株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版の「株式需給の達人(おもしろ相場格言編)」を出版しました。
既刊の「株式需給の達人(実践的バリュエーション編)」「チャートの達人」「個人投資家の最強運用」「株式需給の達人(基礎編)」「株式需給の達人(投資家編)」とともに一読をおすすめします。

2018年11月

ビットコインの死(ICOトークン)

8E97D987-45B9-4E56-B868-235001C7DE1F
















ICOはコインを発行して投資家から資金を調達する手段だが、有価証券とは違い、明確な監督官庁もなく、個人や企業(インチキ企業も含めて)が勝手にコインを発行して投資家に販売するところにいい加減さがある。
勝手にコインを発行すれば、当時のビットコイン人気でどんどん売れてしまい、インチキでも何でもよく売れた、だから多くは詐欺の温床になってしまった。

でも、2017年7月にOMISE(おみせ)が行ったOmiseGOのICOは、ワシも買いたいと思ったぐらいの会社だった。
このOmiseGOはインターネット決済のプラットフォームを開発している会社で、日本、シンガポール、タイ、インドネシアの4か国で、銀行口座を持っていない人(アジアには銀行口座を持っていない人も多い)でも手数料なしでインターネット決済が可能になるツールを提供している。
その他にもSNS上でオンライン販売をするソーシャルコマース、アリペイやコンビニや請求書払いなど様々な決済手段を提供している。
この会社は2017年7月にICOで2500万ドル(30億円弱)を調達したのだが、発行されたトークンは65%がICOに参加した投資家に、5%がエアードロップとしてEthereum保有者に、残りはOmiseGOの社員と開発者に配分された。

このトークンはEthereum準拠の暗号通貨として取引され、現在、価格1.49ドル、時価総額150百万ドルという値段が付いている。
でも、ICOの調達額は25百万ドルで、その他配分したトークンも含めて4000万ドル程度だと思われるので、時価総額は当初まだ3倍以上の規模を維持している???
発行された2017年7月のデータを見ると、価格1.53ドル、時価総額150百万ドルと表示されていて、おそらく、追加で配分したトークンが100百万ドル=100億円程度あったのかもしれない。
会社のHPで確認しても、ICOは1回だけでその後行われていないので、この時価総額の理由は明確には分からない。
とにかく、OmiseGOのトークン価格はピークで28ドルと20倍に上昇したあと、大暴落して元の1.5ドル水準に戻ってしまったということだ。
価格水準からはICOに参加してトークンを買った投資家はまだ損はしていない。
もちろん、価格が20倍になったところで売り抜けていれば大儲けだったわけだが、それでも当初の価格を下回っていないだけで投資家としては良かったと思う。

この後、会社はトークンをどう処理していくつまりなのか、一度、聞いてみたいものだ。
一般的にはトークンは発行量の上限があるビットコインよりも発行を増やせるEthereumの仕組みを使って作られているので、トークンの問題はEthereumの価格の反映されやすい。
インチキなトークンの今後の処理も含めてその分、Ethereumnに負荷がかかっているということかもしれない。



にほんブログ村

ビットコインの死(採掘業者の採算)

8E97D987-45B9-4E56-B868-235001C7DE1F
















ビットコインの暴落に伴うもう一つの問題はビットコインの採掘、マイニングで、マイニングが行われなければビットコインの取引は止まる。
マイニングは以前は中国勢が圧倒的に多く、その状況もよくつかめなかったが、最近ではSBI,GMOなどの日本企業がマイニングに参入しているので、これらの上場企業の決算資料である程度の状況はつかめるようになった。

そこで、ビットコインのマイニング事業に参入しているGMOインターネットの7-9月期の決算資料で確認してみよう。
マイニング事業ではマイニングの計算スピードであるハッシュレートとビットコインの総採掘量が指標になっている。
ハッシュレートは6月384PH/S、7月384PH/S、8月459PH/S、9月479PH/Sとなっている。
PH/Sはペタハッシュ/秒(1秒間に千兆回の計算を行う)でマイニングのスピードが向上していることを意味する。
さらにGMOは年内に800PH/Sにまで能力を引き上げていくとしている。
一方、総採掘量は6月3.76億円、7月4.89億円、8月4.00億円、9月3.82億円という状況でほぼ横ばいで伸びていない。
資料にはビットコイン価格の停滞と、総ハッシュレートの上昇(業界全体のスピードアップ)が収益性の低下を招いているとコメントされている。

GMOのマイニング事業は収益12億円(6か月)で営業利益は6.4億円の赤字だ。
ビットコインの価格が7-9月期よりさらに下落している現在、マイニングの収益はほとんど上がらないだろう。
さらに問題なのはマイニング事業の投資キャッシュフローが183億円の赤字となっていることだ。
つまり、183億円の先行投資を実行し、マイニングのスピードを引上げ、総採掘量を増やそうとしているが、収益がなかなか増えてこないという状況なのだ。
そんな状況下で、今回のビットコイン価格の暴落が起こっており、さらに採算を悪化させてしまう。
GMOグループ自体は収益を上げているので、マイニング事業の赤字が問題となる水準ではないが、このまま先行投資を続けても投資回収できるのか疑問にはなってくるだろう。

いずれにしても、マイニング事業の採算の低下はGMOに限った問題ではなく、業界全体でサーバー等への新規投資を手控えてくるだろう。
NVDIAの7-9月期決算でも、ビットコインのマイニング事業向けのグラフィック半導体等の供給過剰で株価が大きく下がった。
この傾向は今後も続きそうというか、ビットコイン価格の下落から見れば、もっと厳しくなると想定しておく方がいいだろう。




にほんブログ村

ビットコインの死(バブルの話)

8E97D987-45B9-4E56-B868-235001C7DE1F
















ビットコインが暴落し、ついに4000ドルを割れた。
ここ数か月は6000ドル程度で横ばいでビットコインの採掘業者が利益が出る程度で価格を支えていたと噂されていたが、ついに採掘業者たちも力尽き、ビットコイン価格が下落し採算割れの危険が出てきている。
となると、採掘業者が採算割れで撤退でもするとブロックチェーンの取引記録ができない状態に、つまり、取引が限界点を迎えているということかもしれない。
簡単に言えば、ビットコインの死が近づいている。

ピーク ボトム 変化率
Bitcoin 時価総額 318630 64739 79.68%
価格 19024 3722 80.44%
XRP 時価総額 129513 13748 89.38%
価格 3.34 0.34 89.82%
Etherium 時価総額 135352 12070 91.08%
価格 1395.92 116.7 91.64%
3通貨合計 時価総額 583495 90557 84.48% 
時価総額は百万ドル、価格はドル

仮想通貨3通貨の合計では、時価総額はピークの64兆円から現在10兆円と84%も減少した。
減少した時価総額は54兆円と莫大な損失が出ていることになる。
簡単な計算ではおよそ投資家の平均買いコストは通常、ピークの6割程度であるので、ビットコイン投資家の平均買い金額は40兆円程度とみると、約30兆円の損失が出ていると想定される。
去年は大幅な上昇で大儲けした人たちも多かっただろうけど、今年は大損となるだろう。

ビットコインはオランダのチューリップ・マニア、東インド会社のサウス・シー・バブルと並ぶ歴史的バブルだったというわけだ。
ガルブレイスは「バブルの物語」の中でこう言っている。
「暴落の前には金融の天才がいる」・・・ブロックチェーン技術を発明した人は天才だが、ブロックチェーンを投機の仮想通貨に使ったことが失敗なのだろう・
「輪をかけたレバレッジの再発見」・・・ビットコインの先物などができてレバレッジをかけた取引がバブルを増長したということ。
「新奇らしく見えるもの」・・・全く新しい仮想通貨の誕生で従来の法定通貨が古くどんくさく見えたなら、これは当てはまるだろう。
「真実はほとんど無視される」・・・有識者のうち、JPモルガンのダイモン氏などが最初からインチキと真実を語っていたが、ほとんどのビットコイン投資家に無視された。

この30年も前のガルブレイスの本が、今でもあてはまるというのは、いかに人間が進歩していないかの証拠だろう。
人間は進歩しなくてもAIが進歩すれば、こうしたバブルはなくなるのだろうか?



にほんブログ村

元慰安婦の算数

0208ins_noose2




ユー アー ギルティ!!!










韓国政府が慰安婦財団、和解・癒し財団を解散した。
日韓の慰安婦最終合意に基づいて設置された財団だが、文在寅が解散を決定した。
日韓の「最終的かつ不可逆的」合意を文在寅がどうするかは伝えられていない。
元徴用工判決でも日韓請求権協定で、「完全かつ最終的」に韓国の請求権は解決されたとなっているのに、最高裁のヘンテコな判決が出てしまった。
おそらく、韓国語では「最終的」=始まり、「完全」=不完全、「不可逆的」=いつでも変えるという意味なのだろう。
だから、韓国人と何か約束する時は、「いつでも変えられる不完全な」約束をしなければならない。
つまり、韓国語には日本語の「約束」という意味する言葉がないわけだ。
韓国ではナポレオンは「余の辞書には約束はない」と迷言を残しているはずだ。

もう一つ韓国人は算数ができないとこも気を付けなければならない。
数週間前の財団解散時のハンギョレ新聞から、
財団は日本拠出の10億円を財源とし、元慰安婦らへの現金支給事業を実施。これまでに、合意時点での生存者47人のうち34人に1人当たり1億ウォン(約1000万円)、死亡者199人のうち、58人の遺族に1人当たり2000万ウォン(約200万円)を支給した。
最近のハンギョレ新聞から、
キム・ボクトゥクさんが亡くなり、生存する慰安婦被害者は27人になった」

えっ、元慰安婦は合意時点では47人いた、そして、現在は27人ということ???
合意時点は2015年12月であり、わずか3年も経たないうちに20人も死亡していたの???
生存している34人に一人1000万円づつ配ってから、7人も死亡しているの???
つまり合意時点の2015年12月から資金が配分された2016年10月までのわずか10か月間に13人も死亡し、34人が1000万円づつ受け取った後、現在までの2年間に7人が死亡した。
いくら何でも死亡人数が多すぎないかなあ・・・こんなに元慰安婦が死亡していたら当然ニュースになっていたはずじゃないのかなあ。
おそらく、真実は最初に元慰安婦の人数は多めにカウントしていたということなのだろう。
日本からより多くのおカネを取るためのに数字をモリモリしていたというわけ。
こんなヘンテコな算数が韓国人の性質をよく表している。

さらに現在の元慰安婦の生存者は27人、ということは、生存している人にはすべて1000万円が配られているわけで、それでも日本に不満ということは「もっとカネをくれ」ということなのだろうか?
遺族にも200万円づつ配られているが、遺族も200万円では不満ということだ。
一体、いくら欲しいのだろうか? 一体、何回もらおうとしているのか?
韓国の慰安婦と遺族の強欲はすごいし、日本を徹底的にしゃぶり尽くすという精神もすごい。



にほんブログ村

田舎の健康法(8 食の健康その2)

