株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2019年04月

清里にやっと春が来たけど・・・寒い

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昔の人は「盆と正月が一緒に来たようだ」という表現を使うことがある。
めでたい事が重なって「ものすごくめでたい」という意味だが、清里の春も同じようなところがある。
「盆と正月」ではないが、「ウグイスと桜と鯉のぼり」が一緒に来ることだ。
東京の感覚では、ウグイスの「ホーホケキョ」は梅が似合う2~3月のイメージで、通常、5月のゴールデンウィークには鳴かない。
また、桜は3月下旬から4月上旬に満開になるので、当然、5月のゴールデンウィークには散ってしまっている。
そして、鯉のぼりは5月端午の節句の季節ものでゴールデンウィークはまさに旬だ。
この三つが一緒に来るのが清里で、この5月の連休はやっと清里にも春が来たというイメージになる。
スキー場も衣替え、スキーから高原の空中散歩の季節になるし、冬の間、閉まっていた店もオープンする。
いろんな所で春が来るのを感じるのがこの頃だ。
でも、今日の気温は最高気温で10度もいかない・・・寒い一日となりそうだ。

ゴールデン・ウィークともなると、多くの人たちが清里に来る。
キャンプをする人、テニスやゴルフなどのスポーツをする人、高原でパンやスイーツを食べにくる人。
すでに近くのキャンプ場には多くの人たちがテントを張り、火を焚き、バーベキューをしている。
今年は、一人キャンプの人たちも増えている・・・小さな一人用のテントで一人でバーベキューをしているのですぐに分かる。
もちろん、定番に大型テントで何組かの家族が楽しそうにバーベキューをしている所もある。
一人キャンプは今まであまり見かけなかったが、最近、急に増えてきたように見える。

近くの温泉「天女の湯」も、ゴールデンウィークの期間は多くの人たちでごった返している。
明らかにキャパを越えていて、洗い場も一杯で、洗い場を待つ人が数人立っている。
湯ぶねも露天風呂の方は温度が低いので、子供たちも多く泳いだり、はしゃいだり楽しんでいる。
でもイモ洗い状態になっている・・・とても入る気がしない。
しかし、室内の大きな湯ぶねはさすがにそんなに混んではいない・・・水温が高いので熱くて子供には敬遠されるからだ。
嫌がっているのに親に無理やり熱い風呂に入らされて泣きだす子供もいる。
普段、地元のお爺さんたちが多く静かな天女の湯もこの時期だけは一気ににぎやかになる。
こうして、清里のゴールデンウィークが始まる。




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世界卓球、中国人選手の凄さの秘密

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世界卓球はテレビにくぎ付けになり、寝不足になったぐらいだけど、とても面白かった。
特に、日本人選手と対峙する中国人選手は、ワシは技術的によく分からないが、そのメンタルの変化を見ているだけでもとても興味深かった。

まず、女子シングルス3回戦、伊藤美誠選手ー中国、孫穎莎選手。
中国選手がリードして4ゲーム目、伊藤美誠選手が接戦を抑えて勝つと、その次のゲーム、2-11と圧倒的な大差で負けた。
その後は中国選手ペースで試合が進み、伊藤選手は負けた。
次に、女子シングルス準々決勝、加藤美優選手ー中国、劉詩
選手。
第二ゲームで加藤選手が11-8で勝つと、その次の第三ゲーム、4-11と一気に圧倒し、そのままの勢いを崩せず負けた。
そして、女子シングルス準々決勝、平野美宇選手ー中国、丁寧選手。
第二ゲームを11-4で勝ち、そこまではほぼ互角の展開だったが、次の第三ゲーム、2-11と圧倒的な大差をつけられて取られ、そのまま挽回できずに負けた。

この結果をどう見るのか?
技術的な視点はよく分からないのでおいておくとして・・・メンタルな部分に注目すると、対中国選手に勝ったゲームの次のゲームがポイントになったことが分かる。
おそらく、技術にそれほどの差がないトップクラスの選手にとっては、精神的な勝負の面が強いのだろう。
同じ対戦でもそのスコアはゲームによってバラツキが大きいことが、それを示している。
そして、その精神面でいかに優位に立つかが勝敗を決めるのではないだろうか・・・世界卓球を見て強くそう感じた。
日本選手が1ゲームを取ると、次のゲームでは中国選手が圧倒的な集中力で大差をつけて勝つ。
その大差で勝つことにより、その試合全体で精神的優位に立つ・・・そして、日本人選手は焦りナーバスになり負ける。
日本選手は1ゲーム取るまでの集中力が高いが、1ゲーム取ると何か集中力が欠け、そこを中国選手に衝かれ、精神的な優位を与えてしまっているように感じてしまう。
もちろん、卓球素人のワシの感覚は全くお門違いかもしれないけど・・・・



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ウィークリー雑感(4/28 平成の大敗)

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甥っ子が平成元年の1月に生まれ、平成最初のベビーとして生まれたが、その甥っ子も30歳になった。
この平成という時代があと数日で終わる。
この30年、ビジネスの世界では、日本は世界に大敗を喫した・・・平成の大敗だ。
30年前の1989年、日経平均は3万円で、NYダウは2千ドルだったが、平成相場が終わった昨日は日経平均が22258円で、NYダウが26543ドルだった・・・日本株は30年で下落、一方、NYダウは10倍以上に上昇した。

この平成の大敗は、なぜ、起こったのか?・・・・バブル崩壊から平成が始まったという不幸なタイミングもあるが、基本的には、世界のインターネット関連ビジネスやサービスの発展に日本が全くついていけなかったということだ。
よく評論家が使う世界の時価総額ランキング、1989年は上位に日本企業がズラリと並ぶ一方2018年はほとんど米国企業、それに中国企業がチラホラと入る。
新しくランキング入りしたのは、グーグルやフェイスブックやアリババなどネット関連サービス業だ。
これが現実だ。

なぜ、こんな状態が生じたか?・・・・理由は明白で簡単だ。
それは、サービス企業、特にSAAS企業が、対象とする顧客市場の規模の違いだ。
たとえば、フェイスブック、月間アクティブユーザー数は優に20億人を越えるし、アリババやテンセント、月間アクティブユーザー数は10億人近い。
あたりまえだ・・・米国企業は世界人口60~70億人のうち半分の30億人の顧客市場を想定してビジネスモデルを作るし、中国企業は国内14億人の顧客市場を想定したビジネスを行う。
一方、日本企業は国内1億人の顧客市場を想定したビジネスにとどまっている。
米国企業はグローバル化のもとに各国基準を米国基準に変えてしまったので、米国内で勝てば自動的に世界の半分で勝てる状況を作り上げた。
中国企業は膨大な人口を抱える国内市場があり、国内で勝つことを考えるだけで急成長できた。
これでは、国内1億人市場の日本企業が大負けするのも当然だ。

しかし、この背景には日本の特殊な国内慣習、日本語という言語の特殊性、世界最速の少子高齢化があり、対応が難しいところがある。
かつて日本は製造業では世界を制覇し、今でも圧倒的な技術力で高い世界シェアを持っている企業も多くある。
ちょっと思い浮かべるだけで、電子部品の村田製作、精密モータの日本電産、センサーのキーエンス、イメージセンサーのソニー、シリコンウェハの信越化学、などなどが出てくる。
その他、食品でもアパレルでも化粧品でもグローバル市場を目指した。
形のある製品なら、手に取って使って良さが分かるので言葉は関係ないからだ。
しかし、形のないサービス業はそうはいかない・・・英語でモノを考え、英語で活動する、グローバルに発想できる経営者が登場しなかった。
一時、楽天社長が社内公用語を英語にすると発表したが、その後、どれほどの効果があったのかは分からないし、Eコマースの世界でグローバルに活躍しているとはいえない。
メルカリの社長が、中古品全部に値段を付けて流通させれば世界中のゴミを減らせると言ったが、そのメルカリも米国市場では苦戦している。
でも、こうした挑戦が日本を変えていくのかもしれないし、応援していきたい。



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小型株のパフォーマンス悪化を考える(2)

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前回は主要な小型株ファンドの概要を見てきたが、今回は小型株ファンドのパフォーマンスに焦点を当てて考えてみたい。
過去3年のリターンは小型株がTOPIXより圧倒的高いが、この1年ではTOPIXを下回る低調なパフォーマンスだ。
特にここ6か月と1年のリターンは東証TOPIXを大幅に劣後している。
資産残高 パフォーマンス    
    3か月 6か月 1年 3年
ひふみ投信 1307億円 12.1% -13.1% -10.3% 35.0%
日本中小型株 254億円 4.9% -15.9% -16.7% 46.5%
コモンズ30 151億円 7.2% -14.1% -9.8% 29.6%
小型ブル-チップ 105億円 9.7% -15.4% -12.9% 29.4%
TOPIX   7.7% -11.2% -5.9% 26.2%

その理由をいくつかの点から考えてみよう。
まず、景気期待との関連だ。
小型株、特に新興市場株などは、一般的に、IT関連のサービス、ソフトウェア開発、その他一般サービス産業が多く、東証1部のように製造業のウェートが高い市場ではない。
したがって、サービス産業などの非製造業は景気変動の波を受けにくく、小型株は景気敏感ではない。
こうした点で1月以降の景気持ち直し期待で上昇した市場ではどちらかというと出遅れてしまうのかもしれない。

次に市場内の需給関係との関連だ。
年初来の値動きでは日経225の値嵩株の動きが良く、NT倍率(日経225/TOPIX)が上昇を続けた。
ある意味、225のインデックス買いが株高の大きな原動力になったといえる。
こうしたインデックス売買が市場を席捲している状況では、小型株はサイドラインに置かれてしまう傾向がある。
これも小型株のリターンが低調だった理由だろう。

さらに考えておきたいのは、もう少し中長期の株式需給だ。
2017年は小型株に大きな外人投資家の買いが入った年で、逆に2018年は外人投資家売りが続いた年となった。
2016年から17年は、今でも覚えているが、中東のオイル系の大手運用機関が小型株投資を増加させた年だった。
当時、新規に委託を受けた投資額は小型株への投資としては非常に大きい規模の数百億円だった。
こうした外人投資家の買いが市場にインパクトを与え、小型株ファンドのリターンを向上させた。
逆に昨年は外人投資家が売り越しを続け、小型株のパフォーマンスが悪化したというわけだ。

ここから得られる教訓は、(1)小型株は非製造業・サービス企業が多く、景気が悪化しても比較的強い、(2)インデックス売買が席巻している市場では疎外される(リターンが上がらない)、(3)個人投資家の好きな銘柄が多く、一見、個人投資家動向に左右されると思われているが、実は長期投資家の姿勢に大きく影響される・・・この3点だ。
そして、このパフォーマンスの悪化は、今の市場需給が多くの要因だということだ。
インデックス売買中心の市場でパフォーマンスが悪化するのはあたりまえで、むしろ、このパフォーマンス悪化時期が買い場になるのかもしれない。




