立てしたのではないだろうか。
習近平の北朝鮮訪問の間にトランプの突然の非武装地帯への訪問が企画され、G20でのトランプー習会談でトランプに提案され、トランプがそれに乗っかったと推測している。
これだけの結果は、習近平の周到な準備工作が功を奏したためといえるのだろう。
その背景にあるのは、米国に対して一定の距離を持つBRICSや欧州諸国、アフリカ諸国、中南米諸国などに積極的な外交をして、トランプ包囲網を作り上げ、トランプ政権に圧力をかけたことで、これにより表向きの貿易交渉の継続を獲得した。
香港の民主化運動家が「香港問題」をG20で取りあげるように運動したが、それも習近平が抑え込んだというところかもしれない・・・なかなかやるなあ、習近平。



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日米安保の破棄の意味

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トランプ大統領が日米安保について不満をツイートし、日本政府はあわてて火消しに動いた・・・G20では「破棄は考えていない」とした。
でも、安保の不公平さが今後のトランプ大統領の交渉カードになる可能性はある。

この件でいくつかの面白い事が見えてきた・・・まずは、韓国の喜び方だ。
政権の生命線であった北朝鮮関係では金正恩に役に立たないとされ、米国からは「北のパシリ」と言われ、レーザー照射問題や元徴用工裁判問題で日本からはまるで相手にされず、四面楚歌になっっている文在寅が、日米安保をめぐるトランプツイートで大喜びしている。
日本が安保体制をめぐって米国関係に亀裂が入れば、今度は米国は韓国重視に変化するかもしれないというところだろうけど・・・
日本に問題が出ると、文在寅の留飲を下げるといったことろかもしれない。

習近平にとって日米安保は中国を封じ込めている邪魔なものなので、日米安保に亀裂が入るのをほくそ笑んでいるかもしれない。
第一列島線(日本列島から奄美、沖縄、台湾に至る列島ライン)から外に出て、太平洋に影響力を広げたい中国にとっては、沖縄とグアムの米軍基地がなんといっても邪魔だ。
もし、日米安保に亀裂が入り、米軍が沖縄撤退すれば、台湾と尖閣間の海域を通り、太平洋に軍事的影響力を拡大できる。
そして、太平洋を越えれば、ハワイを越えて、米国本土に到達するコースが開けてくる。
この邪魔な日米安保が破棄されれば、習近平が大喜びだろう。

米国政府はこのトランプのツイートを交渉カードとして使うかもしれない。
すでに米軍の駐留費の7割は日本が払っているので、単に基地費用の負担を増やせという問題ではないだろうし、米軍が攻撃を受けた場合には日本軍が守る集団的自衛権は安保関連法案として立法化されたし、現実的な日米安保体制は、トランプが言うほど不平等なわけでもない。
それ以上に中国を東シナ海に封じ込めておくためには、沖縄とグアムの米軍基地が地政学上の要衝になっている現状は非常に重要だ。
その沖縄を軍事要塞として重視するとしたら、米国にとっても日米安保は必要な同盟条約になる。
したがって、直接的に安保を破棄するという議論より、今後の貿易交渉のカードとして使う可能性が高い。

日本国内には「立憲主義を守れ」という訳わからない安保反対派もいるし、沖縄には基地反対の人たちも多くいる。
しかし、平和憲法を守れと言っている人たちにも、日米安保が破棄されたら日本の安全保障をどうしたらいいのかという点で、何の知恵も現実的な発想も持っていない。
日米関係が日本の基盤であるのは間違いないし、これなしには日本の安全保障体制が成り立たない。
その意味ではトランプは日本の痛い所を突いてきたといえる。
この日米安保を他の交渉(たとえば・・・貿易問題や基地費用負担問題)のカードとして使われたら、日本は何も反論できなくなってしまう・・・米国の言いなりになるしかない。
もし、「自動車輸出を制限しろ、しなければ安保を破棄する」とトランプに言われたら、日本政府はどう反論するのだろうか・・・反論できない・・・これが現実だ。
圧倒的に不利なところに追い込まれるかもしれない・・・これが懸念される。


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「興業」は反社組織の表の顔?

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吉本興業の芸人が振り込み詐欺グループの宴会に出席し、ギャラを受け取り謹慎処分なったが、もともと、日本社会では「興す」はイベントのプロモーターだった。
身近な例だと、昔ながらの神社のお祭り。
子供の頃は、お祭りの露店や夜店、金魚すくい、焼きそば、水あめ、射的などが魅力的だったし、お神楽での演芸会では、手品師、漫才師、腹話術師などが登場して盛り上げていたのを思い出す。
でも、露店や夜店はテキヤと呼ばれる人たちが営業権を仕切り、プロモーションをしていた。
演芸会でもイベントのプロモーターは「〇〇興業」などの会社が仕切っていた。
彼らの正体は暴力団の表の顔で、普通の会社や組織に見えても、裏では暴力団の資金を稼ぎ、「上納」していた。
昔の日本社会では、市民生活の近いところに暴力団がいて資金かせぎをしていたといえる。
シャンシャン株主総会を仕切ってきた総会屋も同様の組織だし、商店街も暴力団に「シノギ」を渡し、他の暴力団から商店街を守ってもらってきた。

暴対法改正や暴力団排除条例が施行され、相手が暴力団の場合、会食をしたり取引をしたりという普通の付き合いが違法行為となったが、まだまだ、意外と近いところに暴力団の陰があったということを改めて認識させられる。
吉本興業にも同様の「昔ながらの関係」はあったのだろう・・・もちろん暴対法の施行から反社会組織とは決別しているはずだが・・・そうでなければ生きてこれない。
過去、暴力団との関係が噂された芸人も多い・・・島田伸介もそうだし、横山やすしなどは良く知られているが、他にも暴力団との関係があった芸人や芸能人は多かったはずだ。
今回は「ヤミ営業」でお笑い芸人が勝手にやった事とされているが、こうした「ヤミ営業」がこの件だけとはいえない・・・横行していたかもしれない。
吉本興業は宮迫など11名の謹慎に加えて、スリムクラブも無期謹慎にした。

NY市の割れ窓理論ではないが、今回のような事件をそのままにしておくと、もっと大きな問題が続出しかねない。
割れ窓理論とは、市内の割れたガラスを放置しておくと、もっと大きな犯罪の温床になるというセオリーで、小さな犯罪をきちんと処理しないと大きな犯罪につながるという意味だ。
ここ数年、薬物問題と反社問題が芸能界に蔓延している。
薬物とヤミ営業はどこかで反社会組織とつながっている可能性が高く、芸人や芸能人のアキレス腱だ。
これだけ多くの芸能人が関わっているとしたら、芸能事務所だけでなく、彼らを使うテレビ界、イベント業界、CM業界などを含めて広範囲な対応が求められる。
業界として暴力団の排除を明確にしないと、芸人は誰にも信頼されない。


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バブルの物語(2 80年代日本に学ぶ)

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今さらという感じもするが、やっぱり、避けては通れないということで、1980年代の日本のバブルを取り上げてみよう。
この時期の日本は「バブルの教科書」のような状態で、バブルを勉強するのには最も良い事例かもしれない。

まず、第一にバブルには多くの大衆を巻き込むだけの大きな夢がある・・・視点1は「バブルの夢」。
日本経済は戦後から復興し、半導体や精密部品、自動車、家電などの耐久消費財、カメラなどの精密機器、主要な製造業分野で圧倒的な技術優位を作り上げた。
その頃、ジャパン・アズ・NO1と言われたが、日本国民は日本が1番だと夢見心地になった。
これがバブルの夢を作り出したのは事実だろう。

第二に、バブルを発生させる需給構造・・・視点2「バブルを起こす需給」
黒船(外国資本)が来ると恐れる日本企業は1970年代から株式の持合いをして、外国資本による買収からお互いに身を守る構造を作ってきた。
いわゆる株式の法人化だが、これによって上場株式の3割以上は持合いで市場外で固定されてしまった。
つまり、上場株式の30~40%が市場に出てこない株式となってしまい、結果、流通株式が減少し買いが入ると上昇しやすい市場構造になったいた。
これがバブルの土台となったと4いえる。

第三に、借金して大儲けをしたいというバブル動機・・・視点3「バブルを加速させるレバレッジ」
当時、「ゴルフ会員権は二口買え」と言っている人がいたが、その意味は会員権を2口買っておくと、会員権価格がすぐに2倍になり1口を売却しする・・・すると、無料で会員権1口が手に入るというわけだ。
これが実はレバレッジというもので、バブル発生すると、必ず、レバレッジをかけて大儲けしようとしる人たちが出てくる。
こうした大儲けムードがバブルが増長させていった。

この三点、「バブルの夢」、「バブルを起こす需給」、そして、「バブルを加速させるレバレッジ」がそろった時、市場はバブル的になってくる。
もう一つ重要な事は「大衆を巻き込む」だが、大衆を巻き込むには、バブルの夢が必要だし、誰か先導役も必要だ。
このコーナーでは、こうした三つに視点から、最近起こっている様々な小さいバブルを見ていきたいと思う。



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米中摩擦の次の火種

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1997年、22年前の香港返還の時、一国二制度を認めた北京政府。
しかし、香港の政治犯を北京に送ることができるという逃亡犯条例の改正案の撤回を求めて、200万人という大規模なデモと反対運動を起った。
一国二制度といっても、実質的に北京政府による支配は進んでいる・・・これは香港だけでなく、台湾も同様だ。
一方、習近平は台湾や香港は北京政府の核心的利益だと言い、絶対に北京政府の支配下に置く方針を明確にしている。
香港や台湾の民主主義で育ってきた若者が自分の将来を考える時、簡単に共産主義にはなじめないので、北京政府とは対立せざるを得ない。

香港での民主化運動は5年前に雨傘運動として盛り上がったが、市民生活を考えたやり方をしなかったので一般香港人の心が離れ、北京政府の介入で学生運動のトップが逮捕されて運動は求心力を失った。
でも、今回はデモに参加した若者だけでなく親たちにも理解が広がっている・・・将来のある若者が自ら選択することを応援しようという親たちが増えた。
こうした一般市民の理解と支援が大きく違う。
今回の香港市民は前回とは200万人が参加したという規模と若者だけでなく親世代まで含めた広がりの二点が全く異なる。

