株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2019年03月

ウィークリー雑感(3/31逆イールドをめぐる混乱)

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先週は米10年債の利回りが急低下し、3か月金利と逆転した「逆イールド」で日本株も急落して始まった。
その中で株式コメンテーターやストラテジストがいろんなコメントをした。
そのコメントはだいたい三つに分類できそうだ。

一つはテクニカルなコメントで「10年金利と3か月金利だけでは逆イールドとはいえない」という意見だ。
1~5年金利も同様に低下しているので、イールドカーブ全体で逆イールドになっていないのは確かだけど、だからといって「逆イールドではない」と言い張ることにどれだけ意味があるのかは分からない。

二つ目は論理の逆転で「逆イールドだから数か月後にリセッションになるという理屈はない」という意見だ。
これは勝手に因果関係を逆にした解説で、景気の減速を債券市場が織り込みに行くから長期金利が低下し「逆イールド」になったわけで、逆イールドになったから景気後退になるわけではない。
ただし、過去の景気後退局面を見ると、景気循環の後半の途中で「逆イールド」が起こっているケースが見られるということだ。
長期金利の低下そのものが期待収益率の低下を見て起こっているわけで、そこに基本的な懸念がある。

三つ目は過去事例との比較で「ITバブル期、リーマン危機時にもこのイールドの逆転が見られたが、今回とは経済環境が違う」という意見だ。
確かに、ITバブルのような「ニューエコノミーを買い、オールドエコノミーを売る」というような激しい市場でないし、リーマン危機前のようなサブプライム融資が急増しているわけでもない。
過去、それぞれの事情で景気後退が起こったのは事実で、だからといって、過去と違うから景気後退は起きないといえる根拠はない。

日本のコメンテーターは我田引水型というか、自分の考え方にそって現象を理解しようとするから、どうも偏った見方ばかりになってしまう。
きちんと理解しているエコノミストも多くいるが、人を違う独自の意見を言おうとするあまり、この我田引水型のワナに落ち込んでしまう。
「逆イールド」は、そもそもの景気減速と企業業績の悪化によって、投資家の期待収益率の低下が原因で、そのために株式から債券に資金シフトが起こり、その結果、長期金利が低下、短期金利を下回ってしまうという流れで起こっている。
その基本は期待収益率の低下であり、今後の景気後退を意味するわけではない。
もし、ここから株式市場が上昇していくとしたら、投資家の期待収益率が上昇するという確信が必要だろう。
そこの確信がまだ見えていないということかもしれない。




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やさしい投信の選び方(7公募投信続き)

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前回は公募投信の定番でもある小型株、高配当型、テーマ型などを簡単に見てきた。
それぞれ、個人投資家が自分で銘柄を選び運用することもできるが、プロの腕が生きる分野でもあり優秀なファンドマネージャーを抱える投信会社に任せた方がいいと思う。
今回は、もう少し工夫した公募投信を取り上げてみよう。

まず、最初に通貨選択型の公募投信だ。
これは為替を使ってリターンを増やそうという戦略のファンドで、グローバル債券に投資してさらに為替収益で上乗せを図るというものだ。
各国の金利と為替の動きはお互いに相関するものなので、グローバル債券に為替スワップを組み合わせた商品設計が一般的だ。
特にここ数年はグローバルに長期金利が低下してきたため、債券だけでは十分なリターンが上げにくくなってしまった・・・そこで為替スワップの収益を上乗せすることで、リターンを引上げようと考えたわけだ。
特に日本の低金利で、日本投資家から見れば海外の債券は魅力的だし、しかも内外金利差を収益化する為替スワップでさらにリターンを引き上げられたらより魅力が上がる。

でも、問題はいくつかある。
まず、通常使う通貨は内外金利差の大きい通貨、つまり、高金利通貨が選ばれる。
その方が金利差が大きく収益が上がるからだが、実は高金利通貨はリスクが非常に高い。
運用会社でもリスクの高い高金利通貨を一般の個人投資家に売っていいのか内輪で議論になったこともあったが、一旦、発売してみるとよく売れるのでこのコンプライアンス観点は無視されてしまった。
しかし、高金利通貨はファンダメンタルが弱く、たとえば、経常赤字だったり、対外債務が大きかったり、国内の資本蓄積が不足してたり、政治が不安定だったりと、何かイベントが起きると暴落する可能性が高い。
プロのファンドマネージャーが運用する時でも各新興国のファンダメンタルを月次で追いかけ、IMFやBISの統計を追いかけ、政治情報などはとても収集に苦労するし、さらに分析もたいへんな国が多い。
こうした通貨を個人投資家が自分で判断して通貨選択をするのは困難だろう。

ブラジルのレアル建ての投信が一時人気になったが、一つの例として大和住銀の「エマージングボンド」の三つのコース、つまり、通貨選択のない円コース、ブラジルレアルコース、トルコリラコースを比較してみよう。
人気のブラジルレアルコースの分配金再投資リターン(今年2月末)を見ると、1年ー7.0%、3年+44.7%、5年+19.5%と、特に3年では大幅リターンを出している。
ここ数年はドル高/円安で推移していたため、海外債券の投資はプラスになる環境だった。
円コース(通貨選択なし)は純粋な外債ファンドで、このリターンは3年+10.9%・・・3年で考えるとレアルコースは34%のリターンを通過選択で稼いだといえる。
でも逆にトルコリラコースは同じく3年で-9.8%で、通貨選択がマイナスになる20%の損失だった。
簡単にに言うと、外債ファンドは3年で+10%、それにブラジルレアルの通貨選択で+34%、だけど、トルコリラの通貨選択では-20%という結果になった。
このように高金利通貨の為替スワップを組み込むと、うまくいけば高いリターンが得られるし、失敗すると大きな損失になる。
このファンダメンタルズの比較的弱い高金利通貨の選択がうまくいけばいいが、失敗するとひどい目にあうというわけだ。
この高いリスクを個人投資家に取らせていいのかが運用会社の姿勢の問題といえる。

・・・続く。



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桜クレージーな話

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この時期は桜クレージーな話が続々と報道される。
桜の枝を折って(折ってはいけない)持ち帰ったり、桜の枝を引っ張り(触ってはいけない)写真を取ったりする話は日常的に聞かれる・・・残念ながら。
今年は上野公園ではピザの配達が行われているらしい・・・これも違法。
でも、こんな程度の話ではない桜クレージーな話を聞いた。
それは、韓国では「ソメイヨシノは韓国が起源」で日本は韓国のマネをしたという話。

韓国中央日報から・・・『済州か日本か...ソメイヨシノ起源めぐる110年論争に終止符』と見出しで韓国の研究チームのゲノム分析結果を報じた。韓国では済州島に自生する「王桜(ワンボンナム)」がソメイヨシノの起源であるとする説が広く信じられているが、今回の分析により「済州の王桜と日本のソメイヨシノは明確に異なる別の植物であることが分かった」という。ソメイヨシノは、日本固有種のオオシマザクラとエドヒガン系の桜を親とし、接ぎ木や挿し木で人工繁殖させたクローンであることが、数多くの遺伝子研究により明らかになっているにもかかわらず、韓国ではソメイヨシノと王桜は同種という説が主流だ。そのため、韓国語ではソメイヨシノを王桜と同じ「ワンボンナム」と呼ぶ。大手紙ハンギョレ新聞・・・「日本産の桜は40~50年後に寿命が終わって徐々に淘汰され、韓国特産の王桜で代替されるだろう。」と言う。

コイツら、本当にクレージーだな。
「ソメイヨシノが韓国起源」なんて、都市伝説、いや、それ以下のくだらない噂に過ぎないのに韓国の文化庁が公式に認めている・・・これも根拠なしに決めつけるクレージーな文化庁。
それをまともに信じている韓国人って何なんだ???・・・桜クレージーでもここまでのバカはあまりいない。
済州島の自生している王桜を愛でるのはいいことだと思うが、日本統治時代に植えられた漢江の桜を「日帝の残骸」として排除しようなんて馬鹿げている。
桜には何の罪もないし、植物に対してこういう態度はありえないだろう。
そもそも、韓国では国民の都合により事実は書き換えられてしまう。
「ソメイヨシノ韓国起源説」を信じる韓国民には、そもそも歴史の真実を語る資格がない。
科学的な根拠よりも、噂や都市伝説が信じられる社会にも大きな違和感がある。
もういいかげんにしてほしい・・・と思うのはワシだけだろうか?



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REIT価格の急上昇は何を意味するのか?

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東証REIT指数が1900ポイントを上抜け、2014年につけた最高値1990ポイントに向けて急上昇してきている。
平均分配金利回りも今月初には4.02%だったものが、27日現在では3.84%に急低下した。
しかも指標的な銘柄である三井不動産系の日本ビルファンドは2.76%の利回りまで買われたし、三菱地所系のジャパン・リアル・エステートも2.90%まで買われた。
この3月の上昇がかなり激しく、一部には過熱感も出てきているかもしれない。
東証REIT市場は外国人投資家も注目している市場で、だいたい毎年3000億円程度はネットで買っている。
2月の買い越し金額は438億円とやや平均よりも高めにレベルで3月はまだ発表されていないが・・・外人投資家の買いがこの急騰の理由なのだろうか?

証拠はないにしても考えられる理由として、まず、個人投資家説。
昨年の「かぼちゃの馬車」、今年の「レオパレス」の両事件で、アパート経営や賃貸マンション経営に強烈な逆風が吹いてきている。
個人の富裕層は運用対象として、アパート、シェアハウス、ワンルーム・マンション投資を増やしてきたが、この両事件から不動産融資も簡単ではなくなり、個人の不動産投資に急ブレーキがかかっていると思われる。
実物投資とREIT投資を比較した「素人の不動産投資」というブログで、ワンルームマンション投資とREIT投資をリターンや税金や費用を含めて検討し「REITの方が個人には適していると書いた。
おそらく様々なタイプの詐欺やインチキにより実物投資のリスクが上がっているため、個人の富裕層がREIT投資に目を向け始めているのではないだろうか?