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小型株のパフォーマンス悪化を考える(1)

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小型株ファンドのパフォーマンスが落ちている。
「やさしい投信の選び方」でも書いたが、小型株投信のファンドマネージャーはけっこうプロ意識が強く、そしてかなりマニアックな連中が多い。
そして、これらのマニアックなファンドマネージャーが意外と苦戦している。

主な小型株・独立系ファンドを一覧表にまとめたのが下の表だ。
まず、ここ数年で大きく資産残高を伸ばしてきたのが「ひふみ投信」。
もともとジャーディンフレミングで小型株アナリストをしていた男が、その後いろいろあって独立系投信を立ち上げたのがこの「ひふみ投信」で、ここ数年の好調なパフォーマンスに加え、確定拠出年金やNISA向けの対象ファンドに選ばれ、宣伝のうまさもあり急成長してきた。
現在、公募の「ひふみ投信」、NISAやiDeCo向けファンドの元となっているマザーファンドは7500億円にも達し、純粋に小型株だけで運用できる限界をとうに超えてしまった。
そのためにアメリカ株も組入れるなどの組入れ銘柄の拡大対応をしているが、もはや小型株ファンドとは呼べなくなっている。
過去3年のリターンは+35%と高いが、ファンドの変質とともに高いリターンは期待しにくい。

「日本中小型ファンド」は超マニアックなファンドマネージャーが運用しているが、毎日4~5社の経営者と面談し、年間1000社の面談結果とデータを基に組み入れ銘柄を決める。
企業の中期的に達成可能な利益水準と適正なバリュエーションを想定して、上値余地の大きい銘柄を組み入れていくという運用手法を取る。
さらに新興市場と東証2部銘柄がファンドの10%以上あり、他のファンドより小型株バイアスが強いこともこのファンドの特徴だ。
ファンドのパフォーマンスは純粋に小型株から生じているため、他のファンドよりもパフォーマンスのバラツキが大きい・・・過去3年で+46%と圧倒的なリターンを生み出している反面、過去1年で-16%と一番やられが大きい。

「コモンズ30投信」は、著名ファンドマネージャー氏が独立系運用会社を立ち上げ、公募投信を運用しているものだ。
これも純粋に小型株・新興市場株ファンドとはいえないが、独特の投資判断で長期投資を実践するファンドで当然小型株の成長をリターンの源泉にしているファンドだ。
でもパフォーマンスとしてはあまりパッとしない・・・過去3年で+29%、過去1年で-14%とどちらも中程度だ。
渋沢栄一の子孫が立ち上げた会社なので、今度の新紙幣発行で多少人気になるのことを期待しているかもしれない。

「小型ブルーチップ」は最大手の運用会社が運用する小型株特化の投信だ。
この最大手運用会社と親会社の強力な販売力で設定した投信はどれでもよく売れてしまうので、運用のプロである必要はなく、サラリーマン的なファンドマネージャーで十分なのが投資家から見るとマイナス要因だ。
このあたりの事情がパフォーマンスにも表れているのだろう・・・過去3年で+29%、過去1年で-15%と、他の投信と比較して、儲かる時は小さく損する時は大きいという特徴がある。

次に、小型株のパフォーマンス悪化が何を意味しているかを次に考えてみよう。

資産残高 パフォーマンス    
    3か月 6か月 1年 3年
ひふみ投信 1307億円 12.1% -13.1% -10.3% 35.0%
日本中小型株 254億円 4.9% -15.9% -16.7% 46.5%
コモンズ30 151億円 7.2% -14.1% -9.8% 29.6%
小型ブル-チップ 105億円 9.7% -15.4% -12.9% 29.4%
TOPIX   7.7% -11.2% -5.9% 26.2%




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逆テロの時代ースリランカの悲劇

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またまた爆破連続テロが起こった。
今度の場所はスリランカで、6か所のキリスト教会やホテルなど、合計8か所で同時テロが起こり、300人以上が犠牲になり命を落としたという。
現地の情報を集めてみると、イスラム過激派の犯行、NZのイスラム教モスクでの無差別殺人の報復、ISが犯行声明(ISで訓練を受けたテロリスト)などが出てきた。
もちろん、詳細な捜査結果がまだだが、この規模で連続爆破を実行するとなると、爆発物の入手や扱いなど専門的な知識などを含めて、かなり大掛かりな組織が背後にいたと推察される。

NZでのイスラム教モスクへの無差別テロが起こった時、「逆テロの時代」を書いた。
その中で・・・「今回のこの悲惨なテロの恐ろしいところは、過去幾度となく行われてきたイスラム教の過激派による自爆テロ、襲撃テロとは逆に、キリスト教徒がイスラム教徒を襲ったことだ。
イスラム教自体は暴力的ではないが「目には目を」との教義があり、報復も含めて宗教間の緊張が高まるかもしれない。」・・・と書いた。

これが現実化してしまった。
しかし、なぜ、スリランカだったのだろうか?

スリランカは民族と宗教の多様性があり、基本的に民族間や宗教間で不安定化しやすい国でもあった。
26年のわたった内紛はすでに終了したが、何かが対立が燻っていたのかもしれないし、ISが背後からスリランカのイスラム過激派を煽った可能性もある。
でも、スリランカの最大宗教は仏教で、国民の7割が仏教徒で、キリスト教徒はわずか10%だ。
最大の仏教徒にテロするのなら分かるが、わずか10%のキリスト教徒をねらった。
NZのテロへの報復としているが、これは対外的にアピールするための話で、本当は何でもいいからテロ行為を実行したかったというだけかもしれない。
そう考えると、恐ろしい。
トランプ政権がISを攻撃すればするほど、ISは地下に潜り国際的なイスラム過激派ネットワークを使ってテロを仕掛けてくるかもしれないからだ。

貧富差の拡大や加速する情報化社会のストレスなどが大きく社会を不安定化させ中、キリスト教徒の方も同じで、様々なストレスや不満を募らせているのが現代社会だ。
テロの報復合戦になることだけはなんとか避けられないかと思う。




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「寄らば大樹」の日本社会

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日本の優秀な大学生が目指す企業は総合商社やメガバンクなど規模も大きく世間的な評価も高い会社・・・例えば、親が「息子が働いている事」を周囲に自慢できるような会社が多い。
日本を離れて海外で就職したり、自ら起業したり、中小企業の就職したり・・・というのは今でも少数派だろう。
株式市場でも時価総額上位の会社の顔ぶれも十年前、二十年前と同じ会社が上位に居座り続けている。
日本は「寄らば大樹」というか、大会社への尊敬や期待が非常に大きい社会だ。

どちらかというと、既存の評価が固まった大会社がいつまでも中心に居座っているのが日本社会だ。
お隣中国で確かに国営の大企業があるが、アリババ、バイドゥ、テンセントなどベンチャー企業が急成長して大企業になった例が多く、共産主義国でありながら日本以上に資本主義的だ。
ファーストリテイリング、ソフトバンク、日本電産、キーエンスなどは日本社会にあっても変革者として急成長していきた企業といえるだろうし、日本でもこうした会社がないわけでもない。
でも、上場企業の時価総額全体を見る限り、やはり、既存のエスタブリッシュメント、経団連的な企業が中心にいる社会という感じを否定できない。

しかし、かつては、日本企業も柔軟に業態を変えて、厳しい環境変化に対応してきた。
この日本企業の大きな自己変革は、昆虫が卵からサナギになり成虫になるように「業態変貌」という言葉で語られてきた。
例えば、古河グループ・・・明治時代に古河機械金属、古河電気工業として創業し、その後、その子会社からスタートした富士電機、その子会社の富士通、さらに、その子会社のファナック・・・という代表例がある。
素晴らしいことに、これらの会社はすべて今でも東証に上場している。
現在の時価総額で見ると、古河機械金属(非鉄)593億円、古河電工(電線)2176億円、富士電機(重電)5098億円、富士通(通信機器)1兆6603億円、そして、ファナック(工作機械・ロボット)4兆3491億円となっている。
初代の古河機械から、次々と子会社の設立とグループからの独立を繰り返し、時価総額でも成長してきた軌跡が見られる。
一番明確に「業態変貌」が見られるので、古河グループの例を使ったが、他の企業でも新しい製品を開発し、既存親会社との利益相反から別会社として発展してきた企業は多くある。
これに、日本社会の「寄らば大樹」の中で、新分野へ次々と資本を投入し、業態を変えて成長してきた日本企業の姿がある。

でも、最近、この「業態変貌」、つまり、日本企業が自ら変革していく能力が停滞し始めているような気がする。
例えば、変化の真っ只中にあるメガバンク。
キャッシュレス社会に向けて大変革期にあり、大きなビジネス機会があるにもかかわらず、既存の支店網、膨大なATM資産、キャッシュ社会のインフラを支えてきた既存ビジネスからなかなか変化できない。
「業態変貌」をするならば、既存ビジネスのしがらみから離れ、資本を出し独立した子会社を作り、電子マネーやセキュリティなどのソリューションを見出し、次の成長機会に進んでいく。
「業態変貌」を目指す大きな変革期にメガバンクがどう未来を描くのか、まだ、見えない。

また、苦戦が続く野村証券、構造改革を発表したが、コストカットという評価しかできない。
証券業界も、フィンテックの波が大きくビジネス環境を変えていく時代にはいっているはずだ。
業界の最大手として、野村証券はフィンテック時代の証券会社のビジネスモデルを作り出すという期待が大きい。
「業態変貌」を目指す大きな改革が必要な時期にもかかわらず、海外ビジネスの縮小や支店の統廃合だけでは投資家ががっかりさせる。

「寄らば大樹」は日本人に特性に合っているのだろうし、無理やり、欧米のような弱肉強食の資本主義になる必要はない。
でも、どうしても既存のエスタブリッシュメントの存在が大きくそこから抜け出せないのなら、昔からやってきたように「業態変貌」を繰り返して脱皮してほしい。
「寄らば大樹」と同時に、大樹自身が「業態変貌」し環境変化に対応していくという昔ながらの日本的なやり方もある。



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幼稚園の破たん、寄付や学園債に気を付けろ

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ちょっと前だが、川崎市の認可外幼稚園「貝塚学院」が園児の親御さんに突然の閉園通知をしたというニュースがあった。。
通う予定だった子供やその親御さんにショックが走ったと報道された。

少子化、特殊教育、幼児英語教育、お受験教育・・・・日本では子供一人にかえる投資額が増加する一方、様々な教育方針を掲げる幼稚園や学校が出てきているし、中に当然認可外の幼稚園も増えていく。
子供への投資が幼稚園の倒産という形で無駄になるとしたら、親御さんの怒りは分かる。
でも、幼稚園だって民間会社であり、園児が十分に集まらなければ収入が減少し、コストが賄えなければ赤字になるし、自己資本を食いつぶせば破たんや倒産する。
そして、倒産する企業は倒産を隠すのが当たり前だ・・・倒産するといえば、取引先からは敬遠され顧客は当然離れていってしまう・・・それは倒産を早めるだけだからだ。
したがって、倒産を最後の瞬間まで隠すのはあたりまえの事で、民間会社の常識だ。
そう考えれば、経営悪化した幼稚園が園児の親御さんには何も言わず閉園するのは、そういう意味では当然の行動といえるだろう。