一方、台湾では「国家安全法の改正案」が可決し成立した。
これは中国当局へ協力してスパイを行う役人や軍人に厳罰を与えるもので、北京政府への影響力をスパイ活動という非合法的な部分から排除することを規定した。
そして、今年は台湾の総統選挙がある・・・親中派、独立派、鴻海の郭さんなど、選択肢が豊富な選挙となる。
台湾人がどんな選択をするのか・・・非常に注目される。
台湾では、香港市民の民主化運動ほど目立っていない・・・それは台湾は民主国家として議会を持ち選挙で総統が選ばれてきた歴史があるからだ。
だから、自由と民主主義を愛する台湾人は、共産主義の北京政府、それを受け入れる中国の本土人とは相いれない。

これから一国二制度の香港や台湾がどうなっていくのかは、それぞれ香港人や台湾人が自ら決めていくことになるだろう。
米国防省の「インド太平洋戦略報告書」の中で、アジア地域でシンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴルは信頼できる米国の自然なパートナーと位置付けた。
アジア地域の自由と民主主義を守るための重要なパートナーということは、中国共産党の地域支配に対峙するという米国の意思を意味する。
そして、今回の香港の200万人デモ・・・世界の良識ある人々は全面的な支援をするだろうし、当然、自由と民主主義の守護神である米国も支援するはずだ。
香港人と台湾人が自らの意志を総統選挙や反北京運動で示すならば、米中摩擦は次のレベルへと引き上がっていくだろう。



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日本のメディアの不思議

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地上波テレビなんて、それこそオワコンだ。
インターネットのデータ送信容量が飛躍的に拡大し、普通に動画が見られるようになり、インターネット動画配信が急速に広がっている。
現代人の趣味趣向はどんどん多様化し、昔のように、家庭のお茶の間にテレビがあって、家族全員で同じ番組を見るなんて、もはやあり得ない時代になってしまった。
これだけの変化の中で、唯一、何も変わらないし/変われないのが地上波テレビ局だ。

でも、不思議なことにテレビ局の社員は高給取りで、TBS・日テレ・フジの社員に平均年収は1500万円にも上る。
一方、視聴率はどんどん低下し、テレビのドラマではもう10%切る視聴率があたりまえだ。
NHKの看板ドラマ、大河ドラマでも10%以下の低視聴率であえいでいる。
NHKは別格で、視聴率を気にする必要もないが・・・民放テレビは視聴率が下がると、広告宣伝の単価が下がり、業績に直結する。
テレビ広告にはタイムと呼ばれる番組のスポンサーになってする収益の中心となる広告と、スポットと呼ばれる空き時間に流すだけの広告があるが、視聴率が下がると主力のタイムの収益にモロ影響してしまう。
視聴率が傾向的に低下しているということは、タイム収入も傾向的に低下し、テレビ局の業績を悪化させる・・・でも、平均1500万円の年収を社員に払うって、どんな会社だろ???

もう一つ不思議なことは「お笑い芸人」ばかりテレビ出演していることだ。
ここに強烈な違和感がある。
バラエティ番組に出演するのはいい、クイズ番組でも「ボケ」担当が必要だろうから、まあ許せる、しかし、報道番組は許せない。
これは大御所のビートたけしでも一緒だ・・・あまりに理解度が低いからだ。
報道では様々な知見が求められ、きちんとした基礎知識の上に発言をすべきで、奇をてらったような発言は不要だし、ましてや「ボケ」はいらない。
それを勘違いして、報道番組で「笑い」を取ろうとしたり、全く勘違いしているお笑い芸人が多い。
これがテレビのレベルを引き下げ、視聴率を引き下げ、そして、広告効果を下げる。

宮迫などのお笑い芸人の「ヤミ営業」問題が表面化したが、オレオレ詐欺グループや暴力団関係という反社会的組織と決別できないお笑い芸人は、テレビやその他、人前に出てくる資格そのものがない。
振り込み詐欺グループとの関係は知らなかったでは済まないし、おカネを受け取らなかったからセーフではない・・・反社会組織との関係は法律違反であることを知らなかったでは済まないし、会社員だったら懲戒免職ものだ。
暴力団との関係でお笑い芸人を辞めた紳助もいるが、こうした反社会勢力との関わりは致命傷だ。
当面謹慎で済む問題ではなく、人前に出る資格がない・・・こうしたことを厳しく処理することができなければ、民放の価値はさらに暴落する。

このままで行くと、朝から晩までテレビをつけっ放しにして見ている高齢者もだんだんいなくなり、若者や主婦のテレビ視聴者も減少してしまう。
すでに「地上波には見たい番組がない」という人がメチャクチャ増えている。
衛星放送を見たり、ケーブルテレビを見たり、インターネット放送を見たり、どんどん多様化している。
すでに下請けの番組制作会社は、利益を削ってなんとか番組制作を受注している状況で、これが民放各社の業績を支えている・・・しかし、下請けへのしわ寄せが限界にくれば、民放本体の業績を直撃するのは間違いない。
その時、ホントにオワコンになってしまう・・・その時、お笑い芸人はどうするのだろうか?
本業の漫才やコントで生きて行けるのだろうか?
高給取りのテレビ局社員は、大幅な年収ダウンに耐えられるのだろうか?
あるいは、厳しい給料の引下げに耐えられるのだろうか?


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バブルの物語(1現代のバブルとは)

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古典的なバブルは、たとえば、16世紀オランダのチューリップ・マニア(チューリップの球根への投機バブル)、18世紀英国のサウス・シー・バブル(南海泡沫会社への株式バブル)などだが、その規模の大きさと実態経済への大きな影響がある、歴史的な熱狂相場があった。
それぞれ、金融の天才がものすごく儲かる方法が見つけ、その一攫千金の夢に投機人気が高まり、さらに投機が拡大して一般人も巻き込み、大儲けを企み緩い金融が借入れを増やし、さらに熱狂場面に行く・・・そして、「最後は暴落して元の木阿弥」となる。
言うのは簡単だが、人間の本性=金銭欲が根本にあるので、歴史的にも現在でも何回も何回も繰り返されてしまう。

ここでは現代のバブルを中心に取り上げるので、「バブルの歴史」に興味ある人は、上のガルブレイスの「バブルの物語」でも読んでほしい。
過去の歴史的なバブルとは全く違い、現代のグローバル市場では、昨年の「ビットコイン投機」でも見られたとように小さなバブル(グリーンスパンはフロスと呼んだ)が次々と絶え間なくに生み出されている。
一般の人でも「これがバブルだ」と認識できないと、その後バブルの崩壊で痛い目にあってしまう。
この現代のバブルを見極めて、自己を守る対応策を身につけないと、思わねところで大きな損失を出してしまうかもしれない。

でも、バブルに乗っかって儲けるのはすごく楽しい。
広末さん主演の映画「バブルへGO」でもタイムスリップした主人公が、1980年代バブル期の日本で「バブルって最高!」と叫ぶ・・・というぐらい、バブルは楽しい。
ただし、残念ながら楽しい時期は長くは続かない・・・いつか夢から目が覚める、その時、大損しているのに気がつく・・・これがバブルだ。
そして、バブルのピークで目が覚め逃げることは、極めて難しい。

現代のグローバル市場は、昔と違い、多くのバブルが同時に発生し崩壊していく。
基本的におカネの経済が量的緩和で膨張し、これが恒常化していることで、何か儲かると思うとバブルが発生し投機が投機を呼ぶ・・・昨年のビットコインはその典型例だと思われる。
こうした現代の市場で運用していくにはバブルとの付き合い方がどうしても必要になるだろう。
最近の株式を中心としたバブルを振り返り考えることで、少しはバブルの楽しみ方が分かればいいかなって思う。


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ウィークリー雑感(6/23 FBの暗号通貨、中銀の反感)

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フェイスブックが暗号通貨に乗り出す・・・その通貨はLIBRAで、なんか待ちに待ったような理想の暗号通貨だ。
まず、第一に、通貨の価値を既存のドル・ユーロ・円などに連動させていること。
ビットコインはその供給量を絞り込むことで将来の値上がり期待が生まれるように設計されていた。
でも、このLIBRAは主要通貨に連動させることで、著しく投機性を抑え、実際に使える代替通貨にしようと設計されている。

第二に、フェイスブックのアプリなどで使えるので、全世界で20億人以上が使うことになること。
暗号通貨を送金に使う場合、送金相手も同じアプリに参加していないと使えない。
しかし、フェイスブックは全世界で20億人以上が参加する巨大なアプリなので、個人間の送金などでも使い勝手が非常に良いはずだ。

第三に、どんな金融取引をしても手数料のない便利な暗号通貨になることだ。
個人間の送金も無料、海外への送金も無料、どの通貨に交換しても無料・・・などなど。
LIBERAを持っていけば、海外旅行でも一々ドルやその他の外貨に換える必要もないし、海外サイトで買い物をしてもLIBERAで払えば、なんの問題も手数料もかからない。

まさに待ちに待った仮想通貨の登場だといえる。
でも、このニュース発表後、フェイスブックの株価は上がらずに、逆に小幅に下落した。
この便利な仮想通貨は中央銀行の通貨発行権を制限してしまう可能性があり、中銀や金融当局からは逆賊のように見えるだろう。

第一に、日本では財務省の造幣局で日銀券が印刷されるが、そのコストは紙とインクであり、1万円札でも数円から十数円程度だ。
それを1万円で市中銀行に売ると、9990円ぐらいの利益が上がる・・・これがシニョリッジと呼ばれる通貨発行差益だ。
フェイスブックのLIBRAが実際に流通してしまうと、LIBRAが流通する分の通貨発行差益を通貨当局が受け取れなくなる可能性がある。

第二に、さらに通貨供給量の管理は金融政策の大きな柱の一つだが、フェイスブックがLIBRAをどんどん発行し、使われるようになると、そのLIBRAがいつ、どのぐらい円に交換されるかで、円の通貨供給量が決まる・・・つまり、通貨当局が発行量を管理することが不可能になってしまうことだ。