もう一つが地方銀行の仮説だ。
「かぼちゃの馬車」で大儲けしたスルガ銀行事件で、地銀はこれ以上アパートやマンションに資金をつぎ込むのは危険と判断しているはずだ。
まともな貸し手が少ない地方では、こうした山っ気の多い貸出先がなくなると途端に資金の貸出先がなくなる。
当然、銀行内の余資が増加し、何かに運用しなければならない・・・となると、利回り物の金融商品になる。
落とし穴の多い高利回り商品の中で、REITは上場商品であり、情報開示の規則もしっかりしている。
だから、資金余剰の地方銀行が買っている可能性もある。

いずれにしても、REIT市場がこうした事情のある買い手の参戦で、値動きが激しくなっていくような気がする。
一方、以前からの大きな買い手であった外人投資家などは、十分にリターンが取れているため利食いに入ってくる可能性もある。
買い手と売り手がぶつかり合う、投機的なラウンドに入ってきたのかもしれない。



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マネックス社長の違和感

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マネックス社長のインタビューを日経CNBCで見た。
なんか違うじゃないのかという違和感が満載のインタビューだった。

まず、彼が言ったのは、「ここ10年で金融の世界はテクノロジーによって大きく変わった。誰でもネットで情報を取れ、ネット売買で簡単に取引でき、ポジション管理もネットできる。でも、市場は変っていない。」
金融テクノロジーが大きく進歩したのは事実で全く同感だが、市場が変わっていないという理解は違和感がある。
個人投資家の運用環境は激変したの事実で、会社の情報公開も進み、HPを見れば必要な情報を機関投資家と遜色ないレベルで入手できる。
ネットでポジション管理もリスク管理も売買シミュレーションも簡単で手数料も安くなった。
でも市場が変わっていないという意味は、個人の株式投資は遅れていて「貯蓄から投資へ」という動きが見られないということを言いたいのかもしれない。
市場自体はものすごく変化した・・・東証が完全にコンピュータ化され、アルゴリズムやCTAなどのプログラム売買が市場を席巻し、単なるファンダメンタルだけでない多様な考え方や多様なトレーディング手法が持ち込まれ、市場構造が大きく変わった。
それに合わせた銘柄推奨やアドバイスを証券員ができないことが問題で、だから個人の投資が期待通り進んでいないのではないか?
この証券会社の社長は、むしろ、旧態依然とした証券会社の営業に問題があるのでないかと自問自答すべきじないのか?・・・そして・・・ネット証券でもアナリストやストラテジストはいるし、そのレベルが低すぎると自問自答すべきじゃないのか?・・・と思う。

そして、彼は「日本企業のバリュエーション(PERやPBRなど)が低いのは、投資家が正当な価値評価ができないからだ。投資家教育が不十分だから日本市場のPERがとても低い。」という。
これにも違和感があり、投資家が正しい価値評価ができないからPERが低いのではなく、成長性が低いからPERが低いのであって、その逆はない。
市場が織り込んでいる事が間違っているというアプローチは成り立たない。
市場は常に正しいと考えて、そこから出発しないと実際の運用はできない。
投資教育は重要だが、だから、市場のPERが低いとはいえない。

さらに、彼は「日本企業の価値評価=バリュエーションを引き上げるために投資家に情報発信していくのが、証券会社の役割だ。」という。
この情報化社会の進展で、各上場会社はそれぞれ投資家との対話(エンゲージメント)を増やし、情報開示をレベルアップさせてきた。
その仲介をしてきたのが証券会社だが、証券営業となると売買手数料を増やす事が優先され、投資家と証券会社との間に信頼感が醸成されてきたかというと・・・大きな疑問符が付く。
情報発信は各上場会社がずいぶんとレベルアップさせた・・・証券会社に何ができるのか、もう一度考えてほしいと・・・一人の個人投資家として思う。



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GW、10連休の大騒ぎ

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今年のGWは10連休になるようで、日本でも中国の春節や国慶節の大型連休のような民族大移動が起こるかもしれない。
しかし、問題はこの10連休という非常識な国民の祝日だ。
この10日間、銀行の店頭も閉まるし、ATMの中も空っぽになり、おカネを引き出せなくなるかもしれない。
東京証券市場は当然閉まるが海外市場は普通にオープンしているので、海外株価とのギャップが拡大してしまう。
医療機関も大病院を除いたら連休するだろうから、患者が集中する救急病院に過大な負担がかかる。
当然のことながら役所も閉まり、国会議員はいつものことながら外遊と称して海外に遊びに行く。
警察は年中無休かもしれないけど、その上部の警察庁や上司の国家公務員は休みだろうし、政府機関もだいたい動きが止まる。
もし、テロでも狙われたら・・・もし北のミサイルが飛んで来たら・・・
この祝日10連休はかなりリスクが高く危険だ。

なぜ、こんな事を国会で決めたのか?
働き方改革で日本人の有給取得が問題になっているが、こうした大型連休でないと長期休暇を取れない人がまだまだ多い。
新天皇の即位を祝うという大義名分があるが、休みを取らない日本人を休暇を取らせるという意味が大きいのではないかと思う。
世界中でこんなことをしている日本と中国はぐらいで、こんなに祝日の多い国はない。
休みを取らない国民のために政府はどんどん祝日を増やした。
だから、訳の分からん祝日も多い・・・みどりの日、海の日、山の日、などなど何の理屈もない祝日が多い。
しかし、このカレンダーの違いが海外とのビジネスには大きな障害になっているのも事実だ。
また、皆が一斉に休むのでどこに行っても人、人、人で大混雑だし、旅行に行ってもホテルも交通機関も連休特別価格でバカ高く、人間自身もそのお財布も十分に休暇を楽しめない。

もういいかげん、考え方を変えるべきじゃないのか?
祝日数を減らし、その分、就業者に年間与えられる有給休暇を増やし、さらに消化しやすくして、夏休みの1週間だけでなく、2-3週間の長期休暇を取れる環境を作るべきだろう。
海外勤務をすると、ホームリーブとして2週間の休暇を取れる。
通常の夏休み1週間だと家族サービスでほぼ終わってしまうが、2週間となると家族サービスしても十分に自分のやりたい事をする時間がある。
この2週間の休暇は自分にも十分にプラスになる珠玉の時間だった。
長い時間働くことが美徳で会社にも評価されるという時代は去り、今や、上司は労働時間が長いからよくやったなんて褒め言葉は決して使わない。
むしろ、逆に残業時間が長いと能力が低い、あるいは、休暇を取らない社員は何か問題を隠しているから休めないと疑われる世の中だ。

10連休みたいなバカな事をせず、自分のスケジュールに合わせて2週間以上の休暇を取れるようにする方が余程良い。



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パウエルの逆イールド

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FEDのパウエル議長のハト派ぶりも勢いが出てきた。
今回の発言で市場が読んでいた「利上げゼロ」に追随し、超ハト派になってしまった。
その結果、米10年債利回りは急低下し2.5%を割れ、3か月物金利を下回りってしまった。
市場が「パウエルの超ハト派」を景気後退の兆しと読んでしまったからだ。

半年ほど前、米長期金利が3%台の頃、「今後FEDの利上げが続くと長短金利の逆転=逆イールドになるが、これは景気後退を示すものではない」と書いた。
理由はカントリーリスクの比較的低い先進国債券で、3%の金利があるソブリン債は米債券だけで、債券ポートフォリオから見れば「米債券は買い」だ。
こうした事情が米債券への需要を増やし、これらの買いがFEDの利上げがあっても米10年債の利回りを抑えていくと考えた。
短期金利が上昇し10年債金利を上回る(逆イールド)だが、これ自体がリセッションを意味するわけではない。
これが半年前の考え方だった。

しかし、昨年の10-12月期から事情が大きく変わった。
まず、巨大な中国経済が急減速し、それに伴って米ハイテク業界や独自動車産業に急激な需要減少が襲った。
さらに欧州や日本の企業業績が急ブレーキをかけ、今年の経済成長の黄色信号が灯った。
これに対して、FEDパウエル氏は迅速な対応をし、利上げペースをスローダウンから利上げゼロにまて踏み込んだし、中国の李克強も減税や財政積極化で対応しようとしている。
こうした事情の変化で、株価が政策期待で上昇する反面、米10年債は2.6%~2.7%で安定していた。
この業績悪化と政策期待のバランスした市場だったが、欧州製造業PMIの低下のニュースが一気にこのバランスを破った。
米10年債は2.5%を割り込み、3か月物金利2.45%を下回る2.43%まで低下し「逆イールド」が出現した。
この逆イールドの意味は、ここまでの10年間の株式ブーム後の局面で、金融政策がどこまで効くのか市場の不安があり、各国政府や中央銀行ができることが限られているということではないだろうか。
この逆イールドは昨年のパターンとは明らかに違うことは理解しておくべきだろう。

これをどう見るか?
これは明らかにトレンドの変調であり、この逆イールドは世界経済のリセッション入りを示唆するだろう。
根本には主要中央銀行の量的緩和で生み出さた「あぶく銭」が世界の株式市場を上昇させてきたが、期待収益率の低下=企業業績の悪化により各投資家ともに資金回収に入る・・・そうなると資金は株式から債券に流れ、債券利回りはさらに低下し株式は下落する・・・というシナリオもありえる。
先週書いたようにNYダウが三尊天井を形成する可能性も高まったようにも思う。
単なる一時的な調整ではなくて、長期トレンドが大きく変わろうとしているのかもしれない。
いろいろな可能性を考えながら、市場に対応していく必要がある局面といえるだろう。



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ウィークリー雑感(3/24 REIT雑感)

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リート指数が1900ポイントに乗せ、上昇基調を強めている。
先週の日経CNBCでも番組内でリート指数の年初来の上昇を特集していた。
その要点は・・・(1)資産規模とリートのパフォーマンスを見ると、資産1000~3000億円の中規模のリートが最も高く、次が資産3000億円以上の大型リート、そして最後が1000億円以下の小規模リートという順になっていること、(2)リートのパフォーマンスと分配金利回りに特に明確な関係がなく、どの利回り水準のリートでもパフォーマンスはほぼ同じだったことだ。
ということは、中規模で高分配のリートを買っていれば、価格上昇でも儲かり、分配金でも儲かる、という二重取りができたということになる。
改めてリートに注目が集まっているということかもしれない。

当ブログでは折に触れてリートを取り上げ、決算関係や説明会などすべて情報を取ってきた・・・詳細は不動産編を参考にしていほしい。
最近の決算発表や説明会で、気になったリートに関する話を取りとめもなく書いていきたい。

まずは、MCUBS-Midcity(決算期6/12月)。
このリートは旧松下興産系でスタートしたため、大阪地区のビジネスパークやオフィスビルのウェートが高い特色があった。
しかし、三菱商事とUBS(MC-UBS)に経営が変更されてから大きな変貌を遂げた。
東京都市部のオフィスビルなどへの投資を積極化するとともに、大阪の松下IMPビル売却で38億円という大きな売却益を計上しながら、分散ポートフォリオへの効率化した。
この売却益により2018/12期と2019/6期の分配金が2545円と2695円と大幅に増加、これが評価されて価格は大幅に上昇した。
しかし、2019/12期で売却益の計上が終わり巡航ペースに戻り1870円となる・・・分配金利回りは2018/12期6%以上だったが、2019/6期4.7%に低下、さらに2019/12期は3.7%程度まで下落すると思われる。
株価は堅調だが、2019/12期まで考慮すると割安感がなくなる。

