
次に米国の重たい思惑だが、実は米国には様々な意見があり国益をどう捉えるかはけっこう難しい。
おそらく米中摩擦を仕掛けている連中から見れば、当然ながら、朝鮮半島の背後にある中国やロシアをにらんだ戦略を取るので、日本とも思惑が一致しやすい。
この連中から見れば、金正恩を蹴落として北朝鮮の民主化を図り、西側国家として朝鮮半島の統一を実現できれば、朝鮮半島を米国の影響下に置いて中国とロシアに対峙できることになる。
しかし、世界の警察官を降りた米国には、朝鮮半島に突っ込みすぎないように軍事費を韓国に肩代わりさせて、在韓米軍を縮小して財政負担を減らしたい人たちもいるだろう。
場合によっては、米軍の対中国防衛ラインを日本列島まで後退させて、北海道、本州、沖縄、グアムというラインに変更するかもしれない。
平和条約後、北朝鮮への経済支援についても米国は距離を置く可能性が高く、トランプは韓国と日本が中心に支援すべきと言ってくる可能性が高い。
ある意味、北朝鮮の核ミサイルが米国本土まで飛んでこなければいいという見方もあるし、意外とどう転ぶか分からないのが米国かもしれない。
日本はどういう思惑で動くのだろうか?
第一に、韓国・北朝鮮・中国が反日連合を形成する可能性だろう。
日本は韓国とは請求権協定があるが北朝鮮とはないし、中国にはODAや円借款などの経済援助を続けてきたが、北朝鮮には経済援助を全くしていない。
韓国人は文句を言えば何回でも賠償・補償・慰謝料と・・・次々と別項目で取れると思っているし、中国人も韓国に何回も払うなら自分にもくれと言い出すかもしれない・・・日本はこの問題に対して一貫した連続性を持って対応しないとこじらせてしまう。
第二に、在韓米軍が縮小される方向で進んだ場合だ。
これは中国の思惑そのものであり、朝鮮半島は中国の影響下に置かれてしまう可能性が高まる。
そして対中国の防衛ラインが日本列島からグアムへの続くラインまで後退してしまい、日本は自国の列島線で中国とガチに対峙しなくちゃならなくなる。
その場合中国の軍事力の増強ペースが速く、対抗するめには日米同盟があるにしても自ら自国を防衛するための軍事力の増強が必要になる。
第三に朝鮮半島の政治体制、朝鮮民族の統一なのか分からんが、日本は静観すべきだ。
最貧国をどうするかという問題は厳しい・・・金正恩の生死に関わるかもしれないし、相当額の経済支援が必要になる・・・誰が負担するのか?
拉致問題があるので日本は簡単には北朝鮮支援を決められないが、逆にこれによって対北朝鮮の消極的な態度を拉致問題のせいにできる。
もう一つの大きなリスクは文在寅の失脚の可能性だ。
反日感情を使って支持率を上げようとしているが、国内景気の悪化と国際社会からの拒絶で国の内外で孤立を強めている・・・もし国連の制裁決議の違反が確認されれば、国際社会は彼に「NO」を突き付けるだろう。
すでに娘の一家を東南アジアに移住させたし、個人資産を海外に移している・・・つまり、自分もいつでも海外逃避できる環境を作り、失脚の可能性に対応している。
いずれにしろ、これからの朝鮮半島情勢は相当に込み入ってくるので、日本は一定距離を保って冷静に国益を見極めていくだろう。

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