しかし、ここの最大の問題は特殊な債券を出し、入園児の保護者に買わせていたことだ。
私立学校が半強制的に寄付を求めたり、学校債券を買わせたりすることがよくある。
でも、これは学校が入学を許可するという強い立場から、弱い立場の入学者に無言の圧力をかけて学校債券や二口以上の寄付をさせるというところに問題がある。
この幼稚園も同様だろう。
昔、ワシの息子や娘が私立大学に入学した時、ワシはこうした強い立場からの無言の圧力が大嫌いだったので、二口以上とされた寄付もゼロ、学校債は買わなかった。
それで何か起こったかと言いうと・・・・実際、何も起こらなかった。
息子と娘は無事にその私立大学を卒業した。
それはそうだろう・・・寄付しなかったからといって、不当な扱いをしたらそれこそ大問題になるからだ。

でも、こうした学校債は非常に不透明だ。
この幼稚園のように利子を付ける場合もあるし、無利子の場合もある。
返済や償還も不透明で、学園債を償還せずに卒業時に寄付に振り返えをする場合もあると聞く。
普通の債券のように投資家保護がなく、ルールも明確でない。
この幼稚園のように破たんしてしまうと・・・資産を精査して先生たちの未払い給料を支払い、取引先の債務を支払い、借入金を返済し、受け取った入園料を返金するわけだが、その債券の保有者にどのぐらい戻るかは分からない。
その幼稚園の資産次第だが、その金額から見て全額返金は難しいかもしれない。
この件では地元企業が支援をすることで事業継続となったみたいで良かったねという結末だが、この支援企業が資本注入する際にどういう処理をするかは不明なままで問題は解決されていない。



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北杜市と清里の桜


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北杜市もやっとさくらは満開となり、多くの人たちが桜見物したり、花見酒を楽しんだりしている。
これは山梨では有名な「真原(さねはら)の桜並木」の写真。
100メートル以上に渡って、道の両側にソメイヨシノが満開になると、桜のトンネルになる。
ここの道端で売っている牛蒡が美味しく、いつもここに来ると牛蒡を買って帰る。
今年の牛蒡は1メートルぐらいある大きさだった。
ここ、山梨の桜の名所といえば「山高神代さくら」だが、すでにピークを過ぎ、葉桜になってしまった。
この「真原の桜並木」も葉桜になり始めている。




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この写真は、やはり山梨では有名な「清春芸術村の桜」。
この芸術村がオープンしたのがもう100年近く前であり、当然、ここに咲いている桜も樹齢100年近い老木だ。
でも、高く伸びる枝をカットし続けたため、意外を高さはない。
面白いのは、それによって縦よりも横に長く伸びた桜の枝が特長だ。
地を這うように枝が伸び、ソメイヨシノ桜のピンクの花が地面にそって咲いていのが見られる。
こんな横に伸びる桜は、空き地の少ない東京にはない。
問題はここの芸術村の入場料が一人1500円と高いことだ・・・しかも、何の表示もないので、気軽になくなんとなく入ると、入り口で1500円を取られる・・・そして、桜を見たいのでなんとなく払ってしまう。
この芸術村の中に入らず、周囲を徘徊している人たちが多いのをその時理解した・・・この人たちは入園料を払いたくなかった人たち・・・・

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これは我が清里山荘の庭に咲いた桜だが、なぜか、一輪だけ咲いている。
ここは標高1200メートルで、普通のソメイヨシノや河津さくらは咲かないらしい。
これは山桜の一種なのだろうが・・・他の山桜はまだ、全く咲いていない。
この下の写真は、毎年きれいに咲く山桜だが・・・まだまだ蕾だ。
標高の高い清里では、多くの住民がこの山桜が咲くのを楽しみにしている。
桜はソメイヨシノだけではなく、その土地、その土地で地元の人たちに愛されている。
それが素晴らしいことだと改めて感じた今年の桜だった。



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いつもの散歩道にある山桜。
犬と歩く道だが、いつもいろいろな発見がある。
今年は4月中旬の気温が低く、ここ清里では20センチの雪が積もり、ゴルフ場が3日間閉鎖したと、ゴルフ場のマスターが言っていた。
こんな「寒の戻り」で山桜の開花も遅れているような気がする。
でも、咲くか咲かないかという時期が期待感があっていいかも。
清里の山桜は、まだまだ、これからだ。








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ウィークリー雑感(4/21 鴻海の郭さんの野望)

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フォックスコン会長の郭台銘氏が台湾の総統選に出馬するというニュースが入ってきた。
フォックスコン、鴻海精密工業は、台湾に本社を置く列記とした台湾企業だが、受託生産EMS企業としての拠点は中国、深センにある。
また、日本にとってもシャープが苦境に陥った時、救済合併をして助けてくれた恩人でもある。
その会長が総統選に出馬し、もし、当選して台湾総統になったら、中国ー台湾ー米国関係に大きな影響が出ると思う。

まず、台湾のハイテク企業には、鴻海(フォックスコン)を始め、TSMC、ASUS、その子会社のペガトロン、などなど素晴らしい会社が多い。
そして、これらの会社はさすがに台湾アイデンティティを持ち本社は台湾にあるが、生産拠点は中国にあり数万人から数十万人を雇用している・・・と言う意味で、中国経済にも貢献度が高い台湾企業だ。

台湾と中国は政治的には一国二制度を巡って対立しているが、地理的・経済的には近く多くの台湾人が中国にわたりビジネスをしている。
昔、友人と中国を旅行にした時、友人の商売相手の台湾人にご馳走になったが、その台湾人は中国の石採掘で大儲けをしたようだった。
でも、妻子は台湾に残したままで、単身中国でビジネスをしていると語った。
彼ほど中国で成功していても政治リスクには敏感で、何が起こるか分からない危ない国には妻子を呼べないと言っていたのを思い出す。

一方、台湾と米国は大きな強いビジネス関係にある。
鴻海会長の郭さんはアップルの故ジョブズ氏と非常に親しい関係にあり、それが理由でiPhoneの受託生産をフォックスコンの深セン工場で始めた。
ファブレス企業のアップルにとっては特別な関係だろうし、鴻海だけでなくペガトロンやTSMCなどの他の台湾EMSにとっても米国は大きな商売相手だ。
こうした意味で、郭さんはトランプ大統領とも近い、電話で話せる関係を持っていると言われている。
正式の外交関係はなくても、米国にとって台湾は重要な友人で、中国に簡単に引き渡せない存在だ。

おそらく、鴻海会長の郭さんにしてもこうした米中の政治リスクを意識して立候補したのだろうと思われる。
今後、どういう外交政策を出してくるかは見もので、対中国では雇用やビジネス関係を使って台湾に対する強硬政策を回避するように動くだろう。
また、米国との外交関係はさらに発展させ、台湾の外交的存在感を高めていくと思われる。
この中国ー米国ー台湾という三角関係をうまく泳いでいくビジネス・センスに期待したい。
簡単に中国に吸収合併されたり、逆に対中国で強硬姿勢を取り中台間の軍事紛争に発展したり・・・・この両方を回避するには、鴻海の郭さんが適任のような気がする。




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白鵬は史上最高の横綱だ

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白鵬は前人未踏、史上初の42回の優勝を達成した偉大な横綱だ。
美しい身体のバランス、反射神経と常人を越えるスピード、その相撲は強く美しい。
だけど、何かと「アンチの人たち」にバッシングされる。
何故なのか?
日本人の大横綱の大鵬や千代の富士の連勝記録をモンゴル人が越えたという人種的な妬みからなのか? また、優勝回数の記録でモンゴル人がすべての日本人力士を上回ったという人種的な偏見からなのか? またまた、モンゴル人が嫌いという人種的嫌悪感からなのか?
いずれにしろ、何かしらの人種的な感情からきているからバッシングされるのだろうが、日本人全員がそうではないにしろ、感情的な、狭い島国根性が出てしまっているような気がする。
立ち合いの張り手がどうのこうのとか、品格がないとか、バッシングする人はゴタゴタ言っているが、そんな小手先の問題なんて関係ない。
史上最高の力士に対してリスペクトできない、心の狭い人たちとしか思えない。

相撲は、力士と力士は裸でマワシのみで正々堂々と戦う、不正が全くないところが世界でも最も尊敬されるスポーツだ。
大相撲ロンドン場所が20年前に行われた。
その頃、ロンドンで英国投資家を相手に商売していた関係もあり、当時の多くの顧客をロンドン場所に招待した。
大相撲を見たイギリス人は異口同音に口にしたのが、この裸と裸で、武器もなし、防具もなしで身体をぶつかり戦う姿勢に感動したということだった。
世界でも最も激しい、そして、最も美しい、そして、最もリスペクトされるスポーツが大相撲だ。
大相撲の世界への影響力では、もう、日本人がどうだとか、外人がどうだとか、全くそんな次元を通り越している。

そして、白鵬がモンゴル国籍を離れて、日本国籍を取得するという・・・このニュースを非常にうれしく思った人たちも多いと思う。
テニスの大阪なおみ選手が日本国籍を選択して東京オリンピックに日本人として出場してくれたら…と、同じぐらいうれしい出来事だ。
本人の意識としても、日本人として今後相撲界を担っていく覚悟ができたからの行動だろうと思う。
これを狭い心の一部の人たちがぶち壊してほしくないと切に思う。
狭い人種的偏見を乗り越えて、この偉大な横綱に相撲界の将来をかけるべきだ。
つまらない、くだらないバッシングをしていないで、白鵬を中心に相撲界を盛り上げていくべきではないかと思う。
大相撲は世界で最も尊敬されるスポーツだからだ。



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新ゴルディロックスを考える(2)

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「新しいゴルディロックス」の話の続きだが、今回は債券ポートフォリオの側面から考えてみたい。
FEDが利上げの停止を発表し、長期債利回りが低下、一時は10年金利が2年物金利を下回る逆イールド状態にまでなった・・・これが市場の安定を支えている。
そして、この長期金利と短期金利の接近が、債券ポートフォリオ運用とその資金フローに大きな影響をもたらすだろう。
これも「新ゴルディロックス」の一つの側面にだろう。

債券のリターンは、クーポンと呼ばれる保有期間の金利収入と、ロールダウン効果と呼ばれるイールドカーブから生まれるリターンがある。
債券には額面金利が付いていて、保有しているだけで金利収入がある・・・これは簡単に理解できる。
一方、イールドカーブが通常、右肩上がりであるので、残存期間の長い現在の金利より、残存期間が短くなる1年後の金利の方が低い。
つまり、1年後にはイールドカーブの形状どおり金利が低くなる(債券価格が上がる)わけで、このリターンがロールダウン効果を呼ばれるものだ。