これも同じくMC-UBSが運用する産業ファンド(決算期1/7月)。
決算発表で厚木の物流施設(厚木ロジパーク)の売却を発表したが、この実現益もすごい。
帳簿価格15.3億円、鑑定価格21.6億円に対して売却価格は26.5億円と発表された。
帳簿価格を73%も上回る譲渡価格で、しかも、MC-UBSはNOI利回りの低い厚木ロジパークを売却することでポートフォリオ全体のNOI利回りを引き上げると説明した。
つまり、厚木ロジパークの買い手会社は、さらに低いNOI利回りでバカ高い値段で物件を買ったことになる。
これをどう考えるのか?・・・・物流施設についてはかなり過熱感が出てきたということだろう。
もちろん、産業ファンドは物件の高値購入はしないと表明し・・・CRE提案によって顧客企業のニーズにあった不動産投資、たとえばIDEC向け施設の不動産を購入しIDECの工場として貸し出す、大田区の計画する工場団地に不動産を貸し出す、などを推進するとしている。
しかしながら、物流施設は全体的に過熱が出ていることを考えるべきだろう。

森ヒルズリート(決算期1/7月)
ここの説明会では、その圧倒的な開発力を誇る森ビルとの連携(優先購入権など)が強調された。
森ビルの開発案件、他社の開発案件が集中しているのが東京都心の六本木、赤坂、虎ノ門エリアで、そのエリアのプライムビルを競争入札なしで優先的に購入できるのがこの森ヒルズリートだ。
今後のハイクオリティビルの賃料の上昇からくる内部成長、
森ビルのパイプラインからくる外部成長、その両方がピカピカなのだ。
でも、価格は割安で、他の都心プライム立地のリート(三菱地所系のJREや三井不動産系のNBFなど)が分配金利回り3%以下で取引されているのに比べ、この森ヒルズの分配金はまだ4%近くある。
これだけのクオリティなのになんで分配金利回りが4%もあるのか、不思議なぐらいだ。



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竹田氏とゴーン氏の不思議

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JOCの竹田会長が辞任を表明した。
理由がなんとも日本人っぽい・・・「世間をお騒がせした」というのが理由だという。
竹田氏が世間を騒がせたとは思えないし、マスコミが勝手に大騒ぎしただけのような気がする。
だとしたら、竹田氏に何の辞任理由があるのだろうか?

もともとは東京オリンピックの誘致に関して、カネをバラまき、その一部がIOCのお偉いさんのフトコロに入ったという贈賄疑惑だった。
自分の懐を肥やしたわけでもないし、賄賂をつかませてIOC委員を抱き込めと指示したわけでもない・・・竹田氏は自ら贈賄疑惑を否定している。
まあ、もし罪があるとしたら、いい加減な、ちょっといかがわしいコンサルタントを雇った罪ぐらいだろう。

このワイロ問題は竹田氏というよりも、IOCのお偉いさんの中に立場を利用して私腹を肥やしている強欲な連中が多くいるということが本質的な大問題なのだ。
強欲でつながった人脈が欧州中心に強固な基盤として存在する。
IOCオリンピック委員会でもFIFAサッカー協会でもそうした強欲人脈が権力を持ち私腹を肥やすというワイロ事件が過去にもあったが、これが欧州のインナーサークルの構図だ。
おそらく、ゴーンなんて小物にみえるほど「超エグイ強欲連中」がゴロゴロいるはずだ。

それにしても、竹田氏は何故、強欲ゴーンみたいに戦わないのだろうか?
ゴーンと竹田氏と比較すると、竹田氏はかわいそうなイノセントな存在に見える。
ピカピカの家系で超ボンボンとして育ち、乗馬でオリンピックに出場し・・・JOCの会長になった。
おそらく、何も悪い事はしていないだろう。
一方、強欲ゴーンは何から何までカネ、カネ、カネで、自分の結婚式だろうが、自分の姉の就職だろうが、自分の海外別荘からその維持費からすべて日産のカネを着服した。
日産や三菱、ルノーとその関連会社から何回も、何回も巨額な報酬を誰も逆らえないのをいいことに脅し取った。
さらに中東では金持ちの販売会社社長連中といかがわしい取引をして数十億円もフトコロに入れた。
それでも、無罪だとシラを切っている。

「世間をお騒がせ」だったら、竹田氏の数十倍、お騒がせしている強欲ゴーン、お騒がせで辞任するなら、竹田氏ではなく強欲ゴーンの方だろう。
世の中、どっか間違っているとしか思えない。



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李克強は中国を再浮上させられるか?

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今年の全人代は昨年の習近平一色の全人代から大きく変わり、経済面が強調され、李克強の出番が多く注目された。
昨年の全人代では習近平が「中国の特色のある社会主義」を進めるとしたが、結局、「特色ある社会主義」とは習近平の絶対君主化を進めることと同義語となり、習近平に一段と権力が集中してしまった。
しかし、今回の全人代では習近平よりも李克強が目立ち、中国の権力中枢で米中摩擦の対応などの経済政策への不満が高まったのではないかと想像される。
こうした意味で李克強の経済対策が今回のメイン・ディッシュとなった。

その李克強の経済政策は、経済目標(GDP成長率の6%-6.5%へ)の引き下げ、財政赤字の容認(2兆7600億元、GDP比2.8%+0.2%)、大幅な企業減税と増値減税、インフラ投資(5776億元+400憶元)などが骨子で、特に減税に重点を置いている。
さらに、米中摩擦に関して「外商投資法」を急遽わずか3か月で制定し、外資企業による投資促進、合法的な権益の保護、法治化・国際化されたビジネス環境の整備を進めるとしている。
明らかに知的財産権の保護、技術移転の強制禁止に踏み込み、米国との摩擦を回避しようというものだ。
その他として、「広東、香港、マカオ・グレーターベイエリア構想」をぶち上げ、1国2制度3関税3通貨の特殊な環境下で、新しい経済発展モデルを作っていくという。

でも、これらの刺激策は一時的に中国景気を支える効果があっても長期停滞から脱するほどのインパクトはない。
まず、減税だが上海・深センの上場企業を見ると赤字企業数が大幅に増えていることを考える必要がある。
2018年通年で赤字企業は395社と予想されており、その赤字総計は3000億元にのぼる。
だから、法人税減税の効果は限られ、そのため付加価値税(増値税)の減税をしようとしているわけだろう。
売上と仕入れにかかる付加価値税率を引き下げることで企業の売上高利益率は上がるので、赤字企業でも一定の効果がある・・・でも税率の引き下げでどれだけ効果があるかは不明。
財政の積極化も地方の融資平台の債務が47兆元に達している現在、地方財政がネックとなり中国全体でどれほどの財政政策の効果がるかは分からない。
インフラ投資の増額400億元も同様で、公共事業の乗数効果が低下している現状では大きな効果は見込めないだろう。
足元、全人代の経済重視、李克強の政策、米中摩擦への法整備は投資家に好感され、上海株価が急上昇している。
李克強の政策期待による株価上昇が大きなトレンドになっていく保証はない。



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やさしい投信の選び方(6 公募投信)

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前回話した通り、日本の公募投信はコストが高い分、個人が自分で投資するのが難しいような商品を組み入れるものや、海外の運用会社が組成したファンドを買うタイプのものが多くなる。
自分でも買えるような、たとえば、日本株の大型株や代表株のような投信は売れないし、販売会社のラインアップにも入らない・・・FTFの方が「よっぽどマシ」だからだ。。

もう少し細かく見てみよう。
まずは、日本株の小型株投信だ。
小型株が好きな個人投資家も多いと思うが、JASDAQやマザーズに上場している小型株まで含めると銘柄数が多く、なかなか一つ一つの会社を調べて比較して投資するのは面倒だ。
よく知っている小型株ファンドマネージャーは毎日5社の経営者を面談し、年間800社以上を調べる。
そして、会社毎に利益成長の見通し、最適なバリュエーションを算定し、その理論株価から見て割安な株に投資する。
こんな事ができるのは専業のファンドマネージャーだけだ。
こうしたファンドマネージャーの運用する公募投信は、個人投資家にはできない投資を提供すると言う意味で重要だろう。

次に配当を中心にした投信、グローバル高配当やアジア高配当だ。
これはまた個人投資家には簡単そうに見えて、ハードルが高い運用でプロに任せた方がいいかもしれない。
日本株での配当投資は個人でもやりやすい分野だが、アジアやグローバルとなる難しい。
アジアの企業の業績は大きく振れるので、配当利回りが10%とか12%とかの水準に達している場合もある。
しかし、多くの場合、業績が悪化の途中で、いずれ大幅な下方修正、そして、大幅な減配・・・気がついて見たら配当利回りは3%だったとかいうことも多かった。
つまり、業績の振れの小さい日本株ならいいけど、アジアやグローバルでは配当投資といっても業績の予測が必要になる。
その海外企業の業績予測を個人投資家がするのはかなりハードルが高いだろう。
という意味で、プロのファンドマネージャーが運用する投信を選ぶ方がいい。

次はテーマ型の投信だ。
環境ファンド、ESG、ロボット、5G関連、などなど、様々なテーマ型の投信が設定されている。
確かに魅力的な成長分野に特化した銘柄選択で、人気化している投信もある。
これらのテーマは基本的には持続性に限界があるし、そもそも投資対象が限定されているので融通が利かない。
もちろん人気があり資金が集まっている投信は、基準価額も上昇しやすくパフォーマンスも上がりやすい。
でも、人気に依存しすぎているため、人気が一巡すると資金が流出し始めパフォーマンスも落ちてしまう。
たとえば、日興アセットのグローバル・ロボティクス投信、2017年から2018年頭にかけて人気化し、基準価額も1万7000円近くまで上昇、純資産も5000億円に急成長した。
しかし、その後は、基準価額も14000円程度で純資産も4000億円程度に減少。
現在は人気が一巡した状況にある。
テーマ型投信はうまく人気の流れを見ながら投資しないと、人気が離散し基準価額もするとどうしょうもなくなるから注意が必要だ。

・・・・続く。


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銀行のハンコはモノを言う

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日本の会社員はほぼ全員、ハンコを持っているだろう。
昔は、給料の受取り、各種の申告書、経費の支払い、出張精算、すべてハンコが必要だった。
でも不思議だったのは、これらのハンコは特殊な個人を特定するものではなく、多くの社員はその辺で300円で買える「三文判」や「シャチハタ」を使っていたことだ。
簡単に買える量産型のハンコを押すことに何の意味があるのか、単なる形式?と思った。

海外の顧客は日本のハンコにすごく興味を持ち、ヘイワードさんなら「平和堂」、スティーブさんなら「捨部」のハンコを作ってあげるとすごく喜ぶ。
日本人でも最初に実印を作る時には、デザインを考えたり、素材を選んだり、けっこうワクワクする人もいるだろう。
美しい印鑑を見ると、日本の伝統工芸の良さを実感する。
というわけで、印鑑、ハンコは日本の文化だった。

工芸品としての良さは置いておいて、実用となると極めて面倒くさいものだ。
証券会社から銀行系運用会社に移った時、びっくりしたのがこの銀行のハンコ文化だった。
あらゆる社内書類にはハンコ欄があり、関係する人が順番にハンコを押し、最後はその案件の重要度に応じて本部長で終わりだったり、社長まで行ったりする。
証券会社ではすでに稟議もシステム化され、電子ファイルにチェックするだけだったし、経費などもシステムの要件を入力し、領収書を送付するだけだった。
銀行系会社では一々、本人、課長、部長、本部長の順にハンコを押していく。
だから、時間がかかるし、どっかで滞留してしまったりもする。

しかも銀行のハンコ文化は面白い。
ハンコの押し方や向きで意見を表明できる・・・真っすぐハンコを押せば「賛成」、斜めに押すと「やや不満」、下向きに押すと「反対だが、しかたがない」となる。
本当に反対ならば、電話やメールで文句を言って差戻しとなるが、「それほどでもないけど反対」の場合、ハンコの押し方で意見を表明するわけだ。
銀行ではハンコはモノを言うのだ。



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ロスカットをすべきなのか?

