株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2019年05月

中国の「レアアース禁輸」は筋が悪い

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習近平がレアアースの採掘施設を訪問したのをきっかけに、中国が対米摩擦のお返しとして「レアアースの禁輸」をするのではないかという観測が出た。
これで欧米市場は一段安となり、NYでも大幅な株価下落となった。

たしかに中国は全世界のレアアース生産の70%を握り、埋蔵量でも世界の40%と圧倒的なポジションにいる。
この強い立場で「レアアースの禁輸」を外交カードに使えると思っているかもしれない。
でも、この「レアアースの禁輸」は非常に筋が悪い話だ。

日本が尖閣諸島を国有化した時、中国が激怒し、この戦略的資源であった「レアアースの禁輸」を日本に対して行った。
でも結果はどうだったかというと・・・
たしかにレアアースの価格は高騰し、採掘業者にはウハウハな環境にはなった。
しかし、パナソニック、日立、ホンダなどの日本企業が徹底的な省資源技術の開発、徹底的なリサイクル、オーストラリアなどの輸入代替で、中国の「レアアースの禁輸」を簡単に克服してしまった。
その結果、何が起こったかというと・・・
中国のレアアース採掘業者は、日本という貿易相手を失い、輸出が減少し、在庫がだぶつき、最後は業績悪化に悩まされた。

「レアアース禁輸」を対米で実行しても、おそらく同じ結果になるだろう。
歴史に学ぶことが多い、習近平政権にはこの失敗した日本への「レアアースの禁輸」の記憶がよみがえるだろう。
中国の「レアアースの禁輸」は筋が悪い。



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カナディアンロッキーに圧倒された日

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この写真はバンフの街並み、すぐ後ろにキャスケード山(Mt,Cascade)が見える。
人口はおよそ8000人の小さな町だが、観光客は年間400万人と膨大・・・バンフの観光開発をしたウィリアム・ヴァン・ホーン氏が「景色を輸出できないなら、観光客を輸入する」と言った通りになった。
今でもフェアモント・バンフ・スプリングス・ホテルには彼の腹の突き出た銅像が立っている。

この時期、まだまだ寒く、気温は5℃ぐらいだが、多くの観光客でバンフのメインストリートは混雑している。
気温5℃の中、Tシャツ1枚で歩いている元気な兄さんも超ミニの姉さんもいるし、ダウンジャケットを着こんだ兄ちゃんもいる。

3A1ACB6C-AD9E-4BD0-86FB-5561D8326086この写真はフェアモント・バンフ・スプリングス・ホテルの部屋から見たボウ河とロッキーの山並み。
ボウ河は「帰らざる河」のロケ地で、映画撮影に疲れたマリリンモンローが仮病して宿泊し、包帯姿でゴルフを楽しんだという話が残る歴史のあるホテルだ。
でも古いホテルで韓国製のテレビは映りが悪いし、シャワーも機能性が全くない・・・古き良き時代を感じさせる重厚感のあるホテルなのだが・・・
このホテルのロビーフロアにあるショッピングモールで、ホテルのガウンを着た熊のぬいぐるみが売っている・・・名物になる感。





IMG_0722レイクルイーズというビクトリア氷河が流れ込む湖。
奥に見えるのが英女王の名を冠したビクトリア氷河で、レイクルイーズはビクトリア女王の娘さんの名前を取った湖だ。
このほとりには、フェアモント・シャトウ・レイク・ルイーズが建っていて、豪華な眺めを満喫できる。
ここにはカナダ屈指のスキー場があり、毎年ワールドカップが開催されるらしい。
ロッキーの山並みとビクトリア氷河、ルイーズ湖という組み合わせがなんとも美しい絵になる。
湖の湖面はまだ凍っていて、湖水は8℃以下で冷たい・・・溶けるとロッキーの山並みが湖面に映り、一段と美しくなりそうだ。




80906370-C365-408A-B734-4FCAB0995111ペイトレイク、ボウレイク・・・とコロンビア大氷原に向けてロッキー山中を入っていく。
丘の上にそびえるエジンバラ城のように見えるキャッスル・マウンテン、英国人の名前が付いた多くの山やピークを通り過ぎていく。
右の写真は、クロッシングと呼ばれる道の分岐点にあるドライブインから見たロッキーの山。
二つのピークがあり、前のピークは日当たりが良く雪が解けて黒く見えるブラックピーク、もう一つはその裏側にある雪が積もったままのホワイトピーク。
通常では裏側にあるホワイトピークは見えない・・・ここクロッシングからは良く見える最高のビューポイントになる。




IMG_E0739この写真はコロンビア大氷原(Columbia Icefield)から落ちてくる氷河のうねり。
コロンビア大氷原は世界最大の氷原で、この氷河の上に位置している・・・残念ながら見えない。
しかし、ここの地下展示室に全容の模型がある・・・模型でだけしか形を確認できない。
氷河は分厚く、毎年落ちてきて溶けてしまうので、どんどん減っていく。
誰かの計算では、80年で溶けてなくなるというが・・・?






F3C15ACE-0332-4A1A-8D24-94FF849F9CEDグレーシャー・アドベンチャーという氷河の上を雪上車で行くコースが用意されている。
この写真はその雪上車だが、現在、24台が動いていて、そのうち22台はここカナダで使われ、残り2台はアメリカが南極で使っているという。
一台、1億2000万円と特注なので高く、自動車産業のないカナダで唯一の国産車。
この雪上車で急斜面を登り、氷河に上に行く。
そこには観光客用に展望エリアが整備されていて、その範囲なら好きな場所に行って写真を撮れる。
各国の国旗も用意され、各人は自国の国旗を振り、写真撮影をしている。




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これもコロンビア大氷原から落ちてくる氷河。
いかにも落ちてきそうな感じだ。
カナディアン・ロッキーに圧倒された一日だった。














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女性、女系天皇の待望論

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宮中晩餐会のシーンをテレビで見た。
安倍さんとトランプ氏はお互い政治家の駆け引きや支持者へのアピールばっかりで、素直に本当の友人なのかどうか分からない・・・しかし、皇室は違う。
天皇陛下のお言葉は、いつでも「~を願う」と締めくくられるが、国家元首ではなく、政治家でもないことをよく自覚されている言い方だ。
自分から何かする訳でもなく、自分の意図を感じさせる表現を避け、象徴として一歩も二歩も引かれた立場からのお言葉だからだ。

この宮中晩餐会のシーンを見ると、こうした象徴としての立場がトランプ夫妻とのフレンドリーな関係に役立っているような気がした。
雅子皇后も友人としてメラニア夫人に接しているかのようなリラックスした雰囲気で言葉を交わされていた。
これが皇室外交の重要な点だという感じがしてならない。
政治とか軍事とかの生々しい部分に関与しない天皇・皇后陛下は、純粋に友人として関係を作ることができる。
政治家の外交となると、貿易、経済、軍事などの部分で国益を確保する意識が強くなり、どうしても男の外交になってしまう。
皇室外交の場合は、それよりも海外の元首夫人などとの女の外交、国益の関係ない=より純粋な友人として話をすることができる・・・こうした関係を各国の王室や元首と結んでいければ、日本にとっても有意義だろう。

こう考えると、秋篠宮家の出番はほぼなくなる。
秋篠宮家の長男が順位3番目で将来の皇室を担う立場にあるが、これも女性・女系天皇を認めることになれば事情は一変する。
今後の皇室の役割を考えていった場合、そのキャリアや能力から徳仁天皇と雅子皇后が全面に出てくるし、両陛下の活躍の場はどんどん広がっていくだろう。
両陛下の外交ポテンシャルが高く、ある意味、首相外交よりも各国と深い関係を築ける可能性さえ感じされる。
でもそうなると、反対に秋篠宮家のポジションは相対的に小さくなるし、天皇家の評価が上がると、愛子さまの天皇即位を求める国民の声が増えてくると思われる。

今回の宮中晩餐会での両陛下を見ると、国民は日本の象徴として両陛下の存在感に圧倒された。
特に雅子皇后の存在感はメラニア夫人と同レベルだった。
令和の時代、どうやら、女性・女系天皇への議論が進んでいくという印象が強まるだろう・・・そんな気になる宮中晩餐会だった。



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カナダ、カルガリーに圧倒された日

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カナダのカルガリー、昔、冬季オリンピックが開かれた場所だなぁぐらいしか印象がなかった。
ところが・・・ところが・・・行ってみると、すごい所で最強ともいえる地域だった。
カルガリーはカナダのアルバータ州に位置し4番目の都市で人口100万人程度だ。
とても大都市とはいえないし、アルバータ州も人口400万人程度の、どちらかというと田舎の州だ。

しかし、カルガリーの平均年収は日本円で700万円と非常に高く、アルバータ州の一人当たりGDPは8万ドルで日本の4万ドルの2倍だ。
なんでこんな田舎(失礼だが)の都市がこんなにリッチなのだろうか?
その理由がすごい。
(1)アルバータ州はエネルギー資源の宝庫で、オイルサンドを含めた原油換算埋蔵量(原油、天然ガス、オイルサンド、シェールオイルなどの合計)ではサウジアラビアを凌ぐと言われる。
特に原油フィールドは州都のエドモントン州周辺にあるが、その資源会社の本社がカルガリーにあるというわけで、カルガリーには法人税がガッポガッポ入ることになる。
(2)小麦などの農産物や牛肉の産地で、食糧需給率が数百%との非常に高く、完全自給水準を超える。
カナダの小麦は質もよく美味しいパンを作れるし、アルバータ牛は放牧なので身がしまっていて赤身が柔らかく美味しい。
この-30℃にもなる寒冷地での放牧は厳しく、寒さに強いアルバータ牛を品種改良してきた結果であり、その育成技術が寒冷地での放牧を可能にした。
和牛のように霜降りとは違い脂が少ないが、赤身なのにジューシーでレアで食べても柔らかい。

このエネルギーと食糧が経済の中心で、この二つが自給できれば今の経済では最強で完璧だ。
たとえば、東京に直下型地震が起こったら、ほぼ3日間程度しか自給できない。
首都圏全般でライフラインが破壊されるような災害やミサイル攻撃があれば、日本全体の大混乱が必至だ。
しかし、食糧とエネルギーを自給できるアルバータ州は違う。
戦争が起ころうが、テロが起ころうが、アルバータ州は数か月でも何年でも自給し、生きのびることができる・・・ここが日本から見ると、ホントに羨ましい。

というわけで、カルガリーでは年収700万円が平均で、市民みんながリッチという羨ましい状態にある・・・そのため、市のVAT(日本でいう消費税)は国税分の5%のみ、しかもずっと引き下げられてきたという。
他の都市では国税5%に州税が2~5%上乗せになり、合計7~10%の消費税がかかる。
収入が高く、税金が安いカルガリーは住みやすい場所で人口も増加、さらに経済が良くなるという好循環にある。
恐るべし、カルガリー。

ただし、冬は寒い・・・零下30度は普通で、-30度を大きく下回ると学校も休みになるらしい。
オリンピックのジャンプ台があったが、昔のタイプ、70m級とか90m級のジャンプ台で、今のノーマルヒル、ラージヒルなどのジャンプ競技は開催できないと言う。
2026年の冬のオリンピック候補として名乗りを上げたらしいが、住民投票で否決され候補から降りたという。
オリンピックに市民の税金を使う事はバカげているということらしい。
オリンピックで大騒ぎしているアジアの国とは大きく違うなぁ



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トランプ、安倍、どっちが「貸し」を作ったのか?