その他、よく言われる通り、FBの個人情報セキュリティの問題もある。
個人情報に流出リスクに加え、LIBRAの盗難リスクが上乗せされ、盗難リスクを誰が負担するのか、盗難を防ぐセキュリティのコストを誰が負担するのか、金融システム全体に影響した場合金融当局はどうするのか・・・などなど、多くの問題が浮上するだろう。
LIBRAは本格的な暗号通貨として成長し、既存の通貨が代替していく可能性があるが、その前途は必ずしも簡単ではないかもしれない。

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株式需給の達人(基礎編)

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株式需給の達人(基礎編)という本を出版しました。
Kindle版のみの発売、eBOOKなので格安(480円)で手に入ります。
残念ながら、紙の本では出版する予定はありません。
公開されているデータを用いているので、コツが分かれば誰でも株式市場の需給を判断することができます。

株価は株式価値と株式需給で決まるといっても過言ではありません。
個人投資家にとっては、株式投資での成功には株式需給の理解がかかせません。
その株式需給の見方をリアルに理解する方法を分かりやすく書いたつもりです。
著者は10年間、大手証券の自己勘定を運用し、11年間大手運用会社で株式運用を担当してきた経験からこの本を書いているので、口先だけの株式評論家とは違い、実践に基づいた見方・考え方が分かります。
株式投資で成功したい方には、是非、読んでいただきたいと思っています・・・「買ってね!」

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アメリカの株式中心主義

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今年に入ってからのアメリカ市場は、特別な臭いがする。
一つはトランプがFRBのパウエルに強烈な圧力を掛けてきている点だ。
特に昨年の利上げ政策に対して露骨に反発し、FRBが経済の悪者であるかのように言う。
パウエルはトランプが承認してFRB議長になったにもかかわらす、「不適任でやめろ」とばかりの露骨な圧力をかけられている。
最近のパウエルはトランプに睨まれたカエル状態になっているような気がする。
これで、市場はアメリカ経済は何か起これば利下げによって景気刺激が取られると認識した。
つまり、経済がリセッションでなくても予防に金融緩和する、この安心感が株高を読んでいる。
しかし、7月の利下げを市場は織り込んでいるが、株価が史上最高値に近い水準で、本当に、利下げを決められるのだろうか?・・・・・大いに違和感がある。

もう一つは米中摩擦を株高の演出にうまく利用していることだ。
米中摩擦の激化は中国経済のリセッションリスクを高め、世界景気にマイナス要因、つまり、株安要因だが、これをトランプはうまく使った演出をしているような気がする。
対中強硬発言をして株価が下落するが、それがガス抜きとなり市場は需給調整を進めることができる。
さらにトランプのツイートで市場の期待感をうまくコントロールする・・・株価が上げたい時は交渉がうまく行っていると言い、株価を下げたい時は関税引き上げやその範囲拡大を言う。
対中強硬発言で株価下落した後、徐々にいい話を出し、株高を演出するというわけだ。
トランプは自分が市場を動かしていると思っているだろうし、それを楽しんでいるのかもしれない。

こうしたトランプ政権の政策は、株式中心主義といえる。
通常、「株価は経済を映す鏡」と言われ経済ファンダメンタルが株価を動かすが、全く逆に、トランプは株高が経済の先行き期待を作り、アメリカ経済を良くすると考えているのだろう。
通常とは逆に株価を引き上げていく市場心理に働きかけて、株高を演出し、経済の先行きは良好だと思わせる・・・これがトランプの経済政策の根本にあるのではないだろうか?
だから、独自に金融政策を操るFRBは大嫌いで、自分の言う通りにさせたい・・・だから、パウエルを嫌いだと公言し、辞任のプレッシャーを掛け続ける。
市場はこうしたトランプの株式中心主義を織り込み、安心して株を買う。

でも、こうした経済ファンダメンタルを無視した株式中心主義は、どこかで行き詰る。
株価とファンダメンタルの乖離が大きくなり、限界を迎えるからだ。
NYダウのPERは18倍と徐々に上がってきている・・・日本株の予想PERが11-12倍と低下しているのとまるで逆だ。
両市場のPER格差は6倍に達してきている・・・これがNY市場のバブル度を示しているのかもしれない。
ブログ「日本株は買えるか」(6/14・6/15)で書いたが、日本株はグローバル景気によって大きく影響され、すでに超低金利で追加の金融緩和も難しい・・・となると、NY市場と日本市場のPER格差が大きくなるのだろう。
PERの格差は利益成長の差で、将来の利益成長率がその分高ければ正当化されるが、NY市場の利益伸び率は日本とそんなに変わらない一桁台だ。
利益成長の差というよりも株式需給の差なのだろう・・・だとすれば、NY市場のPER(18倍)が日本市場(12倍)×2倍ぐらいまで行くかもしれない。
でも限界はある。



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レジ袋の有料化とリベラルの台頭、米大統領選挙

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G20閣僚会議で海洋プラスティックごみ削減で動意され、レジ袋の有料化が来年にも行われる。
G20は参加国が多すぎて合意形成が難しいが、こういう海洋汚染ならば誰も反対しないので格好の議題になる。
海外でも英国、ニュージーランド、ケニア、中国、フランス、イタリアなど40か国以上で規制の導入が進められており、グローバルに環境意識が高まっている。
日本のレジ袋有料化は、もちろん、プラスティックごみによる環境破壊を防ぐのが目的で、手ぶらでちょっと立ち寄りできるで便利なコンビニでも有料化されるのがポイントだ。
でも、海の向こうのアメリカでは、環境やESG問題が大統領選を左右することになるかもしれない。

もちろん、アメリカでも東部地域や西海岸ではレジ袋禁止や有料化を支持する人たちも多くいる。
しかし、その反面、中部や南部の保守的な地域ではレジ袋禁止の立法化阻止を法案として通した州もあるぐらい反対派も多い。
レジ袋や環境問題はリベラル層の圧倒的支持を集めている一方、保守層はその反対に回るという、政治的な争いにつながってしまっている。
来年の大統領選挙を控え、共和党と民主党の争いが環境問題まで拡大を見せている。

5月に代替肉を使ったハンバーガーなどを売りにしているBeyondMeatが上場したが、これも賛否両論を巻き込んで大きな話題になっている。
さらに漁業資源に対する意識も高まり、代替フィッシュの開発も進んでいる。
代替マグロなどは実際にメーニュー開発され、アメリカのスーパーなどで販売されている。
日本でも近畿大学が100%養殖のマグロを育成して、近大マグロとして銀座の和食屋を経営し、実際のビジネス方向を模索している。
代替ミートやフィッシュは植物性の素材から作られた肉や魚だが、ベジタリアンやビーガンと呼ばれ菜食主義者に受けている。
しかも、菜食主義者には一般的に、高学歴で、環境意識の高い人たちが多く、彼らは基本的にリベラル派で、教育レベルの高い東部や西海岸に多いという特徴もある。
だから、この代替フードもまた環境問題とリンクされ、リベラル派の主張として拡大していく。
となると、保守派の人たちは反対に回る。

トランプは保守層に支持基盤を持ち、それは強固な集票マシーンだ。
しかし、一方で、レジ袋やESGなどの環境問題に共感する人たちは世界中でどんどん増えている。
このまま大統領選に突入すると、世界とつながったリベラル派、それに対峙するのが中西部・南部の保守派という構図になるだろう。
世界的に環境意識が盛りあがってくると、トランプ氏の大きな弱点となってくるかもしれない。
Make America Great Againと言いながらパリ協定を離脱し、環境問題から背を向けるトランプ氏、海洋プラスティックごみの共同宣言でも実際の効果が上がるかはアメリカがポイントとなるかもしれない。
大統領選挙のキャンペーンで環境に敏感なリベラル派が台頭してきて、トランプ再選の障害になる可能性もある。
再選されるかどうかは分からないが、トランプの再選となると環境問題などで米保守層とグローバルな環境派との溝が大きくなるかもしれない。



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GPIFは日本債券を保有し続けるのか?

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最も安全で有利な資産であるはずの国債、しかし、日本ではその円債がリターンを生まなくなってしまった。
これは個人投資家でけではなく、GPIFや企業年金連合会などの年金基金でも同様の問題に直面しているはずだ。
日本債券は利回りが低いが、ボラティリティも低く、ポートフォリオに組み入れれば全体のリスクを引き下げ、リターンを安定化させる効果がある。
しかし、この日本債券のリターンがほぼゼロになってしまった現在、それでも日本債券を主要なアセットクラスと位置づけるのかという問題が出てくる。

ある債券ファンドマネージャーの運用を見てみよう。
彼は昔の同僚で、債券運用では業界トップクラスの実力を持っていた。
GPIFや企業年金連合会などの年金口座から公募投信まで多くの運用をしていたが、すべてのポートフォリオはデュレーションやクレジットリスクなど一貫した考え方に基づいて運用されている。
年金口座は情報開示されないので、月次開示のある公募投信(日本債券ファンド、通称ベガ)から運用内容を見てみたい。

2019年3月までの年間パフォーマンスは分配金再投資ベースで1.5%となっている。
かろうじてプラスを確保し、ベンチマークのFTSE日本債券インデックスの1.4%を若干ながら上回っている。
しかし、組入れ銘柄を見ると、事業債やRMBSなどをポートフォリオの60%も組入れている。
しかも、国債は32%組入れているものの、20年以上、30年、40年という超長期債券がほとんどだ。
事業債などのクレジットリスクを取り、さらに20年以上の超長期債でデュレーションリスクも取っている・・・そして、やっと1.5%のリターンを上げているのが真実の姿だ。

わずかなリターンを上げるためにクレジットリスクを取り、デュレーションリスクを取ることに意味があるのか基本的に疑問が残る。
GPIFは2018年12月末で日本債券をポートフォリオ全体の28.2%を組み入れているが、2018年4~12月のパフォーマンスはわずか0.35%だった。
こんなリターンのないアセットクラスに42兆円もの資金を投入している。
10年国債の利回りがマイナスに落ち込んでいる今年度は、さらに運用環境が厳しくなっている。
どんなに腕の良いファンドマネージャーでもリターンを上げるのが困難だろう。
そうなると、日本債券というアセットクラスを保有する必要があるのかが問題となろう。
場合によっては日本債券の代わりにグローバル債券にシフトするとか、あるいは、為替リスクを気にするならば、日本株や日本REITのウェートを引き上げるという選択枝もある。
年金運用の視点からは、さらなる資金シフトが行われる可能性もある。

 

日本債券ファンド”ベガ“のパフォーマンス

 

Mar-15

Mar-16

Mar-17

Mar-18

Mar-19

基準価額

8980

9448

9331

9380

9442

分配金

150

80

80

80

80

収益率

2.3%

6.1%

-0.4%

1.4%

1.5%

BM

2.6%

6.8%

-1.1%

1.1%

1.4%

ベンチマーク(BM)はFTSE日本債券インデックス。

 



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3号被保険者は不公平?