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日経CNBCで、個人投資家向けの個別銘柄の投資相談をやっている。
ある個人投資家が「材料株を高値で買ってしまい、株価が半分以下になってしまった。どうすればいいか?」と質問した。
その材料株はスマホのSIMカードをやっている会社で、2年ほど前に人気化したらしく、その投資家氏はその時買ってしまったらしい。
そして、答えは・・・株価が半分以下になってからではどうしようもない。たとえば、株価が10%下がったらロスカットをするとか、ルールを自分で作るべきだ。

昔、証券会社で自己ポジションの運用をやっている時、ある部長が「なんで、こんなにやられているんだ? ロスカットはどうなっているんだ?」と怒鳴ってきたことがあった。
ワシは当時やっていたロング/ショートで「股裂き」と呼ばれる状態にハマっていた。
ロング側で買った株が下落し、ショート側で売っていた株が上昇したために損失が膨らんでいた。
このロング/ショートは、「平均への回帰=ミーン・リバージョン」という現象、つまり株価が一時的に乖離しても一定期間を置くと平均値に戻ってくるという考え方でやっていたので、ワシは一時的乖離と考えていた。
だから、この部長に言った「ロスカットはしません。一時的な損失だから。」
でも、この部長、損失が増えると自分の立場が危うくなると思い、ロスカットしろと無理やり言ってきたが、頑として無視した。
その後、大幅に「平均への回帰」が起こり、損失の2倍以上の利益が生まれた。

ロスカット、損失を限定させることは、自分のポジションを守ることにつながるし、売ってしまえば損失を忘れられるかもしれない。
しかし、これは株式投資の原則「株は安く買って、高く売れ」に逆らっていることを忘れてはならない。
この個人投資家氏のように、材料が出て株価が急上昇している株を高値で買ってしまうと・・・そして、人気が一巡し株価が下落・・・そして、ロスカット水準に下落し、安値で売却する。
これを繰り返すと、この投資家のポジションは永遠に損失を積み重ねることになる。
際限のない損失により、この個人投資家は最悪、破産してしまうかもしれない。
なぜか? 一見、ロスカットは損失を最小にする魔法のように見えるが、株式投資の原則に反し「高く買って、安く売る」ことをしているからだ。

ではどうすればいいのか?
たとえば、株価が半分になっても自信を持って保有できる株のみに投資することだ。
あるいは、投資採算を厳しく判断して買えば、株価下落によってさらに魅力が増す銘柄に投資することだ。
会社のHPを見たり、決算書をネットで見たり、説明会のビデオを見たり、様々な開示資料が簡単に手に入る・・・自分で会社を調べて、そして、自信をもって買うことだ。
そうすれば、仮にNY市場が暴落して株価が半分になってしまっても、ロスカットではなく買い増しを考えることができる。
そこが投資で成功するか?失敗するか?の分かれ目のような気がする。



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逆テロ時代の始まり?ーNZの悲劇

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ニュージーランドのクライストチャーチの二つのモスクで悲惨な無差別銃撃テロが行われ、50人以上(?)の人たちの命が失われた。
この悲惨なテロは移民であるイスラム教徒を狙い撃ちにしたものとみられるが、犯人の背景や動機は今後明らかになってくると思われる。
今回のこの悲惨なテロの恐ろしいところは、過去幾度となく行われてきたイスラム教の過激派による自爆テロ、襲撃テロとは逆に、キリスト教徒がイスラム教徒を襲ったことだ。
イスラム教自体は暴力的ではないが「目には目を」との教義があり、報復も含めて宗教間の緊張が高まるかもしれない。

今、先進国で問題となっている貧困は、別に宗教や人種に限った問題ではなく、白人の貧困層もまた急拡大している。
その白人層は異教徒の移民が仕事を奪っていると感じているわけで、この意識はアメリカでも欧州でも同様だろう。
今後、テクノロジーがさらに進み、会社内でも様々な仕事でAIによる自動化が進む。
人間のやることは付加価値の高い仕事に集中していく・・・その中で「できる人間」と「できない人間」に分かれてくると予想されている。
白人だからといって優越的な地位が与えられるわけではないし、少数民族や人種でも「できる人間」に入ってくる人たちも当然でてくるだろう。
要は付加価値を創造できるかどうかで大きな格差が生じてしまう。

人間の心の救済は宗教であり、「できない人間」たちの心の平安は宗教が拠り所となるだろう。
となると、必然的に宗教を中心にした人間の集団が大きくなり、特に一神教など場合によっては他の宗教を認めることができず、不満を多宗教に爆発させることもありえる。
イスラム過激派は、貧困や疎外感を持つムスリムたちを刺激し、イスラム原理主義の下に暴力性を増していったが、同じようなことがキリスト教徒の間でも起こらないとはいえない。
キリスト教原理主義が力を増してくる可能性も、そして過激性を伴ってくる可能性も否定できない。
今回のクライストチャーチの悲劇は、こうした逆テロ時代の始まりを暗示しているのではないだろうか?

ゲノム編集で遺伝子レベルで生物を変化させる、人間の頭脳はAIチップを脳移植することで数倍の知的能力を得る、ロボット技術を人間に応用すれば超怪力を持つアイアンマンが生まれる・・・・
それこそSFの世界、攻殻機動隊、マトリックスの世界が現実化してくるかもしれないというほど、空想と現実が交差してくる・・・これから起こる人間社会でも変化かもしれない。
予想を上回るほどの変化が起こる社会で、人間へのストレスは大きくなっていく。
宗教が最後の拠り所になるかもしれない。



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ウィークリー雑感(3/17 可能性としての三尊天井)

東株












NYダウジョーンズのチャートを眺めていると、2008年のリーマン危機後上昇トレンドがスタートして、トランプラリー後の2018年1月の第一のピーク、米ハイテク株が天井を打った2018年10月の第二のピークと2回の株価の山を作っているのが分かる。
そして今回の戻り相場で、NYダウジョーンズ2万7000ドルのピーク水準を突破して長期上昇トレンドの継続を示すことができるかが大きな焦点になってきている。
もし、NYダウジョーンズが26000~27000ドルのレベルで第三のピークを付けるとしたら、典型的なヘッド&ショルダー(三尊天井)を作ってしまうかもしれない。
そのケースでは、米国経済のトレンド転換という大きな意味を持つ可能性だってある。
チャートを信じている人も信じていない人も含めて、長期的な株価トレンドを考える良い機会になるのではないかと思う。

カギを握るのは年後半の景気が回復するのか?、それとも悪化が続くのか?ということであろうし、この点を正確に織り込んでいくのは米債券市場ではないかと思う。
今、2.6%台でウロチョロしている米10年債利回りだが、ここから年後半の景気回復を織り込んで長期金利が上昇していくのか?それとも、景気後退を織り込んで低下していくのか?が重要な分かれ目にありそうだ。

NYダウジョーンズは200年以上の歴史があり、その間には世界大戦も経験し、大恐慌も経験し、ゴールデン60’sの株式ブームも2000年のITバブルも経験してきた株価指標だ。
その長い歴史の中でも、こうした三尊天井はあまりお目にかかれない。
しかし、日本の戦前の株式市場は、壮大な三尊天井を形成したことがあった。
そしてその後、関東大震災、昭和恐慌、太平洋戦争・・・と旧大日本帝国は奈落の底に落ち込んでいった。
チャートをたどると、おそろしい時代の記憶が三尊天井とともによみがえる。

株価指数がきちんと整備されていなかった時代のことなので、チャートの形はきれいではないし、トレンドも明確ではない。
しかも額面増資が行われていた時代でもあり権利修正が正確にされてたわけでもない、かなり、いい加減な時代でもあったので、教科書的な形の三尊天井にはなっていない。
実際に一番上に載せた東株(旧東京証券取引所)のチャートを眺めてみよう。
一番高いピークは日露戦争に勝利した時の上昇トレンドで、「坂の上の雲」でも描かれた高揚感のある時代だ。
その左の大きなピークは日清戦争の勝利時の上昇トレンド、右の上昇相場は日本が先進国にキャッチアップしようとしていた大正デモクラシー時代に付けたピークだ。
この三回の株価上昇相場が三尊天井を形成した。
問題は、この三つ株価上昇の後、関東大震災という惨事もあったにしても、坂を転げ落ちるように昭和恐慌に向かい、軍部の独走を許し、太平洋戦争に突入していったことだ。
戦前の三尊天井が日本の歴史に大きな転換点を示唆した。
帝国主義的な発展が、つまり、日清、日露の二回の戦争勝利によってもたらされた景気拡大が、日本経済の自律的継続的な成長につながらなかったということを示している。

NYダウジョーンズが三尊天井を形成するのかはまだよく分からない。
そしてその可能性として起こりえる三尊天井が何を意味するかもわからない。
それでも三尊天井を形成したら、何か重要なメッセージがこめられている気がする。
当ブログではこの視点から継続してウォッチしていきたいと思う。



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やさしい投信の選び方(5公募投信の注意点)

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いよいよ、投信の本丸ともいえる公募投信の選び方に話を進めていきたい。
公募投信は誰でも証券会社や銀行で買えるお手軽な金融商品で、日本でも長い歴史があり馴染みが深いものだろう。
その馴染みのある公募投信だが、いくつかの特徴があり注意が必要とともに、目論見書をよく読むことが大切だ。