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外交はどっちがどっちに「貸し」を作ったか(精神的な重しを相手に与えたか?)が重要な評価項目だ。
安倍さんがトランプ氏を国賓として招待し、数千万円の国民の税金を使って、ゴルフ、大相撲、炉端焼きの接待をしたが・・・どっちが「貸し」を作ったのだろうか?

まず、ゴルフだが、これはトランプ氏の趣味でもありし、安倍さんの趣味であるので、「引き分け」というところだろう。
もう何回もゴルフ外交をやっているので、楽しんだだけで特に勝ち負けはないだろう・・・スコアでは安倍さんの大負けみたいだけど・・・

次に、大相撲の鑑賞だが、トランプ氏の表情を見ているとそんなに楽しんでいるとは思えない。
それどころか、安倍さんは致命的なミスをしているかもしれない。
それはメラニア夫人が大相撲への接待をどう思っているかという問題だ。
海外の要人の接待では、本人より夫人を中心に考えることが重要だ。
本人の趣味に合わせるより、もし夫人同伴だったら、まずは夫人を楽しませることだ。
夫人が楽しめれば、本人も満足感が高くなる・・・欧米人の接待では本人よりも夫人がどう思ったかが接待の成否のカギを握ることが多い。
という意味では、安倍さんの夫人がメラニア夫人をどこまで楽しませたかがより重要で、おそらく、裸の巨漢がぶつかり合うだけの相撲ではメラニア夫人は楽しんでいるとはいえないかもしれない。

さらに炉端焼きでの欧米要人の接待は問題があるかもしれない。
アメリカの高級レストランではカウンター席は食前酒やアパタイザーを楽しむ席で、その後、ちゃんとした席に案内され、正式なディナーが始まるのいが普通だからだ。
いきなり正式ディナーとして、カウンター席に案内されたら、どう思うのか?・・・いろいろな場合が考えられ・・・・結局、その人、次第だが・・・。
以前、ロンドンから来た顧客を炉端焼きで接待した時、顧客が十分な満足をしたかというと、???だったという経験がある。

全体としての評価は、トランプ氏が安倍さんに「貸し」を作った可能性が高いと思っている。
日本の天皇陛下が交替したタイミングで、国賓として「(安倍さんが頼むと言うので)来てやった」とトランプ氏は思っているだろう。
さらに、トランプ氏は日本の国内事情にも配慮して上げたと思っているはずで、これだけ安倍さんに配慮したのだから、貿易交渉では「日本が譲歩しろ」と言ってくるだろう。

安倍さんとしては、トランプ氏との親密さを世界にアピールできた(トランプの腰巾着とも言われるが)と思っているだろうが、トランプ氏は「これだけ安倍を立てた」のだから、次は「俺の言うことを聞け」ということのような気がする。
となると、トランプ氏は安倍に「貸し」を作ったと考えている可能性が高い。
となると、この国賓接待は、どっちが勝者だったのか?・・・大いに疑問が残る首脳接待だった。




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ウィークリー雑感(5/26 指標で実態を見る)

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最近問題の米中摩擦だが、関税引き上げ戦争から、より個別の中国問題に焦点が当たってきた。
ファーウェイ問題は拡大し、中国の監視カメラ企業に矛先が向かい出した。
このブログでは一貫して書いてきたが、中国の共産主義的で独特の、政府と企業の関係や距離感が、こうした摩擦を助長させてしまうことだ。
市場ではエモーショナルな意見がいろいろ出され、日本企業には大した影響はないと考えていいのか?あるいは大変な事態になっているのか?専門家の話を聞いていてもよく分からない。

企業別にはいろいろあるだろうが、こんな時はシンプルに全体を見るというのが大切だ。
あまり個別に考えすぎると、かえって枝葉末節に惑わされることになるかもしれない。
このような市場状況でワシが重視しているのは、製造業PMIとOECD景気先行指標だ。
これらは全体や各地域の景気状況をシンプルに実態を表していると思っている。
だから、惑わされるような市場になると、ワシはここに戻って考えることにしている。

Country US GERMANY EURO JPN CHINA   CLI
Source ISM Markit Markit JMMA Caixin   OECD
May-19 50.6 44.3 47.7 49.6 50      
Apr-19 52.8 44.4 47.9 50.2 50.2    
Mar-19 55.3 44.1 47.5 49.2 50.8   99.1
Feb-19 54.2 47.6 49.3 48.9 49.9   99.3
Jan-19 56.6 49.7 50.5 50.3 48.3   99.4
Dec-18 54.1 51.5 51.1 52.4 49.7   99.5
Nov-18 59.3 51.8 52.7 52.2 50.2   99.7
Oct-18 57.7 52.2 53.1 52.9 50.1   99.8
Sep-18 59.8 53.7 54.1 52.5 50.0   99.9
Aug-18 61.3 55.9 54.5 52.5 50.6   100.1
Change6m ▲ 8.7 ▲ 7.5 ▲ 5.0 ▲ 2.6 ▲ 0.2   ▲ 0.8
5月中国PMIは予想値、発表は6/3。 OECD先行指数は3月まで、6か月変化も2018/9~2019/3で計算。

こういう数字は素直に見ることが大切だ。
(1)米国のPMIが急速で低下している。
過去6か月の低下が-8.7ポイントと主要国で最大の低下だが、これは今まで堅調だった分低下も大きいということだろう。
米経済にリスクが高まっているといえるだろう。
(2)ドイツとユーロ圏は相変わらず最も低調。
さらに英国メイ首相の退任が決まり、ブリグジットがまた不透明になったり、ドイツPMIの低下が著しい。
ドイツは中国経済への依存度が高く、中国失速へのリスクが高い。
(3)中国は小康状態だが、再低下の可能性も否定できない。
過去6か月の低下幅では、最も小さいが油断はできない。

全体としてグローバルに景気がスローダウンしている。
これはOECD先行指数でも確認できる・・・昨年8月にはまだ100以上を維持してきたが、そこから徐々に傾向的に低下してきている。
2か月ほど前には、年後半のグローバル景気の回復を期待して、NYダウを始めナスダックも半導体SOXも上昇したが、あれは「一体、何だったのだろう?」って感じだろう。
特に注目は6月には発表される中国CAISIN製造業PMIの動きだ。
これが再び50を下回るようならば、グローバル・スローダウンの第二ラウンドが始まるかもしれないからだ。




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やっぱり、共産主義なんだ

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中国って、やっぱり共産主義なんだと再確認することが多く起こっている。
この考え方の違いが、米国と中国の摩擦の奥底にあるような気がする。

たとえば、中国で進む、キャッシュレス決済や市民格付け制度。
キャッシュレスはQRコードで簡単に決済でき、中国人民に一気に普及した。
でも、キャッシュレスということはシステムによって人民のお金の使い方が政府に把握され、ギャンブルに使っているとか、無駄遣いが多いとか、脱税だって監視できる・・・などなど、政府は集積した個人データを様々に利用できる。
さらに政府は8000万台の監視カメラを中国全土に設置し中国人民を監視し、その結果を市民格付けに応用している。
監視カメラにはAIの個別認識機能が付いており、特定の個人がどこで何をしているか捕捉することができる。
政府に反感を持っているとか、どこかでゴミを散乱したとか、電車の中で大騒ぎしたとか・・・すべて政府に把握され、市民格付けに反映される。
そして、格付けの低い人にはパスポートの発給、飛行機や電車の使用など、様々な権利が制限される。

これだけでも自由主義で育ってきた先進国の我々には受け入れがたい感じがするだろう。
個人の自由が制限され、個人の行動が政府に監視される社会なんて信じられない。
でも、中国人民は違う。
この状況を受け入れ、さらに、市民格付けを結婚相談や婚活に使い、あっけらかんとしている。
一党独裁の政府が個人のあらゆる権利の上位にある社会を中国人民は受け入れている。
毛沢東政権の樹立から60年経ち、中国人民にはこうした自由のない監視される社会に慣れっこになっているわけだ。
やっぱり、中国は共産主義の国なんだと改めて思う。

習近平は国内で行っている施策を海外でもやっているだけで、なんの違和感もなく行動しているのだろうけど、西側先進国からみれば「ありえない」違和感を感じてしまう。
たとえば、通信機器にスパイ部品を組み込み人民のデータを収集するのは中国政府にとっては「あたりまえ」のもので、おそらく、何十年も前からやってきた事なのだろう。
しかし、中国の技術レベルが上がり、同じようにスパイ部品を組み込んだ機器を海外に売り込んだとしたら、西側先進国から見れば権利の侵害以外の何物でもない。
現在の米中摩擦は、単なる経済的な覇権争い・・・ではなく、自由主義と共産主義の考え方の違い、その大きな溝に端を発しているとしたら、永遠に分かり合えない戦いになってくるかもしれない。




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やさしい投信の選び方(9公募投信続き)