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妻は3号被保険者で国民年金の支払いを免除されている・・・ということで、「お前が言うな」と言われそうだが・・・
専業主婦の働き方で、問題となっている壁が二つある。
一つは110万円の壁と言われているもので、収入が110万円/年を越えると所得税を払わなければならない。
ここを越えると、夫の配偶者控除が使えなくなり、さらに自分の所得税を払う必要が出てくる。
妻の納税は国民の義務であり、所得があれば、税金を払うのは当然の話だ。
さらに配偶者控除がなくなり夫の税金支払いが増えるが、妻の収入の分だけの所得が増えるわけで、同情の余地は全くない。

もう一つは130万円の壁で、これが三号被保険者として国民年金の支払いを免除されるかどうかの分岐点になる・・・これが問題なのだ。

これは昔の専業主婦が大半であった時代の名残りで、専業主婦の「内助の功」を認めて作られたのだろうが、たしかに夫婦とも働く今の時代には全く合っていない。
政府の働き方改革でも、主婦の労働意欲を削るものとして悪影響を指摘する声も多い。
共働き世帯からは不公平という意見も当然出るし、サラリーマン世帯だけの特権であり自営業者からも不公平という意見が出てくる。

これを撤廃すれば、より多くの専業主婦が仕事を始め人手不足が緩和されるか・・・話はそうは簡単にはない。
もちろん、コンビニ店員などの一部サービス業は主婦でも助かるだろうが、人手不足の激しい業種、介護や保育などは専門知識が必要で簡単ではない。
専業主婦でも専門学校に通い、資格を取って働く意志を持つ人はいいが、基本的に雇用のミスマッチが大きい・・・だったら、一律に廃止するのではなく、個人の選択に任せる方がいい。

厚生年金は(人によって変わるが)毎月8万円支払う・・・一方、国民年金は1万6000円の月払いで、支払い金額が丸っきり・・・大きく違う。
サラリーマンはそれだけ年金の負担が大きい。
サラリーマンの妻で専業主婦を選ぶのか、共働きをするのかは全く個人自由だ。
主婦の働いて税金を納め、国民年金1万6000円を払っても、それ以上に収入があればいいわけだし・・・専業主婦として家事を行い、子供を育てることもいいと思う。
でも、厚生年金の負担の大きさを考えると、夫を内助の功で支えたいという人は3号被保険者にしてもいいのではないかと思う。



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宗教が国民にガマンを強いるイラン

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安倍首相のイラン訪問で、ハメネイ師と会談した時、ホルムズ海峡では日本のタンカーとブルネイのタンカーが攻撃され炎上した・・・ブルームバーグでは「mine」と書かれていたので、機雷や水雷に当たったのかもしれないし、イランの攻撃だったかは不明だ。
これを米国は「日本への侮辱」と表現し、逆にイランは関与を否定するとともに米国を非難した。

イランは宗教色があまりに強く、ロウハニ大統領の上に君臨する宗教家たちが絶対権力を持っている・・・この点では他のイスラム国とも異なっている・・・ほとんどの国は王政。
その宗教家たちが何十年もの間、アメリカを敵国として扱ってきた・・・しかし、イランの一般人にはそんなにアメリカ敵国の意識はなさそうに感じた。
でもこの宗教の敵によって一般国民は経済制裁に耐えろと、ずっと長い間、ガマンを強いられてきた。

これは2年前にイランが経済制裁を解かれ、新たな成長を模索している時期にテヘランを訪問した印象だが(「世界の巨大投資家」のコーナーから抜粋)・・・・

「テヘラン市内のインフラや建物はひどく、この国の厳しい財政状態を見るような感じだった。
道路から建物、さらにビル内装を10年ぐらいそのまま放置するとこうなるだろうと思う風景が目の前にそのまま広がっている。道路も舗装が痛んでいて、走っているバスや車も旧式で排ガスをまき散らしている。交通ルールなんてあってないような感じで、40キロで走る車のすぐ前を歩行者が横切る、車線変更も強引でこれでよく事故を起こさないなと感心させられる。テヘラン市内にはイスラム革命前のパーレビ国王の広大な屋敷が公園として残されていた。広大な土地に大きな屋敷の他、いざという時の軍事拠点となる建物、武器・弾薬庫などが点在していて、往時の国王の生活を垣間見ることができる。でも、これらの歴史的な建物や内装もそのまま放置しているだけなので、決して保存状態がいいとはいえない。長期にわたった経済制裁下、財政に全く余裕なかった国というのが第一印象だ。イスラム教シーア派の国だが、男性は普通の服を着ているし、女性は頭髪を隠す程度でアラブの保守的な国とは雰囲気が全く異なる。でもスタバもないし、マックもないところはやっぱり中東だなと思った」

イランの経済制裁が一時解かれた時、国民は明るく、訪問したNDF(国家発展ファンド)も、今後の石油収入をNDFに入れて運用し、イランのインフラ投資を拡大していくとして希望を語っていた。
でも、これが再び制裁強化されてしまった・・・アメリカとアメリカを敵とみなしている宗教家の戦いだ。
宗教的信条のために反米を貫き、核開発し、その結果、経済制裁を受け、本来産油国であり豊な国のはずが貧しい生活を強いられる。
イランは昔のペルシャであり、東西の交易の要衝として文明の発達した国だが、この宗教家たちの政策ですべてが老朽化し朽ち果ててきている。
宗教と実際の市民生活の著しい関係を考えざるを得ない。
宗教が国民を豊かにするのではなく、国民を窮状に追いやっている。

ウィークリー雑感(6/16 中東リスクの顕在化)

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中東の地政学的な問題は、水面下の争いまで考えると相当複雑化しているかもしれない。
先週、ちょうど安倍首相がイラン訪問したタイミングで、ホルムズ海峡で日本を含むタンカー2隻が攻撃され炎上した。
米国はイランを名指ししたが、まだ詳細は不明だ・・・ブルームバーグは機雷や水雷に接触したと報じたが、誰かが仕掛けたのか、単に敷設した機雷に接触したためなのか、まだ分からない。
ただ、言えることは、この中東地域でも勢力図が大きく変わり始めていることだ。

ここ数年での大きな変化は・・・
(1)イスラエルー米国のラインが強化されてきたこと。
もともと、ユダヤ系の影響力が強い米国だが、ネタニエフートランプ関係が強固に繋がり、エルサレムに遷都したり、イスラエルの対イラン強硬路線を米国が支援している。
その結果、ネタニエフはかってないほど、パレスチナやイランに対して強硬になっている。
(2)サウジアラビアが着々と中東覇権をうかがう動きを強めていることだ。
中東のコウモリのようにイスラム過激派やイランに密通している小国カタールと国交断絶し、イエメンのシーア派過激組織との小競り合いではミサイル攻撃を続けている。
MBSが皇太子になってからの強硬路線はイスラム教スンニ派の盟主としての覇権的な行動と考えられる・・・何か意図を持った軍事行動だということだ。
(3)ISなどの過激派組織は米軍によって壊滅的な打撃を受けたが、地下に潜伏すると、かえって大きな脅威になるかもしれないことだ。
サウジアラビア、UAE、クウェートなどの世俗的な支配構造(王族支配)から、純粋に宗教的な支配(アラーによる支配)を望む声がISやその他のイスラム原理主義(宗教的過激派)を支援している・・・地下に潜った過激派はその勢力を拡大させる可能性が高い。

中東情勢は、イスラエルの台頭、サウジアラビアの覇権主義、イランとイスラム過激派の先鋭的な宗教観、という三つ巴または四つ巴の構図の中、複雑化してきている。
ホルムズ海峡での船舶への攻撃、サウジアラビアの空港にイエメン過激派がミサイルを撃ち込んだり、イスラエルとイランがミサイルを撃ち合ったり・・・小競り合いも増えている。
ユダヤ教と、イスラム教スンニ派と、シーア派とイスラム教原理主義という宗教的な対立がその背後にあるだけに、無宗教な日本人には分かりにくい・・・安倍さんのイラン訪問では何もできないし、何も変わらない。
今回のホルムズ海峡のタンカー攻撃もどんな背景があるのか分からないがキナ臭い・・・なんか、一触即発な感じがして不気味だ。
ユダヤ教とイスラム教スンニ派が組むのは倫理的には簡単ではないが、米国を軸として連携し、対イランまたは対イスラム過激派に強硬姿勢を取るかもしれない・・・そうなると、さらにキナ臭くなる。
ここでも米トランプ政権が切り札を持っているのかもしれない。



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日本株は買えるか?(2)

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日本企業はグローバル経済の変化の中で、ビジネスモデルの転換が問われている。
ハイテク系製造業は川上の電子部品やハイテク素材の分野で強い競争力を維持しているが、米中摩擦の激化でグローバルで進むサプライチェーンの変化にどう対応するかがポイントで・・・中国から製造拠点の移転にどう対応していくかだろう。
また、証券・金融業界はキャッシュレス社会に向けて、従来のビジネスの慣習を変えていく必要があるが、その過程で起こる人員や店舗の過剰に対応すると同時に、新しいキャッシュレス時代のモデルを作り上げる必要がある。
最大の時価総額を誇る自動車は、自動運転やEVなどの技術革新の真っただ中にあり、まさにビジネスモデルをどう作るかが問わえている・・・単にEVにすればいいというものでもなく、エネルギー効率、自動車のIOT化、交通事故と自動運転・・・社会全体の視点から変わっていくのだろう。
こうした変革期では、業績の伸びは不安定で、短期の投資はやりにくい。