まず第一に、公募投信は誰でも買えるかが、販売はタテ割りでどこでも買えるわけではない。
公募投信の運用者は運用会社に属するファンドマネージャーだが、販売は証券会社か銀行だ。
証券や銀行は系列が明確に分かれており、一つの公募投信は基本的に系列の銀行や証券で販売される。
つまり、特定の公募投信を買おうとしたら、その系列の販売会社に口座を持たないと買えない。
いろいろな投信を買うと、いろいろな販売会社に口座を持たなくてはいけないので、ちょっとめんどうくさい。

第二に、公募投信の手数料が高いこと。
個人投資家が自分でできないような運用をプロのファンドマネージャーが行うため、手数料が高くなるのが普通だ。
たとえば、新興市場の株式や債券だったり、カバード・コールなどのオプションを使った運用だったり、海外の調査会社を使ったりするので、運用のコストがかかる。
だから、基準価格は運用手数料(信託報酬という)を引かれた後の価格になるので注意が必要だ。

第三に、販売手数料がかかること。
販売会社が系列の運用会社が設定した投信を売るので、販売額に対して3%程度に手数料を払う必要がある。
だから、販売会社は大きく儲かる可能性のある投信を積極的に販売する傾向がある。
そのためにはリスクの高い投信、新興国の株式や債券・為替、値動きの大きい小型株、などが販売の中心になる。
リスクの計算をちゃんとしないと思わね損失を被る可能性があるだろう。

投信の販売が系列で行われるので、複数の投信を買う投資家は複数の証券会社や銀行に口座を持つ必要があり、ちょっと面倒くさい。
一つの口座でどの公募投信でも買えるワン・ストップのサービスがあると投資家にはありがたいが・・・ない。
・・・ということが公募投信を買うためには投資の前提条件になる。
つまり、買いたいと思う投信の販売会社に口座を持つこと、販売手数料がかかるので短期売買には向かないので長期投資をすること、信託報酬(運用費用)がかかるので目論見書をよく読むことの三つが大切だ。

さて、それでは公募投信の種類から考えてみよう。
公募投信に組み入れるのはリターンの高い商品を選別されているので、外債型(新興国型、グローバル型、特定国型)、グローバル株式型(新興国型・テーマ型)、日本株式(テーマ型や小型株)、特殊商品(グローバルREIT,MLPなど)が基本的な公募投信の種類だ。
次回から、それぞれの特徴とどう選べばいいかを考えていきたい。



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正しいことを正しいという奴は嫌いだ

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一般に正しいと思われている事を正しいと得意満面で主張する奴には虫唾が走るというか嫌悪感を抱く。
これは一般的に正しいと思われている事=通説を疑い、自分で考えることから、人類の進歩があったと思うからだ。
こうした通説を疑う事から多くの科学者が偉大な発見・発明を成し遂げ、新しい理論・発明を行い、人類は進歩してきた。
株式投資も同じで、通説を疑う事から成功の道が開けると思う。

でも、MXテレビのコメンテーターとして登場したK田氏は全くそんな主張ばかりを得意満面で繰り返した。
一般論的通説をもとにした主張は「お説、ごもっとも」と言うしかないが、この人は通説の否定から何かを発想することを知らない=新しい発想がない人だと思ってしまう。
たとえば、こんな主張だ・・・
「過去、欧州株や日本株は米国株が下がれば下がるし上がれば上がる、だから欧州株や日本株を持つ必要はない。」
「アクティブ運用は過去10年のうち8年でインデックスより劣る、アクティブ運用は不要だ。」
「バリューだ、グロースだといってもいつも良いわけでなく、結局、どっちがいいか分からない、SP500だけで十分だ。」
これらの意見は正しいし、過去の統計を検証すれば、「その通り」と出てくる。
でも、これらの通説を疑ってみることが投資家としての進歩につながると思う。

(1)確かに過去10年では米国経済がグローバル経済をリードしてきたので、米国株が最も高いパフォーマンスを上げてきた。
しかし、これは米国ハイテク株、アマゾン、グーグル、アップル、フェイスブックなどが急成長し、時価総額を巨大化させてきたからで、これらのGAFAといえども永遠に成長が続かない事を考えてみる必要がある。

(2)アクティブ運用は平均のパフォーマンスではインデックスに勝てない・・・これは30年も前からあった議論で、一応「正しい通説」だ。
しかし、平均リターンはそうであったもアクティブ運用はファンドマネージャーの腕次第でパフォーマンスが大きく変わる。
腕の良いファンドマネージャーが10年、20年単位でインデックスをはるかに上回る(たとえば年率で10%以上とか)成果を上げている例も多くある。
腕の良いファンドマネージャーを見極めることができれば、アクティブ運用はインデックス運用よりもはるかに高いリターンを期待できる。

(3)SP500のインデックス投資は確かに過去10年は有効な投資だった。
それは世界の投資資金がアクティブからインデックスに大きくシフトし、インデックス運用の残高は過去10年でおそらく数兆ドルは増えているはずだ。
そして、この膨大な資金シフトがインデックスのパフォーマンスを押し上げた。
でも、現在、問題なのはインデックスへの資金シフトが、つまらない株まですべて押し上げてしまったことだ。
今の市場の最大の問題点といえ、次に景気後退型の大幅な下落が起こるとすると、これらの割高でつまらない株が大きく下落する・・・その結果、インデックスのパフォーマンスが低下することが考えられる。

いずれにしろ、通説にだまされず、自分で考えることが投資の成功への条件だろう。



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エスカレートする日韓関係

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徴用工判決が広がり、どうやら、経済的な摩擦に発展してくる気配が濃厚となってきた。
韓国が徴用工判決によって新日鉄の在韓資産の差し押さえを実施し売却・現金化を検討し、さらに三菱重工の判決では在欧州の資産の差し押さえを検討しているという。
こうした日本企業の実害に対して、日本政府は報復措置を検討しているようだ。
その検討策には韓国から日本への輸入に対して高額関税を掛ける、あるいは、韓国への輸出に関して何かしらの制限を課す、あるいは、韓国人へのビザの発給を制限する、などなどの案が出ているらしい。

もちろん、日本政府はこうした強硬措置を取る前に、規定された仲裁手続きを韓国に求めている。
請求権協定では「紛争の解決の手段」という項目があり、日本政府はこの規定に基づき仲裁のための委員3名(日韓1名づつ、第三国1名)を30日以内に任命することになっている。
30日以内で任命されない場合、両国が選ぶ国で任命された2名と第三国の1名が任命され仲裁委員会が開かれることになる。
しかし、1月に仲裁手続きを韓国に要請してから全く話し合いが行われていないので、おそらく、日本政府は国際仲裁委員会を設置を要請するだろう。

しかし、この間に新日鉄の差し押さえ資産が現金化されたり、三菱重工の欧州資産が差し押さえられたりすれば報復措置を取ることになる。
その場合、ビザ発給の制限は観光業界に大きなマイナスとなるので、輸出入に関税や制限をかけることが考えられる。
韓国の統計を見ると、韓国の輸出相手国は、中国1421億ドル、米国686億ドル、ベトナム477億ドル、香港391億ドル、そして、日本268億ドル・・・。
主な輸出品は、半導体と製造装置、ディスプレイと製造装置、プラスチック製品など。
なお、ベトナムへの輸出が多いのは、サムスンのベトナム工場向けだ。
韓国の輸入相手国は、中国978億ドル、日本551億ドル、GCC527億ドル、米国507億ドル・・・となっている。
主な輸入品は、原油と石油製品、電子部品、自動車部品、精密化学製品など。

日本から見ると、もちろん、サムスンのギャラクシーなどの人気商品もあるが、韓国製品で人気商品は少ない。
高率関税を掛けても、韓国製自動車なんて日本では全く売れていないし、サムスン製スマホはベトナムから輸出されているため影響はしないし、電子機器などが影響を受ける程度だ。
日本政府が輸入関税を掛けても韓国は大したマイナスを受けない。
一方、輸出はセンサーやカメラなど電子部品や自動車部品の主要なパーツが多く、これに制限を掛けると韓国企業は主要な部品が不足し一時的にはたいへんなことになる。
しかし一時的には影響するだけで、韓国は日本から輸入している部品の一部は自製できるだろうし、中国製などを使いサプライチェーンを再構築できれば問題はなく、長期的にはサプライチェーンから日本企業が外れるだけかもしれない。

どちらにしても貿易関係に手をつけると、日本企業にもマイナス影響が大きくなる可能性がある。
高額関税や輸出制限は日本企業にブーメランのように悪影響をもたらす可能性がある。



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関西芸人の限界

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家庭内暴力、児童や幼児への虐待、学校やクラブでの暴力など、日本社会が昔から持っていた家庭内暴力、教育としての暴力、あるいは躾という名の暴力に世間の注目が集まっている。

毎年、多くの子供や女性が虐待で殺されたり、自殺したり・・・悲惨な報道が関心を集め、そのたびに暴力に対してどうすべきかを議論されている。
でも、一方、テレビではお笑い芸人のケツを棒で殴ったり、肉体的精神的いじめと見えるほど猛獣やアナコンダなどの野生動物に接近させられたり、芸人のプライベートに入り込んだようなドッキリだったり、汚い言葉で暴言を吐かれたり・・・明らかに芸人だけは別の次元で存在している。
そして、それらがテレビで放映され、子供から大人まで面白がって見ている。

そもそも日本社会には暴力を容認しイジメを楽しむ、ちょっとありえない傾向があった。
昔「巨人の星」というアニメがあったが、その中で父親は酔ってテーブルをひっくり返し、子供たちを殴る場面が毎回のように出てきた。
同じように暴力が日常化し・・・学校では弱い者が集団のイジメに合い、一般生徒はそれを見ても笑うか無視して通り過ぎる。
先生やクラブのコーチは、平手打ちから1時間の正座などの様々な罰を課し、「アイのムチ」として自らを正当化してきた。
テレビでやっている芸人の集団イジメはすぐに教室に伝播し、同じような趣向のイジメが行われ、一般生徒が大笑いする。

もちろん、テレビの中ではイジメではない。
売れない芸人はイジメられてでもテレビに出て有名になり、ギャラを欲しいのだ。
売れないイジられたい芸人が多く、自ら進んでイジられる、それを「芸」だと勘違いしている。
イジメられておカネがもらえるなら、そのイジメはビジネスだ・・・自分の身体や精神を使った商売という点ではほとんど売春と何も変わらない。
でも、大きな問題は日本社会が変わり、暴力的な、また精神的イジメを許容しない方向に変わり始めている中で、芸人の世界だけイジメや暴力を楽しむ風潮を残していることだ。
芸人の世界と一般社会の乖離がどんどん進んでいき、どこかで芸人は無視されるだろう。