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公募投資の選び方も今回で最後になるが、最後に「分配金」の問題を考えてみたい。
投資家としては分配金を受け取るのは楽しみで、たとえ、それがタコ足配当であったとしても。
多くの高齢投資家は、「投信の元本部分はいずれ自分が亡くなった時、相続として親族に行く部分だけど、分配金は生きているうちに自分が受け取れ、自分のために使える」と考えている。
だから、毎月分配などの高分配の投信は高齢者に人気がある。

この分配金は分配可能原資から払われるのだけど、これが少しややっこしい。
というのは、当期の配当収入などのインカムゲインと値上がり益などのキャピタルゲインだけでなく、過去のインカム・キャピタルゲインのうち留保(その時に払っていない分)されている準備金と、さらに追加でこの投信を買った顧客の収益調整金も含まれる。
簡単に言うと、今期儲かった分を分配するだけでなく、過去に上げた収益や追加投資家の資金も分配に使える。
過去に上げた収益というのがミソで、過去基準価額が大きく上昇したことがある投信は分配原資が大きく積み上がっている。
しかも、追加の投資家と既存の投資家を公平に扱うために新規資金の一部も分配に回すことができる。
こうしたルールがあるために、日本では投信の基準価額以上の分配原資がある投信があるという訳わからない状態になってしまった。

昔、台湾で日本の毎月分配型のような投信を出そうと考えたことがあったが、台湾は当期の収益の範囲内でしか分配できないために、毎月分配型の投信はあきらめたことがあった。
欧州の投信規格UCITSでも、米国のミューチャルファンドでもこんなタコ足分配は無理だ。
日本だけの特殊なルールで、金融庁が毎月分配型をめの敵にするのは、こうした事情があるのかもしれない・・・将来、このルールが変わっていくかもしれない。
税法では、収益を原資とした分配には分離課税がかかるが、タコ足分配部分には税金はかからない・・・なぜなら、それは運用で上げた収益ではなく、自分の出したおカネだからだ。
毎月の分配金をもらって喜ぶ高齢者は別としても、通常の投資家にはタコ足分配は自分の出したおカネをもらうだけなので全く意味がない。
特殊な日本的な投信というわけだが、でも、まだまだ人気がある。
年金の不足を解決する手段でもあり、日本では生き続けるのかもしれない。




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新紙幣とタンス預金(3)

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タンス預金は現金が無記名であるため、裏カネをタンス預金しているケースが相当多いのではないかと思う。
たとえば、知り合いに何か頼まれでやり、その御礼として現金を受け取る・・・というのがある。
これも雑所得に含まれるから、本来、申告して税金を納めるべきだろうが・・・実際、そんな面倒なことはしない。
ただし、現金商売している法人が売上を過小申告したら、仕入などの取引相手も法人なので簡単に脱税がバレてしまうのでやめた方がいい。

昔、外銀にドル預金をしていたがその外銀が日本から撤退してしまい、口座が行方不明になってしまったという人がいた。
その人から友人を通じて、「その凍結口座を探し出して本人確認をして口座のドル現金を取り返してほしい」と依頼されたことがあった。 多くの手続きを行いドル預金を取り返した時、その10%を御礼としてもらったが、これも知人間のおカネの移動であり、税金を払っていない。
小口の移動は関係ないと思うが、知人間でも大規模なお金の移動があれば、タンス預金にされるかもしれない。
たとえば、知人とやっている麻雀で大きな規模で掛金が移動した場合とか、おそらく税金は払っていないだろう。
また、反グレ連中が一般人を脅して現金を巻き上げても税金を払わずに現金のまま保有しているだろう。
多くの個人間の相対取引では現金で決済されている場合、課税されない裏カネになっている可能性が高い。

また、パチンコや競馬などのギャンブルの益金も裏カネになる可能性も高い。
本来、公営ギャンブルの益金も年50万円を越えれば雑所得として課税される。
しかし、現金でパチンコ玉を買い、馬券を買って、うまくいったら現金で益金を受け取る・・・としたら、課税するのが難しい。
毎日パチンコして5万円を稼いだとしたら、年300日としても1500万円の収入になる・・・現金でのやり取りだけなら、税務署にはなかなか見つからない・・・これは現金で裏金として保有される。
しかし、競馬の必勝プログラムを作りネットで馬券売買をすると、個人の売買記録が当局に分かってしまう・・・数億円の利益が上げた人がいたが、税務署に課税された事件があった。
税務署は当たった馬券の費用のみを認めているので、はずれ馬券は考慮されない。

個人間のおカネやり取りが多くなると、裏カネも多くなるはずだ。
つまり、タンス預金にはこうした税金を払っていない現金保有が相当含まれていると思われる。
こうした動機で保有されるタンス預金は、出てこないし、出てきたら脱税がバレてしまう。
たとえば、裏カネで土地を買ったら土地の移転登記があるので、所有者が変更されたのが税務署にはすぐにわかり、お尋ねが来る。
だから、新紙幣に交換してもこうした裏カネである限り、表には出てこない。
新紙幣の発行の目的が、もしタンス預金をあぶり出すことだとしたら、うまくいかないだろう。



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暴走老人、責任の取り方で価値がわかる

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これまでも小さな逆走事件や暴走事件は多くあった。
でも、東池袋で87歳の老人が起こした暴走事件はショッキングだった。
暴走老人が元通産官僚であり、クボタの副社長もやった社会的地位の高い人だったことで、幼い子供とその母が犠牲になったその事件の悲惨さ、絶望から立ち直れないという遺族の悲しみの会見などもある。
そして、この暴走老人が5時間の事情聴取を受け、警察署から出てくる姿もショッキングだった。
退院直後で歩くのもおぼつかない、杖でやっと歩くしかできない暴走老人の姿だ。
しかもマスコミの前をスルーしてタクシーに乗り込んだ。
こんな老人が暴走老人だったのかと思うと、あまりにやりきれない思いにかられる。
と同時に謝罪の気持ちがあるのかもよく分からないテレビ中継だった。
87歳にもなって、こんな大それた事件を起こした暴走老人、一体、何を思っているの
だろうか?

逮捕されていはいないが、この暴走老人には、危険運転致死傷罪という刑事責任、被害者家族に対する補償や慰謝料という民事責任、さらに、社会に対する責任が追及されていく。
今後、起訴されるのか、懲役刑がつくのか、執行猶予で終わるのか、民事での補償金や慰謝料はどうなるのか・・・といろいろな責任が問われていくだろうが、また、いろいろな逃げ道もある。

まず、事件の責任をプリウスのブレーキ不具合のせいにするという逃げ道がある。
すでにネットではプリウスの暴走・逆走事故の多さからプログラムにバグを疑う論調も見られる。
それに便乗するわけではないにしても、ブレーキを踏んだが止まらなかった=自分のせいではないと言い張るかもしれない。
また、その後やってくる民事訴訟で補償料や慰謝料などの支払いが決めるわけだが、それを払う前に、暴走老人が離婚して奥さんに財産贈与してしまえば、保証料や慰謝料を払えなくなり自己破産するという逃げ道も考えられる。

だから、この人生最後の責任の取り方で、この暴走老人の人生の価値が変わってくると思う。
ここまでの社会的な地位がある暴走老人なので、数億円というレベルの家や土地や金融資産を保有していると思われる。
責任を取るとは、結局、こうした自分の命や自分の持つ物を使って償うしかない。。
単に法律上の責任を取って終わりにするのか、自分の財産すべてをもって謝罪するのか、自分の命をもって謝罪するのか?・・・ということだろう。

まずはすべて被害者にどれだけの謝罪をしたのかだろう。
刑事責任、民事責任をすべて果たすと同時に被害者に謝罪するしかない。
その謝罪の中身、誠実さ、どうやって罪を償うつもりなのかが問われる。
被害者にとってはおカネも問題ではないかもしれないので、自分の財産をもって謝罪できないのができないかもしれない。
それなら、すべての財産を交通遺児の団体などへ寄付するなど、その社会的な責任をきちんと取る姿を見たいと思う。
この暴走老人がどう責任を取るのかで、この老人の人生の価値が決まると思う。




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トヨタ社長発言の裏を読む

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トヨタ社長の発言「終身雇用はもう難しい」が話題になっている。
もともと終身雇用は「死ぬまで面倒をみる」ことではなく、定年制の元で「定年まで面倒を見る」ということであり、終身雇用と定年制はセットであった。
その終身雇用をやめるなら定年制もやめることになり、従業員はいつまでも働くことができる・・・その一方、生産性の低い従業員は解雇されるという理屈のはずだ。
しかし、この選別的解雇は日本社会では認められていないし、議論も進んでいないし、議論さえしてはいけない雰囲気がある。
・・・ということは、終身雇用をやめ、定年制もやめると、結果として、従業員はより長い期間、働けることになる・・・終身雇用をやめる発言はかなりの矛盾を含んだ発言だ。

では、今、なぜ、日本的経営の代表のようなトヨタがそんな発言をしたのか、裏に大きな意味があるとうな気がする。
特に年金財政が厳しい日本では、政府が主導した「働き方改革」と称して年金支給年齢の引上げと高齢者雇用の増加をセットにした政策を進めている。
政府からすれば年金支給年齢の70歳あるいは75歳への引上げが狙いだが、そう言ってしまうと反対論が出てくるので、70歳まで働ける高齢者雇用制度ときれい事にしてごまかそうというのが見え見えの政策だ。
トヨタ社長はここに文句を付けたいのではないかと思う・・・終身雇用を強いて否定することで、解雇できる制度にしたいという思惑が見え隠れする。

このまま、65歳雇用、さらに70歳雇用と高年齢者を雇用し続けていったら、企業はたまらない。
60歳以上の従業員は基本的には働かない。
朝、会社に来てお茶を飲み、新聞を読み、周りとおしゃべりしていると、昼になる・・・昼飯を食って会社に戻ってから午後会議に出たり、多少の仕事をすると午後5時になり、定時退社する・・・というのが典型的な高齢従業員の日常だ。
60歳以上(50歳代後半からかも?)になるともう出世願望もないし、成績でボーナスが増えるわけでもない・・・そんな状態だったら、仕事を頑張ろうという意欲も湧かない。
そんな意欲のない従業員ばかり抱えてしまったら、会社の業績なんか上がるわけがない。

トヨタ社長の危惧はそこにあるのではないだろうか。
政府の働き方改革に従っていると企業はもたない・・・だから「終身雇用は難しい」という象徴的に発言をすることで、政府が安易に高齢者雇用を進めようとしていることをけん制したのではないだろうか。
もし、年金財政が厳しくなり70歳年金支給と70歳までの雇用を進めるなら、その前に選択的解雇を認めてくれという意味だろう。
特にAI時代に入れば、生産性に低い従業員をいかに減らすかが企業収益の大きなポイントになる・・・企業経営者はその前に解雇できる体制を作りたいと考えるだろう。




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ウィークリー雑感(5/19 競馬と資産運用)

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ある著名な経済評論家がこんなことを書いている・・・「週末の競馬で数万円をかけると燃える(萌える)のに、その数十倍以上の金額をかける資産運用には何故か燃えない、やる気が起きない」
この感覚、この評論家氏だけでなく、多くの人が持っているような気がする。

この評論家氏はアメリカ通で、アメリカの政治や選挙に詳しい。
トランプが勝利した大統領選は見事にはずしたにもかかわらず、アメリカ事情に詳しいので今でも全国の講演会で引っ張りだこだ。
また、その評論家氏は競馬通でもあり、毎週末、競馬場に足を運び、勝負をしているという。
知識もあり、勝負度胸もあり、おカネもある(?)評論家氏なのだが、資産運用はほったらかしで、やる気がないという。
なぜ、こうなってしまうのだろうか?