米国の長期金利の低下とイールドカーブのフラット化が債券のリターンが大きく低下させる・・・それはロールダウン効果がなくなるからだ。
となると、債券ポートフォリオの中では、イールドカーブがフラット化した米国債はリターンの上がらない位置づけになり、その他のイールドカーブが立っている国の債券が注目されてくるはずだ。
そういう意味では、債券の資金は、FEDの利上げの停止で、政策の自由度が高まる新興国の債券に向かう可能性がある。
昨年はFEDの継続的利上げ政策でドル高と資金の米国集中で、新興国は通貨の防衛と金利の高止まりというマイナス面で厳しい状況に置かれていたが、今年はこのFEDの姿勢変化で金融政策のフリーハンドを得て新興国は復活してくると思われる。
すでにロシアやインドなど、インフレ抑制に成功した国は利下げの動きに入ってきた。
インフレが抑制されているアジア諸国も利下げに入るかもしれない。
そして、利下げを行った国では、短期金利が下がり、イールドカーブの勾配がスティープになるのでロールダウン効果が大きくなる。
つまり、債券ポートフォリオの観点からは、今回の「新ゴルディロックス」は新興国債券への資金の流れを増やしていく可能性がある。
そうなれば、ボラティリティの低下による株式市場の安定とともに、ドル一極集中も変化し、新興国に資金シフトしていくことも考えられる。

米国の長期金利の低位安定、株式市場の安定上昇が今後どうなっていくかは、このボラティリティの低水準とイールドカーブのフラット化がどうなるのか、さらにその前提であるFEDの利上げ停止とグロ₀バル景気の適度な鈍化という条件がどう維持されるかによるだろう。
もし年後半にグローバル景気の回復が明確になれば、FEDは利上げを再開するかもしれない。
そうなると、債券が売られイールドカーブがスティープ化する・・・株式は景気の回復を織り込み上昇するかもしれないが、金利上昇で市場は全体として不安定化する。
逆にグローバル景気が年後半に失速という事態になれば、企業業績の悪化で株式市場は調整に入るだろうし、安全資産である債券や金に資金シフトする。
・・・という意味で市場は微妙なバランスの上にあるといえる・・・もちろん、この微妙なバランスが続く可能性もある。
ボラティリティは予測できないし、突然変わるものだから、誰にも分からない。




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新ゴルディロックスを考える(1)

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1月にFEDのパウエル議長が当面の利上げを停止し、FEDのバランスシートの縮小も停止すると発言し、このFEDのスタンスの変化が、株式市場では「新しいゴルディロックス」のような相場展開に導いたのだろう。
このゴルディロックス相場は良く言われる適温相場で、ゴルディロックスという少女が熱くもなく冷たくもないスープを選んだ話からきている。
新しいゴルディロックスは利上げの停止、長期金利の低下、経済成長の減速、企業業績の鈍化という組み合わせで生じているのだが、利上げの停止といってもグローバル景気のリセッションではなく、企業企業業績の大幅な減益でもないという市場の期待が背景にある。
そして、このグローバル景気の鈍化とFEDの利上げの停止という、微妙なバランスが各市場の奇妙な安定をもたらしているといえる。

この新ゴルディロックスを、ボラティリティという側面と、債券ポートフォリオという側面からもう少し詳しく見てみたい。

まず、今回はボラティリティの異常な低下だ。
株式市場が戻り相場に入り、NY市場のVIX指数(ボラティリティ・インデックス)が一貫した低下傾向にある。
そのVIX指数が20%を下回ってくると低ボラティリティと言われるが、今は12%とかなり低い極限的な水準にまで低下している。
これが意味するのは株価が上昇し、ボラティリティがかなり極限状態といえる水準まで低下し、投資家はリスク資産の積み増しに入っている・・・これは「リスクオン」といわれる展開だ。

このメカニズムはリスクパリティ運用を考えてみればよく分かる。
リスクパリティは、ポートフォリオの組入れられる各資産(株式、債券、商品、不動産など)のリスクを一定にするようにウェートを調整し、過度なリスクを避ける分散投資の一つの手法だ。
このリスクパリティ戦略では、リスクの高い株式はボラティリティが高まると組入れを低くし、逆にボラティリティが低下すると組入れを高めることになる。
また、リスクパリティと名付けられていなくても、現在のポートフォリオ運用には普通にこうしたリスクを避けるメカニズムが働いているので、ボラティリティの水準でポジションが変わる運用も多い。
こうなると、現在のようにボラティリティが異常な水準まで低下すると、株式などのリスクの高い資産を多く組入れていく必要が出てくる。
ボラティリティが低下していくたびに、ポートフォリオマネージャーは株式などのリスク資産を増やしていかなければならない。
こうした株式買いが市場では進み、市場の安定上昇を作り上げてきたと思われる。

リスクパリティの考え方が浸透している現代のポートフォリオ運用では、こうしたボラティリティの低下は「新しいゴルディロックス」を作り上げている一つの要素だろう。
逆にボラティリティが上昇しはじめ、VIX指数が20%を越えてくると、今度は逆になる可能性が高い・・・その時は、リスクを均等にするために、リスクの高い株式などは組入れ引下げの動きが一気に出て急落するかもしれない。
それほど、ボラティリティが重要になってきているといえる。



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「ハズキルーペ」に騙されるな

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ギルティ? オア ノット ギルティ?















昔は石坂浩二がコマーシャルをしていて、まあ、普通の感じだったが、舘ひろしはまだしも、渡辺謙ぐらいから、大げさで見る人をびっくりさせるコマーシャルになった。
でも、けっこう話題になったので、思わず「ハズキルーペ」を買ってしまった人も多いかもしれない。

石坂浩二や舘ひろしの時は、それなりの高齢者が小さな文字に困って「ハズキルーペ」を使うという意味のコマーシャルに見えたが、渡辺謙の頃から完全に変わってしまった。
もし、コマーシャルの中の渡辺謙のように「字が小さすぎて見えない」と大声で怒鳴り、自分の部下に書類を投げつけたら・・・一発でパワハラ、即退場だ。
また、菊川怜がお尻でハズキルーペを踏み、「さずが日本製」というのも、見る人によってはセクハラ的でもある。

さらに小泉孝太郎の主演コマーシャルとなると、若すぎて文字が見えないなんてウソだろっと思うし、全くルーペをかける意味もリアリティもなくなる。
最近の松岡修造となると、「字が小さすぎて見えない」と大声で怒鳴っても、まさか、もう老眼なのって感じで同情したくなる・・・もう何が言いたいのかサッパリ理解不能だ。

このコマーシャルの問題点は、バカ高い出演料で大物俳優を使うのはいいけど、普通のメガネ型ルーペ(虫眼鏡)のコマーシャルなのに、大げさでやり過ぎだということだ。
一説には、渡辺謙のギャラが2億円、菊川怜のギャラが7500万円、舘ひろしが8000万円、武井咲が7800万円という高額ギャラだという・・・やっぱりやり過ぎだ。

そして、もう一つの大問題は、これだけの高額ギャラであり、単なる虫眼鏡が1万円以上もするのは、このコマーシャル(広告宣伝費)が価格を押し上げているせいだ。
虫眼鏡と同じで、度が付いていたり薄さがポイントになる眼鏡と違い大した技術はいらないし、同程度の眼鏡型ルーペはネットで調べれば、だいたい3000円程度で買える。
こんな商品を、高額のテレビコマーシャルを売って話題作りをして、視聴者に高額で販売する。
ワシの眼には消費者をバカにしているとしか見えない。





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変化する朝鮮半島情勢

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再び、大きな変化が朝鮮半島を襲っている。
まず、韓国の文在寅だが、米朝首脳会で大きなミスを重ね、国内での支持基盤も米韓関係も南北関係もすべて失ってしまった。
この蝙蝠みたいな男は、あちこちで伝書鳩のような行動を取り、結局、すべての信頼を傷つけた。
韓国の臨時政府樹立100周年の記念日にわざわざワシントンにノコノコと出かけたものの、全く相手にもされなかった。
午前中にはポンペオ氏、ボルトン氏、ペンス氏とミーティングをしたが、おそらく、このトランプ政権の中枢にいる3名には「もうこれ以上、北朝鮮のスポークスマンをするな」と釘を刺されたはずだ。
そして、トランプ大統領との面談は実質わずか2分で、この意味は午前中の3氏との面談がすべてでトランプ大統領からは何も言う必要がないということだ。
要するに文在寅の北朝鮮との仲介そのものが無意味だったと米国に言われたようなものだ。
今後、外交だけでなく内政も含めて、韓国での文在寅のプレゼンスは急速に低下していくことと予想される。

次に金正恩だが、この男の最大の関心事は自らの命を長生きさせることで、非核化や体制保障などの争点ではそこが見えた。
そして、文在寅に「仲介など、差し出がましいことをするな」と釘を刺したのは、完全な非核化をして「リビアのカダフィ」になっては元も子もない・・・核は自らの命を守る盾だと考えているからだ。
国内的には「自力更生」を掲げ、国内経済に対する国民を不満を避け、国民を鼓舞することで批判を一掃しようと試みている・・・さらに「最高代表者」と称し、北朝鮮の絶対的権力(党、国家、外交、軍のすべての権力を含めた)を掌握した。
これで国内的にはすべての権力ですべての自己保身体制を作り上げた。
クーデターでも起こらないかぎり、王さまのように振る舞うのだろう・・・裸の王様になるかもしれないけど。
あとは、国際的な自己保身体制だが、トランプ大統領との個人的な関係にかけるしかなくなってきたことが問題だろう・・・そこで今年を期限を区切ってトランプに譲歩を迫ろうとしている。

でも、ちょっと、きな臭くなってきたのは、「金正男の兄殺し」の件だ。
実行犯と見られたベトナム女性が解放されるという、つまり、この実行犯には政治的な背景がなく、単に北朝鮮のエージェントに騙されて実行しただけだったことだろう。
こうなると、捜査は本丸の北朝鮮のマレーシア領事館で誰が何を企てたかに向かうと期待される。
米国としては、対北朝鮮の重要人物が殺害され、その息子も米国に亡命している現在、この事件を終わりにはできない。
おそらく、CIAやその他の諜報機関はかなり詳細に動いているのではないだろうか?
そして本丸のエージェントが北朝鮮国内から出た時、一気に逮捕ということもありえるだろうし、金正恩が事実を隠蔽するため彼らを死刑にしてしまうかもしれない。