本来の芸はそんなものではなかった。
落語や講談では話術と表情だけで万人を大笑いさせるし、漫才やコントでも話の掛け合いに笑いの元がある。
でも、昔から大阪ではどつき漫才があったし、ハリセンでぶん殴るコントもあった。
小さい女性の頭を大男がバンバン叩いたりする漫才コンビもいた。
どついてイジメて楽しむのは大阪の文化かもしれないが、こうした関西芸人はもう通用しないだろう。




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株式投資の基礎(5プライマリーとセカンダリー)

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前回は会社設立から株式市場への公開までのプライマリー市場を見てきた。
今回は株式市場への公開(上場)後の資金調達であるセカンダリー・オファリング(以下、公募増資)を考えてみよう。
上場後の資金調達では株式を新規発行して投資家に売る、そして、売却代金をバランスシート上の資本として得る。
上場後の市場価格で発行する時価発行増資がほとんだだが、特定の第三者に向けて新株を発行する第三者割当増資も並行して行われるケースもある。

この公募増資は日本のように成熟した経済では評判が悪い。
公募増資によって発行株数が増加するので、一株当たりの価値(EPSやBPS)が発行株数の増加で減ってしまう(希薄化)からだ。
特に、経営者が株主から「ただ」でもらった資金だと勘違いしているような場合は、増資した資金をうまく使えず(利益が増えない)ので、モロに希薄化が起こり、その分株価が下がってしまう。
こうなると、株主にとっては公募増資は百害あって一利なしとなる。
この希薄化を乗り越えて企業成長することを株主は期待するわけで、この期待成長を資本コストと呼ぶ。
この株主の期待する資本コストを越える成長をすれば、発行株数の増加後も一株利益が増加し、株主はハッピーになれる。
つまり、公募増資は資本コストを越える成長を約束する企業ができる資金調達ということになる。
これができない企業は公募増資をすべきではない。

最近ではリートの公募増資が増えている。
リートは公募増資で調達した資金でオフィスビルを買ったり使い途が明確だ。
しかも、その物件投資による賃貸料からNOI利回り(ネット営業利益/投資額)を正確に計算できるので、一株当たり分配金の予想もほぼ正確にできる。
だから、優良物件に投資するための公募増資は、株主にむしろ歓迎され、希薄化を乗り越えてリート価格が上昇するケースが多い。
ただし、将来的には優良物件が割高になり、公募増資した資金で物件投資が期待したリターンが得られなくなる可能性がある。
こうした場合は、公募増資による希薄化がより大きく影響し、リート価格が下落するだろう。
希薄化で価格が下落する状況は不動産市場の過熱とともに、リート市場の限界をも示していると考えられる。
今年もホテルリートを始め、いくつかのリートが公募増資を行ったが、今のところリート価格が順調に推移していおり、リート市場は公募増資後の利益成長(分配金の増加)が期待しているといえる。






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米朝会談で見えた米インテリジェンスの凄さ

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米朝会談が決裂したが、その後の報道でその原因がいろいろ明らかになってきた。
会談後、トランプ大統領は「No deal is better than a bad deal」とコメントしたが、これが非常に深い意味を持っていた。
会談直後はトランプが北朝鮮が「制裁の全面解除を要求」したからだとし、北朝鮮は「全面解除は要求していない、一部解除だ」と食い違った。
また、非核化についてそれぞれの基本的な認識が違っていたことも理由とされた。
北朝鮮は一部の核施設の廃棄を非核化と考えていたのに対し、米国の認識は今まで秘密にされてきたウラン施設や核施設まで含めた非核化だった。

おそらく、文在寅の仲介が韓国人特有の感情的で感覚的な次元でとどまり、本質的な部分に入り込めなったことが問題なのだろう。
つまり、現実を見ない理念先行で、「朝鮮半島の恒久的平和」とか「朝鮮民族の統一」とかのエモーショナルな理念ばかりで、両国の具体的な事情や本音を察知して交渉の準備をすることはなかった・・・だから、こういう結末になってしまったと思う。
これは韓国人の反日とほとんど同じぐらい感情的で感覚的で、これでは戦略的で論理的な米国人を動かすことはできない。

その後の情報をいろいろ考えると、根本的な決裂の原因は米国のインテリジェンス能力の高さを北朝鮮が読めていなかったということではないかと思う。
今回の会談にボルトン氏が同行し最先端の情報力と分析力でトランプをサポートしたのだろう・・・その情報のレベルが北朝鮮の想像をはるかに上回ったということだ。

まず制裁の解除についてだが、北朝鮮は国連の制裁決議11件のうち5件の解除を求め、これを一部解除だと説明したようだ。
しかしその5/11の制裁解除が経済的利益で数十億ドルにのぼり、経済的な効果という点では最も重要な中心部分だった。
だから、
その影響をすでに計算済みだった米国は5/11の解除を制裁の全面解除に等しいと認識した。
これを一部解除だと要求する北朝鮮に対して不信感を持っただろうし、さらに小手先の戦術を使う金正恩を小賢しい奴だと思っただろう。

また、非核化についても、北朝鮮の想像をはるかに超えたインテリジェンス能力を持っていたことが明らかになった。
北朝鮮によって「寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄」が提案されたが、実はその数キロのところにあるウラン濃縮施設、寧辺の5倍の能力があるとされた地下施設の存在を隠したままだった。
ところが、秘密とされたウラン濃縮施設の存在を米国はつかんでおり、この交渉の場で「寧辺の廃棄」とともにこの「秘密ウラン濃縮施設の廃棄」を要求した。
北朝鮮は秘密にしていた施設が把握されていたことに衝撃を受け、交渉は暗礁に乗り上げたという。
おそらく、北朝鮮はすでに名前の出ている核施設の廃棄を提案すれば経済制裁の解除というお土産をもらえるものと思っていたわけで、米国の諜報力=インテリジェンスを過小評価していたといえる。

今後、北朝鮮から見れば米国がどこまで事実を掴んでいるのか分からなくなり交渉が難しい状態となり、アメリカは情報を隠しお土産をもらおうとする小賢しい金正恩に警戒感を強める。
両国はお互いの不信感により、次の交渉の行方が見えなくなった・・・。
なぜ、こうなったか?・・・文在寅のエモーショナルな仲介役が原因で、両国の本心から交渉できる機会をつぶしてしまった。
最も反省すべきは浅知恵のエモーショナルな文在寅で、次は小賢しい金正恩だ。
恐るべきは米国のインテリジェンスだ。



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ウィークリー雑感(3/10 出来高は株価に先行する)

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「出来高は株価に先行する」という相場格言があるが、これは昔の経験則で今は成り立たない。
それでも、昔ながらの株式評論家は、相も変わらず、この格言を信じ続けている。
市場構造がまるっきり変わってしまったからだが、多くの評論家が自分が思考停止しているのに気がつかないという可哀そうな状態になっている。
こうした評論家の意見を聞いている個人投資家は気を付けた方がいい。

現代の株式市場には二つの重要な構造的ポイントがある。
一つはインデックス運用(パッシブ運用)が市場を席捲しており、これらは基本売買せず、ずっと持っているだけだ・・・だから、株価が上がろうが下がろうが、売買しない。
GPIFを始めとした年金のインデックス運用、日銀などが買うETF、海外のグローバル・パッシブの日本株部分、などなどを考えると、日本株インデックス運用は100兆円以上、200兆円近い残高があると見られ、東証時価総額の20~30%を占めるだろう。
もう一つはアルゴリズムやプログラムによる自働トレーディングの増加だ・・・すでに市場出来高の半分以上はこうしたプログラム・トレーディングによって占められている。
昔のように皆がアウトライトで「儲かりそうだから買い/損しそうだから売る」というトレードしているわけではない。
だから、出来高と株価の関係も大きく変わってしまっているわけだ。

市場出来高に大きく影響しているプログラム・トレーディングについて考えてみよう。
ワシは、プログラム・トレーディングの黎明期に大手証券でプロップ運用チームを率いていたので、この分野でも10年の経験を持っている。
当時のプロップ運用は、資金枠2000億円で、日々、30万件の発注をし、平均12万件の約定して、トレード当たりの平均収益は0.1%という感じだった。
一日30万件の発注はほぼすべてプログラム発注で、約定率が4割程度と低く多くの注文が未出来のまま残る・・・このほとんどすべてが待ち伏せ注文(トラップ注文)だ。
イントラデイのロング/ショートの運用を考えてみよう(一日のうちに何回もトレードして引けではニュートラルにする基本的なトレード)。
株価の相関の高いA社とB社のロング/ショートをする場合、たとえば、A社の時価から1%下に買い指し値をする(待ち伏せ、トラップ)・・・突然、大口の売りが入りこの指し値が約定する・・・と同時にプログラムが発動しB社の空売りをする・・・そして、A社の下落を見て不安になった投資家が同業のB社を売りB社が下落する・・・そうなると、B社を買い戻し、A社を売るプログラムが発動され、トレードが終了。
つまり、何かの拍子に大口の売買が出て待ち伏せ注文が約定することで次々と連鎖的にプログラムが発動されていくわけだ。
現実の市場にはこうした待ち伏せ注文が至る所に仕掛けられている・・・これが株価のボラティリティを増加させると同時に市場出来高を膨らませる簡単なメカニズムだ。

というわけで、市場出来高は株価上昇と関係しているわけではなく、ボラティリティと関係している。
このことを多くの評論家は理解していない。
さらに言うと、ボラティリティは株価が上昇すると低下し、株価が下落すると上昇する傾向がある。
だから、2月相場のようにジリジリと株価が上昇すると、ボラティリティが低下してしまい、市場出来高が増えないということになる・・・これは普通に見られる上昇相場の特徴だ。
逆に市場出来高が増えるとしたら、株価が下落しボラティリティが上昇する時になる。
市場出来高が増えた時は株価下落に注意する必要がある。



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効率的なコンビニの非効率な部分

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日本のコンビニは世界でも最も効率的な小売り業態として進化してきた。
全国で数万店のネットワークを持ち、POSによって即時に売上げを分析し、売上を最大化する商品の配送とディスプレイを行い、最も効率的に配送できる店舗の配置を行う、最も効率的な小売りだ。
売れ筋の商品を開発し、おにぎり、ラーメン、総菜、おでんや焼き鳥・唐揚げまで多数の商品を最適に販売する。