でも、長期的な視点に立つと、日本株は「安パイ」になりつつあるかもしれない。
グローバル投資家に無視された需給の「カラッポな状態=枯れた状態」では、どんな事が起こるにしても、ここからの下落余地が相対的に小さくなるからだ。
株価=一株利益(EPS)×PERだが、このPERは人気であり、言い換えれば、株価は利益と人気で決まるものだ。
PERは2017年には14-16倍だったが、それ以降、ほぼ一貫して低下に昨年は12-14倍、そして、今年は11-13倍とさらにレンジを切り下げてきている。
つまり、その最低の人気水準にあるのが、残念ながら日本株の現状だ。
しかしよく考えれば、人気がないということは期待感が低いということで・・・誰も株価が上昇するとは思っていない市場だといえる。
こうした意味では、今から1~2年間はバリュー投資を実践するチャンスなのかもしれない。

6月末にトランプが残りに関税を掛ければ、すべての中国輸入品に25%の関税が掛けられることになる。
そこで貿易摩擦は一巡し、その効果を見ていく段階になるだろう。
そうなれば、不透明感が一掃され、日本企業は新たなサプライチェーンに対応していける。
自動車もトランプの関税や政策に右往左往する必要がなくなり、技術開発に専念できる。
証券・金融業界は店舗や人員の余剰問題があり簡単にはいかないが、変化の方向を定めて加速することもできる。
そう考えると1~2年間の中期戦略で見れば、ビジネスモデル転換後の日本株はPERを上昇させていくだろう。
だとしたら、この安いPER、誰にも見向きもされない時期に、じっくりと仕込んでおくことはバリュー投資の基本となる。
ただし、年後半から来年に表面化する、消費税の引き上げなどの影響は注視する必要がありそう。
安倍政権は参議院選挙で勝てば消費税引上げと憲法改正に向かうが、消費税の引き上げは所得が伸びていない一般消費者を直撃してしまう。
内需の悪化と企業利益の動向には注意が必要・・・PERがすでに十分に低いとしても利益が減少すれば株価は下落するからだ。
利益をよく見ながら、ここ数か月が中期のバリュー投資をするチャンスであるかもしれない。



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日本株は買えるか?(1)

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株式価格を決めるのは、結局のところ、企業価値と株式需給だ。
企業利益が増加し、企業資産の価値が増えれば、株価が上昇する。
また、企業をきちんと評価する投資家が買いたいと思えば、株価が上昇する・・・株式需給が株価を決める。
このシンプルな視点から、最近の日本株を眺めてみると、意外と厳しいことに気づかされる。

第一に、企業は業績に苦しんでいる。
特に経済全体でウェートが高い金融、銀行、証券が苦戦している。
同様に市場ウェートの高い製造業も米中摩擦の激化で、関税や非関税の規制をクリアして売上を伸ばすことが厳しい状況に陥っている。
日本企業はグローバルな変化に弱いところがあり、この両セクターともにこの変革期を迎え、従来のビジネスからどう変わるかが問われている。
ただし、逆にビジネスモデル(企業の儲かる仕組み)をきちんとグローバル経済の変化に対応できれば、将来、再び、成長軌道に戻る可能性も十分にある。

第二に日本株の需給も厳しさを増している。
アベノミクスの効果が一巡し、日銀は量的緩和を継続しているものの、GPIFなどの年金の動きは一巡してしまった。
グローバル景気のスローダウンの一方、金融緩和政策への転換期待でアメリカ株が上昇している・・・金融相場(不景気の株高)と言われる株高を期待しているからだが・・・。
しかし、金融緩和が有効なのは、先進国ではアメリカぐらいだ。
過去の量的緩和で、アメリカの10年債以外、欧州の国債や日本国債の利回りはほぼゼロで金利がなくなってしまっているからだ。
米国は政策金利(FF金利の誘導レンジ)が2.2%~2.5%であり、利下げの余地がある・・・と期待されているわけだが・・・今の景気の現状でFRBがどの程度の金融緩和をできるのか興味深い。
でも、日本にしても欧州にしてもすでに長期債はほぼゼロ金利となっているので金融緩和の余地はない・・・再度、量的緩和を拡大するのかが問われる。

こうして考えると、日本の株価は、景気の面からも買いにくし、金利(金融緩和への転換)の面からも買いにくいとなってしまう。
ここ1年の株価を見ていると、NY株価が堅調で最高値に近い水準で取引されているのに、日本の株価は2万1000円台と直近の高値2万4000円台からずい分下にある。
こうした違いが両市場のパフォーマンスの決定的な要因になっている気がする。
しかし、その分、日本の株価は割安になっているのも事実だ。
次回はこの割安な日本株が、買えるのか買えないのかをもう少し考えてみたい。



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人気が加速するiDeCo

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老後の資金不足を補う有効な手段の一つが確定拠出年金だ。
確定拠出なんて言葉は難しいが、簡単にいえば、毎月積み立てる年金で運用次第で資産額が変わり、受け取れる年金額も変わってくるというものだ。
これに対して、国民年金や厚生年金などの「普通」の年金は、毎月一定額を年金として受け取れるから確定給付と呼ばれる。
といっても、確定給付は一定額の年金を毎月もらえるものだが・・・5年に一度検証され、場合によって年金減額の可能性もある。
一方、確定拠出年金であるiDeCoは、自分で指図して運用成果が良ければより多くのして給付金をもらえる・・・自己責任の運用で受け取る年金だ。

この確定拠出には企業型と個人型(iDeCo)がある。
企業型は事業所ごとに制度に加盟するもので、そこで働く人は企業と個人で半々の掛金を積み立てる。
これに対して、個人型は個人単位で掛金を支払い、自分で運用商品を指図して、運用成果を上げるものだ・・・しかも運用中は非課税で、かつ、掛金を所得控除できる・・・さらに、60歳になると、退職時一時金として受け取ると退職金課税の優遇税制を使えるので、節税年金としては超優れものだ・・・ワシもこれを使って節税できた。

企業型は2018/3で11兆7219億円の資産残高に成長し、年間の掛金合計は9237億円と毎年1兆円が投信などに流れ込む。
5年前は資産6兆7954億円だったので、5年で2倍近くの資産成長をしている。
今後も安定した資産成長が続くだろうし、1兆円以上が毎年流入するだろう。

一方、個人型(iDeCo)は2017年に拡大され、誰でも入れるようになったが、その後2年とちょっとで急激に伸びてきている。
2013/3の加入者数は15万8404人だったが、2018/3で53万8659人、2019/4では123万人になっているらしい(ソース:厚生労働省)。
個人型の資産の伸びも高い・・・2013~2018年の5年間で、7433億円から1兆6225億円と2倍以上になり、年間掛金も237億円から1139億円と5倍に成長した。
直近の4月の新規加入者数は3万2684人で、年間加入者の増加が40万人という極めて高い成長ペースを示した。
2019年の公式統計が出てくるのは11月になるが、個人型iDeCoは急成長をしているのは間違いない。

アメリカは個人型確定拠出年金(401Kと呼ばれる)の先進国だが、驚異的な資産成長を記録している。
アメリカの家計の投信保有残高は、2010年およそ2500兆円の資産規模から、2017年に4500兆円と、2000兆円の大きく伸びを記録し、この401Kが株式投資の原動力になった。
日本ではまだまだ始まったばかりだが、加入者が120万人と2年間で3倍の伸びとなり、このままでいくと、今後数年間で300万人から400万人へと増加し、年間掛金も数千億円規模に達してくる可能性もある。
企業型の年間掛金はすでに1兆円に達し、安定した投信やその他の運用商品の買い手になっている。
iDeCoの成長によって、確定拠出年金の合計で、年間2兆円近くが株式投信やその他の運用商品に流入してくる時代もすぐそこに来ている。



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債券市場の語るもの

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この1か月で最も変化が大きかったのは債券市場だ。
米10年債の利回りは2.5~2.6%から急激に低下し、2.1%まで下がった・・・わずか1か月での話だ。

米国債券市場は効率的なので、長期債、短期債からFFレート先物まできちんと動く。
長期債が急激に買われ、FFレートの誘導レンジ2.25%~2.5%を10年債が下回るという状況になると、これから計算されるFRBの金融政策も、当然のことながら影響され、FRBの金利引下げ予想が出てくる。
これらの先物からの期待値はFEDウオッチャーが公開しているが、それを見ると、年内にFRBが利下げする確率がすでに98%まで高まっている・・・さらに年内1回利下げの確率が急低下し、3回利下げの確率が急上昇している・・・7月のFRBのFOMCで利下げが決定されるという期待値が急上昇している。
先週の「ウィークリー雑感」でも取り上げたが、過去の各国中銀の量的緩和政策の影響でグローバル債券市場の流動性が低下している状況で、債券市場にバイアスがかかっているから生じた可能性がある。

米中摩擦の激化とともに、将来の景気後退リスクがどうなるかが最大の注目点だが・・・
しかしながら、多くのエコノミストはグローバル景気はスローダウンしているとはいえ、リセッションを予測しているわけではない・・・米国のGDP成長は鈍化するとはいえ、2%程度を見込まれている。
また、多くのアナリストは企業業績の鈍化は予想しているが、業績の大幅減益を見ているわけではない・・・日米ともに企業成長の鈍化は予測されているが、それでも一桁の利益成長が見込まれている。
この二つについて、株式市場は、ちょうど良い、そして、都合の良い解釈をしたようだ。
FRBの利下げ期待が強まっている一方、景気や業績の大幅な悪化を見ていないというところで、両方の良い所取りをし、それが最近の株価反発につながったからだ。

でも、問題は二つある。
一つは、景気指標の悪化が表面化しなければ、このFEDウオッチャーの期待・確率通りにFRBが動くとは限らないこと。
もう一つは、実際に景気悪化の指標が出てきた時、FRBは利下げに入るだろうが、株価が再下落することだ。



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老後は個々人の問題

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金融庁の「公的年金だけでは老後に2000万円不足する」が話題を集め、多くの人から「ちょっと待て、100年の安心と言っていたのは政府だろ!」と文句が出てきている。
でも、残念ながら、「100年の安心とは100年、年金制度を維持します」という意味で、「個々人の老後が年金だけで100歳まで安心です」とは言っていない。
100年の安心という言葉を勝手に(都合よく)解釈していただけだ。
政府にはこうした(勝手な、都合のよい)解釈にあえて反論しなかった罪があるかもしれない。