5CE548A0-4B57-4DF9-8FB5-61C2210C8222

















田舎の食の良さは、生産者と消費者の距離が近いことだ。
朝採れ野菜をその日のうちに食べることができるし、その日取れた卵で卵かけごはんを食べることもできる。
道端に野菜や果物の即売所がいくらでもあるし、南きよさとや小淵沢の道の駅には朝採れ野菜や農産物を売っている。
生産者の名前入りで売られている場合も多いし、農家の顔写真付きで売っているコーナーもある。
肉なども新鮮なものを食べれらるが、牛肉や豚肉は生産者から直に消費者に届くわけではない。
ただ、鶏肉、しかも地鶏は生産者=販売者の場合があり新鮮な鶏肉を食することができる。

それが中村農場だ。
鶏肉にはブロイラーと地鶏があるが、中村農場は地鶏の生産業者であり小売りもやっている。
地鶏の生産者らしく、その店内には様々な部位の鶏肉が並んでいる。
ムネ、モモなどを始め、ササミ、セセリ、手羽先、手羽元、手羽中などなど。
さらに内蔵でも、ハツ、レバー、砂肝、サエズリ、ゲンコツ、ボンジリ・・・などなど。
考えてみれば、山梨県の地元郷土料理が鶏もつ煮であり、藤の家や伝兵衛など、美味しいもつ煮の店も多いし、また、家庭でも普通に食べられているらしい。
そんなわけで、鶏の様々な部位の内臓肉を買う家庭も多いだろうし、小売店でも売られている理由なのだろう。
また、中村農場の地鶏の卵も人気の商品で、イタリアンレストランのMorimoto(清里)のカルボナーラにも使われいる逸品だ。
Morimotoのカルボナーラは卵の色が非常に濃い黄色で、味も非常に濃く、ネットリとした食感がり、他のイタリアンレストランのカルボナーラとは全く違う。
中村農場が作っているとご主人も言っているので地元の名産品といえるのだろう。
この中村農場の卵は店で小売りもしているので、家庭での卵かけご飯で食するのもいい。
ちなみに中村農場の食事処でも、卵かけご飯を食べることもできる。
ちょっと値段が高いと感じるかもしれないが、その辺のブロイラーの卵とは濃度が全然違う。
一度は試してみてはいかがか?



にほんブログ村

ウィークリー雑感(11/25原油と株価の同時下落)

5728ac05683a49070e3c32ab93e8e065c55b8762







わずか1か月前には原油価格の上昇が大きな話題で、イラン原油の禁輸で原油価格は100ドル/バレルに上昇すると言ってた評論家も多かった。
ところが、評論家の予想に反して10月初に原油価格はピークを付けて下落を始めると、同時にNY株価も下落するという、原油価格と株価が連動するように急落を演じた。
原油価格が60ドル/バレルを割れてしまうと、NYダウも下落スピードを上げ、どう理解していいかよく分からずに市場の不安心理を増幅させた。
原油価格が50ドル/バレルに近づきそろそろ底入れるかもしれないが、その時は株式も底入れ期待が出るのかもしれない。

しかし、過去、原油価格と株価は一定の相関関係にはないし、石油危機を見ても分かるとおり原油価格の大幅な上昇は先進国経済には悪影響が大きい。
日本や他の先進国などの原油の輸入国にとっては原油安は大きな経済的メリット=株高になるが、原油価格の上昇は他のコモディティの上昇にもつながりインフレ率を引き上げてしまう。
ということで経済ファンダメンタルからは原油と株価が相関する理屈は成り立たない。
何故、原油と株式が連動し、同時に下落しているのだろうか?

原油市場は供給要因で動くことが多い、たとえば、OPECが減産に入ったとか、シェールオイルの生産が増えたとか、非OPECの生産が増産しているとか・・・・
今回の下落でも評論家は産油国が12月OPEC総会前に駆け込み増産をしている、米国でシェールオイルの生産量が増えているなどの供給増加を主に下落の理由として挙げている。
でも、OPECの駆け込み増産で原油価格が下落するのは分かるが、株価の下落は説明できない。
この連動性は供給側では説明がつかない・・・ということは需要側に要因があるかもしれない。

第一に省エネ・省力化の経済で先進国では原油需要が長期的に減退し、原油をジャブジャブ買っているのは中国だけという状況で、中国景気に思惑が出やすいことだ。
最大の原油輸入国だった米国はシェール生産のおかげで輸出が伸び、輸入から輸出を引いた純輸入があきらかに減少した。米国は原油輸入が800万バレル/日、輸出が220万バレル/日でここ数年で輸出が急増、灯油やガソリンといった石油製品ではすでに輸出が輸入を上回る純輸出国になっている。
日本の原油輸入量は合理化・省力化投資が効いて1997年の2.86億トンから2017年2.06億トンまで大きく減少しているし、今後も減少傾向は変わらない。
欧州などの先進国も基本的に日本と同じ環境にあり、原油輸入量は長期的に減少している。
一方、そんな中にあって、中国のみ、経済拡大に伴い年率5%で石油需要が増加しており、原油輸入も830万バレル/日と2017年に米国を抜き、世界最大の輸入国になった。
要するに、原油の需要側からは中国の景気が最大のポイントで、この動向に注目が集まっているわけだ。

第二に伝統的アセットである株式や債券と異なる特性を持つ原油がオルタナティブ資産として注目され、ヘッジファンドやCTAやETFに組み入れられてきたことだ。
原油や他のコモディティを元にした金融商品も広く販売されるようになり、原油先物取引所であるNYMEXでの建玉残高も11月現在では大口の買い建てが56万枚(1枚=1000バレルで5.6億バレルに相当する)、大口のネット買い建てで38万枚と巨大な市場規模に達している。
相対のフォワード取引も含めれば、ヘッジファンドやCTAなど巨大なファンドの巨額な資金が原油デリバティブに流れ込んでいると想像できる。
こうした原油ファンドは他の金融商品と同様に資金が出たり入ったりしており、過去に比べて価格変動が大きくなっているように感じる。
世界の巨大機関投資家のポートフォリオには、株式の金融商品と同様にコモディティの金融商品も組み入れられており、資金の流出入に左右されながら連動性が出てくる可能性も否定できない。

実需という意味では中国の存在が圧倒的に大きく、中国景気の減速などの思惑は原油価格に大きく影響するだろうし、それらの思惑がファンドの原油先物ポジションを通じて大きく影響していくというわけだろう。
こうした状況では原油先物の下落と株価が連動するのは理解できる。
今回の原油と株価の同時下落も、中国景気を思惑材料にしてファンドが原油と株式の両方に売りを出したから起こったということかもしれない。
だったら、相当、株価への織り込みは進んでいるかもしれない。



にほんブログ村

フランス政府を阻む資本の論理

5348F1F2-E30B-4A6E-BFC5-133EC2AD49CC















テレビで毎日毎日、日産だの、ゴーンだの、ルノーだの、フランス政府だの、マクロンだの、世耕だの、ルノーに日産は乗っ取られるだの、フランス政府に乗っ取られるだの、日本政府は何やってるんだ?・・・とか公共の電波を占領してやっている。
ゴーン氏逮捕の背景はルノーによる日産の吸収合併に対する日産社内の反発で、日産の吸収合併の背後にはフランス大統領マクロンがいるなどと論じているテレビは滑稽で、はっきり言って資本の論理を理解していない。

まず、大前提はフランス政府はルノーの15%の株主にすぎず日産の株主ではないので、フランス政府は直接日産の経営に口出しできないということだ。
日産をルノーの傘下に入れるとフランス政府が言う権利もないし、ルノーの経営者から間接的に口出しすることは可能だが、たかが15%の株主じゃ何を言っても決定権もない。

しかもルノーの取締役会がゴーン氏のルノーCEOを解任していないので、ルノーが何か日産に言うとしても、日産の会長を解任されたゴーン氏には日産に何か言うこともできない。
ガバナンス上の問題で、ルノーのトップがゴーン氏であるかぎり、現状では日産の経営に口出しできない。

次の問題は日産の経営陣を刷新する時、新しい取締役をルノーから何人、どういう人を取締役に入れられるかだ。
おそらく、アライアンス契約に双方からの取締役数が取り決められているはずで、議決権に比例する場合なら、9人の取締役に対して、日産側が4人、ルノー側が2人、社外が3人(うち一人はルノー側)という現行の配分パターンと同じになるのだろう。
とすれば、ルノー側の取締役がリードすることはできない。
ゴーン氏は日産の経営改革に成功した実績であれだけの地位が与えられたわけで、何の実績もないルノー出身の取締役が実権を握るとは考えにくい。
強引にルノーの取締役を増やそうとしても、取締役の選任は株主総会で決定されるので、43%しか保有していないルノーには決定権がない。
プロキシー・ファイト(議決権の争い)に出ることも考えられるが、それは日産とルノーの間に決定的な溝を作るので、アライアンスそのものが傷つき、日産からすればアライアンス解消の理由になる。
敵対的なTOBでルノーが日産を手に入れようという場合も、TOBに日産側の株主は反対するだろうから成立しないし、同様に相互に信頼関係を壊したとしてアライアンス解消の強い理由になるはずだ。

したがって、ルノー側が日産の吸収合併を提案しても日産の取締役会が否決することが可能だろう・・・事は簡単に進む話じゃない。
フランス政府がガタガタ言っても無駄だ。



にほんブログ村

日本の英語教育の謎(3中学生)

F0F680FA-F67D-41E4-A774-D95021C643E0
















結論から言うと、日本の中学英語は素晴らしいと思う。
わすか3年間の中学校の教科書には、英語の基礎的な英単語、主語/述語/目的語などの基礎構文、過去/現在//未来や進行形/完了形などの時制、仮定法、などなど、英語を理解する上で必要なことはすべて書いてある。
中学生だった当時は全く気がつかなかったが、あとになって中学英語の教科書を改めて見るとその素晴らしさに愕然とする。
これさえ100%身についていれば、英語は簡単にマスターできると思うほどのレベルだった。

よく日本では受験英語=実際全く使えない英語でそんなもの勉強しても全く意味がないと思われている。
しかし、事実は全く逆で、受験英語は実際によく使う英語のフレーズだったと感じることも多かった。
たとえば、as soon as posibleというフレーズは受験英語で習った覚えがあるが、実際に会話の中でよく使われ、頭文字を取って、ASAP(エーエスエーピー)とそのまま会話の中で出てくることもよくある。
その他にも話題を変える時につかうby the wayはbtwと省略されてよく使われるし、so that とか too toとかもよく使われる受験英語だ。
たとえば、the meat is so tough that I can't chew(肉が硬くて噛めなかった)を the meat is too tough to chewと書き換えるなんて受験英語の典型例だろうが、これが実際の会話でよく使われるパターンなのだ。
中国英語をきちんと身に着ければ、ごく普通の場面では十分に対応できるのではないかと思う。

しかし、中学英語は義務教育の中でみんな勉強してきたも、全然身につかないし、ほとんどの人は大人になったら忘れている・・・・それは何故だろう?
これさえ100%理解していれば、英語は普通に話せるはずなのに・・・中学を卒業した人のうち、英語をきちんと話せるのは何人いるのだろうか?
これが大きな謎だ。