まず、資産運用は退屈なのだ。
競馬なら馬券を買い、レースが始まり、馬の走る姿にこっちの精神も集中する。
そして、結果がすぐに出る、勝っても負けても気分を一新して次のレースに向かい、再び馬券を買う。
しかし、資産運用は一旦ポートフォリオを組むと、結果が出るまでに何か月もかかるし、場合によっては何年もかかる。
こんな長い時間、精神集中が続かないし、どこかで退屈で飽きてしまう。

また、膨大な投資情報を収集して時間をかけて考えて、それでも年数%のリターンしか上がらない。
競馬なら一攫千金も可能で、一瞬で万馬券を取ることもできる。
その倍率に燃え(萌え)てしまう。
資産運用は膨大な時間を投資情報の収集と分析に使うわりには、一攫千金はなく、わずかな小さいリターンしか上がらない。

精神的にどこまで入れ込めるかも大きく違う。
競馬は入れ込めば入れ込んだだけ結果が出てくるし、面白くなる。
毎回、競馬場で馬を見ていれば、そのツヤとかハリとかで馬の状態が分かるようになる。
これで勝てるわけではないが、経験を積めばだんだん競馬通になれる。
でも、資産運用は入れ込んでやっても結果が出ない。
毎日、毎日、株価とにらめっこしていても株式通になれるわけでもなく、リターンが上がるわけでもない。

この退屈な資産運用だが、焦らず、のんびりと、じっくりと取り組むとその人の人生を変えられる。
競馬で何回か万馬券が当たったぐらいじゃ、人生は何も変わらない。
そもそも、あぶく銭は身につかない。
そこに大きな違いがあるような気がする。
資産運用はガマンの連続だが、じっくりとやれば人生を変えることができる。
是非、忍耐強くやってほしいと思う。



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雑草テロとの戦い2019(2)

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今年の雑草テロとの戦いは、昨年のように砂利を敷いた雑草防衛線を作るというような強力な戦略があるわけではない。
あくまで昨年敷いた防衛線を、熱湯、除草剤、人手による引き抜きでなんとか雑草の拡大を抑えて行こうというものだ。

まずは、熱湯や除草剤、人手による雑草の引き抜きを検証してみた。
雑草防衛線の砂利に熱湯をかけた部分を検証したが、その後の2週間は雑草が生えていない。
熱湯はそれなりに効果があるといえそうだ。
そして、除草剤だが、使う場所に問題がある・・・というのは、植木の近くに散布してしまうと、植木が枯れてしまうことがあるからだ。
場合によっては雑草が死なないのに植木が死んでしまったところもあった。
植木から1メートル以上離して除草剤を使うようにしているが、そうなると十分な効果が得られない。
人手による雑草の引き抜きは、とにかく重労働で、一人では相当な時間がかかってしまう。

一応の検証が終わり、とにかく、今年は先手を打って雑草を退治していく方針にした。
芝生は全体としてまだまだ茶色だが、少し青くなってきたところで、芝刈りをすることにした。
芝刈りの後、芝生専用の除草剤を撒き、その後、たっぷりと散水した。
2週間程度で効果が出ることを期待している。

さらにまだ早いとは思いながらも、先手を取るために草刈り機を使い、雑草防衛線の砂利の外側の雑草を短く刈った。
まだ5月ではそれほど強力な雑草が生い茂っているわけではないが、今年は早め早めにやろうと思う。

どうなることやら・・・・????


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日本の個人投資家、やるなあ

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4月の投信販売状況がモーニングスターから発表されているが・・・びっくりした。
それによると、4月の国内追加型株式投信の資金流出が6160億円となり、過去20年間で、2014年11月の9242億円の流出に次ぐ2番目の巨額流出を記録した。
「国内REIT」や「バランス型」など4種別では資金流入だったが、「国内株式型」や「国際株式型」でhそれぞれ2000億円を越える資金流出となった。

4月の市場状況を振り返ってみると、中国や米国の経済指標の良さと海外株式市場の上昇によって、ほとんどすべての評論家が強気を言っていたといえる。
そんな中、ワシは4月の高値を狙って売り続けたが、個人投資家が大幅に6000億円も株式投信を売却していたのだ。
素晴らしい!!!!  ブラボー!!!!
株式評論家の強気に惑わされず、投信を高値に利食いしていたのだ。

株式評論家は偉そうに「個人投資家は知識がなく投資学習が必要だ」と常々言っていたが・・・ジョーダンじゃない・・・個人投資家の方がずっと相場をよく理解している。
凄まじい資金流出に見舞われたのが、日興アセットのグローバル・ロボティックス2本で500億円減少、大和投信のロボットテクノロジーが380億円、三井住友のグローバルAIが240億円とロボット・AI系のファンドだ。
証券会社がセールストークを駆使して個人投資家に無理やり販売してきたロボットやAI投信だが、個人投資家はドライに大幅な売却を実行していたというわけだ。
さらに面白いのはアセマネONEの日経225ノーロードも320億円の流出だった。
日経平均がTOPIXに比べ強く、NT倍率が過去最高を記録するほどだった時期に個人投資家はしっかりと利食っていたわけだ。

専門家と自称する評論家諸氏、この現実をどう見ているのだろうか?
個人投資家の方がよっぽど相場がうまい。



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まるで「かまってちゃん」、金正恩

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北朝鮮がミサイルをバンバン打ち上げている。
明らかに国連決議違反だし、米国を始め主要国はどう対応するのだろう。
韓国は当初、ミサイルではなく飛翔体として、制裁決議違反ではないと勝手な都合で説明していたが、さすがに無理筋と分かると、今度は人道支援として食糧を援助すべきと言っている。
全く、懲りないというか、頑なというか、こんな言動をしていると世界の常識がかけ離れ、主要国から孤立するだけだ・・・ということに気がつかないのだろうか?

2月のベトナムでの米朝会談でトランプと交渉決裂し、その後、中国にも習近平には訪問を拒絶され、ロシアを訪問するもプーチンには相手にされず・・・四面楚歌というのは、今の金正恩のためにある言葉としか思えない。
もう誰も金正恩のことを顧みないし、誰も相手にしない。
その孤立した金正恩だが、なんか、幼稚性への後退というか、駄々っ子のように見える。
子供は周りの大人に相手にされなくなると、いたずらをしたり、大声を出したり、大人に「かまって」サインを出す。
金正恩も大きなデブ型の大人だが、今や駄々っ子と同じで「かまってちゃん」になってしまっているような感じがする。
そうなると、このデブ型駄々っ子は何をしだすかわからない危険な幼児だ。

でも、問題なのは「花火」を打ち上げる程度ならいいが、ミサイルをバンバン打ち上げることだ。
米国が打ち上げたミサイルが弾道弾であることを確認した。
今のところ、短距離弾道弾だが、さらに相手にされないとエスカレートし、中距離弾道弾をバンバン打ち上げるようになるかもしれない。
となれば、日本は射程距離に入るわけで、黙ってはいられない。
早めに国連で検討するように働きかけるべきだろう。

米朝交渉には大きな壁があり簡単に「非核化と制裁解除」で合意できない以上、きちんと代替戦略を立てて対抗していかないと危険だろう。



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トランプの勘違いが混乱を招くか?

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米中協議には大きな壁が残っていて、お互いに乗り越えることができない・・・というのは想定の範囲内だ。
だが、ブルームバーグは想定を越えるニュースを載せている・・・以下、要約。

世界一の経済大国である米国のリーダーがこの事実(関税引上げ競争が世界経済を悪化させる)を認めなかったらどうなるだろうか。ホワイトハウス内の複数の関係者が明らかにしたところでは、トランプ大統領は貿易戦争が米経済成長を後押しし、自分の立場を有利にするという考えに一段と傾いているという。」
世界経済にとっては、こうしたトランプ大統領の考え方は10日の対中関税引き上げと同じくらい不吉な前兆になり得る。トランプ大統領の主張は直近の2つの経済データに基づいている。輸出などが寄与し、1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値が前期比年率3.2%増と予想を上回ったことと、非農業部門雇用者数が前月比26万3000人増加した4月の米雇用統計だ。」
「トランプ大統領は今月5日、自分の導入した関税は「われわれの素晴らしい経済の結果をもたらした要因の1つだ」とツイート。ムニューシン財務長官は翌6日、「貿易政策の一部がGDPに寄与したことは疑いない」と語った。」

これは恐ろしい勘違いで、この考えのまま来年の大統領選に突入するとしたら、中国を叩き、EUを叩き、日本を叩くことで、米国が経済成長を加速し、大統領選に勝てるという話になってしまう。
これこそ、世界経済の最大のリスクではないだろうか?
5月からの2000億ドル中国輸入品に25%の関税をかけ、さらに残り3000
億円の輸入品にも25%関税をかけると言っているが、自分の立場が悪くなれば実行に移す可能性が高くなる。
おそらく、関税引上げ合戦で貿易が縮小し、国内仕入物価が上昇すれば、直接関税が上がった製品だけでなく、その他の商品にもコスト上昇が波及していき、全般的な利益率の低下をまねく。
これがさらに貿易や物流の縮小というリーマン危機と同じように広がってしまう。
どこかで聞いたようなフレーズだが・・・リーマンショック級の混乱???
ちゃんと普通に常識的に考えてほしいな。




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アップル、どうする?