「老後は自助努力」これはあたりまえの話だ・・・というか、自分の人生、生まれた時から自助努力で、死ぬまで自助努力だろう。
逆に、個々人の人生に政府が介入したら、それこそ「自由が侵害された」「人権を守れ」とか言って多くの人が怒るだろう。
自分の人生を選択する自由を個々人が持っている・・・これは、個々人の人生の責任は自分にあるということに他ならない。
政府ができることは、働けなくなった高齢者の生活を補助する仕組みを作ることぐらいしかない。
その意味で、国民年金、介護保険などの仕組みが作られてきたわけだ。

実際の高齢化社会を迎えて、その仕組みは多岐に渡って導入されてきている。
年金制度も、国民皆年金の「国民年金」、中小企業のための「小規模企業共済」、サラリーマンのための「厚生年金」、公務員のための「共済年金(厚生年金に一元化)」、国民が誰でも加入できる「確定拠出年金(iDeCo)」など、多面的に充実していきている。
国民年金だけでは老後不安が大きいが、これにiDeCoを組合せ、さらに民間の個人年金を組み合わせれば、かなりの年金額を確保できる。

また、介護保険制度も、導入当初のゴタゴタを乗り越えて制度として定着し、高齢の親を介護する人たちには助かっているという声が多い(ワシも親の介護では苦労したが・・・)。
介護レベルが低くでも「デイサービス」などでは老親を施設に一時預けることもできるし、介護レベルが高くなると特養などの老人向け施設を安く利用できる。

さらに老後資金の不足が見込まれる状況ならば、自宅を担保にして「リバースモーゲージ」を組むこともできる。
「リバースモーゲージ」は通常の「自宅を建てて、ローンを組んで、毎月支払う」の逆で、自宅を売却する時点を自分の死後に設定した逆ローンだ。
個人は自宅に住み続けることができ、自宅の資産価値から毎月資金を受け取るとこができる・・・そして自分の死後、自宅を売却してローンは返済される。


他にも様々な保険商品もあるし、NISAも非課税の投資制度もできた。しかも5年運用期間の一般「NISA」、20年積み立てる「つみたてNISA]などの多様な制度があり、これらを組み合わせることで老後資金への対策にもなる。
でも、iDeCoの加入者は急速に増えているとはいえ、123万人程度だけだ。
さらに、つみたてNISAもやっと100万人を達成したというレベルだ。
こうした非課税の優遇された貯蓄プログラムがあるのに十分に使っていない。

要するに、老後は自助努力であり、政府は様々な制度を作り個人の老後を補助してきたといいうことだ。
日本人のこうした反応を見ていると、あまりにも情けない・・・あまりに社会主義的な感覚を持っている人が多いということに驚かされる。
自分の資産を運用する仕組みは十分にあるのに、それらを使い切っていない人、よく知らない人が多く、いろいろと文句を言う前に自分で考えた方がいい。
まずは、iDeCoやつみたてNISAを使って、長期の貯蓄をすべきではないだろうか?




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自分の都合で逆転させるな

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人間はどうしても自分の都合の良い方に傾き。決して都合の悪い方(たとえ、真実であっても)には行かない。
でも、豹変する経済評論家を見ていると、今まで何だったんだろうと思ってしまう。。

最近、アメリカの失業率が何十年ぶりの低位水準になった、時間当たり賃金が3%上昇しているなどの米国の雇用の良さを示すニュースが相次いでいる・・・これらの雇用のニュースを見て、日本の経済評論家は失業が減り、賃金が上昇しているので、個人消費が増加する、小売りや消費関連の強さが経済を支えると指摘している。
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もともと、失業率や雇用指標は経済の遅行指標だったはずで、経済状態が良いから失業率が低下し、雇用がタイトになるので賃金が上昇する・・・という因果関係にあったはずだ。
いつから失業率や雇用指標が経済の先行きを示す先行指標になったのだろう?
全く、不可解な事を今の経済評論家は、あたりまえのように言う。

先日もMXテレビのコメンテーターも雇用がいいから米景気が今後も拡大する・・・経済のファンダメンタルは崩れないから日本株は買いだと言っていた。
それじゃ、この逆に、米雇用が悪化したら、経済ファンダメンタルが崩れ、日本株は売りとなるのだろうか?
そして、5月の雇用統計が発表されたが、非農業雇用者の伸びは7万5000人にとどまった。
この数字を見て、雇用が強いから景気はいいと言ってきた日本のコメンテーターは、何を言うのだろうか?
雇用が悪化して将来の景気が悪化するとでも言うのだろうか?

アメリカ人は、「雇用者の伸びの2か月平均は15万人であり、まだそんなに悪くない」けど、「パウエルが7月のFOMCで利下げを見ていたが、6月にも可能性がある」と良い所取りをしている。
これも少し我田引水のところがあるような気がするが・・・・



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ウィークリー雑感(6/9 14勝1敗で負け)

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株式を売買して運用益を上げるデイトレーダーは、日々ポジションをスクエアにするので、オーバーナイト(海外市場の変動リスク)のリスクを取らない。
オーバーナイトのリスクは日本株にとっては敵だ。
海の向こうのNY市場で起こった事が翌日の東京市場にダイレクトに響いてくるからだ。
当然、予期できない事が起こることもよくあり、思わぬ損失を被ることも多い。
こうしたオーバーナイトのリスクを減らすということは、デイトレーディングの有効な運用手段でもある。

デイトレーディングのポイントは二つある。
一つは頻繁にトレードすると、当然、株式の売買手数料がかさむ・・・その売買手数料を含めて利益を上げることは簡単ではないことだ。。
昔から言われている「14勝1敗で負け」という相場格言があるが、頻繁に売買すると14回勝っても1回の大負けで利益をぶっ飛ばしてしまう。
有名なデイトレーダーで1億円以上儲けた人を「億り人」というぐらいなので、デイトレーダーで成功する人はそれだけ少ない。
もう一つは税金も問題だ。
デイトレードは一回ごとに損益を確定させてしまうことになり、当然、損益通算はできるものの、利益が上げればその分税金を支払う。
年間数百回のトレードを行って何%のリターンを上げたかが問われるが、その利益には分離課税でも20%の税金がかかってしまう。

一方、長期運用をしていると、株式の売買回転数が低いため売買手数料は気にする水準まで行かない・・・全く気にすることはない。
しかも、実現損益についても自分でコントロールできる・・・例えば、何かに失敗して実現損失を出すと損失の繰り越しもできる・・・当初はガックリするが・・・他の投資で儲かった時に、その利益を相殺し税金を払わずに済む・・・これは大きな節税対策になる。
例えば、総合課税を選択すれば、給与収入が多く税金が増えそうな年は含み益をかかえたままにして、収入が少なく税金が少なそうな年に実現益を出すなどの税金対策ができる。
売買手数料と税金という二大コストを完全に自分の意のままにできるのが長期投資だ。
ここが長期投資の最も優位な点だ。

でも、長期投資にはもう一つ必要な事がある。
リターンを実現するための忍耐だ。
5年から10年かけて数倍になる銘柄を探すことができるか、そして、数倍になるまで忍耐強く待てるかどうかだ・・・ちょっと儲かると利食いし、実現益を上げたくなるってしまう。
日経CNBCの視聴者相談コーナーで、長期投資で買い、一時大きく儲かったが株価が下がってしまったという相談があった。
評論家と称する人が逆切れし、なぜ儲かった時に利食いしなかったのかと問い詰めた。
株式に詳しい人でさえこの程度で、忍耐がないのだ。
難しいのは何十年持っていれば必ず儲かるわけではない・・・これは単に放置しているだけだからだ。
運用に必要な忍耐とはすべての情報を取り考え、その結果として忍耐強く企業成長を持つことだ。
最近の相場ではまさにこの忍耐が試される場面が多い・・・急に下落した場面でもじっと我慢できるかが勝負の分かれ目になる。



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日韓防衛相会談、岩屋さんの間違い

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テレビで防衛大臣経験者、森本氏、中谷氏、小野寺氏の3名が議論する番組があり、なんとなく見ていた。
慰安婦問題、徴用工問題、レーダー照射問題と、揺れ続ける日韓関係を考える番組だった。
大臣経験者の話であり、臨場感がある議論となった。

問題となったのは、岩屋さんと韓国の国防相がにこやかに笑いながら、ガッチリと握手をしている写真だ。
森本氏は、韓国の支離滅裂な問題対応が根本的関係悪化につながっているとして、そこを明確に追及せずに未来志向として関係改善はできないという主張だ。
そして、前防衛相の小野寺氏は、直近までの経験から、レーダー照射はいきなり韓国に自衛隊員が殴られたのと同じで、毅然とした対応を現防衛大臣に求まている。
ただし、笑顔で握手の写真については、韓国側が「笑ってください」と言いながら勝手に写真を撮り、その写真をさも日本側が譲歩しているかのようにマスコミに流した・・・これが問題で、ある意味、岩屋さんの脇の甘さを指摘した。

これは対照的なのが、中谷さんだ。
北朝鮮や中国とこの地域で対峙していくためには、米国ー日本ー韓国の協力が欠かせない。
そのためには過去の傷を乗り越えて関係を改善させることが重要だ・・・と主張した。
なんとなくうやむやにする、この事なかれ主義が日本の立場を弱くしているのを感じないのだろうか?
日本の防衛や外交を弱くしてきたのは、「世界のすべての国を仲よくしよう」とか、「同盟国としての米国は大切な友達で何でも従う」みたいな、事なかれ主義だ。
もういいかげん、目を覚ました方がいい。

韓国の文在寅は,出来の悪いポピュリストで、常に表面的なスタンドプレーばかりする。
人気取りのために財閥に対する締め付けをすれば、財閥が弱まって韓国経済を困難な状況に落とし入れ・・・国民の生活向上として最低賃金を引き上げれば、雇用が減少し国民の怒りを買い・・・北朝鮮に前のめりになれば、金正恩に小ばかにされる。
要するに表面的な人気取りをして、すべて失敗した・・・こんな男が大統領になったのが韓国の悲劇だ。

ここで日本が取るべき対応は、森本さんの言うように過去の問題に、きっちりと落とし前を付けることだろう。
トランプ大統領も文在寅には辟易しているし、日米を組んで文在寅の無能を追求し、韓国内政治に圧力がかけ、韓国の政権交代に向けて動きを支援していくことだ・・・文在寅にボロボロにされた韓国内の親日派を徹底的に支援することだろう。
岩屋さんの間違いは、小野寺さんの言うように迂闊な写真を撮られ、それを韓国に利用されたことだ。