カリキュラムが良いのに効果がないのは、教える先生がダメなのか? 生徒のやる気が問題なのか?ということだろう。
生徒も英単語や文法を暗記するのに精一杯で、理解して使うということを考えないところに問題があるような気がする・・・つまり、使う機会が少ないのじゃないか?
言葉はつかってナンボだからだ。
頭の中で暗記しているだけでは実際の会話で役に立たない。
言葉を使って言いたいことを伝えるという意識が生徒に足らなかったのではないかと思う。
さらに英語の先生はアメリカ人やイギリス人でなくてもいいが、少なくともネイティブ(生まれながらに英語を話していた人)である必要はあるだろう。
先生がまず最初に英語コミュニケーションの相手になるだろうから、ネイティブでないと相手にならない。
日本人同士で英語を話すと、なんかじれったいし、照れくさいし、なんかバカな事やっているとしか感じられない。
だから、英米でなくともネイティブスピーカーが語学習得には必要だ。



にほんブログ村

サラリーマンは最高だと言い放った男

B698A985-4C32-4C2F-B297-882346E5780E
















運用会社で働いていた頃にある部下がいたが、彼には忘れられない強い印象が残っている。
というのも、自分とは全く違う生き方で、こういうサラリーマンの生き方もありかなと思ったからだ。
まず、一応、ルール通りに背広を着用しているのだが、その背広はもう何年も着古して、ボロボロでズボンの裾が擦り切れていた。
ワイシャツを着ているのだが薄汚れており、洗濯はあまりしていない様子だった。
ワイシャツの裾はズボンからはみ出ていて、今の若い人は普通にシャツを出すが、それとは全く違うずっとだらしない印象だった。
一応、髭は剃ってきているようだが、剃り残しの髭が数本飛び出している。
頭髪は一応床屋には通っているみたいだが、寝ぐせが見られる。

その彼は当初営業職で入社してきたが、見ての通りの格好では営業職は無理だということになった。
それで、運用部門に異動になり、ワシの部下になった男だ。
運用部門でもどんな仕事を与えるかで迷ったが、年金コンサルタント向けのサポートをする部署に入れた。
年金の世界では、各年金コンサルタントが各社の運用商品を評価し、年金基金に良い運用商品を紹介するのがビジネスの流れだ。
だから、運用各社は年金コンサルタント向けに各種データを提供したり、ファンドマネージャーとの評価ミーティングをアレンジしたりするコンサル担当部署がある。
その彼はデータの間違いが多く、人並外れて仕事が遅いので年金コンサルタントに嫌われてしまった。
年金コンサルタントからなんとかしてくれという依頼が来てしまった。
ワシも良い部署がなく迷ったが、彼を外の世界との接点がない、投信のデータを計算する部署に異動させた。
だが、投信の各種データは間違いがあってはならない正確性が必要だったが、彼にはそれがなかった。
間違いがないかをチェックする作業が普通よりの時間がかかるので、周りの社員の負担が大きくなってしまい、その部署でもうまく行かなかった。
結局、内部監査やコンプライアンスなど、仕事しなくても周りに迷惑をかけない(むしろ仕事がない方が問題がないという意味で良いとされる)部署を渡り歩くことになった。

ある時、彼と話す機会があったが全く悪びれもせず、彼としてはサラリーマン生活を100%エンジョイしている、「サラリーマンは最高だ」と言った。
顧客との営業関係、上司や同僚との内部の人間関係、サラリーマンとしての人事評価、サラリーマンとしての出世・・・それに伴い膨大なストレスがかかる。
もし、それらを全く考えなくていいならば、ダメ・サラリーマンこそ最高なのだ。
誰にも期待されないからプレッシャーはないし、誰にも頼られないのでストレスもないし、人事評価は低いけどちゃんと給料はもらえるし、同僚に比べ少ないけどボーナスももらえる。
出世や高い評価を目指さなければ、サラリーマンは最高だと彼は言った。
こういう生き方もありなんだって・・・・考え方さえ変えれば、世の中のダメサラリーマンは意外と良い生き方なのかもしれない。
・・・植木等さんのスーダラ節から、50年経って再びダメ・サラリーマンの時代がくるかも??



にほんブログ村

日産を食い物にしたゴーン氏とルノー

5F18F629-1F8B-4B2E-B82C-D5E0DE36721A
















ゴーン氏、その背後にいるルノーは日本人からは考えられないほどのどん欲な人物であり組織だ。
今は休刊となってしまった闇株新聞で継続的に「日産はゴーン氏とルノーに食い物にされている」と指摘されてきたが、この提携は日産の資産をゴーン氏とルノーに上納するためのものだった。

その始まりは1999年3月にルノーが日産の第三者割当で14.64億株、2002年3月にワラント行使で5.4億株で8016億円の出資を行ったことだ。
この8000億円で苦境を脱した日産はゴーン氏とルノーにやりたい放題されてしまった。
その後、日産がルノーに15%の出資=2470億円を支払ったのでルノーの資金回収は進み、さらにルノーの投資案件(モロッコの工場やロシアのアフトワズ)にも何故か日産が大半を出資している。さらにプラットフォーム(車台)の共通化を進めるためと称して、日産の生産ラインや開発担当者も提供させられ、国内資産をルノーに上納させられてきた。
ゴーン氏がルノーと日産のトップにいるので、こんな普通考えられないことが簡単にできた。
さらに利回りの高い日産株を保有する受取配当も大きく、全部合わせればゴーン氏とルノーは出資額を大幅に上回る利益を得てきたといえる。
日産をしゃぶり尽くしたゴーン氏は、次に日産は2470億円を出資し三菱自を傘下に入れ、今度は三菱自をしゃぶり尽くするつもりだったはずだ。

ゴーン氏によってクビになった優秀な役員も多い。
ルノーのタパレス副社長もクビ、さらに日産の志賀COOも温厚なバランスの取れた優れた人物だったが、円高で業績悪化した時にクビにし強権体制を作り上げてきた。
全てゴーン氏とルノーに利益を吸い上げるための、通常のコーポレートガバナンスからは考えられない好き勝手+やりたい放題だった。
西川氏もゴーン氏に引き立てられた「言いなり部下」だと思われてきたが、さすがに今回は腹に据えかねることがあったのだろう・・・検察と司法取引して、一気に反撃に出たというわけだ。

ゴーン氏は全く不透明な人物で、有価証券報告書の不正記載があったとしても驚かないし、その他経費や投資案件でも不正流用があっても「さもありなん」と思うだけだ。
根本的にはフランス政府が筆頭株主のルノーが日産を支配し、日産が三菱自を支配する垂直的支配の構図が問題なのだ。
日産もルノーに出資しているがその出資分には議決権が付いていないという不思議な関係なので、ルノーが日産を支配している構図は変わらない。
この支配関係を使ってゴーン氏が強権を握り、ルノーに大きなリターンをもたらしてきたわけだ。
だから、この不透明なガバナンス体制こそが最大の問題で、ゴーン氏とルノーの強権の源だった。
ゴーン氏は日産、ルノー、三菱自の三か所から巨額な役員報酬を得ており、どこでどう所得税を納税しているかも定かでないが、おそらく様々な方法を使って節税をしているだろう。
単に日産の有報の虚偽記載というだけでなく、役員報酬、その他の資金の流れを明確にしてほしいし、納税の実態も明らかにされることを期待したい。




にほんブログ村

GAFAが好き勝手できる時代の終わり

DB1C13F1-A1BC-420E-80B6-E172969FFBA3
















ついに日本でもプラットフォーマーに対する規制が始まる。
GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)、さらにアリババ、テンセントなどのプラットフォーマーを対象とした規制は世界の潮流だ。
検索エンジン、ネットショッピング、SNS、デジタルディバイスの分野で大きな占有率を持つ巨大企業の規制が、経済産業省、総務省、公正取引委員会の政府機関の合同でスタートする。
特に巨大な通信業界に対して監督する総務省と産業再編をリードした経産省とは昔から犬猿の仲だったが、今回はお互いに組むようだ。

たしかにプラットフォーマーと呼ばれる企業は全世界で10億人を越える個人がアクセスする寡占を実現している。
その寡占状態を良いことにビッグデータという「個人情報の塊り」を商売ネタに急成長を遂げてきた。
8/3に「ビッグデータ企業の明暗」というブログを書いたが、ビッグデータとはいえ個人情報の塊りでありその扱いは微妙な問題を含むとした。
特に、フェイスブックは名前、生年月日、出身大学・・・非常に微妙な個人データを多く扱っているので、各国当局ともに個人情報の流出に最も敏感にならざるをえない。
日本の規制ポイントとして、公正で自由な競争の確保、優越的地位の乱用、EUのGDPRなどの国際ルールに合わせた個人保護、従来の電気通信法や電気事業法などの再検討などが上げられている。

実際、検索ではググるという動詞になっているほどグーグルは独占企業だし、フェイスブックもインスタグラムも買収しSNSでは圧倒的な地位を確立し、アマゾンもネット小売りで圧倒的なシェアをすでに獲得し、今度はリアル店舗に進出して圧倒的な地位を築くかも知れない。
当然、ライバル企業を買収してシェアを上げたり、システム自体に自社を有利に扱うようなプログラムを入れたりする行為には各国当局が目を光らせ、特に欧州は巨額な罰金を何回も課している。
でも、国内市場がガラパゴス化している日本の当局がなんかヘンテコな規制を打ち出さないか、ちょっと心配な感じもする。
国内プラットフォーマーがいないのでやたら厳しくしたり逆に緩くしたりと、当局のさじ加減が難しいかもしれない。
いずれにしろ、GAFAが勝手気ままにやりたい放題できる時代は終わっていることは確かだ。



にほんブログ村

株主還元、総還元性向の基礎知識

7579269F-4910-468D-8710-4CDE95D5FB98
















昨日、三菱UFJファイナンシャルグループの株主還元について欠いたが、株主還元や総還元性向といった株式用語の意味は難しい。
今回は基礎編で株主還元を考えてみたい。

株主還元とは、文字通り、企業が上げた利益を株主に還元する=シェア・ホールダーズ・リターンというものだが、考え方としては二通りある。
一つは、単年度で上げた利益から株主へ還元するという利益配分だ。
企業は株主から出資された資本金を使って、また、債権者からの借入金を使って、企業活動して利益を上げる・・・企業活動の目的は利益だ。
そして、その上げた利益から、株主には配当を払い、債権者には利息を払う。
つまり、株主還元の中心は配当で、配当額を純利益で割ったものが配当性向を呼ばれている。
日本企業ではおよそ配当性向は30%だが、これは純利益の3割を株主配当に回しているということだ。

もう一つは、企業が毎年最後に残った利益を内部留保するが、この毎年毎年たまった内部留保の蓄積を使った株主配分だ。
企業は上げた利益から法人税を支払い、株主に配当を払い、最後に残った利益を毎年毎年、内部留保としてため込んでいる。
内部留保は必ずしも現金の形で保有されているとは限らないが、バランスシートの右側の資本の部で左側の資産の中にある現預金を比べてみれば分かる。
そして、その内部留保を使って株主に還元することもできる。
ヘッジファンドなどが特定の企業の株式を買い集めて、株主総会などで「内部留保を取り崩して配当せよ」と要求したりニュースになったことも多いが、理屈はこういうことだ。