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アップルはファブレス企業であり、200社を越えるサプライヤーから部品を調達し、中国にあるフォックスコンやペガトロンがiPhoneやiPadなどを組立て、世界中に供給している。
前2回の関税引上げでは、米国政府もこうした事情に特別な配慮をしたのだろうが、アップル製品は関税対象から除外された。
でも、次回は逃れようがないかもしれない。

トランプが煮え切らない中国に激怒し、2000億ドルの関税対象に対して25%へと関税率を引き上げた。
中国も頑固で簡単には譲歩できないし、安易な譲歩は習近平の政治生命に影響する。
そして、準備段階に入ったのが、関税の対象になっていない残り3000億ドルの中国からの輸入品に25%の関税をかける・・・つまり、すべての中国からの輸入品に関税がかけられることになる。
となれば、アップル製品だけ除外するわけにはいかない。

すでにiPhoneなどのアップル製品は高価格化しているので、それに25%関税がかかると割高感が一段と強まるだろう。
関税は付加価値を含む販売価格にではなく、輸入原価にかかる。
米国内の販売価格が1000ドルとしたら、その販売価格の輸入原価に対して25%の関税がかかることになる。
フォックスコンにしてもペガトロンにしても製造委託されているだけなので、関税の支払い分をそのまま原価に反映させるだろう・・・つまり、原価が25%引き上げられるはずだ。
となると、仮に原価が販売価格の50%としたら、500ドルの25%関税で125ドルの値上げになる・・・つまり、米国内の販売価格を12%引き上げるとこになる。
高性能PCよりも割高になってしまうけど、この高価格でiPhoneは売れるのだろうか、心配になる。

アップルの対応策としては、二つしかない。
一つは米国内の販売価格を引き上げない・・・利益を削ることになる。
もう一つはサプライチェーンから中国をはずす・・・フォックスコンには中国外に生産拠点を移してもらうか、別のファウンダリーと契約する。
トランプはiPhoneの生産拠点を米国内に戻せと言っているが、それはコストが高く無理筋というものだ。
はてさて、アップルはどうするのかな?



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新紙幣とタンス預金(2)

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新紙幣の発行がタンス預金をあぶりだすのか? そして、あぶりだされたタンス預金がどうなるのか?

タンス預金は第一生命試算では2017年時点で43兆円とされていて、個人金融資産のうち現預金900兆円の5%程度と、かなり大きい金額になっている。
タンス預金という響きから、一般家庭で現金を金庫に入れて保有しているようなイメージがあるが、これにしては大きすぎる。
40兆円という金額は、1億人の国民が一人当たり40万円のタンス預金をしている金額だ。
でも、これって現実的だろうか?
標準的な3人家族で120万円の現金を家の中のどこかに隠している・・・というのが普通とは思えないからだ。
となると、一部の人たちが何千万円とか何億円とかの現金をタンス預金しているから、国民全体では40兆円という巨額なタンス預金になると考える方が普通だろう。

それではタンス預金はどんな動機で行われているのだろうか?
お金持ちで札束を見るのが好きだという人もいるかもしれない・・・自宅金庫を持ち、中に積み上げられた札束を見て「ニヤニヤする」なんて、ちょっと気持ち悪いが、そういう人もいてもおかしくはない。
また、いつ現金が必要になるかもしれないので、いつでも使えるように札束をタンス預金しているという人もいるかもしれない。
あるいは、銀行が大嫌いで、資産はすべて現金で自宅に保有しているという人もいるかもしれない。

でも、最大にして絶対的な動機は、現金が無記名だということだろう。
昔、銀行の割引債、興銀(興業銀行、今はみずほ銀の一部)のワリコー、長銀(長期信用銀行、すでに倒産)のワリチョーなどがあり、無記名で分離課税だったため多くの金持ちが購入した。
これは税金を払わなかった所得分で割引債を買うことで、実質的な税金逃れをした。
無記名で誰が保有しているのか分からないので税務署に捕捉される可能性が低いからだ。
現金も同様で、税金を払わなかった利益=裏カネを隠すのにこの無記名が都合がいいからだ。

かつて「マルサの女」や北野武監督の映画などでよく見かけたのが、札束を畳の下や壁の内側に隠しているシーンだ。
脱税した現金をタンス預金として隠す・・・というのが実際かなりあるのではないかと思う。
銀行口座で決済したり預金をすると、おカネの動きがすべて税務署に把握されてしまう。
これはゴーン事件をみれば分かる・・・架空のペーパーカンパニーをいくつも経由してマネーロンダリングを図るが、すべての金融システムを通じた資金の流れを分析すれば、どの口座からどの口座におカネが移動したか、結局、捕捉されてしまうものだ。
ところが、現金のみでやり取りをすると、きちんと領収書でも出していない限り、税務署は把握できない場合もある。
これが現金で保有する・・・タンス預金をする・・・動機が見えてくるし、誰がタンス預金をしているかも想像ができるようになる。

次回は、この裏金についてもう少し詳しく見てみたい・・・ただし、犯罪とか暴力組織とかには知識がないので、ごく身近にある裏金と新紙幣について考えてみたい。




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ウィークリー雑感(5/12 トリプルトップにご注意)

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トランプの追加関税引上げが、米中閣僚協議が行われている中、実行に移された。
これは米国の立場が強硬なことを意味しているし、交渉に大きな壁が複数あることも推測される。
知的財産の保護に関しては中国政府がハイテク企業に与えている補助金制度が問題になっているが、その背後には、ファーウェイなどが典型例だが、中国企業と中国政府と完全な癒着(一体ともいえる)が問題とされるだろう。
これは中国からすれば社会主義国の制度であり簡単に変えられないものだろうし、米国や他の先進国からすればファーウェイなど企業から中国政府にあらゆる情報が筒抜けになるという大きなリスクにさらされることになる。
さらに為替操作についても米国の不満が大きいものと思われるが、中国国家の金融・資本政策と結びついている国家制度の問題であり簡単には変えられない話だ。
それだけに米中協議がまとまるとしたら、中国の国家体制の変更が必要になるぐらい重たい話になってしまう。

3/17のウィークリー雑感で「可能性としての三尊天井」を書いたが、米中戦争の拡大懸念が大きくグローバル経済の先行きに不安をもたらし、三尊天井の可能性を高めるだろう。

NYダウの三つの山のうち、最初の山が2018年1月で、これは米国トランプ大統領が「米国ファースト」を宣言し、対中国、対欧州、対日本政策を大きく変更したことで起こった。
特に中国の貪欲な成長政策「中国製造2025」に対して強硬な対応を取り、対中国で関税の引上げを断続的に行い世界経済のリスクを大きく拡大し、株価は調整に入った。

二つ目の山は2018年10月で、これはFRBの引き締め政策が続き、FRBのバランスシートが縮小させ、グローバル金融資本市場の流動性に疑義が付いたことから始まった。
FRBの利上げと流動性の縮小が世界の株式市場に暗い影を投げかけた。

現在、三つ目の山を作っているのか、過去二つの山を乗り越えて行くのか、微妙な位置にある。
この3月以降多くの投資家が強気に転じたのは、半導体SOX指数が昨年の高値を上抜けたからだ。
足元の半導体はまだまだ需要も弱いが、今が底でこれから5G投資が始まって年後半には半導体ブームが来る・・・それをSOX指数の新高値が示しているという専門家の意見にそったものだろう。
でも、現実はどうか?
ファナックは今期6割減益を予想し、5Gの中心銘柄と言われていたアンリツも減益予想で株価急落し、さらにアドバンテストの予想を上回る減益・・・海外でも5G関連で人気化したザイリックス、インテルなども業績が株価上昇についていけなくなっている。
株式市場の期待と投資価値の現実にはギャップがあり、企業業績からみると株価がどんどん割高になって行っているように見える。

今度の三つ目の山を乗り越えるかどうかは、投資家や市場の期待感ではなく、現実に投資価値がついてくるかをよく見きわめる必要があるだろう。
市場関係者や株式評論家なんて、所詮、株価が上がると強気になり、株価が下がると弱気になる・・・ここ1か月でこの事をつくづく感じさせられた。
現実の投資価値を見ていくことがもっとも重要なので、NYダウがトリプルトップを形成する可能性が高まっているように見える・・・だととしたら、半年後か1年後か分からないが、中長期で見て大きな株価調整に入る可能性を否定できない。



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雑草テロとの戦い2019(1)

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清里に春が来たが、それは同時に「雑草テロとの戦い2019」が再び始まる。
昨年の「雑草テロとの戦い」では、まず、雑草テロの防衛ラインとして砂利を敷いたラインを設定したし、その雑草テロ防衛ラインから外は除草剤やエンジン付き草刈り機を使って雑草を除去する。
防衛ラインの内側は樹木を植えているので除草剤は使えず、手で引き抜くことを基本にした。
しかし、雑草の勢いが強く、あえなく、防衛ラインとして作った砂利ゾーンは雑草に侵食されてしまった。
この失敗は昨年の「雑草テロとの戦い」に詳しく書いた。

今年は「雑草テロとの戦い」にどう基本戦略を描いたらいいのだろうか?
昨年の失敗の原因は、砂利ゾーンを作る時、まずは地面を30センチ程度掘り、そこに砂利を敷いたのだが、この時、雑草防止の黒いシートを敷いて、その上に砂利を敷けば良かったという反省がある。
でも、今さら砂利ゾーンを掘り返して、黒シートを敷きつめ、その上に砂利を敷きつめるというのは難しい。
そこで、砂利ゾーンの防衛のために、まずは根こそぎ雑草を取り除き、そこに除草剤や熱湯をかけて雑草を生えなくする。
そして、雑草が生えてくるのをこまめに手で引き抜いていくという戦略を取るつもりだ。

完全な戦略ではないが、まず、熱湯の効果を確認して、効果が高いようならば、熱湯を使って雑草を排除するつもりだ。
飼っていた犬のお墓を庭に作った時、墓石の周りに熱湯をまき雑草除けをしたが、これが予想以上にうまく行ったので、今回も熱湯を使うことにした。
でも、お墓のような狭い部分では有効だが、砂利ゾーンのような広い場所では有効か分からない。
有効性を確かめながら、「雑草テロとの戦い2019」を進めていきたいと考えている。
どうなることやら・・・・?????