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バンフ、野生動物に圧倒された日

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バンフ国立公園に入ると、この看板がある。
野生動物を保護し、生態系全体を安定的に維持し、人間との共存を図るということではこの公園は素晴らしい成果を上げている。

たとえば、熊。
日本では熊が増えすぎて、人の住む住宅地にまで現れ、問題になっている。
このバンフ国立公園にも、ブラックベアとグリズリーという2種類の熊が生息しているが、人間を襲ったり問題を起こしたことがないと言う。
動物との関係の作り方が根本的に違っているからだ。



5C2E5F12-7AC9-4D8E-8A36-15FFD2F99073バンフ国立公園には、三つのルールがある。
「何も持ち帰らない」「エサを上げない」「ゴミを出さない」の三つだ。
枝一本、木の実一つ、持ち出すと罪になるし、動物にエサを与えると人間に近づくようになったり、人間を襲ったりするようになる・・・もちろん、ゴミを捨てるのは御法度だ。
熊の頭数も管理されていて、バンフ国立公園内(日本では島根県に相当する広さ)に80頭程度に抑えられる。
それ以上に増えた時には他の公園に移送するという。
高速道路も走っているが、野生動物が高速道路を越えて動けるように「アニマル・オーバーパス」が設置され、高速道路の上を動物が移動し、道路の反対側に行けるようになっている。


565D88E8-4AB1-479D-9A4A-A158DF1CDD81オオカミも生息しているが、いなくなるとエルフなどの大型草食動物が増えすぎてしまうので、オオカミもきちんと保護され、頭数管理されている。
環境についても同様で、樹木の密集による生態系の変化を抑えるために、自然に起こると同様の確率で定期的に「山火事」を起こし、森の生態系が著しく変化しないように管理されている。
勝手に樹木を伐採してしまうと、一本あたり25万ドルの罰金になるという。
上の写真は、たまたま、道路脇でゴロゴロしているブラックベアだが、20メートルぐらいまで接近して撮れた。
慣れたカナダ人は15メートルぐらいまで近づいていたが、シャッター音や自動車のバック音に反応して狂暴化する場合もあるらしく、みんな、音には気を付けていた。

3A50F7C1-E254-4CBA-B5E3-B1B8A3971417次は大鹿のエルフの写真。
バンフ・スプリング・ホテルの近くで3頭のエルフがのんびりと休んでいた。
清里でも鹿をよく見たが大きさが全然違う。
エルフは大きく、おそらく体重300キロぐらいありそうだった。

カナディアン・ロッキーの山登りの途中で出てきた赤リス。
こちらの森は松やモミの木といった針葉樹が多く、赤リスは日本のようにどんぐりを食べるわけではなく、松ぼっくりを食べる。
さらに少し標高の高い地域ではシマリスもみられたが、動きが速く写真を撮れなかった。




IMG_E0764レディマクドナルド山の山登りの途中で休憩していると、突然、ビッグ・ホーン・シープの群れが上から走ってきた。
びっくりしたが、草を食べながらゆっくりと近づいてくる。
そのうち、一頭が草を食しながら5メートルぐらいまで接近してきた・・・緊張感が走る。
なんか、足で蹴られたらケガしそうなので、こちらはあわてて退散、登山道に戻った。

自然を自然のままにしておくという考え方、あるいは自然を管理していこうという考え方で、カナダと日本は大きく違っている。
日本では自然を管理する考え方で、増えすぎた野生動物は排除する・・・でも、カナダでは生態系をそのまま維持する事(自然をそのままにしておく)に焦点を当てられる。
そこに考え方の違いを感じた。




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九段線の不思議

九段線









シンガポールでアジアと欧州・米国の国防相と幕僚長による会議、シャングリラ・ダイアローグが開かれた。
そこでは米国防長官代行シャナハンが、中国からは国防相の魏鳳和が出席し、バトルが演じられた。

第一点は、米国が「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を発表し、日本のインド・太平洋政策に同調した反面、中国は九段線の内側は中国の核心的利益だとして、利益を守るためにはどんな犠牲もいとわないと主張したことだ。
ホルムズ海峡・・・インド洋・・・マラッカ海峡・・・南シナ海・・・東シナ海・・・台湾・・・と続く航路は、多くのアジアの国にとって、もちろん、日本も中国も含めて生命線だ。
日本と米国は、海洋安全保障、自由な航行、力による現状変更を認めない、という原則を維持し、この地域の安全保障体制を進めている。

ところが、中国はこの九段線を勝手に引いて、国連海洋条約の領海12海里、経済水域200海里という合意を全く無視して、この内側は全部中国のものだと主張してきた。
でも、この九段線って不思議なラインだ。
フィリッピン沿岸のすぐの西から、インドネシア沿岸からすぐの南、ベトナム沿岸のすぐ東まで、赤い舌のように伸びている。
中国本土からは遠く離れ、なぜ、この海域が中国のモノなのか見ただけでは全く理解できない。
当然、近隣諸国も誰も認めていないし、ハーグ仲裁裁判所も九段線に法的根拠なく、国際法違反だとした。

でも、中国は全く意に介さない・・・これって何だろう?
力による現状変更を続け、いくつもの既成事実を積み重ねていく・・・まるで、韓国の竹島と一緒で、こうなると理屈も何もない。
そこに、米国が日本と組んで、南シナ海への介入を始めた。
これはヤバイだろう・・・軍事的な摩擦に発展する可能性もある。

中国って自分の都合だけで、米中貿易戦争では自分たちは自由貿易の守護神だといい国際法を守れと言ったり、ファーウェイ問題では自分のスパイ行為を棚に上げて米国に証拠を出せと求めたり、南シナ海では完全に国際法を無視する・・・やっている事と言っている事がズレまくっている。
国際法を重視するなら、どんな問題でも一貫した姿勢を見せるべきだし、人権や様々な権利を守るなら一貫して民主主義ルール重視をすべきだ。
原則では譲歩しないと言った中国だが、その原則のブレが大きすぎて、周りからは理解できない。
このままで行くと、米国と中国は貿易でも経済でも技術でも、地政学でも南シナ海でも月でも宇宙でも・・・あらゆる分野で対立していく感じになってきた。
いいかげんにしてほしい・・・と思う。

第二点は台湾についてだが・・・別の機会に書きたい。



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新紙幣とタンス預金(4)

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裏カネかもしれない40兆円のタンス預金をあぶり出すことで、日本経済は健全化されると言われている。
この40兆円はやくざ組織や暴力団、あるいは個人の金庫で退蔵された資金として蓄積されている可能性もあり、このおカネがあぶり出され使われることになれば、40兆円が市中にで回る=カネ回りが良くなり景気にはプラスになるからだ。
マネーロンダリングを厳しく監視し、こうしたヤミの資金をあぶり出すことは、日本経済の健全化につながる。
でも、新紙幣の発行だけではできない・・・新紙幣の発行後も、旧紙幣を使うことができるならば裏カネはそのまま退蔵されるだけだ。
戦後の新円切り替えみたいに、旧紙幣が使えない状況を作り出せば、旧紙幣のタンス預金は新紙幣に交換を余儀なくされる。
でも、新紙幣の発行だけならここまでの効果はない。

それではどうすればタンス預金を一掃できるか?
まず、その一つは1万円札を廃止し、発行しないことだ。
高額紙幣は裏カネになりやすいので、多くの国で高額紙幣の発行を制限している。
英国では100ポンド紙幣(約1万4000円)があるがほとんど流通していないし、中国では100元紙幣(約1700円)が高額紙幣だ。
欧米先進国では高額紙幣より小切手が昔から使われてきたし、今ではクレジットカードが普及し、高額紙幣を使わずに必要な決済ができるし、中国はキャッシュレスが進んでいる。
高額紙幣が必要なのは、カジノとか一部の特殊な場所しかない。
日本で1万円札を廃止したら、1万円札で退蔵されているタンス預金はあぶり出されることになる。

もう一つは中国のようにキャッシュレスのQR決済を一気に普及させることだ。
クレジットカードは個人の信用を基にした決済なので、誰でも持てるわけではない。
しかし、QR決済は個人信用とは関係ないので、QR決済を個人の銀行口座とつなげれば、キャッシュレス社会が実現する可能性が高いし、こうしたキャッシュレス決済が普及していけば、現金で支払いをする人は目立ってしまうし、結果、現金を保有し、現金をため込むが珍しくなる。
周囲の目がタンス預金を自然にあぶり出すことになるかもしれない。

いずれにしても、死蔵されているタンス預金40兆円(=国家予算100兆円の40%)をどうやって活性化させるかは日本経済には重要なことかもしれない。




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PBRは本当に有効なのか?

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5月末の日経平均のPBRは1.04倍となり、PBR1倍に接近していきている。
これが日経平均で2万円割れで底入れするという一部評論家の期待の根拠になっている。
現在日経平均のBPS(一株純資産)は19800円程度と想定されているからだ。
でも、本当にPBR1倍を信じていいのだろうか?

PBRの「B」はブックバリューで、企業の資産の帳簿価格=帳簿上の価値を示している。
株価が企業の帳簿価値である「B」を下回ると、その企業を買収して、資産をバラバラにして売り飛ばせば、利益が上げるという算段ができる。
しかし、これはあくまで算段であり、実際に企業を買収して各資産を売却しても利益が上げるかどうかは分からない・・・ここにPBRを扱う難しさがある。

企業の資産を考える上で、今一番不透明な部分は銀行のATMなどの資産だ。
便利な機械なので、銀行の支店にも駅やコンビニにも銀行のATMは設置されている。
それもメガバンクだけでなく、地銀も第二地銀もゆうちょ銀行もすべてATM網を自社で所有している。
しかもキャッシュの出し入れだけでなく、公共料金などの各種支払い、口座振り込みなどにも対応しているので、銀行オンラインに直結した端末となっている。
その問題が起こった場合の影響の大きさを考えると、各銀行は相当なコストを払ってメンテナンスを行い、システムを維持している。
でも、今後キャッシュレス社会が進展すると・・・どうなるか?