最後に自社株買いだが、これは企業が自らの資金で自社の株式を買うことだ。
自社株を買い戻せば、それだけ発行株式数が減少し、一株あたりの価値(EPSやBPS)が高くなる。
この効果を狙ったのが自社株買いで、通常は保有している現預金から自社株を買うが、借金をして自社株を買うこともできる。
買った自社株は金庫株として企業が保有するのが一般的だが、金庫株を将来企業が市場で売却すれば発行株数は元にもどってしまう。
金庫株の売却が可能であるかぎり、完全に発行株数を減少させているとはいえない。
だが、企業が金庫株を消却すれば発行株数の減少が永遠になる。
自社株買いの規模とともに金庫株の処分が効果を判断するには重要になるわけだ。

この配当と自社株買いを合わせたものが総還元で、株主還元の合計額といえる。
もちろん、株主優待をこれに加えることも可能だが、株主優待は金額換算が複雑だし、日本特有の制度なので、通常は配当と自社株買いの合計を総還元としている。
したがって、総還元性向は、配当性向(配当/純利益)+自社株買い比率(自社株買い金額/純利益)となる。



にほんブログ村

ウィークリー雑感(11/18 総還元性向)

5728ac05683a49070e3c32ab93e8e065c55b8762






三菱UFJファイナンシャルグループ(以下、三菱UFJ)が中間決算を発表し、今2019/3月期の純利益を当初予想の8500億円から9500億円に上方修正した。
同時に、年間配当を20円から22円に増配し、さらに2億株の自社株買いを実施すると発表した。
中間期でのこうした発表は意外感を持って投資家に見られているが、その理由は、おそらく、三菱UFJの焦りなのだろうと思う。
ファンドマネージャーからはアンダーウェートすれば簡単にTOPIXをアウトパフォームできると言われ続けてきた三菱UFJ株だが、経営陣もやっとこの危機的な株価低迷に気がつき、中間期という中途半端な時期に増配と自社株買いを発表した・・・つまり、本決算前にいろいろなカサ上げをしておきたかったということだ。

ただ、この突然の増配と自社株買いで、やっと、他社並みの株主還元になるだけの話だ。
まず配当だが、今回の年間配当の増加で配当性向(純利益から配当に回した割合、配当/EPS)がやっと30.3%と東証の平均的配当性向3割を達成する。
他社との比較でもみずほ33.3%、SMBC33.9%より若干低いが、ほぼ同等のレベルになる。
もう一つは、配当と自社株買いの合計である総還元性向が、今回の発表を入れて46.1%となり、ライバルであるSMABCの42.2%を若干ながら上回ること。
この二点で今まで株主を軽視してきた三菱UFJがやっと他社並みになるということだ。
つまり、来年3月の本決算までに株主対策をして、株主軽視と言われないようにお化粧したということだ。

NO1のメガバンクである三菱UFJの経営陣がこの程度の認識しかないことにちょっとがっかりする。
AI化、ネットバンキング、スマホ決済・・・激変する金融業界で三菱UFJはその規模の大きさから最も合理化・省力化の余地が大きい。
さらに支店網の大幅な統廃合、人件費の大幅な削減などによる合理化効果を、新金融システムに投資し、その利益を株主に配分すれば、株主には非常に大きなインパクトを与えられるメガバンクだ。
しかし、経営トップが来年の本決算前にこんな数字のお化粧でごまかすのでは先が思いやられる。

欧米企業の総還元性向は主要企業で60~80%と高い。
欧州企業は配当を重視し配当性向が50~60%程度あるので、自社株買いを純利益の10~20%すれば総還元性向はゆうに60%を越えてくる。
米国企業は逆に自社株買いを中心に株主還元してきたため、純利益の50~60%の自社株買いを積極的に実施してきた・・・時には借金をして自社株買いをするケースもあるぐらいだ。
さらに配当を含めた総還元性向では欧州企業と同レベルかそれ以上の高い株主還元をしてきたといえる。

ところが、日本の主要企業はやっと配当性向30%、自社株買い10%程度で、総還元率40~50%といったところだ。
三菱UFJもグローバル企業として評価されたいのなら、今回の30%の配当性向+16%の自社株買いでは全然足りないことを理解すべきだ。
平野さんのこのセコさだが、これが起点となって企業間の株主還元競争が起きれば、日本市場を根底から変化させることにもなりえる。
SMBCやみずほなど他社の欧米企業並みの対応を期待したい・・・それこそグローバル・スタンダードだ。



にほんブログ村

プーチン対安倍の行方

IMG_0287
















10/1のブログで「北方領土、プーチンの意図」を書いた。
要点は(1)中国北部からシベリア地域の共同開発で中ロが合意し、中ロ連携が北アジアで動き始めたこの時期が北方領土返還の最後のチャンスであること、(2)四島返還は米ソ冷戦下で米国が日本とソ連を引き離すために言わせたもので日本が主張したものではないこと、(3)領土は国民感情そのもので、プーチンの強権政治でないとロシアの世論を抑えられないこと・・・・3点だ。

プーチン・安倍のシンガポール会談で明確になったのは、二人の首脳が自分たちの間で解決するという強い意志があること、日ソ共同宣言に基に交渉をすることだ。
つまり、平和条約を締結して色丹・歯舞の二島を返還するということになる。
そして、ロシアは領土問題が解決、日本は二島先行返還というコメントをするだろう。
でも実際は、これで国際法上でも地図上でも択捉・国後は千島列島につながるロシアの領土になる。
日本は第二次世界大戦後のサンフランシスコ条約で千島列島を放棄しているからだ。

それでも色丹・歯舞の二島でも日本の領海や排他的経済水域はかなり拡大し、北海道の漁業には大きなプラスになる。
また、平和条約が締結されれば、千島列島の日ロ共同開発が進み、日本の利権も広がる。
このまま四島返還にこだわり、永遠に交渉できない状態よりずっと良いと思う。
でも、この二島返還でも本音は厳しいので、プーチンは二島引き渡しても主権はロシアにあるとか、北方領土に米軍の基地を作らせないための日米合意をしろとか、変化球を投げてくる。
これらの変化球はロシアの国民世論に向けたものだろう。

領土問題が難しいのは、国民が一丸となって感情丸出しで動くからだ。
通常、歴史のある先進国ではすでに領土問題は解決済みだが、残っている領土問題は何十年も決着できなかった非常に解決困難な問題だ。
日本周辺でも、対ロシアで北方四島の帰属問題、対韓国では竹島、対中国では尖閣諸島、などが残っているが、それぞれの国民感情が噴き出る、しかも、国民一丸となって世論が動く、非常に厄介な問題だ。
この国民感情をプーチンがコントロールできるのかが問われるのだろう。

ロシアでさえ70年も前の日ソ共同宣言を国際的な約束として守ると言ったのに、韓国は昔の約束を無視する徴用工判決を最高裁が出した。
韓国よりロシアの方がずっと国際法を尊重する遵法精神があったわけだ。
法治国家であり民主国家である韓国が国際法を無視するのは考えられない・・・河野さん、負けるな。



にほんブログ村

市民が格付けされる社会

IMG_0336
















巨大な人口を持つ中国で進んできているのが、国家によって個人が格付けされる社会だ。
アリババの「独身の日」は3兆円の売上を記録し、中国人の爆買いの凄さを世界に示した。
その決済に使われているのがアリペイで、スマホ決済の便利さで一気に拡大し、中国人なら誰でも簡単にスマホ決済で買い物ができる。
当然、この「独身の日」イベントでも3兆円の売上はアリペイで決済されたはずだ。
テンセントもウィーチャットでスマホ決済ができるし、こうしたスマホ決済が中国全土を支配し、膨大な購買データが日々生まれている。

でも、この便利さの裏側で、国家主義の中国で当局による個人情報の集積が進んでいる。
おカネの動きはモノの動きの反対側にあり、おカネの動きを追えばその裏側にある個人のモノの売買をすべて把握できる。
ある個人がぜいたく品をたくさん買っているとか、日本車や日本製品ばかり買っているとか、エッチなビデオばかり買っているとか、いろいろな個人の嗜好がすべて当局に分かってしまう。
そして、国家は国家のためになるか?国家に反逆心があるか?などをチェックできるし、また、個人の納税と購買データを検証でき個人の富裕度もチェックできる。
こうしたデータを分析し、中国一般市民を格付けする。

つまり、市民一人一人のあらゆる個人データを基に市民を格付けし、国家にとって有用かどうかを判断するわけだ。
インターネットの中にある膨大なデータが個人を管理するために使われるとしたら、市民は国家のために生き、国家の利益のために働き、国家の安泰のために奉仕することになる。
まさに全体主義だ。
中国では国家への貢献度で個人の点数化が進んでいるらしい。
点数の高い市民には、例えば空港のラウンジでお茶が飲めるとか優先されるらしいし、点数が低い市民は航空券も買えないということもあるらしい。

恐ろしいのは、訪日する中国人の急増で、日本でもアリペイなどの中国モバイル決済を導入しようという動きがあることだ。
たしかに爆買い中国人客から売上げを考えれば、中国モバイル決済を導入すればより売上げを増やせるかもしれない。
小売店にとってはこの爆買い中国人は大切なお客で、いかに来店してもらうかに知恵を絞っているだろうから大事なことだ。
でも、アリペイなどが日本に入ってくると、日本での購買データが中国当局に流れる。
さらに中国モバイル決済を日本人が使ったら、そのデータも中国当局に流れる。
日本人の大多数がこんな中国モバイル決済を使うとは思えないが、一部の日本人が格付けされる可能性はある。
知らぬ間に中国に支配されるなんてことがないように気を付けたい。



にほんブログ村

ヤラセが嫌ならバラエティを見るな

0DFE850C-9BCE-4043-B487-297827BECEA3
















イッテQのヤラセに文春砲がさく裂し問題になったけど、テレビにはヤラセがつきもので嫌ならテレビを見なければいい・・・と言いたい。
そもそも、バラエティは見て楽しければいいもので、内容が何もなくてもかまわない番組だ。
電動バイクの旅みたいにテレビタレントが田舎民と触れ合うだけの番組、空港で待ち伏せて外国人の日本旅行に付き合うだけの番組、これらもおそらくヤラセ部分もあるだろうがずっとマシだし、見ている時間は楽しめればいい・・・こういうバラエティ番組では、多少のヤラセをしてもより面白くなれば誰も文句は言わないし、視聴率も下がらない。
ウッチャンナンチャンの内村氏がイッテQのヤラセに怒ってみせたが、彼、一流の乗り突っ込みだろう。
番組の裏側を十分知っているはずで、それを承知の上で突っ込んだのだろう???・・・なかなかやるな、ウッチャンという感じ・・・テレビをさらに面白くしてくれる。