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ふるさと納税、総務省の横暴を許すな

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217年度には3600億円という巨額の税金移転となったふるさと納税・・・地方創生の政策では唯一の成功事例だ。

でも、都心の自治体が税金の流出に悲鳴を上げ、返礼品の競争過熱も響き、不公平と反対の大合唱・・・その結果、総務省が返礼率3割、地場品以外はダメと言い出した。

経済学的考えると、ふるさと納税は大きく三つの効果がある。
第一に、単に税収が都会から地方の自治体に移動するだけではなく、返礼品を通じて地場産業を活性化させることだ。
例えば、諏訪市にふるさと納税をして、家電品を受け取ったとする。
10万円程度の寄付で、諏訪市の企業であるエプソンの製品(5万円分)がもらえる。
この10万円は2000円を差し引いて、寄付者の支払った所得税と地方税から諏訪市に移されることになる。
諏訪市の税金が差引き4万8000円ほど増え・・・そして、5万円のエプソン製品を諏訪市が買うのでエプソン社に売上げが5万円計上され・・・そして、さらに諏訪市周辺の様々な部品会社や下請け会社に売上げの一部が計上されるという波及効果を生む。

第二に、返礼品を通してその地方の良い産物や製品を全国にアピールし顧客を開拓できることだ。
つまり、ふるさと納税は、返礼品の魅力で地方税収も増える効果もあるし、顧客の開拓もできる一石二鳥の制度なのだ。
しかも、ふるさと納税サイトが勝手に広告してくれるので、広告宣伝費もかからない・・・これが地場企業の大きなメリットになるだろう。

第三に、総務省が返礼率を3割以内と指導しているが、返礼率には意味がないことだ。
先ほどの例で、もし返礼率が3割ならば3万円を地場企業の売上げに計上し、諏訪市の税収がその分増え6万8000円になるだけの話だ。
つまり、諏訪市の税収4万8000円+地場企業の売上5万円か、税収6万8000円+地場企業の売上3万円かという違いだけだ・・・いずれにしろ地元に9万8000円落ちることは変わらないので、経済学的にはどっちでも同じだ。

これほど経済効果が高く、納税者にも評価が高い、日本の一極集中を是正する唯一の成功した政策であるにもかかわらず、総務省は不公平だとか都心の自治体がたいへんだとか偏った見方ばかりしてきた。
そして、今回は総務省の指導に従えわなかった4つの自治体を制度から除外するという暴挙に出た。
静岡県小山町は返礼率40%でアマゾンギフト券を返礼品にしていたというが、実にこの田舎町に250億円のふるさと納税があった。
この金額を地域のために使うというのは大きな地方活性化になったはずだ。
これこそ、もっとも効果的な、そして、典型的な地方創生だ。

総務省の役人がこの制度を台無しにしてしまう。
ふるさと納税の醍醐味を台無しにしたら、納税者は誰もこの制度に見向きをしなくなり、制度はあ一杯してしまう・・・暴挙をやめろ!!!



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新紙幣とタンス預金(1)

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政府が新紙幣の発行を表明した時、ある解説者は国内にあるタンス預金をあぶりだして流通させることで経済が成長すると発言していた。
本当なのか?
今後、遅ればせながら「キャッシュレス社会」に移行しようとしている日本で、わざわざコストをかけて新紙幣を発行する理由は何なのか?
特に多くの偽札事件が発生しているわけでもないのに、なぜ、新紙幣を発行しなければならないのか?
通貨の信認が問題になるようなインフレが高まっているわけでもないのに、新紙幣を発行する理由はあるのか?
タンス預金をあぶりだすことができるのだろうか?
タンス預金を持っている個人には新紙幣の発行は何か影響があるのか?
・・・多くの質問が頭に浮かぶ。
新紙幣の発行をタンス預金の観点も含めて、改めて考えてみたい。

まず、新紙幣を発行することの意味だが・・・・。
最も分かりやすい理由は「通貨の信認の回復」だ。
昔、第一次大戦後のドイツでハイパーインフレでが起こりマルクが屑となった時、レンテンマルクという新紙幣を発行して切り抜けたことがあった。
日本の第二次大戦後の新円への切り替えも同様に通貨の信認の回復が理由だった。
通貨の信認がなくなり紙幣が紙くずとなったような時、経済の回復政策とともに新紙幣の発行で局面を打開してきた。

二番目は政治的理由で、人心を一新したい時に新紙幣を発行して国民の結束を図ることだ。
記念通貨を発行したりして政治的なお祭り気分を作り出すことで、国民の意識が高まる。
今回も新天皇の即位にからんで発表されたのは、こうした政治的な意図があったのかもしれない。

三番目は紙幣単位の追加や偽造紙幣の一掃などの理由だ。
日本でも2000円札が発行されたことがあったが(残念ながら流通しなかった)、英国でも新20ポンド紙幣が発行されたりしたこともあった。
定期的に新紙幣を発行し、偽造紙幣を一掃したりする国もある。

四番目はデノミなど通貨単位の変更だ。
日本でも1ドル=100円水準から1ドル=1円に単位変更しようと議論されたことがあったが、インフレもない国でデノミをやっても混乱するだけだとして退けられた。

新紙幣の発行については一般的にこんな理由が考えられるが、これから進んでいく「キャッシュレス社会」に対して、コストをかけて新紙幣を出す理由は不明だ。
そして、解説者の言うように、新紙幣がタンス預金のあぶり出しを意図したものなのかも不明だ。
そこで次回は「タンス預金」についてもう少し考えてみたい。



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ソフトバンク、ビジョンファンドのIPO

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WSJがソフトバンクが傘下のビジョンファンドのIPOを検討していると報じた。
ファンドの上場は日本ではあまり馴染みがないが、会社型ファンドが多い海外市場ではよくみかけるものだ。
ファンドのIPOは日本でいえば不動産投信REITの上場のようなもので、ファンドの出資者がファンドの持ち分を所有する会社型ファンドを上場し、誰でも簡単に市場で売買できるようにする。
ソフトバンクの場合、ビジョンファンドはソフトバンクの一部門だが、他人の資金が入っているので分離されて会計処理されているはずであり、ビジョンファンドをスピンオフして上場することは可能だ。

では、ソフトバンクが傘下のビジョンファンドを上場すると何が変わるのか?
(1)IPOによって新規資金を集めることができる。
上場時に新規資金を集めて上場したり(IPO、公募)、既存の出資者の持ち分(売出し)を市場で売却したりすることで、市場に流通性を供給する。
ビジョンファンドはIPOによりさらに資金を集め、投資することができる。

(2)ファンドの出資者が簡単に換金したり、全額現金化したりできること。
現在、ビジョンファンドにはソフトバンクの自己資金、サウジや中東系資金、その他巨大年金の資金が入っていると思われるが、現状では出資分を換金するとしたら、ソフトバンクに買い取ってもらうか、新たな出資者を探して売却することになる。
上場したら、出資者は自分の都合で市場で出資分を売却することが簡単にできるようになる。

(3)その他、ファンドの価格が市場で評価され、情報開示が義務付けられること。
未上場ファンドの評価はNAV(ネット・アセット・バリュー)だが、上場すると市場での時価評価になり、ファンド価格の変動が激しくなる。
また、未上場の場合はファンド出資者に運用結果が報告されるだけだが、上場すれば基準に合わせた情報(投資先、パフォーマンス、その他)が開示され、一般投資家にもよく分かるようになる。

それでは、ソフトバンクのファンドIPOの狙いはなんだろうか?
ここからは想像だが、まず考えられることはNY市場の流動性が高いうちにファンドを上場させ、新規資金を集めておきたいということだ。
おそらく、孫さんは2020年以降は量的緩和による過剰流動性が徐々に回収されていくと見ているのではないだろう・・・そのために早めにIPOを行い資金を獲得したというのが狙いかもしれない・・・この点は気を付けておきたい。
また、中東系かどうか分からんが、ファンドの出資者に利食いし換金したい出資者がいるのかもしれない・・・上場すれば、市場での売却が簡単になる。
そして、ソフトバンク自体もファンド出資の一部を売出しによって現金化したいのかもしれない・・・バランスシートにある15兆円の借入金を減らす目的も考えられる。
いずれにしても、新規資金を集める最後のチャンスかもしれないし、出資者の換金性も高められるし、ソフトバンク自体の債務リストラも可能になるし、一石三鳥のIPOになるだろう。
ただし、通信子会社のIPOと同じでソフトバンク側の有利になるようにIPOされるので、反対に投資家には不利が多いかもしれない・・・いつもの孫さんのやり方だ。



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トランプのちゃぶ台返し

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トランプの関税引上げツイートによって世界の株式市場が混乱している。
中国株は5~7%下落し、欧州株は1%程度下落し、NYダウは一時400ドル下落したあと、引値は戻し小幅下落になっている。

数か月前、事前には楽観論が市場を覆っていたベトナムでの米朝会談が・・・突然に決裂した。
この決裂があまりに突然だったので、このニュースが出た時には市場には戸惑いが広がった。
しかし、トランプと金正恩の間にとても埋められない亀裂があったと、後になってやっと皆が理解することになった。
ある意味、今回の突然のトランプ・ツイートもこれと同じなのではないだろうか?
先週ライトハイザーUSTR代表とムニューシン米財務長官が北京を訪れ、生産的な協議を行ったと伝えられてたばかりで、市場には5月中にも何かしらの合意事項が発表されるという楽観が見られた。
なんか、米朝会談前の雰囲気と全く同じで、何か不気味だ。

2000億ドルの中国からの輸入品に対する関税の25%への引上げを言い出したトランプに対して、中国は劉鶴副首相の訪米をキャンセルすると思われたが、米中協議が予定通り開催されると報道されたのが、NY市場が戻りを演じた理由だろう。
プライドを重んじる独裁社会主義国は北朝鮮だけでなく中国も全く同様なので、弱腰外交は国内での習近平の求心力に直結する。
次は中国が米中協議を通じて対抗措置を出してくるかに注目が集まる。
このトランプのちゃぶ台返しは、一つは中国に交渉を加速させるための戦術、もう一つは何か決定的な亀裂があり、ということが考えられる。