次に米国サイドだが、一連の動きから全体像を掴んだのだろう。
トランプ大統領が最近口にするのは、「今がその時ではない」「急がない、ノーラッシュ」という言葉で、これは次に何かのタイミングで一気に動くという意思表示だ。
その時がいつなのか?どのように動くのか?・・・まだよく分からない。
しかし、トランプ政権内では、ポンペオ氏、ボルトン氏、ペンス氏の間で次の戦略が練られているのではないだろうか?
韓国の仲介として動くのではなく、トランプ政権が自ら動くと思う。



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鹿児島に圧倒された日(3)

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知覧飛行場という名を今まで知らなかったが、言ってみると圧倒されたてしまった。
今の知覧には飛行場はないが、太平洋戦争の末期、若い飛行機乗りが全国から集められ、特攻隊として沖縄に向けて飛び立って行った飛行場があった。
そして、現在はここに知覧特攻平和会館がある。
1000人を越える多くの若い飛行兵の命が失われた特攻隊について、隊員の家族に宛てた手紙、最後に書いたメッセージ、多くの手帳や勲章やその他に遺品が展示されている。
その一つ一つがとてもリアルな実態感があり、見ている者を圧倒する。

特攻が開始されたのは米軍の沖縄攻撃が激しくなった時期で、この知覧から沖縄戦に向けて米海軍船を攻撃するための特攻作戦だった。
簡単にいえば「人間ミサイル」で、この特攻作戦がイスラム過激派の自爆テロにつながった「悪名高い自殺攻撃」だ。
当時の日本軍が、なぜ、こんな事を考えたのかとか、命令を受けた若い飛行兵たちが何を考えていたのかと、いろいろ考えさせられる場所だ。
滅私奉公が好きな日本人のメンタリティからは、国家や天皇、国民や自分の家族を守るために自ら犠牲になるというのは美学だったのだろう。
少なくとも当時の若者には共通の美学だったような気がする。
だから、喜んで(?)特攻を志願した。

でも、実際はそれだけではないと思う。
そこに残る手紙や手記を読むと、両親や家族に宛てた感謝の気持ち、国家や天皇のために自分の命を犠牲にしてまで戦う決意などで、誰もが同じことを繰り返し書いている事だ。
誰一人として「死にたくない」や「助けてほしい」と書いた者はいない。
幼い子供を郷里に残してきた飛行兵でさえ、「母の言う事をよく聞きなさい」「会えなくてごめん」というメッセージを書いているが、なぜ自分が死ななければならないのかの説明や死ぬ悔しさを書いたものはない。
これは明らかに国家による洗脳で、人間ミサイルである事を日本人の美学にすり替えてしまっている。
このすり替えが一番の問題なのだろう。
すり替えをした太平洋戦争の首謀者は戦争では死んでいない。
最後には極東軍事裁判で有罪となり死刑になったが、若い飛行兵を犠牲にして自分たちだけ太平洋戦争を生きのびた。
こうしたすり替えはいろんな所で使われるテクニックなので、現代を生きる我々も気をつけなけらばならないだろう。

なお、知覧には「武家屋敷」も保存されていて、薩摩の武士の質素な堅実な生活ぶりが偲ばれる家と庭が見られる。



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ウィークリー雑感(4/14 久々の外人現物買い)

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年度末から新年度入りの時期は、それぞれの市場参加者がヘッジしたり/はずしたりと様々な動機でポジションを取る。
この時期は、各投資家たちが癖のある特殊な動きをするケースが多く、単純に考えると間違ってしまう・・・注意が必要だ。

まず、国内勢では、年金や投信のインデックス運用。
通常、年金や投信は配当落ちで価格が下落する分を未収配当として計上し、配当落ちによるポジションの減少やパフォーマンスの悪化を相殺し影響しないように会計処理する。
しかしながら、インデックス運用では未収配当を計上したところで、そんな架空の資金では株価指数との連動性が薄れてしまう。
だから、将来受け取る配当分で先物を買い建て、株価指数に連動するようにしなければならない。
例えば、配当落ちが2%あれば、ポジションの2%分先物買い建て、将来の配当分をポジション化するわけだ。
下の表で、投信や金法が3月末に1460億円と7196億円買っているのは、その配当落ち分の先物買い建てであると思われる。
だから、この投信や金法の先物買いは実際にはなんらの影響もない。
株主総会が終わって配当を受け取る時、この先物買い建ても決済されていくことになるだけの話だ。

次に個人投資家だが、年度初に現物5517億円を売却し、大幅な売りから入っている。
株価が上昇してきたので利食ったことが一番の理由だと思われるが・・・定かではない。
個人の場合は、IPOで取得した場合、買いはカウントされず売りだけカウントされる、だから、個人投資家は常に売り越しの投資主体になる。
という意味では、利食いに売りもあるだろうし、ソフトバンク(通信)やその他のIPOで取得した分を一気に売った可能性もある。

話題となっている海外投資家だが、たしかに4月第1週には久々に6307億円の現物の買越しを記録した。
これが日本株の新規組入れのための買越しなのかはまだ分からない。
3月末の先物で7440億円のショートを作っているので、そのショートカバーで現物を買ったのかもしれないからだ。
また、この2週間の現物・先物の全合計ではまだ売越しなので、久々に買い越しに転じたといえるだけの根拠はない。
もしこれが海外の年金やSWFの大口買いならば通常1週間だけでは終わらないので、次の週も買越すならば海外の大口投資家の買いとなるかもしれない。
来週の数字で確認する方がいいと思う。

証券自己がこの2週間で現物・先物合計で4814億円の買越しとなっている。
証券自己の場合、ある一定期間ではポジションはニュートラル(中立)になるのが通常なので、このロング・ポジションには何か理由がありそうな気がする。
自己ポジションはかなりロングに偏ってきているので売り戻してくるかもしれないし、何かショートポジションがありそれを先物でカバーしたのかもしれないし・・・まだよく分からない。
この分が来週以降、売りで入ってくるのか、どうなるのかも注目だ。

自己   個人   海外   投信   金法  
  現物 先物 現物 先物 現物 先物 現物 先物 現物 先物
3月4週 1844 1218 751 ▲ 834 ▲ 785 ▲ 7440 ▲ 1072 1460 ▲ 346 7196
4月1週 ▲ 688 2440 ▲ 5517 ▲ 520 6307 ▲ 428 576 ▲ 1563 ▲ 65 236
先物は日経225とTOPIXの合計。事法やその他法人はこの表に含めていない。



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決算発表による「株価ぶっとび」リスク

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世界中の投資家がアクティブ運用からパッシブ運用へとシフトする時代が続いてきた中、金融庁はアクティ運用をどんどん締め付けてきた。
特にアクティブ運用に影響があったのが、インサイダーとの関連で決算期前の取材(プレビュー取材)を問題にし、証券会社に自粛をせまったことだ。
一部にはインサイダーまがいの情報を取るしか価値がない「なんちゃってアナリスト」を駆逐する良い機会だと評価する向きもあった。

しかし、その後、明らかに決算発表時の値動きが激しくなった。
事前の感触で決算がどっちに振れるのか、およその感触を元に売買し織り込んできた市場が、これにより事前には全く織り込めない市場、ぶっつけ本番の市場になってしまったからだ。
わずかな市場見通しからの乖離で、株価が急上昇したり、急低下したりするケースがめちゃくちゃ増えている。
現在2月決算の消費関連企業の決算でもサイゼリアが10%以上上昇したり、ファーストリテイリングが7%以上の急上昇をしたり、優良企業と見られていた良品計画が急落したり、決算発表後の値動きが一段と激しくなっている。

こうなると、この「株価ぶっとび」の急激な変化を嫌う投資家も出てきて、決算発表前にポジションを減らすようになる。
こうした投資家が増えると、さらに、出来高の減少をまねき、決算発表後の動きを大きくしてしまうという悪循環に入る。
ましてや、今年はGW10連休がそのまま決算発表時期と重なるので、多くの投資家は保守的にポジションを落とすかもしれない。
となると、一段と出来高が細り、決算発表後の値動きが大きくなるだろう。
特に今年のGW前に日本電産、ファナックなどのリーディング企業の決算発表から3月決算企業がスタートし、10連休に入り、GW明けから決算発表ラッシュになる。
一体、どんな急騰/急落が演じられるのだろうか?

証券会社のアナリストだって神さまじゃないので、会社に取材して様々なデータや感触をヒアリングできないと、収益予想も立てられない。
インサイダー取引はもちろん厳しく罰せられるべきだが、その要件は確定した決算数字や増資の決定など重要情報の公表前入手と関連した株式取引に限られている。
それを疑わしいからといって取材を全部否定してしまうと、投資家が何を見て判断すればいいか分からなくなり、市場の機能が麻痺していしまう。
アナリストには自由に取材をさせ、一方、インサイダー情報を得た場合は各社のコンプライアンス規定できちんと管理し、インサイダー取引を未然に防ぐ・・・こうした仕組みでプレビュー取材を自由にして株価が会社情報を織り込みやすくする方が市場は健全になる。



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鹿児島に圧倒された日(2)

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鹿児島といえば、やっぱり桜島だが、桜島には桜は咲いていないと思っていた。
もちろん、この巨大な活火山で山の中腹からは木一本生えていないし、土地は火山灰でできているので水はけがよく、桜木には適さないと思っていた・・・だから桜がないのに桜島を呼ばれる。
ちなみに桜島の由来は「桜木」ではなく、人名や神様の名前らしい。
でも、この湯平展望所に向かう登り道に2本の山桜が生えていたし、桜島をグルっと回っていると小学校の校庭に桜が咲いていた。

この桜島が凄いのは、鹿児島のたいていの場所からきれいに見えることだ。
さすがに指宿からは見えなかったが、その途中までは桜島がはるか遠くに見える・・・と、鹿児島にいる感じが強くする。
島津家の別荘、仙巌園では島津家のお殿様の居室から桜島が望めるように設計されていたし、桜島をバックにした(借景にした)庭園の造りが見えた。
桜島フェリーに乗れば、車を積んでも1000円ちょっとで桜島に渡れる・・・恐るべし、桜島に圧倒された。

指宿の砂蒸し温泉もすごい。
岩盤浴というのはどこにでもあり、汗がガンガン出てデトックスに良いというが、この砂蒸しはちょっと違う。
ガマンをしない程度の温度で、じわじわッとくる。
砂に埋められて身動き取れない状態で、じっと10分程度動かずにいる。
すると、特に熱くないので全然平気という感じだが、実は砂の中でもの凄く汗をかいている。
熱いのをガマンして汗をかくのではないところが良い。
砂から上がると、もちろん、砂だらけなのだが、浴衣がビショビショに濡れているのが分かる。
それだけ汗をかいていたというのが後から分かる。
そのあとは普通の温泉に入り、温めの湯でじっくりと汗をかく。
至福の一日だった。