でも、ちょっと嫌なのは、外国人に日本を褒めたたえさせる番組、明らかに変な意図を持ったヤラセだし、日本人に日本礼賛をすりこみ愛国心を持たせたいというような嫌悪感を感じる。
外国人と一口に言えないほどいろんな人たちが地球上に居て、日本なんて全く知らない人たちもすごく多いはずだし・・・外国人が日本を礼賛することはごく稀だろう。
というか、日本なんて知らないという外国人の方が普通だろうし、ヤラセにしてもヤリ過ぎだろう。

さらに一番いやなのは、本来中立であるべき報道番組のヤラセっぽい演出だ。
その中でも最悪なのが、株式市場をリアルタイムで報道しているストック・ボイスという株式番組。
一応、ニュース番組なのに、キャスターがヤラセっぽく勝手にしゃべって、しかも、適当だし的外れだし最悪の番組だ。
あるキャスターは中東の暦(ヒジュラ暦)が日本株の上げ下げに影響するなんて馬鹿な事を言っているし、9月の株価上昇時期に米国のFANGを大絶賛していたが、株価暴落したら知らんぷり。
あるキャスターは日本に入ってきている外人はアルゴなどのトレーダーで、彼らが株価を動かしているような事を言っている。
でも、これも知ったかぶりで、アルゴのトレーダーはそんなにデルタ(買い持ち/売り持ち)を取らないので一定期間を取れば市場には中立要因だ。
ここまでウソが多いと、見ている個人投資家に対して罪深いと思うし、本人たちは罪悪感を持たないのだろうか・・・不思議だ。
でもこの逆指標になるので、なんとなくよく見ている。



にほんブログ村



六本木ヒルズとツイン21(後編)

IMG_0322
















前回は東京都心の六本木ヒルズを取り上げたが、今回は大阪のビジネスパークにあるツイン21を考えてみたい。
1986年竣工でちょっと古いが、高層のツインタワーで大阪ビジネスパークのランドマークだ。
パナソニックが建てたビルだが、現在は、MCUB-Midcityリートが所有しているので、六本木ヒルズと同様に詳細開示が行われる。
東京と大阪の違いを考えるのにピッタリの物件なので取り上げてみたわけだ。

まず、同じように数字を見てみよう。
賃貸面積 算定価格 帳簿価格 算定/面積
2014年12月 82396 46000 67813 0.56
2015年6月 82313 46000 67553 0.56
2015年12月 82313 47400 67156 0.58
2016年6月 82313 48700 66760 0.59
2016年12月 82304 49500 66471 0.60
2017年6月 82304 51700 66248 0.63
2017年12月 82304 54500 66131 0.66
2018年6月 82304 55800 65985 0.68
面積はm2、価格は100万円、

前の六本木ヒルズ森タワーより分かりやすいというのも、賃貸面積が変わっていないので鑑定士の算定がストレートに変化率となって現れるからだ。
算定価格のこの間の上昇率は∔21%と、東京の六本木ヒルズ森タワーの+5%に比べてかなり高い。
六本木ヒルズでは賃貸面積が増加していたのでその分上昇率は低めに出ることなどの条件や鑑定士の質などに多少の違いがあるとは思うが、この5年間に大阪の物件価値が大きく増加していたのは間違いないだろう。

公示地価などの統計でも地方都市の地価上昇が明確になってきているので、この結果も受け入れやすいだろう。
大阪の不動産価格の方が東京よりも上昇率が高いということだ。
一方、このMCUB-Midcityのツイン21の帳簿価格が算定価格より低く、含み損が出ている状態だ。
これは過去10年~20年では大阪がバブル崩壊の影響を大きく受けてきたので不動産価格の下落はむしろ東京より大きかったのが理由じゃないかと思う。
帳簿価格は毎年の減価償却で下がっていくので、算定価格の上昇と帳簿価格の低下で含み損は大幅に改善されてきている。
マネージメント会社のMCUBへの変更後、大坂中心からバランスの取れた不動産ポートフォリオに変えたこともプラスに働き、MCUB-Midcityの投資口価格は森ヒルズと違ってこの5年で80%ぐらい上昇している。
しかし、分配利回りは6%と高く、依然として魅力的な水準にある。
これはこの夏の物件入れ替え(松下IMPとMID京橋の売却、横浜アイランドタワー取得)による影響もあるが、大阪という地域特性も反映されていると理解している。
大阪、強し・・・・だ。



にほんブログ村

六本木ヒルズとツイン21(前編)

IMG_0322















六本木ヒルズ森タワーは2003年にオープンし、一時観光名所にもなった複合施設だが、多くの外資系企業や大手企業が入居しているオフィスビルでもある。
東京の中心でもある地域の大規模開発であり、都心型オフィスの代表的指標ともいえる。
森ビルによって開発されたが、現在森ヒルズリートが部分所有しているので、リートの開示資料を見れば、普通手に入らない詳細資料を見ることができ、ビルの価値の変化がいろいろな事が分かる。

森ヒルズリートの決算短信から拾った数字が次の通り。
賃貸面積 算定価格 帳簿価格 取得価格 算定/面積
2014年1月 17602 54200 46999 47590 3.08
2014年7月 17602 53900 46828 47390 3.06
2015年1月 21482 66400 56531 57280 3.09
2015年7月 21482 66100 56331 57280 3.08
2016年1月 25942 80900 68108 67280 3.12
2016年7月 43041 134300 114076 115380 3.12
2017年1月 43041 134900 113638 115380 3.13
2017年7月 43041 134900 113323 115380 3.13
2018年1月 43041 134800 112900 115380 3.13
2018年7月 43041 138500 112621 115380 3.22
面積はm2、価格単位100万円、各期の決算短信より。

賃貸面積を見ると、2015/1期、2016/1期、2016/7期に親会社の森ビルとの優先契約により部分所有を増やしているのが分かる。
不動産鑑定士による算定価格は542億円から1382億円に増加しているが、面積も増えているため面積当たりの算定価格に直すと、2014年の308万円から2018年に322万円に上昇していた。
算定価格は2014年から2018年までの10期5年で5%の上昇ということで、よく言われるような「東京都心のバブル」的な急上昇はしていないことが分かる。
もちろん、時価でオフィス部分を買い増しているため上昇率が小さく見えることもあるだろうし、森ヒルズリートの不動産鑑定が保守的な見積りをした可能性もあるが・・・

森ヒルズは森ビルから優先的に物件供給を受けているので、都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)の物件が全体の93%を占めるピカピカの典型的な都心型オフィスリートだ。
保有物件は同じ地域の物件が中心で、六本木ヒルズだけではなく他の都心物件でも不動産価値は順調に増えているはずだ。
つまり、東京都心ではバブルというにはほど遠い、ゆっくりした不動産価値の上昇が続いている良い投資環境にあるといえる。
しかし、その間の森ヒルズの投資口価格は14万円程度でほぼ横ばいだったあので、分配金の利回りは3%から現在の4%に上昇している。



にほんブログ村



フリーダム・イン・田舎生活

C842ED62-6EEA-486E-8C52-8D6F0502DD18















田舎生活は地域の結びつきが強く、その強いムラ意識に都会からの移住者はついていけない・・・とかよく言われる。
でも、田舎生活を始めてそんな印象はないし、むしろ田舎生活が楽だと感じることが多い。

都会で生まれ物心がつくと、まず最初に自分と周りの友達にいろいろな差があることに気がついてしまう。
となりの子はいろんなおもちゃをたくさん持っているのに自分はおもちゃを買ってもらえないとか、隣の子はきれいな洋服を着ているのに自分は同じ服しか着ていないとか、となりの子はお菓子をいっぱいもらえるのに自分にお菓子をもらえない・・・・などなど。
また、もう少し大きくなると、勉強ができるとかできないとか、背が高いとか低いとか、顔がかわいいとかブスだとか、目が大きいとか小さいとか、親が金持ちだとか貧乏だとか・・・などなど。
さらに、どこそこの名門学校に入ったとか落ちたとか、どこそこのお嬢さん学校に入ったとか落ちたとか・・・などなど。

都会生活では数々のカテゴリーのうち、どのカテゴリーに属するかで人間の価値が決まるような所があり、成長のどこかの段階で、どのカテゴリーに属するかの選択を強制される。
名門学校/ワル学校、強い野球部/弱いサッカー部、一流大学/三流大学・・・自分の属するカテゴリーの属性で自分も判断されてしまうことも多い。
さらにカテゴリー属性をステータスと勘違いして誇示し相手との差別化をしたり、高いステータスの人を知っているということを誇示したり、自分のステータスを高く見せようとしたりする・・・それほど都会生活は窮屈だ。

田舎生活を始めて気がついたのは、まず、都会にありがちなカテゴリー属性のような考え方そのものがないことだ。
自分はどこそこの会社に重役だったとか、有名な誰それをよく知っているとか、そんな都会的な自慢話は全く通用しない。
田舎では、どこそこの社長を知っている人より、多くの農産物を収穫できる人の方がえらいのだ。
まして有名人と友達だなんてどうでもいい事は関心も示されない。
自己紹介する時も自分のカテゴリーやステータスとかの話はでてこないし、自分のやりたいことを話すだけで十分だ・・・それがすごく「楽」なのである。
都会のそうした窮屈さに嫌気がさした人は田舎に来た方がいい。



にほんブログ村

ウィークリー雑感(11/11不動産詐欺とJリート)

5728ac05683a49070e3c32ab93e8e065c55b8762







今年は不動産詐欺が話題になった年だった。
まずは、「かぼちゃの馬車」だが、シェハウスの運営会社が借金でシェアハウスを建てれば安定した賃貸料が稼げるという甘言で、不労所得を得ようとした投資家をうまく誘い込んだのはいいが、空室を埋められずキャッシュフローの不足で最後は破たんしてしまったという事件だ。
ここまでは詐欺なのか?単なるビジネスの破たんなのか?分からないが、スルガ銀行が無理やりな融資をして投資家を借金だらけにしてしまったところに詐欺的な臭いはする。
不動産のいろいろな問題をすべて含んでいるだけに勉強になる事件だ。(詳しくは当ブログ不動産編を参照)。

また、もう一つ世間を騒がせたのが、五反田の土地をめぐる地面師による詐欺事件だ。
これはプロ中のプロの仕業で、だまされたのが住宅・不動産の大手である積水ハウス、しかも55億円という規模の詐欺だった。
五反田の物件は元旅館で駅に近い希少な土地なので、積水ハウスも他の業者が入ってくる前に早く決めたかったため、地権者に「なりすまし」おばさんに引っかかったのだろう。
慎重に土地の所有者を見極めていたら詐欺には引っかからなかったのだろうけど、そこがプロの地面師の腕だったのだろう。

こうした不動産取引に対する不信感が東証のJリート指数にも反映されているようだ。
リート価格はこの3年間弱含み、分配金利回りは2014年3.02%から現在の4.13%に上昇し、NAV倍率は2014年1.57倍から現在1.06倍と低下してきた。
不思議なのは、この間、地価もオフィス価格も値上がりし不動産のCAPレートが低下しているにもかかわらず、Jリート価格が下落し利回りが上昇していることだ。
実物の不動産市場は好調なので本来ならばJリート価格も上昇してもおかしくはない。
でも、分配金利回りは大きく上昇しNAV倍率はどんどん低下してしまったというわけだ。