米中の決定的な亀裂となりそうなのは二つあり、これらが米中協議のテーマとなってしまうと中国は譲れないかもしれない。
一つは以前日米で合意したプラザ合意のような為替操作に関する合意だ。
中国では資本の自由化が行われていないし、為替れーとも管理されている。
人民銀行が資本移動を制限することで為替を管理しているため、中国本土への投資も制限され、逆に資本を海外に持ち出すこともできないし、経済の不均衡を作り出す。
しかし、米中摩擦の交渉で、この中国に資本の自由化を強制することは非常に困難だろう。

もう一つは、中国企業が中国政府と一体化している、あるいは癒着していることだ。
ファーウェイで問題になったのは、未上場だが独立した株式会社でありながら、そのガバナンス構造が不明で最終的に中国政府がファーウェイの上部にいる可能性が高い。
ファーウェイの株主は労働組合で一見民主的に見えるが、中国政府の支配下にある中華全国総工会が労働組合を管理している・・・したがって、中国政府が最終的な支配者だ。
5Gの時代でファーウェイが市場シェアを取ると、実質的に中国政府が5Gを支配されてしまうことにつながる。
この二点では米中は合意のハードルが高く、この点にはタッチしないという暗黙の了解が必要だろう。
もし、これらが交渉上の問題になれば、米中はどこかで衝突してしまうだろう。
トラップのツイートの本心はまだ分からないが、交渉上の戦術ならば来週の中国副首相の訪米で何か進展をみられるかもしれないが・・・。



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株式投資の基礎(6投資家向けファンダメンタルの見方)

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このコーナーもいよいよ本丸のファンダメンタル分析に入りたい。
個人投資家にとっては簿記からして難しく、複式簿記から始まる企業会計を全部理解する必要なんてまるでない。
そんな難しい会計分析だが、当ブログでは個人投資家向けに簡単に企業のファンダメンタルを分析してみたい。

まず、重要なのは投資家は利益を予想する必要もなく、会計数字にこだわる必要は全くないことだ。
そして、会計数字よりも会社のビジネス全体をざっくりと把握することがより大切だ。
次に、重要なのが何のために会計数字を見ているのか・・・株式投資をするためだという目的意識だ。
よく細かい数字に捕らわれて会社の実像を逆に分からなくなったりという場合もある。
そして、良い所を見つけて将来を考えることだ。
企業には良い所と悪い所が必ずあるが、企業の将来は良い所をさらに伸ばすことで生まれる。
悪い所をいくら改善してもマイナスが減るだけでプラスが生じない・・・プラスが生じるのは良い所からだ。

では、実際の例としてZOZOの決算(2019/3期)を説明資料を使って確認していみよう。
まず、売上げだが、商品取扱高は+19%の3231億円、売上げは+20%の1184億円だ。
ZOZOTOWNの商品取扱高が2割成長していて、それに手数料率をかけた売上高も2割ペースで成長している。
商品出荷件数の伸び率が1Q+24%、2Q+24%、3Q+14%,4Q+10%と鈍化傾向が見られる一方、出荷単価の伸び率は1Q-3.6%、2Q-0.2%、3Q-2.0%、4Q+3.8%とマイナスが減少し、4Qではプラスに転換している。
これは安物ばかりでなく単価の高い商品が売れ始めているということだ。
アクティブ会員の年間購入額は下落してきたが46300円水準で安定してきたし、購入点数も11点で安定している。
ということは、取り扱いブランド数1240社をさらに増やし、新規の会員数を増やしていくことで、売上の成長を維持できる可能性もある。

問題はコスト管理がムチャクチャなことだ。
販売管理費(販管費)が前期比+37%の793億円と、売上の増加20%に比べ、考えられないぐらい高い伸びを示した。
その結果、営業利益が21%も低下、大幅な減益となった。
こんな販管費の増加は普通考えられない・・・明らかに社長である前沢氏の判断ミスだ。
営業利益の増減要因を見ると、商品取扱の増加と手数料の増加による増益分74億円を、ARIGATO値引きによる損失30億円、広告宣伝費の増加42億円、輸送費と人件費45億円で大きく食いつぶし、さらに費用の増加が営業減益を招いてしまった。
ARIGATOキャンペーンの失敗、さたにZOZOスーツの失敗でによる人為的な販管費の増加、営業減益だったといえる。

ZOZOTOWNの事業自体はまだまだ成長の可能性がある。
特に海外ブランドは日本での販売ノウハウが無ったりコストと見合いで難しいブランドも多いだろうし、また、日本市場の開拓をネット販売で簡単にできるとしたら、ZOZOTOWNに参加したい海外ブランドも多くあると思う。
こうした点を考えると、売上の20%成長を維持できるだろうし、その場合、PERは30倍~40倍で評価される可能性がある。
PER30倍で2100円、PER40倍としたら2800円程度で評価されるかもしれない。
社長が最大のリスクなのは決算数字から明らかだ。

ビジネス全体をざっくりと把握する、投資の必要な部分を大きくつかむ、ビジネスの良い所を見逃さないようにする、この3点が重要だと思う。
アナリストではないので、経常利益やEPSの予想する必要はないので、大きくビジネス全体をとらえることだろう。
次回も具体的な実例でこの投資家向けファンダメンタルの見方を考えてみたい。



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ウィークリー雑感(5/5 令和の挑戦)

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平成の30年間はバブル崩壊から始まり、その後の長期停滞と、日本にとっては最悪の時期だった・・・次の令和はどうなるのだろうか?
何もしなければ、平成の最悪状態を続けてしまうだけだろう。
何もしなければ・・・日本人は独特の慣習の中で生き続け、日本は世界から隔離された小さい島国で生きていくしかないし、日本語という特殊な言語で海外の情報と隔離されてビジネス機会が減っていくのをガマンしなければならないし、世界最速で進む少子高齢化で老人だらけの国になっていくだけだ。

昔、少子高齢化がデフレの元凶だとした評論家がいた。
でも、少子高齢化が起こっているのは日本だけではないし、少子高齢化が起こっている国がすべてデフレに陥っているというわけではない。
デフレは国内需要の不足が原因だろうし、需要不足になったのはバブル崩壊後の債務・雇用・設備の三つの過剰を解決するのに20年という物凄く長い時間がかかってしまったためだ。
もちろん、人口が減少していけば国内需要が減少する可能性もあるが、その分、生産性が向上させて所得を増やす政策もできるかもしれないし、労働市場を開放して海外からの労働者を増やしオープンな労働市場を作れれば対応できる。

令和の最大の課題は、少子高齢化で人口減少に見舞われている日本をグローバルにオープンな国にして、企業や人材が海外から自由に入ってきて活躍できる国にしていくことだろう。
この点では日本は大いに可能性があるはずだ。
たとえば、大学・・・日本にも優秀な大学は多くあり、しかも授業料が海外の大学に比べ格段に安い。
米国の大学は年間300万円から500万円の学費がかかるが、日本では一流大学でも年間100万円程度の授業料で、米国や欧州に比べ学生の住居費や滞在費や食費も安い。
問題は日本語の習得が義務付けていたり、日本の習慣に合わせることが要求されることだ。
これが世界の潮流から反していて留学生が増えない原因ではないかと思う。
授業も日本語だけでなく英語でも行われ、日常生活も英語で十分にできるとなれば、日本の大学に留学したいという海外人材が増え、卒業したらそのまま日本企業で働きたいという人たちも増えるはずだ。

この4月から入管法の改正で、海外からの労働者の在留資格が変更されるが、こういった制度改革を生かしていけるかも大きな課題だ。
制度を改正しても日本人の意識が変わらなければ、海外からの労働者の受け入れもうまくいかない。
日本企業が復活していくかは、海外の人材をどう生かせるか、海外市場にどうやって出ていくか、グローバルな標準で戦えるかが重要だ。
令和の時代に製造業で世界を制覇した日本企業が、今度は世界経済成長の主戦場であるサービス業、SAASで新たなグローバルな挑戦をすることになるだろう。
その時、日本社会がいかにオープンになっているか、日本人の意識がいかにグローバルになっているか、海外人材が日本人と同じように日本で活躍できるかが問われるだろう。
令和の挑戦を成功させるのは、日本人自身の意識改革であり、その集合体としての日本社会の「ムラ社会」からの脱皮だ。

新しい皇室には、日本という特殊な国からグローバルにオープンな国として世界から求められるように皇室外交をしてほしいと思う。
徳仁新天皇はお言葉で「世界平和と日本国の安寧」と表現されたが、グローバルな視野で海外経験豊富な雅子新皇后とともに新しい令和時代が始まってほしいと思う。




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いいかげんにしろ!!という話

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普段はテレビをあまり見ないし、株式市場関係の番組ぐらいを見る程度だったが、このゴールデンウィークの間、市場が休みで見る番組がなく、一般のテレビを見ることが多かった。
でも、「もういいかげんにしろ!!!」と言いたい事がたくさんあり、テレビを見ては「???」と思うゴールデンウィークを送ってしまった。

タクシーに乗って小銭がない時に一万円札で払う事がいいのか悪いのか?を考えるテレビ。
タクシーの運転手は「釣銭の限界があるので近距離のタクシー代で1万円札を出されても困る(千円札を9枚も必要になる)」と言う。
利用客は使ってあげたのだから、釣銭を用意しておくのはあたりまえだと言う。
出演者の玉川氏は、「他の商売は誰でも釣銭を用意しておくのは商売の常識だ。運転手だけ甘えている」と言う。
こんなくだらない話を延々としている羽鳥のモーニングショー。
どうでもいい話を延々と続け、テレビの地上波を30分も独占していしまうなんて、公共性の欠如も甚だしい。