でも、この効率性は人間によって非効率な業態に転化してしまいそうだ。
すでに業態としては成熟し、わずかな粗利益を改善させるのにたいへんな努力を必要とする。
商品開発に多大な努力をし、カードを使い販売管理を効率化し、クーポンで顧客数を引き上げる。
これほどの努力を行っても、粗利益率を0.1%改善するのに苦労する。
さらにこのコンビニの弱点が明確になってきてしまった・・・それはフランチャイズだ。
販売ネットワークの中心はフランチャイズでオーナーの資本で安価にネットワークを広げてきた。しかし、経営拡大期には効率的なシステムだったが、成熟期に入り非効率なシステムに変化しつつある。

フランチャイズのオーナーの団体が人手不足によって24時間営業を見直してほしいと本部に要求している。
オーナーによっては人手不足により自らが店頭に立ち、12時間以上も働いていて限界だと言う。
本来ならば、その店舗の立地により最適な営業時間を決定し、それに合わせて物流を管理し、売上げを最大化するのが筋だろうが・・・
フランチャイズ契約でオーナーを縛り付け、必ずしも24時間営業が必要でない地域にまで24時間営業を求める。
一部の店舗だけで24時間をやめたら物流等の効率を低下させるだけでなく、オーナー間に不公平が生じるし、フランチャイズ契約上も問題が出るからだ。
もし、すべて直営店だったら店舗アルバイトも店舗の繁閑に応じて配置し、人手不足さえも最大効率化できるだろうが、フランチャイズはオーナーによる独立経営なので本部がそこまで関与できない。
そのため、アルバイト人材の配置や最適な営業時間という効率的なネットワーク運営ができない状態だ。
オーナーの反乱は、効率的なコンビニの非効率な部分だ。
この弱さはロボット・コンビニが登場するまでコンビニの利益率を低下させる要因になる。




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格付けされたい中国の一般市民

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以前、昨年11月16日に「市民が格付けされる社会」で、中国で進む国家による国民の監視について書いた。
すでに4億台の監視カメラが中国の至るところに設置され、しかも顔認証付きで個人が特定されるおまけ付きだ。
信用ポイント制度は、アリペイやその他の電子決済などでの買い物をするとその支払い状況などからポイントが与えられ、そのポイントがたまるとその人の信用力も溜まっていくという仕組みだ。
正確にはその人の預貯金などの残高、マンションなどの資産残高、消費行動と支払い状況、などの個人情報をSNSやECが集め、そのデータを基に個人の信用データが作られる。

恐ろしいのはその背後にいて操っているのが、中国政府だということだ。
買い物データから支払いデータ、銀行口座から不動産取得までの個人データが政府に集り、監視カメラと顔認証で個人が特定される。
国家による個人の完全な監視が可能になった社会、どこにいるのか、何をしているのか、個人の信用力がどうか・・・普通の個人が国家に反逆の可能性があるのかをあらゆる面から測定される。
もちろん、個人が立ちションしてもバレるし、ゴミをポイ捨てしてもバレるし、赤信号を渡っても電車の中で喧嘩してもすぐにバレて、場合によっては逮捕されるかもしれないし、当然、市民格付けが下がるかもしれない。
実際に2000万人を越える中国一般市民が信用データによって高速鉄道や飛行機の利用が禁止されたという(独メディア、大紀元)。
こんな監視社会、冗談じゃない!!と怒りを感じるが・・・でも、中国人は全く違う。

社会全体のモラルや民度を上げることで軽犯罪を減らそうというより、政府による監視と処罰で軽犯罪を減らそうとする国なのだ。
中国一般市民はこの点では日本人とはかなり異なっている。
最近の中国ではこの信用ポイントが高い人は良い人という評価になっていて、婚活でもこの信用ポイントが高いと有利になったり、会社の採用時もこの信用ポイントで差が付くという。
中国人にとってはこんな政府の勝手な信用ポイントも「共産党のお墨付き」として重宝され、それで「水戸黄門の印籠」のようにお上の御威光として使われる。
そうなると、「傾向と対策」がビジネス化され、いかに信用ポイントを効率的に上げるかを指南して暴利を貪る連中が出てくる。
たくましいと言えばたくましいし、中国人らしいと言えば中国人らしい。
ある中国人は「監視カメラばかりの社会で不自由じゃないですか?」というテレビのインタビューに、「でも、これで犯罪が少なった。とても良いことだ。」と答えた。
自らの行いを正して社会全体の徳を高めていくことを説いた聖人が多くいる4000年の歴史のある中国はどこに行ったのだろう。





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やさしい投信の選び方(4RIETやインフラF)

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不動産投信の選び方の二回目だが、前回は第一のポイントとして配当利回りとその安定性を取りあげた。
配当利回りが高いだけで買うと、クォリティが低いREITを買ってしまうことも多いから気をつけたい。
配当の安定性は時価総額の大きさ、財務状況、不動産の集中度などを見ることで、より安定した配当を実現できる可能性を判断できる。
今回は視点を変えて、配当と並んで重要なポイントとなるREITの新規投資による成長、そのパイプライン、スポンサーという選び方を考えてみよう。

REITの成長には内部成長(賃貸料の増額)と外部成長(新規の物件投資)の二種類あるが、新規の物件投資はリートの成長にとって最も重要な要素だ。
しかも問題は不動産市場は効率的であり、割安な物件には割安な理由があり、割高な物件は割高な理由があることだ・・・そんなに美味しい物件はない。
現在のように物件価格が何年も上昇したあとの新規投資をするとなると、十分な利回り(NOI利回り)を上げるのはけっこう難しい。
となると、新規投資のパイプライン(優先購入権などの投資候補のリスク)の強さ、不動産開発業者のスポンサーの強さはとても重要なポイントになる。

REITはその設立の歴史から、不動産開発会社や不動産会社の開発物件を系列のREITに組み入れて新たにキャッシュを確保し、次の不動産開発に向かうための箱でもある。
したがって、不動産デベロッパーとの結びつきが強く、REITのスポンサーとなっている場合も多い。
三菱地所や三井不動産その他の不動産会社はそれぞれ系列のREITを持っているし、デベロッパーでは森ビルや森トラストなどのそれぞれのREITを持つ。
さらに物流業者(GLPやラサールなど)も、商業施設ではイオンなどもREITを持っている。
このようなREITはスポンサーの開発したビルや施設を優先的に購入する権利を与えられており、クォリティの高い物件をリーズナブルな価格で買うことができる。
これが外部成長を決める大きな要因になるので、このパイプラインの強さもREIT選びの重要なポイントだ。

インフラファンドはREITよりももっとシンプルな構造を持っている。
太陽光発電プラントや再生エネルギー発電を対象にしたファンドで、発電した電力を売却しその利益を投資家に配分する。
20年とかの長期の固定買取契約で電力会社に売電できる施設が投資対象で、長期的に安定した利回りを生むように設計されているので比較的安心できる。
現在、固定買取価格は大幅に引き下げられており、新規投資でファンドを拡大することが困難だし、太陽光電池が劣化したりで発電量が減少すると利回りが落ちてくる可能性もある。
このあたりがインフラファンドの欠点になる。



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運用会社の合併の無意味

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メガ銀行中心に運用会社の再編の動きが続いている・・・2015年に三菱UFJ投信と国際投信という三菱系投信会社が合併し、また2016年にはDIAM、みずほ信託の運用部門、みずほ投信、新光投信のみずほ系運用会社が統合された。
そして、今年4月、SMBC系の2社、大和住銀と三井住友アセット(SMAM)が合併する。
もともと金融界のトップたちには、100兆円を超える運用資産規模を持つ世界の運用会社に対して、日本の運用会社の規模が小さすぎるという懸念を持っていたので、各金融グループは傘下の運用会社の規模を高めるための合併を急いできた。

でも、残念ながら、日本のアクティブ運用会社どうしの合併は
何の意味も持たない。
アクティブ運用会社はそれぞれのやり方があり、投資哲学も異なる。
その運用会社が合併したところで、1+1=2以下になるだけで、2以上になるようなシナジー効果が見込めない。

SMBC系の運用会社2社の合併で、部長クラスの人事異動が発表されている。
特にびっくりするのは、部長が存在せず、共同部長が2名いる部署が多いことだ。
人事部、機関投資家営業1部、オルタナティブ運用部、グローバル戦略1部並びに2部、株式運用1部並びに2部の7つの部署にそれぞれ共同部長が2名づついる。
さらに運用管理1部並びに2部、トレーディング1部並びに2部、投信営業1部、2部、3部と同じ機能を複数の部署に分けているところもある。
要するに、旧SMAMの各部署と旧大和住銀の各部署は並列的に足し算された組織ということだろう。
組織を融合させて何か新しい付加価値を追求するよりも、今ままでのやり方を踏襲するための組織なのだろう。

実際、アクティブ運用会社の統合は非常に難しい。
かつてJPモルガンがロバートフレミングを買収した時、日本でもJPモルガンの運用会社とジャーディン・フレミング(ロバートフレミング系の東京と香港の運用会社)が統合された。
しかし、JPモルガンのバリュー運用とジャーディンフレミングのグロース運用は交わることがなく、その後今日にいたるまでバラバラで、同じ社内にありながらライバル関係だった。
特にアクティブ運用で実績のあるチームは自分たちを最高だと思っているので、他者の良いところを取り入れるというような柔軟な考えを持つことはない。

今回のSMAMのケースでも、調査から運用、そして、トレーディング、運用管理までのプロセス全体は二重構造になっていると推察される。
これでは何のための合併なのか、銀行を頂点として金融グループ発想そのもので何の付加価値も生じることがないだろう。
時間をかけて社内の融合を図っていくということかもしれないし、今後、形が変わっていくかもしれない。



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徴用工、政治団体と被害者団体の韓国内バトル

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韓国内の反日団体の構造問題が見えてきた。
報道によると(一部抜粋)・・・・徴用工問題で被害者団体が韓国政府を訴えた。
徴用工裁判を支援する「民族問題研究所」・・・・「親日派バッシングをする“極左”の市民団体」で、文政権とは“反日”という思想的に深く繋がっている政治団体だ。

一方、被害者団体の太平洋戦争犠牲者韓国遺族会は、昨年12月20日、徴用工被害者と遺族を原告として、韓国政府を相手取り1人あたり1億ウォン(約1000万円)の補償金を求める訴訟を起こした。

遺族会は言う・・・「韓国政府は韓日条約に基づいて日本からお金を受け取った。韓国政府はその受け取った資金を(戦争)被害者に渡さなかった過去がある。だからお金が被害者に渡っていないという状況を“正す”必要がある。」
「韓国では1965年の韓日条約の交渉記録が公開され、賠償は日本側が行なうという申し出に韓国政府は『自国民の問題だから韓国政府で行なう』と返答、『韓国側が無償提供された3億ドルを使い、強制連行者を含む賠償協議を行なう』と記録にある。結局、韓国政府が横領した。」

そして、徴用工裁判の問題点として・・・・「政府は挺対協や民族問題研究所を経済的に支援する一方で、被害者団体には1ウォンの援助もしない。被害者に顔を背け、『運動圏』(政治団体)だけを支援することは本末転倒だ。だから韓国政府の力で請求権問題は解決すべきだと裁判を起こした。民族問題研究所などが行なっている裁判は、被害者救済ではなく政治運動だ。そんなことをしては韓日関係が悪くなるだけで問題は解決しない。」

要するに、韓国内では極左の政治団体が文在寅と組んで、政治的に反日を煽るため徴用工裁判を利用した・・・しかし、実際の被害者は救済されない政治的なパフォーマンスだった。
そこで被害者団体は、65年の請求権交渉の記録を証拠として、文在寅政権を相手に賠償訴訟を始めた・・・これは被害者に実質的賠償を行うための救済運動だ・・・・ということだ。
韓国内の政治団体と被害者団体が裁判を通じてバトルを繰り広げる。
反日が政治的に利用されてきた韓国、その中で被害者救済は棚上げされ、無視されてきた韓国、だんだん本当の問題が見えてきた。
昨年11月2日、「徴用工の賠償金は韓国政府が着服?」というブログを書いた。
韓国にも同じ認識を持っている人たちがいることにちょっと安堵した。


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5Gスマホ、そして、IOT・・・ついていけないかも?