  J-REIT市場 東証REIT指数(配当なし) 投資口価格関連指標
銘柄数 時価総額 指数 騰落率(対前年) 予想分配金利回り NAV倍率
2013 43 7,614,443 1,515.01 35.91% 3.60% 1.38
2014 49 10,578,436 1,897.92 25.27% 3.02% 1.57
2015 52 10,560,331 1,747.54 -7.92% 3.42% 1.30
2016 57 12,123,315 1,855.83 6.20% 3.52% 1.24
2017 59 11,475,087 1,662.92 -10.39% 4.19% 1.03
2018 61 12,923,643 1,777.18 6.87% 4.13% 1.06
各年は年末値、2018年は10月末値

Jリートは不動産取引の中では珍しく毎日売買され、毎日評価が表示される特殊なものだ。
だから、不動産を取り巻くセンチメントがJリートの取引価格に反映されやすいといえる。
Jリートの価格下落は不動産市場への懸念を映しているのだろう。
不動産詐欺などが増えて不動産投資にネガティブな雰囲気が作れていることも影響しているだろうし、不動産ブームの過熱懸念で都心を中心とした地価上昇で今後値下がりに対するリスクを感じている人が増えていることもあるだろう。
さらに主に米国での金利上昇とはいえ、国内の貸出金利もジリジリと上昇しているので、金利に敏感なリート価格は反応しているかもしれない。
実際には不動産向けの融資はまだゆるい状態で貸出金利の上昇が実際に不動産市場に影響しているとは思えないが、Jリートは実物以上に敏感な市場だ。

この好調な実物不動産市場と懸念を織り込むJリート市場の違いがどう修正されているかは興味があるところだ。



にほんブログ村

日本の英語教育の謎(2小学生)

F0F680FA-F67D-41E4-A774-D95021C643E0
















小学生の英語授業が2020年から大幅に増える予定になっている。
小学3~4年生で年35単位(週一コマ)、小学5~6年生で年70単位(週二コマ)という授業予定になる。
ワシの息子も通った区立小学校で英語の授業があったが、授業という感じではなく、若いアメリカ人の先生が英語と日本語のチャンポンで一緒に椅子取りゲームなどをして遊ぶというものだった。
息子も楽しそうに先生にじゃれていて、とてもいい感じじゃった。

日本語には多くの外来語が入ってきている・・・必ずしも英語とは限らないが、最近の外来語の多くは英語で、日本語と英語の共通語も急速に増えている。
日本に居住し日本語に慣れている外国人とは、この日本語と英語のチャンポンで十分に会話が成立する。
息子が小学生だったのはもう10年近くも前の話で今は違っているかもしれないが、外国人に慣れる、外国人との会話に慣れる、コミュニケーションの楽しさを知るということが小学生にはとても大切なことだと思った。

でも文科省のことだから、英語は英語できちんと勉強させるようなプログラムになるかもしれない。
そんなのは中学校以降で十分なので、まずは、日本語や英語の関係なく、日本人じゃない人たちと身振り手振りでもなんでもいいからコミュニケーションを取ることを経験してほしいと思う。
外国人も日本人も同じで、恐いものもあるし、楽しいと感じる事があったり・・・ということが分かり、同じ人間としてコミュニケーションをすることが楽しくなる。
この楽しい、「FUN」という感じが小学生には大切なのだろう・・・海外の小学校ではこの「FUN」を大切にして授業が行われている。

小学生の英語授業は中学校の授業の前段階として位置づけられ、今までの「聞く」「話す」に加え、「読む」「書く」が加わり、授業時間も増え、成績も通知表に載るらしい。
せっかく外人先生と楽しく過ごしコミュニケーションの楽しさを知る機会だったのに、中学英語の簡単版になったのでは、英語嫌いを増やすだけの全くの逆効果になりかねない。
全国の小学校で外人先生を確保できるのかも心配だ。
言葉は生活観、人生観、哲学、すべての文化体系の中で中心であり、言葉を学ぶ事はその国の文化・生活を学ぶ事と同じだ・・・日本人の先生には英語を教えることはできない。



にほんブログ村

こりゃ無理だ、消費税

0208ins_noose2
ユー・アー・ギルティ















日本の役人の考える事は、所詮、現場をしらない、お利口さんの机上のお勉強にすぎない。
消費税の引き上げを画策している財務省に対し、その傘下の国税庁が軽減税率の指針を出したが、生煮えどころか、無能をさらけ出した。
コンビニで食べ物を買って、その場で食べると税率10%で持って帰ると税率8%だという。
また、回転ずしで寿司を食べると10%、残りを持って帰っても10%だという。
回転ずしでお持ち帰りは8%、食べて残りを持って帰ると10%・・・バカだなとしかいえない。

そもそもコンビニでおにぎりを買ってレジに持って行った時点では、その客が店内で食べるのか、持ち帰るのか分からないだろうし、一々客に「店内で食べるのか?」と聞いて税率を決めるのだろうか?
途中で気が変わって店内で食べてしまったら、2%の税金が追加されるのか?
コンビニでおでんを買って一口その場で食べると店員に言えば10%の税金、食べないと言い持ち帰ると8%の税金??
コンビニの店員も、回転ずしのレジ係りもたいへんだろうな・・・こんなありえない事に対応するなんて・・・

消費税の引き上げは、軽減税率が必須ならば、もう無理だろう。
公明党のために生活必需品の軽減税率を導入するといったところから、このバカげた騒動が始まった。
安倍さんが本当に消費税を上げたいなら、自民党は公明党と縁を切るべきだし、公明党との連立が必要ならば、軽減税率をあきらめるべきだ。
消費税の軽減税率の矛盾が誰の目にも明らかになっているからだ。
こんな税制はありえないし、こんなバカな税制を作ったら、政権は終わりだ。
ついでに財務省も終わりだ・・・元次官の福田さんの「おっぱい、触っていい?」ですでに終わっているという人もいるけど・・・
景気がよく法人税や所得税など税収が急増している時勢に、そもそも消費税の引き上げが必要なのかも説明されていない。
消費税は前民主党政権で決められた方針で、安倍政権が変えるのになんらの問題もない。
国会で決議すればいいだけだからだ。
自民党に少しはまともに考えられる人がいるのを期待したい。

注)筆者も混乱してしまいました。
修正してしました。でも、分かりづらいのは確かなようで・・・



にほんブログ村

トランプの次の戦略は新冷戦か?核軍拡か?

4205BEF9-983C-4529-AFF2-A37885365D75
















トランプが「米国はINF(中距離核戦力)条約をターミネート(終わり)する」とお得意のお騒がせ発言をして、識者諸氏はまたまた新冷戦だの、核軍拡だの、日本はどうするんだと大騒ぎが始まった。

識者の一つの見方は、「かつての冷戦ではイデオロギー(資本主義と共産主義)の戦いがあったが、この新冷戦では対立軸が不明確だ。米中のヘゲモニー(覇権)争いというだけで理念がない。」というもので、だからどうなんの?って感じだ。
識者のもう一つの見方は、「核軍縮の方向をトランプが変えてしまった。日本は広島、長崎、そして、福島と核の経験を持つ国で、世界に核軍縮をアピールしてするべきだ。」というが、基本的にトンチンカン。

しかし、トランプはイデオロギーとか理念とか理想とかには全く興味がないプラクティカル(現実重視)な人物だろうから、新冷戦とか核軍拡とかの考えはない。
過去数十年の歴史を見て、理想主義的な方向から現実重視の方向を変えようとしているだけだ。
一つは理想主義的な・・・国際機関による集団安全保障、国際機関による紛争の調停、国際機関による人権運動、国際機関による世界秩序、などなどはすべて否定する。
確かに2次大戦後、理想主義にそって国連、IMF、世界銀行などなど設立されてきたが、超大国の利益主張が強くてまとも機能している国際機関はない。

もう一つは1対1で米国の主張を通しバランス・オブ・パワーを重視するというやり方だ。
ある意味、理想主義的なアプローチがうまく機能しなかった反動ともいえるが、昔のバランス・オブ・パワー(勢力均衡)のアプローチに戻ってしまったかのようだ。
今回のINF破棄も、ロシアの核に対してアメリカも現実的に核で対抗していくというバランス・オブ・パワーが基本にありそうだ。
中国に対して仕掛けた米中貿易摩擦も1対1で不当に歪んだバランスを回復させようしているようにも見える。

このトランプの考え方は古き良きアメリカの考え方そのもので、アメリカのリベラル勢力の理想主義の部分とは相いれない。
アメリカの学校で銃乱射事件が起こった時、トランプは先生にも銃を持たせろ、そうすれば学校で銃乱射はできなくなると言った。
これは銃を持つ相手には銃を持って対抗すべきとする古いアメリカの考え方を継承する、銃には銃、ミサイルにはミサイル、核には核・・・というバランス・オブ・パワーの原点のような考え方だ。
第二次大戦の反省から様々な戦後の努力が行われてきた(集団安全保障や国際機関による紛争調停、国連活動など)がすべて否定されつつあり、これもアメリカを分断する。
中間選挙を見ても、さらに分断が激しくなっているようだ。
中間選挙の結果をまだ詳しく見ていないが、アメリカは中間派が減少して、極端なリベラルと極端な保守に分断されてきている。
新冷戦とか核軍拡とかの問題というより、アメリカ内部で世界平和や自由・人権などを守る理想主義がもう一度台頭してくると思われる。
民主主義の理想主義と現実主義の戦いが始まるだろう。



にほんブログ村

近所の散歩道の紅葉

7579269F-4910-468D-8710-4CDE95D5FB98


犬の散歩の途中に見かけた清里丘の公園のモミジ。
何故か、一本だけライトアップされていた・・・清里の地元民の話を思い出した・・・清里は紅葉がきれいだけど、紅葉の名所がないから、ダメなんだ・・・無理やりのライトアップしても名所にはならない。
地元の人たちは意外と地元にプライドがないのかも・・・清里には紅葉がきれいな場所がたくさんあるのに。






8C04E074-CCEB-4AAC-BCB1-30186BEE8A40
これは大泉から清里に向かう道にある高原大橋の上から渓谷を撮影したもの。
肉眼では、赤と黄色と緑が混ざりきれいに見える。
でも、写真撮影するとこんな感じで、もう一つ見栄えがしない。
おそらく、この程度では今流行の「インスタ映え」とはいえないのだろうし、地元の人たちが名所が欲しいというのも分かる気がする。








A95DB50A-E6A4-42F2-BD95-D129BC3E919B
いつのまにか、いつもの散歩道も木々が色づき、秋が深まってしまった。
これは清里のまきば通りから丘の公園に入る道・・・いつもこの道を通って、丘の公園「清里ゴルフコース」や温泉の「天女の湯」に向かう。
ゴルフ場もお正月でクローズになるので、ゴルフができるのもあとわずかな期間しかない。