極端な例だが、完全なキャッシュレス社会が来たとすると、ATMは全く不要になる。
通常の支払いはクレジットカードやQRコードで決済され、現金を持ち歩く必要はなくなる。
しかも、スマホのネットバンキングを誰でも簡単にできるようになれば、支払いも振り込みもネットで完了するようになる・・・そうなったら、ATMを使う必要は全くなくなる。
使われなくなった資産は・・・・どうなるか?

答えは「償却される」・・・企業は損失を出してバランスシート上のATM資産を消す。
ただし、ATMの資産がどのぐらいあるかは銀行のバランスシートを見てもなかなか分からない。
三菱UFJ銀行の連結バランスシートで関係ありそうな項目を見ると・・・有形固定資産1兆3359億円、そのうち土地・建物などを除いたその他有形固定資産2514億円、無形資産のなかのソフトウェア5132億円が関連ありそう。
有形固定資産のうちのその他2514億円と無形資産の中のソフトウェア5132億円の合計7646億円がATMやシステム関連と仮定すると・・・三菱UFJ銀行の純資産は17兆2616億円なので、全額償却するとしたら純資産の5%程度になる。

実際、全国に張り巡らされたATM関連機器やソフトウェアを全部償却するとしたら、おそらく、相当な償却が実施されることになるだろう。
でも、その場合、日経平均のBPSはどのぐらい低下するのか・・・詳細は分からない。
19800円のBPSを信じていいのかは不安が残る・・・簡単にPBR1倍割れは買いとは言いにくい。



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レディ・マクドナルドに圧倒された日

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カナディアン・ロッキーの山に挑戦した。
この時期はまだまだ積雪が多く、アイゼンが必要な山登りはできない・・・そこでガイドさんに登山道に積雪がない登山コースを選んでもらうことにした。

ガイドさんが選んだのは、キャンモアという町から登山口に入り、そこからレディ・マクドナルド山(Mt,Lady McDonald)に登るというコースだった。
駐車場から川にそって歩き、登山口から登り始める・・・かなり急なスロープを1時間ほど登ると、いきなり絶景が現れ始まる。
この写真だが、ランドル山(Mt. Rundle)だ。



672CABE5-F1C5-496A-8D28-B5EF535C0CE6ランドル山は日本でいえば八ヶ岳みたいな感じかもしれない。
いくつもの峰が連なっている連峰だからだ。
でも八ヶ岳のように一つ一つの峰に名前が付いていない。
全体でランドル山と呼ばれているだけだ。
このランドル山は、キャンモアの町からバンフの町までずっと続いている長い連峰だ。

この写真はスリーシスターズと呼ばれる三つのピークを持つ山で非常に美しい山だ。
株式市場の三尊型であり、なんか神々しさを思っている。





レディと名がついていても全然女性的な優しさがあるわけではなく、なかなか急な勾配が続く山だ。
この山は岩の塊りの山で、上の方は岩場、山頂付近はガレキでズルズルと滑る危険な登り/下りとなる。

ちゃんとトレッキング・シューズを履いていないと登りにくく、捻挫などがしやすい岩場の道となる。

しかし、カナダ人の若者(女性)が何人もピチピチにフィットしたランニングウェアで、両手にポールを持って駆け抜けていく。
トレイル・ランニングだ・・・ものすごく速い・・・あっという間に走り抜けていく。
しかもこの岩場、けっこう傾斜もあるし、足場も悪い・・・こんなところを、あれだけのスピードで走り抜けていくって・・・すごい!!!
トレイル・ランはカナダ人の若者の間で流行っているのかもしれない・・・その後、何人ものランナーに出会った。

スタート地点(1400)メートルから山頂近くにティーハウスと呼ばれるテラス(2300メートル)まで900メートルを登る。
テラスと言っても、ティーハウスを作るための土台だけで、どうやらティーハウスの建設が途中で中止され、土台だけが残っているということだった。
でも、このティーハウスからの眺めが最高なのだ。
カナディアン・ロッキーの山並みに360度ぐるっと囲まれる・・・3000メートル近い山々が回りを取り囲み、迫ってくる。
その景気の迫力がすごい・・・これが山登りの醍醐味なのだろう。
疲れた登山の、最大のご褒美がこの景色だ。
ビデオで360度撮影したが、このブログでは動画がアップできない・・・残念。



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ウィークリー雑感(6/2 債券バブルに注意)

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5月に入ってからの米中摩擦の激化を反映してか、債券が世界中で買われている。
米10年債利回りは2.2%にまで低下し、3か月物金利を再び逆転した。
前回、3月に金利の逆転、逆イールドは一時的なものだとして株式に強気を言ってきた評論家たちは、今回、黙ったまま知らんぷりを決め込んでいる・・・全く無責任な話だ。
この米10年利回りの2.2%レベル、米FF金利の誘導レート2.2%~2.5%、これらの金利水準をどう考えていったいいのだろうか?

リーマン危機以降、各国の中央銀行は量的緩和策として各国債を買い続け、バランスシートを膨らませてきた。
各国中銀のバランスシートを見ると、FRBはバランスシートの縮小を始めているがそれでも4兆ドル以上の残高があり、ECBは債券買い入れを終了したとはいえ、4.5兆ユーロの残高がある。
日銀は未だに量的緩和を続けているが、バランスシートは550兆円を越えて膨張してきている。
これだけ巨額な債券買いで債券市場の流動性は低下し、債券利回りも本来のあるべき水準に比べ低く抑えられているはずだ。
そんな需給にある債券市場に株式からの資金シフトが起こる・・・すると、流動性が少ないため、すでに低い利回りがさらに低くなってしまう。
その一端が見えたのが、5月の債券市場だったのだろう。

米中摩擦の実態景気への影響はまだまだ未知数だ。
中国の製造業PMIが49.4と4月の50.2から大きく低下し、次は米国の製造業ISMがどうなるのか注目されるにしても、まだ米国のリセッション(景気後退)を予想している人は少ない。
つまり、ここもとの株価下落はこの1-4月の市場の楽観的な期待の反動という面が大きく、将来のリセッションを織り込みに行っているわけではない。
・・・と考えると、米中摩擦という先行きのちょっとした不安から、とりあえず、資金を株式から債券に移したという段階だろう。

今後、景気実態に影響が出てきて、実際の景気指標が悪化する局面に入ると債券市場はどうなるか?
現実の景気スローダウンによる債券への資金シフトがさらに債券利回りを押し下げ、流動性不足になる。
世界の10年債利回りを見ると、米国は2.1%だが、日本-0.1%、ドイツ-0.2%、オランダ-0.01%、フランス0.2%・・・ほとんど利回りのない長期債が増えている。
量的緩和の影響は、債券市場の流動性を低下させ、利回りを消した。
こうした状況で景気悪化による株式からの資金シフトが始まるとどうなるのか?
債券市場で格付けの低い債券が買われすぎたり、クレジット(社債)に資金が流れたり、新興国の債券が買われたりという局面に入るかもしれない。
さらに資金の行き場がなくなれば、債券代替としてリートなどの利回り商品が買われるだろうし、株式と連動性の低い金も買われる可能性がある・・・最近のビットコインの上昇はこうした株式に連動しない資産への資金の流れを示しているかもしれない。

ここまで行くと債券市場は完全にバブルになり、格付けの低い債券、社債や新興国債券などのリスクの高い債券に資金が回り、リートや金やビットコインなどの株式との連動性が低い資産が買われる。
債券バブルには注意が必要だ。
でも、現段階ではバブルではなく、その走りという程度ではないかと思うが・・・神さまだけが知っているのかも。



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習近平の「新たな大長征」の意味

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習近平主席は1930年代に「大長征」に初めて出発した江西省にある記念碑に献花し、毛沢東や周恩来などの共産党指導者と赤軍(のちの人民解放軍)が川を渡った入江をみて回った。
1934年国民軍に包囲され絶体絶命の危機に瀕した中国共産党と赤軍部隊は、ここで川を渡り370日かけて9600キロメートルを歩き延安に脱出した。
その過程で民衆の支持を得たことが共産党の躍進につながった。
そして、習近平は「今、新たな大長征を始めている」と語った。
ちょっと前だが、5月の米中協議の後、劉鶴副首相は「中国は原則にかかわる問題では決して譲歩しない」と発言した・・・これは個人の意見ではなく上層部の考えだろう。
習主席と劉副首相の発言を総合すると、「中国は長期的に米国の覇権に挑戦する」と言っているとしか考えられない。

そんな時に思い出したのが、もう何年前に読んだ本、原題は「100YEAR MARATHON」であり、邦題は「中国2049年」で、中国の密かな世界覇権100年戦略について書かれた本だ。
中国は2049年までに米国を抜き、世界最大の覇権国となる・・・まるで中華思想そのものを現代で実現しようとしているかのようだ。
著者は9つの中国の密かな戦略について書いているが、(1)敵の自己満足をさそい警戒体制を取らせない、(2)敵の助言者をうまく利用する、(3)勝利するまで数十年でも忍耐する、(4)戦略目的のために敵の考えや技術を盗む・・・と続く。
中国の歴史は3000年以上の内乱の歴史で、孫氏の兵法など戦いの思想が発展した。
敵を出し抜く、敵を利用して勝利する、多くの知略・戦略・謀略に中国人は長けているし、100年という長期の戦略を立てて実行できる民族だ。

これまで数十年の中国の覇権戦略に米国が気がつき、ギリギリの場面で経済戦争を仕掛け、米中摩擦が起きたと考えられる。
敵のアイデアや技術をいとも簡単に盗む中国を徹底的に叩くという合意が米国内で出来上がったということだろう。
決してトランプの思いつきで仕掛けたわけではなく、共和党の基本戦略だった・・・その点でペンス副大統領やボルトン氏の発言も大きな意味を持っているだろうし、注目していく必要がある。

と同時に、習近平の「新たな大長征」発言は、この米国に対して宣戦布告になるのだろう。
それまで何十年も野心を隠して無能な振りをして、敵のアイデアや技術を盗み・獲得してきた中国が、この無能の仮面を取り、本性をむき出しにしてくるのではないだろうか・・・ちょうど中国の伝統芸能「変面」のように一瞬にして顔を変える・・・。
習近平が初めて「中国の夢」という発言をしたが、これも密かに隠してきた「中国の夢=中華思想の実現」を全面に出してきたというわけだ。
ますます、簡単に妥協や譲歩はできない局面に入ってきたということだろう。




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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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