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サムスン電子が5Gのスマホを発表した。
フォルダラブル(折り畳み式)のスマホで、価格もiPhoneの2倍の2000ドルという。
画面は折りたたむと4.6インチ、広げた状態で7.3インチのミニタブレットになるらしい。
広げた画面では3つのアプリを同時起動でき、カメラも6台、バッテリーも2個ついている。
でも、これを聞いても「はあ?」だ。
あるいは、「それが? 何か?」と言うかもしれない。
今のiPhone8で十分なのに、こんなスペック、どう見ても使いこなせないし、これ以上の事はスマホではなく自分のPCでやるので・・・スマホのハイスペック化+高価格化はワシにとっては意味がない。
しかも値段が2000ドル=20万円以上・・・・はあ?
PCなんてそこそこのスペックでも10万円以下で買える・・・・なのにスマホが20万円以上?
こんなの買うわけがないし、そもそも、折り畳みができることになんの意味があるかも不明だ。
昔、ガラケーで折り畳みがあったが、それは折り畳むことで小さくなり、ワイシャツのポケットに入るという大きなメリットがあった。
5Gのスマホで折り畳みになることで何の使い勝手が良くなるのか全く分からない。
5Gスマホには、もう、ついていけないかも・・・・と思わせるサムスンの発表だった。
おそらく、米アップルはサムスンやファーウェイの考えているようなスマホのハイスペック化+高価格化とは違う路線を探すだろう。
やっぱり、5Gの注目株は別の意味でアップルなのかもしれない。

スマホだけでなく家庭のIOTについても不安だ・・・5Gの通信容量だと、家庭のIOTが一気に進むといわれているが、はっきり言って付いていけない感が強い。
冬ならば帰る前に5Gスマホを操作して、風呂を沸かし、暖房を入れて部屋を暖めておく。
夏ならば帰る前に冷房を操作して部屋を冷たくしておいたり、ビールやワインを冷やしておく。
でも、「はあ?」って感じで、別に帰ってから自分でやればいいし、奥さんに電話してやっておいてもらえばいいだけだと思ってしまう。
スマホでそんな事をするために高いスマホを買い、高い通信料を払う気になれない。
帰宅してから、室内のスイッチを入れたり/切ったり・・・風呂を洗って湯を入れる・・・歩いて自分でやればいいだけだろ?
もう全く意味不明だ。

テクノロジーの進歩はすごいけど、それはテクノロジーを使う人間側に問題があるのかもしれない。
5Gは完璧に使いこなしてさらに進歩していく人間と、使いこなせず進歩に一定に距離を持つ人間に分けてしまうかもしれない。
そう考えると、当面、4G型の人間と5G型の人間が併存していく社会になっていくかもしれない。
学歴や教養で人間は分けられているし、年収や財産でも人間は分けられてしまっている。
さらに使うテクノロジーでも分けられていくのかもしれない。
どんどん、人間は分断されていく存在なのかもしれない。



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ウィークリー雑感(3/3外人は買わない???)

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株式コメンテーターの最近の話題の一つが「外国人が買わないから、日経平均が出遅れてしまっている」というものだ。
確かにNYダウが10月高値からクリスマス暴落までの下落幅の8割以上戻しているのに比べ、日経平均の戻り率は47%と半値戻しまでいかず、出遅れが顕著だ。
しかし、これの原因を外人投資家が買わないからというのはいささか無謀な議論だ。

以下の表は東証の主体別投資家動向から数字を拾ったものだ。
Cashは現物のネット売買高、Futuresは日経平均先物とTOPIX先物の合計のネット売買高を示している。

証券自己 海外投資家 法人投資家 個人  
  Cash Futures Cash Fututres Cash Futures Cash Futures
2/12-2/15 171 ▲ 137 ▲ 61 211 143 12 ▲ 235 ▲ 62
2/18-2/22 395 ▲ 455 ▲ 7 640 ▲ 132 67 ▲ 236 28
単位:10億円、先物は日経平均とTOPIXの合計金額

この表を見ると、海外投資家は2月第2週に610億円の売越し、第3週に70億円の売越し、約700億円とわずかながら売越しで推移し、たしかに現物株は買っていないというコメントになる。
しかし、世の中、そんなに単純ではない。
重要な点は、海外投資家が先物で第2週に2110億円、第3週に6400億円の買越しを記録し、逆に自己が先物を1370億円、4550億円と売越している事実だ。
外人投資家といっても様々でアービトラージ中心のトレーダーから、スペキュレーター、アルゴリズム・トレーダー、中長期の年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドまでいるので実は相当に複雑だ。

いくつかの仮定を置いてかんがえてみよう。
(1)スペキュレーター(ヘッジファンドなどの投機的な投資家)がアウトライト(ヘッジをしていない)の先物買いと入れた場合。
この場合、海外の先物買いに対して自己が対当する・・・直接、海外と自己のクロス取引で行うこともあるし、海外の先物買いに市場で自己が裁定取引を行う場合もあるが、いずれにしても、海外の大口買いに証券自己が対当するのが普通だ。
そうなると、約5000億円以上の自己の先物売りと海外の先物買いが市場でぶつかっていたことになり、自己は先物の売りポジションをカバーする現物買いを行ったという理屈になる・・・要は、海外の先物買いに自己が対当することで自己の先物売り、そして、それをバランスさせる現物買い(自己は傾いたポジションを取らない)が誘発された。
簡単にいうと、海外の先物買いが自己の現物買いにつながっているというわけだ。
海外は現物を買っていないが、実質的に自己の現物買い(約5000億円)として市場には影響している。

(2)アービトラージ業者が先物買い(+現物売り)を入れた場合。
この2週間の海外の先物買いは合計8500億円あり、アービトラージ業者は(裁定取引の原則で)海外の8500億円の現物売りを同時に行っているはずだ。
そうなると、海外投資家は、アービトラージ業者の現物売り8500億円に対して、その他の海外投資家が7800億円の現物買いを入れた計算になる・・・その結果、海外全体で700億円の売越しと東証の発表に合致するというわけだ。
つまり、海外投資家が実質的に7800億円の現物買いを入れていたというわけだ。

大切なことは、海外の現物買いがないからといって、外人投資家が買っていないと断定することはできないということだ。
海外から先物に買いが入っている事実から、証券自己の現物買いとして市場に出ている場合も考えられるし、海外のアービトラージ業者の売りと長期投資家の買いがぶつかり買っていないように見える(だけど、実際は買っている)という場合も考えられる。
現実の市場では様々なプレーヤーが入り混じっているので、もっと複雑に売りと買いがぶつかっているはずだが、海外の先物買いがあるということは、背後で現物株も動いている可能性が高い。
安易に「外人が買わないから・・・」と言わない方がいいと思う。


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閑散に売りなし・・・株コメンテーターのイライラ

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東京MXテレビの番組ストックボイスのコメンテーターって、自分で資金運用した経験がなく評論をしているので、かなりズレていることが多い。
聴いているだけで、たまにイライラすることがある。

最近の例では、日経ダブルインバース投信に資金が集り口数が急増してることだ。
日経平均が下落すると基準価額が上昇するタイプの空売り型投信の代表例だが、この空売り投信に資金が集中し、口数が1.8億口、約4000億円に達している。
これをもって、「株価がさらに上昇すると踏み上げが起こり株価が一段と上昇する」とコメントしている。
市場関係者はそもそも買いにバイアスがかかっている(買いばかり勧める)ので、信用売り残が増加したとかダブルインバース投信に資金流入したとかいう需給ストーリーが大好きだ。
でも、今の世の中で純粋にアウトライト(売りか買いかで勝負する)の投資はそんなに大きくない。
「孫さんのエヌビディア魔法」で取りあげたが、現代の投資家は多様なヘッジツールの進歩で、いろいろな商品を組み合わせているのが普通だ。
おそらくダブルインバース投信を買っている投資家も、他のいろんなポジションをヘッジする目的も多いと思うし、ダブルなので少額で短期ヘッジするツールとして利用している可能性も高いだろう。
特に3月は先物のSQ月でもあるので、期末の変動をヘッジするために先物の代わりにダブルインバースを使っている場合もありえる。
という意味で、評論家の言うような単純な「踏み上げ」を期待するのはやや無理があると思うし、評論家の相当な時代錯誤だろう。

また別の例では、日経平均がジリジリと上昇する中で、市場出来高が増えてこないことを危惧する評論家も多くいることだ。
出来高が増えないと証券会社は儲からないのは事実だが、出来高と株価トレンドは明確な関係は見られないし、出来高が増えない方が良い場合もたくさんある・・・株式格言に「閑散に売りなし」という金言がある。
出来高は株価の変動(ボラティリティ)と関係し、変動が大きくなれば出来高が増加するし、変動が小さくなれば出来高は減少する。
つまり、株価がジリ高する局面では出来高は少なくなるのが当然で、それが安定した上昇局面を作り上げてきた理由だ。
つまり、株価変動は下落時に大きくなり、上昇時に小さくなるので、変動が小さく株価が上昇する時期は出来高が少なくなるというのが理屈だ。
それに文句を言っても何も始まらない。
相場格言で言う「閑散に売りなし」というのは、まさにこうしたじり高局面でのガマンを説いている。売りたい欲求を抑えてガマンするのがこうのじり高局面で、まさにこの2月相場はその格言どおりのなったといえる。
次にボラが高まった時点が、変化が訪れるタイミングになるだろう。



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株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
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