6B927C31-0F9D-41C4-8A18-DE525BB3C63E
ここはいつもの犬の散歩コースの途中にある牧場近くの別荘だけど、最近人をほとんど見かけない・・・清里の別荘は空き家が増えている気がする。
この別荘は以前はよく家族で来て、大きなデッキでバーベキューをして賑やかだった。
この夏もあまり人影を見なかったな。
観光で来る人、アウトドアを楽しむ人、バイクでツーリングに来る人は依然として数多くいる・・・平日でも清泉寮や萌木の村は多くの人で賑わっている。





16F2CF6C-503F-488A-9FE6-1E1E80B82CD4
東沢大橋に行ってみたが、なんと紅葉はすでに終わっていた。
大橋からの景色は、紅葉はすでに落ちて、白っぽい木の枝になっていて、もはや冬景色になってしまった・・・残念。
これは大橋の脇に立っているモミジで、せめて、この一本だけでもと思い、シャッターを切った。
清里はこれから冬支度を急速に始める。

やさしい投信運用(6バランス型の運用)

DCF9CD36-E1FC-4DDF-8EC5-EF2DA7CD4110








ワシの実体験からiDeCoの運用を取り上げてみたい。
ワシの運用実例(2007年4月から2018年1月まで)から、バランス運用の基本的なやり方とリバランスについて考えてみよう。
業界用語で言えば、絶対値追求型の4資産バランス運用ということだが、日本株、日本債券、外国株、外国債券の4つのインデックス投信に分散投資するバランス運用を行った。
基本的な配分はそれぞれ25%づつという簡単なもので、この比率はあまり考えすぎない方がいいと思う。
たとえば、世界最大の年金GPIFの基本配分を見ると、日本株と外国株がそれぞれ25%と株式で半分、日本債券35%と外国債券15%と債券全体で半分と、日本債券を多めにしてリスクを抑えているという特徴はあるが、ワシの基本配分と大して違わない。

そして、重要なのはiDeCoの運用は絶対値運用、つまり、ベンチマーク対比で運用するのではなくリターンの絶対値を上げることを目標にしていることだ。
絶対値運用はいろいろなやり方があるが、ワシはダウンサイド(資産価格が下落し損する)のリスクを管理することで絶対値のプラスを上げることを目指した。
簡単に言えば、下がると思った時にウェートを下げキャッシュポジションを増やし、通常の状態では各資産の配分25%を維持するということだ。

運用をスタートしたのが2007年でちょうど8月にパリバショックが起こった時期だった。
スタート時点では各資産25%づつ組み入れ、そのままパリバ・ショックを迎えたが、配分は変更しなかった。
フランス銀行のBNPパリバがミューチャルファンド(投信の一種)の解約を制限したことで、投資家が混乱し株価が大きく下落したものだが、ワシは市場の一時的な混乱だと判断したからだ。
しかし、結局これがアメリカでサブプライム関連の証券化商品の暴落につながり、その証券化商品を組み入れたデリバティブが大混乱し、その証券化ビジネスを中心としたリーマンブラザーズの経営問題に発展・・・という連鎖反応が2008年の株価大暴落につながった。

2008年にまだドル/円が100円を越えていた時、思いきってウェートの大幅変更をした。
絶対値運用ではウェートを小幅に変えても効果は少ないので、変更は思い切ってやらなけれはならない。
外株と外債インデックスファンドをそれぞれ20%づつ売却し、円債25%、円株25%、外債5%、外株5%、キャッシュ40%の組入れにした。
その後、80円割れまでドル安/円高に推移したので一見うまくやったように見えるが、実はこれが失敗の元だった。

外国債券・外国株式は利回りや価格変動とともに為替が重要だが、ワシは2008年に外国株式というよりも為替の円高を考えて、それでそれぞれのウェートを20%づつ減らした。
実際、リーマンショック後のリスク回避で円高が急速に進んだので、2010年ぐらいまでは円高の損失回避ができたのでiDeCoの平均より高いパフォーマンスになった。

しかし、その後特に2012年以降はグローバルな金融緩和で世界中で長期債が買われ長期金利が低下し、外債は高いパフォーマンスになり外株も大幅な反発場面になった・・・この大きな流れに乗り遅れてしまったのだ。
為替を中心に見ていたので、NY市場の株価の上昇や金融緩和でのグローバル債券価格の上昇についていけなかった。
変動率では為替より資産価格(株や債券)の方が大きいので、円高よりも外国資産価格の上昇の方が重要だったわけだ。
結局、ぐずぐずしているうちにウェート引上げが遅れ、実行できたのは2014年の日銀の異次元緩和後で致命的な遅さだ。
異次緩和によるドル高/円安局面になって背に腹は代えられず、外国資産を増やした。
これは大失敗で、これによりiDeCo参加者の平均リターンより劣ってしまった。

・・・続く。



にほんブログ村

入管法の改正はパンドラの箱を開ける

IMG_0344
















自民党が外国人の単純労働者の受け入れを拡大する入国管理法の改正を国会に提出し論戦が始まる。
人手不足の業界からの要望も強く、おそらくこの法案は可決されるだろうが、これが成立すると、日本はパンドラの箱を開けることになるだろう。

日本国内の人手不足に陥っている業種のみ受け入れるといっても、一旦、労働者を受け入れれば他の会社や業種に転職したり人の動きをすべて管理するなんて不可能だ。
しかも人権などの制約も多く、当然、受け入れた外国人労働者にも自由や人権があり、労働者の権利は守られなければならない。
だから、法律を犯したようなケース以外は強制的な帰国命令やその他の不当なことはできない。
労働ビザを二種類に分け、一方は5年限定、もう一つは期間限定なしにするとしているが、5年限定といっても5年後本人が更新を希望したら正当な理由なく拒否できないだろうし、結局、無期限に受け入れるのと同じことだ。
それに5年も働いていたら人間関係もできるし、生まれた子供だって大きくなり、家族も日本の生活に慣れて永住を希望する人も多くなる。
さらに日本国内に財産ができマンションや家を買うかもしれないし、独立して事業を行っているかもしれない・・・こんな事は簡単に想像できるし、彼らの自由や人権を民主国家である日本は守らなければばならない。

世界の動きは全く逆で、外国人労働者の受け入れ(移民の)制限がトレンドだ。
ホンジュラスの難民が米国を目指して移民キャラバン行進をしているが、トランプはメキシコ国境に1万5000人の米兵を派遣し国境管理を厳しくすると言っている。
欧州でも中東からの移民をどうするか大きな議論になり、イギリスのユーロ離脱の一つの理由になったのは欧州経由で流入してくる移民を抑えることだった。
日本が逆に外国人労働者に門戸を開くとなれば、希望者が大挙して日本に押し寄せることになるかもしれない。

英国で働いた時、思ったのは旧英連邦からの移民(インド、オーストラリア、香港など)が非常に多いことと労働ビザ管理の厳格さだった。
旧英連邦からの移民受け入れは宗主国としての歴史の問題だったのだろうし、それと対極に労働ビザの厳格な管理があるのが面白いと思った。
英国の労働ビザは自らの職員の待遇やポジションを保障する形で企業が申請する。
つまり、労働者はその企業に属している限り働くことが可能なビザで、一旦、その企業を退職したら英国内で働くことはできない。
外国労働者の管理を企業の責任で行うことになるので、企業が欲しくない人材は入国できないことになり、いい加減な労働者を入国させない仕組みとして有効だ。
ただし、4年間英国内で働けば永久ビザをもらえるので、その後は転職も自由になることで民主国家としての形も維持されている。

日本の外国労働者受け入れは、国家としての基本的戦略もなく、人手不足の業界からの要望を受けてなし崩し的に行われようとしている・・・それが非常に危険で、明確なビジョンや基本戦略を作り、その規範の上で外人労働者を受け入れることをしないと、不法滞在者も増えて管理不能に陥るリスクもある。
外国人留学生を受け入れた時のことを考えてみれば簡単に分かる。
留学生ならアルバイトで安く使えるし・・・という安易な考えが・・・留学もどきの大量な不法滞在者を生み、いつのまにか、国民の1%は外国人になってしまっている。
外国人労働者を受け入れるならルールを明確にすると同時に、厳格な入国管理をしないといつか後悔することになるかもしれない。



にほんブログ村

ウィークリー雑感(11/4 PER低下の謎)

5728ac05683a49070e3c32ab93e8e065c55b8762







10月の波乱相場の中、日本株PERの低下が顕著になってきた。
現在のPERは12倍と3月ボトム並みのところまで低下し、割安感があるという意見も増えてきた。
短期的な株価の下落時にPERをめどに投資する人がいてもおかしくはないし、それは様々なテクニカル指標で株価のボトム圏を探そうとする人とほとんど同じだ。
つまり、ボトムになるかもしれないし、そうでないかもしれないし、株式のセールスマンが手数料を上げるためにPERをネタにするぐらいの程度の話だ。

より問題なのはPERで市場のボトム水準を測定することではなく、日本株のPERが長期的に低下傾向にあることだ。
アベノミクスが始まって景気が回復し企業業績も増加しPERも14-18倍のレンジで取引されてきたPERレンジが、現在では12ー15倍とさらに切り下がってきている。
その間、日経平均は上昇しているので、このPERの低下はEPS(利益)の増加ペースに株価の上昇がついていかなかったために起こっている。

そのPERの長期的低下傾向にはいくつかの理由が考えられる。
1)そもそもPERは株式の人気のバロメーターで、PERの高い株は成長性の高く人気があるといえるし、低PERの株は人気がないといえる。
FANG銘柄は下がったとはいえPER20倍から30倍で取引されており依然として人気があるといえるし、銀行株などはPER10倍程度で取引されているので不人気株といえる。
20倍でトレードされているNY市場に比べ、12倍の東京市場は市場としての魅力や人気に欠ける成長期待が低い市場だというわけだ。
米国と比べ日本企業の自社株買いが少なくEPSの増加期待が小さいことも不人気の理由の一つだが、これも含めて、一般的に日本株は魅力がないというのが現状だろう。

2)日経平均のPERの問題だけでなく、個別の上場銘柄でPERは異常に低い「超割安」銘柄が増えていることも問題だ。
東証1部の上場銘柄2112銘柄のうち、1割以上の278銘柄は9倍以下と異常に低いPERで取引され、PER8倍以下も175銘柄あり、低PER銘柄が増加している。
PBRでも市場PBR1.15倍の半分の0.6倍以下で取引されている銘柄が284銘柄と上場銘柄の1割以上がきわめて低いPBRで取引されている。
そしてこれらの銘柄は長い期間低いPERでの取引が続いており、もはや万年割安株と呼ばれてもおかしくない状態にある。
そして、万年割安株に投資してしまうと運用パフォーマンスが低下し、バリュートラップ(割安株のワナ)にはまるリスクも高まる。
こうなると、低PERは買いなのか、避けるべき投資対象なのか分からなくなり、投資家には迷いが生じてしまう。