日本人の良い所は相手の立場に立って考えられる事で、これは他の国にはない美徳だ。
タクシーの利用客は、タクシー運転手の立場を理解して、釣銭がなかったら「おつりはいらない」と言うか、「クレジットカードでお願いします」とか言うだろう。
タクシー運転手も釣銭がないなら、相手の立場になってあらかじめ話をしておくぐらいの配慮がされてきたはずだ。
こんな事はお互いの立場の尊重、相互の理解の中で解決されてきたのが日本人の美徳だったし、多くの人がこうした配慮をしてきたのが日本人社会だった。
相手に対する配慮がなくなり、こんなくだらない議論をテレビで延々とやらなければならないなんて・・・・
だったら、すべてタクシー代金はクレジットなどのキャッシュレス決済にしてしまえばいいと思うだけだ。

小学生の問題をいっぱしの大人の回答者が、1000万円の賞金獲得にしのぎをけずるクイズ番組。
視聴者としては、テレビでえらそうにしている芸能人が実は小学生の問題もできないということで留飲を下げるということだろう。
でも、だからどうなのって?
比較的若い出演者にはけっこう細かい小学校の教科書の隅にでも載っているような質問が出るし、オジサンの出演者には小学生の基本問題みたいのが出る。
でも、どうえもいいというか、問題をできてもできなくても、「なんだ、このオジサン、こんな事も知らないのか」という程度で、だから・・・????。

出演している所ジョージに「6と8の最小公倍数と最大公約数を問う」という問題が出てさすがに正解したが、こんな問題できてあたりまえだし、できなかったからといってどうなの?というだけだ。
この発想があまりにも貧困そのもので、テレビでえらそうにしている芸能人が小学生以下だと叩くだけの番組だ。
もう、「いいかげんにしろ!!!という話」だ。







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フラッグとウェッジが示す市場心理

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ウェッジとフラッグはよくある形だが、これを理解できれば相場の達人になれるほど難しい。
なぜなら、同じような値動きなのにその意味する事は180度違う、全く逆になるからだ。
でも、このフラッグとウェッジの市場心理が分かれば、投資リターンを引き上げる。
まず、簡単に教科書的な説明をしてみたい。

株価が一旦上昇して、そのあとに小幅に上がったり下がったりと、だいたい同じ水準で保合いを作ることは多い。
好材料が出て株価が上昇した後、利食いの売りと新規の買いが拮抗して保合いになるわけだが、この保合いのことを、フラッグ型(旗のような形)あるいはウェッジ型(くさびのような形)と呼ぶ。
フラッグ型(含むペナント型)は、国旗やペナントのように旗竿に旗(ペナント)が付いている形で、ウェッジ型も同じような形だ。

でも、形は似ていても、その背後にある市場心理は全く異っている。
まず、「フラッグ型」だが、何かしらの売り材料があり売り方が売りを出しているが、買い方がその売りを吸収してから再び上昇に転じ保合いを上抜けるという形だ。
一方、「ウェッジ型」は買い方が必死に買いを入れ株価を持ち上げようとするけど思ったほど上がらない、そのうち、買い方の資金が底をつき、売り方が勝り最終的に株価が下落し保合いを下抜けるという形だ。
つまり、潜在的な買い手が強ければ「フラッグ型」となり、その後株価は上昇する、その一方、潜在的な売り手が強ければ「ウェッジ型」となり、その後株価は下落する・・・というわけだ。

この違いを理解できれば、ボックス相場=保合いがどっちに離れるかを理解できるし、こうした市場心理が読めれば株式投資では非常に需要なスキルとなる。
その簡単な見分け方がある。
それは株価と板を見る事だ。
一日の株価を追うと、下げた後に戻りが出る・・・ここで重要なのは下落した時のエネルギーと上昇した時のエネルギーの比較だ。
つまり、保合いの中で株価上昇時の出来高が下落時の出来高より多い場合、その保合いは「フラッグ型」である可能性が高い・・・つまり、保合いを上放れる可能性が高い。
その一方、保合いの中で株価下落時の出来高が上昇時より多い場合、その保合いは「ウェッジ型」である可能性が高い・・・つまり、保合いを下放れる可能性が高い。

たとえば、今のNYダウは4月以降、もみ合いながら上値を切り上げる動きを続けている。
これがフラッグ型でもみ合いで、売り物をこなしながら上昇していると判断するのか、あるいは、高値を取りながら買い方が頑張っているがなかなか新高値を取れないと見るのか?という話だ。
もし、売っても売っても下がらない強い保合いだと思うなら、それは「フラッグ型」で上放れる可能性が高いかもしれない。
逆に、買っても買っても上がらないと思うなら、それは「ウェッジ型」で今後下放れる可能性が高いかもしれない。
この市場心理をどう読むか?
さてさて、NYダウは新高値を上抜けて上昇トレンドを継続するのか? 買っても買っても上がらない状態になり最終的に下落するのか?



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明仁天皇と徳仁天皇のお言葉を読む

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何故か、日本のメディアは天皇陛下を名前をで呼ばないが、欧米のメディアは名前で呼んでいる。
日本人にとっては天皇陛下=現人神であった時代が長く、普通の人のように名前で呼ぶこと自体が問題とされてしまう。
だから、現在の天皇を今上天皇と呼び、決して名前では呼ばない。
一方、海外のメディアは個人主義をベースとしているので、個人名で天皇陛下を呼ぶ。
昭和天皇は裕仁天皇だし、上皇陛下は明仁天皇だし、新天皇は徳仁天皇となる。
その方が海外では通じやすい。
でも、日本人もそろそろ世界標準の呼び方をした方がいいかもしれない。
もう、天皇陛下=現人神ではないのだから。

現上皇陛下の明仁前天皇は戦中に生まれ、結果として、お父さんの裕仁天皇が国家元首として戦争を首謀した事実を正面から捉えて、日本人も外国人も含めて戦争被害者の鎮魂=「慰霊の旅」をテーマとして活動されてきた。
ロンドン訪問では戦時中の英国人捕虜の関係者から激しい対応をされたり、沖縄の訪問でも戦争被害者から非難を受けながら逃げることなく対応されたことが世界から感動をもって受け入れられた。
戦争当事者であったお父さんの裕仁天皇を身近に見てきたからこそ、こうした戦争という大人災とその被害者に正面から向き合うという「慰霊の旅」をされてきたのだろう。

一方、徳仁天皇は戦後、日本の岩戸景気の高度成長期に生まれ、日本経済の成長とともに大人になった世代だ。
そういう意味では、裕仁天皇とも明仁天皇とも違い、戦争責任からやっと離れられた初めての戦後生れ戦後育ちの天皇陛下となる。
太平洋戦争というよりむしろ、バブル崩壊以後の日本の衰退を肌で感じられている、自然災害が地域経済に多大な被害をもたらす、日本の現代社会にあって世界の平和と国民の安寧を願うはじめての天皇陛下といえるだろう。
加えて新皇后陛下の雅子さまは国際経験や外務省でのキャリア豊富で、おそらく日本がグローバルにオープンな国になることの重要な意味をよくご存じだろう。
日本が過去の不幸な戦争から次の時代に歩んでいく象徴としての天皇・皇后両陛下になられるだろうと思う。

天皇陛下即位のお言葉でも、明仁天皇は「日本国憲法を守り・・・」とされたが、今回、徳仁天皇は「日本国憲法にのっとり・・・」と発言された。
「日本国憲法を守り・・・」は誤解を受けやすい表現なので、安倍首相の憲法改正を意識され、「日本国憲法にのっとり・・・」と発言されたものと思われる。
ここにも、新天皇陛下の体制で日本国憲法の改正も含めた新しい日本を作り上げるという意思が感じられる。
先代の明仁天皇とは違う皇室外交・皇室活動を期待したい。





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日銀ETFは国家による民間支配だ

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日銀のETF保有が増えており、国家による民間企業の保有を一部気にする人がいる。
たしかにETFというのは株式の塊りであり、ETFの保有は株式の保有と同じ意味だが・・・日銀は否定している。
この問題をもう少し考えてみたい。

毎年6兆円のETFを買い、すでに30兆円規模のETFを保有している。
そして、前回の日銀決定会合で「ETFの貸出制度」と作ると決めた。
同時に、ETFを組成する証券会社の要請があったことも黒田総裁が明らかにした。
通常、証券会社は現物市場からそれぞれのETFの対象銘柄を買い、まとまった所でETF運用会社に現物株を持ち込み、ETFに交換する。
しかし、現在の流動性が減少している市場では、証券会社からETFを組成するための市場の流動性が足りないという指摘が出たのだろう。
そこでETFの貸出制度を作れば、日銀が保有するETFを証券会社に貸出し、そのETFを日銀が買う・・・という「茶番劇」が成り立つ。
つまり、これは現存するETFをぐるぐる回すだけなので、日銀は保有ETFの2倍まで買えることになる・・・日銀:保有30兆円のETF+新規買いETF30兆円、証券会社:-30兆円のETFとなる。
でも、証券会社には借りETFの貸し株料が発生し(レートは決まっていないが・・・)、証券会社の費用を増加させる。
これってどうなの?・・・って感じだ。

黒田さんは日銀保有のETFの議決権に関して、日銀は個別企業の議決権は持たない、なぜなら、保有しているETF対象銘柄の議決権はETF運用会社にあるからだ・・・と説明してきた。
これも全くの詭弁にすぎない。
なぜなら、ETFの対象銘柄(現物株)はETF運用会社が保有しているので、日銀がETFを現物株に交換したと要請すれば、いつでも現物株に交換できるからだ。
今現在は、ETFの形なので議決権はないが、ETFを現物株に交換すれば、いつでも議決権を行使できるというわけだ。
これって、実質的に民間企業を公的機関が保有しているのと同じだ。
黒田さんがどんな詭弁を使おうが、国家による民間企業の支配が進んでいるのは間違いない。
このまま、日銀が6兆円づつETFを買い続けたら、貸出制度を利用すれば60兆円まで買うことができるし、さらに新規にETFを組成できれば70~80兆円も買えるかもしれない。
そうなったら、東証時価総額の約600兆円の10%以上を日銀、つまり、公的機関が保有する事態も十分に予測できる。

この影響を軽く見てはならない。
日銀は必要であればいつでも、ETFを株式に転換し、大株主として会社を支配できる。
そして、日銀の総裁人事は実質的に政府が決定する・・・ということは、いつでも日本政府が民間の上場会社を管理下におけるということだ。
これは実質的な国家支配だろう。



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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
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PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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