やっぱり圧倒されたのは島津斉彬だ。
仙巌園には島津斉彬が作った集成館があるが、産業革命前の前近代的な日本にあって、産業革命後の技術を持つ欧米に追い付こうとしたことだ。
当時の日本には刀鍛冶などの職人はいたが、技術を応用し発展させる発想はなかった。
そんな伝統的な古い日本で、反射炉で鉄を作り大砲を作ろうとしたり、水圧を使った排水ロを作り御殿のあらゆるところに水を供給するシステムを作り、水力発電の施設を作ったり、蒸気機関を作ろうとしたり・・・その柔軟な発想に驚かされる。
今に言う発明家ではなく、欧米の産業革命後の機械技術を理解し、当時の様々な伝統職人を集めて、試行錯誤しながら新しい技術を作り、欧米と同様な水準に日本を高めようとしたところだ。
一種のオーガナイザーというか、プロデューサーとして類い稀な才能を持っていたのだろう。
恐るべし、島津斉彬、完全に圧倒された。



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鹿児島に圧倒された日(1)

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鹿児島に行った、鹿児島恐るべし・・・すべてが違い過ぎる。
まず第一に温泉だが、源泉の凄まじいばかりの湯量だ。
そこは与謝野鉄幹・晶子夫妻がお気に入りでそれぞれ名を付けた「鉄幹の湯」「晶子の湯」がある霧島温泉郷の硫黄温泉・霧島ホテルの大浴場。
硫黄泉、明ばん泉、鉄泉、などなど、多くの種類の源泉があるが、圧倒されたのはその源泉の湯量だ。
絶対に25メートルプールより大きい湯船があり、しかも1.4メートルの深さがある。
そのどでかいプールみたいな湯ぶねに、実際にある滝のように源泉が注ぎ込み4つの小滝に別れ、湯ぶねに注ぎ込んでいる。
落ち湯のような滝にあたる人たちもいるが、はっきり言ってこの源泉の温度がまた高く、むちゃくちゃ熱い。
ちょっとあったてみたが、とても熱くてあたってられない。
霧島温泉郷、恐るべし、その熱い温泉の湯量とその規模に圧倒された。

次に圧倒されたのは鹿児島人の銅像好き(必ずしも銅で出来ているかは分からないが)だ。
鹿児島空港に到着し外に出ると、西郷さんの巨大な像が空港を見下ろしていて、空港に降り立った人たちはまずびっくりする。
だいたい、鹿児島は銅像というかスタチューだらけだ。
西郷さんだけでなく、大久保利通、島津斉彬、島津久光、小松帯刀などなど、鹿児島県人の自慢は江戸末期から明治維新に活躍した人物の巨大な物が好きなのだろう。
西郷さんの巨大な巨大像だけは銅像だけで2つ、その他何か分からない像が少なくとも2つはあり、合計4つは存在している。
市内の中心、照国神社には島津家の3人、斉彬、久光、忠義の巨大銅像が立っている。
その照国神社のすぐそばに西郷隆盛の8メートルの巨大銅像が虚空を睨んでいる。
さらにその対面には小松帯刀の像が小さく立っている。
こんな銅像、もし銅でなければスタチューばかりの街をみたことがない。
一体、鹿児島県人はどうしてこんな銅像ばかりと建築するのだろう?
恐るべし、鹿児島県人。

さらに圧倒されたのは黒豚のカツだ。
黒豚の上ロースかつ、こんなに美味しいトンカツ、人生61年の中で食べたことがない。
ワシの人生は何だったのか・・・今まで食べてきたトンカツは何だったのか・・・と本気で思うほど美味しかった。
東京で美味しいと思ったトンカツ、五反田のあげ福、目黒のとんき、もち豚たいよう、かつ好、恵比寿のキムカツ、などなどと全く違う黒豚上ロースかつだった。
表現が難しいが、中がピンク色の肉は半分生と思われるほど柔らかく、舌触りが普通の豚肉のざらざらした感じがないし、風味や味も一口食べると違いが分かるぐらいだし、柚子味噌のソースもとても合う・・・・なんか、すべてが違う感じがした。
鹿児島、恐るべし、たった1日で圧倒されてしまった。




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やさしい投信の選び方(8公募投信続き)

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公募投信の選び方は、(1)小型株やグローバル高配当などの自分でできない運用はプロに任せた方がいい、(2)新興国の高金利通貨を買うことが多い、通貨選択はかなりリスクが高いので十分に慎重に検討すべき、というところまでは検討してきた。
まだ、もう少し、公募投信で知っておくべきこともある。

その一つがカバードコールが付いた投信だ。
カバードコールはコールオプションの売りが付いている投信だ。
コールオプション(買う権利)を売ると、その値段で株価指数を売る権利を持つことになる。
だから株価指数が上昇していくと損失が出るが、その代わりにオプション料を受け取ることができる。
コールオプションの付いた投信はオプション料をもらえる分だけ投資リターンが上がる。

実際にある公募投信では株式部分の半分程度をコールオプションで売るケースが多いと見られる。
そうなると投資家の損益はどうなるだろうか?
株価指数が下落した場合・・・当然のことながら、株式部分で価格が下落し損失が出る、しかし、コールオプションの売りによるオプション料の受取りが利益となり、株式部分の損失の一部を相殺する、全体のリターンはマイナスだが、マイナス幅が抑えられる。
株価指数が上昇した場合・・・株式部分で利益が上がるが、コールオプションを株式部分の半分を売っているため、利益は半分になってしまう、それにプラスしてオプション料の受取りも利益になる。
株価指数が横ばいの場合・・・株式部分は損益チャラだが、オプション料の受取りでリターンはプラスになる。
つまり、簡単にいえば、株式指数の上昇の半分でコールオプションを売り、株価指数の下落に備えた投信といえる。

日本株投信などでは、投資家は自分でポートフォリオを作って運用し、その一部をコールオプションの売りでカバードコール戦略を自分でもできる。
しかし、欧米株式やアジア株式では、コールオプションを自分で売るのは少々難しい。
外貨の買い、外貨のオプション売り、外国株式のオプション売りと複雑化してくると、外貨・株式・オプション等のポジション量の調整、ポジション損益の管理と要因分解、証拠金の管理、などなど複雑な仕事をしなければならなくなる。
これらをすべて自分でやるのは個人投資家にはハードルが高い。
カバードコール付きの日本株投信なら自分でやるという選択もありだが、外国株式のカバードコール付き投信なら買った方がいいと思う。

しかし、外国株式のカバードコール付き投信は若干の問題がある。
それは、投信のカバードコール部分を別に切り出して、トータルリターンスワップを海外の証券会社と結ぶ場合が多いことだ。
このトータルリターンスワップは海外の証券会社のポジションを使ってカバードコールを運用し、その結果損益だけを公募投信に反映させるものだ。
つまり、海外の証券会社が勝手にオプション評価してプレミアムを算出し、自己ポジションにするため、やや自分に有利(投信に不利)なプライシングをしている可能性が高い。
でもこれは外部からは確認しようもないので、投資家は文句を言えない。
これは目論見書に出ているのでチェックした方がいい。



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イタリアを巻き込んだ中国の「一帯一路」の狙い

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中国の習近平がイタリアを訪問し、イタリアが「一帯一路」に参加することで合意した。
そして、中国はイタリアの港湾整備に2兆円以上の資金を支援すると表明した。
これに対してEUの一部の国や米国などは、中国の影響力の拡大と軍事的プレゼンスの強化に警戒感を示している。

でも、このイタリアと中国合意は中国の外交の特徴をよく示しているし、ある意味必然なのかもしれないと思う。
中国の外交は世界各地で経済的に困っている国、嫌われている国、弱みを持っている国をターゲットにしてきたところに特徴がある。
影響力を拡大してきた地域に東南アジア、アフリカ、中南米などが多いのが、こうした経済的に困った国や弱みのある国をあえて狙っているようなフシがある。

アフリカでは・・・ケニアでは費用3200億ドル以上の9割を中国が融資し鉄道を建設した。これで同国の対外債務は急膨張し20倍になったと言われている。セネガルでも高速道路を中国の数億ドルの融資で中国企業が建設し、セネガル政府が返済するという構図だ。先進国があまり手を付けていない中部アフリカに資金を融資し、政府を借金漬けにしている例も多い。
中国資本がアフリカ経済を発展させているのも事実だが、現地との軋轢も多い。

中南米では・・・ブラジルには2000年以降合計5兆6600億円の直接投資をして、油田、鉱山、港湾、大型ダム、送電設備を買いあさり、ボルソナロ大統領は中国に支配されるとの警戒感を示した。
ベネズエラでは7兆2000億円を貸し付けているが、同国は経済破綻状態でほとんど返済不能に落ち込んでいると見られている。
その他、チリやペルーでは最大の貿易相手で大豆や石油や銅の大量輸入により、中国のプレゼンスが際立って大きくなっていると言われる。
アフリカや中南米に共通するのが、潤沢な中国資金が経済の弱い、あるいは、現地政権の弱みを突いて、巨額な融資とともに中国企業がインフラを建設し、現地政府が債務漬けにされながら返済していくという構図だ。

そして、今回、欧州地域で経済的弱みを持っているイタリアとの「一帯一路」の合意となる。
おそらく、経済的に弱い国を狙ったという意味ではアフリカや中南米と同様のケースを欧州に広げたということだろう。
東南アジアでの「一帯一路」外交はマレーシアの鉄道、スリランカの港湾でも問題を起こした。
中国の強引な開発案件で現地政府に拒否感がでたり、元利支払い不能になったりする例が見られたが、そうなると、中国はスリランカのように港湾の使用権を奪い取るなどの強硬策に出る。
イタリアでも同じかもしれない・・・港湾整備に中国が2兆円以上を融資し、中国企業が建設を受注し、イタリア政府が膨大な債務を背負って、融資を返済していくということになるのだろう。
結局、潤うのは工事を受注する中国企業で、イタリア政府が返済に困れば港湾の使用権を中国に奪われるかもしれないし、地中海の要衝を中国はゲットできるという大きな利益がころがっていく。
しかし、これやり方は限界がいずれ見えてくるだろう・・・なぜなら経済的に弱い相手には本来、無償資金で支援すべきなのに、中国はあくまで融資で開発し、現地に元利返済を求めるからだ。
相手の弱みに付け込んだ海外進出が、中国の思惑通りにいくとは限らない。



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上海市場の大規模外人売り

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上海総合指数は年初来30%も上昇し、世界で一番上昇した市場となった。
ちなみに第二位のNASDAQ+19.6%で、ダントツのパフォーマンスだ。
しかし、中国のニュースサイトの大紀元は、3月25日に外人投資家が大規模な上海株の売却を行ったと報じている。
その売り越し金額は108億元(約1750億円)で、史上2番目の売越し金額となったようだ。
過去、外国人投資家が一日40億元以上の売却をしたのは10回あったという。
そのうち大半の5回は2015年の上海株暴落時に起こり、3回は昨年2018年に起こった。
2018年2月6日に97億元の売却、10月8日にも97億元、そして、12月6日に42億元の大量売却が記録された。
昨年の外国人の売りは、当然ながら、トランプの対中関税の引上げに呼応して行われてきた。