こうした市場の状態はインデックス運用の人気化と表裏一体にあるのではないだろうか?
今や、GPIFなどの巨大年金や機関投資家も日本株の運用金額の80%以上はインデックス運用をしており、個別銘柄で勝負するアクティブ運用よりインデックス・ファンド投資を優先している。
量的緩和を行っている日銀も日経平均やTOPIXのETFを毎年6兆円のペースで買い続け、その買い付け総額は24兆円に達している。
東証に上場している日本株(日経平均、TOPIX、JP400)ETFもNISAやiDeCo投資家に人気で、日本株ETFの時価総額も40兆円規模に成長している。
こうした点でインデックス運用は全盛期にあるともいえるが、これが、逆に個別銘柄への選別投資を減少させているのではないかと思われる。
市場の売買動向でもインデックス・ファンドの売買、インデックス裁定取引、それに伴うインデックス構成比率の高い銘柄の売買が中心になり、インデックスウェートの低い銘柄はトレードもされないし、見向きもされない状態になってしまう。
こうしたインデックス運用の興隆が低PERで放置されている銘柄を増やしているし、そして、こうした低PER銘柄の増加が市場全体の不人気に影響しているのかもしれない。

基本的には日本株の魅力を高めるようなインパクトのある自社株買いなどの企業の資本政策が必要だろうし、個別銘柄のファンダメンタルやバリュエーションを考えて運用する投資家層を育て、市場の厚みを作っていくことが必要だろう。
でも、インデックス投資の全盛期にある今、逆にインデックスウェートが低く、投資家から見放されている質の高いバリュー銘柄をじっと長期投資すると、意外と高いパフォーマンスが出るかもしれない。
なぜならインデックス売買で市場が歪んでいるので、市場自身が歪みを正常化する自律的な反動も出ることも考えられるからだ。
市場とは作用と反作用の連続で出来上がっているので、長期的に、脱インデックスの動きが出る可能性も否定できない。



にほんブログ村

日本の英語教育の謎(1幼児)

F0F680FA-F67D-41E4-A774-D95021C643E0
















近所に新しく英語のアフタースクールができた。
その塾の売りはネイティブの教師と英語で遊ぶという幼児英語教育だ。
夕方には多くの母親たちが電動付き自転車に乗せて、3-4歳ぐらいと思われる小さい子供たちを連れてくる。
何故かわからんが、皆、電動付き自転車に乗っている・・・不思議だ。
そして、ネイティブの先生と英語で遊んで、小一時間後に母親が迎えに来て「バイバイ、シーユー」とか言いながら家路に向かう。
別にこの英語アフタースクールに難くせを付けたいわけじゃないけど、全く意味のない時間と塾代の無駄使いだとしか思えない。

参考になるのは2番目の子供で、彼が4歳の時、一家全員でイギリスに引越しした。
8月のロンドンに渡ったので1か月ぐらいはブラブラしていたあと、9月の新学期に近所の小学校に入学した(イギリスでは4歳から小学校が始まる)。
一回だけ学校から逃走したことがあったが、1か月もすると順応してしまった。
それはなぜか?
答えはきわめて簡単で、4歳児が使う言葉は主に100語以内なのですぐに覚えられるからで、1か月もすれば英語を話しだす。
実際、学校で使っている4歳児向けの教科書も文字は少なく簡単な英単語だけで書かれている。
先生も「立つ」「座る」などの行動、「色や形や大きさ」などの具体的な言葉が多く、抽象的で概念的な言葉は使わない。
だから、わずか1か月でイギリスの学校に順応できるわけだ。

上の娘は小学校1年生の時、イギリスに渡ったが、下の子に比べるとたいへんだったと思う。
7歳児ともなると学校の履修科目も算数や科学も入ってくるし、英語でも長文の物語を読んだり、英作文を書いたりということも必要になる。
難易度は急激に上がり、それに伴い、順応する期間も長くなり、子供たちの苦労も増加する。
しかし、4-6歳ぐらいでは英語も日本語も大した問題にはならない。

セレブ母親の間では「子供を英語塾に行かせる」「子供をインターナショナルスクールに入れる」「夫に留学経験がある」などが英語トークの鉄板ネタになっていらしいが、幼児の英語塾に入れる前に振り返ってみることはたくさんある。
まず、自分が英語ができないのでそのコンプレックスから小さい子供に幼児教育を押し付けていないかを考えてみることだろう。
さらに、周りの親たちが子供を英語塾に通わせているからとか、周りに影響されていないかも振り返ったらいいと思う。
見栄で無駄なことをやらされたら、子供もたまらない。

幼児から英語に親しみ、成長とともに高度な英語を身に着けるのはもちろん良いことだけど、それだけ継続してやるには母親と子供ともに相当な忍耐力が必要になる。
ほとんどの子供は途中で投げ出すだろうし、母親も次々と別の習い事をさせるため、やめてしまうケースも多いだろう。
幼児の英語は離れるとすぐに忘れられ、小学生になるころには何も覚えていないなんてことにならないように。





にほんブログ村

徴用工の賠償金は韓国政府が着服?

DB18D43A-CCD1-4B67-8B6E-896EB225AF8F
















ハンギョレ新聞の記事から・・・最高裁全員合議体は核心争点である「1965年の韓日請求権協定で強制動員被害者の損害賠償請求権が消滅したか」について、最高裁判事7対6の意見で「被害者の個人請求権は請求権協定で消滅していない」と判断した。
その根拠として挙げられているのが・・・未払い賃金や補償金を要求するものではなく、日本政府の違法な植民地支配および侵略戦争の遂行と直結した日本軍需会社の「反人道的不法行為」に対する「慰謝料請求権」だ。
・・・簡単に言えば、1965年の日韓請求権協定で損害請求権は完全かつ最終的に解決した(これは韓国政府が認めている)のだが、強制徴用された被害者には慰謝料をもらう権利があるとした。

日本政府は協定時、個人への補償も考えたが、韓国政府の要求通り、個人補償も含めて韓国政府に支払った。
いまさら慰謝料を払えと言われても、こんな二重取り、許されるわけがない。
となると、問題は徴用工の人たちは補償金をもらってないので、慰謝料をくれと言う・・・日本は請求権交渉で個人補償も含めた払ったという・・・ということは、韓国政府が個人補償金をチョロまかした・・・ということになる。

この徴用工判決に韓国政府は「司法の判決を尊重したい」と言った。
はあああああ、自分でチョロまかして徴用工の人たちに払わなかったくせに「司法を尊重する」だと・・・ありえない、責任転嫁だ。
しかも、文在寅は、2005年にこの問題が持ち上がり、当時の大統領だった廬武鉉が「徴用工問題は解決済み」と明言した時、政権の要職にあったという。
つまり、自分自身も廬武鉉政権下で「徴用工問題は解決済み」という決定に関与していたはずだ。
それがなんで前言を簡単にひっくり返して、こうなるんだ????

この問題の根幹は、韓国政府の個人補償金の着服であり、韓国政府のいい加減な態度だ。
慰安婦の最終的可逆的解決で日本政府は10億円を元慰安婦の人たちに支払ったが、韓国政府は国家間の約束をひっくり返し、慰安婦問題は解決していないと態度を一変させた。
韓国政府は、このいい加減さに嫌気がさした日本人すべてを敵に回そうとしてることを理解しているのだろうか?

今でもよく覚えているけど、80年代に企業調査で新日鉄の君津工場を取材した時、POSCO(韓国鉄鋼)に連続鋳造の技術を供与していて、POSCOの社員が研修に来ていたのに出会ったことがある。
当時、最新の技術であった連続鋳造をPOSCOに供与し、POSCOは新日鉄を脅かす存在にまで成長した。
こうした歴史的関係があるのに、韓国は全く感謝もなく、平気で恩人である新日鉄をやり玉に挙げる。
感謝のない韓国人、日和見な韓国人、約束を守らない韓国人、情緒的感情に支配される韓国人・・・ワシャ、個人的に韓国とは一切合切、縁を切る・・・もう韓国旅行をしないし、韓国料理も食べない、キムチも好きだけど食べない宣言。
それと、この韓国を支援するありえない日本人(ハンギョレ新聞に載った中田光信、上田慶司、矢野秀樹とかいうグループ)がいることも信じられない。



にほんブログ村

中国GDPは信用できない?

co_asa_cn[1]







中国の経済指標はあまり信用されていない。
計画経済の下では各地方政府や組織集団は計画通り生産を増やしていかなければならないので、無理やり生産が増加しているかのように見せる必要があり・・・そして、地方の役人は数字の粉飾によって出世の階段を上っていき、前任者と後任者が粉飾の秘密を共有し、お互いの非をあばくことはしない。
こうした慣行が長い歴史を作り上げると、実際と数字の間に大きなギャップができてしまう。
かつて旧ソ連では、1928年から1985年までの国民所得の伸びは政府公式統計では90倍となっていたが、実際は6.5倍しかなかったらしい。
経済成長率も政府公式統計では平均8.3%だったが、実は3.3%しかなかったという。
これでは経済が破たんしてしまうのも理解できる。

同じく計画経済の中国はどうだろうか?
やはり、公式数字と実際の数字にはギャップがあったのだが・・・2017年6月に中国は「地方の域内GDPの統一計算に関する改革案」を公表し、地方GDPの総和が中国全体のGDPを越えているという問題に対応を始めた。
国家統計局は、「省クラスのGDPは各省によって計算されてきたが、改革後は政府による計算が主となる。改革が順調にいけば政府による統一計算が2018年から実施される」と述べた。
中国当局自身がGDP統計の間違いを認識し改革しよとしているわけだが、その後の報道はない。
不都合な事実を隠さなければならない理由があったということかもしれない。

中国のGDPは四半期が終わって20日間で全国GDPが発表されるが、あれほど広大面積を持ち、14億人の人口がいる巨大な中国でわずか20日間で計算できるのは何故だろうか?
また、輸出輸入統計、工業生産、固定資産投資、小売り消費などの多くの経済指標が上下にブレて動いているのに、中国GDPの四半期統計が全くブレがなく、毎期6~7%の前年比成長率を記録するのは何故だろうか?
普通の感覚でも違和感が大きい中国GDP、国家統計局は実際の数字に近づけることができるのだろうか?
旧ソ連と同じように公表数字と実際のギャップが限界に達するまで隠すつもりだろうか?



にほんブログ村
最新コメント
読者登録
LINE読者登録QRコード
楽天市場
プロフィール

kabusanjin

株式需給の達人(おもしろ相場格言)
「酒田五法」などの相場テクニックに直結する相場格言をより多く取り上げました。 当ブログでも使った「最後の抱き線は心中もの」、「遊びの放れは大相場」、「放れて十字は捨て子線」など、実戦で使える格言を多く解説しています。 ケイ線に興味のある方、テクニカル分析に興味のある方、是非一読をお勧めします。
株式需給の達人(バリュエーション)
PERやPBRなどバリュエーションを理解し割安/割高の実践的判断の基に理論的な株式投資を解説します。 割安とは将来のリータンを示すのか、単に成長性がないというだけなのか、事例をもとに解説します。 株式投資の基礎として大切なもので、是非一読をおすすめします。
カテゴリー
RSS
  • ライブドアブログ