では、今年の3月25日の外国人の大量売却にはどんな背景があるのだろうか?
一つの可能性は、年初来最も良いパフォーマンスを出した上海株だが、外国人が売りたい水準まで上昇したという理由だ。
昨年のトランプ暴落の半値戻し以上を達成しポジションの平均価格を越え、売りやすい株価も戻ったから売却したというケースだ。
この場合は下値を叩いて売るというよりは株価上昇時に利益を確保するということになる。

2番目の可能性は、中国の景気の一段の悪化をみて米中の合意前に利益を確定するというファンダメンタルな理由だ。
この場合は根が深いだろうし、外国人の大量売却が続く可能性がある。

もう一つ可能性があるのが、MSCIの中国A株ウェート変更に伴なう外国人の動きだ。
MSCIの発表では、中国A株のウェート引上げを今年5月から3段階で引き上げると決定し、現在のウェート0.72%を11月までに3.3%にまで高める。
おそらく、このMSCIの決定から外国人は上海・深センのA株を大量に買ってきたはずだ。
そのウェート引上げが一巡したところで、中国株が大幅に上昇しウェートがオーバーしてしまったかもしれない。
そのオーバー分を売却したという理由もあり得る。
この場合、次のウェート引上げ時の5月株価によって売買が出る可能性がある。
つまり、株価が安くウェートが低すぎれば追加購入するし、株価が上昇しすぎウェートが高すぎれば売却することになる。
少なくとも3月25日の大量売却はMCSIのウェート変更にすでに対応済みということはいえるかもしれない。




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ウィークリー雑感(4/7長期投資家のつぶやき)

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今年に入って書いたウィークリー雑感を振り返ってみた。
1/20「最も強いは最も弱い」を書き、市場心理が大きく増幅し株価が実態以上に上下する現状を描き、市場参加者が強気になるまで今回の戻り相場が続くとした。
2/3「アリババの語るもの」で、アリババの順調な戻りから米中摩擦は休戦に向かう期待が市場にあり、それが株価を引き上げていると書いた。
2/24「奇妙な不景気の株高」で、債券市場が織り込む現実の景気減速感と株価市場の奇妙な期待感があるとして、米中合意から年後半の景気回復を期待するのか、景気減速により長期金利がさらに低下していくのか最大の注目点だとした。
3/17「可能性としての三尊天井」で、NYダウが26000~27000ドルで三回目のピークを打つと三尊天井になる可能性を指摘した。

昨年12月24日クリスマスのセリングクライマックスから、1月から2月にかけては市場の警戒感が強い時期は、市場とは逆に実態以上の上昇する可能性を指摘し強気だったが、2月末から3月は株価が調整する可能性を意識し始めた。
でも、現実には3月で少し足踏みしたものの、4月に入り株価が上昇を強め、NYダウは戻り高値を取り、史上最高値まであとわずかな所まできた。
3月から4月にかけての市場はワシの想定以上に堅調だったといえる。
市場でもNYダウが高値を取り一段高を期待する声、日本株の出遅れ修正を期待する声も増えている。

2/17に書いた「利食い千人力」はこういう時に使う相場格言だと思う。
まだ株価が上昇する可能性は高いが、このあたりで利益を確保しておく事もいいかもしれないと思うからだ。
また、「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言もある。
これは頭=ピークで売ろうとしても難しいし、尻尾=ボトムで買うことも難しい。
そこにこだわり過ぎると、「欲のかき過ぎ」や「爪を伸ばし過ぎ」てしまい、思わぬワナに落ちてしまうかもしれない・・・
だから、ピークで売ろうとするな、ボトムで買おうとするな、という相場格言だ。
その中間の美味しい身の部分だけを味わえばいい・・・投資をする上での欲張りを戒めた言葉だ。
個人的には今は株価が上昇した時は利食いし、ポジションを減らす方向で動いている。
もし4月にさらに上昇すれば、現在3割程度のキャッシュポジションをさらに引き上げていこうと考えている。



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ゴーン氏、最後のクライマックスは?

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ゴーン氏、4回目の逮捕で、またまた収監されてしまった。
保釈された期間、毎日のように外出し、シャバの空気を楽しんでいたが、檻の中に逆戻り・・・本人も今回は相当に堪えるのだろう。
逮捕理由となったのがオマーンの代理店経由で日産のおカネを着服したという疑いだが、ゴーン氏の子供たちの米国留学費用6000万円を日産が支払ったとか、クルーザーを日産のおカネで買ったとか・・・いろいろなニュース(フェイク・ニュースも含めて)がどんどん出てくる。
4回目の逮捕の理由となったオマーンの販売代理店経由の資金の流れはルノーも問題にしており、なんか、これで、さすがのゴーンも万事休すと思うが、まだまだ、口は元気。

まだまだ「私は無実だ。日産の社員がウソをついて、私を陥れた」と頑張っている。
不思議なほどの強気だが、これほどの姿勢には二つの可能性が考えられる。
一つは「本当に無実」で日産に西川氏や社内調査がインチキだという場合。
もう一つは「何か大きな罪を隠している」ので、勘単には謝罪できない場合。
最初の可能性はほとんどない・・・上場企業である日産の社内調査はウソばっかりだとしたら、日産はつぶれる・・・間違いなく、事実に基づいて調査されているはずだ。

もう一つの可能性は十分にある。
巨額の資金をサウジやオマーンを経由させてゴーン氏が動かしたのは事実で、問題はなぜここまで事実を隠さなければならないのかだ。
単なる着服だけどもっと巨額の不正があるという理由なのか、あるいは、重要な人物に渡っていてそれをバラしたら大変な事になるという理由も考えられる。
前者の場合だったら、日仏ともにいずれ捜査が進み、全貌が解明される可能性もあり、ゴーン氏が隠したかったさらに巨額な不正も暴かれる可能性がある。
後者の場合だったら、その重要人物に捜査の手が伸びる前に「天の声」により打ち止めになるかもしれない。

この事件は何か最後に大きなクライマックスが待っているかもしれない。




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日銀短観、前回ブログからの変化

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9月の短観についてのブログから・・・
(1)日本企業全体にある人手不足とその対応。雇用を見ると、大企業で6月-21から9月-23、中小企業で6月-35から9月-37と人手不足が拡大している。それにつれて省力化のためソフトウェア+研究開発投資の伸び率が高まっている(大企業6月+4.6%、9月+10.3%、中堅企業6月+9.7%、9月+13.8%)。ソフトウェアや研究開発を推進し人手不足に対応する企業の姿が浮き彫りになっている。

(2)企業の価格判断がデフレ感覚から変わりつつあること。国内製品・サービス需給判断、大企業製造業で6月-2から9月+1と1990年6月以来のプラスに転換。販売価格は大企業製造業6月5から9月7と上昇、仕入価格も大企業製造業6月30から9月27と上昇、販売価格と仕入れ価格の上昇を感じている経営者が多い。国内の製品需要が強く、1990年以来の需要超過になり景気の腰が非常に強い。この価格判断が企業の利益率にどう影響するか、そして、販売価格をさらに引き上げることになるのか要注目だ。
・・・・と書いた。

    Jun-17 Sep-17 Dec-17 Mar-18 Jun-18 Sep-18 Dec-18 Mar-19
業況判断 大企業 20 23 25 23 22 21 21 17
  中堅企業 16 18 19 20 20 17 17 13
製品需給 製造業 -6 -5 -2 0 -2 1 -1 -6
製品在庫 製造業 8 8 7 6 6 7 6 8
販売価格 製造業 -3 -2 -1 1 5 7 6 1
仕入価格 製造業 13 14 18 26 30 27 24 17
雇用判断 大企業 -10 -11 -13 -18 -16 -18 -19 -18
  中堅企業 -17 -22 -27 -29 -25 -27 -26 -26

3月調査までの変化は簡単にまとめると、以下の4点があげられる。
(1)大企業(全産業)業況判断が+21⇒+17へ大きく低下、経営者の景気判断が下向きだ。
(2)国内需給も+1⇒-6へと低下し需給の緩和へ動いてしまった。
(3)仕入価格の上昇分の販売価格への転嫁が遅れ、販売価格は+7⇒+1と値上げは一部を除いてほとんど進んでいない。
(4)雇用判断だが、大企業は-18⇒-18、中堅企業は-27⇒-26と人手不足は依然として続いている。

この半年で経営者の景気判断や国内製品需要はスローダウンしたようだが、雇用の不足感は引き続き強く残っている。
しかし、日本経済の課題であった賃上げや販売価格の引上げは見られず、人手不足や仕入価格の上昇で企業の利益は圧迫される可能性がある。
日本経済全体にも停滞感がある・・・というのが、日銀短観の3月調査の結果だろう。

しかし、この3月調査で注目すべき点もある・・・売上高経常利益率(経常マージン)だ。

大企業製造業では、2018年度売上+2.3%、経常利益-1.9%、経常マージン8.17%、2019年度予想売上+0.6%、経常利益-1.3%、経常マージン8.02%となっている。
仕入価格の上昇や人手不足が明確であり、しかも売上が横ばいでも、経常マージンは8%という比較的高い水準が予想されている。
これは経営者のコストコントロールへの自信、AIやソフトウェア投資で自動化・効率化を実現できるという自信の表れではないだろうか。
設備投資全体は企業業績の停滞もあり、全産業・全規模で-2.8%とマイナスに転じるが、ソフトウェア投資は+5.8%、そのうち中堅企業+19.2%、中小企業+6.3%と大幅に伸びる予想だ。
こうしたソフトウェア投資に注力することで高い利益率を維持しようとしているのかもしれない。




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相場は自己主張の戦い

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この言葉は正しくは相場格言ではないかもしれないが、ワシの相場の師匠がよく使ったフレーズだ。
この師匠はワシの入社当時支店長をしていて、たけし軍団のような自分の派閥営業マン集団を持っていて、この師匠が声をかけると全国の支店から注文が次々と出て、推奨銘柄が急騰するということがよくあった。
当時、ワシは投資情報部で株の勉強をしていた頃、この師匠の考え方がいろいろ勉強になったことを今でも覚えている。

記憶している範囲でいうと、師匠の最初の推奨銘柄は住友鉱山で、もちろん、菱刈鉱山で過去最高品位の金鉱脈が見つかったことが契機だった。
師匠は鹿児島県にある菱刈鉱山に行き、その鉱脈の実態、開発計画を調べて大相場になると予言した。
「菱刈の金」発見はニュースにもなった話で多くの人が知っている事だったが、自分で調べて株価10倍になると確信を持って言ったのは師匠が初めてではないかと思う。
その後、2~3年の期間の上昇トレンドを作り、結局、株価は数倍になった。

そして、最後の推奨銘柄がヤフーだった。
当時、インタネットの勃興期でアメリカではヤフーが上場した頃の話だ・・・検索大手に君臨していたのはネットスケープで、まだ、グーグルも出ていたかった時期。
日本でも米ヤフーの子会社であった日本ヤフーがネット関連で初めて上場することになった。
師匠は新規上場の日本ヤフーに注目し、自分の軍団に全力で買えと号令をかけた。
そして、自分でも全力買い(当時はコンプラがうるさくなかった)し、その後大相場に発展し、おそらく自分でも数億円の資産を作っただろう。

もちろん、今ではコンプライアンス規則が厳しく、自分で買うなんて御法度だ。
でも、この師匠が魅力的だったのは、自分の考えを明言し、違う意見を認め、正々堂々を相場に立ち向かう姿勢だった。
若かったワシが全然違う見方や意見を言っても、それを尊重して議論をしてくれた。
そして、最後に必ず言ったのが、この言葉「相場は自己主張の戦いだ」だった。
自分で考え、自分で判断し、自ら主張し、自ら行動する・・・これが相場で生きていく上でもっとも重要だという教えだ。
この姿勢はワシの行動規範となり、今でも自分の中に存在している。



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ブリグジット、国民投票がそもそもの問題

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「ブリンクマンシップ」という英語がある、日本語では「瀬戸際外交」と訳されるが、別に外交の問題だけではない。
相手をギリギリのところに追い込んで自分の意思を通す一種の交渉術で、イギリス人の得意とする交渉術でもある。
今回の英国のEU離脱に関しての英国議会はそんなブリンクマンシップを楽しんでいるのかと思ったけど、ここまで議会は分裂していしまうと、ブリンクマンシップどころではなく議会機能の限界と考えるべきだったと改めて思う。

そもそも問題の始まりは、国民投票、レファレンダムだった。
これは直接民主主義で、国民全員に民意を問う究極の民主主義だが・・・素人ばかりの国民が十分な情報も与えられずに判断することがいいのかどうか? また、民主主義の手続き上の位置づけも曖昧なまま国民の意思としてどこまで尊重すべきなのか? などの問題は解決していない。
かつてルソーは「社会契約論」で、一定数の人間がいて、その間に社会契約が結ばれ、共同体が生み出される、その人々の間で単なる妥協ではない「本音の」一般意思が作られるとした。
でもこうした直接民主主義は現実的に技術的に難しいので、近代国家では人々の代表を選挙で選び、その代表たちによる意思決定を共同体の意思とした間接民主主義になった。
でも、この情報化社会で無限の情報処理が可能になるとしたら、実際にルソーの言う一般意思をコンピュータで計算できるかもしれない・・・それを一般意思2.0と上記の本では定義している。
現代社会の膨大な情報処理能力を使って一般意思を導き出せるとしたら、今の議会制民主主義は大きく変わることになる。

しかし、こうした次世代の情報化社会を想像して、今回の英国の国民投票とその後の議会の混乱を見ると、現在の国民投票で一般意思2.0ができるのか疑問だ。
つまり、国民投票の時には、アイルランドでの国境問題、ホンダやその他の企業の英国撤退、大手銀行のロンドン脱出、などなど多くの英国民が想定していたどうか怪しく、単に中東移民が欧州に押し寄せてきたのをみてEUから離脱しようとしただけではないかもしれない。
そんな反移民の雰囲気の中での国民投票とEU離脱は本当に英国民の意思だったのかと疑問を感じる。
ルソー流に言えば一面的な妥協で決めてしまった特殊意思で、国民の「本音」としての一般意思ではなかったのではないかとも思える。
そして国民投票の結果を重視しているメイ政権は国民が何回も離脱案を提出しては否決されるという事を繰り返している。

国民投票は「EU離脱に対して、YES OR NO」だが、人々の本音はおそらく複雑なのだろう。
たとえば選択肢を、「アイルランドの国境問題」「ホンダの英国撤退」「中東移民の流入阻止」・・・と詳細設定し国民に問う・・・すると、例えば、「EU離脱はYES、アイルランド国境はNO、ホンダの英国撤退はNO、中東移民にYES・・・」と民意が細かく出てくる。
それをコンピュータで最適化計算する・・すると、「EUを離脱して、北アイルランドを特別区にして国境なしに、EUと自由貿易協定を結び自動車関税をゼロに、移民管理を強化」などという結果が出る。
これはルソーの言う一般意思とはちょっと違うかもしれないが、単純なYES/NO投票よりも余程細かく民意を最適化できる。
こうした国民投票ができたら、もっと現実感にあるEU離脱案が出てきたのではないだろうか。

また、そんな民主主義制度ができたら、膨大な税金を使って議会を維持する必要はなくなる。
国民は様々な政治問題に対して、必要な情報をスマホで取って、自分で考えて、スマホで投票するだけでよい。
民主主義のコストは高い・・・日本でも国会だけで約700人の議員に毎年数千万円(給料+活動費その他)を払っているし、県議会、区議会え入れたら膨大な税金が投入されている・・・大きく政治制度が変わるかもしれない。
意見を表明する議員だけに定数削減して・・・大幅なコスト削減を達成し、予算などの技術的に困難な議案を除いて直接民主主義で行うという世界がくるかもしれない。



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株式投資の基礎(5流通市場)


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プライマリーとセカンダリーの発行市場を見てきたが、今回から株式の実際の取引を行う流通市場を見ていきたい。
流通市場はセカンダリーの株式取引を行う取引所で、以前は東京、札幌、名古屋、大阪、広島、九州までのローカル取引所があったが、現在は日本取引所として、現物株は東京に集中し、先物は大阪に集中して取引が行われている。
この流通市場は上場基準を明確にして、上場銘柄の情報開示を標準化し、投資家が安心して取引できる基盤を提供している。
東京証券取引所は1部と2部、マザーズなどに分かれている他、JASDAQ市場がある。
どの市場に上場してても同じと思うかもしれないが、実際は大きな違いがある。

まず東証1部に上場している会社。
上場基準は、株主数2200人以上、流通株式2万単位以上、時価総額250億円以上などがある。
当然、一部上場となれば日本でも代表的な企業として信用度も高いし、そこで働く社員も自慢できる。
でも、もっとも大きな違いはTOPIXという東証1部の全銘柄を対象とした株価指数の存在だ。
一部上場となれば、このTOPIXの採用銘柄となり、インデックス投資の対象になる。

東証2部に上場している会社。
2部の上場基準はだいぶ緩くなり、株主数800人以上、流通株式4000単位以上、時価総額20億円以上などだ。
2部に上場して株主数を増やし、時価総額を増加させてから1部に昇格するのが普通で、2部市場は単なる通過点になってしまっている。
だから、2部では投資家に人気のある会社はすぐに1部昇格してしまい、ずっと2部に上場している会社は成長性がないと思われてしまう。
こんな状態では2部市場上場の意味が不明だ。

さらにマザーズ市場とJASDAQ市場となると、違いがよく分からなくなる。
上場基準では株主数ではマザーズもJASDAQも200人以上と同じ、流通株式はマザーズが2000単位だがJASDAQは流通時価総額5億円以上と多少違いがある。
上場時の時価総額ではマザーズが10億円以上、JASDAQは50億円以上と異なる。
この違いに何か意味があるのかはさっぱり分からん。
小規模企業のスタートアップをサポートするならば、マザーズとJASDAQは統合して、設立直後から上場させて小型の成長企業を育てるぐらいの特色のある市場にすべきだろう。
スタートアップ直後から上場させ、情報の開示やエンゲージメントを義務付け、投資家と対話をしながら資金調達し成長していく・・・投資家を一緒になって成長物語を作っていくような市場があってもいいと思う。
投資家サイドから見ても、クラウド・ファンディングやICOなどの投資家保護規定のない資金調達に参加するよりも、このスタートアップ向けの市場で経営者とともに会社を成長させ、時価総額を増やしていける方がずっと良いだろう。
もともとは米国のNASDAQ市場のような新興企業向けの市場として作られたはずだが、なんか違ってしまった。

資金調達に主眼を置いたスタートアップ向けの市場と、巨大なインデックス投資に耐えられる規模と流動性を持った1部市場だけあれば十分だろう。
東証は、プレミアム、スタンダード、エントリーと三つの市場に集約する市場改革を打ち出した。
でも問題は時価総額を基準にした区別だ。
時価総額は株価によって大きく変化し、それを基準にすると、株価の変化で上場する市場がコロコロ変わってしまリスクがある。
三つの市場の特色を明確にして、エントリー市場のまま「NASDAQのアップル」のよう企業を生み出す制度にしてほしいと思う。




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SMBC日興のAI株価ポートフォリオ

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AIのHEROZが開発した「AI株式ポートフォリオ診断」をSMBC日興が顧客に提供している。

サービスは二つあり、一つは現代ポートフォリオ理論(モダン・ポートフォリオ・セオリー、以下MPT)を元にポートフォリオ提案をするものだ。
こう書くとなんかすごい事をやっているなんて思う人もいるかのしれないが、MPTはモダンと名前が付いているがもう70年も前の古典的な理論で何も新しいところはない。
MPTとその中心的のCAPM(資本資産価格モデル)のもっとも簡単な意味は、複数の個別銘柄の期待リスクとリターンの組合せの中で、最も効率的な組み合わせは市場ポートフォリオ=株式指数になることだ。
だから、MPTをどういじくってもここから出てくる結論は市場ポートフォリオに近づける組合せになってしまう。
個人投資家が自分の好みの銘柄を選ぶと、あとは自動的に組合せを提示し、市場ポートフォリオに近い(効率的な)ポートフォリオが提示され、それを買ってもらおうという話だ。
これにより個人投資家は1銘柄を買いたいのに効率ポートフォリオとして多くの銘柄を買わされることになる。

もう一つのサービスはAIのディープラーニング機能を使った個別銘柄の株価予測スコアを顧客に示すというものだ。
これは決算データ(売上、利益など)と株価データ(株価、出来高)を元にディープラーニングで1か月先の株価を予測し、スコア化するという。
スコアの高い銘柄を中心に組み合わせれば儲かるというわけだが、問題は決算データは過去の数字で過去の数字をいくらいじっても予測はできないし、株価データをうまく使うということは罫線読みをAIにやらせる程度の話になる。
もちろん、AIによる罫線読みが成功する場合もあるだろうし、失敗する場合もあるだろう。
でも、もっとも良いのは証券会社で、スコアが仮に全く当たらなくても、すべてをAIのせいにできることだ。
SMBC日興のセールスは顧客に大損させても、「自分のせいではない、AIのせいだ」と開き直ることができる。

証券会社には至れり尽くせりのAIで、ポートフォリオと称して不要な銘柄まで売買させ手数料は増やせるし、顧客に大損させても開き直ることができる。
SMBC日興、恐るべし・・・AIと名付けながら、うまく儲ける方法を考えたものだ。



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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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